JP3015332B2 - 自動二輪車等のキックペダル式始動装置 - Google Patents

自動二輪車等のキックペダル式始動装置

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JP3015332B2
JP3015332B2 JP9331903A JP33190397A JP3015332B2 JP 3015332 B2 JP3015332 B2 JP 3015332B2 JP 9331903 A JP9331903 A JP 9331903A JP 33190397 A JP33190397 A JP 33190397A JP 3015332 B2 JP3015332 B2 JP 3015332B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主に自動二輪車
において適用されるところの、足でキックペダルを踏ん
でエンジンを始動させる自動二輪車等のキックペダル式
始動装置(キックスタータともいう)に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、スタータモータによりエンジンを
電気的に回転させて始動する方式が主流であるが、機種
によってはキックスタータも併用して装備されており、
また小排気量の自動二輪車ではキックスタータだけを装
備したものもある。
【0003】キックスタータの先行技術に、例えば実公
昭61−17254号公報に記載のものがある。この装
置は、摺動ラチェットを伝動ラチェットに向けて付勢す
るバネを摺動ラチェットの背後に配置し、リターン用の
コイルバネを摺動ラチェットの背後に配置することによ
り、二つのバネを摺動ラチェットの背後に内外二重に配
置した構造からなり、軸方向寸法が短縮されコンパクト
になるという利点がある。一方、同装置は、クラッチカ
バーの合わせ面の延長線上において、カウンターシャフ
ト(出力軸)の後方にキックペタルの回転軸が配置さ
れ、同回転軸上のクラッチカバー側にリターン用コイル
バネが配置された一般的な構造を呈している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た公報に記載の従来のキックペダル式始動装置には、次
のような点で改良すべきところがある。
【0005】 キックスタータがカウンターシャフト
の後方に配置されているうえに、リターン用コイルバネ
等を収容できるようにクラッチカバーを後方にかなり延
設しているので、エンジン(クランクケース)が大型化
する。
【0006】 クラッチカバーの合わせ面を側方より
見たときの形状が、キックスタータの全構成部材を収納
する関係から複雑で単純な円形形状にするのが困難なた
め、美観的(デザイン上)に劣る。
【0007】 スタータモータによるエンジンの始動
が主流であり、キックスタータはオプション対応が望ま
しいが、従来の構造ではエンジンを車体から降ろしてエ
ンジンを分解しなければ、装備することができない。
【0008】この発明は上述の点に鑑みなされたもの
で、クラッチカバーを含めてクランクケースをコンパク
トにし、クラッチカバーの合わせ面を側方から見た形状
が円形を保つようにして美観を向上し、キックスタータ
をオプション仕様にした場合にもエンジンを分解せずに
簡単に装着できる自動二輪車等のキックペダル式始動装
置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明のキックペダル式始動装置は、クランクケー
ス内のミッション室の上下方向のほぼ中間位置の合わせ
面より下方に取付孔を設けてキックペダル回転軸を配置
し、同回転軸上にキックドライブギヤをカウンターシャ
フト(出力軸)のローギヤと噛合させて一体回転可能に
設け、該回転軸の一部をクランクケースより外方へ突出
させてキックレバーを装着するとともに、 前記クラン
クケース内において、前記回転軸上で前記キックドライ
ブギヤの内方に、リターンスプリングおよび摺動ラチェ
ット等のキックギヤアッセンブリを配置している。
【0010】上記構成を有する本発明のキックペダル式
始動装置によれば、回転軸の位置がクランクケース内の
ミッション室の上下方向のほぼ中間位置の合わせ面の下
