JP2017180156A - 鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を低減し、キック始動装置の小型化を図ること。
【解決手段】クランクケース52に一体に連設されて後輪16の側方に配置される伝動ケース55と、伝動ケースとの間にベルト式無段変速機8を収容するベルト室80を形成する伝動ケースカバー56と、伝動ケースカバーを貫通するキック軸72と、キック軸の回転でキック被動ギヤ78を駆動するキック駆動ギヤ73と、キック駆動ギヤに噛み合うとともに、クランク軸51に設けられたキックラチェット71に係脱自在なラチェットホイール79を固着したキック被動ギヤとを備えた鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置において、キックラチェットはネジ部71bを有し、ネジ部を所定の回転方向Rに回転させるとクランク軸との締結状態が強まり、キックラチェットが直接にクランク軸へ締結固定され、所定の回転方向を、キック被動ギヤからの動力で回転するキックラチェットの回転方向と一致させた。
【選択図】図2

Description

本発明は、小型化が図られた鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置に関する。
従来の鞍乗型車両用パワーユニットのキック式始動装置として、内燃機関のクランクケースに一体に連設されて後輪の側方に配置される伝動ケースと、同伝動ケースとの間にベルト式無段変速機を収容するベルト室を形成するようにして、伝動ケースに取り付けられる伝動ケースカバーと、伝動ケースカバーを貫通するようにして設けられたキック軸と、キック軸の回転によってキック被動ギヤを駆動するキック駆動ギヤと、キック駆動ギヤに噛み合うとともに、内燃機関のクランク軸に設けられるキックラチェットに係脱自在なキック被動ギヤとを備えたものが、例えば下記特許文献1に示されるように知られている。
しかし、下記特許文献1に示されるものにおいては、キックラチェットが、クランク軸にスプライン嵌合されるとともに、ナットで締結されることによりクランク軸へ締結固定される構成であり、キック始動装置のクランク軸の軸線方向での大型化、部品点数の増加を招く恐れがあった。
特開昭63−212764号公報(第1図、第2図)
本発明は、上記従来技術に鑑みなされたものであり、部品点数を低減できる上、クランク軸線方向でのキック始動装置の小型化を図ることができ、また、キック始動時において、キックラチェットが緩むのを防止しながらクランク軸側への動力伝達を適切に行うことができる鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、内燃機関のクランクケースに一体に連設されて後輪の側方に配置される伝動ケースと、同伝動ケースとの間にベルト式無段変速機を収容するベルト室を形成するようにして前記伝動ケースに取り付けられる伝動ケースカバーと、同伝動ケースカバーを貫通するようにして設けられたキック軸と、同キック軸の回転によってキック被動ギヤを駆動するキック駆動ギヤと、同キック駆動ギヤに噛み合うとともに、前記内燃機関のクランク軸に設けられたキックラチェットに係脱自在なラチェットホイールを固着した前記キック被動ギヤとを備えた鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置において、
前記キックラチェットにはネジ部が形成され、同ネジ部を所定の回転方向に回転させることで前記クランク軸との締結状態が強められるとともに、前記キックラチェットが直接に前記クランク軸へ締結固定され、
前記所定の回転方向を、前記キック被動ギヤからの動力が伝達されて回転する前記キックラチェットの回転方向と一致させたことを特徴とする鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置において、前記クランク軸の端部には、前記ベルト式無段変速機を構成する駆動プーリが嵌合され、前記駆動プーリは、前記キックラチェットによって、前記クランク軸にクランク軸線方向を固定して取り付けられたことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置において、前記駆動プーリと前記キックラチェットとの間には、ワッシャが取り付けられたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置において、前記キックラチェットには、同キックラチェットの外周面の一部を凹ませた凹部が複数形成されたