JP6180379B2 - 近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタおよびその製造方法、ならびに固体撮像素子 - Google Patents

近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタおよびその製造方法、ならびに固体撮像素子 Download PDF

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Description

本発明は、近赤外線吸収性組成物、近赤外線カットフィルタおよびその製造方法、ならびに固体撮像素子に関する。
近年、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサが用いられている。固体撮像素子は、その受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正を行うことが必要であり、近赤外線カットフィルタ(以下、IRカットフィルタともいう)を用いることが多い。
近赤外線カットフィルタの材料として、特許文献1には、(メタ)アクリルアミドとリン酸との反応物またはその加水分解物と、エチレン性不飽和結合を有する化合物との共重合体に、金属化合物を添加してなる赤外線遮断性樹脂を含む赤外線遮断性フィルムが開示されている。また、特許文献2には、スルホン酸エステル銅錯体を用いた近赤外線吸収性組成物が開示されている。
特開2011−227528号公報 特開2001−213918号公報
従来から、赤外線カットフィルタの製造に際し、近赤外線吸収物質と溶剤を含む組成物を基材上に層状に適用し、上記層を乾燥して硬化させることが行われている。しかし、原材料の関係等から、溶剤ではなく、水を用いた適用(例えば、水系塗布)が好ましい場合もある。ここで、本発明者が検討したところ、水を含む組成物を層状に適用して乾燥や硬化を行うと、得られる膜の表面付近と内部とでその進行度合いが異なる場合があることが分かった。このような進行度合いの違いによって、得られる膜に気泡やクラックが発生したり、膜剥がれが起きたりする場合がある。
本発明は、上記課題を解決するものであって、近赤外線吸収物質と水を含む組成物であって、膜を形成したときに、面状不良が生じにくい近赤外線吸収性組成物を提供することを目的とする。
かかる状況のもと、本発明者が鋭意検討した結果、近赤外線吸収性組成物中に、近赤外線吸収物質、水および沸点が100℃より高い極性液体を配合することにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、以下の手段<1>により、好ましくは、<2>〜<20>により、上記課題は解決された。
<1>近赤外線吸収物質、水および沸点が100℃より高い極性液体を含む、近赤外線吸収性組成物。
<2>近赤外線吸収物質が、配位部位を含む重合体と銅成分との反応で得られる化合物を含む、<1>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<3>重合体が、スルホン酸基またはその塩から選択される少なくとも1種を有する、<2>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<4>近赤外線吸収物質が銅錯体を含む、<1>〜<3>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<5>近赤外線吸収性組成物中の銅錯体の含有量が30質量%以下であり、
銅錯体が、酸基イオンを含む重合体中の酸基イオン部位を配位子とする、<4>に記載の近赤外線吸収性組成物。
<6>近赤外線吸収性組成物中の極性液体の含有量が、2〜99質量%である、<1>〜<5>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<7>極性液体が非プロトン性の極性液体である、<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<8>極性液体が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、スルホラン、メチルジグライムおよびメチルトリグライムから選択される少なくとも1種である、<1>〜<7>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<9>極性液体が、重合性基を有する、<1>〜<6>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物。
<10><1>〜<9>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する工程、100℃以下の温度、および、100℃を超える温度の少なくとも2段階の温度で加熱する工程を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
<11><1>〜<9>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する工程、100℃以下の温度から昇温して連続的に加熱する工程を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
<12>適用の方法が、ドロップキャスト、ディップコート、スリットコート、スクリーン印刷、スプレーコートおよびスピンコートから選択される、<10>または<11>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<13>基材上に親水性領域および/または疎水性領域を形成した後、近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する、<10>〜<12>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<14>基材上に親水性領域および親水性領域を囲む疎水性領域を形成した後、近赤外線吸収性組成物を親水性領域に適用する、<10>〜<12>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<15>疎水性領域が、高耐熱性樹脂を含む、<13>または<14>に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
<16>近赤外線吸収物質、水および沸点が100℃より高い極性液体を含む、近赤外線カットフィルタ。
<17>水の含有量が20質量%以下である、<16>に記載の近赤外線カットフィルタ。
<18>膜厚が50〜300μmである、<16>または<17>に記載の近赤外線カットフィルタ。
<19>膜厚が50〜300μmであり、波長450〜550nmの範囲での光透過率が90%以上である、<16>〜<18>のいずれかに記載の近赤外線カットフィルタ。
<20><1>〜<9>のいずれかに記載の近赤外線吸収性組成物を用いて得られた近赤外線カットフィルタを有する固体撮像素子。
本発明によれば、膜を形成した場合、面状不良が生じにくい近赤外線吸収性組成物を提供することが可能となった。
本発明における近赤外線吸収物質の一例を示すイメージ図である。 本発明の近赤外線カットフィルタの製造工程の一例を示す概略図である。 固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。 固体撮像素子の概略断面図である。 カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。 カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。 カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。 本発明の近赤外線カットフィルタの製造工程の一例を示す概略図であり、(A)は親水性領域および疎水性領域が形成された基材の平面図であり、(B)は上記基材の正面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。
重量平均分子量は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。重量平均分子量(Mw)は、例えば、HLC−8120(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSK gel Multipore HXL−M(東ソー(株)製、7.8mmID×30.0cmを、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いることによって求めることができる。
本明細書中において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基をいう。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。
本発明における近赤外線とは、極大吸収波長(λmax)領域が700〜1000nmであるものをいう。
本発明における沸点とは、25℃、1気圧における沸点をいう。また、本発明における液体は、25℃、1気圧における状態をいう。
<近赤外線吸収性組成物>
本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収物質、水および沸点が100℃より高い極性液体を含む。このような構成とすることにより、得られる膜の面状不良を抑制できる。
このメカニズムは推定であるが、本発明の組成物を基材上に層状に適用して加熱する場合、沸点が100℃より高い極性液体は水よりも乾燥しにくいため、組成物層の表面付近での液体成分の急激な乾燥を抑制できる。そのため、膜の表面付近と膜内部の乾燥や硬化の進行の度合いを均一に近づけることができ、得られる膜の面状不良を抑制できると推定される。従って、膜の表面付近と膜内部で、乾燥や硬化の進行度合いに違いが生じやすい厚い膜(例えば、50〜300μmの膜)を形成する場合に、特に効果的に面状不良を抑制できると考えられる。
<<近赤外線吸収物質>>
本発明に用いられる近赤外線吸収物質は、好ましくは、極大吸収波長領域が700〜1000nmであり、より好ましくは800〜900nmの物質である。近赤外線吸収性物質は、1種類のみを含んでいても良いし、2種類以上を含んでいても良い。
近赤外線吸収物質のモル吸光係数εは、好ましくは50,000〜500,000であり、より好ましくは100,000〜300,000である。
近赤外線吸収物質としては、例えば、銅化合物、ピロロピロール系色素化合物、シアニン系色素化合物、フタロシアニン系化合物、イモニウム系化合物、チオール錯体系化合物、遷移金属酸化物系化合物、スクアリリウム系色素化合物、ナフタロシアニン系色素化合物、クオタリレン系色素化合物、ジチオール金属錯体系色素化合物、クロコニウム化合物等が挙げられ、銅化合物が好ましく、銅錯体がより好ましい。銅錯体は、低分子であってもよいが、ポリマータイプの銅錯体がより好ましい。
銅化合物が銅錯体である場合、銅に配位する配位子Lとしては、例えば、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、置換ホスフィン酸、カルボニル(エステル、ケトン)、アミン、アミド、スルホンアミド、ウレタン、ウレア、アルコール、チオールなどを有する化合物が挙げられる。これらの中でも、カルボン酸及びスルホン酸が好ましく、スルホン酸がより好ましい。
リン含有銅化合物(好ましくはリン酸銅錯体)として具体的には、例えば、WO2005/030898号公報の第5頁第27行目〜第7頁第20行目に記載された化合物を参酌することができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<<<低分子銅化合物>>>
銅化合物としては、例えば、下記式で表される銅錯体が挙げられる。
Cu(L)n1・(X)n2
上記式中、Lは、銅に配位する配位子を表し、Xは、存在しないか、ハロゲン原子、H2O、NO3、ClO4、SO4、CN、SCN、BF4、PF6、BPh4(Phはフェニル基を表す)又はアルコールを表す。n1、n2は、各々独立に1〜4の整数を表す。
配位子Lは、銅に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅に対し非共有電子対で配位する配位部位から選ばれる1種以上を有する基である。例えば、銅に配位可能な原子としてC、N、O、Sを含む置換基を有するものであり、さらに好ましくはNやO、Sなどの孤立電子対を持つ基を有するものである。配位可能な基は分子内に1種類に限定されず、2種以上を含んでも良く、解離しても非解離でも良い。好ましい配位子Lとしては、上述した配位子Lと同義であり、好ましい範囲も同義である。非解離の場合、Xは存在しない。
銅錯体は、例えば銅成分に対して、配位子となる化合物またはその塩を混合・反応等させることによって得られる。
銅成分は、銅または銅を含む化合物(銅化合物)を用いることができ、2価の銅を含む化合物が好ましい。銅化合物は、銅錯体を含むものが好ましい。銅の含有量を増やすことで、近赤外線遮蔽性が向上することから、近赤外線吸収性組成物の全固形分に対して、銅を元素基準で10質量%以上が好ましく、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。上限は特にないが、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。銅成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
銅成分としては、例えば、酸化銅や銅塩を用いることができる。銅塩は、例えば、カルボン酸銅(例えば、酢酸銅、エチルアセト酢酸銅、ギ酸銅、安息香酸銅、ステアリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅など)、スルホン酸銅(例えば、メタンスルホン酸銅など)、リン酸銅、リン酸エステル銅、ホスホン酸銅、ホスホン酸エステル銅、ホスフィン酸銅、アミド銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、メチド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、硫酸銅、硝酸銅、過塩素酸銅、塩化銅、臭化銅、(メタ)アクリル酸銅、塩素酸銅、が好ましく、カルボン酸銅、スルホン酸銅、スルホンアミド銅、イミド銅、アシルスルホンイミド銅、ビススルホンイミド銅、アルコキシ銅、フェノキシ銅、水酸化銅、炭酸銅、塩化銅、硫酸銅がより好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅、フェノキシ銅、塩化銅が更に好ましく、カルボン酸銅、アシルスルホンイミド銅が特に好ましい。
配位子となる化合物またはその塩としては、特に限定されないが、下記一般式(i)で表される化合物が好ましい。
100−(X100n3 ・・・(i)
一般式(i)中、X100は配位部位を表し、n3は1〜6の整数を表し、R100は単結合またはn価の基を表す。
一般式(i)中、X100は、アニオンで配位する配位部位(例えば酸基またはその塩)および非共有電子対で配位する配位部位から選ばれる1種以上であることが好ましく、アニオンで配位する配位部位を1種以上含むことが好ましい。
上記アニオンは、銅成分中の銅原子に配位可能なアニオンを含むものであればよく、例えば、酸素アニオン、窒素アニオンまたは硫黄アニオンを含むことが好ましい。
アニオンで配位する配位部位は、例えば、下記群(AN)から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
群(AN)
Figure 0006180379
群(AN)中、Xは、NまたはCRを表し、Rは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
Rが表すアルキル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよいが、直鎖状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。アルキル基の例としては、メチル基が挙げられる。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、カルボン酸基、ヘテロ環基が挙げられる。置換基としてのヘテロ環基は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましく、1または2が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、窒素原子が好ましい。アルキル基が置換基を有している場合、さらに置換基を有していてもよい。
Rが表すアルキニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
Rが表すアリール基は、単環であっても多環であってもよいが単環が好ましい。アリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましく、6がさらに好ましい。
Rが表すヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は6〜18が好ましく、6〜12がより好ましい。
