JP4918964B2 - 動力伝達装置 - Google Patents

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Description

本発明は、動力伝達装置に関する。
自動車のプーリ式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)等の動力伝達装置には、エンジン側に連結された可変径プーリからなる駆動プーリと、車軸側に連結された可変径プーリからなる従動プーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられた動力伝達チェーンとを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
上記の動力伝達チェーンは、チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクと、これらのリンクを互いに連結する複数のピンとを備え、ピンがプーリに噛み込まれる(挟持される)ことで、プーリとの間で動力の伝達を行う。また、各プーリにおける動力伝達チェーンの有効半径を変化させることで、減速や増速を行うようになっている。
特開平8−312725号公報
このような動力伝達装置において、駆動時の騒音の低減が求められている。同様の課題は、動力伝達チェーンに関する有効半径が一定とされているプーリを備える動力伝達装置においても存在する。
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、騒音を低減することのできる動力伝達装置および動力伝達チェーンを提供することを目的とする。
本願発明者は、上記動力伝達装置の駆動時の騒音を低減すべく鋭意研究を行った結果、動力伝達チェーンのピンが各プーリに噛み込まれる際の、当該ピンの動きが騒音の発生に影響を及ぼすとの知見を得た。
具体的には、本発明が適用されていない動力伝達装置の要部の模式的な側面図である図22(A)を参照して、動力伝達チェーン150は、チェーン進行方向Xに並ぶ複数のリンク200(図22(A)において、1つのリンク200のみを図示)と、これらのリンク200を互いに連結する複数のピン201とを備えており、各ピン201は、チェーン進行方向Xに並んでいる。各ピン201は、例えば、従動プーリ202に図のZ1点で噛み込まれる。通例、Z1点は、従動プーリ202の中心軸線202aおよび駆動プーリ203の中心軸線203aの双方を含む第1の平面204に直交する第2の平面205よりも、チェーン進行方向Xの上流側に位置している。
ここで、1つのピン201aに注目すると、Z1点で従動プーリ202に噛み込まれたピン201aは、当該従動プーリ202と一体的に中心軸線202a回りに回転する。これにより、従動プーリ202の径方向のうち第2の平面205に平行な所定方向206に関して、ピン201aが運動する。
具体的には、従動プーリ202にZ1点で噛み込まれたピン201aは、従動プーリ202の回転に伴い所定方向206の一方に移動(上昇)し、第2の平面205と交差するZ2点に到達する。そして、Z2点に到達したピン201aは、所定方向206の他方に移動(下降)する。そして、ピン201aがZ3点まで到達したときに、次のピン201bがZ1点に到達し、上記したピン201aの運動と同様の運動を行う。
すなわち、ピン201aは、矢印207で示す軌跡を通り、ピン201bは、ピン201aに連動して矢印208で示す軌跡を通る。
したがって、ピン201aが従動プーリ202に噛み込まれてから、次のピン201bが従動プーリ202に噛み込まれるまでの間に、当該ピン201aには、所定方向206に関して振幅をΔとする往復運動が発生し、同様に、ピン201bにも、振幅をΔとする往復運動が発生する。
ここで、ピン201bがZ1点で従動プーリ202に噛み込まれる際、ピン201aは、Z3点に位置し、所定方向206の他方側に向けて移動(下降)している。このため、ピン201bは、ピン201aに連動して、所定方向206の他方側に向けて移動することとなる。一方、従動プーリ202のZ1点に位置する部分は、Z2点に向けて所定方向206の一方側に向けて移動(上昇)している。
その結果、図22(B)に示すように、ピン201bの速度ベクトルV201bの方向と、従動プーリ202の速度ベクトルV202の方向とが大きく異なって、両者の相対速度が大きくなり、これにより、ピン201bが従動プーリ202とZ1点で衝撃的に接触するため、大きな騒音が発生する。
本願発明者は、上記の知見に基づいて、さらに鋭意研究を行い、本発明を想到するに至った。具体的には、本発明は、一対のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーンとを備える動力伝達装置において上記動力伝達チェーンは、複数のリンクと、これらのリンクを互いに連結し且つ一対の端部のそれぞれにプーリ係合用の動力伝達面を有する複数の動力伝達部材とを含み、上記複数の動力伝達部材は所定の動力伝達部材を含み、上記複数の動力伝達部材のそれぞれと、これに対応するリンクまたは上記複数の動力伝達部材のそれぞれとこれに対応するリンクとの間に介在する部材とは、互いに対向する対向部をそれぞれ有し、これらの対向部は互いの接触部で転がり摺動接触するようにしてあり、上記所定の動力伝達部材の対向部は、インボリュート曲面を含む曲面とされており、上記所定の動力伝達部材の対向部に対向するもう一方の上記対向部は、平坦面とされており、上記動力伝達チェーンは、相隣接するリンクが互いに所定の屈曲角をなして屈曲する屈曲領域を含み、その屈曲領域のリンクに、当該リンクに対応する一対の所定の動力伝達部材と上記所定のプーリとの接触点を含み各上記プーリの中心軸線を含む平面に平行な基準面が設定され、上記一対のプーリの上記動力伝達チェーンに関する有効半径が互いに同じ場合において、動力伝達チェーンの所定の部分が直線領域から上記所定のプーリに巻き掛けられて屈曲領域に移行するとき、上記所定の部分の上記所定の動力伝達部材が上記所定のプーリに係合を開始するまでの間に、上記所定の動力伝達部材の接触点が基準面と直交し且つ屈曲の外側へ移動する量Hは、下記式を満たすことを特徴とするものである。
H≧R−P
ただし、Rは、上記所定のプーリの所定の有効半径
Pは、上記所定のプーリの中心軸線と基準面との距離。
本発明によれば、係合開始位置において、所定のプーリの速度ベクトルの方向と、上記所定の動力伝達部材の速度ベクトルの方向とを互いに近づけることができる。これにより、係合開始位置における所定の動力伝達部材と対応するプーリとの相対速度を十分に小さくして、両者の接触音を小さくすることができる。その結果、動力伝達装置の駆動時の騒音を格段に低減することができる。
本発明では、
H≧R−P
としている。
このようにすることで、動力伝達チェーンの駆動に伴い、屈曲領域における上記接触点が上記屈曲の外側へ差分(R−P)に相当する量だけ移動する間に、直線領域から屈曲領域に移行するときの動力伝達部材の接触点が上記屈曲の外側に差分(R−P)に相当する量以上に移動することとなる
ここで、プーリの有効半径とは、プーリに挟持された動力伝達部材の接触点と、当該プーリの中心軸線とのプーリの径方向の距離を意味する。
また、本発明において、上記複数のリンクは、チェーン進行方向に並ぶ第1および第2の貫通孔をそれぞれ含み、上記複数の動力伝達部材は、第1の貫通孔に相対移動可能に嵌め入れられる動力伝達部材と、第2の貫通孔に相対移動を規制されて嵌め入れられる動力伝達部材とをそれぞれ有する場合がある。この場合、動力伝達部材を対応するリンクに確実に位置決めでき、動力伝達部材が不用意な運動をすることを抑制できる。
また、本発明において、上記複数の動力伝達部材が上記各プーリに対して順次に係合するときの接触周期をランダム化するためのランダム化手段をさらに備える場合がある。この場合、各動力伝達部材が各プーリに順次に噛み込まれるときの噛み合い音の発生周期をランダムにして、当該噛み合い音の周波数を広範囲に分散させることができ、動力伝達装置の駆動時の騒音をさらに低減することができる。
