JPWO2005078035A1 - 接着剤及びそれを用いた電気資材用被覆フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
また、このような改良が実施されていた当時は、市販のポリエステル系ホットメルト樹脂として、さらに低いTgを有するものがないため、低温特性を向上させるには限界があった。しかし、要求される性能が年々高まってきており、従来の低いTgのポリエステル系ホットメルト樹脂を使用しても、安定して良好な接着特性を維持するという要求が満たされなくなってきており、接着性能が高く、安定したポリエステル系ホットメルト樹脂が求められている。
また、このような接着剤層を有する積層フィルムは、自着(ブロッキング)性が強く、巻物にした際には、剥がしずらくハンドリング特性に劣ることが多かった。このため、接着剤表面にマスキングフィルムを貼り付けるなどの工夫がされていた。
特に、上記積層フィルムを、フレキシブルフラットケーブル等の端部に使用される補強板(プロテクトテープ)に用いた場合、当該端部をコネクターに挿入する際、気温が低下する冬季などでは補強板が折れて層間剥離が発生し易く、低温での接着強度の改良が求められていた。
すなわち、本発明は、以下の接着剤及び電気資材用被覆フィルムを提供するものである。
1. 結晶性を有し、動的粘弾性測定による温度分散曲線における損失正接(tanδ)が、−40℃〜40℃において4.9×10-2以上、該損失正接(tanδ)の最大ピーク値が、−15℃〜40℃の範囲にあり、かつ融点(Tm)が95℃〜130℃であるポリエステル系ホットメルト樹脂又は該樹脂を含むホットメルト系樹脂組成物からなる接着剤。
2. ホットメルト系樹脂組成物が、ポリエステル系ホットメルト樹脂100質量部に対して、オキサゾリン系添加剤0.05〜2質量部を含有する上記1に記載の接着剤。
3. ホットメルト系樹脂組成物が、ポリエステル系ホットメルト樹脂100質量部に対して、カルボジイミド系添加剤0.05〜2質量部を含有する上記1に記載の接着剤。
4. プラスチック基材フィルムの少なくとも一方の面に、上記1〜3のいずれかに記載の接着剤を用いて接着剤層を形成してなる電気資材用被覆フィルム。
5. 接着剤層の表面粗度が、10点平均粗さ(Rz)1μm以上である上記4に記載の電気資材用被覆フィルム。
6. 接着剤層の表面粗度が、10点平均粗さ(Rz)10μm以上である上記5に記載の電気資材用被覆フィルム。
7. 電気資材の補強用に貼り合わせて使用される上記4〜6のいずれかに記載の電気資材用被覆フィルム。
8. 電気資材がフレキシブルフラットケーブルである上記7に記載の電気資材用被覆フィルム。
この場合、ブレンドする結晶性のポリエステル系ホットメルト樹脂としては非相溶性のものが好ましい。非相溶性のポリエステル系ホットメルト樹脂のブレンドの場合、例えば、結晶性でかつ−5℃〜40℃の範囲のガラス転移温度(以下、Tgと略記することがある。)を有するポリエステル系ホットメルト樹脂を主成分とし、−5℃未満の低Tgポリエステル系ホットメルト樹脂をポリマーブレンドする方法が挙げられる。この場合、ドメイン部分にはTgが−5℃〜40℃の樹脂が存在しており、低温特性を引き上げている−5℃未満の樹脂はマトリックスとして存在しているため、低温特性は維持したまま、自着性が改善されることとなる。
一方、相溶性のポリエステル系ホットメルト樹脂のブレンドの場合、二元系以上の樹脂を用いても、押出製膜時に用いられる混練機により互いのTgや融点(以下、Tmと略記することがある。)に対して相互作用を引き起こすため、Tgの上昇やTm降下などを引き起こす。このため最終的には、一元系の樹脂を使用した場合と同じような状態になり、十分な効果が得られなくなる虞れがある。
また、低Tgを持つ非結晶性樹脂を使用した場合、後述する本発明の電気資材用被覆フィルムにおいて、その接着剤層にエンボスを付与しても、時間とともにエンボス形状が崩れ、接触面積が徐々に増大して自着性が高くなり、使用時において不具合が発生することとなる。結晶性のポリエステル系ホットメルト樹脂を使用することにより、上記不具合が改善される。
