JP4028262B2 - フラットケーブル被覆材、及びフラットケーブル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットケーブル被覆材に関し、さらに詳しくは、導体との密着性に優れ、かつ、難燃性および環境適性を具備した電気機器、電子機器、その他等に使用されるフラットケ−ブルのフラットケーブル被覆材、およびそれを用いたフラットケーブルに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、OA機器やゲーム機などの電子機器では、コンピューターと電子部品などの電気的な接続や種々の配線のためのフラットケーブルが使用されている。フラットケーブルは、該電子機器の狭い筐体内を引き回され、電子部品の移動に伴って摺動されたり、かつ、電子部品の発熱に伴う高温の環境下で使用される。このために、フラットケーブルを被覆しているフラットケーブル被覆材は、摺動に対する柔軟性、高温に対する耐熱性、および難燃性が要求される。さらに、使用後の廃棄処理において、環境破壊の元凶にもなり兼ねない。
【0003】
ポリイミドフィルムとリン変性飽和ポリエステル共重合体からなる接着層によるノンハロゲンの難燃性フラットケーブルが特開平8−60108号公報で、熱可塑性ポリエステル樹脂とリン系難燃剤を含有する粘着層によるノンハロゲンの難燃性フラットケーブルが特開平9−221642号公報および特開平9−279101号公報で、ポリエステル系樹脂とポリ燐酸系難燃剤と非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤からなるノンハロゲン系の難燃性難燃性接着剤が、特開2001−89736号公報で、知られている。
【0004】
しかしながら、いずれもフラットケーブルの基材フィルムは、ポリエステル系フィルムまたはポリイミド系フィルムを用いており、ポリエステル系フィルムは単独では難燃性が不足し、ポリイミド系フィルムでは価格が高価であるという問題がある。また、接着層(粘着層と表現している公報もある)にハロゲン系の難燃剤を用いてるフラットケーブル被覆材では、該フラットケーブル被覆材を用いたフラットケーブルが電子機器とともに使用後廃棄された後に、何らかの要因で難燃剤が環境に漏洩したり、人体に取り込まれて健康を害する恐れがあるという欠点がある。さらに、非ハロゲン系の難燃剤としてリン系、ポリ燐酸系、非ポリ燐酸系窒素含有有機物質などを用いた難燃剤では、十分な難燃性を得るには多量に含有させねばならず、多量に含有させると導体との接着力が低下するという欠点がある。
【0005】
近年、地球レベルで環境を保護するために、有害物質は使用規制される傾向にあり、フラットケーブルに使用する材料についても、有害物質の使用を極力避けるべきである。例えば、ハロゲンである臭素系難燃剤であるデカブロモジフェニルエーテル(DBDPO)は、燃焼条件によっては、ダイオキシン関連物質が生成する恐れがあり、その使用規制が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、難燃性の不足した基材フィルムを用いても、非ハロゲン系難燃剤を含有させた難燃性接着層と、該難燃性接着層上へ極めて薄い接着層を設けることで、難燃性と導体接着性とを両立させた非ハロゲンフラットケーブル被覆材、及びフラットケーブルを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わるフラットケーブル被覆材は、基材フィルムの一方の面に、少なくとも難燃性接着層、接着層を積層したフラットケーブル被覆材において、前記難燃性接着層が、ヒートシール性を有する合成樹脂成分が20〜50質量%と非ハロゲン系難燃剤成分が50〜80質量%とを含む組成物からなり、さらに、該ヒートシール性を有する合成樹脂成分が、ガラス転移温度−30℃のポリエステル樹脂とガラス転移温度5℃のポリエステル樹脂とガラス転移温度80℃のポリエステル樹脂とを質量比24:5:1の比率で混合した混合ポリエステル樹脂であり、該難燃性接着層の組成物中における該非ハロゲン系難燃剤成分が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量%、水和金属化合物の含有率が25〜50質量%であり、さらにまた、前記接着層が厚さが0.3〜3μmの結晶性共重合ポリエステル系樹脂であって、そのガラス転移温度が0〜15℃で、融点が70〜130℃で、かつ、結晶化度が3〜5%であるようにしたものである。
