JPWO2005008100A1 - 鞍乗型車両用エンジン及びそれを備えた鞍乗型車両 - Google Patents

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辰哉 増田
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Abstract

側面視において、変速装置のセカンダリーシーブ軸(47)はドライブ軸(48)よりも上方に配置されている。減速機構のアイドル軸(52)は、ドライブ軸(48)の軸心とセカンダリーシーブ軸(47)の軸心とを結んだ仮想線(C)よりもプライマリーシーブ(55)の側に配置されている。ドライブ軸(48)は、変速装置ケース(45)の輪郭線の内側に配置されている。

Description

本発明は、鞍乗型車両用エンジン及びそれを備えた鞍乗型車両に関する。
鞍乗型車両は、例えば自動二輪車等として広く用いられている。通常、鞍乗型車両用のエンジンは、エンジン本体とともに変速機や減速機構等の補機類を備えており、これらエンジン本体及び補機類は一体となって車両本体に取り付けられている。
特開2001−3723号公報(以下、特許文献1という)には、Vベルト式自動変速機と遠心クラッチと減速機構とを備えたエンジンが開示されている。このエンジンでは、Vベルト式自動変速機の駆動プーリ(以下、プライマリーシーブという)は、エンジン本体のクランク軸に同軸状に連結されている。一方、Vベルト式自動変速機の従動プーリ(以下、セカンダリシーブという)は、遠心クラッチと減速機構のアイドル軸とを介して、ドライブ軸に連結されている。
ところで、エンジン内には各種の回転軸が設けられており、側面視におけるそれら回転軸の配置態様、すなわち車体の側面から見た各回転軸の配置態様は様々である。以下、従来のエンジンにおける各回転軸の配置態様の例について説明する。
上記特許文献1に開示されたエンジンでは、セカンダリーシーブの中心に嵌め込まれたセカンダリーシーブ軸は、ドライブ軸よりも低い位置に配置されている(特許文献1の図5参照)。
特開2001−65650号公報(以下、特許文献2という)には、セカンダリーシーブ軸がドライブ軸よりも上方に配置されたエンジンが開示されている(特許文献2の図6参照)。このエンジンには、セカンダリーシーブ軸とドライブ軸との間に減速機構が設けられている。
特開2002−19682号公報(以下、特許文献3という)には、セカンダリーシーブ軸とドライブ軸とがほぼ同一の高さに配置されたエンジンが開示されている(特許文献3の図2参照)。すなわち、このエンジンでは、セカンダリーシーブ軸とドライブ軸とは、互いにほぼ水平方向に並んでいる。なお、このエンジンにおいても、セカンダリーシーブ軸とドライブ軸との間には減速機構が設けられている。
特開2001−3723号公報 特開2001−65650号公報 特開2002−19682号公報
このように、変速機のセカンダリーシーブ軸とドライブ軸との配置態様は様々である。しかしながら、アイドル軸を有する減速機構を設ける場合、セカンダリーシーブ軸とドライブ軸とに加えて、アイドル軸の配置態様にも工夫を施さなければ、エンジンの大型化等を招くことになる。ところが従来は、エンジン容積の低減の観点から、これら3つの回転軸(すなわち、セカンダリーシーブ軸とアイドル軸とドライブ軸)の配置態様に工夫を施したエンジンは見当たらなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、変速機のセカンダリーシーブ軸と減速機構のアイドル軸とドライブ軸との配置態様を工夫することにより、鞍乗型車両用エンジンの小型化を図ることにある。また、本発明の他の目的は、その鞍乗型車両用エンジンを搭載した好適な鞍乗型車両を提供することである。
本発明に係る鞍乗型車両用エンジンは、左右方向に延びるクランク軸を有するエンジン本体と、前記クランク軸の回転に従って回転するプライマリーシーブと、左右方向に延びるセカンダリーシーブ軸を有するセカンダリーシーブと、前記プライマリーシーブと前記セカンダリーシーブとに巻き掛けられた伝動ベルトと、を有する変速機と、前記プライマリーシーブと前記セカンダリーシーブと前記伝動ベルトとを収容する変速機ケースと、左右方向に延びるアイドル軸を有し、前記セカンダリーシーブ軸に連結された減速機構と、左右方向に延び、前記減速機構に連結されたドライブ軸と、を備えた鞍乗型車両用エンジンであって、前記セカンダリーシーブ軸は、前記ドライブ軸よりも上方に配置され、前記アイドル軸は、側面視において前記ドライブ軸の軸心と前記セカンダリーシーブ軸の軸心とを結んだ仮想線よりも前記プライマリーシーブ側に配置され、前記ドライブ軸は、側面視において前記変速機ケースの輪郭線の内側に配置されているものである。