方に設定しているから、エンジンを側方から見たときに
コンパクトな形状を呈し、また装置の収納部がミッショ
ン室のカバーから大きく出っ張っていないため、クラン
クケースが実際よりもかなり小さく見える。つまり、側
方から見えるキックレバーは取付孔から回転軸の一部を
外方へ突出させて装着し、キックドライブギヤ、摺動ラ
チェット、リターンスプリングなどの嵩ばる部材は、側
方から見えにくいクランクケース内の幅方向の中心部寄
りに収納するようにしたから、外方(側方)への出っ張
りが非常に少なくなり、コンパクトになっている。
【0011】請求項2に記載のように、前記回転軸を、
前記キックドライブギヤおよび前記キックギヤアッセン
ブリが取り付けられる回転軸本体と、前記キックレバー
が取り付けられる円筒軸とに分割し、前記回転軸本体は
クランクケースの内部から前記取付孔に外向きに挿入
し、前記円筒軸は外部から前記取付孔に内向きに挿入し
て前記回転軸本体の周囲に嵌合し、前記円筒軸の中空部
内に挿入可能なボルトを介して回転軸本体と円筒軸を一
体に結合するように構成することが望ましい。
【0012】請求項2記載の装置によると、回転軸を本
体と円筒軸とに分割しているから、両部材がそれぞれ短
くなり、本体には、キックスタータの主要部材であるキ
ックドライブギヤおよびキックギヤアッセンブリを取り
付けた状態で、本体をクランクケース内に収納する一
方、円筒軸側にキックレバーを取り付け、円筒軸を取付
孔の外側から内向けに挿入し、両者を外側から円筒軸の
中空部内に挿入したボルトにて一体に連結することがで
きる。
【0013】請求項3に記載のように、前記クランクケ
ースの後面(背面)に、前記回転軸本体、前記キックド
ライブギヤおよび前記キックギヤアッセンブリを出し入
れ可能な窓を開口し、該窓にカバー板を着脱可能に取り
付けられるようにすることが望ましい。
【0014】請求項3記載の装置によれば、クランクケ
ースの背面の窓から、例えばキックドライブギヤを一体
回転可能に取り付けた回転軸本体をクランクケース内に
入れたのち、キックギヤアッセンブリを窓から入れて回
転軸本体に取り付けるなどして、キックスタータの主要
部材をクランクケース内に組み込むことができる。この
ため、エンジンを分解せずに、キックスタータを装備で
きる。そして、窓にカバー板を取り付けて塞ぐことがで
き、しかもカバー板の位置がクランクケースの背面であ
るので、外方から見て目立たず、体裁がよい。
【0015】請求項4に記載のように、前記カバー板の
内面に、前記回転軸本体の端部を回動自在に支持する軸
受を設けることが望ましい。
【0016】請求項4記載の装置によると、カバー板に
軸受を設けており、取付孔とカバー板側の軸受とで回転
軸本体を回動自在に支持できるから、回転軸本体の長さ
が多少長くなっても、回転軸が曲がったりせずに円滑に
回転する。カバー板に軸受を設けているので、キックス
タータの部材をクランクケース内に組み込んだ状態で軸
受による支持が可能になり、部材の組み込みも容易にな
る。
【0017】請求項5に記載のように、前記カバー板を
前記窓に対し、前記回転軸本体の軸方向に沿ってスライ
ド可能に取り付けられるようにするとともに、位置決め
ピンを先端に一体に備えたボルトを、カバー板の外側か
ら前記クランクケースの窓枠に挿し込めるようにするこ
とができる。
【0018】請求項5記載の装置によると、カバー板の
取付が容易で、しかもスライドさせるので、クランクケ
ース内に組み込んだ回転軸本体に対する軸受の嵌め込み
も容易で簡単に行える。また、カバー板の外側から、ボ
ルトの先端に一体に設けた位置決めピンを挿し込んでカ
バー板の位置が決められるので、カバー板をスライドさ
せて定位置に簡単に位置決めできる。
【0019】請求項6に記載のように、前記取付孔には
キャップを嵌め、必要に応じてキックペダル式始動装置
を配備可能にすることができる。
【0020】請求項6記載の装置によると、オプション
対応とする場合には、取付孔にキャップをして孔を塞い
でおくことができる。そして、要求があったときに、カ
バー板を取り外して窓を開口し、上記した要領により回
転軸本体やキックドライブギヤ・ギヤアッセンブリなど
を組み込んで、キックスタータをエンジンを自動二輪車