また、請求項2の発明に係わるフラットケーブルは、複数の導体を同一平面内で配列した導体列を、フラットケーブル被覆材にて両面より被覆してなるフラットケーブルにおいて、両面のフラットケーブル被覆材が、基材フィルムの一方の面に、少なくとも難燃性接着層、接着層を積層したフラットケーブル被覆材であり、前記難燃性接着層が、ヒートシール性を有する合成樹脂成分が20〜50質量%と非ハロゲン系難燃剤成分が50〜80質量%とを含む組成物からなり、さらに、該ヒートシール性を有する合成樹脂成分が、ガラス転移温度−30℃のポリエステル樹脂とガラス転移温度5℃のポリエステル樹脂とガラス転移温度80℃のポリエステル樹脂とを質量比24:5:1の比率で混合した混合ポリエステル樹脂であり、該難燃性接着層の組成物中における該非ハロゲン系難燃剤成分が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量%、水和金属化合物の含有率が25〜50質量%であり、さらにまた、前記接着層が厚さが0.3〜3μmの結晶性共重合ポリエステル系樹脂であって、そのガラス転移温度が0〜15℃で、融点が70〜130℃で、かつ、結晶化度が3〜5%であるようにしたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施態様について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のフラットケーブル被覆材の1実施例の構成を示す模式的な断面図である。
本発明のフラットケーブル被覆材10は、基材フィルム11の一方の面に、必要に応じてプライマー層12と、難燃性接着層13と、接着層15とが、この順に順次積層されている。基材フィルム11としては、機械的強度に優れ、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、屈曲性、絶縁性等に富む、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト等のポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド系フィルム、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系フィルム、フッ素系フィルム、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルファイド、ポリアリレート、ポリエステルエーテル、全芳香族ポリアミド、ポリアラミド、ポリプロピレンフィルム、ポリカ−ボネ−トフィルムなどが適用できる。通常はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンテレフタレートが好適に使用される。
【0009】
該基材フィルムは、未延伸フィルム、または延伸フィルムが適用でき、強度を向上させる目的で延伸フィルムが好ましく、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが、特に二軸延伸フィルムが好適である。また、基材フィルムの表面は、必要に応じて、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他の前処理を施しても良い。該基材フィルムの厚さは、通常は5μm〜200μmが適用でき、10μm〜100μmが好適である。厚さが5μm未満であると機械的強度が不足し、またプライマー層12、難燃性接着層13など形成する適性が減ずる。厚さが200μm以上では可撓性が不足し摺動性が悪化するので、このような厚さにすることにより、本発明のフラットケーブル被覆材10に必要とされる強度を付与することができるとともに、該フラットケーブル被覆材10に良好な可撓性を付与することができる。
【0010】
次いで、基材フィルム11へ、必要に応じてプライマー層12を塗布する。該プライマー層12は、基材フィルム11へ難燃性接着剤13を強固に接着させて、電子機器への使用時の摺動に耐えて、層間の剥離などを抑制して、絶縁性、耐久性を向上するためのものである。プライマー層12の材料としては、例えば、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、および/またはカルボジイミド基を有する多官能化合物と、ガラス転移点が20℃〜120℃、好ましくは30℃〜100℃のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂とを含むプライマー剤が適用できる。