なお、ランダム化手段として、以下のものを例示することができる。すなわち、チェーンの直線領域の隣り合う動力伝達部材間の距離(連結ピッチ)の相異なる複数種類のリンクを設けること、一対の動力伝達面の接触点間の距離の相異なる複数種類の動力伝達部材を設けること、チェーン幅方向からみたときの、直線領域での接触部と接触点との相対位置が相異なる複数種類の動力伝達部材を設けること、接触部の転がり摺動接触の軌跡の相異なる複数種類の動力伝達部材を設けること、の少なくとも1つを例示することができる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。図1を参照して、無段変速機100は、自動車等の車両に搭載されるものであり、一対のプーリの一方としての第1のプーリである金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ60と、一対のプーリの他方としての第2のプーリである金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ70と、これらの両プーリ60,70間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1(以下では、単にチェーンともいう)とを備えている。なお、図1中のチェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示している。
図2は、図1のドライブプーリ60(ドリブンプーリ70)およびチェーン1の部分的な拡大断面図である。図1および図2を参照して、ドライブプーリ60は、所定のプーリとしての可変径プーリである。このドライブプーリ60は、車両の駆動源に動力伝達可能に連なる入力軸61に一体回転可能に取り付けられるものであり、固定シーブ62と可動シーブ63とを備えている。固定シーブ62および可動シーブ63は、相対向する一対のシーブ面62a,63aをそれぞれ有している。各シーブ面62a,63aは円錐面状の傾斜面を含んでいる。これらシーブ面62a,63a間に溝が区画され、この溝によってチェーン1を強圧に挟んで保持するようになっている。
また、可動シーブ63には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、入力軸61の軸方向(図2の左右方向)に可動シーブ63を移動させることにより、溝幅を変化させるようになっている。それにより、入力軸61の径方向(図2の上下方向)にチェーン1を移動させて、プーリ60のチェーン1に関する有効半径R(以下、プーリ60の有効半径Rともいう)を、最小値R1(図3(A)参照。例えば、30mm。)から最大値R2(図3(B)参照。例えば、70mm。)までの間で変更できるようになっている。
一方、ドリブンプーリ70は、所定のプーリとしての可変径プーリである。このドリブンプーリ70は、図1および図2に示すように、駆動輪(図示せず)に動力伝達可能に連なる出力軸71に一体回転可能に取り付けられており、ドライブプーリ60と同様に、チェーン1を強圧で挟む溝を形成するための相対向する一対のシーブ面73a,72aをそれぞれ有する固定シーブ73および可動シーブ72を備えている。
ドリブンプーリ70の可動シーブ72には、ドライブプーリ60の可動シーブ63と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されており、変速時に、この可動シーブ72を移動させることにより溝幅を変化させるようになっている。それにより、チェーン1を移動させて、プーリ70のチェーン1に関する有効半径R(以下、プーリ70の有効半径Rともいう)を、最大値R2(図3(A)参照)から最小値R1(図3(B)参照)までの間で変更できるようになっている。
ドライブプーリ60の中心軸線A1とドリブンプーリ70の中心軸線A2とは、第1の平面B1上にそれぞれ配置されており、互いに平行な方向(図3の紙面に垂直な方向)に延びている。また、各プーリ60,70には、第2の平面B2がそれぞれ対応して設けられている。各第2の平面B2は、対応するプーリ60,70の中心軸線A1,A2を含み、第1の平面B1と直交している。
ドライブプーリ60、ドリブンプーリ70、第1の平面B1および各第2の平面B2により、プーリユニット80が形成されている。
上記の構成により、無段変速機100の減速比を最も高くする場合(アンダードライブ時)には、図3(A)に示すように、ドライブプーリ60の有効半径Rが最小値R1とされ、ドリブンプーリ70の有効半径Rが最大値R2とされる。
一方、無段変速機100の増速比を最も高くする場合(オーバードライブ時)には、図3(B)に示すように、ドライブプーリ60の有効半径Rが最大値R2とされ、ドリブンプーリ70の有効半径Rが最小値R1とされる。
図4は、チェーン1の要部の断面図である。図5は、図4のII−II線に沿う断面図であり、チェーン1の直線領域を示している。図6は、チェーン1の要部の側面図であり、チェーン1の屈曲領域を示している。
なお、屈曲領域とは、チェーン1のうち各プーリ60,70に巻き掛けられた領域をいう。また、図5を参照して説明するときは、チェーン1の直線領域を基準として説明し、図6を参照して説明するときは、チェーン1の屈曲領域を基準として説明する。
図4および図5を参照して、チェーン1は、複数のリンク2と、これらのリンク2を互いに相対回転可能に連結する複数対の第1および第2のピン3,4とを備えている。対をなす第1および第2のピン3,4は、互いに転がり摺動接触するようになっている。
なお、転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触のことをいう。
以下では、チェーン1の進行方向に沿う方向をチェーン進行方向Xといい、チェーン進行方向Xに直交し且つ第1および第2のピン3,4の長手方向に沿う方向をチェーン幅方向Wといい、チェーン進行方向Xおよびチェーン幅方向Wの双方に直交する方向を直交方向Vという。
各リンク2は板状に形成されており、チェーン進行方向Xの前後に並ぶ一対の端部としての前端部5および後端部6、ならびにこれら前端部5および後端部6間に配置される中間部7を含んでいる。
前端部5および後端部6には、第1の貫通孔としての前貫通孔9、および第2の貫通孔としての後貫通孔10がそれぞれ形成されている。中間部7は、前貫通孔9および後貫通孔10間を仕切る柱部8を有している。この柱部8は、チェーン進行方向Xに所定の厚みを有している。
また、各リンク2における周縁部は、滑らかな曲線に形成されており、応力集中の生じ難い形状とされている。
リンク2を用いて、第1〜第3のリンク列51〜53が形成されている。具体的には、第1のリンク列51、第2のリンク列52および第3のリンク列53はそれぞれ、チェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2を含んでいる。第1〜第3のリンク列51〜53のそれぞれにおいて、同一リンク列のリンク2は、チェーン進行方向Xの位置が互いに同じとなるように揃えられている。第1〜第3のリンク列51〜53は、チェーン進行方向Xに沿って並んで配置されている。
第1〜第3のリンク列51〜53のリンク2はそれぞれ、対応する第1および第2のピン3,4を用いて、対応する第1〜第3のリンク列51〜53のリンク2と相対回転可能に(屈曲可能に)連結されている。
具体的には、第1のリンク列51のリンク2の前貫通孔9と、第2のリンク列52のリンク2の後貫通孔10とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの貫通孔9,10を挿通する第1および第2のピン3,4によって、第1および第2のリンク列51,52のリンク2同士が相対回転可能に連結されている。
同様に、第2のリンク列52のリンク2の前貫通孔9と、第3のリンク列53のリンク2の後貫通孔10とは、チェーン幅方向Wに並んで互いに対応しており、これらの貫通孔9,10を挿通する第1および第2のピン3,4によって、第2および第3のリンク列52,53のリンク2同士が相対回転可能に連結されている。
図4において、第1〜第3のリンク列51〜53は、それぞれ1つしか図示されていないが、チェーン進行方向Xに沿って第1〜第3のリンク列51〜53が繰り返すように配置されている。そして、チェーン進行方向Xに相隣接する2つのリンク列のリンク2同士が、対応する第1および第2のピン3,4によって順次に連結され、無端状をなすチェーン1が形成されている。
