JP4073828B2 - 固体高分子形燃料電池及び燃料電池用セパレータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は燃料電池およびこれに使用されるセパレータに関し、特に固体高分子型燃料電池を対象とする。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池で使用されるセパレータ材料は、大きく分けて炭素系と金属系が存在する。炭素系は、例えば、緻密黒鉛材料を切削加工して流路やマニホールドを成型する。このため、材料費のみならず、加工のための費用が大きいという問題がある。
【0003】
これを解決するために、例えば、黒鉛に樹脂を混合し、加熱圧縮成型や射出成型の手段を用いてセパレータを完成する方法がある。この方法では成型が容易であるので前記の緻密黒鉛切削加工に比較すると、格段にコスト低減が可能となった。
【0004】
金属はセパレータに要求される機能の一つである反応ガス(燃料ガスと酸化剤ガスの総称)不透過性を満足し、熱伝導性や電気伝導性は金属の種類により大小の差があるが、一般に黒鉛より大きいものが多い。また、金属の持つ強度,靭性,延性は黒鉛材料より優れており、構造材としての機能や、被加工材としての機能においても秀れている。
【0005】
セパレータとして使用する金属が、一般商用の汎用金属であれば材料の入手が容易であり、かつ、材料費も安価である。そのため、黒鉛と樹脂とを混合して成型するセパレータより一層のコスト削減ができると期待されている。さらには板厚0.2mmといった極薄い金属を用いることができるため、燃料電池の質量や容積を低減できる効果もある。
【0006】
しかし、金属は炭素系材料にはない、腐食され易いという欠点を有している。白金や金などの貴金属を除くと、ほとんどの金属は腐食に対する危険性をもつ。
【0007】
固体高分子型燃料電池は温度70〜80℃前後で運転され、燃料極側のセパレータは、水素ガスの他に、二酸化炭素ガスと微量の一酸化炭素ガスが加湿成分の蒸気(水を含むことがある)の混合体に曝される。もう一方の空気極側セパレータは蒸気や水分を含む空気に曝される。
【0008】
普通、金属がステンレス鋼以上の耐食性を有していれば、このような環境下で腐食されることは無いが、電池特有の分極という現象がセパレータに課せられる。これは電極とセパレータとの間で電気的導通があるためで、電位の異なる材料が電気的に接触すると、電気化学反応の強さ(反応速度の速さ)や面積に応じて分極される。
【0009】
セパレータが分極し、分極した結果の電位が金属の活性態域や過不動態域にあたると、金属の腐食が速まり、セパレータと拡散層との接触抵抗が増大し、又は腐食生成物がイオンとなって電解質膜に捕捉され、その結果、イオン交換膜のイオン導電性を低下させることがある。
【0010】
セパレータが分極された時の電位が不動態域であった場合、腐食の発生は非常に少ないが、不働態皮膜が成長する。通常の不働態皮膜は水酸化物を出発材としてオキシ水酸化物、酸化物等で構成されている。これら化合物の殆どは電気伝導性に乏しいため、金属セパレータの不働態皮膜が厚く成長するに従って、電気抵抗が増大し、電池性能の劣化につながる。金属の耐食性は、不働態皮膜によって維持されるが、これが却って電池性能劣化を引き起こす原因ともなっている。
【0011】
この他、セパレータに電流が流れることによっても酸化皮膜の成長や腐食が発生することがある。特に、セパレータ/ガス拡散層における接触抵抗が大きい場合に顕著で、また、アノード側のセパレータで特にこの現象が発現し易い。この現象は一種の迷走電流腐食(電食)やガルバニック腐食に似た現象で、高電流密度ほど腐食が大きくなる。
【0012】
このように金属をセパレータとして用いた場合、電気抵抗が増大する、あるいは、腐食されるという背景から、金属セパレータを用いた場合の高抵抗化防止や腐食防止に関する発明が数多く提案されている。
【0013】