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置において、前記クランク軸の端部には、前記ベルト式無段変速機を構成する駆動プーリが嵌合されるとともに、同駆動プーリには、クランク軸線方向の外側へ向けて冷却フィンが複数立設され、前記キックラチェットは、前記クランク軸に前記駆動プーリよりもクランク軸線方向の外側に取り付けられ、前記凹部は、前記冷却フィンのクランク軸線方向の外側端部よりも内側に設けられたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明の鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置によれば、キックラチェットにネジ部を形成して、このネジ部を回転させることでキックラチェットをクランク軸に直接に締結固定するようにしたので、従来のようなナットによるキックラチェットの固定を不要にすることができ、部品点数を低減できる上、クランク軸線方向でのキック始動装置の小型化を図ることができる。
また、ネジ部を形成するにあたり、クランク軸との締結状態が強められるネジ部の所定の回転方向を、キック被動ギヤからの動力が伝達されて回転するキックラチェットの回転方向と一致させたので、キック始動時において、キックラチェットが緩むのを防止しながらクランク軸側への動力伝達を適切に行うことができ、この点においてもキックラチェットの緩み防止用のナット等を不要にできる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、駆動プーリのクランク軸へのクランク軸心方向の固定をキックラチェットで行うことができるので、駆動プーリのクランク軸への固定用のナット等を不要にすることができ、部品点数を低減できる上、クランク軸の軸線方向でのパワーユニットの小型化を図ることができる。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、駆動プーリとキックラチェットとの間にワッシャが取り付けられたので、キックラチェットのネジ部の緩みを抑制することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、キックラチェットの外周面の一部を凹ませた凹部が複数形成されたので、当該凹部に工具を係合させてキックラチェットを回転させることができ、キックラチェットのクランク軸からの着脱を容易に行うことができる。
さらに、キックラチェットの外周面の一部を凹ませるようにしているので、キックラチェットの径方向大型化を防ぎながらキックラチェットの着脱容易性を向上することができる。
請求項5の発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、キックラチェットと駆動プーリとをクランク軸線方向でコンパクトに設けることができ、パワーユニットの小型化を図ることができる。
本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両用のパワーユニットを搭載した自動二輪車の後部左側面を示す。 図1中II−II矢視による、パワーユニットの部分断面展開図である。 図2中の駆動プーリの断面拡大図である。 図3中IV−IV矢視による、キックラチェットと駆動プーリの固定プーリの左面図である。 図4中V矢視による、キックラチェットと駆動プーリの固定プーリの左斜視図である。
図1から図5に基づき、本発明の一実施形態に係る鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置につき説明する。
なお、本明細書の説明および特許請求の範囲における前後左右上下等の向きは、本実施形態に係るパワーユニットを、鞍乗型車両に搭載した状態での車両の向きに従うものとする。本実施形態において鞍乗型車両は、スクータ型自動二輪車である。
また、図中矢印FRは車両前方を、LHは車両左方を、RHは車両右方を、UPは車両上方を、それぞれ示す。
図1に、本実施形態の鞍乗型車両用のパワーユニット5を搭載したスクータ型自動二輪車(本発明における「鞍乗型車両」。以下、単に「自動二輪車」という。)1の後部左側面を示す。
この自動二輪車1は、車両の前後方向を指向した車体フレーム10を備えており、車体フレーム10の前部は図示されないヘッドパイプが固着され、ヘッドパイプは図示されない前輪を支持するフロントフォークを操向可能に支承している。車体フレーム10は、ヘッドパイプから下方へ垂下され後方に延びその上部に図示しないステップフロアを支承するダウンフレーム11と、その後端でクロスフレーム12を介して接続し後ろ上がりに傾斜するメインフレーム13とからなっている。メインフレーム13は、その上部で図示しない収納部、燃料タンク、乗車用シート等を支えている。また、自動二輪車1の車体の上半部には車体カバー19が取り付けられる。