図4および図5を参照して、第1のピン3は、チェーン幅方向Wに延びる長尺(板状)の所定の動力伝達部材である。第1のピン3の周面11は、チェーン幅方向W(図5において、紙面に垂直な方向)に平行に延びている。
この周面11は、チェーン進行方向Xの前方を向く対向部としての前部12と、チェーン進行方向Xの後方を向く背部としての後部13と、直交方向Vに相対向する一対の端部としての一端部14および他端部15とを有している。
前部12は、滑らかな曲面に形成されており、対をなす第2のピン4と接触部T(接触線)で転がり摺動接触している。チェーン直線領域において、前部12は、接触部T1で転がり摺動接触している。
後部13は、平坦面に形成されている。この平坦面は、チェーン進行方向Xと直交する所定の平面D(図5において、紙面に直交する平面)に対して、所定の迎え角E(例えば、10°)を有している。すなわち、後部13は、平面Dに対して、図5の反時計回り方向に10°傾いており、チェーン内周側を向いている。
一端部14は、第1のピン3の周面11のうち、チェーン外周側(直交方向Vの一方)の端部を構成しており、チェーン外周側に向けて凸湾曲する曲面に形成されている。
他端部15は、第1のピン3の周面11のうち、チェーン内周側(直交方向Vの他方)の端部を構成しており、チェーン内周側に向けて凸湾曲する曲面に形成されている。
図2および図6を参照して、第1のピン3の長手方向(チェーン幅方向W)における一対の端部16は、チェーン幅方向Wの一対の端部に配置されるリンク2からチェーン幅方向Wにそれぞれ突出している。これら一対の端部16には、互いに対称な形状を有する一対の動力伝達面17がそれぞれ設けられている。
動力伝達面17は、例えば、球面の一部を含む形状に形成され、チェーン幅方向Wの外側に凸とされている。動力伝達面17は、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに摩擦接触(係合)するためのものである。
動力伝達面17は、その接触点としての接触中心点Cを中心とする少なくとも一部(接触領域)が、上記対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに接触するようになっている。接触中心点Cは、動力伝達面17の頂部に設けられており、例えば、チェーン幅方向Wからみたときの動力伝達面17の図心と概ね一致している。
ここで、前述した各プーリ60,70の有効半径Rは、以下のようにして定義される。すなわち、ドライブプーリ60の有効半径Rは、ドライブプーリ60に挟持された第1のピン3の動力伝達面17の接触中心点Cと、ドライブプーリ60の中心軸線A1との間のプーリ60の径方向の距離として定義される。
同様に、ドリブンプーリ70の有効半径Rは、ドリブンプーリ70に挟持された第1のピン3の動力伝達面17の接触中心点Cと、ドリブンプーリ70の中心軸線A2との間のプーリ70の径方向の距離として定義される。
第1のピン3のチェーン外周側(図2の上側)の端部は、チェーン内周側(図2の上側)の端部よりも、チェーン幅方向Wに長手に形成されている。
上記の構成により、第1のピン3は、各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73a間に挟持され、これにより、第1のピン3と各プーリ60,70との間で動力が伝達される。第1のピン3はその動力伝達面17によって直接動力伝達に寄与するため、例えば、軸受用鋼(SUJ2)等の高強度耐摩耗材料で形成されている。
図4および図5を参照して、チェーン幅方向Wからみたときの、チェーン1の直線領域の第1のピン3は、その接触部T1とその接触中心点Cとの相対位置が、チェーン進行方向Xに関してΔx1だけ離隔していると共に、直交方向Vに関してΔy1だけ離隔している。接触中心点Cは、対応する接触部T1に対して、例えばチェーン進行方向Xの後方に配置されると共に、直交方向Vの一方(チェーン外周側)に配置されている。
第2のピン4(ストリップ、またはインターピースともいう)は、各第1のピン3とこれら第1のピン3に対応するリンク2との間に介在する部材である。第2のピン4は、第1のピン3と同様の材料により形成された、チェーン幅方向Wに延びる長尺(板状)の動力伝達部材であり、断面形状が直交方向Vに細長となるように形成されている。
第2のピン4は、対をなす第1のピン3のチェーン進行方向Xの前方に配置されている。また、第2のピン4は、上記各プーリのシーブ面に接触しないように、第1のピン3よりもわずかに短く形成されている。チェーン進行方向Xに関して、第2のピン4は、第1のピン3よりも薄肉に形成されている。
第2のピン4の周面18は、チェーン幅方向Wに延びている。この周面18は、チェーン進行方向Xの後方を向く対向部としての後部19と、チェーン進行方向Xの前方を向く背部としての前部20と、直交方向Vに関する一対の端部としての一端部21および他端部22とを有している。
後部19は、チェーン進行方向Xと直交する平坦面に形成されている。この後部19は、対をなす第1のピン3の前部12と対向しており、当該リンク2と接触部Tで転がり摺動接触している。
前部20は、後部19と概ね平行に延びる平坦面に形成されている。
一端部21は、第2のピン4の周面18のうち、チェーン外周側の端部を構成しており、チェーン外周側に向けて凸湾曲する曲面に形成されている。
他端部22は、第2のピン4の周面18のうち、チェーン内周側の端部を構成しており、チェーン内周側に向けて凸湾曲する曲面に形成されている。
チェーン1は、いわゆる圧入タイプのチェーンとされている。具体的には、第1のピン3は、各リンク2の前貫通孔9に相対移動可能に遊嵌されていると共に、各リンク2の後貫通孔10に相対移動を規制されるようにして圧入嵌合され、第2のピン4は、各リンク2の前貫通孔9に相対移動を規制されるようにして圧入嵌合されていると共に、各リンク2の後貫通孔10に相対移動可能に遊嵌されている。
換言すれば、各リンク2の前貫通孔9には、第1のピン3が相対移動可能に遊嵌されているとともに、この第1のピン3と対をなす第2のピン4が相対移動を規制されるようにして圧入嵌合され、各リンク2の後貫通孔10には、第1のピン3が相対移動を規制されるように圧入嵌合されているとともに、この第1のピン3と対をなす第2のピン4が相対移動可能に遊嵌されている。
上記の構成により、チェーン進行方向Xに隣接するリンク2が相互に屈曲する際、対応する対をなす第1および第2のピン3,4は、接触部T上で転がり摺動接触する。
チェーン1は、所定の連結ピッチSを有している。連結ピッチSとは、チェーン1の直線領域のリンク2の、隣り合う第1のピン3間の距離をいう。具体的には、チェーン1の直線領域のリンク2の前貫通孔9内の第1および第2のピン3,4の互いの接触部T1と、当該リンク2の後貫通孔10内の第1および第2のピン3,4の互いの接触部T1との間の、チェーン進行方向Xの距離をいう。本実施の形態では、連結ピッチSは、例えば、8.02mmに設定されている。
ドライブプーリ60におけるチェーン1の屈曲領域とドリブンプーリ70における屈曲領域とは、同様の構成・作用を有しているため、以下では、ドリブンプーリ70における屈曲領域について主に説明する。
図2および図6を参照して、ドリブンプーリ70において、有効半径Rで巻き掛けられたチェーン1の屈曲領域の、チェーン進行方向Xに相隣接するリンク2は、互いに所定の屈曲角αをなして屈曲している。屈曲角αは、基準面としての第3平面B3と、第4の平面B4とのなす角として定義される。
第3の平面B3は、屈曲領域のリンク2aの各貫通孔9,10のそれぞれに挿通された、対応する一対の動力伝達部材としての第1のピン3a,3bのそれぞれの接触中心点Cを含み、且つドリブンプーリ70の中心軸線A2と平行な平面をいう。
また、第4の平面B4は、上記リンク2aとチェーン進行方向Xに隣り合う、リンク2bの各貫通孔9,10のそれぞれに挿通された、対応する一対の第1のピン3b,3cのそれぞれの接触中心点Cを含み、且つドリブンプーリ70の中心軸線A2と平行な平面をいう。
