JPWO2005038295A1 - 動力伝達チェーン及びそれを用いた動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

発生音を効果的に低減しうる動力伝達チェーン及びこれを用いた動力伝達装置を提供することを課題とする。貫通孔を有する複数のリンクと、該貫通孔に挿通され複数のリンクを相互に連結する複数のピンと、を備えた動力伝達チェーンにおいて、複数のピンは、長手方向長さが実質的に全て同一であり、且つ、ピン長手方向に作用する力に対する剛性が相違する複数種のピンを含む。また、ピンとストリップとの接触位置の軌跡が円のインボリュートとされかつ該インボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン及びストリップの組が形成されている。

Description

本発明は、車両のチェーン式無段変速機などに用いられる動力伝達チェーン及びそれを用いた動力伝達装置に関するものである。
自動車の無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)としては、例えば、エンジン側に設けられたドライブプーリと、駆動輪側に設けられたドリブンプーリと、これら両プーリ間に架け渡された無端帯状のチェーンとを備えたものがある。この動力伝達チェーンとしては、複数のリンクと、これらを相互に連結する複数のピンとを備えたものがある。このようないわゆるチェーン式無段変速機では、各プーリの内側に略対向して設けられた2つの円錐面からなるシーブ面とチェーンのピン端面との間に作用する接触摩擦力によりトラクションを発生させて動力を伝達する。また、チェーン長手方向の所定間隔おきにピンとは別の部材としてチェーン摩擦伝達部材を設け、このチェーン摩擦伝達部材の両端面とシーブ面との間に作用する接触摩擦力によりトラクションを発生させて動力を伝達する場合もある。そして、ドライブプーリ及びドリブンプーリのそれぞれにおいて略対向する円錐面のシーブ面間距離(溝幅)を連続的に変化させて、各プーリの有効径を連続的に変化させる。その結果、変速比が連続的に(無段階に)変化し、従来のギア式とは異なるスムースな動きで無段変速を行うことができる。
このようなチェーン式無段変速機では、架け渡されたチェーンのピン等が各プーリのシーブ面に進入する際やシーブ面を離脱する際に、不快な音が発生する。特に、ピンがシーブ面に進入する際、ピンがシーブ面に衝突して音が発生する。ピンはチェーンの帯長手方向に所定のピッチで複数設けられているから、これら複数のピンが順次連続してシーブ面に衝突して音を発生させる。
通常のチェーンでは、複数のピンの長さは互いに同一であるので、全てのピンが同じようにシーブ面に衝突することになる。そうすると、各ピンの衝突により発生する音の周波数が略等しくなるので、当該周波数で発生音が大きくなり、音圧レベルが高くなってしまう。そこで、特開昭63−53337号公報には、長さの相違する複数のピンを用いることにより、発生する音の周波数を分散させて、あるいは共鳴を抑制することにより、音圧レベルを下げる発明が提案されている。
また、特開平8−312725号公報には、無段変速機用の動力伝達チェーンとして、チェーン長手方向に並ぶ第1及び第2の貫通孔を有する複数のリンクと、一のリンクの第1貫通孔と他のリンクの第2貫通孔とを貫通することによりチェーン幅方向に並ぶリンク同士をチェーン長手方向に屈曲可能に連結している複数のピン及び複数のインターピースとを備え、一のリンクの第1貫通孔に固定され且つ他のリンクの第2貫通孔に移動可能に嵌め入れられたピンと一のリンクの第1貫通孔に移動可能に嵌め入れられ且つ他のリンクの第2貫通孔に固定されたインターピースとが相対的に転がり接触移動することにより前記屈曲が可能とされているとともに、ピン側面の断面形状が、インターピースとの接触部分において円のインボリュートとされているものが提案されている。
しかし、特開昭63−53337号公報に記載された上記発明では、短いピンと比較して長いピンが集中的に摩耗してしまうという欠点がある。この場合、長いピンが集中的に摩耗して短くなることにより長短差が無くなっていくので、使用とともに発生音低減効果が減少していくことになり、十分な効果が得られない。また、長いピンには短いピンよりも大きな力が作用することになるので、長いピンに負担が集中してチェーンの耐久性が悪化する。さらに、チェーンの組立工程において、長さの異なるピンを管理したり、これらを区別して組み立てたりしなければならず、組立の手間が増加して高コストとなる。
また、特開平8−312725号公報に記載された動力伝達チェーンでは、チェーンが連続体でなく複数のリンクを連結した構造であることから生じる多角形振動を抑制することにより運転時の発生音が抑制されている。しかし、例えばこの動力伝達チェーンを用いた無段変速機が乗用車に搭載される場合等において、運転時の静粛性をできるだけ高めるためには、動力伝達チェーンの発生音を更に低減することが求められる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、発生音を効果的に低減しうる動力伝達チェーンを提供することを目的としている。
更に詳細には、ピンの長さを実質的に同一としたまま、発生音を効果的に低減しうる動力伝達チェーンを提供することを第1の目的とする。また、多角形振動による発生音を更に低減し、運転時の発生音を効果的に抑制しうる動力伝達チェーン及びこれを用いた動力伝達装置を提供することを第2の目的とする。
かかる目的、特に上述した第1の目的を達成するため、本発明における第1発明の動力伝達チェーンは、貫通孔を有する複数のリンクと、前記貫通孔に挿通され前記複数のリンクを相互に連結する複数のピンと、を備え、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの両端面と前記第1及び第2のプーリのシーブ面とが接触して動力を伝達する動力伝達チェーンであって、前記複数のピンは、そのピン長手方向長さが実質的に同一であり、且つ、ピン長手方向に作用する力に対する剛性が相違する複数種のピンを含むことを特徴とする動力伝達チェーンとしている。このようにすると、剛性が異なる複数のピンにより、ピンの長さを実質的に同一としたまま発生音の音圧レベルが小さくなるが、その原理については後述する。
なお、ピン長手方向長さが実質的に同一、とは、複数のピンの長手方向長さが、通常の方法で同一長さに作製しようとしたときに生じる誤差の範囲内にあることを意味する。
また、他の観点から見た第1発明の動力伝達チェーンでは、複数のリンクと、これらを相互に連結する複数のピンと、を備え、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの両端面と前記第1及び第2のプーリのシーブ面とが接触して動力を伝達する動力伝達チェーンであって、前記複数のピンは、そのピン長手方向長さが実質的に全て同一であり、且つ、ピン長手方向に垂直な断面における断面形状または断面積が相違する複数種のピンを含むことを特徴とする動力伝達チェーンとしている。このようにすると、上述の発明と同様、剛性が異なる複数のピンにより、ピンの長さを実質的に同一としたまま発生音の音圧が小さくなるが、その原理については後述する。
なお、ここでの「断面形状または断面積が相違する」の意味であるが、対比するピン相互間において、ピン長手方向位置が同一な各断面のそれぞれにおいて両ピンの断面形状または断面積を比較し、そのうちたとえ一の断面でも断面形状または断面積が相違すれば、「断面形状または断面積が相違する」に該当するものとする。
上述した第1発明において、前記複数のピンのそれぞれは、単一のピン内におけるピン長手方向各位置での前記断面形状及び前記断面積が当該ピンの全長に亘って略同一とされているとともに、複数のピン相互間において前記断面積が相違する複数種のピンを含む構成としてもよい。この場合、断面形状や断面積をピン長手方向各位置で相違させる場合と比較してピン形状が単純であり、ピンの作製が容易である。
さらに、ピンの断面積が相違する上述の発明において、前記複数のピンは前記断面においてチェーン長手方向幅が相違する複数種のピンを含み、且つ、前記複数のリンクはそのピッチが相違する複数種のリンクを含むとともに、前記ピッチが長いリンクほど前記チェーン長手方向が幅広のピンが挿通されている構成としてもよい。このようにすると、ピンのチェーン長手方向幅に対応した長さのリンクとすることができ、複数種のピンを有しピッチが相違するチェーンの設計が容易となる。
ここでピッチとは、単一のリンク内に挿通されるピン相互間のチェーン長手方向における間隔をいう。なお、このピッチは、ピンとストリップとの接点におけるピン相互間の間隔であり、かかるピッチは、チェーンを屈曲していない状態(真っ直ぐな状態)として測定する。
上述の第1発明で、前記断面積が相違する前記複数種のピンにおいて、前記断面積が最大のピンの当該断面積は、前記断面積が最小のピンの当該断面積の1.1倍以上2倍以下であるのが好ましい。1.1倍以下では、断面積に差を設けた効果が十分に奏されない傾向となり、2倍以上では、ピンとピンの間のチェーン長手方向の間隔(ピッチ)が大きくなって発生音が大きくなる傾向となるが、本形態ではそのようなことがない。