また、本発明において、ポリエステル系ホットメルト樹脂は、融点(Tm)が95〜130℃の範囲にあることが必要であり、100〜120℃の範囲にあることが好ましい。ポリエステル系ホットメルト樹脂か結晶性のもので、かつTmが95℃以上であると、耐熱性が向上し、またTmが130℃以下であると、本発明の電気資材用被覆フィルムの貼り合わせ性が良好となる。ポリエステル系ホットメルト樹脂二種以上の混合物を用いる場合、混合物のTmが95〜130℃の範囲にあり、かつ本発明の効果を損なわない範囲で、Tmが95〜130℃の範囲外のポリエステル系ホットメルト樹脂をブレンドしてもよい。なお、以下の説明において、ポリエステル系ホットメルト樹脂はその二種以上をブレンドした混合物である場合も含むものとする。
本発明で用いるポリエステル系ホットメルト樹脂は、上記損失正接(tanδ)の最大ピーク値は−15℃〜40℃の範囲にあることを要し、ハンドリング性(アンチブロッキング性)の観点から、−5℃以上のものが好ましい。
オキサゾリン系添加剤又はカルボジイミド系添加剤は、押出加工時又は耐湿熱耐久試験などを行う際に、加水分解を促進する酸成分をキャッチする効果を有する。また、分解により発生したポリエステル成分の末端酸同士と反応して鎖延長をするという効果を有するため、ポリエステル系ホットメルト樹脂の分子量低下を防ぐことができる。
従って、オキサゾリン系添加剤又はカルボジイミド系添加剤、あるいはこれらを組み合わせた添加剤の添加量は、ポリエステル系ホットメルト樹脂100質量部に対して0.05〜2質量%の範囲が好ましく、加工特性を良好とする点から0.05〜0.5質量%がより好ましい。本発明に用いられるオキサゾリン系添加剤としては、例えば市販のものを用いることができ、具体的には、三國化学(株)製の商品名「1−3PBO」、(株)日本触媒製の商品名「エポクロスRPS−1005」などが挙げられる。カルボジイミド系添加剤としては、日清紡績(株)製の商品名「カルボジライト HMV08CA」、バイエル(株)製の商品名「スタバクゾール I」、「スタバクゾール P」などが挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAタイプ及びノボラックタイプのいずれも使用することができるが、相溶性、接着性の観点からビスフェノールAタイプで、軟化点が100℃前後のものが好ましい。なお、エポキシ樹脂は、金属接着には非常に効果があるので、用途に応じて微量添加すると金属に対して接着強度が向上する。ただし、必要以上に添加すると、製膜加工時にブリードしたりするので、逆に悪影響を及ぼすことがあり、注意する必要がある。
ポリオレフィン系樹脂の添加量は、ポリエステル系ホットメルト樹脂100質量部に対して、通常1〜40質量部程度、好ましくは5〜10質量部である。エポキシ樹脂の添加量は、ポリエステル系ホットメルト樹脂100質量部に対して、通常1〜10質量部程度、好ましくは2〜5質量部である。
本発明の接着剤は、適度な流動性を有することが加工性の点から好ましい。適度な流動性の指標である溶融粘度値として、測定温度160℃、剪断速度10sec-1での高架式フローテスターによる測定値が300〜5,000Pa・sの範囲であることが好ましい。接着剤の溶融粘度が300Pa・s以上であれば、加熱加圧して加工する際、基板となるプラスチックフィルムから接着剤がはみ出すこともないので、製造中にトラブルが発生する危険性がない。また、溶融粘度が5,000Pas以下であれば、流動性も十分であるので、被覆体と被覆フィルムとの間に空隙が生ずるなどの不具合が生じることもない。
本発明において、接着剤層は低温で接着性を発揮する機能を有する。Tgの低い接着剤を用いる場合には、Tg以上の温度で加工を施すことが多くなるので、電気資材用被覆フィルム使用時に、この被覆フィルムにブロッキングが発生しやすくなる。特に、主成分である結晶性のポリエステル系ホットメルト樹脂の結晶化が完了する前に被覆フィルムをロール上に巻き取った場合に、ブロッキングが生じやすい。
具体的には、接着剤層の表面粗度が、10点平均粗さ(Rz)1μm以上であることが好ましく、よりは10μm以上である。特に、被覆フィルムにこのような微小な凹凸を付け、かつ被覆フィルムの巻き上げ後に、ポリエステル系ホットメルト樹脂を結晶化させることにより、製膜速度を上げることができる。ただし、表面粗度は、フィルムの巻き上げ状態にも影響を受けやすく、巻き取りテンションが強い場合には、接着剤層の表面粗度が変化することもあるので注意を要する。
接着剤の表面に微小な凹凸を設ける方法としては、後述する被覆フィルムの製造時で、かつ樹脂温度が高い状態のときに、ロールにて被覆フィルムを巻き取る際に、両面にフロストをかけた冷却ロールにてエンボス転写を施す方法、あるいはエンボスフィルムなどを用いる方法により、接着剤層の表面にエンボスを転写することができる。