メインフレーム13の傾斜部の下端付近にブラケット14が突設され、ブラケット14にリンク部材15を介してパワーユニット5が揺動可能に連結支持されている。
パワーユニット5は、その前部が単気筒4ストロークサイクルの空冷式内燃機関(以下、単に「内燃機関」という)2であり、シリンダ軸線Xを略水平に近い状態にまで大きく前傾した姿勢にあって、パワーユニットケース50の下部から前方に突出したハンガアーム53の端部が、メインフレーム13にリンク部材15を介して連結されている。また、パワーユニットケース50の下部には、メインスタンド18が設けられる。
図2は、図1中概ねII−II矢視による、パワーユニット5の部分断面展開図であり、図2に示されるように、パワーユニット5には、クランクケース部(本発明における「クランクケース」)52を構成するパワーユニットケース50の前部に、シリンダ軸線Xを略水平に大きく前傾して内燃機関2を構成するシリンダブロック21、シリンダヘッド22、シリンダヘッドカバー23(図1参照)が順次積み上げられるように締結される。
クランクケース部52は左右割りで、左クランクケース部(本発明における「クランクケース」の左半体)52Lと、右クランクケース部(本発明における「クランクケース」の右半体)52Rからなり、クランク軸51を車幅方向に指向させて、左クランクケース部52Lの左側壁52Laと右クランクケース部52Rの右側壁52Raに、主軸受54、54によって回転自在に軸支している。
右クランクケース部52Rの右側壁52Raを貫通したクランク軸51の右軸部51R側には、クランク軸51と同心で連動する交流発電機26と冷却ファン27が設けられ、冷却ファン27はシュラウド9に覆われている。シュラウド9は冷却ファン27に対応して右側面に吸気開口90を備えるとともに、さらにシリンダブロック21とシリンダヘッド22を覆い、強制空冷を行う冷却空気路を形成している。
左クランクケース部52Lの左側壁52Laを貫通したクランク軸51の左軸部51L側には、ベルト式無段変速機8の駆動プーリ81側が備え付けられるが、左クランクケース部52Lには一体に連設されて後輪の側方に配置される伝動ケース部(本発明における「伝動ケース」)55が設けられ、伝動ケース部55との間にベルト式無段変速機8を収容するベルト室80を形成するように伝動ケースカバー56が、伝動ケース部55に取付けられる。伝動ケース部55の後部には、パワーユニット5の出力軸である後車軸57が設けられ、後輪16が取り付けられている。(図1参照)
なお、パワーユニット5の後部の伝動ケース部55と、メインフレーム13との間には図示しないリヤクッションが介装されている。
また、図1に示されるように、パワーユニット5の上部では、内燃機関2の大きく前傾したシリンダヘッド22の上部の吸気ポート36iから、燃料インジェクタ61を備えた吸気管60が延出して後方に湾曲し、吸気管60に接続されたスロットルボディ62がシリンダブロック21からクランクケース部52にかけての上方に位置し、スロットルボディ62にコネクティングチューブ63を介して接続するエアクリーナ装置64が伝動ケース部55の上方に配設されている。
一方、シリンダヘッド22の下部の排気ポート36eに接続し下方に延出した排気管65は、後方へ屈曲し右側に偏って後方に延びて後輪16の右側の図示しない排気マフラーに接続される。
再び図2を参照して、内燃機関2は、シリンダブロック21のシリンダボア21a内を往復動するピストン30とクランク軸51のクランクピン51pとをコネクティングロッド31が連結している。また、ピストン30とシリンダヘッド22との間に燃焼室32が形成される。
本実施形態の内燃機関2は、SOHC型式のバルブシステムを採用しており、シリンダヘッドカバー23(図1参照)内には図示しない動弁機構が設けられ、同動弁機構に駆動伝達を行うカムチェーン33が図示しないカム軸とクランク軸51との間に架設されており、そのためのカムチェーン室34が、左クランクケース部52L,シリンダブロック21,シリンダヘッド22の左側に連通して設けられている。
シリンダヘッド22においてカムチェーン室34と反対側(右側)から燃焼室32に向かって斜めに点火プラグ35が嵌入されている。
