JPWO2003079477A1 - 固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット - Google Patents
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Abstract
固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットは、(a)高分子電解質膜2と、(b)高分子電解質膜2の両面にそれぞれ固定されたガス拡散が可能な一対の電極3,4と、(c)電極3,4の外側に接するように固定されたガス拡散可能な一対の多孔質導電性黒鉛製集電体5,5と、(d)燃料ガス及び酸素含有ガスを別々に電極3,4に導入する一対の金属製セパレータ7,7とを具備し、金属製セパレータ7,7と黒鉛製集電体5,5との間に柔軟性及び通気性を有する多孔質導電性緩衝層6,6を有し、かつ金属製セパレータ7,7の少なくとも多孔質導電性緩衝層6,6と接する面に、膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下である導電性防食皮膜9,9が形成されている。
Description
技術分野
本発明は車載用燃料電池として使用する固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットに関し、特に金属製セパレータを使用しても発電性能の劣化がない固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットに関する。
背景技術
燃料電池は燃料から電気へのエネルギー変換効率が高く、SOxやNOx等の有害物質や、地球温暖化の原因となるCO2ガスの排出がないため、次世代の発電装置として注目されており、広く開発が行われている。なかでも150℃以下の温度領域で作動する高分子イオン交換膜型燃料電池又は固体高分子電解質型燃料電池と呼ばれる燃料電池は、出力密度が高いために小型化できるという特長を有するので、家庭用電源や車載用電源として好適である。そのため固体高分子電解質型燃料電池は現在盛んに研究されており、実用化が見込まれている。
固体高分子電解質型燃料電池は通常、スルホン酸基を有するフッ素樹脂系イオン交換膜(例えばナフィオン登録商標)等を固体高分子電解質膜とし、この電解質膜の両面にそれぞれ燃料電極及び酸素(空気)電極を固定し、単電池(セル)としている。各電極は通常カーボンブラックに撥水性のPTFE粒子と触媒となる貴金属微粒子とを分散したものからなる。単電池は両面に燃料ガス及び空気を均一に供給するための通気溝を設けた板状のセパレータを介して積層され、燃料電池スタックとなる(図1参照)。
このような構成の固体高分子電解質型燃料電池が作動すると、水素ガスは酸化され、電子を放出するとともにプロトンになる。プロトンは高分子電解質中に進入して、水分子と結合してH3O+になり、アノード電極側に移動する。また水素ガスの酸化反応により発生した電子は外部回路を経てアノード電極側まで流れる。そのため、アノード電極で酸素は上記電子を得てO2−イオンとなり、H3O+と結合して水となる。この反応過程は連続的に進行するので、電気エネルギーを連続的に取り出すことができる。
セルユニット電池の理論起電力は1.2Vであるが、電極の分極、反応ガスのクロスオーバー(燃料ガスが高分子電解質を透過して空気極に到達する現象)、及び電極材料や集電体材料のオーム抵抗による電圧降下等の原因により、実際の出力電圧は約0.6〜0.8Vとなる。このため、実用的な出力が得られるように、セパレータを介して数十個のセルを直列に積層する必要がある。
上記発電原理から分かるように、高分子電解質膜中にH+イオンが多量に存在するので、高分子電解質膜内部と電極の近傍は強酸性になる。またアノード電極側で酸素が還元反応を起こし、H+と結合して水を生成するが、電池の作動状態により過酸化水素を発生する場合もある。このような環境にセパレータが組み込まれるので、セパレータの特性に関しては、導電性及び気密性の他に電気化学的安定性(耐食性)も要求される。
従来の燃料電池用セパレータはほとんど黒鉛材料からなり、機械加工により作製されている。黒鉛は電気抵抗が低く耐食性も高いという利点を有する反面、機械強度に劣り、加工コストが高いという欠点を有する。特に車載用燃料電池の場合、燃料電池を構成する材料には高い機械強度が要求されるので、黒鉛セパレータを使用するのは難しいという問題がある。
最近、黒鉛粉末と樹脂の均一混合物をセパレータ形状に成形してから、高温焼成することにより黒鉛セパレータを製造する方法が提案されている。また黒鉛粉末と樹脂の混合物の成形体を焼成せずにセパレータとして使用する場合もある。何れにしても、このような黒鉛セパレータには電気抵抗、ガスの気密性、機械強度及び熱伝導性に問題がある。
カーボン材からなるセパレータ以外に、金属製のセパレータも検討されている。金属は電気抵抗、気密性及び機械強度の点でカーボン材に比べて非常に有利である。また金属を用いるとセパレータを薄くできるので、軽量化も容易になる。しかし、カーボン材に比べると金属は腐食しやすいだけでなく、腐食により生成した金属イオンが高分子電解質膜に進入すると、高分子電解質膜のイオン伝導性が低下し、燃料電池の発電性能に影響を与える恐れもある。
この問題を解決するため、例えば特開平11−162478号は、貴金属をセパレータの全表面にメッキすることにより金属製セパレータの耐腐食性を改善する手法を提案している。しかしこの手法は、性能に関しては問題がないが、防食皮膜のためにセパレータの製造コストが高くなるので、実用的ではない。
コスト低減のために、セパレータ基材としてステンレス、ニッケル合金等の耐食性金属を使用することも検討されている。この種の金属は表面に非常に薄い酸化皮膜が生成して不動態になるため、腐食が抑えられる。しかし酸化皮膜の生成により表面の接触電気抵抗が高くなり、燃料電池の発電性能を低下させる。
この問題を解決するために、耐食性材料を加工して作製したセパレータの電極との接触面に、貴金属の皮膜、又はカーボン粒子を含んだ金属又は樹脂の皮膜を形成し、接触電気抵抗を下げる方法が提案されている(例えば特開平10−308226号)。また燃料電池の軽量化を図るために、アルミニウムを用いたセパレータも検討されている(例えば特開平10−255823号)。
しかしアルミニウムは耐食性が低いために、アルミニウム製セパレータの場合、表面に耐食性金属の皮膜を形成して、耐食性を持たせなければならない。この皮膜に用いる金属はこれまでほとんど貴金属(例えばAu)である。しかしながらAu等の貴金属は非常に高価であるため、貴金属被覆アルミニウム製セパレータは著しくコスト高になる。セパレータのコストを下げるために、貴金属をできるだけ薄く被覆しなければならないが、貴金属皮膜は薄くなるほど耐食性が低下し、実用的な耐久性が得られなくなる。
また金属製セパレータに十分な耐食性を有する金属皮膜を形成しても、燃料電池の組み立て段階で皮膜が損傷することがあり、その結果セパレータ基材の金属に腐食が起こり、接触抵抗が増大することもある。
上記のように、金属製セパレータを組み込んだ燃料電池のセルユニットにおいては、特にアルミニウム又はアルミニウム合金製セパレータの場合、耐食性が低いため発電性能が劣化する。そのため、金属製セパレータを用いて低コストで実用性のある燃料電池を構成することはできなかった。
発明の目的
従って本発明の目的は、金属製セパレータを組み込んだ低コストの固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットであって、高い耐腐食性及び耐久性を発揮し得る構造を有するセルユニットを提供することである。
発明の開示
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、金属製セパレータの導電性防食皮膜が黒鉛製集電体の押しつけにより破壊され、そこから腐食が発生するために燃料電池の性能劣化が起こることに着目し、(1)ガス拡散電極の集電体を直接金属製セパレータに接触させるのではなく、集電体と金属製セパレータとの間に耐腐食性、柔軟性、導電性及びガス透過性を有する繊維状又は発泡体状の緩衝層を装着するか、又は集電体に耐腐食性及び導電性を有する緩衝皮膜を形成することにより、金属製セパレータの導電性防食皮膜を保護できること、及び(2)金属製セパレータの少なくとも緩衝層と接触する表面に被覆する導電性防食皮膜の電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が、膜厚を0.01〜10μmとした時に10μA/cm2以下となるようにすることにより、前述の範囲の極めて薄い防食皮膜においても優れた耐腐食性が実現され、(1)及び(2)の組み合わせにより低コストを維持しつつ、飛躍的に燃料電池の耐久性を向上できることを発見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットは、(a)高分子電解質膜と、(b)前記高分子電解質膜の両面にそれぞれ固定されたガス拡散が可能な一対の電極と、(c)前記電極の外側に接するように固定されたガス拡散可能な一対の多孔質導電性黒鉛製集電体と、(d)燃料ガス及び酸素含有ガスを別々に前記電極に導入する一対の金属製セパレータとを具備し、前記金属製セパレータと前記黒鉛製集電体との間に柔軟性及び通気性を有する多孔質導電性緩衝層を有し、かつ前記金属製セパレータの少なくとも前記多孔質導電性緩衝層と接する面に、膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下である導電性防食皮膜が形成されていることを特徴とする。
導電性防食皮膜は金属製セパレータの少なくとも多孔質導電性緩衝層との接触面に被覆すれば良く、金属製セパレータの全表面又は多孔質導電性緩衝層との接触面を含む一部表面に被覆しても良い。
前記緩衝層は、金属、カーボン又は導電性樹脂からなる導電性繊維の織布又は不織布、若しくは通気性を有する程度に気孔が連通した発泡シートからなるのが好ましい。緩衝層は20〜90%の空孔率を有するのが好ましい。緩衝層を集電体と金属製セパレータとの間に装着しても良く、また集電体の金属製セパレータとの接触面に緩衝皮膜を形成しても良い。緩衝層を装着する場合、緩衝層の厚さは0.05〜1.0mmであるのが好ましく、0.1〜0.2mmであるのがより好ましい。一方、緩衝皮膜とする場合には、5〜50μmの膜厚とするのが好ましく、10〜20μmの膜厚とするのがより好ましい。
前記緩衝層の少なくとも金属製セパレータに接する面は、金属、導電性樹脂又は導電性セラミックスにより多孔性を阻害しない程度に被覆されているのが好ましい。また前記緩衝層を構成する導電性繊維は、金属又は導電性樹脂により被覆されているのが好ましい。
緩衝層を被覆する導電性皮膜は0.01〜10μmの膜厚を有するのが好ましく、Au、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ag、Ti、Cu、Pb、Ni、Cr、Co、Fe及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種からなるのが好ましい。導電性皮膜は緩衝層の少なくとも金属製セパレータに接する面に被覆されていれば良く、緩衝層の多孔性が維持できれば、緩衝層全表面に被覆されても良い。緩衝層全体を被覆する場合の導電性皮膜の形成方法は、特に限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、電気メッキ法又は無電解メッキ法等が挙げられる。一方、緩衝層の金属製セパレータに接触する面のみを導電性皮膜で被覆する場合には、スパッタリング法が好ましい。
燃料ガス又は酸化ガス中に含まれる水蒸気により、緩衝層が塞がれ、通気性が低下することを防止するため、緩衝層に撥水性皮膜を形成することもできる。撥水性皮膜としては、通常テフロン登録商標が使用される。撥水性皮膜は、緩衝層に直接形成することもでき、緩衝層に形成した上述の導電性皮膜の上に形成することもできる。
金属製セパレータの少なくとも緩衝層と接する表面に被覆される導電性防食皮膜は、膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下であるのが好ましい。導電性防食皮膜の膜厚は0.1〜3μmであるのがより好ましく、分極電流は7μA/cm2以下であるのがより好ましい。また導電性防食皮膜は金属又は合金からなるのが好ましく、特にAu、Pt、Ag、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、Cr及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種からなるのが好ましい。