上記の課題を解決する手段の一例として、特許文献1はメタル基材の電極と接触する凸部に相当する部位に、導電性を有し、耐食性に優れた被覆層を設け、その他の部位は耐食性に優れ、金属との密着強度が高い樹脂で被覆した技術を開示する。特許文献2に記載されているセパレータはガス拡散電極と接触する表面部分にカーボン拡散層を介してカーボン層が形成され、残りの表面部分に不働態皮膜を形成したステンレス鋼板を基材として、低接触抵抗性と高耐食性を両立させている。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−243408号公報(要約)
【特許文献2】
特開2001−307747号公報(要約)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記の発明は、主として金属の表面に被覆層を形成して耐食性の向上を図ったもので、これらは金属の耐食性を確実に向上させ、金属単体で使用したときよりも、電池の発電寿命を延長させることが可能であった。しかし、高耐食化ができるものであっても、効果の持続性が足りないことがある。例えば、一般に要求されている電池の寿命は、車載用では5000時間以上、家庭用あるいは分散電源用では40,000〜90,000時間とされていることを考えると、十分な耐食性を付与する必要があり、寿命延長が金属を用いた場合の大きな課題となっている。
【0016】
本発明の目的は、耐食性に優れ、燃料電池の内部抵抗を増大しないセパレータ及びそれを用いた燃料電池を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に置いては、導電性が高く(耐食性に優れる)、低コストで、かつ、長寿命性に優れるセパレータとして、セパレータの基材となる金属が外層/中間層/外層などで代表される多層金属層からなり、外層は金属の中でも特に耐食性に優れる金属を薄く張り合わせた材料を用いる。例えばこのような材料として、鉄や銅、アルミニウムなどの耐食性は劣るが、比較的安価な材料の表面にチタンなどの耐食性に優れる材料が溶着、めっき、圧延クラッドなどの手段で被覆されたものが挙げられる。チタンなどは汎用金属の中では高価な材料に分類されるものの、多層金属板においては被覆量が少ないため、材料費の高騰を抑えることが可能である。
【0018】
反応ガス(ここでは燃料ガスと酸化剤ガスを総称して反応ガスと呼ぶことにする)を流通させるための流路を形成する方法としてプレス加工に代表される塑性加工を選んだ場合、加工性は下地の金属に依存する。そのため、上記多層金属板を用いると、下地金属の耐食性を考慮せずに、加工性に優れる材料を任意に選択できる利点を有する。セパレータの主な機能は隣り合うセル間の反応ガスを遮蔽すること、隣接するセルに電気エネルギーを損失無く伝えること、反応ガスを効率良く電極へ供給することである。
【0019】
これと同時に、酸素の還元反応で生成する水分、反応ガスが発電のために消費された結果発生する余剰な加湿水分を、蓄積することなく系外に排出することも重要である。水分がうまく系外に吐き出されずにセル内に滞留すると、水が滞留した下流側ではガス不足となったり、各チャンネル間、各セル間のガス流配が不均一となったりして、出力低下を招くだけでなく、電極劣化を引き起こす要因ともなる。
【0020】
セパレータが金属の場合は導電面(セパレータがガス拡散層など隣り合う部材と接触して電流を通す部位)のみならず、滞留した水分を介してセパレータの溝部や、電池を構成する集電板、端板、継ぎ手でも腐食が発生することもある。したがって、長時間、安定にセパレータの機能を維持するためには、セル内の水分の排水性も考慮する必要がある。本発明の実施形態によれば、セパレータの耐食性を向上させると同時に、排水性の向上も図った。更にはセパレータ基板としてクラッド等の多層金属を用い、これをプレス加工すると、外層の耐食金属に挟まれている中間の金属層がマニホールド等で露出する部分が発生する。中間の金属層に鉄や銅などの低耐食金属を選ぶと、マニホールドの端面から金属が溶出するといった問題もある。
【0021】
不純物カチオンが電池内に存在すると、電解質膜中のプロトンが不純物カチオンで置換され、イオン移動度が低くなり、電解質膜の抵抗上昇に繋がる。また、ある種のカチオンは電解質の分解を加速する働きがあり、不純物を極力排除することが肝心である。本発明は耐食性に劣る多層金属の中間層が露出しない構成とし、マニホールド端面からの金属溶出の抑制を図った。