上記目的、特に上述した第2の目的を達成するため、本発明における第2発明の動力伝達チェーンは、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、チェーン長手方向の所定間隔おきに設けられた複数のチェーン摩擦伝達部材の端面が前記第1及び第2のプーリのシーブ面と接触して動力を伝達する動力伝達チェーンであって、チェーン長手方向に並ぶ第1及び第2の貫通孔を有する複数のリンクと、一のリンクの第1貫通孔と他のリンクの第2貫通孔とを貫通することによりチェーン幅方向に並ぶリンク同士をチェーン長手方向に屈曲可能に連結している複数の第1ピン及び複数の第2ピンとを備え、一のリンクの第1貫通孔に固定され且つ他のリンクの第2貫通孔に移動可能に嵌め入れられた前記第1ピンと一のリンクの第1貫通孔に移動可能に嵌め入れられ且つ他のリンクの第2貫通孔に固定された前記第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより前記屈曲が可能とされているとともに、これら第1ピンと第2ピンとの接触位置の軌跡が円のインボリュートとされかつ該インボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上の第1ピン及び第2ピンの組が形成されており、前記複数のチェーン摩擦伝達部材は、チェーン幅方向の力に対する剛性が異なる複数種のチェーン摩擦伝達部材を含むことを特徴とする。
このようにすると、第1ピンと第2ピンとの接触位置の軌跡が円のインボリュートとされることにより、多角形振動が抑制される。そして、該インボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上の第1ピン及び第2ピンの組が設けられているから、多角形振動の共振が抑制され、インボリュートによる発生音抑制効果がより高まる。更に剛性が異なる複数種のチェーン摩擦伝達部材としたことにより、チェーン摩擦伝達部材がプーリのシーブ面に当たる際に発生する音の周波数が分散され、該発生音の音圧レベルのピーク値が小さくなる。
前記第2発明のチェーン摩擦伝達部材は、その長手方向長さが実質的に全て同一である構成としてもよい。このようにすると、特定のチェーン摩擦伝達部材の端面が偏って摩耗することが最小限に抑えられ、比較的長期間にわたって性能を維持しうる動力伝達チェーンとすることができる。
なお、長手方向長さが実質的に同一、とは、複数のチェーン摩擦伝達部材の長手方向長さが、通常の方法で同一長さに作製しようとしたときに生じる誤差の範囲内にあることを意味する。
上述した第2発明において、前記複数のチェーン摩擦伝達部材は、チェーン幅方向に垂直な断面における断面形状または断面積が相違する複数種のチェーン摩擦伝達部材を含む構成としてもよい。
このようにすると、チェーン摩擦伝達部材相互間の前記剛性を相違させることが容易に可能となる。
なお、ここでの「断面形状または断面積が相違する」の意味であるが、対比するチェーン摩擦伝達部材相互間において、そのチェーン幅方向位置が同一な各断面のそれぞれにおいて両チェーン摩擦伝達部材の断面形状または断面積を比較し、そのうちたとえ一の断面でも断面形状または断面積が相違すれば、「断面形状または断面積が相違する」に該当するものとする。
第2発明において、前記第1ピン又は前記第2ピンは、前記チェーン摩擦伝達部材を兼ねた伝達ピンである構成としてもよい。このようにすると、ピンとは別にチェーン摩擦伝達部材を別途設ける必要がなくなり、動力伝達チェーンの部品点数が減少し組立工程が簡略化される。
第2発明において、複数の前記伝達ピンは、ピン長手方向に垂直な断面においてチェーン長手方向幅が相違する複数種の伝達ピンを含み、且つ、前記複数のリンクは、そのピッチが相違する複数種のリンクを含む構成としてもよい。この場合、前記ピッチが長いリンクほど前記チェーン長手方向に幅広の前記伝達ピンを挿通した構成とすることができるから、伝達ピンのチェーン長手方向幅に対応した長さのリンクとすることができる。よって、複数種の伝達ピンを有しピッチが相違する動力伝達チェーンの設計が容易となる。
また、リンクのピッチが相違するから、摩擦伝達部材としての伝達ピンのチェーン長手方向ピッチを容易に相違させることができる。伝達ピンのチェーン長手方向ピッチが相違している場合、伝達ピンとプーリとの接触ピッチも相違するから、伝達ピンとプーリとの接触により発生する音の周期が分散され、発生する音圧レベルのピークが小さくなる。また、ピッチが長いリンクほどチェーン長手方向に幅広の伝達ピンを挿通する構成とした場合には、伝達ピンのピッチを相違させつつ伝達ピンのチェーン幅方向の力に対する剛性を相違させることが容易となり、発生音低減効果が更に高まる。
ここでピッチとは、単一のリンク内に挿通されるピン相互間のチェーン長手方向における間隔をいう。なお、このピッチは、第1ピンと第2ピンとの接点におけるピン相互間の間隔であり、単一のリンク内に設けられた第1貫通孔と第2貫通孔との距離により調整される。また、このピッチはチェーンを屈曲していない状態(真っ直ぐな状態)として測定する。
動力伝達装置に係る本発明は、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、これら第1及び第2のプーリの間に架け渡される動力伝達チェーンと、を備えた動力伝達装置であって、前記動力伝達チェーンが上述した第1又は第2発明のいずれかに記載のものであることを特徴とする。
このようにすると、上述した各動力伝達チェーンを用いたので、動作時における発生音が小さいなど上記各チェーンの作用効果を備えた動力伝達装置とすることができる。
なお、上述した第2発明において、第1ピン及び第2ピンのいずれか一方が伝達ピンである場合には、これら第1ピン及び第2ピンのうち伝達ピンの方が一般に「ピン」と称され、伝達ピンでない方は一般に「ストリップ」又は「インターピース」と称される。そこで、以下においては、第1ピン又は第2ピンのうち伝達ピンの方を単に「ピン」といい、伝達ピンでない方を「ストリップ」というものとする。
以上に記載したように、本発明に係る動力伝達チェーン及び動力伝達装置は、発生音を効果的に低減することができる。また、特に第1発明では、ピンの剛性や断面積などを相違させることにより、ピンの長さを実質的に同一としたまま発生音を効果的に低減することができる。また、第2発明によれば、互いの接触位置の軌跡であるインボリュートの基礎円半径が相違する2種類以上の第1及び第2ピンの組を形成し、かつチェーン摩擦伝達部材の剛性を異ならせたので、多角形振動が低減され、且つ発生音の音圧レベルのピーク値が抑制される。
第1発明及び第2発明の一実施形態に係るチェーン式無段変速機用のチェーンの要部構成を模式的に示す斜視図である。 図1のチェーンの側面図である。 第1発明の比較例1に係るチェーンを用いた動力伝達装置における、発生音の各周波数における音圧レベルを表示したグラフである。 第1発明の実施例1に係るチェーンを用いた動力伝達装置における、発生音の各周波数における音圧レベルを表示したグラフである。 図1のチェーンで用いられているリンクの側面図である。 図1のチェーンにおいて、リンクにピンとストリップとが挿入された状態の側面図である。 図1のチェーンにおいて、ピンとストリップとの転がり接触移動の態様を示す図である。 従来の一般的な動力伝達チェーンがプーリに巻き掛けられる際のピンの軌跡を示す図である。 従来の一般的な動力伝達チェーンにおけるピッチと振幅との関係を示すグラフである。 従来の一般的な動力伝達チェーンにおけるピッチと進入角との関係を示すグラフである。 インボリュートの基礎円半径と振幅との一般的関係を示すグラフである。 インボリュートの基礎円半径と進入角との一般的関係を示すグラフである。 第2発明において、実施例及び比較例の動力伝達装置における発生音を比較したグラフである。 好ましいインボリュート形状について説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るチェーンを用いたチェーン式無段変速機の概略構成を示す斜視図である。 図15の無段変速機におけるプーリ部分の断面図である。 第1の貫通孔と第2の貫通孔とが連通したリンクの一実施形態を示す図である。 第1の貫通孔と第2の貫通孔とが連通したリンクの他の実施形態を示す図である。
以下に、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明における第1発明の一実施形態に係るチェーン式無段変速機用のチェーン(以下単に「チェーン」ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。本形態に係るチェーン1は、全体として無端帯状をなし、複数の金属製リンク2と、これらリンク2を相互に連結するための複数の金属製ピン3と、これらピン3よりもピン長手方向長さが若干短い複数のストリップ5とから構成されている。リンク2及びピン3は、例えば軸受鋼等の金属からなる。なお、図1では、チェーン1の幅方向略中央付近のリンクの記載を一部省略している。