また、屈曲角αは、ピッチ角γと等しい。ピッチ角γは、第5の平面B5と第6の平面B6とのなす角として定義される。第5の平面B5は、上記リンク2aの後貫通孔10に挿通された第1のピン3aの接触中心点C、およびドリブンプーリ70の中心軸線A2を含む平面である。第6の平面B6は、リンク2bの後貫通孔10に挿通された第1のピン3bの接触中心点C、およびドリブンプーリ70の中心軸線A2を含む平面である。
また、チェーン幅方向Wからみたときの、第3の平面B3における隣り合う第1のピン3a,3bの接触中心点C間の距離は、連結ピッチSとなっている。
図7(A)は、図6の要部を模式的に示す図である。図7(A)を参照して、ピッチ角γ(屈曲角α)は、有効半径Rと一定の関係を有している。具体的には、第5の平面B5と第6の平面B6のそれぞれと等しい角度γ/2をなす第7の平面B7(第5の平面B5と第6の平面B6とのなす角度を2等分する二等分角面に相当)が設けられており、チェーン幅方向Wからみて、下記式(1)に示す関係が成立する。
Rsin(γ/2)=S/2・・・・・(1)
上記式(1)を整理すると、下記式(2)となる。
γ=2arcsin(S/(2R))・・・・・(2)
ここで、Sは連結ピッチで定数(8.02mm)である。したがって、式(2)からピッチ角γと有効半径Rとは、図8に示す関係を有している。図8のグラフ図に示すように、ドリブンプーリの有効半径Rが小さくなるに連れて、チェーン1の対応する屈曲領域のピッチ角γが大きくなっている。これは、ドリブンプーリの有効半径Rが小さくなるに連れて、チェーン1の対応する屈曲領域の屈曲量が大きくなることを意味している。
ピッチ角γ(屈曲角α)の範囲は、例えば、0°〜20°の範囲に設定されており、例えば、直線領域でγ=0°、曲率半径Rが最大値R2の屈曲領域でγ=6.5°、曲率半径Rが最小値R1の屈曲領域でγ=15.5°とされている。
図6および図7(A)を参照して、チェーン1の屈曲領域の第1のピン3は、ドリブンプーリ70とその中心軸線A2回りに一体的に回転する。このとき、図6(図7(A))に示す瞬間を基準として、第1のピン3aの接触中心点Cは、チェーン進行方向Xの前側に隣接する第1のピン3bの接触中心点Cの位置に、曲率半径Rの円弧状の軌跡を経て到達する。すなわち、第1のピン3aの接触中心点Cは、第3の平面B3に平行な方向に連結ピッチS分進行するのに、曲率半径Rの円弧状の軌跡を経る。
このとき、第1のピン3aの接触中心点Cは、第3の平面B3に直交し且つチェーン1の屈曲の外側に向かう外側方向Fに、最大で下記式(3)で表される移動量Qだけ移動する。
Q=R−P・・・・・(3)
ただし、Pは、外側方向Fに関する、ドリブンプーリ70の中心軸線A2と第3の平面B3との間の距離。
ここで、Pは、下記式(4)で表すことができる。
P=Rcos(γ/2)・・・・・(4)
上記式(3)および式(4)より、ドリブンプーリ70の有効半径Rと、当該ドリブンプーリ70における屈曲領域の第1のピン3aの接触中心点Cの外側方向Fへの最大の移動量Q(移動量の最大値)とは、下記式(5)に示す関係を有している。
Q=R(1−cos(γ/2))・・・・・(5)
すなわち、有効半径Rと上記最大の移動量Qとは、図9に示す関係を有している。図9のグラフ図に示すように、ドリブンプーリの有効半径Rが小さくなるに連れて、対応する屈曲領域での最大の移動量Qが大きくなっている。ここで、図7(B)に示すように、第1のピン3の接触中心点Cが、ドリブンプーリ70のうち、対応する第2の平面B2との交点で係合(接触)を開始する場合を考えると、Q≒Ssinγ、P≒Rcosγとして近似することができる。
なお、このとき、第1のピン3aの接触部T(図6参照)も、接触中心点Cと同様の円弧状の軌跡を経る。
図10は、第1のピン3aのドリブンプーリ70への係合開始位置Gを説明するための要部の模式的な側面図である。図10を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、チェーン1の第1のピン3aがドリブンプーリ70に係合するときの係合開始位置Gが、ドリブンプーリ70の第2の平面B2よりもチェーン進行方向Xの下流側に配置されるようにしてある点にある。
具体的には、図6および図7(A)に示すように、チェーン1の所定の部分が、直線領域からドリブンプーリ70に有効半径Rで巻き掛けられて屈曲領域に移行するときに、第1のピン3aの接触中心点Cが外側方向Fへ移動する最大の移動量H(移動量の最大値)が、下記式(6)を満たすようにされている。
H>R−P・・・・・(6)
すなわち、下記式(7)を満たすようにされている。
H>Q・・・・・(7)
より具体的には、チェーン幅方向Wからみて、第2のピン4aの後部19の断面形状が、前述したように、直線形状をなしており、第1のピン3aの前部12の断面形状が図11に示す形状をなしている。
図11は、第1のピンの前部の要部の断面形状を示す図である。図6および図11を参照して、図11の座標系は、第1のピン3aと一体的に移動する相対座標系である。この相対座標系は、チェーン直線領域における第1のピン3aの接触部T1が原点とされ、チェーン直線領域においてチェーン進行方向Xと反対方向に延びる方向がx方向とされ、チェーン直線領域において直交方向Vに沿う方向がy方向とされている。
図11において、チェーン1がドリブンプーリ70に有効半径Rの最大値R2で噛み込まれて直線領域から屈曲領域に移行したときの、対応する屈曲領域の第1のピン3aの接触部Tは、T2点で表される。
また、チェーン1がドリブンプーリ70に有効半径Rの最小値R1で噛み込まれて直線領域から屈曲領域に移行したときの、対応する屈曲領域の第1のピン3aの接触部Tは、T3点で表される。
チェーン幅方向Wからみた接触部T1から接触部T2までの前部12の曲線は、例えばインボリュート曲線とされている。このインボリュート曲線は、所定の基礎円を有している。この基礎円は、第1のピン3aのチェーン内周側に中心を有し、基礎円半径Rb=261mmとされている。
チェーン幅方向Wからみた場合、第1および第2のピン3a,4aは互いに転がり接触可能となっているので、チェーン1のピッチ角γ(屈曲角α)の増大にしたがい、対応する接触部Tは、上記相対座標系においてy軸方向へ大きく移動する。その結果、第1のピン3aの接触部TがT1(原点)からT3側に移動するときの、上記相対座標系での接触部Tのy軸方向への移動量は、図6の接触中心点Cの外側方向Fへの最大の移動量Hと概ね等しくなる。
上記の構成により、チェーン1がドリブンプーリ70に有効半径Rの最大値R2(例えば、70mm)で噛み込まれたとき、屈曲領域の第1のピン3の接触部Tは、T2点で表され、T1点からのy軸方向への移動量は、例えば、約1.6mmとなる。
したがって、このときの第1のピン3aの接触中心点Cの外側方向Fへの最大の移動量H2は、約1.6mmとされ、図9においてH2点で表される。図9に示すように、最大の移動量H2は、有効半径Rが最大値R2のときの最大の移動量Q2よりも大きく(H2>Q2)されている。
再び図6および図11を参照して、チェーン1がドリブンプーリ70に有効半径Rの最小値R1(例えば、30mm)で噛み込まれたとき、屈曲領域の第1のピン3aの接触部Tは、T3点で表され、T1からのy軸方向への移動量は、例えば、約3.5mmとなる。したがって、このときの第1のピン3aの接触中心点Cの外側方向Fへの最大の移動量H3は、約3.5mmとされ、図9においてH3点で表される。図9に示すように、最大の移動量H3は、有効半径Rが最小値R1のときの最大の移動量Q3よりも大きく(H3>Q3)されている。
このように、ドリブンプーリの有効半径Rの最小値R2および最大値R1の双方において、最大の移動量H2,H3は、対応する有効半径Rでの最大の移動量Q2,Q3よりも大きく(H2>Q2、H3>Q3)されている。
同様に、ドリブンプーリの有効半径Rの何れにおいても、上記最大の移動量Hは、対応する有効半径Rでの最大の移動量Qよりも大きく(H>Q)なっている。
図10を参照して、チェーン1の所定の部分が、ドリブンプーリ70に巻き掛けられて直線領域から屈曲領域に移行する際、第1のピン3aの接触中心点Cは、図10の矢印Jで示す軌跡をたり、ドリブンプーリ70の第2の平面B2よりもチェーン進行方向Xの下流側の係合開始位置Gで当該ドリブンプーリ70と係合を開始する。
このとき、係合開始位置Gは、第2の平面B2に平行な方向のうちチェーン進行方向Xの下流側に向かう方向に関して、ドリブンプーリ70と当該ドリブンプーリ70の第2の平面B2との交差点Kから、連結ピッチSの例えば40%(0.4P≒3.3mm)だけ進んだ位置となる。