パワーユニットケース50の左クランクケース部52Lには、カムチェーン室34が主軸受54によりクランク室25と仕切って形成されており、カムチェーン室34の左側には、さらに左方のベルト室80とカムチェーン室34とを仕切る仕切り部材58が設けられ、仕切り部材58の中空口に設けられたシール部材59をクランク軸51が貫通している。
仕切り部材58のシール部材59によりベルト室80がカムチェーン室34から液密に仕切られ、オイルがベルト室70に漏れるのを防止している。
シール部材59を貫通して延出したクランク軸51の左軸部51Lは軸端小径部(本発明における「端部」)51aを有しており、ベルト式無段変速機8の駆動プーリ81が一体となって回転可能に設けられている。
駆動プーリ81は、軸周り回転不可能且つ軸方向移動不可能の固定プーリ半体82と、軸周り回転不可能且つ軸方向移動可能の可動プーリ半体83とを備え、且つ可動プーリ半体83を駆動するための制御機構84(図3参照)を備えている。制御機構84は、可動プーリ半体83を軸方向に移動させることによって、固定プーリ半体82と可動プーリ半体83の間隔を変更し、ベルト式無段変速機8の変速を行なう手段である。
図2中の駆動プーリ81の断面拡大図である図3に示されるように、クランク軸51の軸端小径部51aに接して、左側から順にキックラチェット71、ワッシャ51c、固定プーリ半体82、鋼製スリーブ85、ウエイト保持プレート86が配置されている。ウエイト保持プレート86の右面はクランク軸51の左端部51Lの軸端大径部51dの端面51eに当接している。
なお、固定プーリ半体82は、クランク軸51の軸端小径部51aにスプライン嵌合している。
本実施形態において、キックラチェット71にはクランク軸51の軸端小径部51aに形成された雄ネジ部51bに螺合する雌ネジ部(本発明における「ネジ部」)71bが形成されており、キックラチェット71の雌ネジ部71bを締めつけることによって、クランク軸51の軸端小径部51a上の各部材は軸端小径部51aに対して軸方向移動不能且つ回転不能に固定されている。すなわち、駆動プーリ81全体が一体となって、キックラチェット71によって、クランク軸51にクランク軸線Y方向を固定して取り付けられる。すなわち、キックラチェット71は、クランク軸51に駆動プーリ81よりもクランク軸線Y方向の外側に取り付けられている。このとき、ワッシャ51cによってキックラチェット71の雌ネジ部71bの緩みを抑制することができる。
従来は、ナットによってキックラチェット71をクランク軸51に取り付けていたところを、そのように、キックラチェット71自体をクランク軸51に螺合させたので、ナットが不要となり、その分、クランク軸51の左軸部51Lを短く設定でき、クランク軸線Y方向のパワーユニットの小型化に寄与している。
鋼製スリーブ85の外周に、可動プーリ半体83が支持されている。可動プーリ半体83は、可動プーリボス部83aとその一端に形成されたフランジ部83bとから成り、可動プーリボス部83aは、樹脂ブッシュ87を介して鋼製スリーブ85の外側に嵌装されている。
可動プーリ半体83は鋼製スリーブ85の外周に対して回転不可能であり、軸端小径部51aの軸線方向、すなわちクランク軸線Y方向には摺動可能である。円柱状の遠心ウエイト88が、ウエイト保持プレート86と、可動プーリ半体83の遠心ウエイト収容カム面83cとの間に保持され、制御機構84が構成されている。
図3において、制御機構84は、クランク軸51の軸端小径部51aに設けられたウエイト保持プレート86と可動プーリ半体83の遠心ウエイト収容カム面83cとの間に保持されている遠心ウエイト88とから成り、クランク軸51の回転数が増大すると、遠心ウエイト88が、遠心力により外方へ移動し、可動プーリ半体83がウエイト保持プレート86から離れる方向へ押され、可動プーリ半体83が固定プーリ半体82の方へ移動し、駆動プーリ81の固定プーリ半体82と可動プーリ半体83との間隔が狭まりVベルト8aの巻き掛け径が大きくなる。
そのため図示しない従動プーリにおいては、Vベルト8aの巻き掛け径が小さくなり、後輪16の回転速度が上昇する。
クランク軸51の回転数が低いときには、遠心ウエイト88は回転中心に近い側にあり、可動プーリ半体83はウエイト保持プレート86に接近している。このとき可動プーリ半体83は固定プーリ半体82から離れた位置にあり、固定プーリ半体82と可動プーリ半体83との間隔が広く、駆動プーリ81におけるVベルト8aの巻き掛け径が小さくなっている。
そのため図示しない従動プーリにおいては、Vベルト8aの巻き掛け径が大きくなり、後輪16の回転速度が低下する。