このような不具合に対しても、接着剤層の表面に微小のエンボス加工を施すことにより、ホットスタンプ式の貼り合わせ機を用いた場合でも、貼り合わせ加工特性を向上させることができる。
本発明において、プラスチック基材フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、通常12〜250μm程度とすることができる。
無溶媒コート法には、通常のコーティング方法を適用することができ、接着剤の溶融粘度や熱安定性などに応じていかなるコーティング方法を適用するか決定すればよい。例えば、押出機やニーダーなどを用いて接着剤の各成分を均一に混練し、その後いったん冷却し、これをホットメルトアプリケーター等で再加熱し、リップコーター等で均一に混練すると同時に基材上にコーティングする方法などが挙げられる。あるいは、接着剤の各成分を均一に混練してフィルム状に製膜した後、このフィルム状接着剤と基材とを貼り合わせて被覆フィルムを形成することもできる。貼り合わせは、例えば加熱圧着などの方法により行うことができる。
本発明においては、基材フィルムを延伸する前にアンカーコート用接着剤の層を積層して、基材とアンカーコート用接着剤の層を同時に延伸することによりアンカーコート層を形成することもできる。アンカーコート層の厚さは、通常0.1〜5μm程度とすることができる。
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製)を用い、温度−60℃〜200℃、走査速度10℃/分の条件で、ポリエステル系ホットメルト樹脂のガラス転移温度(Tg)及び融点(Tm)を測定した。
(2)動的粘弾性測定による温度分散曲線における損失弾性率の測定
ポリエステル系ホットメルト樹脂組成物又はホットメルト樹脂の動的粘弾性測定による温度分散曲線における損失弾性率を、動的粘弾性測定装置(アイ・ティー・エス・ジャパン(株)製)を用いて測定した。測定条件は、変形モード引張り、温度−100℃〜測定限界温度、昇温速度3℃/分とした。
(3)10点平均粗さ(Rz)の測定
3次元粗さ測定機(小坂研究所製)を用いて、接着剤層の表面粗さを測定した。
接着剤として、表1−1及び表1−2に示すポリエステル系ホットメルト樹脂を用いた。二種の樹脂をブレンドする場合、表1−1及び表1−2に示す量のポリエステル系ホットメルト樹脂を、ヘンシェルミキサーにて充分にプリブレンドして、口金から出てくる樹脂温度が180℃になるように温度設定した押出機に投入し、シート状に押し出した後キャストロールで冷却して、厚さ50μmの接着剤層用フィルムを形成した。ポリエステル系ホットメルト樹脂が一種の場合はプリブレンドせずに押出機に投入した。
ポリウレタン系アンカーコートを施した基材フィルム[100μm厚の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム]と、上記接着剤層用フィルムとを、接着剤の融点より20℃高い温度に設定されたラミネータロールを用いて貼り合わせ、接着層を有する積層フィルムを作製した。
得られた積層フィルムの接着剤層は、その表面にフロストをかけるため、加熱ラミネータ後、樹脂が固化する前に、フロストをかけた冷却ロールにて表面フロストを接着剤表面に転写させ、被覆フィルムを作製した。
得られた被覆フィルムについては、以下に示す評価を行った。その結果を表1−1及び表1−2に示す。なお、得られた接着性、ハンドリング性、耐熱性、貼り合わせ性の評価結果について更に総合判定も行い、「◎」を極めて良好である、「○」を良好である、「△」をやや良好である、「×」を実用不可能であるとした。
得られた被覆フィルム2枚を接着剤層同士が向かい合うように重ねて、一本が加熱した金属ロールであり、他の一本が加熱してないゴムロールからなる一組のロール(金属ロール/ゴムロール)の間に挟み込み、ロールニツプ圧力が98N/cm(線圧)、貼り合わせ速度が0.5m/分の条件下で貼り合わせて、評価用サンプル1を作製した。ただし、接着剤が二種のポリエステル系ホットメルト樹脂を含む場合、貼り合わせ温度は、これらの樹脂のうちの高い方のTmより20℃高い温度条件で貼り合わせた。
(2)低温接着性の評価(剥離強度の測定)