【0011】
また、プライマー剤としては、ポリエチレンイミン系化合物、有機チタン系化合物、イソシアネート系化合物、ウレタン系化合物、ポリブタジエン系化合物などを主成分とする所謂アンカーコート剤も適用することができる。
【0012】
上記のポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂との配合比は質量基準で、ポリエステル系樹脂/ポリウレタン系樹脂=0.7/0.3〜0.3/0.7程度が好ましく、難燃性接着層の熱による収縮を防止される。また、多官能化合物の添加量は、ポリエステル系およびポリウレタン系樹脂の反応基に対して、1〜10倍の反応基に相当する量が好ましい。これらのプライマー剤を固形分として2〜60質量%になるように、有機溶剤で希釈して使用する。
【0013】
該プライマー剤の希釈液をロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコ−ト、キスコート、ナイフコート、ダイコート、コンマコート、フローコート、スプレーコートなどの方法で塗布し乾燥して、溶剤を除去してプライマー層12を形成させる。要すれば、温度30℃〜70℃でエージングする。プライマー層12の厚さは、通常は0.05μm〜10μm程度、好ましくは0.1μm〜5μm程度である。
【0014】
上記のガラス転移点が20℃〜120℃、好ましくは30℃〜100℃のポリエステル系樹脂としては、例えば、テレフタル酸などの芳香族飽和ジカルボン酸の一種または複数と、飽和2価アルコールの一種または複数との、縮重合で生成する熱可塑性のポリエステル系樹脂が適用できる。また、ポリウレタン系樹脂としては、例えば、多官能イソシアネートと、ヒドロキシル基含有化合物との、反応で生成するポリウレタン系樹脂が適用できる。
【0015】
多官能化合物としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、および/またはカルボジイミド基を有する多官能化合物で、例えば、2、4−トリレンジイソシアネート、2、6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート等の多官能イソシアネート、これらのイソシアナートのポリオール変性物、カルボジイミド変性物、これらのイソシアネートをアルコール、フェノール、ラクタム、アミン等でマスクしたブロック型イソシアネートなどが適用できる。
【0016】
次いで、プライマー層12面へ、難燃性接着層13と接着層15をこの順に設ける。難燃性接着層13は、柔軟性に富み、導体とのヒ−トシ−ル性を有しているが、さらに、難燃性接着層13面へ接着層15を設けて、導体との接着性がより強固とする。難燃性接着層13だけでも、導体との接着性はあるが、難燃性を高めるために難燃剤の含有量を増加すると、導体との接着性が悪くなる。しかしながら、本発明のように、難燃性接着層13と接着層15の2層とすることで、それぞれの層が相乗して、2つの機能を高いレベルで両立できる。加熱ロールまたは加熱板などによる加熱加圧により軟化又は溶融し、まず、接着層15が金属などの導体と接触し強固に接着する、かつ、相互にも強固に熱融着(接着)する。また、導体もその中に空隙を発生させずに埋め込まれる。即ち、難燃性と、導体との接着性を両立させることができる。難燃性接着層13と接着層15は、被覆材の状態では2層を形成しているが、加熱加圧してフラットケーブルとなった状態では、相互にある程度の混合しると思われる。
【0017】
該難燃性接着層13は、ヒートシール性を有する合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が50〜80質量%とを含む組成物からなり、さらに、該難燃剤成分が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量%、水和金属化合物の含有率が28〜50質量%とする。合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が50〜80質量%とを含む組成物からなる。難燃性の性能からは、難燃剤成分が多いほど良いが、難燃剤が多いと合成樹脂成分が少なくなって、難燃性接着層を形成加工する際に成膜することができず、また、必要な接着性能が得られない。難燃性があり、加工性の良い組成としては、合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が50〜80質量%が好適である。
