JP2003272451A - フラットケーブル被覆材、及びフラットケーブル - Google Patents

フラットケーブル被覆材、及びフラットケーブル

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JP2003272451A JP2002071267A JP2002071267A JP2003272451A JP 2003272451 A JP2003272451 A JP 2003272451A JP 2002071267 A JP2002071267 A JP 2002071267A JP 2002071267 A JP2002071267 A JP 2002071267A JP 2003272451 A JP2003272451 A JP 2003272451A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】非ハロゲン系難燃剤を含有させた難燃性接着層
と、該難燃性接着層上へ極めて薄い難燃剤を含有しない
接着層を設けることで、難燃性と導体接着性とを両立さ
せたフラットケーブル被覆材、及びフラットケーブルを
提供する。 【解決手段】基材フィルムの一方の面に、少なくとも難
燃性接着層、接着層を積層したフラットケーブル被覆材
において、前記難燃性接着層が、ヒートシール性を有す
る合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が50
〜80質量%とを含む組成物からなり、さらに、該難燃
剤成分が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜
10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量
%、水和金属化合物の含有率が28〜50質量%であ
り、さらにまた、接着層が結晶性共重合ポリエステル系
樹脂であるフラットケーブル被覆材、および該フラット
ケーブル被覆材を用いたフラットケーブルを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラットケーブル
被覆材に関し、さらに詳しくは、導体との密着性に優
れ、かつ、難燃性および環境適性を具備した電気機器、
電子機器、その他等に使用されるフラットケ−ブルのフ
ラットケーブル被覆材、およびそれを用いたフラットケ
ーブルに関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、OA機器やゲーム機などの電子機器
では、コンピューターと電子部品などの電気的な接続や
種々の配線のためのフラットケーブルが使用されてい
る。フラットケーブルは、該電子機器の狭い筐体内を引
き回され、電子部品の移動に伴って摺動されたり、か
つ、電子部品の発熱に伴う高温の環境下で使用される。
このために、フラットケーブルを被覆しているフラット
ケーブル被覆材は、摺動に対する柔軟性、高温に対する
耐熱性、および難燃性が要求される。さらに、使用後の
廃棄処理において、環境破壊の元凶にもなり兼ねない。
【0003】ポリイミドフィルムとリン変性飽和ポリエ
ステル共重合体からなる接着層によるノンハロゲンの難
燃性フラットケーブルが特開平8−60108号公報
で、熱可塑性ポリエステル樹脂とリン系難燃剤を含有す
る粘着層によるノンハロゲンの難燃性フラットケーブル
が特開平9−221642号公報および特開平9−27
9101号公報で、ポリエステル系樹脂とポリ燐酸系難
燃剤と非ポリ燐酸系窒素含有有機難燃剤からなるノンハ
ロゲン系の難燃性難燃性接着剤が、特開2001−89
736号公報で、知られている。
【0004】しかしながら、いずれもフラットケーブル
の基材フィルムは、ポリエステル系フィルムまたはポリ
イミド系フィルムを用いており、ポリエステル系フィル
ムは単独では難燃性が不足し、ポリイミド系フィルムで
は価格が高価であるという問題がある。また、接着層
(粘着層と表現している公報もある)にハロゲン系の難
燃剤を用いてるフラットケーブル被覆材では、該フラッ
トケーブル被覆材を用いたフラットケーブルが電子機器
とともに使用後廃棄された後に、何らかの要因で難燃剤
が環境に漏洩したり、人体に取り込まれて健康を害する
恐れがあるという欠点がある。さらに、非ハロゲン系の
難燃剤としてリン系、ポリ燐酸系、非ポリ燐酸系窒素含
有有機物質などを用いた難燃剤では、十分な難燃性を得
るには多量に含有させねばならず、多量に含有させると
導体との接着力が低下するという欠点がある。
【0005】近年、地球レベルで環境を保護するため
に、有害物質は使用規制される傾向にあり、フラットケ
ーブルに使用する材料についても、有害物質の使用を極
力避けるべきである。例えば、ハロゲンである臭素系難
燃剤であるデカブロモジフェニルエーテル(DBDP
O)は、燃焼条件によっては、ダイオキシン関連物質が