金属製セパレータ基材は、アルミニウム又はその合金、チタン又はその合金、ステンレス鋼、Ni−Fe合金等からなるのが好ましく、99.9%以上の純度を有する高純度アルミニウムからなるのがより好ましい。
導電性防食皮膜の形成方法は、上述した皮膜特性が得られれば特に限定されないが、特に金属メッキ法が好ましい。セパレータ基材をエッチング処理した後、酸洗及び亜鉛浴への浸漬からなる亜鉛置換処理を4回以上繰り返してから、金属メッキ処理を行うことにより、薄膜でも耐腐食性に優れた導電性防食皮膜を得ることができる。エッチング処理前の金属製セパレータ基材では、少なくとも導電性防食皮膜を形成する面の表面粗さを0.02〜0.3μmとするのが好ましい。
本発明の好ましい一実施態様では、黒鉛製集電体は緩衝層を兼ねる。すなわち、電極の外側に接するように固定されたガス拡散可能な一対の多孔質導電性黒鉛製集電体が柔軟性及び通気性を有し、多孔質導電性緩衝層としても機能する場合、別個に緩衝層を設けなくても構わない。この場合でも、金属製セパレータの少なくとも多孔質導電性黒鉛製集電体と接触する面には、多孔質導電性緩衝層を設置した場合と同様の導電性防食皮膜を形成する。また多孔質導電性黒鉛製集電体の少なくとも金属製セパレータと接触する面には、緩衝層に被覆した導電性皮膜と同様の皮膜を形成するのが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
図4に示す従来の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット1は、固体高分子電解質膜2と、その両側に形成されたカソード電極3及びアノード電極4と、両電極3,4にそれぞれ設けた集電体5,5と、各集電体5,5に接する金属製セパレータ7,7とを具備する。
これに対して、図1に示す本発明の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット1は、固体高分子電解質膜2と、その両側に形成されたカソード電極3及びアノード電極4と、両電極3,4にそれぞれ設けた集電体5,5と、各集電体5,5の外側に配置された緩衝層6,6と、各緩衝層6,6に接する金属製セパレータ7,7とを具備し、金属製セパレータ7,7の緩衝層6,6との接触面には導電性防食皮膜9,9が形成されている。各集電体5,5と各金属製セパレータ7,7との間に装着された各緩衝層6,6は、繊維状又は発泡シート状で、柔軟性、導電性及びガス透過性に優れている。また各金属製セパレータ7,7の各緩衝層6,6との接触面に形成された各導電性防食皮膜9,9は0.01〜10μmの膜厚を有し、電気化学的分極特性評価法で測定したその分極電流は10μA/cm2以下である。このような構成により、金属製セパレータに形成された導電性防食皮膜が薄膜であっても、集電体5との接触による破損が防止され、耐食性が著しく高い。
図2に示す本発明の好ましい別の実施態様による固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット1は、高分子電解質膜2と、その両側に形成されたカソード電極3及びアノード電極4と、両電極3,4にそれぞれ設けた集電体5,5と、各集電体5,5の外側に配置され、セパレータとの接触面に導電性皮膜10,10が形成された緩衝層6,6と、緩衝層6,6に接する面に導電性防食皮膜9,9が形成された金属製セパレータ7,7とを具備する。緩衝層6の金属製セパレータ7との接触面にも導電性皮膜10を形成することにより、接触抵抗が低下するとともに、金属製セパレータ7の導電性防食皮膜9の破損による腐食に対する抵抗力がさらに改善され、セルユニットの発電特性及び耐久性が著しく向上する。
図3に示す本発明のさらに別の実施態様による固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット1は、高分子電解質膜2と、その両側に形成されたカソード電極3及びアノード電極4と、両電極3,4にそれぞれ設けた集電体5,5と、集電体5,5に接する面に導電性防食皮膜9,9が形成された金属製セパレータ7,7とを具備する。この例では、各電極3,4の外側に設置された各集電体5,5は柔軟性及び通気性を有し、多孔質導電性緩衝層として機能するので、緩衝層6を別途設けなくても良い。
集電体5,5が緩衝層を兼ねる場合、集電体5,5全体が緩衝層に必要な多孔性、柔軟性等を備えている必要はなく、セパレータ7に接触する側の表面から数10μmの深さまでの層が緩衝層としての条件を満たせ良い。例えば空孔率が小さくて硬質な多孔質層(電極と接する側)と、空孔率が大きくて柔軟性を有する多孔質層(金属製セパレータと接触する側)とが一体化した集電体、又は電極と接する面から金属製セパレータと接する面にかけて、空孔率及び柔軟性が連続的に増大する集電体を使用することもできる。このような構成では緩衝層を別途設ける必要がないため、燃料電池ユニットの構成が簡略化され、集電体5,5の電気抵抗が低下する。
固体高分子電解質型燃料電池の構成要素のうち、高分子電解質膜2、カソード電極3及びアノード電極4については従来技術のものと同じで良いので、これらの部材の説明を省略し、緩衝層、緩衝層に形成する導電性皮膜、セパレータ及びセパレータに形成する導電性防食皮膜について、以下詳細に説明する。
[1]緩衝層
緩衝層6は、金属製セパレータ7と黒鉛製集電体5とを導通するために優れた導電性を有しなければならないのみならず、黒鉛製集電体5が金属製セパレータ7に接触する際の衝撃を緩和するために優れた柔軟性を有していなければならない。さらに燃料電池に使用するので、緩衝層6は優れた熱伝導性及び耐食性も有していなければならない。
このような特性が要求される緩衝層6は、金属繊維、カーボン繊維又は導電性樹脂の繊維からなる織布又は不織布、導電性材料からなる発泡シート又はカーボンペーパーにより構成するのが好ましい。金属繊維としては、ステンレススチール、ニッケル等の繊維が好ましい。カーボン繊維は導電性及び耐腐食性を有するので好ましい。カーボン繊維として市販品を使用することができる。また導電性樹脂の繊維としては、金属又はカーボン粉末を分散させたポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等の繊維が挙げられる。これらの繊維の平均径は0.5〜20μm程度が良い。
樹脂の繊維又は発泡シートの表面に金属、導電性樹脂等の導電性皮膜を形成する場合、繊維又は発泡シート自体は導電性でなくても構わない。このような非導電性樹脂としては、天然繊維、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等が挙げられる。天然繊維の具体例としては、セルロース等が挙げられる。これらの繊維の平均径は約0.5〜20μmであるのが好ましい。
カーボンペーパーとしては、抄紙−黒鉛化法等により作製したものが好適である。例えばパルプ廃液、ポリビニールアルコール等をバインダーとしてセルロース繊維を抄紙してなるペーパー、又は孔径が制御された市販のセルロース濾紙を1000〜1800℃で焼成し、カーボンペーパーを得ることができる。
図1から明らかなように、燃料電池のガスは各セパレータ7の通気溝7aから各電極3,4と高分子電解質2の界面に到達するため、各緩衝層6を通過しなければならない。従って、緩衝層6には優れた通気性が要求される。緩衝層6を通過するガスの抵抗が大きいと、燃料電池の大電流出力特性に影響するので、緩衝層6はガスの通過に対して抵抗が小さいのが好ましい。従って、緩衝層6の空孔率は20〜90%が好ましく、30〜80%がより好ましい。緩衝層6の空孔率が20%未満であると、緩衝層6の通気性が不十分であるのみならず、黒鉛製集電体5と金属製セパレータ7との衝撃を緩和する柔軟性(緩衝性)も不足する。また緩衝層6の空孔率が90%超であると、緩衝層6の機械的強度が不十分であり、セルユニットをスタックした時の押圧力により緩衝層6は薄肉化してしまう。
図1に示す例では緩衝層を集電体と金属製セパレータとの間に装着しているが、緩衝層の代わりに集電体の金属製セパレータとの接触面に緩衝皮膜を形成しても良い。
緩衝層6の厚さは空孔率により異なるが、装着する場合には、0.05〜1.0mmであるのが好ましく、0.1〜0.2mmであるのがより好ましい。緩衝層6の厚さが0.05mm未満であると、緩衝層の製造及び装着が困難である。また緩衝層6の厚さが1.0mm超であると、金属製セパレータ7と黒鉛製集電体5との間の電気抵抗値が大きくなり過ぎるのみならず、セルユニットが厚くなり過ぎ、燃料電池スタックの小型化が困難になる。
緩衝皮膜の場合、5〜50μmの膜厚とするのが好ましく、10〜20μmであるのがより好ましい。緩衝皮膜の厚さが5μm未満であると柔軟性(緩衝性)が不十分である。緩衝皮膜の形成方法としては、スプレイ法、ディップコーティング法、メッキ法等が挙げられる。
緩衝層6の導電性をさらに高めるために、緩衝層6の表面(少なくともセパレータ7と接する側)又は緩衝層6を構成する導電性繊維の表面に、耐食性の金属、導電性樹脂又は導電性セラミックスからなる導電性皮膜を被覆するのが好ましい。導電性皮膜を形成する金属としては、Au、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ag、Ti、Cu、Pb、Ni、Cr、Co、Fe及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。導電性及び耐腐食性の観点から特に好ましい金属は、Au、Pt、Ir、Ag、Pb、Co及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種である。導電性皮膜を形成する金属を、後述する金属製セパレータ7の少なくとも緩衝層6と接する面に被覆する導電性防食皮膜の金属と同種とすることにより、セパレータ7の接触面の接触抵抗が著しく低下し、優れた発電性能が得られる。
導電性皮膜を形成する導電性樹脂としては、例えば金属又はカーボン粉末を分散させたポリオレフィン、ポリエステル又はフッ素樹脂等が挙げられる。また導電性セラミックスの具体例としては、酸化インジウム錫(ITO)等が挙げられる。
緩衝層6の表面に形成する導電性皮膜の厚さは0.01〜10μmであるのが好ましい。導電性皮膜の厚さが0.01μm未満であると、十分な導電性が付与されない。また導電性皮膜の厚さを10μm超にしても、それに見合った導電性向上効果が得られず、コスト高になるだけである。なお緩衝層6の導電性皮膜は、スパッタリング法、物理的蒸着法、メッキ法等により形成することができる。
[2]セパレータ
金属製セパレータ7の材料は特に限定されず、アルミニウム又はその合金、チタン又はその合金、ステンレス鋼、Ni−Fe合金等が挙げられる。これらの材料からなるセパレータは優れた機械強度、導電性及び伝熱性を有する。軽量で加工性に優れたアルミニウム又はその合金が特に好ましい。アルミニウム又はその合金については特に限定されず、例えば高純度アルミニウム(JIS H4170,1N99)の他、A1100、A5052、A6063等のアルミニウム合金を使用できる。アルミニウムの純度が99.9%以上であれば、組織の均一性が良く、皮膜にピンホールが生じにくいため好ましい。
金属製セパレータ7の少なくとも緩衝層6と接する面には、膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下である導電性防食皮膜が形成されている。導電性防食皮膜材料としては金属又は合金が好ましく、特にAu、Pt、Ag、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、Cr及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。なかでもAu、Ag、Pt又はそれらの合金により導電性皮膜を形成すると、優れた導電性及び耐腐食性が得られるので好ましい。
導電性防食皮膜の膜厚は0.01〜10μmとする。導電性防食皮膜の膜厚が0.01μm未満であると、十分な耐食性が得られない。また導電性防食皮膜の膜厚を10μm超としても、それに見合った効果が得られず、コスト高となる。