【0018】
難燃性接着層13を構成する材料としては、例えば、アイオノマ−樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂などが適用できる。
【0019】
難燃性接着層13の樹脂としては、導体とのヒートシ−ル性、および難燃剤の混入のし易さから、ポリエステル系樹脂を好適に使用することができる。該ポリエステル系樹脂は、飽和共重合ポリエステル樹脂であって、ガラス転移点が−50℃〜80℃で、かつ質量平均分子量が7000〜50000の範囲の樹脂を主成分とする樹脂組成物からなるものが好適である。また、ガラス転移点が比較的低く柔軟性に富むポリエステル系樹脂と、ガラス転移点の比較的高く耐熱性に富むポリエステル系樹脂とを、配合して使用しても良い。さらに、非晶性のポリエステル系樹脂と結晶性のポリエステル系樹脂を、適宜、配合して使用しても良い。
【0020】
難燃性接着層13へ含有させる難燃剤としては、非ハロゲン系の難燃剤が望まれている。該難燃剤としては、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量%、水和金属化合物の含有率が28〜50質量%とする。それぞれの難燃剤は、単独でも複数を混合して使用してもよい。
【0021】
硫酸アミノトリアジン化合物としては、ノンハロゲン系難燃剤であり、硫酸メラミン・硫酸アセトグアナミン・硫酸グアニルメラミン・硫酸メレム・硫酸メラムなどが適用できる。ポリエステル系樹脂への分散性、混合性、接着性等の点で、硫酸メラミン・硫酸メレム・硫酸メラムが好適である。これらのメラミン誘導体は、単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
【0022】
また、本発明では、難燃剤を組み合わせることで、より効果的な配合を見出した。該難燃剤としては、水和金属化合物、酸化金属化合物、が適用でき、単独でも、二種以上を組み合わせて使用してもよい。該難燃剤の配合量は、少ないと難燃性の向上効果が得られず、多過ぎると難燃性接着層13の形成加工性が低下する。従って、難燃性接着層13に用いられる難燃剤の種類および組合せ、およびその配合比を適正値に設定するのが、極めて重要である。
【0023】
まず、水和金属化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛などが適用できるが、難燃性に優れ、コストの点でも有利な水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好適である。該水和金属化合物は、単独でも、複数種を組み合わせも使用することもできる。酸化金属化合物としては、例えば、酸化アンチモン系化合物、スズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、酸化スズ、酸化モリブデン酸、酸化モリブデン、酸化ホウ素、二酸化珪素などが適用できる。
【0024】
本発明の非ハロゲン系難燃剤を含有する難燃性接着層13には、本発明の効果に影響のない範囲で、さらに種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属腐食防止剤、着色剤(顔料、染料)、ブロッキング防止剤、樹脂と難燃剤との間の凝集力を上昇させる各種カップリング剤、架橋剤、架橋助剤、充填剤、帯電防止剤、難燃触媒を適宜添加してもよい。上記の無機系難燃剤の粒子の大きさとしては、一次粒子として、約0.01μないし15μ位である。
【0025】
例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の体質顔料または白色顔料、その他の無機化合物の粉末、ガラスフリット、ポリオレフィン系樹脂粉末、その他等を使用することができる。なお、本発明においては、上記の体質顔料または白色顔料において、酸化チタンまたは酸化亜鉛等のものは、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム等のものと比較して、その粒子径が小さいことから、フラットケ−ブル被覆材をロ−ル状の製品形態で在庫中でのブロッキング防止剤としての機能をも奏するという利点を有している。