生成する恐れがあり、その使用規制が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明はこの
ような問題点を解消するためになされたものである。そ
の目的は、難燃性の不足した基材フィルムを用いても、
非ハロゲン系難燃剤を含有させた難燃性接着層と、該難
燃性接着層上へ極めて薄い接着層を設けることで、難燃
性と導体接着性とを両立させた非ハロゲンフラットケー
ブル被覆材、及びフラットケーブルを提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1の発明に係わるフラットケーブル被覆材
は、基材フィルムの一方の面に、少なくとも難燃性接着
層、接着層を積層したフラットケーブル被覆材におい
て、前記難燃性接着層が、ヒートシール性を有する合成
樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が50〜80
質量%とを含む組成物からなり、さらに、該難燃剤成分
が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜10質
量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量%、水
和金属化合物の含有率が28〜50質量%であり、さら
にまた、接着層が結晶性共重合ポリエステル系樹脂であ
るようにしたものである。本発明によれば、難燃性と導
体接着性とが両立したフラットケーブル被覆材が提供さ
れる。請求項2の発明に係わるフラットケーブル被覆材
は、上記接着層の結晶性共重合ポリエステル系樹脂のガ
ラス転移温度が−5〜20℃で、融点が50〜140℃
で、かつ、結晶化度が20%以下であるあるように、ま
た、請求項3の発明に係わるフラットケーブル被覆材
は、上記接着層の厚さが、0.3〜2μmであるしたも
のである。本発明によれば、難燃性と、より強固な導体
接着性とを有するフラットケーブル被覆材が提供され
る。請求項4の発明に係わるフラットケーブルは、複数
の導体を同一平面内で配列した導体列を、フラットケー
ブル被覆材にて両面より被覆してなるフラットケーブル
において、少なくとも片面のフラットケーブル被覆材
が、基材フィルムの一方の面に、少なくとも難燃性接着
層、接着層を積層したフラットケーブル被覆材であり、
前記難燃性接着層が、ヒートシール性を有する合成樹脂
成分が20〜50質量%と難燃剤成分が50〜80質量
%とを含む組成物からなり、さらに、該難燃剤成分が、
硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜10質量
%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量%、水和
金属化合物の含有率が28〜50質量%であり、さらに
また、接着層が結晶性共重合ポリエステル系樹脂である
ようにしたものである。本発明によれば、難燃性と導体
接着性とが両立したフラットケーブルが提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施態様について、図面
を用いて詳細に説明する。図1は、本発明のフラットケ
ーブル被覆材の1実施例の構成を示す模式的な断面図で
ある。本発明のフラットケーブル被覆材10は、基材フ
ィルム11の一方の面に、必要に応じてプライマー層1
2と、難燃性接着層13と、接着層15とが、この順に
順次積層されている。基材フィルム11としては、機械
的強度に優れ、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、屈曲性、
絶縁性等に富む、例えば、ポリエチレンテレフタレ−
ト、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリブチレンテレフタ
レ−ト等のポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイ
ロン66、ナイロン610等のポリアミド系フィルム、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等
のポリイミド系フィルム、フッ素系フィルム、ポリエー
テルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサ
ルファイド、ポリアリレート、ポリエステルエーテル、
全芳香族ポリアミド、ポリアラミド、ポリプロピレンフ
ィルム、ポリカ−ボネ−トフィルムなどが適用できる。
通常はポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等のポリアルキレンテレフタレートが好適に使
用される。
【0009】該基材フィルムは、未延伸フィルム、また
は延伸フィルムが適用でき、強度を向上させる目的で延
伸フィルムが好ましく、一軸方向または二軸方向に延伸