アニオンで配位する配位部位の例として、モノアニオン性配位部位も挙げられる。モノアニオン性配位部位は、1つの負電荷を有する官能基を介して銅原子と配位する部位を表す。例えば、酸解離定数(pKa)が12以下の酸基が挙げられる。具体的には、リン原子を含有する酸基(リン酸ジエステル基、ホスホン酸モノエステル基、ホスフィン酸基等)、スルホン酸基、カルボン酸基、イミド酸基等が挙げられ、スルホン酸基、カルボン酸基が好ましく、カルボン酸基がより好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を含むことが好ましく、酸素原子、窒素原子または硫黄原子を含むことがより好ましく、窒素原子を含むことがさらに好ましい。また、非共有電子対で配位する配位原子が窒素原子であり、かかる窒素原子に隣接する原子が炭素原子である態様が好ましく、かかる炭素原子が置換基を有することも好ましい。このような構成とすることにより、銅錯体の構造がより歪みやすくなるため、色価をより向上させることができる。置換基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、カルボン酸基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、ハロゲン原子が好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子は、環に含まれていてもよいし、以下の群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造に含まれていてもよい。
群(UE)
Figure 0006180379
群(UE)中、R1は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R2は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アミノ基またはアシル基を表す。
1が表すアルキル基は、群(AN)中のRで説明したアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
1が表すアルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
1が表すアルキニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
1が表すヘテロアリール基は、群(AN)中のRで説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すアルキル基は、群(UE)中のR1で説明したアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すアルケニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
2が表すアルキニル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜6がより好ましい。
2が表すアリール基は、群(UE)中のR1で説明したアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すヘテロアリール基は、群(UE)中のR1で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すアルコキシ基の炭素数は、1〜12が好ましい。
2が表すアリールオキシ基の炭素数は、6〜18が好ましい。
2が表すヘテロアリールオキシ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールオキシ基を構成するヘテロアリール基は、群(UE)中のR1で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すアルキルチオ基の炭素数は、1〜12が好ましい。
2が表すアリールチオ基の炭素数は、6〜18が好ましい。
2が表すヘテロアリールチオ基は、単環であっても多環であってもよい。ヘテロアリールチオ基を構成するヘテロアリール基は、R1で説明したヘテロアリール基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
2が表すアシル基の炭素数は、2〜12が好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子が環に含まれる場合、配位原子を含む環は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。配位原子を含む環は、5〜12員環が好ましく、5〜7員環がより好ましく、5員環または6員環がさらに好ましい。
非共有電子対で配位する配位原子を含む環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ハロゲン原子、ケイ素原子、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアシル基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、カルボン酸基等が挙げられる。上記置換基は、さらに置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、非共有電子対で配位する配位原子を含む環からなる基、上述した群(UE)から選択される少なくとも1種の部分構造を含む基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアシル基、ヒドロキシ基などが挙げられる。
一般式(i)中、n3は1〜6の整数を表し、1〜3の整数が好ましく、2または3がより好ましい。
一般式(i)中、R100は単結合またはn価の基を表す。n価の基としては、n価の有機基、または、n価の有機基と、−O−、−SO−、−SO2−、−NRN1−、−CO−、−CS−との組み合わせからなる基が好ましい。n価の有機基は、炭化水素基、オキシアルキレン基、ヘテロ環基等が挙げられる。また、n価の基は、以下の群(AN−1)から選択される少なくとも1種を含む基、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、以下の群(UE−1)から選択される少なくとも1種を含む基であってもよい。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基が好ましい。炭化水素基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)、重合性基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基など)、スルホン酸基、カルボン酸基、リン原子を含有する酸基、カルボン酸エステル基(例えば−CO2CH3)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えばメトキシ基)、アミノ基、カルバモイル基、カルバモイルオキシ基、ハロゲン化アルキル基(例えばフルオロアルキル基、クロロアルキル基)、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。炭化水素基が置換基を有する場合、さらに置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基、上記重合性基、ハロゲン原子等が挙げられる。
上記炭化水素基が1価の場合、アルキル基、アルケニル基またはアリール基が好ましく、アリール基がより好ましい。炭化水素基が2価の場合、アルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基が好ましく、アリーレン基がより好ましい。炭化水素基が3価以上の場合には、上記1価の炭化水素基または2価の炭化水素基に対応するものが好ましい。
アルキル基及びアルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。分岐状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、3〜20が好ましく、3〜12がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。環状のアルキル基及びアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基及びアルキレン基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
アルケニル基及びアルケニレン基の炭素数は、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。
アリール基及びアリーレン基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
ヘテロ環基は、脂環基の中にヘテロ原子があるもの、または、芳香族ヘテロ環基が挙げられる。ヘテロ環基としては、5員環または6員環が好ましい。また、ヘテロ環基は、単環または縮合環であり、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。ヘテロ環基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、上述した炭化水素基が有していてもよい置換基と同義である。
−NRN1−において、RN1は、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。RN1におけるアルキル基としては、鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。直鎖状または分岐状のアルキル基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基の炭素数は、3〜20が好ましく、4〜14がより好ましい。
N1におけるアリール基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましい。具体的には、フェニル基、ナフチル基などが例示される。RN1におけるアラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、無置換の炭素数7〜15のアラルキル基がより好ましい。
群(UE−1)
Figure 0006180379
群(UE−1)中のR1は、群(UE)中のR1と同義である。
群(AN−1)
Figure 0006180379
群(AN−1)中のXは、NまたはCRを表し、Rは、上述した群(AN)中のCRで説明したRと同義である。
配位子となる化合物の具体的な形態としては、少なくとも2箇所の配位部位を有する化合物が好ましい。具体的には、アニオンで配位する配位部位を1つ以上と非共有電子対で配位する配位原子を1つ以上とを含む化合物(以下、化合物(A1)ともいう)、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有する化合物(以下、化合物(A2)ともいう)、アニオンで配位する配位部位を2つ含む化合物(以下、化合物(A3)ともいう)等が挙げられる。これらの化合物は、それぞれ独立に、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、配位子となる化合物として、アニオンで配位する配位部位を1つ有する化合物を用いることもできる。
<<<<化合物(A1)>>>>
化合物(A1)は、1分子内中のアニオンで配位する配位部位と非共有電子対で配位する配位原子の合計が2つ以上であればよく、3つであってもよいし、4つであってもよい。
化合物(A1)としては、例えば、下記式(i−1)で表される化合物が好ましい。
11−L11−Y11 ・・・(i−1)
11は、上述した群(AN)で表される配位部位を表す。
11は、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、群(UE)で表される部分構造を表す。
11は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−SO−、−SO2−、−O−、または、これらの組み合わせからなる基が好ましい。
化合物(A1)のより詳細な例として、下記一般式(i−2)〜(i−9)で表される化合物も挙げられる。
12−L12−Y12−L13−X13 (i−2)
13−L14−Y14−L15−X14 (i−3)
15−L16−X15−L17−X16 (i−4)
16−L18−X17−L19−Y17 (i−5)
18−L20−Y18−L21−Y19−L22−X19 (i−6)
20−L23−Y20−L24−Y21−L25−Y22 (i−7)
23−L26−X21−L27−X22−L28−Y24 (i−8)
25−L29−X23−L30−Y26−L31−Y27 (i−9)
一般式(i−2)〜(i−9)中、X12〜X14、X16、X18〜X20はそれぞれ独立して、上述した群(AN)で表される配位部位を表す。また、X15、X17、X21〜X23はそれぞれ独立して、上述した群(AN−1)で表される配位部位を表す。
一般式(i−2)〜(i−9)中、L12〜L31はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基は、一般式(i−1)中のL1が2価の連結基を表す場合と同義である。
化合物(A1)としては、式(i−10)または式(i−11)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006180379
式(i−10)中、X2は、アニオンで配位する配位部位を含む基を表す。Y2は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。A1およびA5は、それぞれ独立して炭素原子、窒素原子またはリン原子を表す。A2〜A4は、それぞれ独立して炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。R1は、置換基を表す。RX2は、置換基を表す。n2は0〜3の整数を表す。
式(i−10)中、X2は、上記アニオンで配位する配位部位を含む基のみからなっていてもよいし、上記アニオンで配位する配位部位を含む基が置換基を有していてもよい。アニオンで配位する配位部位を含む基が有していてもよい置換基は、ハロゲン原子、カルボン酸基、ヘテロ環基が挙げられる。置換基としてのヘテロ環基は、単環であっても多環であってもよく、また、芳香族であっても非芳香族であってもよい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子の数は1〜3が好ましい。ヘテロ環を構成するヘテロ原子は、窒素原子が好ましい。
式(i−10)中、Y2は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましく、酸素原子または窒素原子がより好ましく、窒素原子がさらに好ましい。
式(i−10)中、A1およびA5は、炭素原子が好ましい。
式(i−10)中、A2およびA3は、炭素原子を表すことが好ましい。A4は、炭素原子または窒素原子を表すことが好ましい。
式(i−10)中、R1は、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環が有していてもよい置換基と同義である。
式(i−10)中、RX2は、上述した非共有電子対で配位する配位原子を含む環が有していてもよい置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(i−10)中、n2は0〜3の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
式(i−10)で表される化合物は、Y2を含むヘテロ環が、単環構造であってもよいし、多環構造であってもよい。Y2を含むヘテロ環が単環構造である場合の具体例としては、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピラン環等が挙げられる。Y2を含むヘテロ環が多環構造である場合の具体例としては、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、アクリジン環等が挙げられる。
式(i−11)中、X3は、上記アニオンで配位する配位部位を含む基を表す。Y3は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。A6およびA9は、それぞれ独立して炭素原子、窒素原子またはリン原子を表す。A7およびA8は、それぞれ独立して炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはリン原子を表す。R2は、置換基を表す。RX3は、置換基を表す。n3は0〜2の整数を表す。
式(i−11)中、X3は、式(i−10)中のX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(i−11)中、Y3は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましく、酸素原子または窒素原子がより好ましい。
式(i−11)中、A6は、炭素原子または窒素原子が好ましい。A9は、炭素原子が好ましい。
式(i−11)中、A7は、炭素原子が好ましい。A8は、炭素原子、窒素原子または硫黄原子が好ましい。
式(i−11)中、R2は、疎水的な置換基が好ましく、炭素数1〜30の炭化水素基がより好ましく、炭素数3〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基がさらに好ましく、炭素数3〜15のアルキル基が特に好ましい。
式(i−11)中、RX3は、式(i−10)中のRX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(i−11)中、n3は、0または1が好ましく、0がより好ましい。
式(i−11)で表される化合物は、Y3を含むヘテロ環が、単環構造であってもよいし、多環構造であってもよい。Y3を含むヘテロ環が単環構造である場合の具体例としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環等が挙げられる。Y3を含むヘテロ環が多環構造である場合の具体例としては、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環等が挙げられる。