図1及び図6、図7に示すように、個々のリンク2は、略長方形の板状部材の角を丸めたような外形をなしており、且つそのリンク長手方向(チェーン長手方向と一致)に並列して2つの貫通孔4(第1貫通孔41と第2貫通孔42)を有している。そして、一つの貫通孔4に、ストリップ5とピン3とがそれぞれ一本ずつ挿通されている。リンク2は、チェーン幅方向に複数枚重複して配置されるとともに、チェーン長手方向位置を順次ずらしながら配置されている。そして、チェーン長手方向の位置を相違させつつチェーン幅方向に重複配置されたリンク2の貫通孔4に一本のピン3を貫通させることにより、複数のリンク2を相互に連結して、無端帯状のチェーン1とされている。
ピン3の端面3tは、ストリップ5の端面よりもチェーン幅方向外側に位置している。この突出したピン3が、プーリのシーブ面と接触することになる。
図15は、本発明のチェーンを備えた、本発明の動力伝達装置の一実施形態としてのチェーン式無段変速機50の概略構成を示す斜視図である。このチェーン式無段変速機50は、例えば自動車用の変速機として用いることができるものであり、第1のプーリとしての金属製ドライブプーリ10と、第2のプーリとしての金属製ドリブンプーリ20と、それらプーリ10,20の間に架け渡された無端帯状のチェーン1とを備えている。プーリ10,20は、例えば軸受鋼等の金属からなる。なお、図15中において、理解を容易とするためチェーンの断面を一部明示している。
図1に示すように、ピン3及びストリップ5は、断面略長方形の棒状部材であるが、それらの断面形状、及び貫通孔4の形状は、チェーン1が円形のプーリに巻き付くことができるような屈曲(以下、周方向屈曲などという)が確保されるように工夫されている。ピン3の一側面とこれに隣接するストリップ5の一側面とは、その一部において接触しており、その接触状態は、チェーン1の周方向屈曲状態により変化する。かかる接触の態様は、転がり摺動接触、即ち、転がり接触若しくは滑り接触又はこれら両接触が複合した接触である。これらの接触態様のなかでも、特に転がり接触とするのが好ましい。この場合、チェーン1動作時の振動や騒音を効果的に抑制できる。また、ピン3の一側面とこれに隣接するストリップ5の一側面のうちの一方にチェーン幅方向のクラウニング(凸曲面)を設け、他方はチェーン幅方向のクラウニングを設けずチェーン幅方向において平坦とするのが好ましい。
このようにピン3とストリップ5とが接触しているので、ピン3がプーリのシーブ面にクランプされる際、ピン3がピン軸中心に回転することが殆ど無くなる。このため、摩擦損失が低減し、高い動力伝達効率を確保することができる。
図16は、無段変速機50の、プーリ10又は20における断面図(プーリ10,20の径方向に沿った断面における断面図)である。同図に示すように、チェーン1におけるピン3の端面3tが、プーリ10(20)の内側で互いに対向する円錐面状のシーブ面12a,13a(22a,23a)と接触し、この接触摩擦力によりトラクションを伝達する。
図2のチェーン1の側面図に示すように、ピン3は、そのピン長手方向に垂直な断面における断面積が比較的大きい太ピン3fと、同断面積が比較的小さい細ピン3hという、断面積の相違する2種のピン3f,3hで構成されている。太ピン3fと細ピン3hとのピン長手方向長さは実質的に同一である。ピン長手方向長さが実質的に同一、とは、複数のピンの長手方向長さが、通常の方法で同一長さに作製しようとしたときに生じる誤差の範囲内にあることを意味し、例えば、ピン長手方向長さの相違が60μm以下とされている。
太ピン3f及び細ピン3hは、それぞれのピンにおいて、単一のピン内におけるピン長手方向各位置での断面形状(ピン長手方向に垂直な断面における断面形状。以下単に断面形状ともいう。)及び断面積(ピン長手方向に垂直な断面における断面積。以下単に断面積ともいう。)は、ピン長手方向の全長に亘って略同一である。つまり、それぞれのピンにおいて、ピン長手方向のどの位置においても略同一断面形状であり且つ略同一断面積である。
また、図2に示すように、太ピン3fの断面形状は、細ピン3hの断面形状をチェーン長手方向に拡大したような形状となっている。即ち、チェーン1に装着された状態において、太ピン3fの断面形状と細ピン3hの断面形状とを比較すると、両者はチェーン厚み方向(図2の上下方向)幅はほぼ同一であるが、太ピン3f断面のチェーン長手方向幅Lfは、細ピン3h断面のチェーン長手方向幅Lhよりも長い。
また、太ピン3fの断面積と細ピン3hの断面積とを比較すると、太ピン3fの断面積は、細ピン3hの断面積の1.1倍〜2倍とされている。
リンク2の貫通孔4の形状は、太ピン3f及び細ピン3hの形状に対応したものとなっている。即ち、太ピン3fが挿通する太貫通孔4fは、細ピン3hが挿通する細貫通孔4hよりも大きい。なお、チェーン1が周方向に屈曲できるようにするため、一つのリンク2内にある左右二つの貫通孔4は互いに形状が相違しているが、本明細書において太貫通孔4fあるいは細貫通孔4hというときには、かかる形状の相違を考慮せず、太ピン3fが挿通する貫通孔4を全て太貫通孔4fとし、細ピン3hが挿通する貫通孔4を全て細貫通孔4hとする。
チェーン1では、リンク2も複数種のものが用いられている。即ち、図2に示すように、リンク2は、太貫通孔4fを有する長リンク2fと、太貫通孔4fを有さない短リンク2hとを含んでいる。長リンク2fでは、二つの貫通孔4のうち一つが太貫通孔4fで、残り一つが細貫通孔4hとなっている。一方、短リンク2hでは、二つの貫通孔4はいずれも細貫通孔4hである。
そして、長リンク2fのピッチP1は、短リンク2hのピッチP2よりも長くなっている。また、かかるピッチP1,P2に対応して、長リンク2fのチェーン長手方向長さXは、短リンク2hのチェーン長手方向長さYよりも長くなっている。
以上のように構成されたチェーン1は、以下のような作用効果を奏する。
太ピン3fと細ピン3hとのピン長手方向長さは実質的に同一であるから、特定のピン3に摩耗が集中してしまうということがない。
そして、太ピン3fと細ピン3hとは断面積が相違しているので、チェーン式無段変速機50が作動する際の発生音を低減することができる。その原理は次の通りである。
図15に示すチェーン式無段変速機50において、チェーン1が各プーリ10,20のシーブ面12a,13a,22a,23aに進入する際に、チェーン1のピン3がこれらシーブ面に衝突して当該シーブ面を押す。この反作用で、ピン3はその端面3tからシーブ面から押され、ピン3はそのピン長手方向長さを圧縮させる方向の力を受けて変形する(この変形を以下、圧縮変形などという)。この力によりピン3は弾性変形し、その後に元の形状を回復するように変形する(この変形を以下、回復変形などという)が、この回復変形の際、再びシーブ面12a,13a,22a,23aを押すことになる。これによりプーリ10,20が振動し、この振動が音を発生させる。音が発生する要因は他にもあるが、前記原理による音が最も大きい。
本実施形態のチェーン1では、ピン3のピン長手方向に垂直な断面における断面積が相違する複数種のピン3、即ち太ピン3fと細ピン3h、とを含んでいる。この太ピン3fと細ピン3hとでは、上記の音発生原理において各シーブ面を押す力の大きさや時間か異なる。特に、太ピン3fと細ピン3hとでは前記回復変形の形態が異なり、該回復変形の際に各シーブ面に与える力の大きさやそのタイミングなどが異なってくる。そうすると、プーリ10,20から発生する音の周波数が分散され、発生音の音圧レベルのピーク値を低減することができ、またプーリ10,20の共鳴も抑えられる。よって、チェーン式無段変速機50が作動した際の発生音が小さくなる。
太ピン3f及び細ピン3hは、共に、それぞれのピン内において、ピン長手方向のいずれの位置においても断面形状及び断面積は同一である。即ち、単一のピン内において、ピン長手方向のどの位置でも断面形状及び断面積が同一とされている。
よって、形状が比較的単純であるので、その作製が容易である。
前述のように、チェーン1に装着された状態において、太ピン3fの断面形状と細ピン3hの断面形状とを比較すると、両者はチェーン厚み方向(図2の上下方向)長さはほぼ同一であるが、太ピン3fのチェーン長手方向幅Lfは、細ピン3hの同幅Lhより長くなっている。
そして、リンク2のピッチは、この各ピン3f、3hの断面形状に対応したものとされている。即ち、太ピン3fが挿通されるリンク2には、該太ピン3fに対応して比較的大きな貫通孔4である太貫通孔4fが設けられることになるが、この太貫通孔4fに対応すべくピッチがより長い長リンク2fが用いられている。
さらに本実施形態では、相違するピッチ長さに対応して、リンク自体のチェーン長手方向長さも相違させている。
このように、ピッチの相違する複数のリンク2を用い、ピッチが長いリンクほどチェーン長手方向に幅広のピンが挿通されているので、チェーン1の設計が容易となる。即ち、前記のように複数種のピンを用いて発生音を低減させようとする場合、ピン3の断面のチェーン長手方向幅のみを変えることにより複数種のピンを作製しておき、これに対応させて個々のリンク2のピッチを適宜変えることにより、ピッチ及びピン3断面のチェーン長手方向幅の異なるチェーン1を容易に設計できる。更に、かかるピッチ及びチェーン長手方向幅の相違に対応させて、チェーン自体の帯長手方向長さを変えることにより、例えばピン断面の上下方向(チェーン厚さ方向)幅を変える場合と比較して、チェーン1の設計が容易となる。