したフィルムが、特に二軸延伸フィルムが好適である。
また、基材フィルムの表面は、必要に応じて、例えば、
コロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、その他の前処
理を施しても良い。該基材フィルムの厚さは、通常は5
μm〜200μmが適用でき、10μm〜100μmが
好適である。厚さが5μm未満であると機械的強度が不
足し、またプライマー層12、難燃性接着層13など形
成する適性が減ずる。厚さが200μm以上では可撓性
が不足し摺動性が悪化するので、このような厚さにする
ことにより、本発明のフラットケーブル被覆材10に必
要とされる強度を付与することができるとともに、該フ
ラットケーブル被覆材10に良好な可撓性を付与するこ
とができる。
【0010】次いで、基材フィルム11へ、必要に応じ
てプライマー層12を塗布する。該プライマー層12
は、基材フィルム11へ難燃性接着剤13を強固に接着
させて、電子機器への使用時の摺動に耐えて、層間の剥
離などを抑制して、絶縁性、耐久性を向上するためのも
のである。プライマー層12の材料としては、例えば、
イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、および
/またはカルボジイミド基を有する多官能化合物と、ガ
ラス転移点が20℃〜120℃、好ましくは30℃〜1
00℃のポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂とを
含むプライマー剤が適用できる。
【0011】また、プライマー剤としては、ポリエチレ
ンイミン系化合物、有機チタン系化合物、イソシアネー
ト系化合物、ウレタン系化合物、ポリブタジエン系化合
物などを主成分とする所謂アンカーコート剤も適用する
ことができる。
【0012】上記のポリエステル系樹脂とポリウレタン
系樹脂との配合比は質量基準で、ポリエステル系樹脂/
ポリウレタン系樹脂=0.7/0.3〜0.3/0.7
程度が好ましく、難燃性接着層の熱による収縮を防止さ
れる。また、多官能化合物の添加量は、ポリエステル系
およびポリウレタン系樹脂の反応基に対して、1〜10
倍の反応基に相当する量が好ましい。これらのプライマ
ー剤を固形分として2〜60質量%になるように、有機
溶剤で希釈して使用する。
【0013】該プライマー剤の希釈液をロールコート、
リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラ
ビアコート、バーコート、ロッドコ−ト、キスコート、
ナイフコート、ダイコート、コンマコート、フローコー
ト、スプレーコートなどの方法で塗布し乾燥して、溶剤
を除去してプライマー層12を形成させる。要すれば、
温度30℃〜70℃でエージングする。プライマー層1
2の厚さは、通常は0.05μm〜10μm程度、好ま
しくは0.1μm〜5μm程度である。
【0014】上記のガラス転移点が20℃〜120℃、
好ましくは30℃〜100℃のポリエステル系樹脂とし
ては、例えば、テレフタル酸などの芳香族飽和ジカルボ
ン酸の一種または複数と、飽和2価アルコールの一種ま
たは複数との、縮重合で生成する熱可塑性のポリエステ
ル系樹脂が適用できる。また、ポリウレタン系樹脂とし
ては、例えば、多官能イソシアネートと、ヒドロキシル
基含有化合物との、反応で生成するポリウレタン系樹脂
が適用できる。
【0015】多官能化合物としては、イソシアネート
基、ブロックイソシアネート基、および/またはカルボ
ジイミド基を有する多官能化合物で、例えば、2、4−
トリレンジイソシアネート、2、6−トリレンジイソシ
アネート、ジフェニルメタン−4、4’−ジイソシアネ
ート、キシレンジイソシアネート、イソフォロンジイソ
シアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネー
トおよびヘキサメチレンジイソシアネート等の多官能イ
ソシアネート、これらのイソシアナートのポリオール変
性物、カルボジイミド変性物、これらのイソシアネート
をアルコール、フェノール、ラクタム、アミン等でマス
クしたブロック型イソシアネートなどが適用できる。
【0016】次いで、プライマー層12面へ、難燃性接
着層13と接着層15をこの順に設ける。難燃性接着層
13は、柔軟性に富み、導体とのヒ−トシ−ル性を有し
ているが、さらに、難燃性接着層13面へ接着層15を
設けて、導体との接着性がより強固とする。難燃性接着
層13だけでも、導体との接着性はあるが、難燃性を高
めるために難燃剤の含有量を増加すると、導体との接着
性が悪くなる。しかしながら、本発明のように、難燃性
接着層13と接着層15の2層とすることで、それぞれ
の層が相乗して、2つの機能を高いレベルで両立でき
る。加熱ロールまたは加熱板などによる加熱加圧により
軟化又は溶融し、まず、接着層15が金属などの導体と
接触し強固に接着する、かつ、相互にも強固に熱融着