特に、式(i−11)で表される化合物は、ピラゾール環を含む化合物であってピラゾール環の5位に2級または3級のアルキル基を有することが好ましい。本願明細書において、式(i−11)で表される化合物が、ピラゾール環を含む化合物である場合のピラゾール環の5位とは、上記(i−11)中のY3およびA6が窒素原子を表し、A7〜A9が炭素原子を表す場合のR2の置換位置をいう。ピラゾール環の5位における2級または3級のアルキル基の炭素数は、3〜15が好ましく、3〜12がより好ましい。
化合物(A1)の分子量は、1000以下が好ましく、750以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。また、化合物(A1)の分子量は、50以上が好ましく、80以上がより好ましい。
化合物(A1)の具体例としては、以下が挙げられる。
Figure 0006180379
<<<<化合物(A1)の塩>>>>
化合物(A1)の塩、すなわち、アニオンで配位する配位部位の塩を含む化合物としては、例えば金属塩が好ましい。金属塩を構成する金属原子は、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子が好ましい。アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
<<<<化合物(A2)>>>>
化合物(A2)は、1分子内に、非共有電子対で配位する配位原子を2つ以上有していればよく、3つ以上有していてもよく、2〜4つ有していることが好ましい。
化合物(A2)は、例えば、下記一般式(ii−1)で表される化合物が好ましい。
40−L40−Y41 ・・・(ii−1)
一般式(ii−1)中、Y40およびY41はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、群(UE)で表される部分構造を表す。
一般式(ii−1)中、L40は、単結合または2価の連結基を表す。L40が2価の連結基を表す場合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−SO−、−O−、−SO2−または、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数1〜3のアルキレン基、フェニレン基または−SO2−が好ましい。
化合物(A2)のより詳細な例として、下記一般式(ii−2)または(ii−3)で表される化合物も挙げられる。
42−L41−Y43−L42−Y44 (ii−2)
45−L43−Y46−L44−Y47−L45−Y48 (ii−3)
一般式(ii−2)および(ii−3)中、Y42、Y44、Y45およびY48はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、群(UE)で表される部分構造を表す。
また、Y43、Y46、Y47はそれぞれ独立して、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE−1)で表される部分構造である。
一般式(ii−2)および(ii−3)中、L41〜L45はそれぞれ独立して単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基は、一般式(ii−1)中のL40が2価の連結基を表す場合と同義であり、好ましい範囲も同様である。
化合物(A2)の分子量は、1000以下が好ましく、750以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。また、化合物(A2)の分子量は、50以上が好ましく、80以上がより好ましい。
化合物(A2)の具体例としては、以下が挙げられる。
Figure 0006180379
<<<<化合物(A3)>>>>
化合物(A3)は、アニオンで配位する配位部位を2つ有する。アニオンで配位する配位部位は、上述したアニオンで配位する配位部位と同義である。
化合物(A3)としては、下記一般式(iii−1)で表される化合物が好ましい。
50−L50−X51 (iii−1)
一般式(iii−1)中、X50およびX51は、それぞれ独立に、アニオンで配位する配位部位を表し、上述したアニオンで配位する配位部位と同義であり、モノアニオン性配位部位が好ましい。
一般式(iii−1)中、L50は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜10のアルケニレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、ヘテロ環基、−O−、−S−、−NRN1−、−CO−、−CS−、−SO2−、または、これらの組み合わせからなる基が好ましい。RN1は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基が好ましい。
化合物(A3)は、スルホン酸基およびカルボン酸基から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、スルホン酸基およびカルボン酸基を含むことが更に好ましい。スルホン酸基およびカルボン酸基から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を用いることにより、色価をより向上させることができる。
化合物(A3)の分子量は、1000以下が好ましく、750以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。また、化合物(A3)の分子量は、50以上が好ましく、80以上がより好ましい。
<<<<アニオンで配位する配位部位を1つ有する化合物>>>>
配位子となる化合物としては、アニオンで配位する配位部位を1つ有する化合物を用いることもできる。
例えば、有機酸化合物(例えば、スルホン酸基を有する化合物(スルホン酸化合物)、カルボン酸基を有する化合物(カルボン酸化合物))またはその塩なども挙げられる。
スルホン酸化合物は、下記式(A4)で表される化合物が好ましい。
式(A4)
Figure 0006180379
(式(A4)中、R7は1価の有機基を表す。)
1価の有機基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、直鎖状、分岐状または環状のアルケニル基、および、アリール基、ならびに、これらと、2価の連結基の組み合わせからなる基が好ましい。2価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−OCO−、−SO2−、−NR−(Rは水素原子あるいはアルキル基)など)が例示される。また、1価の有機基は置換基を有していてもよい。
直鎖状または分岐状のアルキル基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜8がさらに好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基としては、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、炭素数4〜10のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数6〜10のシクロアルキル基がさらに好ましい。アルケニル基は直鎖のアルケニル基が好ましい。アルケニル基の炭素数としては、2〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。アリール基の炭素数としては、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
2価の連結基であるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基としては、前述のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基から水素原子を1個除いて誘導される2価の連結基が挙げられる。
1価の有機基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、重合性基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基など)、ハロゲン原子、カルボン酸基、カルボン酸エステル基(例えば、−CO2CH3など)水酸基、アミド基、ハロゲン化アルキル基(例えば、フルオロアルキル基、クロロアルキル基)などが例示される。
式(A4)で表されるスルホン酸化合物あるいはその塩の分子量は、80以上が好ましく、上限は750以下が好ましく、600以下がより好ましく、450以下がさらに好ましい。また、分子量は、80〜750が好ましく、80〜600がより好ましく、80〜450がさらに好ましい。
スルホン酸化合物は、市販のスルホン酸を用いることもできるし、公知の方法を参照して、合成することもできる。スルホン酸化合物の塩としては、例えば金属塩が挙げられる。金属塩を構成する金属原子は、アルカリ金属原子またはアルカリ土類金属原子が好ましい。具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
本発明では、カルボン酸を配位子とする銅化合物を用いてもよい。配位子となるカルボン酸としては、下記式(A5)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006180379
(式(A5)中、R1は1価の有機基を表す。)
式(A5)中、R1は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、例えば、上述した式(A4)中の1価の有機基と同義であり、好ましい範囲も同義である。
化合物(A3)、式(A4)で表される化合物および式(A5)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
<<<ポリマータイプの銅化合物>>>
銅化合物としては、配位部位を含む重合体(以下、重合体(A0)ともいう)と銅成分との反応で得られるポリマータイプの銅化合物を用いることもできる。ポリマータイプの銅化合物は、配位部位が、銅成分の銅と配位することにより、ポリマータイプの銅化合物の構造が歪んで、可視光領域の高い透過性が得られ、近赤外線の吸光能力が向上し、更には、色価も向上すると考えられる。また、ポリマータイプの銅化合物は、銅を起点として、ポリマーの側鎖間に架橋構造が形成されるので、耐熱性に優れた膜が得られる。ポリマータイプの銅化合物としては、主鎖に炭素−炭素結合を有する重合体の銅錯体、主鎖に炭素−炭素結合を有する重合体の銅錯体であって、フッ素原子を含む銅錯体、主鎖に芳香族炭化水素基及び/又は芳香族ヘテロ環基を有する重合体(以下、芳香族基含有重合体という。)の銅錯体等が挙げられる。
銅成分としては、上述したものが挙げられる。銅成分中の銅含有量は、好ましくは2〜40質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。銅成分は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
銅成分の具体例としては、上述した低分子銅化合物で用いられる銅成分と同義であり、水酸化銅、酢酸銅、塩化銅、ギ酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、硝酸銅、硫酸銅、炭酸銅、塩素酸銅、(メタ)アクリル酸銅、過塩素酸銅が例示され、水酸化銅、酢酸銅、塩化銅、硫酸銅、安息香酸銅、(メタ)アクリル酸銅が好ましく、水酸化銅、酢酸銅および硫酸銅が特に好ましい。
銅成分の量は、重合体の配位部位(好ましくは酸基またはその塩)1当量に対して、0.05〜1当量が好ましく、0.1〜0.8当量がより好ましく、0.2〜0.5当量がさらに好ましい。銅成分の量をこのような範囲とすることにより、より高い近赤外線遮蔽性を有する硬化膜が得られる傾向にある。
配位部位としては、銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子などが挙げられる。
銅成分に対しアニオンで配位する配位部位は、上述したアニオンで配位する配位部位と同義であり、酸基またはその塩が例示される。酸基は、銅成分と配位結合するものが好ましい。具体的には、酸解離定数(pKa)が12以下の酸基が挙げられ、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、イミド酸基、メチド酸基等が好ましい。酸基は、カルボン酸基またはスルホン酸基が好ましく、スルホン酸基がより好ましい。酸基は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。酸基の塩としては、ナトリウム塩等の金属塩(特にアルカリ金属塩)、テトラブチルアンモニウム塩等挙げられる。
銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子は、上述した非共有電子対で配位する配位原子と同義であり、好ましい範囲も同様である。配位部位の具体例としては、上述した配位子となる化合物で説明したものが挙げられる。
配位部位の具体例としては、上述した低分子タイプの銅化合物で説明したものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。
ポリマータイプの銅化合物は、下記式(1)で表される基を側鎖に含むことが好ましい。
*−L1−Y1 ・・・(1)
一般式(1)において、Lは単結合または連結基を表し、Y1は、銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表し、*は、ポリマーの主鎖との連結手を表す。
一般式(1)において、Y1は、銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表す。
一般式(1)において、L1が連結基を表す場合、2価の連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、ヘテロアリーレン基、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NX−(Xは水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキレン基や、アリーレン基が挙げられる。炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
直鎖状のアルキレン基の炭素数としては、1〜30が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。また、分岐状のアルキレン基の炭素数としては、3〜30が好ましく、3〜15がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
アリーレン基の炭素数としては、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がさらに好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
ヘテロアリーレン基としては、5員環または6員環が好ましい。また、ヘテロアリーレン基は、単環でも縮合環であってもよく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。
1が3価以上の連結基を表す場合は、上述した2価の連結基の例として挙げた基のうち、1個以上の水素原子を取り除いた基が挙げられる。
<<<<非共有電子対で配位する配位原子を有する基>>>>
上記一般式(1)において、Y1が、非共有電子対で配位する配位原子を有する基を表す場合、Y1としては、例えば下記式(1a1)または(1a2)で表される基が挙げられる。
*−L11−(Y11p ・・・(1a1)
*−L11−(Y11a−L12−Y11p ・・・(1a2)
「*」は式(1)のL1との連結手を表す。
11は、単結合または(p+1)価の連結基を表す。L11が2価の連結基を表す場合、炭素数1〜12のアルキレン基、炭素数6〜12のアリーレン基、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−O−、−NR10−(R10は水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、または、これらの組み合わせからなる基が好ましい。
11が3価以上の連結基を表す場合は、上述した2価の連結基の例として挙げた基のうち、1個以上の水素原子を取り除いた基が挙げられる。
12は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、L11で説明した2価の連結基が好ましく挙げられる。L12は、単結合、アルキレン基、または、−NH−と−CO−との組み合わせからなる基がより好ましい。
11は、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE)で表される部分構造を表す。pが2以上の整数を表す場合、複数のY11は同一であってもよく、異なっていてもよい。
11aは、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE−1)から選択される少なくとも1種を表す。pが2以上の整数を表す場合、複数のY11aは同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(1a1)および(1a2)において、pは、1以上の整数を表し、2以上が好ましい。上限は、例えば、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。
<<<<非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基>>>>
上記一般式(1)において、Y1が、非共有電子対で配位する配位原子を1個以上とアニオンで配位する配位部位を1個以上有する基を表す場合、Y1としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