また、太ピン3fの断面積と細ピン3hの断面積とを比較すると、太ピン3fの断面積は、細ピン3hの断面積の1.1倍〜2倍とされている。この値が1.1倍以下である場合、複数種のピンの断面積の相違が小さくなるので、前述した音低減効果が十分でない傾向となる。また、この値が2倍以上である場合、ピンとピンとのチェーン長手方向間隔(ピッチ)が長くなる傾向となり、音のエネルギーが大となって、かえって発生音を大きくしてしまう可能性がある。また、断面積が小さすぎて強度や剛性が不足したピンや、断面積が大きすぎてチェーン1の設計自由度を低下させるピンが含まれてしまう場合もある。しかし、本実施形態のように1.1倍〜2倍とすることによりかかる不都合がない。このような観点から、太ピン3fの断面積は、細ピン3hの断面積の1.5倍〜2倍とするのが更に好ましい。
前記実施形態では、断面積が相違する2種類のピン3f,3hを含むものとしたが、ピンの種類は2種類の場合に限られず、3種類以上であってもよいことはいうまでもない。また、断面積は同一で断面形状のみ相違するものでもよい。そのような場合も、前記音発生原理における圧縮変形時や回復変形時などにプーリ10,20に与える力やタイミングなどが相違するからである。
また、前述のように、ピンの断面積または断面形状は、ピン長手方向各位置の断面のそれぞれにおいて比較し、一の断面でも相違していればよいから、例えば、対比するピン相互間において、ピンの断面形状及び断面積がピン長手方向各位置のほとんどで同一であるが、一方のピンのみピン長手方向の一部分にくびれや凹部、あるいは凸部などがあり、当該部分のみにおいて断面形状または断面積が相違している場合であってもよい。この場合も、前記音発生原理における圧縮変形時や回復変形時などにプーリ10,20に与える力やタイミングなどが相違するからである。
本発明では、前述のように、ピッチの長いリンクほどチェーン長手方向に幅広のピンが挿通されているのが好ましいが、これには、例えば次の(イ)及び(ロ)の態様が含まれる。
(イ)ピンは、チェーン長手方向に幅広のもの(以下、太ピンという)と同幅狭のもの(以下、細ピンという)の2種類であり、リンクは、二つの貫通孔のうち一つに太ピンが挿通され残り一つの貫通孔に細ピンが挿通されたリンクAと、二つの貫通孔の両方とも細ピンが挿通されたリンクBの2種類がある場合、リンクBよりもリンクAのほうのピッチを長くする態様。
(ロ)ピンは太ピンと細ピンの2種類であり、リンクは、二つの貫通孔の両方とも太ピンが挿通されたリンクCと、二つの貫通孔のうち一つに太ピンが挿通され残り一つの貫通孔に細ピンが挿通されたリンクDと、二つの貫通孔の両方とも細ピンが挿通されたリンクEの合計3種類がある場合、これらリンクのピッチが、次の不等式
リンクC>リンクD>リンクE
の関係となっている場合。
これら(イ)及び(ロ)の例示からも分かるように、前記「ピッチが長いリンクほどチェーン長手方向に長いピンが挿通されている」とは、「単一のリンクに挿通されるピンの、当該挿通部分におけるチェーン長手方向幅の総和」が大きい場合ほど、ピッチの長いリンクを用いることにより、複数種のピンを有するチェーンの設計を容易とするものである。
また、前記実施形態では、断面積が相違する複数種のピンを用いたが、ピン長手方向に作用する力に対する剛性が相違する複数種のピンを含むものでもよい。この場合も、前述の如く、前記音発生原理における圧縮変形時や回復変形時などにプーリ10,20に与える力やタイミングなどが相違するからである。かかる剛性を相違させるためには、例えば、ピンの断面積や断面形状を変えて剛性を相違させたり、ピンの材料を相違させたり、金属ピンの熱処理を相違させたりする手法などを適宜採用することができる。
なお、本発明の動力伝達チェーンにおいて、複数種のピンをどのような順序で配列するかについては、複数種類のピンを不規則的に配列するのが好ましい。かかる不規則配列により、発生音の周波数を効果的に分散でき、また共鳴をより少なくすることができるからである。
このような不規則配列のうち最適な配列を求めるためには、例えば、ピンの配列パターンをランダムに変えた多数のチェーンにて実験を行ったり、コンピュータでシミュレーションを行ったりして、発生音の小さい最適な配列を決めることができる。
前述の実施形態では、複数種のリンクを用いたが、リンクを単一種としてもよい。リンクを単一種とするためには、リンクを挿通する部分のピンの断面形状を全てのピンにおいて同一にしておくのが好ましい。そのためには、例えば、全てのピン相互間においてピンの断面形状及び断面積が同一でかつ材質が異なる複数種のピンを用いたり、複数のピン相互間においてリンク挿通部分以外のピン長手方向位置における断面形状を互いに相違させる等の手法を採用することができる。リンクが単一種の場合、チェーンの部品種類が減少して部品管理が容易となるとともに、チェーンの組立が簡易となりコストダウンに寄与する。
(実施例による音圧レベル低減効果の検証)
第1発明の音圧レベル低減効果を確認すべく、実施例及び比較例による検証を行った。図3は、ピン長手方向長さが実質的に同一で、且つ、ピンの種類が1種類で且つリンクの種類も1種類である比較例1のチェーンを備えた動力伝達装置において、作動時の発生音を測定し、この音の各周波数における音圧レベルを表示したグラフである。この比較例1のチェーンでは、各ピン相互間の間隔(ピッチ)はチェーン全長において等しくなっている。一方、図4は、ピンの長手方向長さが実質的に同一だが、ピンのチェーン長手方向幅が相違する2種類のピンと、リンクのピッチが相違する2種類のリンクとを備えた実施例1のチェーンを装着した場合のグラフである。この実施例1は、等ピッチである前述の比較例1とは異なり、ピン相互間の距離(ピッチ)をチェーン内で相違させている。ピン及びリンクの仕様を除き、実施例1の動力伝達装置と比較例1のそれとの仕様は全く同一である。
なお、実施例1では、ピッチP1が8.8mmのリンクと、ピッチP2が8.2mmのリンクという2種類のリンクを用い、且つ、チェーン長手方向幅Lfが2.5mmの太ピンと、チェーン長手方向幅Lhが2.0mm(幅Lfの80%)の細ピンという2種類のピンを用いた(図2参照)。また、ピンのチェーン厚さ方向幅La(図2参照)は、2種類のピン共に6mmとした。
図3及び図4に示すように、実施例1は比較例1よりも音圧レベルの最大値が約10dB小さくなった。
次に、本発明における第2発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
第2発明の一実施形態に係るチェーン式無段変速機用のチェーン(以下単に「チェーン」ともいう)100の要部構成の模式的斜視図は、上述した第1発明のチェーン1と同様、図1により示され、その基本構成はチェーン1と共通である。即ち、このチェーン100は、全体として無端帯状をなし、複数の金属製リンク2と、これらリンク2を相互に連結するための複数の金属製のピン3と、これらピン3よりもピン長手方向長さが若干短い複数のストリップ5とから構成されている。リンク2及びピン3は、例えば軸受鋼等の金属からなる。複数のストリップ5は全て同一形状とされている。一方、複数のピン3は異なる断面形状のものを含んでいるが、その長手方向長さは全てのピン3で同一である。ピン3の端面3tは、ストリップ5の端面よりもチェーン幅方向外側に位置しており、この端面3tがプーリのシーブ面と接触することになる。即ちこのチェーン1では、ピン3がチェーン摩擦伝達部材を兼ねた伝達ピンとされている。
図5は第2発明におけるチェーン100のリンク2の平面図であるが、このリンク2の形状も、前述した第1発明のチェーン1と共通である。この図5及び図1に示すように、個々のリンク2は、略長方形の板状部材の角を丸めたような外形をなしており、且つそのリンク長手方向(チェーン長手方向と一致)に並列して2つの貫通孔4を有している。そして、一つの貫通孔4に、ストリップ5とピン3とがそれぞれ一本ずつ挿通されている。リンク2は、チェーン幅方向に複数枚重複して配置されるとともに、チェーン長手方向位置を順次ずらしながら配置されている。そして、チェーン長手方向の位置を相違させつつチェーン幅方向に重複配置されたリンク2の貫通孔4に共通のピン3を貫通させることにより、複数のリンク2を相互に連結して、無端帯状のチェーン100とされている。
図5に示すように、リンク2の有する2つの貫通孔4は、チェーン長手方向に並ぶ第1貫通孔41と第2貫通孔42とから構成される。第1貫通孔41と第2貫通孔42とは互いに形状が相違しており、後述するようにチェーン1のチェーン長手方向への屈曲(チェーン1が円形のプーリに巻き付くことができるような屈曲)が可能となっている。チェーン1においては、全てのリンク2のそれぞれに共通して、第1貫通孔41は第2貫通孔42に対してチェーン長手方向一方側に位置する。換言すれば、全てのリンク2それぞれにおいて、第2貫通孔42は第1貫通孔41に対してチェーン長手方向他方側に位置する。