なお、本明細書で言う「連結」とは、広い意味での連結を意味し、直接的に接続されている場合だけでなく、間接的に接続されている場合も含む意味である。
ところで、ドライブ軸は、被駆動要素(例えば、自動二輪車における後輪)に対して回転駆動力を出力するものである。そのため、ドライブ軸の設置位置は、被駆動要素の設置位置によって制約を受ける。したがって、ドライブ軸がセカンダリーシーブ軸と同軸状に配置されていると、セカンダリーシーブ軸の設置位置も制約を受けることになる。
しかしながら、上記鞍乗型車両用エンジンによれば、セカンダリーシーブ軸とドライブ軸とが別軸であるため、ドライブ軸の設置位置に関する制約を受けることなく、セカンダリーシーブ軸を比較的自由な位置に配置することができる。そして、セカンダリーシーブ軸をドライブ軸よりも上方に配置したことにより、エンジンの下側部分が小型化される。そのため、鞍乗型車両において、エンジンの下方に大きなスペースを確保することが可能となる。また、側面視において、ドライブ軸の軸心とセカンダリーシーブ軸の軸心とを結んだ仮想線よりもプライマリーシーブ側にアイドル軸を配置することとしたので、エンジンにおけるプライマリーシーブ側と反対の側を小型化することができる。例えば、プライマリーシーブをエンジンの前側に配置した場合、エンジンの後側部分を小型化することができる。そのため、鞍乗型車両において、エンジンの後方に大きなスペースを確保することが可能となる。さらに、側面視においてドライブ軸を変速機ケースの輪郭線の内側に位置づけることとしたので、エンジン内においてドライブ軸と変速機とを高密度に配置することができる。すなわち、ドライブ軸と変速機とを、限られた容積内に効率的に配置することができる。
そして、本発明によれば、上述の諸要因、すなわち省スペース化のための複数の要因を組み合わせることとしたので、それら要因の相乗効果によって、鞍乗型車両用エンジンを従来よりも小型化することができる。特に、エンジンの後側かつ下側の部分を小さくすることができ、鞍乗型車両におけるエンジンの後方かつ下方に大きなスペースを確保することが可能となる。従来のエンジンでは、セカンダリーシーブは比較的大きくかつ側方に突出しがちであったが、本発明によれば、セカンダリーシーブはドライブ軸よりも上方に配置されるので、バンク角を大きく確保することが可能となる。
前記減速機構は、前記アイドル軸に同心状に取り付けられた第1の減速用歯車を有し、前記第1の減速用歯車の少なくとも一部は、側面視において前記プライマリーシーブと重なっていることが好ましい。
このことにより、エンジン内における機器の効率的配置をさらに促進することができ、エンジンを一層小型化することができる。
前記減速機構は、前記ドライブ軸に同心状に取り付けられた第2の減速用歯車を有し、前記第2の減速用歯車は、側面視において前記変速機ケースの輪郭線の内側に配置されていることが好ましい。
このことにより、エンジン内における機器の効率的配置をさらに促進することができ、エンジンを一層小型化することができる。
本発明に係る鞍乗型車両は、前記鞍乗型車両用エンジンを備えたものである。
前記鞍乗型車両は、前記ドライブ軸が前記クランク軸よりも後方に位置するような姿勢で前記エンジンを支持する車両本体と、前記車両本体に揺動自在に支持され、後輪を支持するリヤアームと、前記ドライブ軸から前記後輪に駆動力を伝達する伝動部材とを備え、前記車両本体における前記リヤアームの支持点は、側面視において前記鞍乗型車両用エンジンの後方に位置していることが好ましい。
前記車両本体における前記リヤアームの支持点は、前記セカンダリーシーブ軸の軸心より下方に位置していることが好ましい。
前記鞍乗型車両用エンジンにおいては、セカンダリーシーブ軸がドライブ軸よりも上方に配置されているので、セカンダリーシーブ軸の下方に、比較的大きなスペースが生じている。そのため、リヤアームの支持点をセカンダリーシーブ軸の軸心よりも下方に位置づけることにより、スペースの効率的利用が図られる。
また、前記車両本体における前記リヤアームの支持点は、前記ドライブ軸の後方近傍に位置していることが好ましい。
このことにより、リヤアームが支持点を中心として揺動した際に、伝動部材の駆動力の伝達効率が低下することを抑制することができる。
以上のように、本発明によれば、鞍乗型車両用エンジンを従来よりも小型にすることができる。特に、鞍乗型車両用エンジンの後側かつ下側の部分を小さくすることができ、鞍乗型車両におけるエンジンの後方かつ下方に大きなスペースを確保することができる。