なお、第1のピン3aに限らず、第1のピン3b等の他の第1のピン3も同様に動作する。
また、チェーン1の直線領域にある所定の部分が、ドライブプーリ60に巻き掛けられて直線領域から屈曲領域に移行する際の、第1のピン3とドライブプーリ60との係合開始位置Gも、ドリブンプーリ70におけるのと同様となる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1のピン3と各プーリ60,70とのそれぞれの係合開始位置Gにおいて、第1のピン3の速度ベクトルVpinの方向と、各プーリ60,70の速度ベクトルVpulleyの方向とを互いに近づけることができる。
これにより、係合開始位置Gにおける第1のピン3と対応するプーリ60,70との相対速度を十分に小さくして、両者の接触音を小さくすることができる。その結果、無段変速機100の駆動時の騒音を格段に低減することができる。
また、ドリブンプーリ70の有効半径Rが最大値R2のときの、第1のピン3との係合開始位置Gが、対応する第2の平面B2よりもチェーン進行方向X側に配置されている。これにより、例えば、ドリブンプーリ70の有効半径Rを最大値R2にして無段変速機100の減速比を最大にしたときに、出力軸71に大トルクを伝達できる。したがって、許容伝達トルクが大きく、且つ静粛性に優れた無段変速機100を実現することができる。
さらに、各プーリ60,70に関して、有効半径Rの最小値R1から最大値R2までの全範囲において、対応する第2の平面B2よりもチェーン進行方向Xの下流側に係合開始位置Gが配置されている。これにより、騒音低減効果を無段変速機100の駆動時において常時発揮することができ、最も効果的である。
さらに、チェーン1の所定の部分が各プーリ60,70に巻き掛けられて直線領域から屈曲領域に移行するときに、第1のピン3の接触中心点Cが外側方向Fへ移動する最大の移動量HがH>R−P(H>Q)の関係を満たすようにされている。
これにより、チェーン1の駆動に伴い、屈曲領域における第1のピン3の接触中心点Cが、外側方向Fへ差分(R−P)に相当する量だけ移動している間に、直線領域から屈曲領域に移行するときの第1のピン3の接触中心点Cが、外側方向Fに上記差分(R−P)に相当する量より大きく移動することとなる。
その結果、第1のピン3の各プーリ60,70への係合開始位置Gを、各プーリ60,70の対応する第2の平面B2よりもチェーン進行方向X側に確実に配置することができる。
また、第1のピン3に迎え角Eを設けることで、第1のピン3の配置を最適化して、各プーリ60,70との係合をより滑らかにすることができる。
さらに、第1のピン3は、各リンク2の後貫通孔10に圧入嵌合されている。これにより、第1のピン3を対応するリンク2に確実に位置決めでき、第1のピン3が不用意な運動をすることを抑制できる。
また、第1のピン3を、各リンク2の前貫通孔9に遊嵌すると共に各リンク2の後貫通孔10に圧入嵌合し、第2のピン4を、各リンク2の前貫通孔9に圧入嵌合すると共に各リンク2の後貫通孔10に遊嵌している。
これにより、第1のピン3の動力伝達面17が各プーリ60,70の対応するシーブ面62a,63a,72a,73aに接触する際、上記第1のピン3と対をなす第2のピン4とが互いに転がり摺動接触することにより、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2同士の相対回転(屈曲)が可能とされている。
この際、上記対をなす第1および第2のピン3,4間において、互いの転がり接触成分が多くてすべり接触成分が極めて少なく、するとその結果、第1のピン3が上記各シーブ面62a,63a,72a,73aに対してほとんど回転しないこととなり、摩擦損失を低減して高い伝動効率を確保することができる。
このようにして、静粛性、許容伝達トルクおよび伝動効率に優れた無段変速機100を実現することができる。
図12は、本発明の別の実施の形態の要部を説明するための図であり、図12(A)は、チェーン幅方向Wからみた第1のピン3Aの側面図であり、図12(B)は、図12(A)のIII−III線に沿う、第1のピン3Aの後部13に平行な断面図であり、図12(C)は、図12(A)のIV−IV線に沿う、第1のピン3Aの後部13に直交する断面図である。
なお、本実施の形態では、図1〜図11に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図12(A)〜図12(C)を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、第1のピン3Aの各端面17Aが、チェーン幅方向Wからみたときの相交差する2方向に関してクラウニング加工(ダブルクラウニング加工)を施されている点にある。
具体的には、第1のピン3Aの端面17Aには、チェーン幅方向Wからみたときの、後部13に平行な方向および後部13に直交する方向のそれぞれに関して、クラウニング加工が施されている。
すなわち、図12(B)に示すように、第1のピン3Aの端面17Aの、後部13に平行な断面における形状が、クラウニング加工された形状をなしている。当該形状は、チェーン幅方向Wの外側に凸となる形状に形成されている。当該形状は、一定の曲率半径を有するものであってもよいし、複数種類の曲率半径を有するものであってもよい。
また、図12(C)に示すように、第1のピン3Aの端面17Aの、後部13に直交する断面における形状が、クラウニング加工された形状をなしている。当該形状は、中間部が一対の端部のそれぞれよりもチェーン幅方向Wの外側に凸となる形状に形成されている。当該形状は、一定の曲率半径を有するものであってもよいし、複数種類の曲率半径を有するものであってもよい。
図13は、本発明のさらに別の実施の形態の要部を説明するための図であり、図13(A)は、チェーン幅方向Wからみた第1のピン3Bの側面図であり、図13(B)は、図13(A)のVI−VI線に沿う、第1のピン3Bの後部13に平行な断面図であり、図13(C)は、図13(A)のVII−VII線に沿う、第1のピン3Bの後部13に直交する断面図である。
なお、本実施の形態では、図1〜図11に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図13(A)〜図13(C)を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、第1のピン3Bの端面17Bが、チェーン幅方向Wからみたときの1方向に関してクラウニング加工(シングルクラウニング加工)を施され、円筒状とされている点にある。
具体的には、第1のピン3Bの端面17Bには、チェーン幅方向Wからみたときの、後部13に直交する方向に関して、クラウニング加工が施されている。
すなわち、図13(C)に示すように、第1のピン3Bの端面17Bの、後部13に直交する断面における形状が、クラウニング加工された形状をなしている。当該形状は、中間部が一対の端部のそれぞれよりもチェーン幅方向Wの外側に凸となる形状に形成されている。当該形状は、一定の曲率半径を有するものであってもよいし、複数種類の曲率半径を有するものであってもよい。
また、図13(B)に示すように、第1のピン3Bの端面17Bの、後部13に平行な断面における形状が、直線形状をなしている。
図14は、本発明のさらに別の実施の形態の要部の一部断面図である。なお、本実施の形態では、図1〜図11に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図14を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、各第1のピン3が各プーリに対して順次に係合するときの接触周期をランダム化するためのランダム化手段として、連結ピッチの相異なる複数種類のリンクを設けている点にある。
具体的には、複数種類のリンクとして、連結ピッチの相対的に長いリンクとしてのリンク2と、連結ピッチの相対的に短いリンクとしてのリンク2Cとが設けられている。