*−L21−(Y21a−L23−Y22q ・・・(1b1)
*−L21−(Y22a−L23−Y21q ・・・(1b2)
*−L22−(Y21q(Y22r ・・・(1b3)
*−L22−(Y21a−L23−Y22q(Y21r ・・・(1b4)
*−L22−(Y22a−L23−Y21q(Y21r ・・・(1b5)
*−L22−(Y21a−L23−Y22q(Y22r ・・・(1b6)
*−L22−(Y22a−L23−Y21q(Y22r ・・・(1b7)
「*」は式(1)のL1との連結手を表す。
21は、単結合または(q+1)価の連結基を表す。L21は、式(1a1)のL11と同義であり、好ましい範囲も同様である。
22は、単結合または(q+r+1)価の連結基を表す。L22は、式(1a1)のL11と同義であり、好ましい範囲も同様である。
23は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、式(1a1)のL11で説明した2価の連結基が好ましく挙げられる。L23は、単結合、アルキレン基、または、−NH−と−CO−との組み合わせからなる基がより好ましい。
21は、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE)で表される部分構造を表す。q、rが、2以上の整数を表す場合、複数のY21は同一であってもよく、異なっていてもよい。
21aは、非共有電子対で配位する配位原子を含む環、または、上述した群(UE−1)から選択される少なくとも1種を表す。q、rが、2以上の整数を表す場合、複数のY21aは同一であってもよく、異なっていてもよい。
22は、上述した群(AN)で表される部分構造を表す。q、rが、2以上の整数を表す場合、複数のY22は同一であってもよく、異なっていてもよい。
22aは、上述した群(AN−1)から選択される少なくとも1種を表す。
qは、1以上の整数を表し、1〜5が好ましく、1〜3が特に好ましい。
rは、1以上の整数を表し、1〜5が好ましく、1〜3が特に好ましい。
q+rは、2以上を表し、2〜5が好ましく、2〜3が特に好ましい。
<<<<アニオンで配位する配位部位を有する基>>>>
上記一般式(1)において、Y1が、アニオンで配位する配位部位を有する基を表す場合、Y1としては、例えば下記式(1c1)または(1c2)で表される基が挙げられる。
*−L31−(Y31p ・・・(1c1)
*−L31−(Y31a−L32−Y31p ・・・(1c2)
「*」は式(1)のL1との連結手を表す。
31は、単結合または(p+1)価の連結基を表す。L31は、式(1a1)のL11と同義であり、好ましい範囲も同様である。
32は、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基としては、式(1a2)のL12と同義であり、好ましい範囲も同様である。
31は、上述したアニオンで配位する配位部位を表す。pが2以上の整数を表す場合、複数のY31は同一であってもよく、異なっていてもよい。
31aは、上述した群(AN−1)から選択される少なくとも1種を表す。pが2以上の整数を表す場合、複数のY31aは同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(1c1)および(1c2)において、pは、1以上の整数を表し、2以上が好ましい。上限は、例えば、5以下が好ましく、3以下がより好ましい。
銅化合物は、酸基またはその塩を含む重合体(以下、重合体(A1)ともいう)と銅成分との反応で得られるポリマータイプの銅化合物が好ましい。この銅化合物は、重合体が有する酸基イオン部位を配位子とするポリマータイプの銅錯体であることが好ましい。ポリマータイプの銅錯体は、通常、重合体の側鎖に酸基イオン部位を有し、酸基イオン部位が銅に結合(例えば、配位結合)し、銅を起点として、側鎖間に架橋構造を形成している。図1は、ポリマータイプの銅錯体の一例を示すイメージ図であって、2は銅イオンを、3は重合体の主鎖を、4は重合体の側鎖を、5は酸基またはその塩に由来する酸基イオン部位をそれぞれ示している。図1では、酸基イオン部5が銅に結合(例えば、配位結合)し、銅を起点として、重合体の側鎖4間に架橋構造を形成している。このような構成とすることにより、加熱しても、銅錯体の構造が壊れにくく、耐熱性に優れた硬化膜が得られると推定される。また、重合体が有する酸基イオン部位と、銅成分に由来する銅とを結合させることができるので、銅の含有量をより多くすることができ、結果として、近赤外線遮蔽性がより向上する傾向にあると推定される。また、加熱しても銅が抜け落ちにくいという利点もある。尚、酸基またはその塩は、重合体(A1)の主鎖および側鎖の少なくとも一方に含まれていればよく、少なくとも側鎖に含まれていることが好ましい。
本発明で用いられる重合体(A0)の第1の実施の形態は、主鎖が炭素−炭素結合を有する重合体であり、下記式(A6)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 0006180379
(式(A6)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、L1は単結合または2価の連結基を表し、X1は銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表す。)
上記式(A6)中、R1は水素原子であることが好ましい。
上記式(A6)中、L1は、上述した式(1)のL1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記式(A6)中、X1は、上述した式(1)のY1と同義であり、酸基またはその塩が好ましい。
重合体(A0)の第1の実施の形態の具体例としては、下記化合物および下記化合物の塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
重合体(A0)の第2の実施の形態は、下記式(A7−1)、(A7−2)及び(A7−3)のうち少なくともいずれかで表される構成単位を含む。
Figure 0006180379
(式(A7−1)中、R1は脂肪族炭化水素基を表し、Y1は単結合又は2価の連結基を表し、X1は銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表し、R1及びY1の少なくとも1つがフッ素原子で置換されている。
式(A7−2)中、R2は脂肪族炭化水素基を表し、R3は炭化水素基を表し、Y2は単結合又は2価の連結基を表し、R2、R3及びY2の少なくとも1つがフッ素原子で置換されている。
式(A7−3)中、Ar1は芳香族炭化水素基及び/又は芳香族ヘテロ環基を表し、R4は有機基を表し、Y3は単結合又は2価の連結基を表し、X2は銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表し、Ar1、R4及びY3の少なくとも1つがフッ素原子で置換されている。)
式(A7−1)および式(A7−2)中、R1およびR2がそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基を表し、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられる。直鎖状のアルキル基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。分岐状のアルキル基の炭素数としては、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基の炭素数としては、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
1およびR2が置換基を有している場合、例えば、重合性基(好ましくは、炭素−炭素二重結合を含む重合性基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基、カルボン酸エステル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エーテル基、スルホニル基、スルフィド基、アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボン酸基、アラルキル基、−Si−(ORN223などが例示され、フッ素原子が特に好ましい。(RN22はアルキル基を表し、炭素数1〜3が好ましい。)
式(A7−1)〜式(A7−3)中、Y1〜Y3がそれぞれ独立して2価の連結基を表す場合、2価の連結基は、上述した式(A6)中の2価の連結基と同義である。
炭化水素基としては、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基や、アリーレン基が挙げられる。直鎖状のアルキレン基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。分岐状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。
アリーレン基およびヘテロアリーレン基としては、上述した式(A6)中の2価の連結基がアリーレン基である場合と同義であり、好ましい範囲も同義である。
本発明では、特に、Y1が2価の連結基を表す場合、−COO−、−CO−、−O−、−NX−(Xは水素原子又はアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、炭化水素基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキレン基又はアリーレン基)、又は、これらの組み合わせからなる基であることが好ましい。
式(A7−1)および式(A7−3)中、X1およびX2はそれぞれ独立して銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表し、上述した銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基と同義であり、酸基またはその塩が好ましい。
また、式(A7−1)中、R1及びY1の少なくとも1つがフッ素原子で置換されており、R1及びY1のうち、少なくともY1がフッ素原子で置換されていることが好ましい。ここで、例えば、R1がフッ素原子で置換されているとは、R1を構成する水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されていることをいう。R1及びY1は、少なくとも一方がパーフルオロ基であることが好ましい。
式(A7−2)中、R3は炭化水素基を表し、上記式(A7−1)中のR1で説明したアルキル基や、アリール基が挙げられる。アルキル基は、上記式(A7−1)中のR1で説明したアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同様である。アリール基の炭素数は、6〜18が好ましく、6〜14がより好ましく、6〜10がより好ましい。R3が置換基を有している場合、フッ素原子が好ましい。
式(A7−2)中、R2、R3及びY2の少なくとも1つがフッ素原子を有し、R2、R3及びY2の少なくとも1つがパーフルオロ基であることが好ましい。
式(A7−3)中、Ar1は芳香族炭化水素基を表すことが好ましい。芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基又はビフェニル基がより好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、例えば、炭素数2〜30の芳香族ヘテロ環基を用いることができる。
式(A7−3)中、R4は有機基を表し、炭素数1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のシクロアルキレン基、−O−、−SO2−、−CO−、−NRN−(RNは水素原子又はアルキル基)、及びこれらの組み合わせが例示される。R4がアルキレン基の場合、炭素数1のアルキル基が好ましく、−C(R4A)(R4B)−で表される基がより好ましい。R4A及びR4Bはそれぞれ独立してフッ素原子、又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)を表し、アルキル基はフッ素原子で置換されてもよい。R4が−C(R4A)(R4B)−を含む場合、R4AとR4Bが互いに結合して環を形成してもよい。
4がシクロアルキレン基の場、炭素数4のシクロアルキレン基が好ましく、中でもパーフルオロシクロブチレン基が好ましい。
4の好ましい例としては、−C(R4A)(R4B)−、−O−、−CO−、−SO2−が挙げられる。
式(A7−3)中、Ar1、R4及びY3の少なくとも1つがフッ素原子を有し、Ar1、R4及びY3の少なくとも1つがパーフルオロ基であることが好ましい。
また、式(A7−3)で表される構成単位は、構成単位中にAr1及びR4をそれぞれ1つ以上有していればよく、2以上有していてもよい。
重合体の重量平均分子量は、2000以上が好ましく、2000〜200万がより好ましく、5000〜400,000がさらに好ましい。
重合体(A0)の第2の実施の形態の具体例としては、下記化合物及び下記化合物の塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、その他、ナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーを用いることもできる。
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
重合体(A0)の第3の実施の形態は、芳香族基含有重合体の銅錯体である。
芳香族炭化水素基としては、アリール基が好ましい。アリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜12がさらに好ましい。芳香族炭化水素基は単環又は多環であってもよいが、単環が好ましい。具体的には、アリール基は、フェニル基、ナフチル基又はビフェニル基が好ましい。
芳香族ヘテロ環基としては、炭素数2〜30の芳香族ヘテロ環基が好ましい。芳香族ヘテロ環基は、5員環又は6員環の、単環又は縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2〜8の縮合環がより好ましい。ヘテロ環に含まれるヘテロ原子としては、窒素、酸素、硫黄原子が好ましく、窒素または酸素がより好ましい。
芳香族炭化水素基及び/又は芳香族ヘテロ環基が置換基を有していている場合、置換基としては、例えば、アルキル基、重合性基(好ましくは、炭素−炭素二重結合を含む重合性基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボン酸エステル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、エーテル基、スルホニル基、スルフィド基、アミド基、アシル基、ヒドロキシ基、カルボン酸基、アラルキル基などが例示され(以下、これらの置換基を置換基Tを呼ぶ)、アルキル基(特に炭素数1〜3のアルキル基)が好ましい。
特に、芳香族基含有重合体は、ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエーテルケトン系重合体、ポリフェニレンエーテル系重合体、ポリイミド系重合体、ポリベンズイミダゾール系重合体、ポリフェニレン系重合体、フェノール樹脂系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリアミド系重合体及びポリエステル系重合体から選択される少なくとも1種の重合体であることが好ましい。以下に各重合体の例を示す。
ポリエーテルスルホン系重合体:(−O−Ph−SO2−Ph−)で表される主鎖構造(Phはフェニレン基を示す、以下同じ)を有する重合体
ポリスルホン系重合体:(−O−Ph−Ph−O−Ph−SO2−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエーテルケトン系重合体:(−O−Ph−O−Ph−C(=O)−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリフェニレンエーテル系重合体:(−Ph−O−、−Ph−S−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリフェニレン系重合体:(−Ph−)で表される主鎖構造を有する重合体
フェノール樹脂系重合体:(−Ph(OH)−CH2−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリカーボネート系重合体:(−Ph−O−C(=O)−O−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリアミド系重合体としては、例えば、(−Ph−C(=O)−NH−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエステル系重合体としては、例えば、(−Ph−C(=O)O−)で表される主鎖構造を有する重合体
ポリエーテルスルホン系重合体、ポリスルホン系重合体及びポリエーテルケトン系重合体としては、例えば、特開2006−310068号公報の段落0022及び特開2008−27890号公報の段落0028に記載の主鎖構造を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
ポリイミド系重合体としては、特開2002−367627号公報の段落0047〜0058の記載及び特開2004−35891号公報の0018〜0019に記載の主鎖構造を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
芳香族基含有重合体の好ましい一例は、下記式(A8)で表される構成単位を含むことが好ましい。
Figure 0006180379