図6は、これら第1貫通孔41と第2貫通孔42とにそれぞれ一組のピン3とストリップ5とが挿入された状態を示す図である。そして、一組のピン3とストリップ5とは、複数のリンク2のうち一のリンク2の第1貫通孔41と他のリンク2の第2貫通孔42とを貫通することによりチェーン幅方向に並ぶリンク2同士をチェーン長手方向に屈曲可能に連結している。
図6に示すように、あるリンク2単体について見ると、ピン3は第1貫通孔41に圧入されて固定されており、且つこのピン3と接触するストリップ5は第1貫通孔41に対して所定隙間を介して挿入されて第1貫通孔41に移動可能に嵌め入れられている。一方、同リンク2における第2貫通孔42においては、ストリップ5は第2貫通孔42に圧入されて固定されており、且つこのストリップ5と接触するピン3は第2貫通孔42に対して所定隙間を介して挿入されて第2貫通孔42に移動可能に嵌め入れられている。
そして、図1に示すように、互いにチェーン長手方向位置を相違させつつチェーン幅方向に隣接する2つのリンク2について見ると、一のリンク2の第1貫通孔41に固定され且つ他のリンク2の第2貫通孔42に移動可能に嵌め入れられたピン3と、一のリンク2の第1貫通孔41に移動可能に嵌め入れられ且つ他のリンク2の第2貫通孔42に固定されたストリップ5とが設けられた構成とされている。そして、同一の貫通孔4(第1貫通孔41又は第2貫通孔42)に挿入されたピン3及びストリップ5の組が相対的に転がり接触移動することにより、チェーン1のチェーン長手方向への屈曲が可能とされている。
そして、これらピン3とストリップ5との接触位置の軌跡は、チェーン1の側面視において円のインボリュートとされている。図7は、転がり接触(厳密には若干のすべり接触を含む転がり接触。転がり摺動接触ともいう。)しながら移動するピン3及びストリップ5の変位の様子を示す図であり、第1貫通孔41ではピン3及びストリップ5のうちストリップ5のみが第1貫通孔41に対して移動(回転)し、第2貫通孔42ではピン3及びストリップ5のうちピン3のみが第2貫通孔42に対して移動(回転)する様子が示されている。チェーン1がチェーン長手方向に屈曲する際にはこのような転がり接触移動が起こる。ただし、ピン3とストリップ5とは、転がり接触移動の全範囲を含んで常に接触しており、このため伝達損失が最小限とされて高い動力伝達効率が確保されている。
かかるピン3とストリップ5との転がり接触移動におけるピン3とストリップ5との接触位置の軌跡を円のインボリュートとすべく、ピン3におけるストリップ5との接触面3aの断面形状は、所定の基礎円半径Rを有するインボリュート曲線とされ、一方ストリップ5の接触面5aは平面(断面形状は直線)とされている。なお、接触面3aのうちピン3とストリップ5とが転がり接触する範囲(以下、作用側面ともいう)の断面形状をインボリュート曲線とすればよい。
なお、ピン3とストリップ5との接触位置の軌跡を円のインボリュートとするためには、本実施形態のようにピン3の接触面3aをインボリュート形状とし且つストリップ5の接触面5aを平坦面としてもよく、逆にストリップ5の接触面5aをインボリュート形状としてピン3の接触面3aを平坦面としてもよい。また、両接触面3a,5aのいずれも曲面とすることにより前記軌跡を円のインボリュートとすることもでき、この場合には、接触面3a及び接触面5aの各作用側面の断面形状が同一とされるのが好ましい。
なお、本発明におけるインボリュートには、インボリュートに近似したもの(略インボリュート)も含まれる。インボリュートに近似したものであっても、前記多角形振動をある程度抑制できるからである。
そして、チェーン1は、接触面3a(の作用側面)の断面形状におけるインボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン3を備えている。その結果、互いの接触位置の軌跡であるインボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン3及びストリップ5の組が形成されている。
更に、チェーン摩擦伝達部材でもある複数のピン3は、チェーン幅方向の力に対する剛性が異なる複数種のピン3を含んでいる。本実施形態では、ピン3の断面積を異ならせることにより前記剛性を相違させている。即ち、全てのピン3は同一の素材よりなるが、ピン3の太さを異ならせることによりチェーン幅方向(ピン長手方向)の力に対する剛性を相違させている。屈曲していない部分のチェーン100の側面図は、前述したチェーン1と同様に図2により示され、同チェーン1と基本構成は共通している。即ち、ピン3は、そのピン長手方向に垂直な断面における断面積が比較的大きい太ピン3fと、同断面積が比較的小さい細ピン3hという、断面積の相違する2種のピン3f,3hで構成されている。太ピン3fと細ピン3hとのピン長手方向長さは実質的に同一である。ピン長手方向長さが実質的に同一、とは、複数のピンの長手方向長さが、通常の方法で同一長さに作製しようとしたときに生じる誤差の範囲内にあることを意味し、例えば、ピン長手方向長さの相違が60μm以下とされている。
太ピン3f及び細ピン3hは、それぞれのピンにおいて、単一のピン内におけるピン長手方向各位置での断面形状(ピン長手方向に垂直な断面における断面形状。以下単に断面形状ともいう)及び断面積(ピン長手方向に垂直な断面における断面積。以下単に断面積ともいう)は、ピン長手方向の全長に亘って略同一である。つまり、それぞれのピンにおいて、ピン長手方向のどの位置においても略同一断面形状であり且つ略同一断面積である。
また、図2に示すように、太ピン3fの断面形状は、細ピン3hの断面形状をチェーン長手方向に拡大したような形状となっている。即ち、チェーン100に装着された状態において、太ピン3fの断面形状と細ピン3hの断面形状とを比較すると、両者はチェーン厚み方向(図2の上下方向)幅はほぼ同一であるが、太ピン3f断面のチェーン長手方向幅Lfは、細ピン3h断面のチェーン長手方向幅Lhよりも長い。
なお、太ピン3fの断面積と細ピン3hの断面積とを比較すると、太ピン3fの断面積は、細ピン3hの断面積の1.01倍〜2倍が好ましく、1.1倍〜2倍が更に好ましい。
リンク2の貫通孔4の形状は、太ピン3f及び細ピン3hの形状に対応したものとなっている。即ち、太ピン3fが挿通する太貫通孔4fは、細ピン3hが挿通する細貫通孔4hよりも大きい。なお、上述したように、チェーン100がチェーン長手方向に屈曲できるようにするため、一つのリンク2内にある左右二つの貫通孔4である第1貫通孔41と第2貫通孔42とは互いに形状が相違しているが、本明細書において太貫通孔4fあるいは細貫通孔4hというときには、第1貫通孔41と第2貫通孔42との区別を考慮せず、太ピン3fが挿通する貫通孔4を全て太貫通孔4fとし、細ピン3hが挿通する貫通孔4を全て細貫通孔4hとする。太貫通孔4fは第1貫通孔41又は第2貫通孔42のいずれであってもよく、同じく細貫通孔4hは第1貫通孔41又は第2貫通孔42のいずれであってもよい。
チェーン100では、リンク2も複数種のものが用いられている。即ち、図2に示すように、リンク2は、太貫通孔4fを有する長リンク2fと、太貫通孔4fを有さない短リンク2hとを含んでいる。長リンク2fでは、二つの貫通孔4のうち一つが太貫通孔4fで、残り一つが細貫通孔4hとなっている。一方、短リンク2hでは、二つの貫通孔4はいずれも細貫通孔4hである。
そして、長リンク2fのピッチP1は、短リンク2hのピッチP2よりも長くなっている。また、かかるピッチP1,P2に対応して、長リンク2fのチェーン長手方向長さXは、短リンク2hのチェーン長手方向長さYよりも長くなっている。そして、各リンク2f,2hのピッチの相違に伴い、これら各リンクに挿通されたピン3のピッチも相違している。
なお、チェーン100に複数のピッチを設ける場合、最長のピッチは最短のピッチの1.1倍〜1.3倍程度、更には1.2倍程度とすると、ピッチを複数とした効果が充分となり且つ最長ピッチが長くなりすぎないので好ましい。また、リンク2の長さ(チェーン長手方向長さ)が異なる複数種のリンク2を設ける場合、最長リンクの数は最短リンクの数の1/4以下とするのが好ましい。この比率が高すぎると長いリンクが多くなりすぎてピッチの長い部分が増えて発生音が増加する場合があるからである。ただし、この比率が少ないとリンクの長さを異ならせた効果が減少するから、最長リンクの数は最短リンクの数の15%以上とするのが好ましい。
前述のように、ピン3は、接触面3aの断面形状において、インボリュートの基礎円半径が相違する2種類以上のピン3を有するが、このインボリュート形状とピン3の太さとは自由に組み合わせることができる。例えばインボリュートの基礎円半径がR1とR2の2種類とし、且つR1>R2としたとき、細ピン3hの断面形状におけるインボリュートの基礎円半径をR1とし、太ピン3fのそれをR2とすることもできるし、逆に太ピン3fの断面形状におけるインボリュートの基礎円半径をR1とし、細ピン3hのそれをR2とすることもできる。