ベルト式無段変速機室8を左側から覆う伝動ケースカバー56は、側面視で前後に長尺の長円状をなしており(図1参照)、図2に示されるように、中央より若干前寄りにキック軸72が、回動自在に伝動ケースカバー56を貫通するように支持されている。
キック軸72の内側端部にはキック駆動ギヤ73が嵌着され、キック軸72の回転によって回転するとともに、リターンスプリング74により回転戻し方向に付勢されている。
キック軸27の外部へ突出した左端部にキックアーム75の基端が嵌着され、キックアーム75の先端にキックペダル76が起伏自在に取り付けられている。
そして伝動ケースカバー56の前部内面には、クランク軸51と同軸に摺動軸77が回転かつ軸方向の摺動可能に支持されており、摺動軸76にはキック被動ギヤ78が一体に形成されてキック駆動ギヤ73と噛み合っている。すなわち、キック駆動ギヤ73は、キック軸72の回転によってキック被動ギヤ78を駆動する。
キック被動ギヤ78の右端にはラチェットホイール79が固着され、全体がフリクションスプリング70により左方に付勢されている。
一方、クランク軸51の軸端小径部51aに固定プーリ半体82を押さえて固定されるキックラチェット71には、ラチェットホイール79に対向したラチェット歯71aが形成されており、両者は摺動軸77の摺動で係脱自在であるである。
すなわち、キック駆動ギヤ73とキック被動ギヤ78は、ともにヘリカルギヤであり、キックペダル76が踏み込まれ、キック軸72がリターンスプリング74に抗して回転すると、キック軸26と一体にキック駆動ギヤ73が回転して、これと噛合する摺動軸77のキック被動ギヤ78がラチェットホイール79と一体に回転しながら、フリクションスプリング70に抗して右方に突出して、ラチェットホイール79が、クランク軸51に設けられたキックラチェット71のラチェット歯71aと噛み合って、クランク軸51を強制的に回転させ内燃機関2を始動することができる。
キックラチェット71は、キック被動ギヤ78からの動力伝達は許容する一方、キックラチェット71がクランク軸51によって回転させられることによるキックラチェット71からキック被動ギヤ78への動力伝達は行えないように、動力伝達がワンウェイとなる形状となっている。
したがって、一旦内燃機関2が始動されれば、クランク軸51は、キック被動ギヤ78に影響を及ぼさず回転できることとなる。
なお、キックラチェット71は直接にクランク軸51へ締結固定されおり、キック被動ギ78が回転してそのラチェットホイール79を介して、キックラチェット71が回転する回転方向は、キックラチェット71の雌ネジ部71bの、クランク軸51の雌ネジ部71bとの締結状態が強められる所定の回転方向(図4、図5中、白抜き矢印R参照)と一致させてある。そのように構成したことによって、キック始動操作によって駆動プーリ71の取り付けに弛みが生じることがなくなる。
固定プーリ半体82は、そのVベルト8aを挟持する側面と反対側の側面(左側面)に、すなわちクランク軸線Y方向の外側へ向けて、冷却フィン82aが複数、立設形成されており、クランク軸51とともに回転する固定プーリ半体82の冷却フィン82aの回転により外気がベルト室80に導入されてベルト式無段変速機8が冷却される。
図3中IV−IV矢視による、キックラチェット71と駆動プーリ81の固定プーリ半体82の左面図である図4、および図4中V矢視による、キックラチェット71と駆動プーリ81の固定プーリ半体82の左斜視図である図5に示されるように、キックラチェット71には、キックラチェット71の外周面71cの一部を凹ませた凹部71dが、キックラチェット71がクランク軸51に締結された状態において、回転方向で冷却フィン82aと重ならないように複数形成されている。すなわち、クランク軸線Y方向視で、キックラチェット71の凹部71dは、複数の冷却フィン82aのうち、締結された状態で互いに隣り合う一対の冷却フィン82aの間に位置するように形成される。
また、図4中III−III矢視による断面図に相当する図3に示されるように、キックラチェット71のクランク軸線Y方向の外側端部71eと凹部71dとは、冷却フィン82aのクランク軸線Y方向の外側端部82aaよりもクランク軸線Y方向において内側に設けられている。
本実施形態は、図1、図2に示されるように、内燃機関2のクランクケース部52に一体に連設されて後輪16の側方に配置される伝動ケース部55と、伝動ケース部55との間にベルト式無段変速機8を収容するベルト室80を形成するようにして伝動ケース部55に取り付けられる伝動ケースカバー56と、伝動ケースカバー56を貫通するようにして設けられたキック軸72と、キック軸72の回転によってキック被動ギヤ78を駆動するキック駆動ギヤ73と、キック駆動ギヤ73に噛み合うとともに、内燃機関2のクランク軸51に設けられたキックラチェット71に係脱自在なラチェットホイール79を固着したキック被動ギヤ78とを備えた自動二輪車1用のパワーユニット5のキック始動装置におけるものである。