本発明の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。 4のII−II線に沿ったエンジンユニットの断面図である。 エンジンユニットの部分断面図である。 エンジンの各回転軸の配置を示す右側面図である。
符号の説明
1 自動二輪車(鞍乗型車両)
2 エンジンユニット
7 後輪
8 リヤアーム
15 エンジン本体
16 Vベルト式無段変速装置(変速機)
17 遠心クラッチ
18 減速機構
28 クランク軸
45 変速装置ケース(変速機ケース)
47 セカンダリーシーブ軸
48 ドライブ軸
50 チェーン(伝動部材)
52 アイドル軸
55 プライマリーシーブ
56 セカンダリーシーブ
57 Vベルト(伝動ベルト)
75 一次側の減速大ギヤ(第1の減速用歯車)
77 二次側の減速大ギヤ(第2の減速用歯車)
100 ピポット軸(支持点)
C ドライブ軸の軸心とセカンダリーシーブ軸の軸心とを結んだ仮想線
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るエンジンを備えた自動二輪車1を示している。詳細は後述するが、本実施形態に係るエンジンは、無段変速装置内蔵エンジンである。車体フレーム1aの前端には、ヘッドパイプ3が固定されている。ヘッドパイプ3には、フロントフォーク5が左右方向に回動自在に支持されている。フロントフォーク5の下端部には、前輪4が回転自在に支持されている。
車体の前後方向中央部には、リヤアームブラケット6が配置されている。リヤアームブラケット6には、ピポット軸(支持点)100を介してリヤアーム8が支持されている。リヤアーム8は、ピポット軸100に回動自在に支持されている。したがって、リヤアーム8は、ピポット軸100を中心として上下方向に揺動自在に設けられている。リヤアーム8の後端部には、後輪7が回転自在に支持されている。車体フレーム1aの上部には、シート9が配置されている。シート9は、運転者用シート部9aと後部乗員用シート部9bとから構成されている。詳細は後述するが、エンジンユニット2は、回転駆動力を出力するドライブ軸48(図4参照)がクランク軸28よりも後方に位置するような姿勢で、車体フレーム1aに取り付けられている。また、本エンジンユニット2では、リヤアーム8のピポット軸100は、エンジンユニット2の後方に位置しており、ドライブ軸48の後方近傍に配置されている。
図1に示すように、車体フレーム1aは、ヘッドパイプ3から後方斜め下向きに延びるダウンチューブ1bと、ダウンチューブ1bの後端に続いて斜め上方に延びるアッパーチューブ1cと、ダウンチューブ1bとアッパーチューブ1cとに接合され、これらダウンチューブ1bとアッパーチューブ1cとの間に前後方向に架け渡されたシートレール1dとから構成されている。なお、ダウンチューブ1bとアッパーチューブ1cとシートレール1dとは、車体の左右両側にそれぞれ設けられている。
この車体フレーム1aは、樹脂製のカバー10によって覆われている。カバー10は、フロントカバー10a、レッグシールド10b、及びサイドカバー10c等からなっている。フロントフォーク5の上端には、ハンドルカバー11aに覆われた操向ハンドル11が固定されている。リヤアーム8とリヤアームブラケット6との間には、リヤクッション(ショックアブソーバ)12が配設されている。
車体フレーム1aのダウンチューブ1bには、エンジンユニット2が吊り下げられた状態で支持されている。エンジンユニット2は、エンジン本体15(図2参照)として空冷式4サイクル単気筒エンジンを備えており、エンジン本体15の気筒軸線Aは、水平軸から約45度傾斜している。
次に、図2〜図4を参照しながら、エンジンユニット2の構成を詳細に説明する。なお、図2は図4のII−II線断面図である。図3は図2の詳細拡大図であり、クランクケース付近を示している。図4はエンジンユニット2における各軸の配置レイアウトを示す図であり、車体を右側面方向から(つまり、クランク軸方向から)見た配置レイアウトを示している。
図2に示すように、エンジンユニット2は、エンジン本体15と、Vベルト式無段変速装置16と、湿式多板遠心クラッチ17と、減速機構18とを備えている。
エンジン本体15は、シリンダブロック19と、シリンダヘッド20と、クランクケース22とを備えている。シリンダヘッド20は、シリンダブロック19の上合面に接続されている。シリンダヘッド20の上側には、ヘッドカバー21が設けられている。クランクケース22は、シリンダブロック19の下合面に接続されている。クランクケース22は、クランク軸28及びセカンダリーシーブ軸(変速軸)47を支持している。