リンク2Cは、その柱部8Cのチェーン進行方向Xの厚みが、リンク2の柱部8のチェーン進行方向Xの厚みよりも薄くされている。これにより、リンク2Cの連結ピッチSCは、リンク2の連結ピッチSよりも短く(SC<S)されている。
リンク2とリンク2C(リンク2を含むリンク列とリンク2Cを含むリンク列)とは、チェーン進行方向Xにランダムに配列されている。
なお、この場合の「ランダムに配列」とは、リンク2およびリンク2Cの少なくとも一方が、チェーン進行方向Xの少なくとも一部に不規則に配置されていることを意味するものである。
本実施の形態によれば、各第1のピン3が各プーリに順次に噛み込まれるときの噛み合い音の発生周期をランダムにして、当該噛み合い音の周波数を広範囲に分散させることができ、駆動時の騒音をさらに低減することができる。
図15は、本発明のさらに別の実施の形態の要部を示す図であり、図15(A)および図15(B)は、それぞれ第1のピンをチェーン進行方向Xからみたときの状態を示している。
なお、本実施の形態では、図1〜図11に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図15(A)および図15(B)を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、各第1のピンが各プーリに対して順次に係合するときの接触周期をランダム化するためのランダム化手段として、一対の動力伝達面の接触中心点間の距離の相異なる複数種類の第1のピンを設けている点にある。
具体的には、複数種類の第1のピンとして、第1のピン3,3Dが設けられている。チェーン幅方向Wにおける、第1のピン3Dの一対の端面17の接触中心点C間の距離MDは、第1のピン3の一対の端面17の接触中心点C間の距離Mよりも短く(MD<M)されている。
第1のピン3と第1のピン3Dとは、チェーン進行方向Xにランダムに配列されている。なお、この場合の「ランダムに配列」とは、第1のピン3および第1のピン3Dの少なくとも一方が、チェーン進行方向Xの少なくとも一部に不規則に配置されていることを意味するものである。
図16は、本発明のさらに別の実施の形態の要部の側面図である。なお、本実施の形態では、図1〜図11に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図16を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、各第1のピンが各プーリに対して順次に係合するときの接触周期をランダム化するためのランダム化手段として、チェーン幅方向Wからみたときの、直線領域での接触部と接触中心点との相対位置が相異なる複数種類の第1のピンを設けている点にある。
具体的には、複数種類の第1のピンとして、第1のピン3,3Eが設けられている。
前述したように、チェーン幅方向Wからみたときの、チェーンの直線領域の第1のピン3は、その接触部T1とその接触中心点Cとの相対位置が、チェーン進行方向Xに関してΔx1だけ離隔していると共に、直交方向Vに関してΔy1だけ離隔している。
一方、チェーン幅方向Wからみたときの、チェーンの直線領域の第1のピン3Eは、その接触部T1とその接触中心点CEとの相対位置が、チェーン進行方向Xに関してΔx2だけ離隔していると共に、直交方向Vに関してΔy2だけ離隔している。
すなわち、チェーン幅方向Wからみたときのチェーンの直線領域において、第1のピン3の接触部T1に対する接触中心点Cの相対位置と、第1のピン3Eの接触部T1に対する接触中心点CEの相対位置とは、チェーン進行方向Xおよび直交方向Vの双方において、相違している。
第1のピン3と第1のピン3Eとは、チェーン進行方向Xにランダムに配列されている。なお、この場合の「ランダムに配列」とは、第1のピン3および第1のピン3Eの少なくとも一方が、チェーン進行方向Xの少なくとも一部に不規則に配置されていることを意味するものである。
図17は、本発明のさらに別の実施の形態の要部の一部断面図である。なお、本実施の形態では、図1〜図11に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図17を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、各第1のピンが各プーリに対して順次に係合するときの接触周期をランダム化するためのランダム化手段として、接触部の転がり摺動接触の軌跡の相異なる複数種類の第1のピンが設けられている点にある。
具体的には、複数種類のピンとして、第1のピン3,3Fが設けられている。
第1のピン3Fの周面11Fの前部12Fの断面形状は、第1のピン3の前部12の断面形状と相異なる形状にされている。例えば、前部12Fの断面形状は、前部12の断面形状よりも、チェーン外周側に向かうに従い曲率の変化が大きくなっている。
上記の構成により、第1のピン3の接触部Tの転がり摺動接触の軌跡と第1のピン3Fの接触部TFの転がり摺動接触の軌跡とは、相異なったものとなっている。
第1のピン3と第1のピン3Fとは、チェーン進行方向Xにランダムに配列されている。なお、この場合の「ランダムに配列」とは、第1のピン3および第1のピン3Fの少なくとも一方が、チェーン進行方向Xの少なくとも一部に不規則に配置されていることを意味するものである。
図18は、本発明のさらに別の実施の形態の要部の一部断面図である。なお、本実施の形態では、図1〜図11に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成については、図に同様の符号を付してその説明を省略する。
図18を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、1つの第1のピン3によって、チェーン進行方向Xに隣り合うリンク2G同士が互いに屈曲可能に連結されている点にある。具体的には、各リンク2Gの前貫通孔9Gに、対応する第1のピン3が相対移動可能に遊嵌され、各リンク2Gの後貫通孔10Gに、対応する第1のピン3が相対移動を規制されるように圧入嵌合されている。
前貫通孔9Gの周縁部30の対向部としての前部31は、直交方向Vに延びる断面形状を有しており、前貫通孔9Gに遊嵌された第1のピン3の前部12と接触部TGで転がり摺動接触している。これにより、リンク2Gと当該リンク2Gに遊嵌された第1のピン3とは、互いに転がり摺動接触するようになっている。
本実施の形態によれば、第1のピン3間の連結ピッチをより短くして各プーリに一時に噛み込まれる第1のピン3の数をより多くできる。これにより、第1のピン3の1本あたりの負荷を低減して各プーリとの衝突力を低減でき、騒音をより低減することができる。
以上、本発明の実施形態について幾つか説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されない。
例えば、図12に示す実施の形態において、チェーン幅方向Wからみた、第1のピン3Aの各端面17Aのクラウニング加工が施される2方向は、上記例示した2方向に限らず、別の方向であってもよい。
また、図13に示す実施の形態において、チェーン幅方向Wからみた、第1のピン3Bの各端面17Bのクラウニング加工が施される方向は、上記例示した方向に限らず、別の方向であってもよい。
さらに、図14に示す実施の形態において、連結ピッチの相異なる3種類以上のリンクを設けてもよい。
また、図15に示す実施の形態において、一対の動力伝達面の接触中心点間の距離の相異なる3種類以上の第1のピンを設けてもよい。
さらに、図16に示す実施の形態において、チェーン幅方向Wからみたチェーンの直線領域において、第1のピン3の接触部T1に対する接触中心点Cの相対位置と、第1のピン3Eの接触部T1に対する接触中心点CEの相対位置とは、チェーン進行方向Xおよび直交方向Vの何れか一方においてのみ、相違していてもよい。
また、チェーン幅方向Wからみたときの、直線領域での接触部と接触中心点との相対位置が相異なる3種類以上の第1のピンを設けてもよい。
さらに、図17に示す実施の形態において、複数種類の第1のピンのうち、少なくとも一部の種類に関して、周面の前部の断面形状がインボリュート曲線に形成されていてもよい。
また、複数種類の第1のピンのうち、少なくとも一部の種類に関して、周面の前部の断面形状が単一の曲率半径を有する曲線に形成されていてもよい。さらに、複数種類の第1のピンのうち、少なくとも一部の種類に関して、周面の前部の断面形状が複数種類の曲率半径を有する曲線に形成されていてもよい。