(式(A8)中、Ar1は芳香族炭化水素基及び/又は芳香族ヘテロ環基を表し、Y1は単結合又は2価の連結基を表し、X1は銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基を表す。)
式(A8)中、Ar1が芳香族炭化水素基を表す場合、上述した芳香族炭化水素基と同義であり、好ましい範囲も同様である。Ar1が芳香族ヘテロ環基を表す場合、上述した芳香族ヘテロ環基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Ar1は、上記式(A8)中の−Y1−X1の他に置換基を有していてもよい。Ar1が置換基を有する場合、置換基としては上述した置換基Tと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(A8)中、Y1は、単結合であることが好ましい。Y1が2価の連結基を表す場合、2価の連結基としては、例えば、炭化水素基、芳香族ヘテロ環基、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−SO2−、−NX−(Xは水素原子又はアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、−C(RY1)(RY2)−、又は、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。ここで、RY1及びRY2は、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。
炭化水素基としては、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基や、アリーレン基が挙げられる。直鎖状のアルキレン基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。分岐状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキレン基の炭素数としては、3〜20が好ましく、4〜10がより好ましく、6〜10がさらに好ましい。これら直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基は、アルキレン基中の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。
アリーレン基は、上述した式(A7−1)〜式(A7−3)中の2価の連結基がアリーレン基である場合と同義である。
芳香族ヘテロ環基としては、5員環または6員環が好ましい。また、芳香族ヘテロ環基は、単環でも縮合環であってもよく、単環または縮合数が2〜8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2〜4の縮合環がより好ましい。
式(A8)中、X1で表される銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基としては、上述した銅成分に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅成分に対し非共有電子対で配位する配位原子から選ばれる1種以上を有する基と同義であり、酸基またはその塩が好ましい。
重合体(A0)の第3の実施の形態の具体例としては、下記化合物及び下記酸基の塩の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
Figure 0006180379
ピロロピロール色素としては、例えば特開2011−68731号公報の段落0024〜0052(対応する米国特許出願公開第2011/0070407号明細書の[0043]〜[0074])を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン化合物、インモニウム系化合物、シアニン系色素、スクアリウム系色素及びクロコニウム化合物は、特開2010−111750号公報の段落0010〜0081に開示の化合物を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。シアニン系色素は、例えば、「機能性色素、大河原信/松岡賢/北尾悌次郎/平嶋恒亮・著、講談社サイエンティフィック」を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
また、本発明では、近赤外線吸収物質として、特開平07−164729号公報の段落0004〜0016に開示の化合物や、特開2002−146254号公報の段落0027〜0062に開示の化合物、特開2011−164583号公報の段落0034〜0067に開示のCuおよび/またはPを含む酸化物の結晶子からなり数平均凝集粒子径が5〜200nmである近赤外線吸収粒子を使用してもよく、この内容は本明細書に組み込まれる。
その他、本発明では、「イーエクスカラーIR−10」、「イーエクスカラーIR−12」、「イーエクスカラーIR−14」、「イーエクスカラーHA−1」、「イーエクスカラーHA−14」(いずれも商品名、日本触媒社製)、「SIR−128」、「SIR−130」、「SIR−132」、「SIR−152」、「SIR−159」、「SIR−162」(いずれも商品名、三井化学社製)、「Kayasorb IRG−022」、「Kayasorb IRG−023」、「KayasorbIRG−040」(いずれも商品名、日本化薬社製)、「CIR−1081」(商品名、日本カーリット社製)、「NIR−IM1」、「NIR−AM1」(いずれも商品名、ナガセケムテックス社製)、セシウム酸化タングステン化合物(住友金属鉱山社製のYMF−02A、YMF−01A−2、YMF−10A−1)、「Lumogen IR765」、「Lumogen IR788」(BASF社製)、「ARS670T」、「IRA800」、「IRA850」、「IRA868」(Exciton社製)等を用いることができる。
近赤外線吸収物質として上記ポリマータイプの銅錯体(例えば、重量平均分子量が2000以上のもの)を用いる場合、本発明の組成物中における近赤外線吸収物質の含有量は、組成物中の全固形分の30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。特に、30〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましい。
また、近赤外線吸収物質として上記ポリマータイプの銅錯体以外のもの(例えば、重量平均分子量が2000未満のもの)を用いる場合、本発明の組成物中における近赤外線吸収物質の含有量は、組成物中の全固形分の0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。特に、0.01〜50質量%とすることが好ましく、0.1〜30質量%とすることがより好ましい。
<<水>>
本発明の組成物は、水を含む。本発明の組成物中の水の含有量は、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましい。特に、1〜90質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。
<<沸点が100℃より高い極性液体>>
本発明で用いられる沸点が100℃より高い極性液体は、沸点が100℃より高いものであれば特に限定されるものではない。上記極性液体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
極性液体の沸点の上限は、特に限定されないが、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。
極性液体と水との沸点の差は、10℃以上が好ましく20℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましく、50℃以上がさらに好ましい。沸点の差がこのような範囲を満たすことにより、本発明の組成物を基材上に層状に適用して加熱しても、層の表面付近の液体が急激に乾燥してしまうのを抑制でき、膜の表面付近と膜内部の液体成分の乾燥をより均一にすることができる。極性液体を配合しない場合、層状に適用した組成物層の表面付近に薄い皮膜が形成される。この薄い皮膜が組成物層内部の水の蒸発の妨げ、クラックを引き起こし、加熱によって組成物層の内部で気泡が発生し、膜故障の原因となる。組成物中に極性液体を配合することにより、これらの問題点を抑制できると推定される。
極性液体は、親水性の官能基を有することが好ましく、例えば、アミノ基、スルホニル基、エーテル基、エポキシ基、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボン酸基、シアノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有することが好ましく、アミノ基、スルホニル基、エーテル基、エポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基を有することがより好ましい。
本発明では、極性液体として、非プロトン性の極性液体および/または重合性基を有する極性液体から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。このような極性液体を用いることにより、得られる硬化膜の透明性をより向上させることができる。この理由は、例えば、近赤外線吸収性物質として銅化合物を用いる場合、銅の還元を効果的に抑制し、透明性をより向上させることができるためと推定される。
本発明は、非プロトン性の極性液体および重合性基を有する極性液体以外の他の極性液体を用いることができる。例えば、沸点が100℃より高いアルコール系液体が挙げられる。具体的には、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ブトキシプロパノール、テトラヒドロフルフリルアルコ−ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル(2−フェノキシエタノール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブタノール、1,3ブチレングリコール、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
非プロトン性の極性液体としては、エーテル系液体、アミド系液体、ケトン系液体、アミン系液体、ニトリル系液体、窒素原子含有環化合物、スルホキシド、グライム等を用いることができる。また、非プロトン性の極性液体は、重合性基を有していてもよい。
例えば、プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、1−エトキシ−2−プロピルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル3−エトキシプロピオナート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、1,2-ビス(2-メトキシメチルエトキシ)プロパン、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、1-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]ブタン、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、トリアセチン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルアミルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、スルホラン、メチルジグライムおよびメチルトリグライムから選択される少なくとも1種であることが好ましい。
特に、ジメチルホルムアミド(153℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(202℃)、2−ピロリドン(245℃)、スルホラン(285℃)、メチルジグライム(162℃)およびメチルトリグライム(216℃)から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルジグライムおよびメチルトリグライムから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
極性液体が重合性基を有する場合、少なくとも1気圧、80〜100℃の温度範囲で液体であり、100℃より高い温度で熱重合を開始して硬化する熱重合性基を有する極性液体であることが好ましい。また、重合性基を有する極性液体は、単官能であっても多官能であってもよいが、多官能が好ましい。官能基の数は特に定めるものではないが、2〜8官能が好ましい。重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、シアネート基、イソシアネート基、オキセタン等が好ましい。
重合性基を有する沸点が100℃より高い極性液体は、重合性基を有するモノマー(重合性モノマー)または重合性基を有するオリゴマー(重合性オリゴマー)(以下、重合性モノマーと重合性オリゴマーを合わせて「重合性モノマー等」ということがある。)および重合性ポリマーのいずれであってもよい。
極性液体が重合性モノマー等である場合の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
また、上記重合性モノマー等は、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃より高い沸点を持つエチレン性不飽和基を持つものも好ましく、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレート(例えば、3〜6官能の(メタ)アクリレート)が好ましい。
その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、
特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシポリマーと(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートおよびこれらの混合物を挙げることができる。
中でも、重合性モノマー等としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては A−TMMT;新中村化学製)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D−330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D−320;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D−310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA ;日本化薬株式会社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造や、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としては アロニックスM−460;東亜合成製)が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
極性液体が重合性モノマー等である場合の別の例としては、水溶性エポキシ樹脂が挙げられる。水溶性エポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも1個の親水性部位と2個以上のエポキシ基を有するものである。特に、親水性部位として、エーテル結合、水酸基を有するものが好ましい。
水溶性エポキシ樹脂としては、例えば、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、フェノキシペンタエチレンオキシグリシジルエーテル、ラウリロキシペンタデカエチレンオキシグリシジルエーテルを好ましく挙げることができる。これらのうち、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが好ましい。
水溶性エポキシ樹脂の市販品の例としては、ナガセケムテックス社製「デナコール(登録商標)」シリーズのEX−313、EX−421、EX−614B、EX−810、EX−811、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−861、EX−911、EX−941、EX−920、EX−921、EX−931が挙げられる。
また、共栄社化学社製「エポライト」シリーズの40E、100E、200E、400E、70P、200P、400Pが挙げられる。
また、ダイセル化学社製「エポリード(登録商標)NT」シリーズの212、214等のエチレングリコールまたはポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、「エポリード(登録商標)NT」シリーズの228等のプロピレングリコールまたはポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。
本発明の組成物中の沸点が100℃より高い極性液体の含有量は、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましく、30質量%以下が特に好ましい。特に、2〜80質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
また、沸点が100℃より高い極性液体と、水との質量比は、20:80〜80:20とすることが好ましく、25:75〜50:50とすることがより好ましい。