シリンダヘッド20の後面には、燃焼凹部20aに連通する図示しない吸気ポートが開口している。この吸気ポートには、吸気管23a(図1参照)を介してキャブレタ23が接続されている。一方、シリンダヘッド20の前面には、燃焼凹部20aに連通する図示しない排気ポートが開口している。この排気ポートには、排気管24(図1参照)が接続されている。この排気管24は、後方斜め下向きに延びた後、エンジン本体15の右側方を通って後方斜め上向きに延び、マフラ25に接続されている。なお、マフラ25は、後輪7の右側方に配設されている。図2に示すように、燃焼凹部20aの内部には、点火プラグ30が挿入されている。
シリンダブロック19の左側部には、クランクケース22の内部とシリンダヘッド20の内部とをつなぐチェーン室19aが形成されている。このチェーン室19aには、タイミングチェーン34が配設されている。タイミングチェーン34は、クランク軸28とカム軸31とに巻き掛けられている。カム軸31は、クランク軸28の回転に従って回転し、図示しない吸気バルブ及び排気バルブを開閉させる。
シリンダブロック19のシリンダボア内には、ピストン26が摺動可能に挿入されている。このピストン26には、コンロッド27の小端部27bが連結されている。クランク軸28の左側クランクアーム28aと右側クランクアーム28bとの間には、クランクピン29が設けられている。コンロッド27の大端部27aは、クランクピン29に連結されている。なお、符号32はシリンダスリーブである。
クランクケース22は、分割された2つのケース、すなわち左側の第1ケース40と右側の第2ケース41とを備えている。第1ケース40と第2ケース41との合面、つまりクランクケース22の割り面Dは、シリンダブロック19の軸線Lに対して平行に延びている。しかしながら、割り面Dは軸線Lと一致しておらず、軸線Lの左側にオフセットされている。
第2ケース41の右側には、ケースカバー71が取り付けられている。第2ケース41の右側には開口が形成され、ケースカバー71は当該開口を覆っている。ケースカバー71は、ボルト72により、第2ケース41に対して着脱可能に固定されている。したがって、ケースカバー71は取り付け及び取り外しが容易である。ケースカバー71を第2ケース41から取り外すことにより、遠心クラッチ17とセカンダリーシーブ軸47とを容易に取り外すことができる。
第1ケース40の前方左側には、発電機42を収容する発電機ケース44が着脱自在に取り付けられている。第2ケース41の右側には、Vベルト式無段変速装置16を収容する変速装置ケース45が取り付けられている。Vベルト式無段変速装置16は、変速装置ケース45に区画された変速機室に収容されている。
変速装置ケース45は、クランクケース22から独立して形成されており、ケース本体45aと蓋体45bとから構成されている。ケース本体45aは、第2ケース41の右側に配置されており、右側に開口している。蓋体45bは、ケース本体45aの右側に配置され、ケース本体45aの右側の開口を密閉している。ケース本体45aと蓋体45bと第2ケース41とは、ボルト70によって一体的に固定されている。ケース本体45aの底壁45cと第2ケース41との間には、隙間aが設けられている。このように、ケース本体45aと第2ケース41とが隔てられていることにより、エンジン本体15からの熱が変速装置ケース45に伝わることが抑制されている。なお、変速装置ケース45の右側は、化粧カバー60によって覆われている。
クランクケース22の前側(図2における上側)には、クランク軸28が左右方向に延びるように配置されている。クランク軸28の中央部分におけるシリンダブロック19の軸線Lよりも左側は、軸受35を介して第1ケース40に回転自在に支持されている。一方、クランク軸28の中央部分における上記軸線Lよりも右側は、軸受36を介して第2ケース41に回転自在に支持されている。
クランク軸28の右側端部は、第2ケース41を超えて、変速装置ケース45内に延びている。クランク軸28の右側端部には、Vベルト式無段変速装置16のプライマリーシーブ(駆動プーリ)55が同軸状に嵌め込まれている。したがって、プライマリーシーブ55は、クランク軸28の回転に従って回転する。なお、このクランク軸28の右側端部は、プライマリーシーブ軸55dを形成している。ただし、プライマリーシーブ55とクランク軸28との連結の態様は、上記態様に限定される訳ではない。プライマリーシーブ軸55dとクランク軸28とは、別体に形成されていてもよい。プライマリーシーブ軸55dは、必ずしもクランク軸28と同軸状に配置されていなくてもよく、例えば、クランク軸28に対して平行に配置されていてもよい。