作製した評価用サンプル1を10mm幅に切断し、これについて、−20℃〜0℃までの10℃毎の各雰囲気下で引張試験機(恒温槽付き材料試験機「201X」、(株)インテスコ製)を用い、剥離速度10mm/minで180度剥離強度を測定した。測定結果について、下記に示す評価基準に基づいて評価し、記号で示した。本発明においては、測定値が500g/cm以上であれば実用上問題のないレベルである。
<評価基準>
1500g/cm以上又は凝集破壊、基材破壊 :A
1000g/cm以上、1500g/cm未満 :B
500g/cm以上、1000g/cm未満 :C
500g/cm未満 :D
作製した評価用サンプル1を60mm×90mmの大きさに切り出し、100℃のオーブン中に斜め45度の角度で立てかけて、接着剤のフロー、サンプルの反りがあるか否かを調べた。この場合、接着剤のフロー及びサンプルの反りのいずれも認められなかったときを「良好」、接着剤のフローまたはサンプルの反りのいずれか1つでも認められたときには、「不良」と評価した。
(4)ハンドリング性評価
アンチブロッキング性(耐ブロッキング性)a,bの評価を行った。得られた被覆フィルムを幅5cm、長さ20cmに切断した。切断された被覆フィルムを2枚、接着剤層面同士が向き合うように重ね合わせて、温度40℃のオーブン中に、4.9Nの荷重をかけて24時間保持した後、取り出して評価用サンプルaを作製した。また、切断された被覆フィルムの接着剤層面を未処理のPETフィルム(厚さ100μm)に重ねたものを、温度40℃のオーブン中に、4.9Nの荷重をかけて24時間保持した後、取り出して評価用サンプルbを作製した。
得られた二種類の評価用サンプルa、bについて、23℃の雰囲気下で引張試験機(恒温層付き材料試験機「201X」、(株)インテスコ製)を用い、剥離速度10mm/minで180度剥離強度を測定し、サンプルa,bのアンチブロッキング性を下記基準に基づいて評価した。測定値が300g/cm未満であれば実用上問題のないレベルである。
<評価基準>
100g/cm未満 :A
100g/cm以上、300g/cm未満 :B
300g/cm以上 :C
得られた被覆フィルムを幅30cm、長さ40cmに切断した。切断された被覆フィルムを2枚、接着剤層同士が向き合うように重ね合わせて、プレス温度120℃、圧力0.3MPaの加圧下で1分間保持した後、室温まで冷却して評価用サンプルcを作製した。また、得られた被覆フィルムを幅30cm、長さ40cmに切断したものの接着剤層を、未処理のPETフィルム(厚さ100μm)に重ね合わせて、上記と同様のプレス温度、圧力で、1分間保持した後、室温まで冷却して評価用サンプルdを作製した。
得られた2種類の評価用サンプルc、dそれぞれについて、23℃の雰囲気下で引張試験機(恒温槽付き材料試験機「201X」、(株)インテスコ製)を用い、剥離速度10mm/minで、180度剥離強度を測定し、貼り合わせ特性c,dを、下記に示す評価基準に基づいて評価した。測定値が1000g/cm以上であれば実用上問題のないレベルである
<評価基準>
1500g/cm以上又は凝集破壊、基材破壊 :A
1000g/cm以上、1500g/cm未満 :B
500g/cm以上、1000g/cm未満 :C
500g/cm未満 :D
1)バイロンGM920:ポリエステル系ホットメルト樹脂、東洋紡績(株)製、商品名
2)バイロンGA6400:ポリエステル系ホットメルト樹脂、東洋紡績(株)製、商品名
3)アロンメルトPES111:ポリエステル系ホットメルト樹脂、東亜合成(株)製、商品名
4)アロンメルトPES120H:ポリエステル系ホットメルト樹脂、東亜合成(株)製、商品名
5)アロンメルトPES126E:ポリエステル系ホットメルト樹脂、東亜合成(株)製、商品名
6)ケミットR248:ポリエステル系ホットメルト樹脂、東レ(株)製、商品名
実施例1に使用した接着剤成分に、表2−1及び表2−2に示す種類と量の添加剤を添加し、ヘンシェルミキサーにて充分にプリブレンドして、口金から出てくる樹脂温度が表2に示す温度になるように温度設定した押出機に投入し、シート状に押し出した後キャストロールで冷却して、厚さ50μmの接着剤層用フィルムを形成した。
ポリウレタン系アンカーコートを施した基材(100μm厚の二軸延伸PETフィルム)と形成された接着剤層用フィルムとを、接着剤の融点より20℃高い温度に設定されたラミネータロールを用いて貼り合わせて、接着剤層を有する積層フィルムを作製した。
積層化されたフィルムの接着剤面は、表面にフロストをかけるため、加熱ラミネータ後、樹脂が固化する前に、フロストのかけた冷却ロールにて表面フロストを接着剤表面に転写させ、被覆フィルムを作製した。