【0022】
多層金属のもう一つの課題として、これをプレス成型すると外層の金属層がコーナー部で割れ、微小なクラックが発生することがある。この状態のまま、燃料電池セパレータとして使用すると、微小クラックを介して中間層の金属成分が溶出する。本発明は、たとえ外層の金属層にクラック等が発生しても、中間層の金属成分が溶出しないようにしたものである。
【0023】
以上述べたように、本発明は、主に多層金属をセパレータとして使用した場合に、次の問題を解決する手段を提供するものである。
腐食あるいは不働態皮膜の成長による導電性の低下。
水分の滞留による出力低下。
(3)マニホールド端面からの中間金属の溶出。
(4)外層金属のクラックによる中間金属の溶出。
【0024】
上記課題を解決するため、本発明は、イオン導電性を有する電解質と、該電解質を挟持する一対の電極部と、燃料ガス及び酸化剤ガスを前記一対の電極部のそれぞれに別個に供給するセパレータとを有し、上記セパレータは少なくとも最外層が耐食性金属で構成された多層金属板と実質的にその金属板の全表面を被覆する耐食性皮膜からなり、上記セパレータは集電極と電気的に接する導電面と、上記燃料ガス及び酸化剤ガスを輸送する通路を構成する流通面とを有し、少なくとも上記導電面の皮膜は導電性を有する燃料電池を提供する。
【0025】
また、本発明は上記導電面を構成する皮膜は、導電材と樹脂との複合物、導電性樹脂、金属、導電性セラミクス及び炭素の群から選ばれる1種類以上の材料で被覆され、かつ、上記流通面は無機物及び樹脂から選ばれる1種類以上の材料である燃料電池を提供する。
【0026】
本発明の1つの態様は、イオン導電性を有する電解質と、該電解質を挟持する一対の電極部と、燃料ガス及び酸化剤ガスを前記一対の電極部のそれぞれに供給する機能あるいは冷却水を通水して電池を冷却する機能を有する金属製のセパレータであって、かつ、前記セパレータは、導電面とそれ以外の面で構成される燃料電池であり、前記セパレータは2層以上の金属で構成される多層金属からなり、前記セパレータの導電面は導電材を含む樹脂との複合物、導電性樹脂、金属、導電性セラミクス及び炭素の中から選ばれる1種類以上の材料で被覆され、かつ前記導電面を除く一部あるいは全面が無機物及び樹脂から選ばれる1種類以上の導電性被覆層で構成されている燃料電池用セパレータとする。これにより、導電面の他、溝部、マニホールド端部等の耐食性が維持される。しかも、多層金属層にクラックが発生した場合であってもクラックを介しての金属溶出を防止できる。
【0027】
本発明におけるセパレータの基本的な特徴は以下のとおりである。
基板となる多層金属板の最外層は、耐食性金属であること。この多層金属板の加工性を確保するため、内層は加工性の良い材料例えば銅、アルミニウムなどを用いるのがよいこと。
上記多層金属板を成形加工して、集電極と電気的に接触する導電面と、反応ガス及び水分の通路を構成する流通面とを形成する。これらの面はいずれも耐食性の被覆であるが、多層金属板の成形加工の際に、上記耐食性の最外層にクラックが生じた場合に、内層を保護するため、耐食性の皮膜で、多層金属板の前面を被覆する。これにより、多層金属板にマニホールドの穴あけ加工等をした場合に、内層が露出して腐食するのを防止する。上記被覆の少なくとも導電面は導電性を有する。
【0028】
他の態様は前記多層金属の最外表面がチタン、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、タングステン、クロム、アルミニウム、金、白金、ルテニウム、パラジウムあるいはこれら金属を主成分とする合金、あるいはステンレス鋼の中から選ばれる金属とすることにより、導電面およびその他の部位の被覆層にピンホールやクラック等の欠陥があっても中間層の金属を腐食から守ることが可能となる。
【0029】
更に他の態様は前記導電性被覆層が樹脂バインダと炭素からなる導電材との混合物であり、前記バインダがフッ素系樹脂で構成され、前記導電材を炭素としたもので、また、前記導電面を除く面がフッ素系樹脂であることにより、導電面の高い導電性と強い防食作用が得られる。また、更に他の態様は絶縁性被覆層の少なくとも最外表面が親水性あるいは撥水性のいずれかの性質を有するセパレータとすることで水分の排水性を向上させることが可能となる。