(接着)する。また、導体もその中に空隙を発生させず
に埋め込まれる。即ち、難燃性と、導体との接着性を両
立させることができる。難燃性接着層13と接着層15
は、被覆材の状態では2層を形成しているが、加熱加圧
してフラットケーブルとなった状態では、相互にある程
度の混合しると思われる。
【0017】該難燃性接着層13は、ヒートシール性を
有する合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が
50〜80質量%とを含む組成物からなり、さらに、該
難燃剤成分が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が
2〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40
質量%、水和金属化合物の含有率が28〜50質量%と
する。合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が
50〜80質量%とを含む組成物からなる。難燃性の性
能からは、難燃剤成分が多いほど良いが、難燃剤が多い
と合成樹脂成分が少なくなって、難燃性接着層を形成加
工する際に成膜することができず、また、必要な接着性
能が得られない。難燃性があり、加工性の良い組成とし
ては、合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が
50〜80質量%が好適である。
【0018】難燃性接着層13を構成する材料として
は、例えば、アイオノマ−樹脂、酸変性ポリオレフィン
系樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチ
レン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエス
テル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、
(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、
シリコーン樹脂、ゴム系樹脂などが適用できる。
【0019】難燃性接着層13の樹脂としては、導体と
のヒートシ−ル性、および難燃剤の混入のし易さから、
ポリエステル系樹脂を好適に使用することができる。該
ポリエステル系樹脂は、飽和共重合ポリエステル樹脂で
あって、ガラス転移点が−50℃〜80℃で、かつ質量
平均分子量が7000〜50000の範囲の樹脂を主成
分とする樹脂組成物からなるものが好適である。また、
ガラス転移点が比較的低く柔軟性に富むポリエステル系
樹脂と、ガラス転移点の比較的高く耐熱性に富むポリエ
ステル系樹脂とを、配合して使用しても良い。さらに、
非晶性のポリエステル系樹脂と結晶性のポリエステル系
樹脂を、適宜、配合して使用しても良い。
【0020】難燃性接着層13へ含有させる難燃剤とし
ては、非ハロゲン系の難燃剤が望まれている。該難燃剤
としては、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2〜
10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質量
%、水和金属化合物の含有率が28〜50質量%とす
る。それぞれの難燃剤は、単独でも複数を混合して使用
してもよい。
【0021】硫酸アミノトリアジン化合物としては、ノ
ンハロゲン系難燃剤であり、硫酸メラミン・硫酸アセト
グアナミン・硫酸グアニルメラミン・硫酸メレム・硫酸
メラムなどが適用できる。ポリエステル系樹脂への分散
性、混合性、接着性等の点で、硫酸メラミン・硫酸メレ
ム・硫酸メラムが好適である。これらのメラミン誘導体
は、単独で使用しても、二種以上を併用してもよい。
【0022】また、本発明では、難燃剤を組み合わせる
ことで、より効果的な配合を見出した。該難燃剤として
は、水和金属化合物、酸化金属化合物、が適用でき、単
独でも、二種以上を組み合わせて使用してもよい。該難
燃剤の配合量は、少ないと難燃性の向上効果が得られ
ず、多過ぎると難燃性接着層13の形成加工性が低下す
る。従って、難燃性接着層13に用いられる難燃剤の種
類および組合せ、およびその配合比を適正値に設定する
のが、極めて重要である。
【0023】まず、水和金属化合物としては、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化チタン、水酸化亜鉛など
が適用できるが、難燃性に優れ、コストの点でも有利な
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好適であ
る。該水和金属化合物は、単独でも、複数種を組み合わ
せも使用することもできる。酸化金属化合物としては、
例えば、酸化アンチモン系化合物、スズ酸亜鉛、ホウ酸
亜鉛、酸化スズ、酸化モリブデン酸、酸化モリブデン、
酸化ホウ素、二酸化珪素などが適用できる。