等の車体から降ろしたり、エンジンを分解したりするこ
となく、簡単に装備できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるキックペダ
ル式始動装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】図1は自動二輪車用エンジンに適用したキ
ックペダル式始動装置の実施例を示す、一部を断面で表
した側面図、図2は図1のエンジンにおけるクランク
軸、クラッチ軸、出力軸およびキックペダル回転軸の関
係を示す展開図、図3は図1のエンジンのクランクケー
ス後面の、キックペダル式始動装置装備用の窓を開口し
た状態を示す背面図、図4はクランクケースを合わせ面
から分離した下側部分の一部を示す平面図、図5はキッ
クペダル回転軸を本体と円筒軸とに分割した状態を示す
断面図で、図5(a)は円筒軸と一部を省略したキックレ
バーとを示す正面図、図5(b)は本体にキックドライブ
ギヤおよびギヤアッセンブリを取り付けた状態を示す正
面図、図6(a)は図5(a)のC−C矢視図、図6(b)は
図5(b)のD−D断面図、図7(a)はカバー板の裏面を
示す正面図、図7(b)は図7(a)のB−B断面図、図7
(c)は図7(a)のC−C断面図である。
【0023】図1に示すようにエンジン1は、自動二輪
車用の空冷式横置き型(並列)2気筒エンジンで、2つ
のシリンダ7が自動二輪車(図示せず)の幅方向に沿っ
て並列に配置され、冷却風をシリンダ7の配列方向と直
交する方向(前方)から受けるように自動二輪車に搭載
される。エンジン1の下部のクランクケース2内に、図
2に示すように、クランク軸3が軸受3aを介して回動
自在に支持されている。クランク軸3の一端(右端)に
は、上部のシリンダヘッド(図示せず)内のカムシャフ
ト(図示せず)駆動用のベベルギヤ4が取着され、クラ
ンク軸3の他端(左端)に、スタータモータ(図示せ
ず)の駆動力をクランク軸3に伝えるためのスタータギ
ヤ5が取着され、さらにその外側にジェネレータ6が装
着されている。なお、クランク軸3の一端部(右端部)
にプライマリードライブギヤ30が一体回転可能に取着
されている。図1又は図2に示すように、クランクケー
ス2の前部上端に一体に組付けられたシリンダ7内にピ
ストン47が上下方向に摺動自在に配装され、コンロッ
ド48を介してクランク軸3に接続されている。またク
ランクケース2の底部には、オイルパン49が取り付け
られている。なお、符号45は大形の円形と小形の円形
を一部重合した形状のクラッチカバーである。
【0024】図1のようにクランクケース2の上下の合
わせ面Lにおいて、図2に示すようにクランク軸3の後
方にクラッチ軸(メインシャフト)7が軸受7aを介し
て回動自在に支持され、クラッチ軸7の後方にカウンタ
ーシャフト(出力軸ともいう)8が軸受8aを介して回
動自在に支持され、いわゆるミッション室8’になって
いる。キックペダル式始動装置(キックスタータ)10
のキックペダル回転軸11は、合わせ面L上の出力軸8
の下方でやや後方寄りに配置されている。クラッチ軸7
の一端(右端)には湿式多板クラッチ12が装着され、
クラッチ軸7の他端(左端)にクラッチレリーズ(解
放)操作用のプッシュロッド13およびラックアンドピ
ニオン14が取り付けられ、図示しないクラッチレバー
につながっている。なお、図2中の符号15はクラッチ
軸7上のプライマリードリブンギヤ、符号16はクラッ
チプレート、17はスリーブハブ、18は出力軸8上の
ローギヤで、クラッチ軸7と一体に形成されたギヤ7b
に噛合されている。出力軸8の一端(左端)には、後輪
(図示せず)駆動用のスプロケット19が装着されてい
る。ローギヤ18には、キックスタータ10のキックド
ライブギヤ20が常時噛合されている。
【0025】図3に示すようにキックスタータ10は、
クランクケース2内の後端部寄りに装備される。キック
ペダル回転軸11は、図5のようにクランクケース2側
の回転軸本体11Aと、本体11Aの先端側外周面に嵌
め込まれる外側の円筒軸11Bとに分割されている。ク
ランクケース2の背面には、図3のように本体11Aと
その周囲に配置される後述の部品を組み込むための、亀