【0030】
また、他の態様は前述の態様に記載のセパレータを用いた固体高分子形燃料電池であり、腐食あるいは不働態皮膜の成長による導電性の低下、水分の滞留による出力低下、マニホールド端面からの中間金属の溶出、外層金属のクラックによる中間金属の溶出に対する課題を解決できる燃料電池とすることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の1つの態様を以下、図を用いて説明する。図1は第1の態様を示すセパレータ1の鳥瞰図を示す。ただし、理解を助けるために、セパレータ1の表裏面に面するガスケット5も併記した。図に示したセパレータ1は基板が外層/中間層/外層の構成を有する多層金属基板11であり、これを周囲が平坦で、中央部を押出しプレス成型して流路を形成したものである。平坦部2はガスケット5を面接触するために必要な部位で、流路部3はセパレータの表裏に反応ガス(燃料ガスと酸化剤ガスの総称)や冷却水を流通させるための凹凸状の溝である。さらに反応ガスおよび冷却水の出入り口となるマニホールド4が形成されている。セパレータ1の表裏面は平坦部2においてそれぞれ2枚のガスケット5が密着され、ガスケット付きセパレータ101を構成する。
【0032】
実際の電池において、本実施例によるセパレータ1を使用する場合は、ガス拡散層6やMEA(Membrane Electrode Assembly、膜―電極接合体)7等と組み合わせた電池とする。図2は本実施例によるセパレータを用いた電池構成の一例を示す。ガスケット5を張り合わせたセパレータ101は2種類で構成されている。両面に反応ガスを流通させるガスケット付きセパレータ101は101Aの符合で表し、片面が反応ガス用、反対面が冷却水用を101Bの符合で表わした。ガスケット付きセパレータ101Aあるいは101Bのガス流通面側には、ガス拡散層6/MEA7/ガス拡散層6がそれぞれ挟持されており、一つのセルを形成する。その他、集電板8、絶縁板9および端板10を用いて燃料電池を形成する。
【0033】
図1に示したセパレータ1は、隣り合う部材であるガス拡散層6とセパレータ1の凸面の頂点で接している。したがって、セパレータ1の凸面頂点は導電性を有している必要がある。それ以外の面は電気の導通に無関係であるため、導電性を必要とせず、絶縁層であっても構わないし、導電性であってもよい。
【0034】
図3は図1に示したセパレータ1のA−A‘における断面を模式的に示した図である。セパレータ1は隣り合う部材と接する面(導電面)に導電性を有する第1の被覆層12を設け、その他の面を前記被覆層とは異なる材料で構成される第2の被覆層13で構成されている。図4は同じくB−B’における断面を模式的に示した図である。
【0035】
このような構成とすることにより、多層金属基板11が第2の被覆層13により保護されるため、多層金属基板11の中間層における腐食を抑制することができる。特に図2に示すように、連通するマニホールド4での中間層の露出部がなくなるため、金属イオンの溶出が少なくなり、MEA7の電極や電解質膜の劣化を最小限に抑えられる効果を有する。
【0036】
第1の被覆層12は電気エネルギーを隣り合うセルに連絡すること、かつ、下地の多層金属基板11を保護する役目を果たすため、導電材を含む樹脂との複合物、導電性樹脂、金属、導電性セラミクス及び炭素の中から選ばれる少なくとも1種類の層あるいは前記材料の混合物からなる導電性材料が適当である。第2の被覆層は電気の導通に全く寄与しないため、専ら多層金属基板を保護する効果があればよい。もっとも、製造工程の簡略化、すなわちコスト低減のため、全体を導電性の耐食性皮膜で被覆しても良い。
そのため、導電性を必要としない汎用的な無機物や樹脂が適当である。第1の被覆層12は上記二つの役割を果たすことを必要とし、この結果、導電性と保護性を同時に高めるには材料や被覆プロセスに制限が加わり、コストアップとなることがある。一方、第2の被覆層13は広範な材料群から適度な材料を選ぶことができる自由度が増し、低コスト材料を選ぶことが可能である。このように、セパレータ1の凸部頂点のみに最低限必要な高価な材料を使用し、その他は汎用材料を適用できることから経済性の観点からも効果がある。