なお、比較のために、添加剤を添加しないものについても同様の操作を行い、被覆フィルムを作製した。得られた被覆フィルムについて、下記の評価を行った。その結果を表2−1及び表2−2に示す。
作製した評価用サンプル1を10mm幅に切断し、80℃×85%RHの高温高湿下の高温高湿槽に入れ、169時間経過後の剥離評価を行った。
<評価基準>
剥離強度が初期に対し80%以上維持 :A
剥離強度が初期に対し60%以上維持 :B
剥離強度が初期に対し40%以下維持 :C
(2)押出安定性の評価
押出時間8時間後の接着剤シートを10m2 (1m×10m)採取し、50μm以上の架橋ゲルについて、下記評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>
架橋ゲルなし :A
架橋ゲルが1個/1000m2 以上10個/1000m2 未満 :B
架橋ゲルが10個/1000m2 以上 :C
1)カルボジライトHMV−8CA:カルボジイミド系添加剤、日清紡績(株)製、商品名
2)スタバクゾール P:カルボジイミド系添加剤、バイエル(株)製、商品名
3)エポクロスRPS−1005:オキサゾリン系添加剤、(株)日本触媒製、商品名
4)接着剤成分100質量部に対する質量部である。
実施例4に使用した接着剤成分に、表3に示す種類と量の添加剤を添加し、ヘンシェルミキサーにて充分にプリブレンドして、口金から出てくる樹脂温度が表3に示す温度になるように温度設定した押出機に投入し、シート状に押し出した後キャストロールで冷却して、厚さ50μmの接着剤層用フィルムを形成した。
ポリウレタン系アンカーコートを施した基材(100μm厚の二軸延伸PETフィルム)と形成された接着剤層用フィルムとを、接着剤の融点より20℃高い温度に設定されたラミネータロールを用いて貼り合わせて、接着剤層を有する積層フィルムを作製した。
積層化されたフィルムの接着剤面は、表面にフロストをかけるため、加熱ラミネータ後、樹脂が固化する前に、フロストのかけた冷却ロールにて表面フロストを接着剤表面に転写させ、被覆フィルムを作製した。
なお、比較のために、添加剤を添加しないものについても同様の操作を行い、被覆フィルムを作製した。得られた被覆フィルムについて、実施例6と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
1)カルボジライトHMV−8CA:カルボジイミド系添加剤、日清紡績(株)製、商品名
2)スタバクゾール P:カルボジイミド系添加剤、バイエル(株)製、商品名
3)接着剤成分100質量部に対する質量部である。
また、添加剤を添加しての高温押し出しや、添加剤の添加量が多い場合は、耐湿熱性自体は向上するが、急激に反応が進む、また架橋点の増加が発生し、架橋密度が上がるため、長時間の押し出しにおいてゲル物との発生により外観上の不具合が発生することが判った。
Claims (8)
- 結晶性を有し、動的粘弾性測定による温度分散曲線における損失正接(tanδ)が、−40℃〜40℃において4.9×10-2以上、該損失正接(tanδ)の最大ピーク値が、−15℃〜40℃の範囲にあり、かつ融点(Tm)が95℃〜130℃であるポリエステル系ホットメルト樹脂又は該樹脂を含むホットメルト系樹脂組成物からなる接着剤。
- ホットメルト系樹脂組成物が、ポリエステル系ホットメルト樹脂100質量部に対して、オキサゾリン系添加剤0.05〜2質量部を含有する請求項1に記載の接着剤。
- ホットメルト系樹脂組成物が、ポリエステル系ホットメルト樹脂100質量部に対して、カルボジイミド系添加剤0.05〜2質量部を含有する請求項1に記載の接着剤。
- プラスチック基材フィルムの少なくとも一方の面に、請求項1〜3のいずれかに記載の接着剤を用いて接着剤層を形成してなる電気資材用被覆フィルム。
- 接着剤層の表面粗度が、10点平均粗さ(Rz)1μm以上である請求項4に記載の電気資材用被覆フィルム。
- 接着剤層の表面粗度が、10点平均粗さ(Rz)10μm以上である請求項5に記載の電気資材用被覆フィルム。
- 電気資材の補強用に貼り合わせて使用される請求項4〜6のいずれかに記載の電気資材用被覆フィルム。
- 電気資材がフレキシブルフラットケーブルである請求項7に記載の電気資材用被覆フィルム。
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