本発明の組成物は、上記極性液体および水以外の他の液体を含んでいてもよい。他の液体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。他の液体の例としては、沸点が100℃以下の極性液体が挙げられ、具体的には、沸点が100℃以下のアルコール系液体(例えばメタノール、エタノール、プロパノール)、沸点が100℃以下のエーテル系液体(例えばジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル)等が挙げられる。
沸点が100℃より高い極性液体とともに、上記その他の液体を併用する場合、沸点が100℃より高い極性液体とその他の溶液の質量比(沸点が100℃より高い極性液体:その他の液体)は、50:50〜99:1とすることが好ましく、70:30〜90:10とすることがより好ましい。
本発明の組成物は、25℃における液体成分の99質量%以上が、水および極性液体で構成されることが好ましい。
<<その他の成分>>
本発明の組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の他の成分を含んでいてもよい。例えば、重合開始剤、バインダーポリマー、界面活性剤等を含んでもよい。
<<<重合開始剤>>>
極性液体として重合性基を有する沸点が100℃より高い極性液体を用いる場合、本発明の組成物中に重合開始剤を配合してもよい。重合開始剤は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、光、熱のいずれかあるいはその双方により重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。光で重合を開始させる場合、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、熱で重合を開始させる場合には、150〜250℃で分解する重合開始剤が好ましい。
本発明に用いうる重合開始剤としては、例えば、アシルホスフィン化合物、アセトフェノン系化合物、α−アミノケトン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物などが挙げられる。
特に、重合開始剤としては、アゾ化合物が好ましく、具体的には、水溶性アゾ化合物、油溶性アゾ化合物、高分子アゾ化合物等が挙げられる。
水溶性アゾ化合物としては、例えば、市販品であるVA−044、VA−046B、V−50、VA−057、VA−061、VA−067、VA−086等(商品名:いずれも和光純薬工業株式会社製)を用いることができる。油溶性アゾ化合物としては、例えば、市販品であるV−60、V−70、V−65、V−601、V−59、V−40、VF−096、VAm−110等(商品名:いずれも和光純薬工業株式会社製)を用いることができる。高分子アゾ化合物としては、例えば、市販品であるVPS−1001、VPE−0201等(商品名:いずれも和光純薬工業株式会社製)を用いることができる。
重合開始剤の含有量は、本発明の組成物の全固形分中に対して、0.01〜25質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましい。
<<<バインダーポリマー>>>
バインダーポリマーとしては、アルカリ可溶性樹脂を用いることができる。バインダーポリマーは、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられるが、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
上記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーに酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。 なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
アルカリ可溶性樹脂として用いられる線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、このようなポリマーとしては、特開2012−208494号公報段落0561(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0691])等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
アルカリ可溶性樹脂としては、下記一般式(ED)
Figure 0006180379
(式(ED)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜25の炭化水素基を表す。)で示される化合物(以下「エーテルダイマー」と称することもある。)を必須とする単量体成分を重合してなるポリマー(a)を、必須成分であるポリマー成分(A)として含むことも好ましい。これにより、本発明の組成物は、耐熱性とともに透明性にも極めて優れた硬化塗膜を形成しうる。上記エーテルダイマーを示す上記一般式(ED)中、R1およびR2で表される炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級または2級炭素の置換基が耐熱性の点で好ましい。
上記エーテルダイマーの具体例としては、特開2012−208494号公報段落0565(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0694])等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明では、エーテルダイマー由来の構成単位が全体の1〜50モル%であることが好ましく、1〜20モル%であることがより好ましい。
本発明では、アルカリ可溶性フェノール樹脂も好ましく用いることができる。アルカリ可溶性フェノール樹脂としては、例えば、ノボラック樹脂、またはビニル重合体等が挙げられる。
上記ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合させて得られるものが挙げられる。上記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、フェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ナフトール、又はビスフェノールA等が挙げられる。
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、またはベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記フェノール類およびアルデヒド類は、単独若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記ノボラック樹脂の具体例としては、例えば、メタクレゾール、パラクレゾールまたはこれらの混合物とホルマリンとの縮合生成物が挙げられる。
上記ノボラック樹脂は分別等の手段を用いて分子量分布を調節してもよい。又、ビスフェノールCやビスフェノールA等のフェノール系水酸基を有する低分子量成分を上記ノボラック樹脂に混合してもよい。
アルカリ可溶性樹脂としては、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては好ましくは30mgKOH/g〜200mgKOH/g、より好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜120mgKOH/gであることが最も好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましく、7,000〜20,000が最も好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂としては、特開2012−208494号公報段落0558〜0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0685]〜[0700])以降の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明では、近赤外線吸収物質として、上述したポリマータイプの銅化合物以外の銅化合物(例えば分子量1000以下のスルホン酸銅化合物)を用いる場合、バインダーポリマーとして、水溶性バインダーを用いることが好ましい。水溶性バインダーは、1種類のみでも、2種類以上でもよい。
水溶性バインダーとしては、アクリルアミドと、上述した水溶性エポキシ樹脂との共重合体を用いることが好ましく、特に、N,N−ジメチルアクリルアミドと4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルの共重合体であることが好ましい。
アクリルアミドの具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド等が挙げられる。また、これらに対応するメタクリルアミドも同様に使用できる。
ジメチルアクリルアミド/4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルの比率は、10/90〜90/10であることが好ましく、30/70〜70/30であることがより好ましい。上記共重合体の重量平均分子量は、10,000〜50,000であることが好ましく、20,000〜30,000であることがより好ましい。
バインダーポリマーの含有量は、本発明の組成物の全固形分中に対して、80質量%以下とすることができ、50質量%以下とすることもでき、30質量%以下とすることもできる。
<<<界面活性剤>>>
本発明の組成物は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
特に、本発明の組成物は、フッ素系界面活性剤、およびシリコーン系界面活性剤の少なくともいずれかを含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤の少なくともいずれかを含有する組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、例えば、3〜40質量%とすることができる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F479、同F482、同F554、同F780、同R08(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同S−141、同S−145、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、エフトップEF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、ジェムコ(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フルオロ脂肪族基を有する重合体を用いることができる。フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有し、このフルオロ脂肪族基が、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)、またはオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)によって製造されたフルオロ脂肪族化合物から得られたフッ素系界面活性剤が例示される。
ここで、「テロメリゼーション法」とは、低分子量の物質を重合させて分子内に1〜2個の活性基を有する化合物の合成方法を意味する。また、「オリゴメゼーション法」とは、単量体または単量体類の混合物をオリゴマーに転化する方法を意味する。
本発明におけるフルオロ脂肪族基としては、例えば、−CF3基、−C25基、−C37基、−C49基、−C511基、−C613基、−C715基、−C817基、C919基、C1021基が挙げられ、相溶性・塗布性の点から、−C25基、−C37基、−C49基、−C511基、−C613基、−C715基、−C817基を用いることができる。
本発明におけるフルオロ脂肪族化合物は、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することが出来る。
本発明におけるフルオロ脂肪族基を有する重合体としては、本発明におけるフルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレートおよび/または(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体を用いることができる。共重合体は、不規則に分布しているものでも、ブロック共重合していてもよい。また、上記ポリ(オキシアルキレン)基としては、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基、ポリ(オキシブチレン)基などが挙げられ、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)基やポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)基など同じ鎖長内に異なる鎖長のアルキレンを有するようなユニットでもよい。さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(またはメタクリレート)との共重合体は2元共重合体ばかりでなく、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマーや、異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(またはメタクリレート)などを同時に共重合した3元系以上の共重合体でもよい。
本発明におけるフルオロ脂肪族基を有する重合体を含む市販の界面活性剤としては、例えば、特開2012−208494号公報段落0552(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0678])等に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、メガファックF−781、(大日本インキ化学工業(株)製)、C613基を有するアクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(またはメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート(またはメタクリレート)との共重合体、C817基を有するアクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシエチレン))アクリレート(またはメタクリレート)と(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート(またはメタクリレート)との共重合体、などを使用することができる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0553(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0679])等に記載のノニオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、特開2012−208494号公報段落0554(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0680])に記載のカチオン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、特開2012−208494号公報段落0556(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の[0682])等に記載のシリコーン系界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。また、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンSF8410」、「同SF8427」、「同SH8400」、「ST80PA」、「ST83PA」、「ST86PA」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−400」、「TSF−401」、「TSF−410」、「TSF−4446」信越シリコーン株式会社製「KP321」、「KP323」、「KP324」、「KP340」等も例示される。
界面活性剤の添加量は、本発明の組成物の全固形分に対して、0.0001〜2質量%とすることができ、0.005〜1.0質量%とすることもできる。
その他、併用可能な成分としては、例えば、分散剤、増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤およびその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]以降)の記載、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104および段落番号0107〜0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収性組成物中の固形分濃度は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、固形分濃度は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
<近赤外線カットフィルタの製造方法>
本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法は、上述した本発明の近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する工程と、基材上に適用した近赤外線吸収性組成物を乾燥する工程を有することが好ましい。