【0037】
本発明の他の態様を説明する。多層金属基板11は外層金属の種類によっては最初に述べた態様では充分な長期安定性が得られないことがある。これは第1の被覆層12ならびに第2の被覆層13にクラックやピンホールが多少なりとも存在するからである。被覆層の厚みを充分厚くすればピンホール等を低減することは可能であるが、導電性の低下を招いたり、電池が大型化したり、コストアップしたり、必ずしも好ましい対策とはいえない。また、樹脂を含むような被覆層では完全に水分を遮断することは不可能である。
【0038】
多層金属基板11の外層がニッケルなど、充分な耐食性を有していない場合は顕著な腐食が発生し、電池を劣化させる原因となる。したがって外層として選ぶ金属はある程度の耐食性を有していることが好ましい。なかでもチタン、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、タングステンは高耐食な金属であると同時に、腐食生成物の放出量が他の金属に比べ極めて少ない。これは腐食生成物が酸化皮膜として表面に留まる性質を有するためである。したがって、電極や電解質膜に及ぼす悪影響は小さく、燃料電池では好ましい金属である。
【0039】
アルミニウムは前記金属に比較すると耐食性に乏しいが、腐食してもアルマイトと同質の皮膜が生成するため、腐食生成物の放出量は比較的少ない。クロムは広い電位域にわたって、安定な不動態域を形成し、耐食性がある。金、白金、ルテニウム、パラジウム等は貴金属に分類され、非常に高い耐食性能を有する。このような金属を多層金属基板11の外層に選ぶことにより、被覆層が充分な保護作用を有していなくても、長寿命なセパレータが期待できる。
【0040】
次に他の態様によるセパレータを説明する。第1の被覆層12および第2の被覆層13に用いる各材料を選ぶことによって、下地の多層金属基板11の保護性を強化することができる。例えば第2の被覆層13として無機系の被覆層を選ぶ場合、代表的プロセスとして、めっきや化成処理などの湿式プロセス、イオンプレーティングや蒸着などの乾式プロセスがある。これら処理による被覆層の多くはポーラスであることが多く、未処理材に比較すると下地金属の保護作用効果はあってもその持続効果が乏しいこともある。
【0041】
有機系の場合、ディッピング、スプレー、カーテンコート、電着など、連続処理向きな材料およびプロセスが豊富で、しかも経済性の観点からも有効である。しかし、全ての有機材料や被覆層形成プロセスが適用できるわけでなく、燃料電池の水分、蒸気環境下における耐水性、耐熱性、場合によっては耐薬品性に優れた物を選ぶ必要がある。温度70℃の純水中において、炭素鋼(SS400)上に約50μmの厚みでディップコートした試験片の腐食速度を測定した結果、最も効果的な材料はPVDF(ポリフッ化ビニリデン)などに代表されるフッ素系の樹脂を被覆層としたものであった。これはフッ素系樹脂が水蒸気や水分を遮断する能力が高いためである。
【0042】
同じことが第1の被覆層にもいえ、フッ素樹脂系をバインダとした炭素フィラー入り導電性塗料が最も防食効果が高かった。また、第1の被覆層12と第2の被覆層13とをそれぞれ、フッ素樹脂系バインダによる導電性塗料およびフッ素樹脂系とすることで、第1の被覆層12と第2の被覆層13との界面の親和性が向上し、その結果、界面の密着力も強く、界面からの水分等の浸入が無く、長時間にわたり安定な被覆層を形成できる。
【0043】
次に本発明の第4の態様を説明する。燃料電池に適当な負荷をかけ、電流を流すと、燃料となる水素ガスはアノード電極で酸化され、プロトンが生成する。このプロトンは電解質膜を介してカソード極に到達し、酸化剤ガスである酸素と反応して水に変化する。この結果、カソード側では反応量に応じた水分が発生する。アノードにおいても加湿水やカソードからの逆拡散水のために水分が存在する。水分がセパレータの流路溝に滞留すると、反応ガスは滞留した水のために下流側への供給が妨げられ、燃料不足の部位が発生する。
【0044】