一方、クランク軸28の左側端部は、第1ケース40を超えて、発電機ケース44内に延びている。そして、クランク軸28の左側端部には、発電機42が取り付けられている。第2ケース41の右側端面のクランク軸28が延出する部分と、変速装置ケース45の底壁45cとの間には、シール部材37が設けられている。これにより、第2ケース41は変速装置ケース45に対して密閉されている。したがって、第2ケース41内に収容されるクラッチとして、湿式のものを使用することができる。前述したように、本実施形態では、上記クラッチとして湿式多板式の遠心クラッチ17が使用されている。
発電機42は、ステータ42bと、ステータ42bに対向するロータ42aとを備えている。ロータ42aは、クランク軸28と共に回転するスリーブ43に固定されている。なお、スリーブ43には、クランク軸28のテーパ部分が嵌め込まれている。ステータ42bは、発電機ケース44に固定されている。
クランクケース22の後側(図2における下側)には、クランク軸28と平行なセカンダリーシーブ軸47が配置されている。セカンダリーシーブ軸47の中央部の右側部分は、軸受38を介してケースカバー71に支持されている。セカンダリーシーブ軸47の中央部の左側部分は、軸受39を介して第2ケース41の左端部に支持されている。セカンダリーシーブ軸47の右側端部は、第2ケース41を超えて変速装置ケース45内に延びている。このセカンダリーシーブ軸47の右側端部には、Vベルト式無段変速装置16のセカンダリーシーブ(従動プーリ)56が連結されている。ここでは、セカンダリーシーブ56は、セカンダリーシーブ軸47に同軸状に連結されている。
セカンダリーシーブ軸47の左側部分には、遠心クラッチ17が取り付けられている。この遠心クラッチ17は、Vベルト式無段変速装置16のセカンダリーシーブ56よりも左側、すなわちシリンダブロック19側に配置されている。このような配置は、第2ケース41の内部スペースが大きいことによって達成されている。すなわち、本エンジンユニット2では、クランクケース22の分割面Dがシリンダブロック19の軸線Lよりも左側に位置しており、第2ケース41の内部には広いスペースが確保されている。そのため、遠心クラッチ17をセカンダリーシーブ56よりも左側に配置することが可能となっている。
遠心クラッチ17は、湿式多板式の遠心クラッチであり、インナクラッチ84と碗状のアウタクラッチ83とを備えている。アウタクラッチ83は、セカンダリーシーブ軸47にスプライン嵌合されており、セカンダリーシーブ軸47と共に回転する一方、セカンダリーシーブ軸47の軸方向への移動が自在である。インナクラッチ84は、アウタクラッチ83の内側に同軸状に配置されている。インナクラッチ84は、一次側の減速小ギヤ74にスプライン嵌合され、減速小ギヤ74はインナクラッチ84と共に回転する。なお、減速小ギヤ74は、セカンダリーシーブ軸47に回転自在に支持されている。
図3に示すように、アウタクラッチ83の内部には、複数枚のアウタクラッチ板85が配置されている。これらアウタクラッチ板85の左右両端には、押圧プレート86がそれぞれ配置されている。アウタクラッチ板85及び押圧プレート86は、アウタクラッチ83と共に回転するよう、アウタクラッチ83に係止されている。アウタクラッチ板85と押圧プレート86との間には、インナクラッチ板87が配設されている。インナクラッチ板87は、インナクラッチ84と共に回転するよう、インナクラッチ84の外周部に係止されている。
アウタクラッチ83の内側には、左側に突出するカム面83aが形成されている。そして、カム面83aと右側の押圧プレート86との間には、ウエイト88が配設されている。アウタクラッチ83の回転速度が所定速度以上になると、ウエイト88は遠心力を受けて半径方向外側に移動する。アウタクラッチ83の内側にはカム面83aが形成されているので、ウエイト88が半径方向外側に移動すると、右側の押圧プレート86はウエイト88によって左方向に押され、左側に移動する。その結果、アウタクラッチ板85とインナクラッチ板87とが接続される。すなわち、クラッチが接続された状態となる。なお、図2及び図3において、遠心クラッチ17における前側(図2及び図3における上側)の部分は遮断状態を表し、後側(図2及び図3における下側)の部分は接続状態を表している。