導電性防食皮膜の電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流を10μA/cm2以下とすることにより、薄くても充分な耐食性が得られる。分極電流が10μA/cm2より高いと、導電性防食皮膜にピンホール等の表面欠陥が存在し、腐食による電池出力性能の低下という問題が生じる。導電性防食皮膜の分極電流は7μA/cm2以下であるのがより好ましい。緩衝層6と導電性防食皮膜との組み合わせにより、金属製セパレータ7の耐食性が飛躍的に向上し、燃料電池スタックの低コスト化と耐久性の向上が同時に実現される。
分極電流は、以下に示す電気化学的分極特性評価法により測定する。すなわち、酢酸水溶液等の電解質溶液中に試料を白金電極に対向させて配置し、銀塩化銀の照合電極を飽和塩化カリウム水溶液に浸漬し、飽和塩化カリウム水溶液と試料との間を塩橋で結び、試料、白金対極及び銀塩化銀電極をポテンシオスタットに接続し、試料の電位を銀塩化銀電極に対して自然電極電位から酸素発生電位までアノード側に走査し、その際に試料電極に流れるピーク電流を分極電流として測定する。
導電性防食皮膜の形成方法は、上述した皮膜特性(膜厚及び分極電流)が得られる方法であれば、特に限定されず、スパッタリング法、物理的蒸着法、メッキ法等が挙げられるが、特にメッキ法が好ましい。上述した構成の導電性防食皮膜を実現するためには、皮膜のピンホール等の表面欠陥を最小限に抑えることが重要である。メッキの通電切断を複数回行う方法、又は公知の封孔処理方法によっても、ピンホール等の表面欠陥を抑えることができる。
導電性防食皮膜の形成に特に有効な方法として、金属製セパレータ基材をエッチング処理した後、酸洗及び亜鉛浴への浸漬からなる亜鉛置換処理を4回以上繰り返してから、金属メッキ処理を行う方法が挙げられる。この方法では、ピンホール等の表面欠陥がほとんどなく、薄くても耐腐食性が非常に優れた導電性防食皮膜を得ることができる。この導電性防食皮膜の形成方法を以下詳細に説明する。
エッチング処理前に、金属製セパレータ基材の少なくとも導電性防食皮膜を形成する面に研磨処理を施し、JIS B 0601(2001)による表面粗さを0.02〜0.3μmとするのが好ましく、0.03〜0.2μmとするのがより好ましい。エッチング処理前の金属製セパレータ基材の表面粗さが0.3μmより大きいと、セパレータ基材表面の凹部に起因して導電性皮膜にピンホール等の表面欠陥が発生し、金属製セパレータ7の耐食性が低下する。またセパレータ基材の表面粗さが0.02μmより小さいと、形成する導電性皮膜とセパレータ表面との密着性が低下し、燃料電池の使用時に電極と接触して導電性皮膜が剥離することがあるので好ましくない。
金属製セパレータ基材の表面粗さを調節する方法については特に限定されず、材料により適宜選択することができる。表面研磨処理としては、例えば電解研磨処理、機械研磨処理、バフ研磨処理、ブラスト研磨処理、バレル研磨処理及びこれらの組み合わせ等が挙げられ、電解研磨処理、機械研磨処理、バフ研磨処理、ブラスト研磨処理及びこれらの組み合わせを用いるのが好ましく、電解研磨処理を用いるのがより好ましい。
研磨処理したセパレータ基材を脱脂処理し、次いで下記の条件でエッチング処理を施す。エッチング処理はセパレータ基材をエッチング処理液に浸漬することからなる。エッチング処理液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液、又は硫酸−燐酸混合水溶液等の酸水溶液を用いる。アルカリ水溶液を用いる場合、その濃度は20〜200g/Lが好ましく、50〜150g/Lがより好ましい。浸漬温度は30〜70℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。浸漬時間は0.5〜5分間が好ましく、1〜3分間がより好ましい。また酸水溶液として硫酸−燐酸混合水溶液を用いる場合、硫酸濃度は10〜500g/Lが好ましく、30〜300g/Lがより好ましい。燐酸濃度は10〜1200g/Lが好ましく、30〜500g/Lがより好ましい。浸漬温度は30〜110℃が好ましく、55〜75℃がより好ましい。浸漬時間は0.5〜15分間が好ましく、1〜6分間がより好ましい。
エッチング処理の後に行う亜鉛置換処理において、酸洗工程には硝酸、硫酸、塩酸等の酸濃度が5〜50質量%である酸洗浴を用いる。酸洗浴としては濃度が10〜40質量%の硝酸水溶液が好ましく、25〜30質量%の硝酸水溶液がより好ましい。浸漬温度は15〜30℃が好ましく、20〜25℃がより好ましい。浸漬時間は5〜120秒間が好ましく、15〜60秒間がより好ましい。上記条件で酸洗を行うことにより、置換亜鉛層を効果的に除去できる。
亜鉛浴浸漬工程では、亜鉛浴として、酸化亜鉛濃度が好ましくは1.5〜60g/L、より好ましくは3.5〜50g/Lで、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ濃度が好ましくは40〜400g/L、より好ましくは80〜200g/Lである酸化亜鉛アルカリ水溶液を用いる。浸漬温度は15〜30℃が好ましく、20〜25℃がより好ましい。浸漬時間は5〜120秒間が好ましく、15〜50秒間がより好ましい。亜鉛浴の酸化亜鉛濃度が1.5g/Lより低いと置換亜鉛層が不均一となり、60g/Lより高いとメッキ皮膜が不均一となる。アルカリ濃度が40g/Lより低いと置換亜鉛層の密着性が低く、400g/Lより高いと亜鉛層の表面粗さが増大する。
金属製セパレータ7に導電性防食皮膜を形成するためには、上記酸洗後に亜鉛浸漬を行う亜鉛置換処理を少なくとも4回繰り返して行うのが好ましい。この亜鉛置換処理が3回以下であると、メッキ皮膜にピンホールが残存することがあり、表面欠陥のないメッキを確実に形成できるとは限らない。
亜鉛置換処理を4回以上行った後、膜厚が0.01〜10μmとなるようにメッキ処理を行う。メッキ処理法としては、無電解メッキ、置換メッキ、電解メッキ、又は電解ストライクメッキ等が挙げられる。メッキ浴組成は従来と同じで良い。メッキ条件は、メッキする金属の種類に応じて従来の条件から適宜選択することができる。例えば金メッキの場合、浴温度を50〜75℃とし、電流密度を0.1〜0.5A/dm2とするのがよい。
薄膜で欠陥のほとんどない導電性防食皮膜が形成された金属製セパレータ7は、その金属材料自体が軽量性、加工性及び導電性に優れているとともに、集電体5との接触抵抗が低く、かつ接触による腐食の問題がないので、それを組み込んだ燃料電池スタックの発電能力及び長期耐久性が向上するのみならず、軽量化及び低コスト化も同時に満足することができる。さらに導電性防食皮膜が形成された金属製セパレータ7は、優れた機械強度、導電性及び伝熱性を有する。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
厚さ5mmのアルミニウム板を燃料電池用セパレータの形状にプレス加工した。得られたアルミニウムセパレータ基材を、25gの水酸化ナトリウム、25gの炭酸ナトリウム、25gの燐酸ナトリウム及び1.5gの界面活性剤を約1リットルの水に添加して調製した60℃の脱脂浴中に、5分間浸漬して脱脂処理を行った。アルミニウムセパレータ基材を水洗した後、50℃の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:50g/L)中に3分間浸漬して、エッチング処理を行った。エッチング処理前のセパレータ基材の表面粗さは0.35μmであった。
エッチング処理したアルミニウムセパレータ基材を50℃の硝酸水溶液(濃度:30質量%)中に90秒間浸漬することにより酸洗浄した後、約1リットルの水に100gの水酸化ナトリウム、50gの酸化亜鉛、1gの塩化第二鉄及び10g/Lのロッシェル塩を添加して調製した亜鉛浴に室温で30秒間浸漬した。このように酸洗浄後亜鉛浴に浸漬する亜鉛置換処理を合計4回行った。
次に、約1リットルの水に10gのシアン金カリウム、30gのシアン化カリウム、30gの炭酸カリウム及び30gの第二燐酸カリウムを添加して調製した55℃の金メッキ浴中で、電流密度を0.5A/dm2として電解メッキ処理を行った。これにより、アルミニウムセパレータの全表面に渡って、導電性防食皮膜として0.5μmの膜厚及び6μA/cm2の分極電流を有する均一な金メッキ皮膜を形成した。
導電性防食皮膜が形成されたアルミニウムセパレータ7を、図1に示す順序で、高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4、集電体5,5及び緩衝層6,6とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。高分子電解質膜2は厚さ170μmのナフィオン登録商標、カソード電極3及びアノード電極4はPt触媒を担持したカーボンブラック、各集電体5,5は250μmの厚さ及び約50%の空孔率を有するカーボンペーパーとした。また各緩衝層6,6として、0.2mmの厚さ及び約80%の空孔率を有するカーボンクロスを用いた。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図5〜9に示す。本実施例の結果から、100時間の発電前後で出力電流の変化はほとんどないことが分かった。また電池起電力が発電開始時の起電力に対して10%低下する時間(セルユニット寿命)を測定した結果、実施例1のセルユニットでは300日以上であり、従来のセルユニットに比べて著しく向上していた。
比較例1
厚さ5mmのアルミニウム板を用いて燃料電池用セパレータ基材を作製し、亜鉛置換処理(酸洗浄及び亜鉛浸漬処理)の回数を3回としたこと以外実施例1と同様にして、脱脂処理、水洗、エッチング処理、亜鉛置換処理、及び金メッキ浴中での電解メッキ処理を行った。アルミニウムセパレータ全表面に渡って形成された金メッキ皮膜の膜厚は0.5μmで、分極電流は110μA/cm2であった。
得られたアルミニウムセパレータを、図4に示すように直接集電体5,5と接触させ、高分子電解質膜2、カソード電極3及びアノード電極4とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。用いた高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4及び集電体5,5は全て実施例1と同じであった。
この燃料電池用セルユニットの発電前後の出力電流を、実施例1と同じ条件で測定した。結果を図5に示す。本比較例では、発電開始時の出力電流が実施例1に比べて低く、また100時間の発電後には出力電流は大幅に低下した。またセルユニット寿命は20日であり、実施例1に比べて著しく短かった。
比較例2
厚さ5mmのアルミニウム板を用いて燃料電池のセパレータ基材を作製し、実施例1と同様に脱脂処理、水洗及びエッチング処理した後、酸洗浄及び亜鉛浸漬処理からなる亜鉛置換処理を4回行い、金メッキ浴中で電解メッキ処理を行った。得られた金メッキ皮膜は、実施例1と同様に、膜厚が0.5μmで分極電流は6.0μA/cm2であった。
得られたアルミニウムセパレータを、図4に示すように直接集電体5,5と接触させ、高分子電解質膜2、カソード電極3及びアノード電極4とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。用いた高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4及び集電体5,5は全て実施例1と同じであった。
この燃料電池用セルユニットの発電前後の出力電流を、実施例1と同じ条件で測定した。結果を図5に示す。本比較例では、発電開始時の出力電流は実施例1とほぼ同等であったが、100時間の発電後には出力電流の大きな低下が認められた。またセルユニット寿命は120日であり、比較例1よりは向上しているが、実施例1に比べて著しく短期間であった。
比較例3
厚さ5mmのアルミニウム板を用いて燃料電池のセパレータ基材を作製し、酸洗浄及び亜鉛浸漬処理からなる亜鉛置換処理の回数を3回としたこと以外、比較例1と同様にして金メッキ皮膜を形成した。得られた金メッキ皮膜は、比較例1と同様に、膜厚が0.5μmであり、分極電流は110μA/cm2であった。