【0024】本発明の非ハロゲン系難燃剤を含有する難
燃性接着層13には、本発明の効果に影響のない範囲
で、さらに種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属腐
食防止剤、着色剤(顔料、染料)、ブロッキング防止
剤、樹脂と難燃剤との間の凝集力を上昇させる各種カッ
プリング剤、架橋剤、架橋助剤、充填剤、帯電防止剤、
難燃触媒を適宜添加してもよい。上記の無機系難燃剤の
粒子の大きさとしては、一次粒子として、約0.01μ
ないし15μ位である。
【0025】例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、
炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸
化亜鉛等の体質顔料または白色顔料、その他の無機化合
物の粉末、ガラスフリット、ポリオレフィン系樹脂粉
末、その他等を使用することができる。なお、本発明に
おいては、上記の体質顔料または白色顔料において、酸
化チタンまたは酸化亜鉛等のものは、炭酸マグネシウ
ム、酸化アルミニウム等のものと比較して、その粒子径
が小さいことから、フラットケ−ブル被覆材をロ−ル状
の製品形態で在庫中でのブロッキング防止剤としての機
能をも奏するという利点を有している。
【0026】次に、本発明においては、上記のような柔
軟性に富み、かつ、ヒ−トシ−ル性を有する樹脂の一種
ないしそれ以上を主成分とし含有し、更に、上記のよう
な難燃剤の一種またはそれ以上を加え、更に、必要に応
じて上記の樹脂に合う硬化剤を添加し、更に、必要なら
ば、その他の添加剤を任意に加え、例えば、トルエン、
酢酸エチル、アルコ−ル類、メチルエチルケトン等の溶
剤、希釈剤等にて十分に混練して溶解または分散して樹
脂組成物インキを製造する。
【0027】次いで、該樹脂組成物インキを使用し、こ
れを、例えば、ロールコート、リバースロールコート、
グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコー
ト、ロッドコ−ト、キスコート、ナイフコート、ダイコ
ート、コンマコート、フローコート、スプレーコートな
どのコ−ティング方式で塗布し乾燥して、厚さ15〜1
50μm(乾燥時)程度の難燃剤を含有するヒ−トシ−
ル性の難燃性接着層13を形成することができる。
【0028】該難燃剤としては、硫酸アミノトリアジン
化合物の含有率が2〜10質量%、酸化金属化合物の含
有率が20〜40質量%、水和金属化合物の含有率が2
8〜50質量%とする。該難燃剤成分の含有量が少ない
と難燃性が不十分で、多過ぎると加工適性および接着性
能がでない。該難燃剤の材質、組合わせ、および含有量
については、実施例で詳細に説明する。
【0029】難燃性接着層13面へさらに接着層15を
形成する。該接着層15の樹脂としては、導体との接着
性からポリエステル系共重合樹脂が適用できる。該ポリ
エステル系共重合樹脂には、非晶性と結晶性の樹脂とが
ある。導体との接着性からは、分子中に極性基が多く、
ガラス転移温度が低い非晶性共重合ポリエステル系樹脂
が好ましい。しかしながら、非晶性共重合ポリエステル
系樹脂は樹脂自身の粘着性が高く、所謂タックがある欠
点がある。このため、製造工程中の非晶性共重合ポリエ
ステル系樹脂を塗布したフィルム状態物を巻き取ると、
非晶性共重合ポリエステル系樹脂と基材フィルムが接触
して、粘着して(当業者はブロッキングという)しま
い、次の加工をする時に巻きほぐすことができない。
【0030】そこで、結晶性共重合ポリエステル系樹脂
を用いる。しかしながら、該結晶性共重合ポリエステル
系樹脂は、難燃剤などのフィラー成分を含有させると導
体接着力が著しく悪化する。そこで、フィラー成分を含
有しない結晶性共重合ポリエステル系樹脂を接着層15
とし、好ましくは、該結晶性共重合ポリエステル系樹脂
のガラス転移温度が−5〜20℃で、融点が50〜14
0℃で、かつ、結晶化度が20%以下である。このよう
にすることで、溶剤へ溶解し容易にインキ化できる、ま
た、ブロッキング現象を起こさず、かつ、導体接着性の
良い接着層15とすることができる。該結晶性共重合ポ
リエステル系樹脂の流動性は、融点を超える温度で急激
に良化して、導体と接触し濡れ強固に接着する。しか
し、融点以下の室温では、流動性が低下しタック性も減
少してブロッキングしない。融点は室温より高い50〜
140℃が好適である。結晶化度が20%以上では、導
体接着力が不充分である。ガラス転移温度が上記範囲を
超えると導体接着力が不充分となり、また、上記範囲未
満ではタックが強過ぎてブロッキングしてしまう。
【0031】次に、結晶性共重合ポリエステル系樹脂の
一種ないしそれ以上を主成分とし含有し、必要に応じて
添加剤を任意に加え、例えば、トルエン、酢酸エチル、
アルコ−ル類、メチルエチルケトン等の溶剤、希釈剤等