すなわち、キックラチェット71には雌ネジ部71bが形成され、雌ネジ部71bを所定の回転方向(図4、図5中、白抜き矢印R参照)にさせることでクランク軸51との締結状態が強められるとともに、キックラチェット71が直接にクランク軸51へ締結固定され、所定の回転方向Rを、キック被動ギヤ78からの動力が伝達されて回転するキックラチェット71の回転方向と一致させている。
キックラチェット71に雌ネジ部71bを形成して、雌ネジ部71bを回転させることでキックラチェット71をクランク軸51に直接に締結固定するようにしたので、従来のようなナットによるキックラチェット71の固定を不要にすることができ、部品点数を低減できる上、クランク軸線Y方向でのキック始動装置の小型化を図ることができる。
また、雌ネジ部71bを形成するにあたり、クランク軸51との締結状態が強められる雌ネジ部71bの所定の回転方向Rを、キック被動ギヤ78からの動力が伝達されて回転するキックラチェット71の回転方向と一致させたので、キック始動時において、キックラチェット71が緩むのを防止しながらクランク軸51側への動力伝達を適切に行うことができ、この点においてもキックラチェット71の緩み防止用のナット等を不要にできる。
また、図3に示されるように、クランク軸51の軸端小径部51aには、ベルト式無段変速機8を構成する駆動プーリ81が嵌合され、駆動プーリ81は、キックラチェット71によって、クランク軸51にクランク軸線Y方向を固定して取り付けられる。
そのため、駆動プーリ81のクランク軸51へのクランク軸心Y方向の固定を、キックラチェット71で行うことができるので、駆動プーリ81のクランク軸51への固定用のナット等を不要にすることができ、部品点数を低減できる上、クランク軸線Y方向でのパワーユニット5の小型化を図ることができる。
また、駆動プーリ81とキックラチェット71との間には、ワッシャ51cが取り付けられている。そのため、キックラチェット71の雌ネジ部71bの緩みを抑制することができる。
また、図4、図5に示されるように、キックラチェット71には、キックラチェット71の外周面71cの一部を凹ませた凹部71dが複数形成されている。
そのため、凹部71dに工具を係合させてキックラチェット71を回転させることができ、キックラチェット71のクランク軸51からの着脱を容易に行うことができる。
さらに、キックラチェット71の外周面71cの一部を凹ませるようにしているので、キックラチェット71の径方向大型化を防ぎながらキックラチェット71の着脱容易性を向上することができた。
また、クランク軸51の端部小径部51aには、ベルト式無段変速機8を構成する駆動プーリ81が嵌合されるとともに、駆動プーリ51には、クランク軸線Y方向の外側へ向けて冷却フィン82aが複数立設され、キックラチェット71は、クランク軸51に駆動プーリ81よりもクランク軸線Y方向の外側に取り付けられ、クランク軸線Y方向視で、キックラチェット71の凹部71dは、複数の冷却フィン82aのうち、締結された状態で互いに隣り合う一対の冷却フィン82aの間に位置するように形成される。
そのように構成することで、凹部71dに工具を係合させる際に、冷却フィン82aと工具とが干渉し難いようにすることができ、キックラチェット71の着脱を一層効率よく行うことができる。
また、冷却フィン82aとキックラチェット71とを径方向で近づけて設けることができるので、駆動プーリ81の径方向への大型化を抑制することができる。
また、図3に示されるように、凹部71dは、冷却フィン82aのクランク軸線Y方向の外側端部82aaよりも内側に設けられたので、キックラチェット71と駆動プーリ81とをクランク軸線Y方向でコンパクトに設けることができ、パワーユニット5の小型化を図ることができる。
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明の態様が上記実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むことは勿論である。
なお、説明の便宜上、内燃機関を実施形態に図示の左右配置のものに特定して説明したが、左右配置の異なるものであっても、本発明に含まれる。