金メッキ皮膜を形成したアルミニウムセパレータを、図1に示す順序で、高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4、集電体5,5及び緩衝層6,6とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。用いた高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4、集電体5,5及び緩衝層6,6は全て実施例1と同じであった。
この燃料電池用セルユニットの発電前後の出力電流を、実施例1と同じ条件で測定した。結果を図5に示す。本比較例では、発電開始時の出力電流は実施例1とほぼ同等であったが、100時間の発電後には出力電流の大きな低下が認められた。またセルユニット寿命は120日であり、比較例1よりは向上しているが、実施例1に比べて著しく短期間であった。
実施例2
厚さ5mmのアルミニウム板を燃料電池用セパレータ基材の形状にプレス加工した。実施例1と同じ処理工程を経て、アルミニウムセパレータ基材に膜厚が0.5μmで分極電流が6μA/cm2のAu皮膜を形成した。また厚さ0.2mmで、空孔率約80%の緩衝層6,6用カーボンクロスのセパレータとの接触面に、スパッタリング法により約0.1μmの厚さのAg皮膜を形成した。これらを図2に示すように、高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4及び集電体5,5とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。用いた高分子電解質膜2、カソード電極3及びアノード電極4及び集電体5,5は全て実施例1と同じであった。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図6に示す。本実施例及び実施例1の結果を比較すると、緩衝層6,6のセパレータとの接触面に導電性皮膜を形成することにより、発電開始時の出力電流が増加することが分かった。これは、導電性皮膜の形成により緩衝層6/セパレータ7間の接触電気抵抗が低減したためと考えられる。また100時間の発電の前後で出力電流の変化も小さかった。さらに本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が350日以上であり、実施例1よりさらに向上した。
実施例3
実施例2と同様にして、厚さ5mmのアルミニウム板から作製した燃料電池用セパレータの表面にAu皮膜を形成した。また0.2mmの厚さ及び約80%の空孔率を有する緩衝層6,6用カーボンクロスのセパレータとの接触面に、スパッタリング法により約0.1μmの厚さのAu皮膜を形成した。緩衝層6,6用にAu皮膜を形成した以外、全て実施例2と同様にして燃料電池用セルユニットを組み立てた。
この燃料電池用セルユニットの発電前後の出力電流を、実施例2と同じ条件で測定した。結果を図6に示す。本実施例では、開始時の出力電流は実施例2より向上し、緩衝層に被覆する導電性皮膜と、セパレータに被覆する導電性防食皮膜の金属を同種にした効果が認められた。また100時間の発電の前後で出力電流の変化も非常に小さかった。さらに本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が360日以上であり、実施例1よりさらに向上した。
実施例4
実施例1と同様にして、厚さ5mmのアルミニウム板から作製した燃料電池用セパレータの表面にAu皮膜を形成した。また厚さが0.2mmで空孔率が約80%のカーボンクロスを緩衝層とし、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)溶液に浸漬した後、280℃の温度で処理することにより、撥水性を付与した。緩衝層にPTFE皮膜を形成した以外、全て実施例1と同様にして燃料電池用セルユニットを組み立てた。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図7に示す。本実施例の結果から、100時間の発電前後での出力電流の変化が実施例1よりさらに小さく、緩衝層に撥水性皮膜を付与することによりセパレータの腐食がさらに抑制されることが分かった。また本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が350日以上であり、実施例1より耐久性がさらに向上した。
実施例5
実施例1と同様にして、厚さ5mmのアルミニウム板から作製した燃料電池用セパレータの表面にAu皮膜を形成した。250μmの厚さ及び約50%の空孔率を有するカーボンペーパーを集電体とし、セパレータと接する面のみにスパッタリング法で10μmの厚さを有するAg皮膜を形成した。スパッタリング条件は、20TorrのAr雰囲気、60℃の温度、2時間のスパッタリング時間、及び100WのRF powerであった。得られたAg皮膜の空孔率は20%であった。このように緩衝皮膜を形成した集電体を電極と熱結合させた以外は実施例1と同様にして、燃料電池用セルユニットを組み立てた。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図8に示す。集電体に緩衝皮膜を形成した本実施例においても、緩衝層を装着した実施例1と同様に、100時間の発電前後で電流変化が非常に小さく、セパレータの腐食が抑制されていることが分かった。また、本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が290日以上であり、実施例1とほぼ同程度であった。
実施例6
実施例1と同様にして、厚さ5mmのアルミニウム板から作製した燃料電池用セパレータの表面にAu皮膜を形成した。また250μmの厚さ及び約50%の空孔率を有するカーボンペーパーを電極と接する集電体とし、集電体のセパレータと接触する面にカーボンブラック粉末、ポリプロピレン及びトルエンからなるスラリーを塗布し、乾燥させた。得られた緩衝皮膜の厚さは15μmで、空孔率は40%であった。このように緩衝皮膜を被覆した集電体を電極と熱結合させた以外は実施例1と同様にして、燃料電池用セルユニットを組み立てた。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図8に示す。集電体に緩衝皮膜を形成した本実施例においても、緩衝層を装着した実施例1と同様に、100時間の発電前後で電流変化が非常に小さく、セパレータの腐食が抑制されていることが分かった。また本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が280日以上であり、実施例1とほぼ同程度であった。
実施例7及び8
厚さ5mmのアルミニウム板を燃料電池用セパレータの形状にプレス加工し、エッチング処理前に表面研磨処理としてそれぞれ下記の条件で電解研磨(実施例7)及び化学研磨(実施例8)を行った以外、実施例1と同様にして導電性防食皮膜を形成した。
(1)電解研磨(実施例7)
220ml/Lの過塩素酸及び780ml/Lの無水酢酸を含有する電解研磨浴中に脱脂処理したセパレータ基材を浸漬した。セパレータ基材を陽極とし、白金板を陰極として、10μA/cm2の電流密度で5分間電解研磨処理を行い、水洗した後乾燥した。電解研磨したセパレータの表面粗さは0.08μmであった。このセパレータに実施例1と同様にAu導電性防食皮膜を形成した後の分極電流は4μA/cm2以下であった。
(2)化学研磨(実施例8)
75体積%の燐酸、20体積%の硝酸及び5体積%の水からなる化学研磨剤に、セパレータ基材を90℃で5分間浸漬し、水洗した後乾燥した。化学研磨したセパレータの表面粗さは0.08μmであった。このセパレータに実施例1と同様にAu導電性防食皮膜を形成した後の分極電流は4μA/cm2以下であった。
導電性防食皮膜を形成した各セパレータを高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4、集電体5,5、及び緩衝層6,6とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。
各セルユニットの発電前後の出力電流を実施例1と同じ条件で測定した。結果を図9に示す。実施例7及び8では、発電開始時の出力電流は実施例1とほぼ同等であったが、100時間発電後の出力電流の低下は実施例1よりさらに抑えられていた。これから、セパレータ基材の表面粗さをある程度小さくすることにより、セパレータの耐腐食性が向上することが分かる。セルユニット寿命はそれぞれ実施例7が360日以上、実施例8が350日以上であり、実施例1より向上した。
産業上の利用の可能性
上記の通り、導電性、通気性及び柔軟性を有する緩衝層を金属製セパレータと集電体との間に装着し、かつ金属製セパレータの緩衝層との接触面に膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下である導電性防食皮膜を形成した本発明の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットは、低コストであるとともに、金属製セパレータの耐食性が大幅に改善され、燃料電池の発電性能を長期間維持できる。また緩衝層のセパレータとの接触面にも導電性皮膜を形成することによって、接触抵抗をより低下させて金属製セパレータの耐腐食性をさらに改善し、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の一実施態様による燃料電池のセルユニットの層構成を示す概略断面図であり、
図2は本発明の別の実施態様による燃料電池のセルユニットの層構成を示す概略断面図であり、
図3は本発明のさらに別の実施態様による燃料電池のセルユニットの層構成を示す概略断面図であり、
図4は従来の燃料電池のセルユニットの層構成例を示す概略断面図であり、
図5は実施例1及び比較例1〜3における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフであり、
図6は実施例1〜3における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフであり、
図7は実施例1及び4における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフであり、
図8は実施例1、5及び6における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフであり、
図9は実施例1、7及び8における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフである。
本発明は車載用燃料電池として使用する固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットに関し、特に金属製セパレータを使用しても発電性能の劣化がない固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットに関する。
背景技術
燃料電池は燃料から電気へのエネルギー変換効率が高く、SOxやNOx等の有害物質や、地球温暖化の原因となるCO2ガスの排出がないため、次世代の発電装置として注目されており、広く開発が行われている。なかでも150℃以下の温度領域で作動する高分子イオン交換膜型燃料電池又は固体高分子電解質型燃料電池と呼ばれる燃料電池は、出力密度が高いために小型化できるという特長を有するので、家庭用電源や車載用電源として好適である。そのため固体高分子電解質型燃料電池は現在盛んに研究されており、実用化が見込まれている。
固体高分子電解質型燃料電池は通常、スルホン酸基を有するフッ素樹脂系イオン交換膜(例えばナフィオン登録商標)等を固体高分子電解質膜とし、この電解質膜の両面にそれぞれ燃料電極及び酸素(空気)電極を固定し、単電池(セル)としている。各電極は通常カーボンブラックに撥水性のPTFE粒子と触媒となる貴金属微粒子とを分散したものからなる。単電池は両面に燃料ガス及び空気を均一に供給するための通気溝を設けた板状のセパレータを介して積層され、燃料電池スタックとなる(図1参照)。
このような構成の固体高分子電解質型燃料電池が作動すると、水素ガスは酸化され、電子を放出するとともにプロトンになる。プロトンは高分子電解質中に進入して、水分子と結合してH3O+になり、アノード電極側に移動する。また水素ガスの酸化反応により発生した電子は外部回路を経てアノード電極側まで流れる。そのため、アノード電極で酸素は上記電子を得てO2−イオンとなり、H3O+と結合して水となる。この反応過程は連続的に進行するので、電気エネルギーを連続的に取り出すことができる。