Vベルト式無段変速装置16は、プライマリーシーブ55と、セカンダリーシーブ56と、これらプライマリーシーブ55とセカンダリーシーブ56とに巻き掛けられたVベルト57とを備えている。前述したように、プライマリーシーブ55はクランク軸28の右側端部に取り付けられている。したがって、このプライマリーシーブ55には、クランク軸28の駆動力が伝達される。セカンダリーシーブ56は、セカンダリーシーブ軸47の右側端部に連結されている。
プライマリーシーブ55は、固定プーリ半体55aと、固定プーリ半体55aに対向する可動プーリ半体55bとを備えている。固定プーリ半体55aは、クランク軸28の右端に固定されており、クランク軸28と共に回転する。可動プーリ半体55bは、固定プーリ半体55aの左側に配置されている。クランク軸28には、クランク軸28に対してスライド可能なスライドカラー59が取り付けられている。可動プーリ半体55bは、このスライドカラー59を介してクランク軸28に取り付けられている。したがって、可動プーリ半体55bは、クランク軸28と共に回転し、かつ、クランク軸28の軸方向に移動自在である。可動プーリ半体55bの左側には、カムプレート58が配設されている。カムプレート58と可動プーリ半体55bとの間には、円筒形のウエイト61が配設されている。
セカンダリーシーブ56は、固定プーリ半体56aと、固定プーリ半体56aに対向する可動プーリ半体56bとを備えている。可動プーリ半体56bは、セカンダリーシーブ軸47の右端に取り付けられている。可動プーリ半体56bは、セカンダリーシーブ軸47と共に回転し、かつ、セカンダリーシーブ軸47の軸方向に移動自在である。セカンダリーシーブ軸47の右端にはコイルスプリング67が設けられており、可動プーリ半体56bはコイルスプリング67から左向きの付勢力を受けている。固定プーリ半体56aは、可動プーリ半体56bの左側に設置されている。固定プーリ半体56aの軸心部には、円筒状のスライドカラー62が固定されている。スライドカラー62は、セカンダリーシーブ軸47にスプライン嵌合されている。
このVベルト式無段変速装置16では、ウエイト61が駆動側の可動プーリ半体55bを右側に押し出す力と、コイルスプリング67が従動側の可動プーリ半体56bを左側に押し戻す力との大小関係によって、減速比が決定される。すなわち、クランク軸28の回転数が上昇すると、ウエイト61が遠心力を受けて径方向外側(図3における上側)に移動し、駆動側の可動プーリ半体55bを右側に移動させる。すると、これに伴って従動側の可動プーリ半体56bも、コイルスプリング67の付勢力に対抗して右側に移動する。この結果、駆動プーリ55におけるVベルト57の巻き掛け径は大きくなり、従動プーリ56における巻き掛け径は小さくなる。したがって、減速比は小さくなる。一方、クランク軸28の回転数が低下すると、ウエイト61の遠心力が小さくなるので、ウエイト61は径方向内側に移動する。そのため、駆動側の可動プーリ半体55bは、左側に移動しやすくなる。すると、従動側の可動プーリ半体56bがコイルスプリング67の付勢力を受けて左側に移動し、それに応じて駆動側の可動プーリ半体55bも左側に移動する。その結果、駆動プーリ55におけるVベルト57の巻き掛け径は小さくなり、従動プーリ56における巻き掛け径は大きくなる。したがって、減速比は大きくなる。
セカンダリーシーブ軸47の先端にはロックナット66がねじ込まれ、セカンダリーシーブ56は、このロックナット66を介してセカンダリーシーブ軸47に固定されている。ロックナット66は、スライドカラー62の右側端部62aに没入している。スライドカラー62の内径は、軸方向に沿って段階的に大きくなっている。一方、セカンダリーシーブ軸47の右側先端47aは、段階的に小さくなっている。つまり、セカンダリーシーブ軸47は、先端側に行くほど段付状に小径化されている。
本エンジンユニット2では、このような構成を採用したことにより、ロックナット66をスライドカラー62の右側端部62aの内側に支障なく配置することができる。したがって、ロックナット66をコイルスプリング67のばね受け部材65よりも左側に位置づけることが可能となっている。これにより、コイルスプリング67自体を短くすることなく、外側(右側)の出っ張りを小さく抑制することができる。すなわち、簡単な構造により、エンジンユニット2の小型化(幅方向の小型化)を達成している。
図2に示すように、減速機構18は、セカンダリーシーブ軸47と平行なアイドル軸(減速軸)52を備えている。アイドル軸52には、一次側の減速小ギヤ74と噛み合う減速大ギヤ75が結合されている。なお、減速小ギヤ74は、セカンダリーシーブ軸47に回転可能に取り付けられている。アイドル軸52にはさらに、二次側の減速小ギヤ76が一体形成されている。ドライブ軸48には、減速小ギヤ76と噛み合う減速大ギヤ77が一体形成されている。