本発明の近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する方法としては、浸漬、塗布や印刷が挙げられる。具体的には、ドロップキャスト、ディップコート、スリットコート、スクリーン印刷、スプレーコートおよびスピンコートから選択されることが好ましい。
基材は、特に限定されず、例えば、ガラスなどからなる透明基板(ガラス基板やプラスチック基板)が挙げられる。また、固体撮像素子用途に用いる場合、基材は、固体撮像素子、固体撮像素子の受光側に設けられた別の基板または平坦化層等の層であってもよい。
基材上に適用する近赤外線吸収性組成物の量は、特に限定されないが、近赤外線吸収性組成物を乾燥した後の膜厚が50〜300μmとなる量が好ましい。
基材上に適用した近赤外線吸収性組成物を乾燥する工程において、乾燥方法としては、特に限定されないが、基材上に適用した近赤外線吸収性組成物を連続的に加熱する方法や、100℃以下の温度および100℃を超える温度の少なくとも2段階の温度で加熱する方法が好ましい。
基材上に適用した近赤外線吸収性組成物を連続的に加熱する場合、100℃以下の温度から連続的に昇温することが好ましい。連続的とは、本発明の組成物を一定の時間、昇温させ続けることをいう。
加熱開始時の加熱温度は、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。加熱終了時は、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、140℃以下がさらに好ましい。加熱する時間は、20〜200分が好ましく、30〜100分がより好ましく、40〜80分がさらに好ましい。加熱は、1〜20℃/分で昇温することが好ましい。
100℃以下および100℃を超える温度の少なくとも2段階で加熱する場合、100℃以下(好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは85℃以下)および100℃を超える温度(好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上)のそれぞれで、少なくとも1段階ずつ加熱すればよく、100℃以下および100℃を超える温度のそれぞれで、2段階以上加熱することが好ましい。100℃以下の温度で2段階加熱する場合、その温度差は、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。温度差の上限としては、例えば、40℃以下とすることができる。100℃を超える温度で2段階以上で加熱する場合、それぞれの温度差は、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。温度差の上限としては、例えば、40℃以下とすることができる。本発明の加熱条件の一実施形態として、50〜70℃の範囲で加熱し、次いで、70〜90℃の範囲で加熱し、次いで、90〜110℃の範囲で加熱し、次いで、110〜130℃の範囲で加熱し、次いで、130〜150℃の範囲で加熱することが挙げられる。
それぞれの温度で加熱する時間は、それぞれ、1〜40分が好ましく、5〜30分がより好ましく、5〜15分がさらに好ましい。
加熱装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
また、本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法は、本発明の近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する工程の前に、基材上に親水性領域および/または疎水性領域を形成する工程を有することが好ましい。そして、親水性領域の表面に、および/または、疎水性領域で囲まれた領域内に、近赤外線吸収物質を含む近赤外線吸収性組成物を適用することが好ましい。
基材上に親水性領域を形成することにより、基材表面の濡れ性を制御することができ、親水性領域の表面に近赤外線吸収性組成物を適用すると、組成物が均一に広がり、均一な膜を製造することができる。また、基材上に疎水性領域を形成し、疎水性領域で囲まれた領域内に近赤外線吸収性組成物を適用し、適用量を調整することにより、基材上に形成される膜の厚さを制御することができる。結果として、親水性領域の表面に、および/または、疎水性領域で囲まれた領域内に、近赤外線吸収性組成物を適用することにより、基材上に均一な膜を形成することができると考えられる。
本発明の近赤外線カットフィルタの製造工程の一例について、図2を参照しながら説明する。
まず、(A)に示すように、基材6の表面に親水性領域を形成し、さらに、親水性領域を囲むように疎水性領域7を形成する。次いで、(B)に示すように、疎水性領域7で囲まれた親水性領域7Aの表面に、近赤外線吸収性組成物8をドロップキャストする。これにより、(C)に示すように、親水性領域7Aの表面に均一な膜(近赤外線吸収性組成物8を用いた近赤外線カットフィルタ)を形成することができる。
親水性領域は、通常、近赤外線吸収性組成物が基材の表面に広がりやすくするために設ける。従って、親水性領域は、基材上を親水化処理して形成することが好ましい。親水化処理の方法としては、例えば、基材の表面を湿式洗浄する方法、基材の表面を光洗浄する方法、基材の表面に親水性化合物を塗布する方法、基材の表面に親水性化合物を塗布し、酸素プラズマアッシング処理を行う方法、またはこれらを組み合わせた方法が挙げられる。
疎水性領域は、基材上の一定の範囲、通常は、基材表面または基材上に設けられた親水性領域の表面の一定の範囲を囲むように形成することが好ましい。このように基材上の一定の範囲を疎水性領域で囲むことによって、近赤外線吸収性組成物が適用される範囲を制御することができ、結果として、近赤外線カットフィルタの厚さを制御することができる。
疎水性領域を形成する方法としては、パターニングにより形成する方法、表面が疎水性のテープを貼る方法、表面処理を行う方法等が例示される。
本発明の近赤外線カットフィルタの製造方法は、上述した工程以外の他の工程を含んでいても良い。その他の工程としては、例えば、前加熱工程(プリベーク工程)、硬化処理工程、後加熱工程(ポストベーク工程)などが挙げられる。
前加熱工程および後加熱工程における加熱温度は、通常、80℃〜200℃であり、90℃〜180℃であることが好ましい。
前加熱工程および後加熱工程における加熱時間は、通常、30秒〜400秒であり、60秒〜300秒であることが好ましい。
硬化処理工程は、形成された上記膜に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、近赤外線カットフィルタの機械的強度をより向上させることができる。硬化処理工程としては、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。ここで、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。好ましくは、KrF、g線、h線、i線が好ましい。
露光方式としては。ステッパー露光、アライナー露光、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。
露光量は5〜3000mJ/cm2が好ましく10〜2000mJ/cm2がより好ましく、100〜1000mJ/cm2が特に好ましい。
全面露光処理の方法としては、例えば、形成された上記膜の全面を露光する方法が挙げられる。硬化性組成物が重合性化合物を含む場合、全面露光により、上記組成物より形成される膜中の重合成分の硬化が促進され、上記膜の硬化が更に進行し、機械的強度、耐久性が改良される。
上記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
<近赤外線カットフィルタ>
近赤外線カットフィルタは、近赤外線吸収物質、水および沸点が100℃より高い極性液体を含む。
近赤外線カットフィルタは、水の含有量が20質量%以下であることが好ましく、0〜10質量%であることがより好ましい。
近赤外線カットフィルタは、上記極性液体の含有量が20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。また、近赤外線カットフィルタは、上記極性液体の含有量が0〜20質量%であることが好ましく、0〜10質量%であることがより好ましい。
近赤外線カットフィルタは、光透過率が以下の(1)〜(9)のうちの少なくとも1つの条件を満たすことが好ましく、以下の(1)〜(8)のすべての条件を満たすことがより好ましく、(1)〜(9)のすべての条件を満たすことがさらに好ましい。
(1)波長400nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(2)波長450nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(3)波長500nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(4)波長550nmでの光透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、92%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。
(5)波長700nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(6)波長750nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(7)波長800nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(8)波長850nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
(9)波長900nmでの光透過率は20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。
近赤外線カットフィルタは、膜厚が300μm以下であることが好ましく、250μm以下がより好ましく、200μm以下がさらに好ましい。また、膜厚が20μm以上であることが好ましく、50μm以上がより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。特に、膜厚が50〜300μmであることが好ましく、100〜250μmであることがより好ましい。
近赤外線カットフィルタは、膜厚50〜300μmのいずれかで、波長400〜575nmのいずれかの範囲での光透過率が90%以上であることが好ましく、波長400〜575nmの全ての範囲での光透過率が90%以上であることが好ましい。
また、近赤外線カットフィルタは、膜厚50〜300μmのいずれかで、波長700〜1100nmのいずれかの範囲での透過率が20%以下であり、波長700〜1100nmの全ての範囲での透過率が20%以下であることがさらに好ましい。
近赤外線カットフィルタは、ヘイズ値が7%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
近赤外線カットフィルタは、空隙率が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが特に好ましい。ここで、近赤外線カットフィルタの空隙率とは、近赤外線カットフィルタの体積に対する空隙部分の体積の割合から求めることができ、例えば、断面のSEM観察によって評価することができる。
上記近赤外線カットフィルタは、近赤外線を吸収・カットする機能を有するレンズ(デジタルカメラや携帯電話や車載カメラ等のカメラ用レンズ、f−θレンズ、ピックアップレンズ等の光学レンズ)および半導体受光素子用の光学フィルター、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用コーティング剤、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、電子機器用や写真用近赤外線フィルター、保護めがね、サングラス、熱線遮断フィルム、光学文字読み取り記録、機密文書複写防止用、電子写真感光体、レーザー溶着、などに用いられる。またCCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルターとしても有用である。
<カメラモジュール、カメラモジュールの製造方法>
また、本発明は、固体撮像素子と、近赤外線カットフィルタとを有するカメラモジュールにも関する。このカメラモジュールは、近赤外線カットフィルタが、上述した本発明の近赤外線カットフィルタである。
以下、カメラモジュールを、図3および図4を参照しながら説明するが、本発明は以下の具体例によって限定されることはない。
なお、図3および図4にわたり、共通する部分には共通する符号を付す。
また、説明に際し、「上」、「上方」および「上側」は、シリコン基板10から見て遠い側を指し、「下」、「下方」および「下側」は、はシリコン基板10に近い側を指す。
図3は、固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
図3に示すカメラモジュール200は、実装基板である回路基板70に接続部材であるハンダボール60を介して接続されている。
詳細には、カメラモジュール200は、シリコン基板の第1の主面にフォトダイオードを備えた固体撮像素子(固体撮像素子基板)100と、固体撮像素子100の第1の主面側(受光側)に設けられた平坦化層(図3には不図示)と、平坦化層の上に設けられた近赤外線カットフィルタ42と、近赤外線カットフィルタ42の上方に配置され内部空間に撮像レンズ40を有するレンズホルダー50と、固体撮像素子100およびガラス基板30の周囲を囲うように配置された遮光兼電磁シールド44と、を備えて構成されている。なお、平坦化層の上には、ガラス基板30(光透過性基板)を設けてもよい。各部材は、接着剤45により接着されている。
本発明は、固体撮像素子100と、上記固体撮像素子の受光側に配置された近赤外線カットフィルタ42とを有するカメラモジュールの製造方法であって、固体撮像素子の受光側において、上記近赤外線吸収性組成物を適用することにより近赤外線カットフィルタ42を形成する工程を有することも好ましい。本実施形態に係るカメラモジュールにおいては、例えば、平坦化層の上に、近赤外線吸収性組成物を塗布することにより膜を形成して、近赤外線カットフィルタ42を形成できる。近赤外線吸収性組成物を適用する方法は上記した通りである。
カメラモジュール200では、外部からの入射光hνが、撮像レンズ40、近赤外線カットフィルタ42、ガラス基板30、平坦化層を順次透過した後、固体撮像素子100の撮像素子部に到達するようになっている。
カメラモジュール200は、平坦化層上に直接近赤外線カットフィルタを設けているが、平坦化層を省略しマイクロレンズ上に直接近赤外線カットフィルタを設けるようにしてもよいし、ガラス基板30上に近赤外線カットフィルタを設けたり、近赤外線カットフィルタを設けたガラス基板30を貼り合せてもよい。
図4は、図3中の固体撮像素子100を拡大した断面図である。
固体撮像素子100は、例えば、基体であるシリコン基板10の第1の主面に、撮像素子部12、層間絶縁膜13、ベース層14、カラーフィルタ15、オーバーコート16、マイクロレンズ17をこの順に備えている。撮像素子部12に対応するように、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B(以下、これらをまとめて「カラーフィルタ15」ということがある)やマイクロレンズ17は、それぞれ配置されている。シリコン基板10の第1の主面と反対側の第2の主面には、遮光膜18、絶縁膜22、金属電極23、ソルダレジスト層24、内部電極26、および素子面電極27を備えている。各部材は、接着剤20により接着されている。
マイクロレンズ17上には、平坦化層46、近赤外線カットフィルタ42を備えている。平坦化層46の上に近赤外線カットフィルタ42が設けられる代わりに、マイクロレンズ17の上、ベース層14とカラーフィルタ15との間、または、カラーフィルタ15とオーバーコート16との間に、近赤外線カットフィルタが設けられる形態であってもよい。特に、マイクロレンズ17表面から2mm以内(より好ましくは1mm以内)の位置に設けられることが好ましい。この位置に設けると、近赤外線カットフィルタを形成する工程が簡略化でき、マイクロレンズへの不要な近赤外線を十分にカットすることができるので、近赤外線遮断性をより高めることができる。
固体撮像素子100については、特開2012−068418号公報段落0245(対応する米国特許出願公開第2012/068292号明細書の[0407])以降の説明を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
近赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に供することができる。半田リフロー工程によりカメラモジュールを製造することによって、半田付けを行うことが必要な電子部品実装基板等の自動実装化が可能となり、半田リフロー工程を用いない場合と比較して、生産性を格段に向上することができる。更に、自動で行うことができるため、低コスト化を図ることもできる。半田リフロー工程に供される場合、250〜270℃程度の温度にさらされることとなるため、赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に耐え得る耐熱性(以下、「耐半田リフロー性」ともいう。)を有することが好ましい。
本願明細書中で、「耐半田リフロー性を有する」とは、200℃で10分間の加熱を行う前後で赤外線カットフィルタとしての特性を保持することをいう。より好ましくは、230℃で10分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。更に好ましくは、250℃で3分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。耐半田リフロー性を有しない場合には、上記条件で保持した場合に、近赤外線カットフィルタの近赤外線吸収能が低下したり、膜としての機能が不十分となる場合がある。