図15は、このチェーン100を備えた、本発明の動力伝達装置の一実施形態としてのチェーン式無段変速機50の概略構成を示す斜視図である。上述した第1発明において説明したように、このチェーン式無段変速機50は、例えば自動車用の変速機として用いることができるものであり、第1のプーリとしての金属製ドライブプーリ10と、第2のプーリとしての金属製ドリブンプーリ20と、それらプーリ10,20の間に架け渡された無端帯状のチェーン100とを備えている。プーリ10,20は、例えば軸受鋼等の金属からなる。なお、図15中において、理解を容易とするためチェーン100の断面を一部明示している。
図16は、無段変速機50の、プーリ10又は20における断面図(プーリ10,20の径方向に沿った断面における断面図)である。同図に示すように、チェーン100におけるピン3の端面3tが、プーリ10(20)の内側で互いに対向する円錐面状のシーブ面12a,13a(22a,23a)と接触し、この接触摩擦力によりトラクションを伝達する。このように、ピン3はチェーン摩擦伝達部材を兼ねた伝達ピンとされている。
チェーン100においては、細ピン3hと太ピン3fとは不規則な順で(ランダムに)配置されている。また、短リンク2hと長リンク2fについても不規則な順で配置されているから、ピッチP1とピッチP2も不規則な順で(ランダムに)配置されている。また、インボリュートの基礎円半径がR1とR2の2種類とし、且つR1>R2としたとき、断面形状におけるインボリュートの基礎円半径がR1のピン3と同じくR2のピン3とが不規則な順で(ランダムに)配置されている。なお「不規則な順」といっても、チェーン100の全周に亘って完全に不規則である必要はない。
以上のように構成されたチェーン100は、以下のような作用効果を奏する。
ピン3とストリップ5との接触位置の軌跡が円のインボリュートとされているから、多角形振動が少なくなる。
この点に関し、先ず多角形振動から説明する。図8は、チェーンの側面視において、従来の一般的なチェーンがプーリに巻き掛けられる際のピンの軌跡の概略を示している。同図は、チェーンが図面左側から右側へと進行しながら図面右側に位置するプーリ(図示省略)に巻き掛けられる際のピンの軌跡を示したものであり、その横軸は、チェーンがプーリに噛み込まれ始める位置である噛込位置からの位置(mm)を示している。噛込位置よりもチェーン進行方向の先側(図面右側)では、チェーンがプーリに巻き掛けられた状態とされるので、ピンの軌跡はチェーン100の巻き掛け半径に対応した円弧形状となっているが、噛込位置よりもチェーン進行方向手前側(図面左側)ではピンの軌跡が波を打ったように上下に振動している。これが多角形振動である。このような多角形振動は、チェーンがリンクを連結したものであり、チェーン長手方向に屈曲させた際に完全に円弧にはならず多角形となってしまうことに起因する。つまりこの場合、噛込位置においてプーリの接線方向とピン進入方向とが異なってしまい、図8に示す進入角が生じて、ピンは下降しながらプーリと接触することになる。プーリとピンとが接触する瞬間のピンの下降量が初期噛込位置変化量として示されている。このピンの下降によりチェーンに上下運動が生じ、かかる上下振動の繰り返しにより多角形振動が生ずる。上述した接触位置の軌跡を円のインボリュートとすると、前記進入角(図8参照)が小さくなり、初期噛込位置変化量が減少して、多角形振動が抑制される。
そして、インボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上のピン3及びストリップ5の組が形成されているから、多角形振動の共振が抑制され、該多角形振動による発生音が低減される。
そして、太ピン3fと細ピン3hとは断面積が相違しているので、チェーン式無段変速機50が作動する際の発生音を低減することができる。その原理は次の通りである。
図15に示すチェーン式無段変速機50において、チェーン100が各プーリ10,20のシーブ面12a,13a,22a,23aに進入する際に、チェーン100のピン3がこれらシーブ面に衝突して当該シーブ面を押す。この反作用で、ピン3はその端面3tからシーブ面から押され、ピン3はそのピン長手方向長さを圧縮させる方向の力を受けて変形する(この変形を以下、圧縮変形などという)。この力によりピン3は弾性変形し、その後に元の形状を回復するように変形する(この変形を以下、回復変形などという)が、この回復変形の際、再びシーブ面12a,13a,22a,23aを押すことになる。このような原理(以下、音発生原理ともいう)これによりプーリ10,20が振動し、この振動が音を発生させる。
本実施形態のチェーン100では、ピン3のピン長手方向に垂直な断面における断面積が相違する複数種のピン3、即ち太ピン3fと細ピン3h、とを含んでいる。この太ピン3fと細ピン3hとでは、上記の音発生原理において各シーブ面を押す力の大きさや時間か異なる。特に、太ピン3fと細ピン3hとでは前記回復変形の形態が異なり、該回復変形の際に各シーブ面に与える力の大きさやそのタイミングなどが異なってくる。そうすると、プーリ10,20から発生する音の周波数が分散され、発生音の音圧レベルのピーク値を低減することができ、またプーリ10,20の共鳴も抑えられる。よって、チェーン式無段変速機50が作動した際の発生音が小さくなる。
太ピン3f及び細ピン3hは、共に、それぞれのピン内において、ピン長手方向のいずれの位置においても断面形状及び断面積は同一である。即ち、単一のピン内において、ピン長手方向のどの位置でも断面形状及び断面積が同一とされている。よって、形状が比較的単純であるので、その作製が容易である。
また、太ピン3fと細ピン3hとのピン長手方向長さは実質的に同一であるから、特定のピン3に摩耗が集中してしまうということがない。
前述のように、チェーン100に装着された状態において、太ピン3fの断面形状と細ピン3hの断面形状とを比較すると、両者はチェーン厚み方向(図2の上下方向)長さはほぼ同一であるが、太ピン3fのチェーン長手方向幅Lfは、細ピン3hの同幅Lhより長くなっている。
そして、リンク2のピッチは、この各ピン3f、3hの断面形状に対応したものとされている。即ち、太ピン3fが挿通されるリンク2には、該太ピン3fに対応して比較的大きな貫通孔4である太貫通孔4fが設けられることになるが、この太貫通孔4fに対応すべくピッチがより長い長リンク2fが用いられている。
さらに本実施形態では、相違するピッチ長さに対応して、リンク自体のチェーン長手方向長さも相違させている。
このように、ピッチの相違する複数のリンク2を用い、ピッチが長いリンクほどチェーン長手方向に幅広のピンが挿通されているので、チェーン100の設計が容易となる。即ち、前記のように複数種のピンを用いて発生音を低減させようとする場合、ピン3の断面のチェーン長手方向幅のみを変えることにより複数種のピン3を作製しておき、これに対応させて個々のリンク2のピッチを適宜変えることにより、ピッチ及びピン3断面のチェーン長手方向幅の異なるチェーン100を容易に設計できる。更に、かかるピッチ及びチェーン長手方向幅の相違に対応させて、チェーン自体の帯長手方向長さを変えることにより、例えばピン断面の上下方向(チェーン厚さ方向)幅を変える場合と比較して、チェーン100の設計が容易となる。
また、長リンク2fと短リンク2hとでリンクのピッチが相違し、それに伴ってピン3のチェーン長手方向ピッチも相違している。ピン3のチェーン長手方向ピッチが相違しているから、ピン3とプーリとの接触ピッチも相違する。よって、ピン3とプーリとの接触により発生する音の周期が分散され、発生する音圧レベルのピークが小さくなる。また、ピッチが長いリンクほどチェーン長手方向に幅広のピン3を挿通する構成であるから、ピン3のピッチを相違させつつピン3のチェーン幅方向の力に対する剛性を相違させることが容易となり、発生音低減効果が更に高まる。
なお、太ピン3fの断面積と細ピン3hの断面積とを比較すると、太ピン3fの断面積は、細ピン3hの断面積の1.01倍〜2倍とするのが好ましい。この値が1.01倍以下である場合、複数種のピンの断面積の相違が小さくなるので、前述した音低減効果が十分でない傾向となる。また、この値が2倍以上である場合、ピンとピンとのチェーン長手方向間隔(ピッチ)が長くなる傾向となり、音のエネルギーが大となって、かえって発生音を大きくしてしまう可能性がある。また、断面積が小さすぎて強度や剛性が不足したピンや、断面積が大きすぎてチェーン100の設計自由度を低下させるピンが含まれてしまう場合もある。しかし、本実施形態のように1.01倍〜2倍とすることによりかかる不都合がない。同じ観点から、太ピン3fの断面積は、細ピン3hの断面積の1.5倍〜2倍とするのが更に好ましい。
上記実施形態では、インボリュートの基礎円半径が2種類の場合で説明したが、これが3種類以上であってもよい。同様に、ピンの剛性やピッチについても上記実施形態のように2種類の場合に限られず、3種類以上であってもよいことはいうまでもない。ただし、種類を多くしすぎると、部品の管理コストや製造コストが上昇することとなる。ピン剛性、ピッチ、インボリュートの基礎円半径がそれぞれ2〜3種類とすると、充分な発生音低減効果が得られ且つコストとのバランスが良好であるので好ましい。