【0026】
次に、本発明においては、上記のような柔軟性に富み、かつ、ヒ−トシ−ル性を有する樹脂の一種ないしそれ以上を主成分とし含有し、更に、上記のような難燃剤の一種またはそれ以上を加え、更に、必要に応じて上記の樹脂に合う硬化剤を添加し、更に、必要ならば、その他の添加剤を任意に加え、例えば、トルエン、酢酸エチル、アルコ−ル類、メチルエチルケトン等の溶剤、希釈剤等にて十分に混練して溶解または分散して樹脂組成物インキを製造する。
【0027】
次いで、該樹脂組成物インキを使用し、これを、例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコ−ト、キスコート、ナイフコート、ダイコート、コンマコート、フローコート、スプレーコートなどのコ−ティング方式で塗布し乾燥して、厚さ15〜150μm(乾燥時)程度の難燃剤を含有するヒ−トシ−ル性の難燃性接着層13を形成することができる。
【0028】
該難燃剤としては、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量%、水和金属化合物の含有率が28〜50質量%とする。該難燃剤成分の含有量が少ないと難燃性が不十分で、多過ぎると加工適性および接着性能がでない。該難燃剤の材質、組合わせ、および含有量については、実施例で詳細に説明する。
【0029】
難燃性接着層13面へさらに接着層15を形成する。該接着層15の樹脂としては、導体との接着性からポリエステル系共重合樹脂が適用できる。該ポリエステル系共重合樹脂には、非晶性と結晶性の樹脂とがある。導体との接着性からは、分子中に極性基が多く、ガラス転移温度が低い非晶性共重合ポリエステル系樹脂が好ましい。しかしながら、非晶性共重合ポリエステル系樹脂は樹脂自身の粘着性が高く、所謂タックがある欠点がある。このため、製造工程中の非晶性共重合ポリエステル系樹脂を塗布したフィルム状態物を巻き取ると、非晶性共重合ポリエステル系樹脂と基材フィルムが接触して、粘着して(当業者はブロッキングという)しまい、次の加工をする時に巻きほぐすことができない。
【0030】
そこで、結晶性共重合ポリエステル系樹脂を用いる。しかしながら、該結晶性共重合ポリエステル系樹脂は、難燃剤などのフィラー成分を含有させると導体接着力が著しく悪化する。そこで、フィラー成分を含有しない結晶性共重合ポリエステル系樹脂を接着層15とし、好ましくは、該結晶性共重合ポリエステル系樹脂のガラス転移温度が−5〜20℃で、融点が50〜140℃で、かつ、結晶化度が20%以下である。このようにすることで、溶剤へ溶解し容易にインキ化できる、また、ブロッキング現象を起こさず、かつ、導体接着性の良い接着層15とすることができる。該結晶性共重合ポリエステル系樹脂の流動性は、融点を超える温度で急激に良化して、導体と接触し濡れ強固に接着する。しかし、融点以下の室温では、流動性が低下しタック性も減少してブロッキングしない。融点は室温より高い50〜140℃が好適である。結晶化度が20%以上では、導体接着力が不充分である。ガラス転移温度が上記範囲を超えると導体接着力が不充分となり、また、上記範囲未満ではタックが強過ぎてブロッキングしてしまう。
【0031】
次に、結晶性共重合ポリエステル系樹脂の一種ないしそれ以上を主成分とし含有し、必要に応じて添加剤を任意に加え、例えば、トルエン、酢酸エチル、アルコ−ル類、メチルエチルケトン等の溶剤、希釈剤等にて十分に混練して溶解または分散して接着層15組成物インキを製造する。該接着層15組成物インキを使用し、これを、例えば、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコ−ト、キスコートなどのコ−ティング方式で塗布し乾燥して、接着層15を形成する。該接着層15の厚さは、0.3〜2μm(乾燥時)程度の接着層15を形成することができる。該厚さが、上記範囲未満では導体接着力が不足し、また、上記範囲を超えると、被覆材に占める割合が多くなり難燃性を低下させる。
【0032】
図2は、本発明のフラットケーブルの1実施例の構成を示す模式的な断面図である。
図3は、図2のAA断面図である。