また本発明は、リフロー処理する工程を含む、カメラモジュールの製造方法にも関する。近赤外線カットフィルタは、リフロー工程があっても、近赤外線吸収能が維持されるので、小型軽量・高性能化されたカメラモジュールの特性を損なうことがない。
図5〜7は、カメラモジュールにおける近赤外線カットフィルタ周辺部分の一例を示す概略断面図である。
図5に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子100と、平坦化層46と、紫外・赤外光反射膜80と、透明基材81と、近赤外線吸収層82と、反射防止層83とをこの順に有していてもよい。
紫外・赤外光反射膜80は、近赤外線カットフィルタの機能を付与または高める効果を有し、例えば、特開2013−68688号公報の段落0033〜0039を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
透明基材81は、可視領域の波長の光を透過するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0026〜0032を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
近赤外線吸収層82は、上述した本発明の近赤外線吸収性組成物を塗布して形成される層である。
反射防止層83は、近赤外線カットフィルタに入射する光の反射を防止することにより透過率を向上させ、効率よく入射光を利用する機能を有するものであり、例えば、特開2013−68688号公報の段落0040を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
図6に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子100と、近赤外線吸収層82と、反射防止層83と、平坦化層46と、反射防止層83と、透明基材81と、紫外・赤外光反射膜80とをこの順に有していてもよい。
図7に示すように、カメラモジュールは、固体撮像素子100と、近赤外線吸収層82と、紫外・赤外光反射膜80と、平坦化層46と、反射防止層83と、透明基材81と、反射防止層83とをこの順に有していてもよい。
以上、カメラモジュールの一実施形態について図3〜図7を参照して説明したが、上記一実施形態は図3〜図7の形態に限られるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
以下の例において、以下の記号はそれぞれ以下の化合物を表す。
<下記合成例で得られたスルホン酸銅錯体ポリマーX>
<<合成例>>
3つ口フラスコに水(60g)を入れ、窒素雰囲気下において57℃に昇温した。2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(100g)を水(160g)に溶解させたモノマー溶液、およびVA−046B(和光純薬工業株式会社製水溶性アゾ系重合開始剤、2,2'-Azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]disulfate dihydrate、1.164g、モノマーに対して0.5mol%)を水(80g)に溶解させた開始剤溶液を、同時に2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間攪拌した後、65℃に昇温しさらに2時間撹拌し反応を終了させることで重合体(P−1)を得た。
得られた重合体(P−1)溶液に対して、重合体(P−1)の酸基量に対して0.4当量の水酸化銅(18.83g)を加え、50℃で1時間撹拌することでスルホン酸銅錯体ポリマーXを得た。
<下記合成例で得られたスルホン酸銅錯体ポリマーY>
<<合成例>>
ポリエーテルスルホン(BASF社製、Ultrason E6020P)5.0gを硫酸46gに溶解し、窒素気流下、室温にてクロロスルホン酸16.83gを滴下した。室温にて48時間反応した後、氷水で冷却したヘキサン/酢酸エチル(1/1)混合液1L中に反応液を滴下した。上澄みを除き、得られた沈殿物をメタノールに溶解した。得られた溶液を、酢酸エチル0.5L中に滴下し、得られた沈殿物をろ過により回収した。得られた固体を減圧乾燥することで、下記重合体(A−1)を4.9g得た。中和滴定により算出した、ポリマー中のスルホン酸基含有量(meq/g)は3.0meq/gであった。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーより測定した重量平均分子量(Mw)は53,000であった。
重合体(A−1)の20質量%水溶液20gに対し、水酸化銅556mgを加え、室温で3時間撹拌し、水酸化銅を溶解させた。以上により、スルホン酸銅錯体ポリマーYの水溶液が得られた。
重合体(A−1)
Figure 0006180379
<下記合成例で得られたスルホン酸銅錯体Z>
<<合成例>>
下記表中、例えばスルホン酸A−1の(−CH3)は、下記一般式中のRを表す。
Figure 0006180379
スルホン酸(A−1)(1.239g、12.89mmol)と、スルホン酸(A−2)(1.420g、12.89mmol)を量り取り、メタノール45gを加え溶解させた。スルホン酸の総量に対して0.5当量の酢酸銅(2.341g、12.89mmol)を加え、50℃に昇温し2時間反応させた。反応終了後、エバポレータにて発生した酢酸および溶媒を留去することでスルホン酸銅錯体Z(4.62g)を得た。
NKエステルA−TMMT:水溶性アクリルモノマー(新中村化学社製)
4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル:水溶性エポキシモノマー(日本化成社製)
V−65:重合開始剤(和光純薬工業社製)
<実施例1>
<<近赤外線吸収性組成物の調製>>
スルホン酸銅錯体ポリマーX(1.00g)に、純水(2.80g)およびジメチルホルムアミド(1.20g)を加え、近赤外線吸収性組成物を得た。調製した近赤外線吸収性組成物Aは、青色の透明液であった。
また、上記スルホン酸銅錯体ポリマーXに換えて、スルホン酸銅錯体ポリマーY、スルホン酸銅錯体Zと樹脂Aの混合物(固形分重量比2:1)を用いても、同様の透明液が得られた。樹脂Aは、N,N−ジメチルアクリルアミドと4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルの共重合体である(N,N−ジメチルアクリルアミド/4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルの比率が40/60、重量平均分子量が24000)。
<<近赤外線カットフィルタの作製>>
ドロップキャスト(滴下法)により、実施例1で調製した近赤外線吸収性組成物をガラス基板上に塗布形成し、ホットプレートで60℃10分、80℃10分、100℃10分、120℃10分、140℃10分と段階的に加熱して、膜厚190μmの近赤外線カットフィルタを作製した。
<実施例2〜9および比較例1>
下記表に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜9および比較例1の近赤外線吸収性組成物を得た。実施例2〜9および比較例1の近赤外線吸収性組成物は、青色の透明液であった。また、上記スルホン酸銅錯体ポリマーXに換えて、スルホン酸銅錯体ポリマーY、スルホン酸銅錯体Zと樹脂Aの混合物(固形分重量比2:1)を用いても、同様の透明液が得られた。
また、実施例1と同様にして、実施例2〜9および比較例1の近赤外線カットフィルタを作製した。
Figure 0006180379
<評価>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタの膜面状と着色を観察したところ、実施例1〜9の近赤外線カットフィルタは膜面状が良好であった。一方、比較例1の近赤外線カットフィルタは、気泡、クラック、膜ハガレが生じており、膜面状が良好ではなかった。
実施例1〜9の近赤外線カットフィルタの耐熱性を評価するため、さらにホットプレートで160℃5分、180℃5分、段階的に加熱して、膜面状と着色の有無を観察した。その結果、実施例1〜4の近赤外線カットフィルタでは可視域の透明性が維持された。また、実施例5〜9の近赤外線カットフィルタでは若干の着色が見られた。
赤外線カットフィルタの分光透過率を分光光度計U−4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。実施例の近赤外線カットフィルタは、波長700〜1100nmのいずれかの範囲での透過率が20%以下であることがわかった。
赤外線カットフィルタのヘイズ値をヘイズメーターNDH−5000(日本電色工業社製)を用いて測定した。実施例の近赤外線カットフィルタは、ヘイズ値が5%以下であることがわかった。
<実施例10>
<<近赤外線カットフィルタの作成>>
ガラス基板(厚さ1.10mm)をアセトン、エタノールに順次浸漬して各々10分間超音波処理し、次いで、純水で5分間流水リンスした後に、窒素ブローにより乾燥し、ガラス基板6Aの表面に親水性領域9が形成された洗浄済みガラス基板6Aを作製した。洗浄済みガラス基板6A上の周囲に、疎水性領域を形成するためのカプトンテープ(登録商標)を貼り付け、図5に示すように親水性領域9を囲む疎水性領域7が形成されたガラス基板を作製した。
親水性領域9に、上記実施例1で調製した近赤外線吸収性組成物を3ml滴下したところ、上記実施例1で調製した近赤外線吸収性組成物は、親水性領域9内に濡れ広がり、疎水性領域7上には膜形成しなかった。この塗布膜付きガラス基板をホットプレートで60℃10分、80℃10分、100℃10分、120℃10分、140℃10分と段階的に加熱した。塗布膜厚を評価したところ、均一な膜が形成されていた。
<実施例20>
実施例1の近赤外線吸収性組成物において、以下に示す低分子銅錯体Aをさらに追加し、固形分基準でスルホン酸銅錯体ポリマーXと低分子銅錯体Aとの比が7:3となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例20の近赤外線吸収性組成物を得た。
(実施例21〜24)
実施例20の近赤外線吸収性組成物において、低分子銅錯体Aをそれぞれ低分子銅錯体B、C、DまたはEに変えたこと以外は、実施例20と同様にして、実施例21〜24の近赤外線吸収性組成物を得た。
<実施例25〜27>
実施例20の近赤外線吸収性組成物において、固形分基準でスルホン酸銅錯体ポリマーXと低分子銅錯体Aとの比を、それぞれ5:5、6:4、8:2と変えたこと以外は、実施例20と同様にして、実施例25〜27の近赤外線吸収性組成物を得た。
これら、スルホン酸銅錯体ポリマーXと低分子銅錯体との混合タイプでは、さらに高い近赤外線遮蔽性を達成できることを確認できた。
<低分子銅錯体>
低分子銅錯体A:下記(M−1)を配位子として有する銅錯体。合成方法は後述する。
低分子銅錯体B:下記化合物(A1−21)を配位子とする銅錯体。合成方法は後述する。
低分子銅錯体C:フタル酸モノブチル銅、東京化成工業株式会社
低分子銅錯体D:下記化合物(A2−1)を配位子とする銅錯体。合成方法は後述する。
低分子銅錯体E:下記化合物(a−0)を配位子とする銅錯体。合成方法は後述する。
Figure 0006180379
<低分子銅錯体Aの合成>
三ツ口フラスコに、窒素雰囲気下、ピラゾール−3−カルボン酸エチル4.0g、炭酸セシウム11.16g、3−ブロモペンタン5.17g、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン60mLを加え、150℃で1時間加熱した。室温に冷却後、濾過により不溶物を除去し、濾液を濃縮して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)で精製することにより、1−(3−ペンチル)ピラゾール−3−カルボン酸エチルを3.3g得た。
フラスコに上記生成物を0.87g、エタノール6mLを加え、室温で撹拌しながら水0.1g、tert−ブトキシカリウム0.46gを加えた後、70℃で30分間撹拌した。室温に冷却後、硫酸銅0.52gを水5mLに溶かした溶液を加え、室温で一時間攪拌した。析出した固体を濾別し、減圧下で乾燥することで低分子銅錯体Aを0.7g得た。
<低分子銅錯体Bの合成>
化合物A1−21(886mg、9.84mmol)をメタノール20mlに溶解した。この溶液を50℃に昇温した後、水酸化銅(449mg、4.60mmol)のメタノール溶液(160ml)を滴下し、50℃にて2時間反応させた。反応終了後、エバポレータにて発生した水および溶剤を留去することで低分子銅錯体B(1.00g)を得た。
<低分子銅錯体Dの合成>
化合物A2−1(0.2g、1.1mmol)をエタノール5mlに溶解した。この溶液を70℃に昇温した後、酢酸銅(0.2g、1.1mmol)のエタノール溶液(5ml)を滴下し、70℃にて2時間反応させた。反応終了後、エバポレータにて発生した水および溶剤を留去することで低分子銅錯体D(0.6g)を得た。
<低分子銅錯体Eの合成>
化合物a−0(スルホフタル酸)53.1質量%水溶液(13.49g、29.1mmol)をメタノール50mLに溶かし、この溶液を50℃に昇温した後、水酸化銅(2.84g,29.1mmol)を加え50℃で2時間反応させた。反応終了後、エバポレータにて溶剤及び発生した水を留去することで低分子銅錯体E(8.57g)を得た。
実施例20〜27の近赤外線吸収性組成物において、低分子銅錯体A〜Eを、等量の上記(A1−1)〜(A−10)、(A1−12)〜(A1−20)、(A1−22)〜(A1−31)、(A2−2)〜(A2−6)、(a−1)〜(a−17)のいずれかを配位子として有する銅錯体に変更した場合でも、同様の効果が得られる。
2 銅イオン、3 主鎖、4 側鎖、5 酸基イオン部位、6 基材、6A ガラス基板、7 疎水性領域、7A 疎水性領域で囲まれた領域、8 近赤外線吸収性組成物、9 親水性領域、
10 シリコン基板、12 撮像素子部、13 層間絶縁膜、14 ベース層、15 カラーフィルタ、16 オーバーコート、17 マイクロレンズ、18 遮光膜、
20 接着剤、22 絶縁膜、23 金属電極、24 ソルダレジスト層、26 内部電極、27 素子面電極、
30 ガラス基板、40 撮像レンズ、42 近赤外線カットフィルタ、44 遮光兼電磁シールド、45 接着剤、46 平坦化層、
50 レンズホルダー、60 ハンダボール、70 回路基板、80 紫外・赤外光反射膜、81 透明基材、82 近赤外線吸収層、83 反射防止層、100 固体撮像素子

Claims (10)

  1. 近赤外線吸収物質、水および沸点が100℃より高い極性液体を含む、近赤外線吸収性組成物であって、
    前記近赤外線吸収物質は、下記式(A)で表される銅錯体、および、配位部位を含む重合体と銅成分との反応で得られるポリマータイプの銅錯体から選ばれる少なくとも1種であり、
    前記沸点が100℃より高い極性液体は、非プロトン性の極性液体および(メタ)アクリロイル基を有する極性液体から選ばれる少なくとも1種であり、
    近赤外線吸収性組成物中における前記沸点が100℃より高い極性液体と、水との質量比が、25:75〜50:50であり、
    近赤外線吸収性組成物中における前記沸点が100℃より高い極性液体の含有量が2〜80質量%である、近赤外線吸収性組成物。
    Cu(L)n1・(X)n2 ・・・(式A)
    式中、Lは、銅に対しアニオンで配位する配位部位、および、銅に対し非共有電子対で配位する配位部位から選ばれる1種以上を有する基を有する配位子を表し、Xは、存在しないか、ハロゲン原子、HO、NO、ClO、SO、CN、SCN、BF、PF、BPh(Phはフェニル基を表す)又はアルコールを表し、n1およびn2は、各々独立に1〜4の整数を表す。
  2. 前記配位部位を含む重合体は、スルホン酸基またはその塩から選択される少なくとも1種を有する、請求項1に記載の近赤外線吸収性組成物。
  3. 前記近赤外線吸収物質がポリマータイプの銅錯体を含み、
    前記近赤外線吸収性組成物中の前記近赤外線吸収物質の含有量が30質量%以上である、請求項1または2に記載の近赤外線吸収性組成物。
  4. 前記沸点が100℃より高い極性液体は、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、スルホラン、メチルジグライムおよびメチルトリグライムから選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する工程、100℃以下、および、100℃を超える温度の少なくとも2段階の温度で加熱する工程を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する工程、100℃以下の温度から昇温して連続的に加熱する工程を含む、近赤外線カットフィルタの製造方法。
  7. 前記適用の方法が、ドロップキャスト、ディップコート、スリットコート、スクリーン印刷、スプレーコートおよびスピンコートから選択される、請求項5または6に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  8. 前記基材上に親水性領域および/または疎水性領域を形成した後、前記近赤外線吸収性組成物を基材上に適用する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  9. 前記基材上に親水性領域および前記親水性領域を囲む疎水性領域を形成した後、前記近赤外線吸収性組成物を親水性領域に適用する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
  10. 前記疎水性領域が、高耐熱性樹脂を含む、請求項8または9に記載の近赤外線カットフィルタの製造方法。
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