セルユニット電池の理論起電力は1.2Vであるが、電極の分極、反応ガスのクロスオーバー(燃料ガスが高分子電解質を透過して空気極に到達する現象)、及び電極材料や集電体材料のオーム抵抗による電圧降下等の原因により、実際の出力電圧は約0.6〜0.8Vとなる。このため、実用的な出力が得られるように、セパレータを介して数十個のセルを直列に積層する必要がある。
上記発電原理から分かるように、高分子電解質膜中にH+イオンが多量に存在するので、高分子電解質膜内部と電極の近傍は強酸性になる。またアノード電極側で酸素が還元反応を起こし、H+と結合して水を生成するが、電池の作動状態により過酸化水素を発生する場合もある。このような環境にセパレータが組み込まれるので、セパレータの特性に関しては、導電性及び気密性の他に電気化学的安定性(耐食性)も要求される。
従来の燃料電池用セパレータはほとんど黒鉛材料からなり、機械加工により作製されている。黒鉛は電気抵抗が低く耐食性も高いという利点を有する反面、機械強度に劣り、加工コストが高いという欠点を有する。特に車載用燃料電池の場合、燃料電池を構成する材料には高い機械強度が要求されるので、黒鉛セパレータを使用するのは難しいという問題がある。
最近、黒鉛粉末と樹脂の均一混合物をセパレータ形状に成形してから、高温焼成することにより黒鉛セパレータを製造する方法が提案されている。また黒鉛粉末と樹脂の混合物の成形体を焼成せずにセパレータとして使用する場合もある。何れにしても、このような黒鉛セパレータには電気抵抗、ガスの気密性、機械強度及び熱伝導性に問題がある。
カーボン材からなるセパレータ以外に、金属製のセパレータも検討されている。金属は電気抵抗、気密性及び機械強度の点でカーボン材に比べて非常に有利である。また金属を用いるとセパレータを薄くできるので、軽量化も容易になる。しかし、カーボン材に比べると金属は腐食しやすいだけでなく、腐食により生成した金属イオンが高分子電解質膜に進入すると、高分子電解質膜のイオン伝導性が低下し、燃料電池の発電性能に影響を与える恐れもある。
この問題を解決するため、例えば特開平11−162478号は、貴金属をセパレータの全表面にメッキすることにより金属製セパレータの耐腐食性を改善する手法を提案している。しかしこの手法は、性能に関しては問題がないが、防食皮膜のためにセパレータの製造コストが高くなるので、実用的ではない。
コスト低減のために、セパレータ基材としてステンレス、ニッケル合金等の耐食性金属を使用することも検討されている。この種の金属は表面に非常に薄い酸化皮膜が生成して不動態になるため、腐食が抑えられる。しかし酸化皮膜の生成により表面の接触電気抵抗が高くなり、燃料電池の発電性能を低下させる。
この問題を解決するために、耐食性材料を加工して作製したセパレータの電極との接触面に、貴金属の皮膜、又はカーボン粒子を含んだ金属又は樹脂の皮膜を形成し、接触電気抵抗を下げる方法が提案されている(例えば特開平10−308226号)。また燃料電池の軽量化を図るために、アルミニウムを用いたセパレータも検討されている(例えば特開平10−255823号)。
しかしアルミニウムは耐食性が低いために、アルミニウム製セパレータの場合、表面に耐食性金属の皮膜を形成して、耐食性を持たせなければならない。この皮膜に用いる金属はこれまでほとんど貴金属(例えばAu)である。しかしながらAu等の貴金属は非常に高価であるため、貴金属被覆アルミニウム製セパレータは著しくコスト高になる。セパレータのコストを下げるために、貴金属をできるだけ薄く被覆しなければならないが、貴金属皮膜は薄くなるほど耐食性が低下し、実用的な耐久性が得られなくなる。
また金属製セパレータに十分な耐食性を有する金属皮膜を形成しても、燃料電池の組み立て段階で皮膜が損傷することがあり、その結果セパレータ基材の金属に腐食が起こり、接触抵抗が増大することもある。
上記のように、金属製セパレータを組み込んだ燃料電池のセルユニットにおいては、特にアルミニウム又はアルミニウム合金製セパレータの場合、耐食性が低いため発電性能が劣化する。そのため、金属製セパレータを用いて低コストで実用性のある燃料電池を構成することはできなかった。
発明の目的
従って本発明の目的は、金属製セパレータを組み込んだ低コストの固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットであって、高い耐腐食性及び耐久性を発揮し得る構造を有するセルユニットを提供することである。
発明の開示
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者等は、金属製セパレータの導電性防食皮膜が黒鉛製集電体の押しつけにより破壊され、そこから腐食が発生するために燃料電池の性能劣化が起こることに着目し、(1)ガス拡散電極の集電体を直接金属製セパレータに接触させるのではなく、集電体と金属製セパレータとの間に耐腐食性、柔軟性、導電性及びガス透過性を有する繊維状又は発泡体状の緩衝層を装着するか、又は集電体に耐腐食性及び導電性を有する緩衝皮膜を形成することにより、金属製セパレータの導電性防食皮膜を保護できること、及び(2)金属製セパレータの少なくとも緩衝層と接触する表面に被覆する導電性防食皮膜の電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が、膜厚を0.01〜10μmとした時に10μA/cm2以下となるようにすることにより、前述の範囲の極めて薄い防食皮膜においても優れた耐腐食性が実現され、(1)及び(2)の組み合わせにより低コストを維持しつつ、飛躍的に燃料電池の耐久性を向上できることを発見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットは、(a)高分子電解質膜と、(b)前記高分子電解質膜の両面にそれぞれ固定されたガス拡散が可能な一対の電極と、(c)前記電極の外側に接するように固定されたガス拡散可能な一対の多孔質導電性黒鉛製集電体と、(d)燃料ガス及び酸素含有ガスを別々に前記電極に導入する一対の金属製セパレータとを具備し、前記金属製セパレータと前記黒鉛製集電体との間に柔軟性及び通気性を有する多孔質導電性緩衝層を有し、かつ前記金属製セパレータの少なくとも前記多孔質導電性緩衝層と接する面に、膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下である導電性防食皮膜が形成されていることを特徴とする。
導電性防食皮膜は金属製セパレータの少なくとも多孔質導電性緩衝層との接触面に被覆すれば良く、金属製セパレータの全表面又は多孔質導電性緩衝層との接触面を含む一部表面に被覆しても良い。
前記緩衝層は、金属、カーボン又は導電性樹脂からなる導電性繊維の織布又は不織布、若しくは通気性を有する程度に気孔が連通した発泡シートからなるのが好ましい。緩衝層は20〜90%の空孔率を有するのが好ましい。緩衝層を集電体と金属製セパレータとの間に装着しても良く、また集電体の金属製セパレータとの接触面に緩衝皮膜を形成しても良い。緩衝層を装着する場合、緩衝層の厚さは0.05〜1.0mmであるのが好ましく、0.1〜0.2mmであるのがより好ましい。一方、緩衝皮膜とする場合には、5〜50μmの膜厚とするのが好ましく、10〜20μmの膜厚とするのがより好ましい。
前記緩衝層の少なくとも金属製セパレータに接する面は、金属、導電性樹脂又は導電性セラミックスにより多孔性を阻害しない程度に被覆されているのが好ましい。また前記緩衝層を構成する導電性繊維は、金属又は導電性樹脂により被覆されているのが好ましい。
緩衝層を被覆する導電性皮膜は0.01〜10μmの膜厚を有するのが好ましく、Au、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ag、Ti、Cu、Pb、Ni、Cr、Co、Fe及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種からなるのが好ましい。導電性皮膜は緩衝層の少なくとも金属製セパレータに接する面に被覆されていれば良く、緩衝層の多孔性が維持できれば、緩衝層全表面に被覆されても良い。緩衝層全体を被覆する場合の導電性皮膜の形成方法は、特に限定されず、スパッタリング法、真空蒸着法、電気メッキ法又は無電解メッキ法等が挙げられる。一方、緩衝層の金属製セパレータに接触する面のみを導電性皮膜で被覆する場合には、スパッタリング法が好ましい。
燃料ガス又は酸化ガス中に含まれる水蒸気により、緩衝層が塞がれ、通気性が低下することを防止するため、緩衝層に撥水性皮膜を形成することもできる。撥水性皮膜としては、通常テフロン登録商標が使用される。撥水性皮膜は、緩衝層に直接形成することもでき、緩衝層に形成した上述の導電性皮膜の上に形成することもできる。
金属製セパレータの少なくとも緩衝層と接する表面に被覆される導電性防食皮膜は、膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下であるのが好ましい。導電性防食皮膜の膜厚は0.1〜3μmであるのがより好ましく、分極電流は7μA/cm2以下であるのがより好ましい。また導電性防食皮膜は金属又は合金からなるのが好ましく、特にAu、Pt、Ag、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、Cr及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種からなるのが好ましい。
金属製セパレータ基材は、アルミニウム又はその合金、チタン又はその合金、ステンレス鋼、Ni−Fe合金等からなるのが好ましく、99.9%以上の純度を有する高純度アルミニウムからなるのがより好ましい。
導電性防食皮膜の形成方法は、上述した皮膜特性が得られれば特に限定されないが、特に金属メッキ法が好ましい。セパレータ基材をエッチング処理した後、酸洗及び亜鉛浴への浸漬からなる亜鉛置換処理を4回以上繰り返してから、金属メッキ処理を行うことにより、薄膜でも耐腐食性に優れた導電性防食皮膜を得ることができる。エッチング処理前の金属製セパレータ基材では、少なくとも導電性防食皮膜を形成する面の表面粗さを0.02〜0.3μmとするのが好ましい。
本発明の好ましい一実施態様では、黒鉛製集電体は緩衝層を兼ねる。すなわち、電極の外側に接するように固定されたガス拡散可能な一対の多孔質導電性黒鉛製集電体が柔軟性及び通気性を有し、多孔質導電性緩衝層としても機能する場合、別個に緩衝層を設けなくても構わない。この場合でも、金属製セパレータの少なくとも多孔質導電性黒鉛製集電体と接触する面には、多孔質導電性緩衝層を設置した場合と同様の導電性防食皮膜を形成する。また多孔質導電性黒鉛製集電体の少なくとも金属製セパレータと接触する面には、緩衝層に被覆した導電性皮膜と同様の皮膜を形成するのが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
図4に示す従来の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット1は、固体高分子電解質膜2と、その両側に形成されたカソード電極3及びアノード電極4と、両電極3,4にそれぞれ設けた集電体5,5と、各集電体5,5に接する金属製セパレータ7,7とを具備する。
これに対して、図1に示す本発明の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット1は、固体高分子電解質膜2と、その両側に形成されたカソード電極3及びアノード電極4と、両電極3,4にそれぞれ設けた集電体5,5と、各集電体5,5の外側に配置された緩衝層6,6と、各緩衝層6,6に接する金属製セパレータ7,7とを具備し、金属製セパレータ7,7の緩衝層6,6との接触面には導電性防食皮膜9,9が形成されている。各集電体5,5と各金属製セパレータ7,7との間に装着された各緩衝層6,6は、繊維状又は発泡シート状で、柔軟性、導電性及びガス透過性に優れている。また各金属製セパレータ7,7の各緩衝層6,6との接触面に形成された各導電性防食皮膜9,9は0.01〜10μmの膜厚を有し、電気化学的分極特性評価法で測定したその分極電流は10μA/cm2以下である。このような構成により、金属製セパレータに形成された導電性防食皮膜が薄膜であっても、集電体5との接触による破損が防止され、耐食性が著しく高い。