の甲羅形状をした窓(開口)50が形成されている。窓
50の周縁部(窓枠)には合わせ面50aが形成され、
この合わせ面50a上にほぼ等間隔にネジ孔51・52
が設けられている。なお、ネジ孔52は後述するように
位置決め孔を兼用している。本体11Aはやや小径の先
端側と基部からなり、両者の境目に鍔11cが外向きに
突設されている。本体11Aは窓50からクランクケー
ス2内に入れられたのち、その先端側がクランクケース
2の外部に貫通する軸受を兼ねた取付孔2aに緩挿さ
れ、取付孔2aと本体11Aの外周面間にオイルシール
21が介装される。この状態で、鍔11cが取付孔2a
の開口端面に当接する。
【0026】本体11Aの基部上の先端には、図5(b)
のように、前記キックドライブギヤ20が回動自在に被
装されサークリップ20bで抜け止めされている。キッ
クドライブギヤ20の背面には、ラチェット20cが環
状に形成されている。このラチェット20cに対向する
ラチェット22cを備えた摺動ラチェット22が、スプ
ライン22aを介してキックドライブギヤ20の背面側
の本体11A上に軸方向に摺動自在かつ一体回転可能に
被装される。摺動ラチェット22には、一側方(半径方
向)に張り出すガイド片22bが一体に設けられてい
る。図5(b)のように、スプライン22aの一端(左
端)に取着されたサークリップ23と摺動ラチェット2
2との間に、コイルスプリング24が縮装され、摺動ラ
チェット22のラチェット22cがキックドライブギヤ
20のラチェット20cに係合する方向に付勢される。
なお、エンジン1に組み付けた状態では、傾斜ガイド部
38にガイドされて摺動ラチェット22のラチェット2
2cとキックドライブギヤ20のラチェット20cとは
離れているが、フリーの状態では図5(b)のようにコイ
ルスプリング24に付勢されてラチェット22cとラチ
ェット20cとが係合される。
【0027】円筒軸11Bの先端部には、図5(a)のよ
うに支軸11dが半径方向外方に突設され、支軸11d
の外周面に、ゴム製ダンパーからなるキックペダル部2
5bを先端に備えたキックレバー25の基端の開口25
aが回動自在に嵌め込まれている。支軸11dの周囲に
半円形状の環状溝11eが形成され、この環状溝11e
にネジ本体の一部が嵌入するように緊締ネジ26が、図
6のようにキックレバー25の基端の開口25aの周縁
部を横切って螺着されている。これにより、図5のよう
にキックレバー25が支軸11dに対し回転を許容した
状態で抜け止めされている。また、支軸11dには位置
決め孔11fが円周方向に2カ所設けられ、キックレバ
ー25の基端部に開口25a内に連通するネジ孔25c
が設けられ、このネジ孔25cの先端に位置決めボール
27が一部を外方に突出して挿入され、ネジ孔25cに
螺合するネジ28によりスプリング29を介在させてボ
ール27の一部を内方に押し出させることにより、ボー
ル27が位置決め孔11fに嵌入され位置決めされる。
図5(a)は使用状態(キック可能な状態)に位置決めさ
れたところを示すが、使用時以外はキックレバー25は
図1に仮想線で示す非使用状態(収納状態)に半転して
位置決めされる。なお、キック可能状態におけるキック
レバー25のストッパー(図示せず)が円筒軸11Bに
設けてある。
【0028】円筒軸11Bの先端側内周面には、図3に
示すように本体11Aの先端側外周面に形成されたスプ
ライン軸11gに摺動自在に嵌合するスプライン孔11
hが形成されており、円筒軸11Bはクランクケース2
に一体に形成された円筒形のボス31に緊締された軸受
35にクランクケース2側に向けて緩挿され、取付孔2
aの外方に突出する本体11Aのスプライン軸11gに
スプライン孔11hを嵌合させている。さらに、円筒軸
11Bの中空部内にボルト32が挿入され、本体11A
の先端部中心部に設けたネジ孔11jにボルト32の先
端部が螺合される。本体11Aの先端とボルト32の頭
部の間には、ワッシャー34が介装され、ボルト32を
締め付けることにより、本体11Aと円筒軸11Bとが
一体に連結される。
【0029】本体11Aの下方のクランクケース2内の
底部には、図3および図4に示すように先端部が背面側
に直角に屈折した断面略L形のストッパー部37が設け