ピンの剛性(チェーン幅方向の力に対する剛性)を相違させるためには、断面積は同一で断面形状のみ相違するものでもよく、断面積や断面形状が同一で素材のみ異なるものでもよい。また素材のみを異ならせる代わりに、同一素材で熱処理を異ならせても良い。更に、該剛性を相違させるための他の態様としては、例えば、対比するピン相互間において、ピンの断面形状及び断面積がピン長手方向各位置のほとんどで同一であるが、一方のピンのみピン長手方向の一部分にくびれや凹部、あるいは凸部などがあり、当該部分のみにおいて断面形状または断面積が相違している場合であってもよい。
ピンの剛性(チェーン幅方向の力に対する剛性)を相違させるために、ピン3の接触面3aと反対側の面である背面3d(図6参照)に溝等の凹部を形成することによりピン3のピン断面積を変化させることもできる。この場合、全く同一のピン3を複数本作製しておき、このピン3の背面3dにおいて溝等の凹部の有無や形状、配置等を変化させて、ピン断面積やピン断面形状を変化させてもよい。この場合、簡便な加工(溝加工等)を行うだけで剛性を変化させることができ、また溝によりピン3の種別を簡便に判別でき、更には該凹部を加工しても接触面3aの断面形状や貫通孔4の形状に影響がないという利点がある。
本発明では、前述のように、ピッチの長いリンクほどチェーン長手方向に幅広のピンが挿通されているのが好ましいが、これには、例えば次の(イ)及び(ロ)の態様が含まれる。
(イ)ピンは、チェーン長手方向に幅広のもの(以下、太ピンという)と同幅狭のもの(以下、細ピンという)の2種類であり、リンクは、二つの貫通孔のうち一つに太ピンが挿通され残り一つの貫通孔に細ピンが挿通されたリンクAと、二つの貫通孔の両方とも細ピンが挿通されたリンクBの2種類がある場合、リンクBよりもリンクAのほうのピッチを長くする態様。
(ロ)ピンは太ピンと細ピンの2種類であり、リンクは、二つの貫通孔の両方とも太ピンが挿通されたリンクCと、二つの貫通孔のうち一つに太ピンが挿通され残り一つの貫通孔に細ピンが挿通されたリンクDと、二つの貫通孔の両方とも細ピンが挿通されたリンクEの合計3種類がある場合、これらリンクのピッチが、次の不等式
リンクC>リンクD>リンクE
の関係となっている場合。
これら(イ)及び(ロ)の例示からも分かるように、前記「ピッチが長いリンクほどチェーン長手方向に長いピンが挿通されている」とは、「単一のリンクに挿通されるピンの、当該挿通部分におけるチェーン長手方向幅の総和」が大きい場合ほど、ピッチの長いリンクを用いることを意味し、これにより複数種のピンを有するチェーンの設計を容易とするものである。
なお、上述のように、複数種のピン剛性、複数のピッチ、及び複数のインボリュート形状はそれぞれ不規則な順に(ランダムに)配列するのが好ましいが、このような不規則配列のうち最適な配列を求めるためには、例えば、各配列パターンをランダムに変えた多数のチェーンにて実験を行ったり、コンピュータでシミュレーションを行ったりして、発生音の小さい最適な配列を決めることができる。
一般的に、多角形振動の振幅とピッチとの関係は、ピッチが大きくなるほど振幅が大きくなるという傾向にある(図9参照)。同様に、図10に示す進入角とピッチとの関係も、ピッチが大きくなるほど進入角も大きくなる傾向である。一方、図11に示すようにインボリュートの基礎円半径を大きくしても多角形振動の振幅はそれほど増加しない一方で、図12に示すようにインボリュートの基礎円半径を大きくすると進入角が小さくなる傾向となる。よって、長いピッチを形成するピン3及びストリップ5の組ほどインボリュートの基礎円半径を大きくすると、ピッチ大に伴うデメリットを解消しながらインボリュートの基礎円半径とピッチとを複数種とできるので好ましい。
なお、図11及び図12のグラフにおいて、回転半径小とはチェーンの巻き掛け半径が31.65mmの場合であり、回転半径大とは同巻き掛け半径が73.859mmの場合である。
また、インボリュートの基礎円半径が小さいピン3ほどピン剛性を小さくするのが好ましい。基礎円半径の小さいピンの方が発生音(打音)が大きい傾向にあるが、この基礎円半径の比較的小さいピンの剛性を比較的小さくすることで発生音(打音)の大きさを吸収(緩和)することができるからである。
ここで、前記実施形態のチェーン100におけるピン3の接触面3aの断面形状の好ましい態様について説明する。図14は、この好ましい形状について説明するための図であって、ピン3をその端面3t方向から見た側面図である。ピン3の接触面3aのうちストリップ5と転がり接触する作用側面は、チェーン100が屈曲していない状態におけるピン3とストリップ5との接触線A(図14において点で示され、以下点Aともいう)から接触線B(図14において点で示される)までの領域である。そして、この作用側面の断面線を含んで接触面3aの断面線は滑らかな凸状曲線により構成されている。
そして、ピン3の断面における作用側面のインボリュート曲線は、図14に示すように、ピン3の断面線の点Aにおける接線SA上に基礎円半径Rbの中心Mが配置されているのが好ましい。そして、基礎円半径Rbは、チェーン100がプーリ(図14において図示されない)に巻き掛けられた状態における巻き掛け中心(図14において図示されない)から点Aまでの距離dA(図示しない)程度とすると、多角形振動が最小限となり好ましい。ただし、例えば自動車用のCVTの場合、巻き掛け半径が所定範囲で変化するから、前記距離dAも変化する。よってこの場合は、巻き掛け半径が最大の時の前記dAをdAxとし、巻き掛け半径が最小の時の前記dAをdAnとしたとき、1/4(dAn)≦Rb≦2(dAx)となるように基礎円半径Rbを設定し、この範囲内で基礎円半径Rbを複数種類とするのが好ましい。
(実施例による音圧レベル低減効果の検証)
第2発明の音圧レベル低減効果を確認すべく、実施例及び比較例による検証を行った。図13は、実施例2及び比較例2,3の動力伝達装置における運転時の発生音を同一条件で測定して比較したグラフである。実施例2は、上述した第2発明の実施形態と同様の構成とし、インボリュートの基礎円半径、ピン3の断面積、ピッチの3項目につきそれぞれ2種類ずつを混在させ且つそれぞれにつき不規則的に配列したものである。比較例3は、ピン3の断面形状は凸状の曲線(クラウニング)とされているもののインボリュートとはされておらず、またピンの剛性やピッチも1種類のみとされたものである。また、比較例2は、従来から自動車用CVT用として実用化されている金属ベルトであって、ベルト長手方向に対して垂直な向きに配置され且つベルト長手方向に多数重ねられた薄肉のコマをスチールバンドで連結した構造のものである。この比較例2は、比較例3のような従来の動力伝達チェーンと比較して発生音は少ないものの、屈曲性に比較的劣るために変速比の自由度が比較例3のようなチェーンタイプのものよりも小さいことが一般に知られている。
これら3つの例について、4種類の回転数で発生音を測定し、最大音圧レベル(dBA)とオーバーオール値(dBA)の両方で比較した。その結果、図13に示すように、最大音圧レベル(dBA)の比較では、実施例2は4種類の回転数の全てにおいて比較例3よりも低騒音となった。また、特に1000rpm及び2000rpmにおいては、実施例2は比較例2,3のいずれに対しても低い値となって、比較的静粛性が高いとされてきた金属ベルト式の比較例2よりも低騒音となった。また、オーバーオール値(dBA)で比較すると、実施例2は全ての回転数において比較例2及び比較例3よりも低騒音となった。
なお、上記の実施形態では、ピン3がチェーン摩擦伝達部材を兼ねる場合のみを例示したが、互いに転がり接触する第1ピン及び第2ピンとは別のチェーン摩擦伝達部材を設けても良い。例えば、第1ピン及び第2ピンと平行にチェーン幅方向に延びる棒状部材であってこれら両ピンよりもチェーン幅方向両側に突出したチェーン摩擦伝達部材(摩擦ブロック)をチェーン長手方向所定間隔おきに複数本設け、このチェーン摩擦伝達部材の両端面がプーリのシーブ面と接触して動力を伝達する構成でもよい。
なおここで、上述した第1発明及び第2発明のチェーンを用いた前記無段変速機50が変速機として機能するしくみについて説明しておく。図15に示すドライブプーリ10は、エンジン側に接続された入力軸11に一体回転可能に取り付けられたものであり、円錐面状のシーブ面12aを有する固定シーブ12と、このシーブ面12aに対向して配置される円錐面状のシーブ面13aを有する可動シーブ13とを備えている。そして、これらシーブ面12a,13aによりチェーン1(チェーン100)を側面から強圧で挟み込むようになっている。また、可動シーブ13には、油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、これにより可動シーブ13は入力軸11の軸方向に可動とされている。可動シーブ13が移動すると、対向するシーブ面12a,13aの対向距離(溝幅)が変化する。チェーン1(チェーン100)のチェーン幅は常に一定であるので、チェーン1(チェーン100)はそのチェーン幅に見合った径方向位置で巻き付き、チェーン1(チェーン100)の巻掛け半径が変化する。
一方、ドリブンプーリ20においても、ドライブプーリ10と同様の原理でチェーン1(チェーン100)の巻掛け半径が変化する。