にて十分に混練して溶解または分散して接着層15組成
物インキを製造する。該接着層15組成物インキを使用
し、これを、例えば、ロールコート、リバースロールコ
ート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バー
コート、ロッドコ−ト、キスコートなどのコ−ティング
方式で塗布し乾燥して、接着層15を形成する。該接着
層15の厚さは、0.3〜2μm(乾燥時)程度の接着
層15を形成することができる。該厚さが、上記範囲未
満では導体接着力が不足し、また、上記範囲を超える
と、被覆材に占める割合が多くなり難燃性を低下させ
る。
【0032】図2は、本発明のフラットケーブルの1実
施例の構成を示す模式的な断面図である。図3は、図2
のAA断面図である。本発明のフラットケーブル1は、
複数の導体21を同一平面内で配列した導体列を、フラ
ットケーブル被覆材10にて両面より被覆してある。本
発明においては、これまで説明してきたフラットケーブ
ル被覆材10を使用し、少なくとも片方、好ましくは2
枚の該フラットケ−ブル用被覆材10を、その難燃性接
着層13/接着層15の面を対向させて重ね合わせ、更
に、その層間に、複数の金属等の導体21を同一平面内
で配列した導体列を介在させる。
【0033】しかる後に該フラットケ−ブル用被覆材1
0、導体21を加熱加圧してヒ−トシ−ルすることによ
り、該フラットケ−ブル用被覆材10を構成するヒ−ト
シ−ル性の難燃性接着層13/接着層15面と導体21
とを密接着させ、更に、対向した難燃性接着層13/接
着層15自身も相互に接着する。このようにして、2枚
の対向したフラットケ−ブル被覆材10と導体21とが
密接着して、導体21が難燃性接着層13/接着層15
へ埋め込まれて一体化したフラットケ−ブル1を製造す
ることができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例を
挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。 (実施例1)基材フィルム11として、厚さ23μmの
ポリエチレンテレフタレート(東洋紡績社製、E−51
07)を用いて、次のプライマー層形成用プライマー剤
を、ロールコーターにて、厚さ1μm(乾燥後)塗布し
乾燥して、プライマー層12とした。プライマー層形成
用プライマー剤は、ガラス転移点40℃のポリエステル
樹脂とポリオール系ウレタン樹脂(固形分質量比1:
1、水酸基価=10mgKOH/g)をメチルエチルケ
トン/トルエン=1:1からなる混合溶剤に溶解させて
A液を調整した。トリレンジイソシアネートとヘキサメ
チレンジイソシアネートとをメチルエチルケトン/トル
エン=1:1からなる混合溶剤に溶解させてB液を調整
した。次に、上記で調整したA液とB液を基材フィルム
11へ塗布する直前に混合してプライマー剤を調整した
(OH基/NCO基=1/3)。
【0035】次いで、難燃性接着層13組成物インキを
調整する。ガラス転移点−30℃のポリエステル樹脂/
ガラス転移点5℃のポリエステル樹脂/ガラス転移点8
0℃のポリエステル樹脂=24:5:1(質量比)の混
合ポリエステル樹脂を、トルエンとメチルエチルケトン
の1対1の混合溶剤で希釈し、表1に示した割合で難燃
剤として硫酸メラム、酸化スズ、水酸化アルミニウム、
を混合し、固形分50質量%の組成物インキを得た。こ
れを先のプライマー層12上へ、コンマコーターにて、
厚さ37μm(乾燥時)に塗布し、乾燥して、難燃性接
着層13とした。該難燃性接着層13面へ接着層15を
設ける。結晶性共重合ポリエステル樹脂(結晶化度5
%、Tg=10℃)を、トルエンとメチルエチルケトン
の1対1の混合溶剤で希釈し、固形分10質量%の組成
物インキを得た。これを先の難燃性接着層13面上へ、
ロールコーターにて、厚さ1μm(乾燥時)に塗布し、
乾燥して、接着層15とした。該接着層15を形成した
後に、巻取り状で保管したが、ブロッキングは発生しな
かった。次いで、その層間にスズメッキ軟銅導体(厚さ
50μm、幅0.8mm)を17本平行に並べ、2枚の
フラットケーブル被覆材10の熱接着層が向かい合うよ
うにして、150℃に加熱した金属ロールとゴムロール
との間を3m/minのスピードで通過させて加熱加圧
して、フラットケーブル1を製造した。
【0036】(実施例2〜7、および比較例1〜2)難
燃性接着層13の組成物とその含有量、並びに、接着層
15の結晶性共重合ポリエステル樹脂のガラス転移温度
(Tg)、溶融温度(Tm)、結晶化度(%)、及びそ
の厚さについては、下記の表1に示すように使用し、そ
れ以外は上記の実施例1と全く同様にして、フラットケ
ーブル被覆材10とフラットケーブル1を製造した。
【0037】
【表1】
【0038】(評価)上記の実施例1〜7、比較例1〜
2のフラットケーブル被覆材10およびフラットケーブ
ル1について、下記に示す項目について試験して評価し