られるとともに、先端部が先端側にストッパー部37よ
りもやや大きくかつ上方に略30°屈曲した断面略L形
の傾斜ガイド部38が、ストッパー部37の下面に重ね
合わせて設けられている。なお、ストッパー部37上に
は、図4のように略台形の押さえ板39がネジ39aで
クランクケース2の底部に締め付けて装着されている。
符号60はキックペダル回転軸11の中心線を示してい
る。また本体11Aの基端部の周囲には、図3に示すよ
うにリターンスプリング40が基端側から先端に向けて
嵌着され、スプリング40の一端40aは本体11Aに
固定され、他端(図示せず)がクランクケース2に固定
される。これにより、本体11Aを含む回転軸11がキ
ックレバー25側から見て時計方向に付勢されるが、回
転軸11の回転は、摺動ラチェット22のガイド片22
bがストッパー部37に当接することにより阻止され
る。なお、本例では、摺動ラチェット22、サークリッ
プ23、コイルスプリング24およびリターンスプリン
グ40が、キックドライブギヤ20のキックギヤアッセ
ンブリを構成する。
【0030】一方、キックレバー25のキックペダル部
25b(図5(a))を、リターンスプリング40(図
3)の付勢力に抗して足で踏み下げ、回転軸11をキッ
クレバー25側から見て反時計方向に回転させると、摺
動ラチェット22はコイルスプリング24のバネ力によ
り、ガイド片22bが傾斜ガイド部38に沿ってキック
ドライブギヤ20側へ移動し、摺動ラチェット22のラ
チェット22cがキックドライブギヤ20のラチェット
20cに係合される(図5(b)の状態)。この結果、キ
ックドライブギヤ20が摺動ラチェット22と一体化
し、回転軸11とともに回転する。この回転力は、図2
においてキックドライブギヤ20→ローギヤ18→クラ
ッチ軸7のギヤ7b→クラッチスリーブハブ17→クラ
ッチプレート16→プライマリードリブンギヤ15→プ
ライマリードライブギヤ30→クランク軸3の順に伝え
られ、エンジン1が始動される。そして、エンジン1の
始動後、キックペダル部25bを解放すると、キックレ
バー25が回転軸11とともにリターンスプリング40
の付勢力により時計方向に回転し、摺動ラチェット22
は後退して元の待機位置に復帰する。つまり、キックド
ライブギヤ20と摺動ラチェット22が離れた図3の状
態になる。
【0031】図7に示すように、カバー板41はクラン
クケース2の窓50に対応する亀の甲羅形からなり、裏
面の長手方向の中間位置よりやや基端寄りに回転軸本体
11Aの軸受42が一体に形成されている。カバー板4
1の中間位置よりやや先端側41aは、外方(背面側)
に膨らませ、上記キックドライブギヤ20や摺動ラチェ
ット22と干渉しないようにしている。また軸受42の
背面側に、一対の直角三角形の支持部材42aを一体に
設けて補強している。カバー板41の周縁部には、パッ
キン(図示せず)装入用の環状溝43が全周にわたり形
成され、さらに外側に張り出してボルト用の孔部44が
ほぼ等間隔に6カ所設けられており、そのうちの2つの
孔部46は位置決め孔になっている。
【0032】このような構成からなるカバー板41は、
上記のようにキックスタータ10の各部品を組み付けた
のち、窓50から軸受42をクランクケース2内に入れ
て外方(右側)にカバー板41をスライドさせることに
より、軸受42を回転軸本体11Aに嵌め込む。それか
ら、カバー板41をさらに外方にスライドさせ、窓50
の周縁部の合わせ面50aにカバー板41の合わせ面4
1bを合わせて位置決めする。このとき、図3に示すよ
うに位置決めピン61を一体に形成した特殊なボルト6
2の、位置決めピン61を、カバー板41の位置決め孔
46から挿通して窓50の合わせ面50aの位置決め孔
を兼ねたネジ孔52に挿し込むことにより、カバー板4
1が位置決めされる。なお、符号53はネジ部である。
この位置決め孔を兼ねたネジ孔52は本例では上記のと
おり2カ所設けられている。続いて、普通のボルト(図
示せず)を各孔部44に挿通し、クランクケース2側の
ネジ孔51に螺合させ、締め付けることによりカバー板
41が装着される。
【0033】ところで、上記した実施例にかかるキック
スタータ10では、図1に示すようにキックスタータ1