ドリブンプーリ20は、駆動輪側に接続された出力軸21に一体回転可能に取り付けられており、円錐面状のシーブ面22aを有する固定シーブ22と、このシーブ面22aに対向して配置される円錐面状のシーブ面23aを有する可動シーブ23とを備えている。そして、これらシーブ面22a,23aによりチェーン1(チェーン100)を側面から強圧で挟み込むようになっている。また、可動シーブ23には、油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、これにより可動シーブ23は出力軸21の軸方向に可動とされている。可動シーブ23が移動すると、対向するシーブ面22a,23aの対向距離(溝幅)が変化する。チェーン1(チェーン100)のチェーン幅は常に一定であるので、チェーンはそのチェーン幅に見合った径方向位置で巻き付き、チェーンの巻掛け半径が変化する。
そして、よりローギアな状態に変速する場合には、ドライブプーリ10側の溝幅を可動シーブ13の移動によって拡大させてチェーン1(チェーン100)のドライブプーリ10における巻掛け半径を小さくすると同時に、ドリブンプーリ20側の溝幅を可動シーブ23の移動によって縮小させてチェーン1(チェーン100)のドリブンプーリ20における巻掛け半径を大きくする。
逆に、よりハイギアな状態に変速する場合には、ドライブプーリ10側の溝幅を可動シーブ13の移動によって縮小させてチェーン1(チェーン100)のドライブプーリ10における巻掛け半径を大きくすると同時に、ドリブンプーリ20側の溝幅を可動シーブ23の移動によって拡大させてチェーン1(チェーン100)のドリブンプーリ20における巻掛け半径を小さくする。このようにして、無段変速機能が奏される。
本発明のチェーンは、かかるチェーン式無段変速機50のような動力伝達装置において、その動作時の発生音の音圧レベルを低減することができる。
上述した第1発明及び第2発明の実施形態では、リンク2の第1貫通孔41と第2貫通孔42とは互いに連通していないが(図5参照)、図17及び図18に示すように、本発明(第1発明及び第2発明)では、第1貫通孔41と第2貫通孔42とを互いに連通させてもよい。図17及び図18に示す変形例では、第1貫通孔41と第2貫通孔42とを連通させる連通部Rは、第1貫通孔41と第2貫通孔42とを仕切る仕切り部60(図5等参照)をリンク長手方向に横断するように設けられている。
第1貫通孔41と第2貫通孔42とを連通させる連通部Rを設けることにより、リンク2の変形が容易となり、ピン3やストリップ5から大きな力を受けた場合に貫通孔周縁部における応力集中を緩和することができ、リンクの耐久性が向上する。ピンやストリップをリンクに嵌合固定(圧入、焼嵌、冷嵌等による嵌合固定)する圧入チェーンにおいては特にこの応力集中緩和効果が大きい。
また、これらの変形例において、連通部Rは、両貫通孔41,42のリンク幅方向略中央位置に設けられている。図17に示す変形例では、連通部Rの幅が比較的狭くされており、図18に示す変形例では、連通部Rの幅が比較的広くされている。連通部Rの幅を狭くすると連通部Rの幅が広い場合と比較してリンクの剛性が高くなり、打ち抜き加工にてリンクを作製する際における該リンクの変形を抑制することができる。また、連通部Rの幅を広くすると連通部Rの幅が狭い場合と比較してリンク2の変形が更に容易となるから、応力集中の緩和効果がより大きくなる。この連通部Rの幅は、リンク寸法や荷重条件等により適宜決定すればよい。
図7で示したように、各貫通孔41,42は、ピン3及びストリップ5の転がり接触移動をガイドするガイド機能を果たしているから(図7参照)、第1貫通孔41と第2貫通孔42とを連通させる場合は、かかるガイド機能を損なわないように連通部Rを配置する。このガイド機能を維持するためには、ピン3及びストリップ5と各貫通孔41,42内周面との接触面(上述した転がり接触移動の際に接触する部分の全てを含む)を避けて連通部Rを設けるのが好ましい。ただし、リンクと別体で上記ガイド機能を有するガイド部材を設ける場合には、連通部Rの幅をより大きくして、上記ガイド機能を有する部分が存在しないリンクとしてもよい。

Claims (11)

  1. 貫通孔を有する複数のリンクと、前記貫通孔に挿通され前記複数のリンクを相互に連結する複数のピンと、を備え、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの両端面と前記第1及び第2のプーリのシーブ面とが接触して動力を伝達する動力伝達チェーンであって、
    前記複数のピンは、そのピン長手方向長さが実質的に全て同一であり、且つ、ピン長手方向に作用する力に対する剛性が相違する複数種のピンを含むことを特徴とする動力伝達チェーン。
  2. 複数のリンクと、これらを相互に連結する複数のピンと、を備え、円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、前記ピンの両端面と前記第1及び第2のプーリのシーブ面とが接触して動力を伝達する動力伝達チェーンであって、
    前記複数のピンは、そのピン長手方向長さが実質的に同一であり、且つ、ピン長手方向に垂直な断面における断面形状または断面積が相違する複数種のピンを含むことを特徴とする動力伝達チェーン。
  3. 前記複数のピンのそれぞれは、単一のピン内におけるピン長手方向各位置での前記断面形状及び前記断面積が当該ピンの全長に亘って略同一とされているとともに、前記複数のピン相互間において前記断面積が相違する複数種のピンを含むことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の動力伝達チェーン。
  4. 前記複数のピンは前記断面においてチェーン長手方向幅が相違する複数種のピンを含み、且つ、前記複数のリンクは、そのピッチが相違する複数種のリンクを含むとともに、
    前記ピッチが長いリンクほど前記チェーン長手方向に幅広のピンが挿通されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動力伝達チェーン。
  5. 前記断面積が相違する前記複数種のピンにおいて、前記断面積が最大のピンの当該断面積は、前記断面積が最小のピンの当該断面積の1.1倍以上2倍以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の動力伝達チェーン。
  6. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリとの間に架け渡されて用いられ、チェーン長手方向の所定間隔おきに設けられた複数のチェーン摩擦伝達部材の端面が前記第1及び第2のプーリのシーブ面と接触して動力を伝達する動力伝達チェーンであって、
    チェーン長手方向に並ぶ第1及び第2の貫通孔を有する複数のリンクと、一のリンクの第1貫通孔と他のリンクの第2貫通孔とを貫通することによりチェーン幅方向に並ぶリンク同士をチェーン長手方向に屈曲可能に連結している複数の第1ピン及び複数の第2ピンとを備え、一のリンクの第1貫通孔に固定され且つ他のリンクの第2貫通孔に移動可能に嵌め入れられた前記第1ピンと一のリンクの第1貫通孔に移動可能に嵌め入れられ且つ他のリンクの第2貫通孔に固定された前記第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより前記屈曲が可能とされているとともに、これら第1ピンと第2ピンとの接触位置の軌跡が円のインボリュートとされかつ該インボリュートの基礎円半径が異なる2種類以上の第1ピン及び第2ピンの組が形成されており、
    前記複数のチェーン摩擦伝達部材は、チェーン幅方向の力に対する剛性が異なる複数種のチェーン摩擦伝達部材を含むことを特徴とする動力伝達チェーン。
  7. 前記チェーン摩擦伝達部材は、その長手方向長さが実質的に全て同一であることを特徴とする請求項6に記載の動力伝達チェーン。
  8. 前記複数のチェーン摩擦伝達部材は、チェーン幅方向に垂直な断面における断面形状または断面積が相違する複数種のチェーン摩擦伝達部材を含むことを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の動力伝達チェーン。
  9. 前記第1ピン又は前記第2ピンは、前記チェーン摩擦伝達部材を兼ねた伝達ピンであることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の動力伝達チェーン。
  10. 複数の前記伝達ピンは、ピン長手方向に垂直な断面においてチェーン長手方向幅が相違する複数種の伝達ピンを含み、且つ、前記複数のリンクは、そのピッチが相違する複数種のリンクを含むことを特徴とする請求項9に記載の動力伝達チェーン。
  11. 円錐面状のシーブ面を有する第1のプーリと、
    円錐面状のシーブ面を有する第2のプーリと、
    これら第1及び第2のプーリの間に架け渡される動力伝達チェーンと、
    を備えた動力伝達装置であって、
    前記動力伝達チェーンが、請求項1〜10のいずれかに記載のものであることを特徴とする動力伝達装置。
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