図2に示す本発明の好ましい別の実施態様による固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット1は、高分子電解質膜2と、その両側に形成されたカソード電極3及びアノード電極4と、両電極3,4にそれぞれ設けた集電体5,5と、各集電体5,5の外側に配置され、セパレータとの接触面に導電性皮膜10,10が形成された緩衝層6,6と、緩衝層6,6に接する面に導電性防食皮膜9,9が形成された金属製セパレータ7,7とを具備する。緩衝層6の金属製セパレータ7との接触面にも導電性皮膜10を形成することにより、接触抵抗が低下するとともに、金属製セパレータ7の導電性防食皮膜9の破損による腐食に対する抵抗力がさらに改善され、セルユニットの発電特性及び耐久性が著しく向上する。
図3に示す本発明のさらに別の実施態様による固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット1は、高分子電解質膜2と、その両側に形成されたカソード電極3及びアノード電極4と、両電極3,4にそれぞれ設けた集電体5,5と、集電体5,5に接する面に導電性防食皮膜9,9が形成された金属製セパレータ7,7とを具備する。この例では、各電極3,4の外側に設置された各集電体5,5は柔軟性及び通気性を有し、多孔質導電性緩衝層として機能するので、緩衝層6を別途設けなくても良い。
集電体5,5が緩衝層を兼ねる場合、集電体5,5全体が緩衝層に必要な多孔性、柔軟性等を備えている必要はなく、セパレータ7に接触する側の表面から数10μmの深さまでの層が緩衝層としての条件を満たせ良い。例えば空孔率が小さくて硬質な多孔質層(電極と接する側)と、空孔率が大きくて柔軟性を有する多孔質層(金属製セパレータと接触する側)とが一体化した集電体、又は電極と接する面から金属製セパレータと接する面にかけて、空孔率及び柔軟性が連続的に増大する集電体を使用することもできる。このような構成では緩衝層を別途設ける必要がないため、燃料電池ユニットの構成が簡略化され、集電体5,5の電気抵抗が低下する。
固体高分子電解質型燃料電池の構成要素のうち、高分子電解質膜2、カソード電極3及びアノード電極4については従来技術のものと同じで良いので、これらの部材の説明を省略し、緩衝層、緩衝層に形成する導電性皮膜、セパレータ及びセパレータに形成する導電性防食皮膜について、以下詳細に説明する。
[1]緩衝層
緩衝層6は、金属製セパレータ7と黒鉛製集電体5とを導通するために優れた導電性を有しなければならないのみならず、黒鉛製集電体5が金属製セパレータ7に接触する際の衝撃を緩和するために優れた柔軟性を有していなければならない。さらに燃料電池に使用するので、緩衝層6は優れた熱伝導性及び耐食性も有していなければならない。
このような特性が要求される緩衝層6は、金属繊維、カーボン繊維又は導電性樹脂の繊維からなる織布又は不織布、導電性材料からなる発泡シート又はカーボンペーパーにより構成するのが好ましい。金属繊維としては、ステンレススチール、ニッケル等の繊維が好ましい。カーボン繊維は導電性及び耐腐食性を有するので好ましい。カーボン繊維として市販品を使用することができる。また導電性樹脂の繊維としては、金属又はカーボン粉末を分散させたポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等の繊維が挙げられる。これらの繊維の平均径は0.5〜20μm程度が良い。
樹脂の繊維又は発泡シートの表面に金属、導電性樹脂等の導電性皮膜を形成する場合、繊維又は発泡シート自体は導電性でなくても構わない。このような非導電性樹脂としては、天然繊維、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等が挙げられる。天然繊維の具体例としては、セルロース等が挙げられる。これらの繊維の平均径は約0.5〜20μmであるのが好ましい。
カーボンペーパーとしては、抄紙−黒鉛化法等により作製したものが好適である。例えばパルプ廃液、ポリビニールアルコール等をバインダーとしてセルロース繊維を抄紙してなるペーパー、又は孔径が制御された市販のセルロース濾紙を1000〜1800℃で焼成し、カーボンペーパーを得ることができる。
図1から明らかなように、燃料電池のガスは各セパレータ7の通気溝7aから各電極3,4と高分子電解質2の界面に到達するため、各緩衝層6を通過しなければならない。従って、緩衝層6には優れた通気性が要求される。緩衝層6を通過するガスの抵抗が大きいと、燃料電池の大電流出力特性に影響するので、緩衝層6はガスの通過に対して抵抗が小さいのが好ましい。従って、緩衝層6の空孔率は20〜90%が好ましく、30〜80%がより好ましい。緩衝層6の空孔率が20%未満であると、緩衝層6の通気性が不十分であるのみならず、黒鉛製集電体5と金属製セパレータ7との衝撃を緩和する柔軟性(緩衝性)も不足する。また緩衝層6の空孔率が90%超であると、緩衝層6の機械的強度が不十分であり、セルユニットをスタックした時の押圧力により緩衝層6は薄肉化してしまう。
図1に示す例では緩衝層を集電体と金属製セパレータとの間に装着しているが、緩衝層の代わりに集電体の金属製セパレータとの接触面に緩衝皮膜を形成しても良い。
緩衝層6の厚さは空孔率により異なるが、装着する場合には、0.05〜1.0mmであるのが好ましく、0.1〜0.2mmであるのがより好ましい。緩衝層6の厚さが0.05mm未満であると、緩衝層の製造及び装着が困難である。また緩衝層6の厚さが1.0mm超であると、金属製セパレータ7と黒鉛製集電体5との間の電気抵抗値が大きくなり過ぎるのみならず、セルユニットが厚くなり過ぎ、燃料電池スタックの小型化が困難になる。
緩衝皮膜の場合、5〜50μmの膜厚とするのが好ましく、10〜20μmであるのがより好ましい。緩衝皮膜の厚さが5μm未満であると柔軟性(緩衝性)が不十分である。緩衝皮膜の形成方法としては、スプレイ法、ディップコーティング法、メッキ法等が挙げられる。
緩衝層6の導電性をさらに高めるために、緩衝層6の表面(少なくともセパレータ7と接する側)又は緩衝層6を構成する導電性繊維の表面に、耐食性の金属、導電性樹脂又は導電性セラミックスからなる導電性皮膜を被覆するのが好ましい。導電性皮膜を形成する金属としては、Au、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ag、Ti、Cu、Pb、Ni、Cr、Co、Fe及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。導電性及び耐腐食性の観点から特に好ましい金属は、Au、Pt、Ir、Ag、Pb、Co及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種である。導電性皮膜を形成する金属を、後述する金属製セパレータ7の少なくとも緩衝層6と接する面に被覆する導電性防食皮膜の金属と同種とすることにより、セパレータ7の接触面の接触抵抗が著しく低下し、優れた発電性能が得られる。
導電性皮膜を形成する導電性樹脂としては、例えば金属又はカーボン粉末を分散させたポリオレフィン、ポリエステル又はフッ素樹脂等が挙げられる。また導電性セラミックスの具体例としては、酸化インジウム錫(ITO)等が挙げられる。
緩衝層6の表面に形成する導電性皮膜の厚さは0.01〜10μmであるのが好ましい。導電性皮膜の厚さが0.01μm未満であると、十分な導電性が付与されない。また導電性皮膜の厚さを10μm超にしても、それに見合った導電性向上効果が得られず、コスト高になるだけである。なお緩衝層6の導電性皮膜は、スパッタリング法、物理的蒸着法、メッキ法等により形成することができる。
[2]セパレータ
金属製セパレータ7の材料は特に限定されず、アルミニウム又はその合金、チタン又はその合金、ステンレス鋼、Ni−Fe合金等が挙げられる。これらの材料からなるセパレータは優れた機械強度、導電性及び伝熱性を有する。軽量で加工性に優れたアルミニウム又はその合金が特に好ましい。アルミニウム又はその合金については特に限定されず、例えば高純度アルミニウム(JIS H4170,1N99)の他、A1100、A5052、A6063等のアルミニウム合金を使用できる。アルミニウムの純度が99.9%以上であれば、組織の均一性が良く、皮膜にピンホールが生じにくいため好ましい。
金属製セパレータ7の少なくとも緩衝層6と接する面には、膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下である導電性防食皮膜が形成されている。導電性防食皮膜材料としては金属又は合金が好ましく、特にAu、Pt、Ag、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、Cr及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種であるのが好ましい。なかでもAu、Ag、Pt又はそれらの合金により導電性皮膜を形成すると、優れた導電性及び耐腐食性が得られるので好ましい。
導電性防食皮膜の膜厚は0.01〜10μmとする。導電性防食皮膜の膜厚が0.01μm未満であると、十分な耐食性が得られない。また導電性防食皮膜の膜厚を10μm超としても、それに見合った効果が得られず、コスト高となる。
導電性防食皮膜の電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流を10μA/cm2以下とすることにより、薄くても充分な耐食性が得られる。分極電流が10μA/cm2より高いと、導電性防食皮膜にピンホール等の表面欠陥が存在し、腐食による電池出力性能の低下という問題が生じる。導電性防食皮膜の分極電流は7μA/cm2以下であるのがより好ましい。緩衝層6と導電性防食皮膜との組み合わせにより、金属製セパレータ7の耐食性が飛躍的に向上し、燃料電池スタックの低コスト化と耐久性の向上が同時に実現される。
分極電流は、以下に示す電気化学的分極特性評価法により測定する。すなわち、酢酸水溶液等の電解質溶液中に試料を白金電極に対向させて配置し、銀塩化銀の照合電極を飽和塩化カリウム水溶液に浸漬し、飽和塩化カリウム水溶液と試料との間を塩橋で結び、試料、白金対極及び銀塩化銀電極をポテンシオスタットに接続し、試料の電位を銀塩化銀電極に対して自然電極電位から酸素発生電位までアノード側に走査し、その際に試料電極に流れるピーク電流を分極電流として測定する。
導電性防食皮膜の形成方法は、上述した皮膜特性(膜厚及び分極電流)が得られる方法であれば、特に限定されず、スパッタリング法、物理的蒸着法、メッキ法等が挙げられるが、特にメッキ法が好ましい。上述した構成の導電性防食皮膜を実現するためには、皮膜のピンホール等の表面欠陥を最小限に抑えることが重要である。メッキの通電切断を複数回行う方法、又は公知の封孔処理方法によっても、ピンホール等の表面欠陥を抑えることができる。
導電性防食皮膜の形成に特に有効な方法として、金属製セパレータ基材をエッチング処理した後、酸洗及び亜鉛浴への浸漬からなる亜鉛置換処理を4回以上繰り返してから、金属メッキ処理を行う方法が挙げられる。この方法では、ピンホール等の表面欠陥がほとんどなく、薄くても耐腐食性が非常に優れた導電性防食皮膜を得ることができる。この導電性防食皮膜の形成方法を以下詳細に説明する。
エッチング処理前に、金属製セパレータ基材の少なくとも導電性防食皮膜を形成する面に研磨処理を施し、JIS B 0601(2001)による表面粗さを0.02〜0.3μmとするのが好ましく、0.03〜0.2μmとするのがより好ましい。エッチング処理前の金属製セパレータ基材の表面粗さが0.3μmより大きいと、セパレータ基材表面の凹部に起因して導電性皮膜にピンホール等の表面欠陥が発生し、金属製セパレータ7の耐食性が低下する。またセパレータ基材の表面粗さが0.02μmより小さいと、形成する導電性皮膜とセパレータ表面との密着性が低下し、燃料電池の使用時に電極と接触して導電性皮膜が剥離することがあるので好ましくない。
金属製セパレータ基材の表面粗さを調節する方法については特に限定されず、材料により適宜選択することができる。表面研磨処理としては、例えば電解研磨処理、機械研磨処理、バフ研磨処理、ブラスト研磨処理、バレル研磨処理及びこれらの組み合わせ等が挙げられ、電解研磨処理、機械研磨処理、バフ研磨処理、ブラスト研磨処理及びこれらの組み合わせを用いるのが好ましく、電解研磨処理を用いるのがより好ましい。