本発明のフラットケーブル1は、複数の導体21を同一平面内で配列した導体列を、フラットケーブル被覆材10にて両面より被覆してある。
本発明においては、これまで説明してきたフラットケーブル被覆材10を使用し、少なくとも片方、好ましくは2枚の該フラットケ−ブル用被覆材10を、その難燃性接着層13/接着層15の面を対向させて重ね合わせ、更に、その層間に、複数の金属等の導体21を同一平面内で配列した導体列を介在させる。
【0033】
しかる後に該フラットケ−ブル用被覆材10、導体21を加熱加圧してヒ−トシ−ルすることにより、該フラットケ−ブル用被覆材10を構成するヒ−トシ−ル性の難燃性接着層13/接着層15面と導体21とを密接着させ、更に、対向した難燃性接着層13/接着層15自身も相互に接着する。このようにして、2枚の対向したフラットケ−ブル被覆材10と導体21とが密接着して、導体21が難燃性接着層13/接着層15へ埋め込まれて一体化したフラットケ−ブル1を製造することができる。
【0034】
【実施例】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
基材フィルム11として、厚さ23μmのポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製、E−5107)を用いて、次のプライマー層形成用プライマー剤を、ロールコーターにて、厚さ1μm(乾燥後)塗布し乾燥して、プライマー層12とした。プライマー層形成用プライマー剤は、ガラス転移点40℃のポリエステル樹脂とポリオール系ウレタン樹脂(固形分質量比1:1、水酸基価=10mgKOH/g)をメチルエチルケトン/トルエン=1:1からなる混合溶剤に溶解させてA液を調整した。トリレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートとをメチルエチルケトン/トルエン=1:1からなる混合溶剤に溶解させてB液を調整した。次に、上記で調整したA液とB液を基材フィルム11へ塗布する直前に混合してプライマー剤を調整した(OH基/NCO基=1/3)。
【0035】
次いで、難燃性接着層13組成物インキを調整する。ガラス転移点−30℃のポリエステル樹脂/ガラス転移点5℃のポリエステル樹脂/ガラス転移点80℃のポリエステル樹脂=24:5:1(質量比)の混合ポリエステル樹脂を、トルエンとメチルエチルケトンの1対1の混合溶剤で希釈し、表1に示した割合で難燃剤として硫酸メラム、酸化スズ、水酸化アルミニウム、を混合し、固形分50質量%の組成物インキを得た。これを先のプライマー層12上へ、コンマコーターにて、厚さ37μm(乾燥時)に塗布し、乾燥して、難燃性接着層13とした。
該難燃性接着層13面へ接着層15を設ける。結晶性共重合ポリエステル樹脂(結晶化度5%、Tg=10℃)を、トルエンとメチルエチルケトンの1対1の混合溶剤で希釈し、固形分10質量%の組成物インキを得た。これを先の難燃性接着層13面上へ、ロールコーターにて、厚さ1μm(乾燥時)に塗布し、乾燥して、接着層15とした。該接着層15を形成した後に、巻取り状で保管したが、ブロッキングは発生しなかった。
次いで、その層間にスズメッキ軟銅導体(厚さ50μm、幅0.8mm)を17本平行に並べ、2枚のフラットケーブル被覆材10の熱接着層が向かい合うようにして、150℃に加熱した金属ロールとゴムロールとの間を3m/minのスピードで通過させて加熱加圧して、フラットケーブル1を製造した。
【0036】
(実施例2〜7、および比較例1〜2)
難燃性接着層13の組成物とその含有量、並びに、接着層15の結晶性共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)、溶融温度(Tm)、結晶化度(%)、及びその厚さについては、下記の表1に示すように使用し、それ以外は上記の実施例1と全く同様にして、フラットケーブル被覆材10とフラットケーブル1を製造した。
【0037】
【表1】
【0038】
(評価)
上記の実施例1〜7、比較例1〜2のフラットケーブル被覆材10およびフラットケーブル1について、下記に示す項目について試験して評価した。
(1)難燃性試験
フラットケーブル1の難燃性をUL規格VW−1燃焼試験で評価した。合格を「○」、不合格の場合を「×」で表わし、表1の下欄の「VW−1」欄に併記した。
(2)接着層/導体間のT字剥離強度試験