た。 (1)難燃性試験 フラットケーブル1の難燃性をUL規格VW−1燃焼試
験で評価した。合格を「○」、不合格の場合を「×」で
表わし、表1の下欄の「VW−1」欄に併記した。 (2)接着層/導体間のT字剥離強度試験 フラットケーブル被覆材10の接着層15の面と、厚さ
100μmのスズメッキ軟銅導体とをヒートシーラーで
接着後(温度170℃、圧力30N/cm2、時間3秒
間)、引っ張り試験機でT字剥離強度(g/巾10m
m)を、測定環境温度を25℃で測定して評価した。1
80度剥離法で測定し、50g以上を合格とし、表1の
下欄の「導体接着力」欄に併記した。
【0039】上記の表に示す結果より明らかなように、
実施例1〜7では、難燃性試験および導体接着力のいず
れもが合格範囲であり、ハロゲン系難燃剤を含有するフ
ラットケーブル被覆材と比較しても遜色がなかった。比
較例1、2のいずれも、結晶性ポリエステルが溶剤に溶
解しないので、インキ化できず、塗布できず、製品化が
できなかった。
【0040】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のフラ
ットケーブル被覆材10は、ハロゲン系でない難燃剤を
用いても、耐熱性、難燃性、摺動性に優れ、発熱に伴う
高温の環境下で使用されるコンピューターや電子機器な
どの、配線に使用するフラットケーブルの被覆材に好適
である。また、該フラットケーブル被覆材10の製造
は、既存の設備でよく、さらに、接着層が2層となるも
のの、ブロッキングの危険性が低いので、安定した工程
で製造することができる。
【0041】さらに、本発明のフラットケーブルは、難
燃性の不足した基材フィルムを用いても、非ハロゲン系
難燃剤を含有させた難燃性接着層と、該難燃性接着層上
へ極めて薄い接着層を設けることで、難燃性と導体接着
性とを両立させることができる。さらにまた、使用後廃
棄されても、環境への影響が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフラットケーブル被覆材の1実施例
の構成を示す模式的な断面図である。
【図2】 本発明のフラットケーブルの1実施例の構成
を示す模式的な断面図である。
【図3】 図2のAA断面図である。
【符号の説明】
1 フラットケーブル 10 フラットケーブル被覆材 11 基材フィルム 12 プライマー層 13 難燃性接着層 15 接着層 21 導体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムの一方の面に、少なくとも
    難燃性接着層、接着層を積層したフラットケーブル被覆
    材において、前記難燃性接着層が、ヒートシール性を有
    する合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分が5
    0〜80質量%とを含む組成物からなり、さらに、該難
    燃剤成分が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率が2
    〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜40質
    量%、水和金属化合物の含有率が28〜50質量%であ
    り、さらにまた、接着層が結晶性共重合ポリエステル系
    樹脂であることを特徴とするフラットケーブル被覆材。
  2. 【請求項2】 上記接着層の結晶性共重合ポリエステル
    系樹脂のガラス転移温度が−5〜20℃で、融点が50
    〜140℃で、かつ、結晶化度が20%以下であること
    を特徴とする請求項1記載のフラットケーブル被覆材。
  3. 【請求項3】 上記接着層の厚さが、0.3〜2μmで
    あることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の
    フラットケーブル被覆材。
  4. 【請求項4】 複数の導体を同一平面内で配列した導体
    列を、フラットケーブル被覆材にて両面より被覆してな
    るフラットケーブルにおいて、少なくとも片面のフラッ
    トケーブル被覆材が、基材フィルムの一方の面に、少な
    くとも難燃性接着層、接着層を積層したフラットケーブ
    ル被覆材であり、前記難燃性接着層が、ヒートシール性
    を有する合成樹脂成分が20〜50質量%と難燃剤成分
    が50〜80質量%とを含む組成物からなり、さらに、
    該難燃剤成分が、硫酸アミノトリアジン化合物の含有率
    が2〜10質量%、酸化金属化合物の含有率が20〜4
    0質量%、水和金属化合物の含有率が28〜50質量%
    であり、さらにまた、接着層が結晶性共重合ポリエステ
    ル系樹脂であることを特徴とするフラットケーブル。
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