研磨処理したセパレータ基材を脱脂処理し、次いで下記の条件でエッチング処理を施す。エッチング処理はセパレータ基材をエッチング処理液に浸漬することからなる。エッチング処理液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液、又は硫酸−燐酸混合水溶液等の酸水溶液を用いる。アルカリ水溶液を用いる場合、その濃度は20〜200g/Lが好ましく、50〜150g/Lがより好ましい。浸漬温度は30〜70℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。浸漬時間は0.5〜5分間が好ましく、1〜3分間がより好ましい。また酸水溶液として硫酸−燐酸混合水溶液を用いる場合、硫酸濃度は10〜500g/Lが好ましく、30〜300g/Lがより好ましい。燐酸濃度は10〜1200g/Lが好ましく、30〜500g/Lがより好ましい。浸漬温度は30〜110℃が好ましく、55〜75℃がより好ましい。浸漬時間は0.5〜15分間が好ましく、1〜6分間がより好ましい。
エッチング処理の後に行う亜鉛置換処理において、酸洗工程には硝酸、硫酸、塩酸等の酸濃度が5〜50質量%である酸洗浴を用いる。酸洗浴としては濃度が10〜40質量%の硝酸水溶液が好ましく、25〜30質量%の硝酸水溶液がより好ましい。浸漬温度は15〜30℃が好ましく、20〜25℃がより好ましい。浸漬時間は5〜120秒間が好ましく、15〜60秒間がより好ましい。上記条件で酸洗を行うことにより、置換亜鉛層を効果的に除去できる。
亜鉛浴浸漬工程では、亜鉛浴として、酸化亜鉛濃度が好ましくは1.5〜60g/L、より好ましくは3.5〜50g/Lで、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ濃度が好ましくは40〜400g/L、より好ましくは80〜200g/Lである酸化亜鉛アルカリ水溶液を用いる。浸漬温度は15〜30℃が好ましく、20〜25℃がより好ましい。浸漬時間は5〜120秒間が好ましく、15〜50秒間がより好ましい。亜鉛浴の酸化亜鉛濃度が1.5g/Lより低いと置換亜鉛層が不均一となり、60g/Lより高いとメッキ皮膜が不均一となる。アルカリ濃度が40g/Lより低いと置換亜鉛層の密着性が低く、400g/Lより高いと亜鉛層の表面粗さが増大する。
金属製セパレータ7に導電性防食皮膜を形成するためには、上記酸洗後に亜鉛浸漬を行う亜鉛置換処理を少なくとも4回繰り返して行うのが好ましい。この亜鉛置換処理が3回以下であると、メッキ皮膜にピンホールが残存することがあり、表面欠陥のないメッキを確実に形成できるとは限らない。
亜鉛置換処理を4回以上行った後、膜厚が0.01〜10μmとなるようにメッキ処理を行う。メッキ処理法としては、無電解メッキ、置換メッキ、電解メッキ、又は電解ストライクメッキ等が挙げられる。メッキ浴組成は従来と同じで良い。メッキ条件は、メッキする金属の種類に応じて従来の条件から適宜選択することができる。例えば金メッキの場合、浴温度を50〜75℃とし、電流密度を0.1〜0.5A/dm2とするのがよい。
薄膜で欠陥のほとんどない導電性防食皮膜が形成された金属製セパレータ7は、その金属材料自体が軽量性、加工性及び導電性に優れているとともに、集電体5との接触抵抗が低く、かつ接触による腐食の問題がないので、それを組み込んだ燃料電池スタックの発電能力及び長期耐久性が向上するのみならず、軽量化及び低コスト化も同時に満足することができる。さらに導電性防食皮膜が形成された金属製セパレータ7は、優れた機械強度、導電性及び伝熱性を有する。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
厚さ5mmのアルミニウム板を燃料電池用セパレータの形状にプレス加工した。得られたアルミニウムセパレータ基材を、25gの水酸化ナトリウム、25gの炭酸ナトリウム、25gの燐酸ナトリウム及び1.5gの界面活性剤を約1リットルの水に添加して調製した60℃の脱脂浴中に、5分間浸漬して脱脂処理を行った。アルミニウムセパレータ基材を水洗した後、50℃の水酸化ナトリウム水溶液(濃度:50g/L)中に3分間浸漬して、エッチング処理を行った。エッチング処理前のセパレータ基材の表面粗さは0.35μmであった。
エッチング処理したアルミニウムセパレータ基材を50℃の硝酸水溶液(濃度:30質量%)中に90秒間浸漬することにより酸洗浄した後、約1リットルの水に100gの水酸化ナトリウム、50gの酸化亜鉛、1gの塩化第二鉄及び10g/Lのロッシェル塩を添加して調製した亜鉛浴に室温で30秒間浸漬した。このように酸洗浄後亜鉛浴に浸漬する亜鉛置換処理を合計4回行った。
次に、約1リットルの水に10gのシアン金カリウム、30gのシアン化カリウム、30gの炭酸カリウム及び30gの第二燐酸カリウムを添加して調製した55℃の金メッキ浴中で、電流密度を0.5A/dm2として電解メッキ処理を行った。これにより、アルミニウムセパレータの全表面に渡って、導電性防食皮膜として0.5μmの膜厚及び6μA/cm2の分極電流を有する均一な金メッキ皮膜を形成した。
導電性防食皮膜が形成されたアルミニウムセパレータ7を、図1に示す順序で、高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4、集電体5,5及び緩衝層6,6とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。高分子電解質膜2は厚さ170μmのナフィオン登録商標、カソード電極3及びアノード電極4はPt触媒を担持したカーボンブラック、各集電体5,5は250μmの厚さ及び約50%の空孔率を有するカーボンペーパーとした。また各緩衝層6,6として、0.2mmの厚さ及び約80%の空孔率を有するカーボンクロスを用いた。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図5〜9に示す。本実施例の結果から、100時間の発電前後で出力電流の変化はほとんどないことが分かった。また電池起電力が発電開始時の起電力に対して10%低下する時間(セルユニット寿命)を測定した結果、実施例1のセルユニットでは300日以上であり、従来のセルユニットに比べて著しく向上していた。
比較例1
厚さ5mmのアルミニウム板を用いて燃料電池用セパレータ基材を作製し、亜鉛置換処理(酸洗浄及び亜鉛浸漬処理)の回数を3回としたこと以外実施例1と同様にして、脱脂処理、水洗、エッチング処理、亜鉛置換処理、及び金メッキ浴中での電解メッキ処理を行った。アルミニウムセパレータ全表面に渡って形成された金メッキ皮膜の膜厚は0.5μmで、分極電流は110μA/cm2であった。
得られたアルミニウムセパレータを、図4に示すように直接集電体5,5と接触させ、高分子電解質膜2、カソード電極3及びアノード電極4とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。用いた高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4及び集電体5,5は全て実施例1と同じであった。
この燃料電池用セルユニットの発電前後の出力電流を、実施例1と同じ条件で測定した。結果を図5に示す。本比較例では、発電開始時の出力電流が実施例1に比べて低く、また100時間の発電後には出力電流は大幅に低下した。またセルユニット寿命は20日であり、実施例1に比べて著しく短かった。
比較例2
厚さ5mmのアルミニウム板を用いて燃料電池のセパレータ基材を作製し、実施例1と同様に脱脂処理、水洗及びエッチング処理した後、酸洗浄及び亜鉛浸漬処理からなる亜鉛置換処理を4回行い、金メッキ浴中で電解メッキ処理を行った。得られた金メッキ皮膜は、実施例1と同様に、膜厚が0.5μmで分極電流は6.0μA/cm2であった。
得られたアルミニウムセパレータを、図4に示すように直接集電体5,5と接触させ、高分子電解質膜2、カソード電極3及びアノード電極4とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。用いた高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4及び集電体5,5は全て実施例1と同じであった。
この燃料電池用セルユニットの発電前後の出力電流を、実施例1と同じ条件で測定した。結果を図5に示す。本比較例では、発電開始時の出力電流は実施例1とほぼ同等であったが、100時間の発電後には出力電流の大きな低下が認められた。またセルユニット寿命は120日であり、比較例1よりは向上しているが、実施例1に比べて著しく短期間であった。
比較例3
厚さ5mmのアルミニウム板を用いて燃料電池のセパレータ基材を作製し、酸洗浄及び亜鉛浸漬処理からなる亜鉛置換処理の回数を3回としたこと以外、比較例1と同様にして金メッキ皮膜を形成した。得られた金メッキ皮膜は、比較例1と同様に、膜厚が0.5μmであり、分極電流は110μA/cm2であった。
金メッキ皮膜を形成したアルミニウムセパレータを、図1に示す順序で、高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4、集電体5,5及び緩衝層6,6とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。用いた高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4、集電体5,5及び緩衝層6,6は全て実施例1と同じであった。
この燃料電池用セルユニットの発電前後の出力電流を、実施例1と同じ条件で測定した。結果を図5に示す。本比較例では、発電開始時の出力電流は実施例1とほぼ同等であったが、100時間の発電後には出力電流の大きな低下が認められた。またセルユニット寿命は120日であり、比較例1よりは向上しているが、実施例1に比べて著しく短期間であった。
実施例2
厚さ5mmのアルミニウム板を燃料電池用セパレータ基材の形状にプレス加工した。実施例1と同じ処理工程を経て、アルミニウムセパレータ基材に膜厚が0.5μmで分極電流が6μA/cm2のAu皮膜を形成した。また厚さ0.2mmで、空孔率約80%の緩衝層6,6用カーボンクロスのセパレータとの接触面に、スパッタリング法により約0.1μmの厚さのAg皮膜を形成した。これらを図2に示すように、高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4及び集電体5,5とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。用いた高分子電解質膜2、カソード電極3及びアノード電極4及び集電体5,5は全て実施例1と同じであった。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図6に示す。本実施例及び実施例1の結果を比較すると、緩衝層6,6のセパレータとの接触面に導電性皮膜を形成することにより、発電開始時の出力電流が増加することが分かった。これは、導電性皮膜の形成により緩衝層6/セパレータ7間の接触電気抵抗が低減したためと考えられる。また100時間の発電の前後で出力電流の変化も小さかった。さらに本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が350日以上であり、実施例1よりさらに向上した。
実施例3
実施例2と同様にして、厚さ5mmのアルミニウム板から作製した燃料電池用セパレータの表面にAu皮膜を形成した。また0.2mmの厚さ及び約80%の空孔率を有する緩衝層6,6用カーボンクロスのセパレータとの接触面に、スパッタリング法により約0.1μmの厚さのAu皮膜を形成した。緩衝層6,6用にAu皮膜を形成した以外、全て実施例2と同様にして燃料電池用セルユニットを組み立てた。
この燃料電池用セルユニットの発電前後の出力電流を、実施例2と同じ条件で測定した。結果を図6に示す。本実施例では、開始時の出力電流は実施例2より向上し、緩衝層に被覆する導電性皮膜と、セパレータに被覆する導電性防食皮膜の金属を同種にした効果が認められた。また100時間の発電の前後で出力電流の変化も非常に小さかった。さらに本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が360日以上であり、実施例1よりさらに向上した。
実施例4