0の回転軸11の位置が、クランクケース2の上下合わ
せ面Lの下方でかつクラッチカバー45の後端の下端寄
りで、クラッチカバー45に近接しているから、エンジ
ン1を側方(右側)から見たときにコンパクトにまとま
っており、またキックスタータ10がクラッチカバー4
5から大きく出っ張っていないため、クランクケース2
が実際よりもかなり小さく見える。つまり、キックスタ
ータ10が側方からコンパクトに見える理由の一つは、
上記の側方から見える円筒形のボス31に回転軸11の
円筒軸11Bをキックレバー25を装着した状態で挿入
し、キックドライブギヤ20、摺動ラチェット22、リ
ターンスプリング40などの嵩ばる部材は、窓50から
クランクケース2内に収納するようにして外方(側方)
への出っ張りを極力少なくしたからである。
【0034】また、キックスタータ10は、オプション
対応とすることが可能である。この場合には、ボス31
にゴムキャップ(図示せず)をして開口を塞いでおく。
そして、要求があったときに、カバー板41を取り外し
て窓50を開口し、上記した要領により回転軸本体11
Aやキックドライブギヤ20・ギヤアッセンブリなどを
組み込む。また窓50から入りにくい部品があれば、オ
イルパン49を取り外し、クランクケース2の底面から
収納することもできる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明にかかるキックスタータには、次のような効果が
ある。
【0036】(1) 回転軸の位置がクランクケース内の上
下合わせ面の下方に設定されているから、特にエンジン
を側方から見たときにクラッチカバーを含めてクランク
ケースがコンパクトにまとまった形状を呈するととも
に、クラッチカバーの形状が円形を保ち、外観が良好で
あるうえに、ミッション室の側方を覆っているクラッチ
カバーから大きく出っ張っていないため、クランクケー
スが実際よりもかなり小さく見える。
【0037】(2) 請求項2記載の発明では、回転軸を本
体と円筒軸とに分割しているから、両部材がそれぞれ短
くなり、回転軸本体にキックスタータの主要部材である
キックドライブギヤおよびキックギヤアッセンブリを取
り付けた状態で、クランクケース内に収納できるなど、
組み立てが容易に行い得る。
【0038】(3) 請求項3記載の発明では、例えばキッ
クドライブギヤを一体回転可能に取り付けた状態でも回
転軸本体をクランクケース内に収納したりでき、クラン
クケース内への組み込みが容易に行える。したがって、
エンジンを分解せずに、キックスタータを装備でき、ま
た窓はカバー板を取り付けて塞げ、しかもカバー板の位
置がクランクケースの背面であるので、外方から見て目
立たず体裁がよい。
【0039】(4) 請求項4記載の発明では、取付孔とカ
バー板側の軸受とで回転軸本体を回動自在に支持できる
から、回転軸本体の長さが多少長くなっても、回転軸が
曲がったりせずに円滑に回転する。またカバー板に軸受
を設けているので、キックスタータの部材をクランクケ
ース内に組み込んだ状態で軸受による支持が可能にな
り、部材の組み込みが容易になる。
【0040】(5) 請求項5記載の発明では、クランクケ
ース内に組み込んだ回転軸本体に対する軸受の嵌め込み
も容易で簡単に行え、またカバー板の外側からボルトの
先端に一体に設けた位置決めピンを挿し込んでカバー板
の位置が決められるので、カバー板をスライドさせて定
位置に簡単に位置決めできる。
【0041】(6) 請求項6記載の発明では、オプション
対応とする場合には、取付孔にキャップをして開口を塞
いでおくことができ、キックスタータ装備の要求があっ
たときに、エンジンを自動二輪車等の車体から降ろした
り、分解したりすることなく、キックスタータを簡単に
装備することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車用エンジンに適用した本発明のキッ
クペダル式始動装置の実施例を示す、一部を断面で表し
た側面図である。
【図2】図1のエンジンにおけるクランク軸、クラッチ
軸、出力軸およびキックペダル回転軸の関係を示す展開
図である。
【図3】図1のエンジンのクランクケース後面の、キッ
クペダル式始動装置装備用の窓を開口した状態を示す背