フラットケーブル被覆材10の接着層15の面と、厚さ100μmのスズメッキ軟銅導体とをヒートシーラーで接着後(温度170℃、圧力30N/cm2、時間3秒間)、引っ張り試験機でT字剥離強度(g/巾10mm)を、測定環境温度を25℃で測定して評価した。180度剥離法で測定し、50g以上を合格とし、表1の下欄の「導体接着力」欄に併記した。
【0039】
上記の表に示す結果より明らかなように、実施例1〜7では、難燃性試験および導体接着力のいずれもが合格範囲であり、ハロゲン系難燃剤を含有するフラットケーブル被覆材と比較しても遜色がなかった。比較例1、2のいずれも、結晶性ポリエステルが溶剤に溶解しないので、インキ化できず、塗布できず、製品化ができなかった。
【0040】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のフラットケーブル被覆材10は、ハロゲン系でない難燃剤を用いても、耐熱性、難燃性、摺動性に優れ、発熱に伴う高温の環境下で使用されるコンピューターや電子機器などの、配線に使用するフラットケーブルの被覆材に好適である。また、該フラットケーブル被覆材10の製造は、既存の設備でよく、さらに、接着層が2層となるものの、ブロッキングの危険性が低いので、安定した工程で製造することができる。
【0041】
さらに、本発明のフラットケーブルは、難燃性の不足した基材フィルムを用いても、非ハロゲン系難燃剤を含有させた難燃性接着層と、該難燃性接着層上へ極めて薄い接着層を設けることで、難燃性と導体接着性とを両立させることができる。さらにまた、使用後廃棄されても、環境への影響が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフラットケーブル被覆材の1実施例の構成を示す模式的な断面図である。
【図2】 本発明のフラットケーブルの1実施例の構成を示す模式的な断面図である。
【図3】 図2のAA断面図である。
【符号の説明】
1 フラットケーブル
10 フラットケーブル被覆材
11 基材フィルム
12 プライマー層
13 難燃性接着層
15 接着層
21 導体
Claims (2)
- 基材フィルムの一方の面に、少なくとも難燃性接着層、接着層を積層したフラットケーブル被覆材において、前記難燃性接着層が、ヒートシール性を有する合成樹脂成分が20〜50質量%と非ハロゲン系難燃剤成分が50〜80質量%とを含む組成物からなり、さらに、該ヒートシール性を有する合成樹脂成分が、ガラス転移温度−30℃のポリエステル樹脂とガラス転移温度5℃のポリエステル樹脂とガラス転移温度80℃のポリエステル樹脂とを質量比24:5:1の比率で混合した混合ポリエステル樹脂であり、該難燃性接着層の組成物中における該非ハロゲン系難燃剤成分が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量%、水和金属化合物の含有率が25〜50質量%であり、さらにまた、前記接着層が厚さが0.3〜3μmの結晶性共重合ポリエステル系樹脂であって、そのガラス転移温度が0〜15℃で、融点が70〜130℃で、かつ、結晶化度が3〜5%であることを特徴とするフラットケーブル被覆材。
- 複数の導体を同一平面内で配列した導体列を、フラットケーブル被覆材にて両面より被覆してなるフラットケーブルにおいて、両面のフラットケーブル被覆材が、基材フィルムの一方の面に、少なくとも難燃性接着層、接着層を積層したフラットケーブル被覆材であり、前記難燃性接着層が、ヒートシール性を有する合成樹脂成分が20〜50質量%と非ハロゲン系難燃剤成分が50〜80質量%とを含む組成物からなり、さらに、該ヒートシール性を有する合成樹脂成分が、ガラス転移温度−30℃のポリエステル樹脂とガラス転移温度5℃のポリエステル樹脂とガラス転移温度80℃のポリエステル樹脂とを質量比24:5:1の比率で混合した混合ポリエステル樹脂であり、該難燃性接着層の組成物中における該非ハロゲン系難燃剤成分が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量%、水和金属化合物の含有率が25〜50質量%であり、さらにまた、前記接着層が厚さが0.3〜3μmの結晶性共重合ポリエステル系樹脂であって、そのガラス転移温度が0〜15℃で、融点が70〜130℃で、かつ、結晶化度が3〜5%であることを特徴とするフラットケーブル。
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