また、接触部の転がり摺動接触の軌跡の相異なる3種類以上の第1のピンが設けられていてもよい。
さらに、図12に示す実施の形態および図13に示す実施の形態のそれぞれにおいて、各第1のピンが各プーリに対して順次に係合するときの接触周期をランダム化するためのランダム化手段を設けてもよい。
具体的には、図14に示す実施の形態、図15に示す実施の形態、図16に示す実施の形態、および図17に示す実施の形態の何れかのランダム化手段を設けてもよい。
さらに、図1〜図11に示す実施の形態、図12に示す実施の形態、図13に示す実施の形態、図14に示す実施の形態、図15に示す実施の形態、図16に示す実施の形態、および図17に示す実施の形態のそれぞれにおいて、各第1のピンが各プーリ60,70に対して順次に係合するときの接触周期をランダム化するための2種類以上のランダム化手段を設けてもよい。
具体的には、図14に示す実施の形態、図15に示す実施の形態、図16に示す実施の形態、および図17に示す実施の形態のそれぞれのランダム化手段の少なくとも2種類以上を設けてもよい。
また、第1のピンの前部の断面形状と対をなす第2のピン4の後部の断面形状とを入れ換えてもよい。さらに、第1のピンは、各リンクの後貫通孔に相対移動可能に遊嵌されていてもよい。また、第2のピン4は、各リンクの前貫通孔に相対移動可能に遊嵌されていてもよい。さらに、第2のピン4は、各プーリ60,70に係合するようにされていてもよい。
また、図18に示す実施の形態において、第1のピン3の端面は、チェーン幅方向Wからみた1方向にクラウニング加工が施されていてもよいし、チェーン幅方向Wからみた相交差する2方向にクラウニング加工が施されていてもよい。
さらに、各第1のピン3が各プーリ60,70に対して順次に係合するときの接触周期をランダム化するための、1または複数種類のランダム化手段を設けてもよい。具体的には、図14に示す実施の形態、図15に示す実施の形態、図16に示す実施の形態、および図17に示す実施の形態のそれぞれのランダム化手段と同様のランダム化手段を、1または2種類以上設けてもよい。
また、第1のピン3の前部12の断面形状とリンク2Gの前貫通孔9Gの前部31の断面形状とを入れ換えてもよい。さらに、第1のピン3は、各リンク2Gの後貫通孔10Gに相対移動可能に遊嵌されていてもよい。
また、上記各実施の形態において、ドライブプーリ60の有効半径Rの範囲は、上記例示した値より小さくてもよいし、大きくてもよい。同様に、ドリブンプーリ70の有効半径Rの範囲は、上記例示した値より小さくてもよいし、大きくてもよい。
さらに、ドライブプーリ60の有効半径Rのうち、一部の範囲に関してのみ、第1のピンの係合開始位置Gが、当該ドライブプーリ60の第2の平面B2よりもチェーン進行方向X側に配置されるようにしてもよい。この場合も、所定の騒音低減効果を得ることができる。
また、ドライブプーリ60の有効半径Rのうち、その全範囲のうちの30%以上の範囲において、第1のピンの係合開始位置Gが、当該ドライブプーリ60の第2の平面B2よりもチェーン進行方向X側に配置されるようにしてもよい。これにより、無段変速機を自動車に搭載して変速機とした場合に、実用上の使用範囲の大部分で騒音低減効果を発揮することができ、効果的である。
同様に、ドリブンプーリ70の有効半径Rのうち、一部の範囲に関してのみ、第1のピンの係合開始位置Gが、当該ドライブプーリ70の第2の平面B2よりもチェーン進行方向X側に配置されるようにしてもよい。この場合も、所定の騒音低減効果を得ることができる。
また、ドリブンプーリ70の有効半径Rのうち、その全範囲のうちの30%以上の範囲において、第1のピンの係合開始位置Gが、当該ドリブンプーリ70の第2の平面B2よりもチェーン進行方向X側に配置されるようにしてもよい。これにより、無段変速機を自動車に搭載して変速機とした場合に、実用上の使用範囲の大部分で騒音低減効果を発揮することができ、効果的である。
また、第1のピンとして、ドライブプーリ60への係合開始位置Gが、当該ドライブプーリ60の第2の平面B2上に配置される第1のピンを設けてもよい。この場合、ドライブプーリ60に対応して、H=R−Pとなる。同様に、第1のピンとして、ドリブンプーリ70への係合開始位置Gが、当該ドリブンプーリ70の第2の平面B2上に配置される第1のピンを設けてもよい。この場合、ドリブンプーリ70に対応して、H=R−Pとなる。
さらに、各プーリ60,70の何れか一方においてのみ、第1のピンの係合開始位置Gが、そのプーリの第2の平面上またはこの第2の平面よりもチェーン進行方向側に配置されるようにしてもよい。
また、第1のピンとして、複数種類の第1のピンを設け、そのうちの一部の種類を、従来から用いられている第1のピンで構成してもよい。すなわち、第1のピンとして、各プーリ60,70との係合開始位置が、当該各プーリ60,70の対応する第2の平面よりもチェーン進行方向の上流側に配置される第1のピンを含んでいてもよい。
この場合、各第1のピンが各プーリ60,70に噛み込まれるときの噛み合い音の発生周期をランダムなものにして、騒音低減効果を発揮することができる。
さらに、連結ピッチの値は、上記例示した値より小さくても大きくてもよい。また、第1のピンの迎え角は、上記例示した値より小さくても大きくてもよい。さらに、第1のピンの一対の動力伝達面のそれぞれの近傍に、動力伝達面と同様の動力伝達面を有する部材を配置し、第1のピンと当該動力伝達面を有する部材とを含む動力伝達ブロックを設け、これを動力伝達部材としてもよい。
また、リンクの前貫通孔と後貫通孔の配置とを互いに入れ換えてもよい。さらに、リンクの柱部に連通溝(スリット)を設けてもよい。この場合、リンクの弾性変形量(可撓性)をより増すことができ、当該リンクに生じる応力をより低減することができる。
また、ドライブプーリ60およびドリブンプーリ70の双方の溝幅が変動する態様に限定されるものではなく、何れか一方の溝幅のみが変動し、他方が変動しない固定幅にした態様であっても良い。
さらに、上記では溝幅が連続的(無段階)に変動する態様について説明したが、段階的に変動したり、固定式(無変速)である等の他の動力伝達装置に適用しても良い。有効半径が変化しないプーリを用いた場合でも、可変径プーリを用いた場合と同様の効果を奏することができる。
実施例1および比較例1,2
第1および第2のピンを有する動力伝達チェーンに関する、下記の実施例1および比較例1,2を作製した。
上記実施例1および比較例1,2は、何れも、連結ピッチが8.02mmにされている。実施例1の第1のピンの周面の前部(対向面)の断面形状は、図19に示す形状を含んでおり、図11に示すのと同様にされている。
なお、図19は、第1のピンの前部の要部の断面形状を表す図であり、原点は、直線領域の第1のピンの前部の接触部に相当し、x軸は、直線領域のチェーン進行方向と反対方向に相当し、y軸は、直線領域のチェーン進行方向およびチェーン幅方向の双方に直交する方向に相当する。
比較例1の第1のピンの周面の前部(対向面)の断面形状は、図19に示すように、基礎円半径が54mmの基礎円を持つインボリュート曲線を含んでいる。
比較例2の第1のピンの周面の前部(対向面)の断面形状は、図19に示すように、基礎円半径が70mmの基礎円を持つインボリュート曲線を含んでいる。
上記実施例1および比較例1,2のそれぞれについて、一対の可変径プーリに巻き掛けて無段変速機を構成し、当該無段変速機を駆動したときの第1のピンと一方の可変径プーリとの衝突力を調べた。結果を図20に示す。
図20に示すように、実施例1では、可変径プーリの有効半径の何れにおいても、インパクトエネルギが0.01Nm未満の低い値を示している。しかも、有効半径の変化に関わらずインパクトエネルギが概ね一定である。したがって、有効半径の何れにおいても、両者の接触音が極めて低いことがわかる。
一方、比較例1,2では、可変径プーリの有効半径の何れにおいても、インパクトエネルギが0.01Nmを超えている。また、有効半径の増加に伴いインパクトエネルギが増大している。
実施例2および比較例3,4
第1および第2のピンを有する動力伝達チェーンに関する、下記の実施例2および比較例3,4を作製した。