面図である。
【図4】クランクケースを合わせ面から分離した下側部
分の一部を示す平面図である。
【図5】キックペダル回転軸を本体と円筒軸とに分割し
た状態を示す断面図で、図5(a)は円筒軸と一部を省略
したキックレバーとを示す正面図、図5(b)は本体にキ
ックドライブギヤおよびギヤアッセンブリを取り付けた
状態を示す正面図である。
【図6】図6(a)は図5(a)のC−C矢視図、図6(b)
は図5(b)のD−D断面図である。
【図7】図7(a)はカバー板の裏面を示す正面図、図7
(b)は図7(a)のB−B断面図、図7(c)は図7(a)の
C−C断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン 2 クランクケース 3 クランク軸 5 スタータギヤ 7 クラッチ軸(メインシャフト) 8 カウンターシャフト(出力軸) 8’ミッション室 10 キックペダル式始動装置(キックスタータ) 11 キックペダル回転軸 11A 回転軸本体 11B 円筒軸 15 プライマリードリブンギヤ 18 ローギヤ 20 キックドライブギヤ 22 摺動ラチェット 24 コイルスプリング 25 キックレバー 25b キックペダル部 30 プライマリードライブギヤ 40 リターンスプリング 41 カバー板 42 軸受 50 窓(開口) 46・(52) 位置決め孔 61 位置決めピン 62 位置決めピンを先端に一体に形成したボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02N 3/04

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クランクケース内のミッション室の上下
    方向のほぼ中間位置の合わせ面より下方に取付孔を設け
    てキックペダル回転軸を配置し、同回転軸上にキックド
    ライブギヤをカウンターシャフトのローギヤと噛合させ
    て一体回転可能に設け、該回転軸の一部をクランクケー
    スより外方へ突出させてキックレバーを装着するととも
    に、 前記クランクケース内において、前記回転軸上で前記キ
    ックドライブギヤの内方に、リターンスプリングおよび
    摺動ラチェット等のキックギヤアッセンブリを配置した
    ことを特徴とする自動二輪車等のキックペダル式始動装
    置。
  2. 【請求項2】 前記回転軸を、前記キックドライブギヤ
    および前記キックギヤアッセンブリが取り付けられる回
    転軸本体と、前記キックレバーが取り付けられる円筒軸
    とに分割し、 前記回転軸本体はクランクケースの内部から前記取付孔
    に外向きに挿入し、前記円筒軸は外部から前記取付孔に
    内向きに挿入して前記回転軸本体の周囲に嵌合し、前記
    円筒軸の中空部内に挿入可能なボルトを介して回転軸本
    体と円筒軸を一体に結合するように構成した請求項1記
    載の自動二輪車等のキックペダル式始動装置。
  3. 【請求項3】 前記クランクケースの後面に、前記キッ
    クドライブギヤおよび前記キックギヤアッセンブリを出
    し入れ可能な窓を開口し、該窓にカバー板を着脱可能に
    取り付けた請求項2記載の自動二輪車等のキックペダル
    式始動装置。
  4. 【請求項4】 前記カバー板の内面に、前記回転軸本体
    の端部を回動自在に支持する軸受を設けた請求項3記載
    の自動二輪車等のキックペダル式始動装置。
  5. 【請求項5】 前記カバー板を前記窓に対し、前記回転
    軸本体の軸方向に沿ってスライド可能に取り付けられる
    ようにするとともに、 位置決めピンを先端に一体に備えたボルトを、カバー板
    の外側から前記クランクケースの窓枠に挿し込めるよう
    にした請求項3又は4記載の自動二輪車等のキックペダ
    ル式始動装置。
  6. 【請求項6】 前記取付孔にはキャップを嵌め、必要に
    応じてキックペダル式始動装置を配備可能にした請求項
    3〜5のいずれかに記載の自動二輪車等のキックペダル
    式始動装置。
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