アイドル軸52の右側端部は、軸受91を介して第2ケース41の左側部分に支持されている。アイドル軸52の左側端部は、第1ケース40の左側部分に回転自在に支持されている。
ドライブ軸48は、アイドル軸52と平行に配設されている。ドライブ軸48の右側端部は、軸受92を介して第2ケース41の左側部分に支持されている。ドライブ軸48の左側部分は、軸受93を介して第1ケース40の左側部分に支持されている。また、ドライブ軸48の左側端部には、スプロケット49が連結されている。スプロケット49は、チェーン50を介して後輪7の従動スプロケット51(図1参照)に連結されている。
次に、図4を参照しながら、エンジンユニット2における各回転軸の配置レイアウトについて説明する。図4は、車体を右側面から見たときの各回転軸の配置を示す側面図である。セカンダリーシーブ軸47とドライブ軸48とは、別軸として構成されている。セカンダリーシーブ軸47は、ドライブ軸48よりも上方に配置されており、ドライブ軸48よりもやや前側に配置されている。アイドル軸52は、ドライブ軸48の軸心とセカンダリーシーブ軸47の軸心とを結んだ仮想線Cよりも前方斜め下側、つまりプライマリーシーブ55側に配置されている。
また、ドライブ軸48は、車体の側面から見て、変速装置ケース45の輪郭線(外形線)の内側に位置している。言い換えると、ドライブ軸48は、変速装置ケース45のプロフィール内に収まるように配置されている。ただし、ドライブ軸48の大部分(例えば、ドライブ軸48の半分以上の部分)が上記輪郭線の内側に位置していればよく、必ずしもドライブ軸48の全体が上記輪郭線の内側に位置していなくてもよい。
セカンダリーシーブ56は、プライマリーシーブ55よりも後方かつ上方に配置されている。したがって、プライマリーシーブ55とセカンダリーシーブ56との間には、前方斜め上側に比較的大きな空間が形成されている。そこで、本エンジンユニット2では、吸気管23a及びキャブレタ23からなる吸気系部品154を当該空間に収容し、エンジンユニット2の更なる小型化を図っている。なお、符号156はバランスウエイトである。
ところで、自動二輪車等のように、ドライブ軸48から後輪7に対して、チェーン50や伝動ベルトやドライブシャフト等の伝動部材を介して駆動力を伝達する鞍乗型車両では、ドライブ軸48と後輪7との間の距離を長くすることは難しい。そのため、車両本体に対するドライブ軸48の位置は、ある程度制約されることになる。これに対し、セカンダリーシーブ軸47と減速機構18のアイドル軸52とについては、設置位置を比較的自由に決定することができる。そこで、本エンジンユニット2では、セカンダリーシーブ軸47をドライブ軸48と別軸とし、さらにセカンダリーシーブ軸47及びアイドル軸52の設置位置を工夫することにより、後述の効果を得ることとした。
すなわち、本エンジンユニット2では、セカンダリーシーブ軸47とドライブ軸48とを別軸としたので、ドライブ軸48の制約を受けることなく、セカンダリーシーブ軸47のレイアウトを自由に変えることが可能である。そして、セカンダリーシーブ軸47をドライブ軸48の上方に配置することにより、エンジンユニット2の下側部分を小型化することができ、エンジンユニット2の下方に比較的大きなスペースを確保することが可能となった。また、ドライブ軸48とセカンダリーシーブ軸47とを結んだ仮想線Cよりも前側(プライマリーシーブ55の側)にアイドル軸52を配置することとしたので、エンジンユニット2の後側部分を小型化することができ、エンジンユニット2の後方にも比較的大きなスペースを確保することができた。さらに、側面視においてドライブ軸48を変速装置ケース45の輪郭線の内側に配置することとしたので、ドライブ軸48と変速機構18とをエンジンユニット2内に効率的に配置することが可能となった。
本エンジンユニット2では、上述の回転軸の配置関係を組み合わせることにより、従来のエンジンユニットに比べて小型化が可能となった。特に、エンジンユニット2の後方かつ下方において、大きなスペースを確保することが可能となった。本エンジンユニットによれば、このことにより種々の効果を発揮することができる。
例えば、本エンジンユニット2によれば、リヤアーム8を長くすることができるので、操縦安定性を向上させることができる。また、ピポット軸100をセカンダリーシーブ軸47の軸心より下方に位置づけることができる。また、ドライブ軸48とピポット軸100とを近づけることができる(図1参照)。そのため、リヤアーム8がピポット軸100を中心にして揺動する際に、ドライブ軸48に巻き掛けられているチェーン50の弛みを低減することができる。したがって、後輪7に対する駆動力の伝達効率を向上させることができ、また、チェーン50の弛みに起因する騒音の発生を抑制すること等が可能となる。