実施例2は、実施例1の連結ピッチを7.2mmに変更したものに相当する。比較例3は、比較例1の連結ピッチを7.2mmに変更したものに相当する。比較例4は、比較例2の連結ピッチを7.2mmに変更したものに相当する。
上記実施例2および比較例3,4のそれぞれについて、一対の可変径プーリに巻き掛けて無段変速機を構成し、当該無段変速機を駆動したときの第1のピンと一方の可変径プーリとの衝突力を調べた。結果を図21に示す。
図21に示すように、実施例2では、実施例1と同様、可変径プーリの有効半径の何れにおいても、インパクトエネルギが0.01Nm未満の低い値を示している。しかも、有効半径の変化に関わらずインパクトエネルギが概ね一定である。したがって、この場合も、有効半径の何れにおいても、両者の接触音が極めて低いことがわかる。
一方、比較例3,4では、可変径プーリのインパクトエネルギの最大値は0.015Nmを超えており、実施例2のインパクトエネルギの最大値の2倍を超えている。
このように、実施例1,2が静粛性に関して極めて優れていることが実証された。特に、有効半径が大きくなるにつれて、その静粛性は顕著なものとなる。
図1は、本発明の一実施の形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機の要部構成を模式的に示す斜視図である。 図1のドライブプーリ(ドリブンプーリ)およびチェーンの部分的な拡大断面図である。 無段変速機の模式的な断面図であり、(A)はドライブプーリの有効半径が最小とされると共にドリブンプーリの有効半径が最大とされた状態を示しており、(B)はドライブプーリの有効半径が最大とされると共にドリブンプーリの有効半径が最小とされた状態を示している。 チェーンの要部の断面図である。 図4のII−II線に沿う断面図であり、チェーンの直線領域を示している。 チェーンの要部の一部側面図であり、チェーンの屈曲領域を示している。 (A)は、図6の要部を模式的に示す図であり、(B)は、第1のピンの接触中心点がプーリのうち対応する第2の平面との交点で係合を開始する場合を説明するための図である。 プーリの有効半径と、当該プーリにおけるチェーンのピッチ角との関係を示すグラフ図である。 プーリの有効半径と、当該プーリにおけるチェーンの屈曲領域の第1のピンの接触中心点の最大の移動量との関係を示すグラフ図である。 第1のピンのプーリへの係合開始位置を説明するための要部の模式的な側面図である。 第1のピンの前部の要部の断面形状を示す図である。 本発明の別の実施の形態の要部を説明するための図であり、(A)は、チェーン幅方向からみた第1のピンの側面図であり、(B)は、(A)のIII−III線に沿う、第1のピンの後部に平行な断面図であり、(C)は、(A)のIV−IV線に沿う、第1のピンの後部に直交する断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部を説明するための図であり、(A)は、チェーン幅方向からみた第1のピンの側面図であり、(B)は、(A)のVI−VI線に沿う、第1のピンの後部に平行な断面図であり、(C)は、(A)のVII−VII線に沿う、第1のピンの後部に直交する断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の一部断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部を示す図であり、(A)および(B)は、それぞれ第1のピンをチェーン進行方向からみたときの状態を示している。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の側面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の一部断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の一部断面図である。 第1のピンの前部の要部の断面形状を表す図である。 可変径プーリの第1のピンに関する有効半径と、第1のピンおよび可変径プーリの互いの衝突により発生する衝突力(インパクトエネルギ)との関係を示すグラフ図である。 可変径プーリの第1のピンに関する有効半径と、第1のピンおよび可変径プーリの互いの衝突により発生する衝突力(インパクトエネルギ)との関係を示すグラフ図である。 (A)は、従来の動力伝達装置の要部の模式的な側面図であり、(B)は、(A)の要部の拡大図である。
符号の説明
1 チェーン(動力伝達チェーン)
2,2C,2G リンク
3,3A,3B、3D、3E,3F 第1のピン(複数の動力伝達部材、所定の動力伝達部材)
3a,3b 第1のピン(一対の動力伝達部材)
4 第2のピン(リンクとの間に介在する部材)
9,9G 前貫通孔(第1の貫通孔)
10,10F,10G 後貫通孔(第2の貫通孔)
12,12F (第1のピンの)前部(対向部)
16 (第1のピンの)一対の端部
17,17A,17B,17E 動力伝達面
19 (第2のピンの)後部(対向部)
31 (前貫通孔の)前部(対向部)
60 ドライブプーリ(一対のプーリの一方、所定のプーリ、可変径プーリ)
70 ドリブンプーリ(一対のプーリの一方、所定のプーリ、可変径プーリ)
80 プーリユニット
100 無段変速機(動力伝達装置)
A1 (ドライブプーリの)中心軸線
A2 (ドリブンプーリの)中心軸線
B1 第1の平面
B2 第2の平面
B3 第3の平面(基準面)
C,CE 接触中心点
F 外側方向(基準面と直交し且つ屈曲の外側へ向かう方向)
G 係合開始位置
H 移動量
P 距離
R 有効半径
R1 有効半径の最小値
R2 有効半径の最大値
T,TF,TG 接触部
X チェーン進行方向
α 屈曲角

Claims (3)

  1. 一対のプーリと、これらのプーリ間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーンとを備える動力伝達装置において
    上記動力伝達チェーンは、複数のリンクと、これらのリンクを互いに連結し且つ一対の端部のそれぞれにプーリ係合用の動力伝達面を有する複数の動力伝達部材とを含み、
    上記複数の動力伝達部材は所定の動力伝達部材を含み、
    上記複数の動力伝達部材のそれぞれと、これに対応するリンクまたは上記複数の動力伝達部材のそれぞれとこれに対応するリンクとの間に介在する部材とは、互いに対向する対向部をそれぞれ有し、これらの対向部は互いの接触部で転がり摺動接触するようにしてあり、
    上記所定の動力伝達部材の対向部は、インボリュート曲面を含む曲面とされており、上記所定の動力伝達部材の対向部に対向するもう一方の上記対向部は、平坦面とされており、
    上記動力伝達チェーンは、相隣接するリンクが互いに所定の屈曲角をなして屈曲する屈曲領域を含み、その屈曲領域のリンクに、当該リンクに対応する一対の所定の動力伝達部材と上記所定のプーリとの接触点を含み各上記プーリの中心軸線を含む平面に平行な基準面が設定され、
    上記一対のプーリの上記動力伝達チェーンに関する有効半径が互いに同じ場合において、動力伝達チェーンの所定の部分が直線領域から上記所定のプーリに巻き掛けられて屈曲領域に移行するとき、上記所定の部分の上記所定の動力伝達部材が上記所定のプーリに係合を開始するまでの間に、上記所定の動力伝達部材の接触点が基準面と直交し且つ屈曲の外側へ移動する量Hは、下記式を満たすことを特徴とする動力伝達装置。
    H≧R−P
    ただし、Rは、上記所定のプーリの所定の有効半径
    Pは、上記所定のプーリの中心軸線と基準面との距離
  2. 請求項において、上記複数のリンクは、チェーン進行方向に並ぶ第1および第2の貫通孔をそれぞれ含み、
    上記複数の動力伝達部材は、第1の貫通孔に相対移動可能に嵌め入れられる動力伝達部材と、第2の貫通孔に相対移動を規制されて嵌め入れられる動力伝達部材とをそれぞれ有することを特徴とする動力伝達装置。
  3. 請求項1または2において、上記複数の動力伝達部材が上記各プーリに対して順次に係合するときの接触周期をランダム化するためのランダム化手段をさらに備えることを特徴とする動力伝達装置。
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