1…自動二輪車(スクータ型自動二輪車、本発明における「鞍乗型車両」)、2…内燃機関、5…パワーユニット、8…ベルト式無段変速機、9…シュラウド、10…車体フレーム、16…後輪、21…シリンダブロック、22…シリンダヘッド、25…クランク室30…ピストン、31…コネクティングロッド、32…燃焼室、33…カムチェーン、34…カムチェーン室、50…パワーユニットケース、51…クランク軸、51a…軸端小径部(本発明における「端部」)、51b…雄ネジ部、51c…ワッシャ、51d…軸端大径部、51e…端面、51L…左軸部、51R…右軸部、52…クランクケース部(本発明における「クランクケース」)、52L…左クランクケース部(本発明における「クランクケース」の左半体)、52La…左側壁、52R…右クランクケース部(本発明における「クランクケース」の右半体)、52Ra…右側壁、54…主軸受、55…伝動ケース部(本発明における「伝動ケース」)、56…伝動ケースカバー、70…フリクションスプリング、71…キックラチェット、71b…雌ネジ部(本発明における「ネジ部」)、71c…外周面、71d…凹部、71e…外側端部、72…キック軸、73…キック駆動ギヤ、74…リターンスプリング、77…摺動軸、78…キック被動ギヤ、79…ラチェットホイール、80…ベルト室、81…駆動プーリ、82…固定プーリ半体、82a…冷却フィン、82aa…外側端部、83…可動プーリ半体、84…制御機構、X…シリンダ軸線、X…シリンダ軸線

Claims (5)

  1. 内燃機関(2)のクランクケース(52)に一体に連設されて後輪(16)の側方に配置される伝動ケース(55)と、
    同伝動ケース(55)との間にベルト式無段変速機(8)を収容するベルト室(80)を形成するようにして前記伝動ケース(55)に取り付けられる伝動ケースカバー(56)と、
    同伝動ケースカバー(56)を貫通するようにして設けられたキック軸(72)と、
    同キック軸(72)の回転によってキック被動ギヤ(78)を駆動するキック駆動ギヤ(73)と、
    同キック駆動ギヤ(73)に噛み合うとともに、前記内燃機関(2)のクランク軸(51)に設けられたキックラチェット(71)に係脱自在なラチェットホイール(79)を固着した前記キック被動ギヤ(78)とを備えた鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置において、
    前記キックラチェット(71)にはネジ部(71b)が形成され、同ネジ部(71b)を所定の回転方向(R)に回転させることで前記クランク軸(51)との締結状態が強められるとともに、前記キックラチェット(71)が直接に前記クランク軸(51)へ締結固定され、
    前記所定の回転方向(R)を、前記キック被動ギヤ(78)からの動力が伝達されて回転する前記キックラチェット(71)の回転方向と一致させたことを特徴とする鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置。
  2. 前記クランク軸(51)の端部(51a)には、前記ベルト式無段変速機(8)を構成する駆動プーリ(81)が嵌合され、前記駆動プーリ(81)は、前記キックラチェット(71)によって、前記クランク軸(51)にクランク軸線(Y)方向を固定して取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置。
  3. 前記駆動プーリ(81)と前記キックラチェット(71)との間には、ワッシャ(51c)が取り付けられたことを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置。
  4. 前記キックラチェット(71)には、同キックラチェット(71)の外周面(71c)の一部を凹ませた凹部(71d)が複数形成されたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置。
  5. 前記クランク軸(51)の端部(51a)には、前記ベルト式無段変速機(8)を構成する駆動プーリ(81)が嵌合されるとともに、同駆動プーリ(81)には、クランク軸線(Y)方向の外側へ向けて冷却フィン(82a)が複数立設され、
    前記キックラチェット(71)は、前記クランク軸(51)に前記駆動プーリ(81)よりもクランク軸線(Y)方向の外側に取り付けられ、
    前記凹部(71d)は、前記冷却フィン(82a)のクランク軸線(Y)方向の外側端部(82aa)よりも内側に設けられたことを特徴とする請求項4に記載の鞍乗型車両用パワーユニットのキック始動装置。
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