なお、上記実施形態では、ドライブ軸48の駆動力を伝達する伝動部材は、チェーン50であった。しかし、伝動部材としてドライブシャフト等を用いた場合であっても、ドライブ軸48とピポット軸100との間の距離が短いことによって、ほぼ同様の効果を得ることができる。すなわち、リヤアーム8がピポット軸100を中心にして揺動する際に、駆動力の伝達効率の低下を抑制することができる。
このように、ピポット軸100はドライブ軸48の後方近傍に設けられていることが好ましい。なお、ここで言う「近傍」の程度は特に限定されるものではないが、例えば、セカンダリーシーブ56の直径以内であることが望ましく、セカンダリーシーブ56の半径以内であることが特に望ましい。
図4において、符号150はキックスタータ軸を示している。キックスタータ軸150は、ドライブ軸48の下方に配置されている。キックスタータ軸150は、側面から見てクランクケース22の輪郭線の内側に収まるように配置されている。
前述したように、アイドル軸52は、ドライブ軸48の軸心とセカンダリーシーブ軸47の軸心とを結んだ仮想線Cよりもプライマリーシーブ55側に配置されている。そのため、アイドル軸52の減速歯車(減速大ギヤ)75をプライマリーシーブ55に近づけることにより、側面視において減速歯車75をプライマリーシーブ55に一部重ねるように配置することができる。これにより、エンジンユニット2の後側部分をより小型化することが可能となる。
また、本エンジンユニット2では、側面視においてドライブ軸48の減速歯車(減速大ギヤ)77は、変速装置ケース45の輪郭線の内側に配置されている。したがって、エンジンユニット2のさらなる小型化が図られている。
以上のように、本発明は、自動二輪車等の鞍乗型車両用のエンジン及び鞍乗型車両について有用である。

Claims (7)

  1. 左右方向に延びるクランク軸を有するエンジン本体と、
    前記クランク軸の回転に従って回転するプライマリーシーブと、左右方向に延びるセカンダリーシーブ軸を有するセカンダリーシーブと、前記プライマリーシーブと前記セカンダリーシーブとに巻き掛けられた伝動ベルトと、を有する変速機と、
    前記プライマリーシーブと前記セカンダリーシーブと前記伝動ベルトとを収容する変速機ケースと、
    左右方向に延びるアイドル軸を有し、前記セカンダリーシーブ軸に連結された減速機構と、
    左右方向に延び、前記減速機構に連結されたドライブ軸と、
    を備えた鞍乗型車両用エンジンであって、
    前記セカンダリーシーブ軸は、前記ドライブ軸よりも上方に配置され、
    前記アイドル軸は、側面視において前記ドライブ軸の軸心と前記セカンダリーシーブ軸の軸心とを結んだ仮想線よりも前記プライマリーシーブ側に配置され、
    前記ドライブ軸は、側面視において前記変速機ケースの輪郭線の内側に配置されている鞍乗型車両用エンジン。
  2. 前記減速機構は、前記アイドル軸に同心状に取り付けられた第1の減速用歯車を有し、
    前記第1の減速用歯車の少なくとも一部は、側面視において前記プライマリーシーブと重なっている請求項1記載の鞍乗型車両用エンジン。
  3. 前記減速機構は、前記ドライブ軸に同心状に取り付けられた第2の減速用歯車を有し、
    前記第2の減速用歯車は、側面視において前記変速機ケースの輪郭線の内側に配置されている請求項1記載の鞍乗型車両用エンジン。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の鞍乗型車両用エンジンを備えた鞍乗型車両。
  5. 前記ドライブ軸が前記クランク軸よりも後方に位置するような姿勢で前記鞍乗型車両用エンジンを支持する車両本体と、
    前記車両本体に揺動自在に支持され、後輪を支持するリヤアームと、
    前記ドライブ軸から前記後輪に駆動力を伝達する伝動部材と、を備え、
    前記車両本体における前記リヤアームの支持点は、側面視において前記鞍乗型車両用エンジンの後方に位置している請求項4記載の鞍乗型車両。
  6. 前記車両本体における前記リヤアームの支持点は、前記セカンダリーシーブ軸の軸心より下方に位置している請求項5記載の鞍乗型車両。
  7. 前記車両本体における前記リヤアームの支持点は、前記ドライブ軸の後方近傍に位置している請求項5記載の鞍乗型車両。
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