実施例1と同様にして、厚さ5mmのアルミニウム板から作製した燃料電池用セパレータの表面にAu皮膜を形成した。また厚さが0.2mmで空孔率が約80%のカーボンクロスを緩衝層とし、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)溶液に浸漬した後、280℃の温度で処理することにより、撥水性を付与した。緩衝層にPTFE皮膜を形成した以外、全て実施例1と同様にして燃料電池用セルユニットを組み立てた。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図7に示す。本実施例の結果から、100時間の発電前後での出力電流の変化が実施例1よりさらに小さく、緩衝層に撥水性皮膜を付与することによりセパレータの腐食がさらに抑制されることが分かった。また本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が350日以上であり、実施例1より耐久性がさらに向上した。
実施例5
実施例1と同様にして、厚さ5mmのアルミニウム板から作製した燃料電池用セパレータの表面にAu皮膜を形成した。250μmの厚さ及び約50%の空孔率を有するカーボンペーパーを集電体とし、セパレータと接する面のみにスパッタリング法で10μmの厚さを有するAg皮膜を形成した。スパッタリング条件は、20TorrのAr雰囲気、60℃の温度、2時間のスパッタリング時間、及び100WのRF powerであった。得られたAg皮膜の空孔率は20%であった。このように緩衝皮膜を形成した集電体を電極と熱結合させた以外は実施例1と同様にして、燃料電池用セルユニットを組み立てた。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図8に示す。集電体に緩衝皮膜を形成した本実施例においても、緩衝層を装着した実施例1と同様に、100時間の発電前後で電流変化が非常に小さく、セパレータの腐食が抑制されていることが分かった。また、本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が290日以上であり、実施例1とほぼ同程度であった。
実施例6
実施例1と同様にして、厚さ5mmのアルミニウム板から作製した燃料電池用セパレータの表面にAu皮膜を形成した。また250μmの厚さ及び約50%の空孔率を有するカーボンペーパーを電極と接する集電体とし、集電体のセパレータと接触する面にカーボンブラック粉末、ポリプロピレン及びトルエンからなるスラリーを塗布し、乾燥させた。得られた緩衝皮膜の厚さは15μmで、空孔率は40%であった。このように緩衝皮膜を被覆した集電体を電極と熱結合させた以外は実施例1と同様にして、燃料電池用セルユニットを組み立てた。
この燃料電池用セルユニットの出力電流を、60℃の温度及び0.65Vの電圧の条件で測定した。次いで100時間発電させた後、再度0.65Vの電圧における出力電流を測定した。結果を図8に示す。集電体に緩衝皮膜を形成した本実施例においても、緩衝層を装着した実施例1と同様に、100時間の発電前後で電流変化が非常に小さく、セパレータの腐食が抑制されていることが分かった。また本実施例のセルユニットはセルユニット寿命が280日以上であり、実施例1とほぼ同程度であった。
実施例7及び8
厚さ5mmのアルミニウム板を燃料電池用セパレータの形状にプレス加工し、エッチング処理前に表面研磨処理としてそれぞれ下記の条件で電解研磨(実施例7)及び化学研磨(実施例8)を行った以外、実施例1と同様にして導電性防食皮膜を形成した。
(1)電解研磨(実施例7)
220ml/Lの過塩素酸及び780ml/Lの無水酢酸を含有する電解研磨浴中に脱脂処理したセパレータ基材を浸漬した。セパレータ基材を陽極とし、白金板を陰極として、10μA/cm2の電流密度で5分間電解研磨処理を行い、水洗した後乾燥した。電解研磨したセパレータの表面粗さは0.08μmであった。このセパレータに実施例1と同様にAu導電性防食皮膜を形成した後の分極電流は4μA/cm2以下であった。
(2)化学研磨(実施例8)
75体積%の燐酸、20体積%の硝酸及び5体積%の水からなる化学研磨剤に、セパレータ基材を90℃で5分間浸漬し、水洗した後乾燥した。化学研磨したセパレータの表面粗さは0.08μmであった。このセパレータに実施例1と同様にAu導電性防食皮膜を形成した後の分極電流は4μA/cm2以下であった。
導電性防食皮膜を形成した各セパレータを高分子電解質膜2、カソード電極3、アノード電極4、集電体5,5、及び緩衝層6,6とともに組み立て、ボルトで締め付けてセルユニットを作製した。
各セルユニットの発電前後の出力電流を実施例1と同じ条件で測定した。結果を図9に示す。実施例7及び8では、発電開始時の出力電流は実施例1とほぼ同等であったが、100時間発電後の出力電流の低下は実施例1よりさらに抑えられていた。これから、セパレータ基材の表面粗さをある程度小さくすることにより、セパレータの耐腐食性が向上することが分かる。セルユニット寿命はそれぞれ実施例7が360日以上、実施例8が350日以上であり、実施例1より向上した。
産業上の利用の可能性
上記の通り、導電性、通気性及び柔軟性を有する緩衝層を金属製セパレータと集電体との間に装着し、かつ金属製セパレータの緩衝層との接触面に膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下である導電性防食皮膜を形成した本発明の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットは、低コストであるとともに、金属製セパレータの耐食性が大幅に改善され、燃料電池の発電性能を長期間維持できる。また緩衝層のセパレータとの接触面にも導電性皮膜を形成することによって、接触抵抗をより低下させて金属製セパレータの耐腐食性をさらに改善し、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の一実施態様による燃料電池のセルユニットの層構成を示す概略断面図であり、
図2は本発明の別の実施態様による燃料電池のセルユニットの層構成を示す概略断面図であり、
図3は本発明のさらに別の実施態様による燃料電池のセルユニットの層構成を示す概略断面図であり、
図4は従来の燃料電池のセルユニットの層構成例を示す概略断面図であり、
図5は実施例1及び比較例1〜3における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフであり、
図6は実施例1〜3における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフであり、
図7は実施例1及び4における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフであり、
図8は実施例1、5及び6における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフであり、
図9は実施例1、7及び8における発電前及び100時間発電後の発電性能を示すグラフである。
Claims (15)
- (a)高分子電解質膜と、(b)前記高分子電解質膜の両面にそれぞれ固定されたガス拡散が可能な一対の電極と、(c)前記電極の外側に接するように固定されたガス拡散可能な一対の多孔質導電性黒鉛製集電体と、(d)燃料ガス及び酸素含有ガスを別々に前記電極に導入する一対の金属製セパレータとを具備する固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記金属製セパレータと前記黒鉛製集電体との間に柔軟性及び通気性を有する多孔質導電性緩衝層を有し、かつ前記金属製セパレータの少なくとも前記多孔質導電性緩衝層と接する面に、膜厚が0.01〜10μmであって、電気化学的分極特性評価法で測定した分極電流が10μA/cm2以下である導電性防食皮膜が形成されていることを特徴とする固体高分子電解質型燃料電池のセルユニット。
- 請求項1に記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記緩衝層は、金属、カーボン又は導電性樹脂からなる導電性繊維の織布又は不織布、若しくは通気性を有する程度に気孔が連通した発泡シートからなることを特徴とするセルユニット。
- 請求項1又は2に記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、少なくとも前記金属製セパレータに接する前記緩衝層の面が、金属又は導電性樹脂により多孔性を阻害しない程度に被覆されていることを特徴とするセルユニット。
- 請求項3に記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記緩衝層の面を被覆する金属がAu、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ag、Ti、Cu、Pb、Ni、Cr、Co、Fe及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とするセルユニット。
- 請求項1又は2に記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記緩衝層は導電性繊維の織布又は不織布からなり、前記導電性繊維は金属又は導電性樹脂により被覆されていることを特徴とするセルユニット。
- 請求項5に記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記導電性繊維を被覆する金属がAu、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Ag、Ti、Cu、Pb、Ni、Cr、Co、Fe及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とするセルユニット。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記緩衝層が20〜90%の空孔率を有することを特徴とするセルユニット。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記緩衝層が0.05〜1.0mmの厚さを有することを特徴とするセルユニット。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記緩衝層が前記黒鉛製集電体の前記金属製セパレータとの接触面に形成された5〜50μmの厚さを有する緩衝皮膜であることを特徴とするセルユニット。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、少なくとも前記多孔質導電性緩衝層と接する前記金属製セパレータの面に形成された導電性防食皮膜が、Au、Pt、Ag、Pd、Rh、Ru、Ir、Ni、Cr及びこれらの合金からなる群から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とするセルユニット。
- 請求項10に記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記金属製セパレータの面に形成された前記導電性防食皮膜は、金属製セパレータ基材をエッチング処理した後、酸洗後に亜鉛浴に浸漬する亜鉛置換処理を4回以上繰り返してから、金属メッキ処理を行うことにより形成されたことを特徴とするセルユニット。
- 請求項11に記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記エッチング処理前の前記金属製セパレータ基材は、少なくとも前記導電性防食皮膜を形成する面における表面粗さが0.02〜0.3μmであることを特徴とするセルユニット。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記金属製セパレータ基材がアルミニウム又はその合金からなることを特徴とするセルユニット。
- 請求項13に記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記金属製セパレータ基材が99.9%以上の純度を有する高純度アルミニウムからなることを特徴とするセルユニット。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の固体高分子電解質型燃料電池のセルユニットにおいて、前記黒鉛製集電体が前記緩衝層を兼ねることを特徴とするセルユニット。
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