その結果、出力低下や、ひいては電極の劣化を引き起こすこともある。水分を速やかに排出するためには、通常、ある適度な流速で反応ガスを流し、ガス流れの勢いで系外に排出する。しかし、流速をあげると、ガス流れの圧力損失が大きくなってガスを送り込むためのエネルギー損失に繋がる。このため、無闇に流速を上げることは好ましくない。
【0045】
流路溝への水分の滞留度合いは流路溝の粗さなどの表面性状や流路断面形状、サイズに大きく依存する。中でも表面の親水性、撥水性によるところが大きい。表面が親水性であるほど、あるいは逆に撥水性であるほど溝部の水分は排出され易くなる。親水性あるいは撥水性の指標に通常、接触角度が用いられ、接触角度が90度前後で最も水の流れが悪くなる。したがって第2の被覆層13に親水性か撥水性に富む材料を選定すれば、溝に滞留する水を、ガス流速の増加を伴わずに排出できる。
【0046】
親水性を得るためには被覆層の外表面における分子構造に、水との親和性が強い(水素結合を生じやすい)OH基、NH基類、あるいはカルボニル基などのイオン解離性を有する材料を選ぶのがよい。具体的にはポリビニルアルコール、ポリカーボネートなどが挙げられる。金属の酸化皮膜も外表面はOH基等で構成されるため、多層金属基板11の外層の酸化物や水酸化物、あるいはオキシ水酸化物皮膜を成長させても良い。撥水材料は逆に水との親和性に劣るF基などが優れる。
【0047】
他の効果として、多層金属基板11に割れがあった場合にも本発明は効果的に対処できる。多層金属基板11を押出しプレス成型すると、特異的な部位が選択的に割れることがある。特に基板が延ばされるコーナー部での割れの発生が多い。図3の符合Rで示した部位がその例である。この部位は第1の被覆層12あるいは第2の被覆層13により完全に被覆されているため、多層金属基板11の外層の金属に割れがあっても、中間層の腐食を効果的に抑えることができる。
【0048】
(実施例1)
本発明の具体的実施例について、図5を用いて説明する。図5はセパレータ1を製作する流れについて図1に示したA−A‘断面を代表的に示した図である。多層金属基板11は中間層にステンレス鋼(SUS304)と銅(C1100)、外層にチタン(TP270)およびニッケル(Nickel200)を例にして示す。コイル状薄板のステンレス鋼あるいは銅の両側に薄層のチタンあるいはニッケルを冷間圧延でクラッド化してコイル状のセパレータ基板をつくることができる。ここで用いたセパレータ基板の仕上がり厚みは0.2mmとした。
【0049】
クラッド化した後のセパレータ基板は加工硬化しているため400〜800℃の間で焼鈍し、その後のプレス加工に適した性状の板材とする。流路溝を形成するために張り出しプレス機で、周囲が平坦部、中央部の両面に凹凸形状を有するセパレータに加工する。これと同時に打ち抜きも行い、マニホールド4を形成する。これにより図1に示したセパレータ1と同等の形状のものを製作することができる(図5(a))。
【0050】
ただし、中間層の材質によりプレス成型後の仕上がり精度が異なる。中間層に銅を選んだ多層金属基板(外層はチタン)は反りが小さく、平面度は1/100程度であった。中間層にステンレス鋼を選んだものは反りが銅より大きい、3/100前後であった。仕上がり精度は中間層に大きく依存し、弾性係数の小さい金属、伸びの大きな金属ほど仕上がり精度が高い。したがって精度を高める必要がある場合は銅やアルミニウムなどの金属が好適である。ただし、以下で述べるように、被覆層の防食性能が小さい場合はマニホールド4で中間層が露出する部位での腐食が発生することもあり、中間層の耐食性と被覆層の防食性を勘案して材料を選定する必要がある。
【0051】
次に、加工後のセパレータに被覆層を形成する手法を説明する。被覆層を形成するに先立ち、加工後のセパレータの表面状態に応じて、酸化膜を除去するためのブラスト処理、あるいは研磨、酸洗を行う。ついでアルカリや有機溶剤による脱脂処理を施す。その後、まず、第2の被覆層13をセパレータ全面に形成する。ここでは一例としてPVDFの被覆層を形成する。NMP(N−メチル−2−ピロリドン)に溶解したPVDFの溶液にセパレータを浸漬し、適当な引き上げ速度でPVDF溶液から引き上げ、セパレータ全面にPVDFを被覆する。これを140℃で、30min以上乾燥し、PVDFによる第2の被覆層を形成する(図5(b))。
【0052】
膜厚はPVDF溶液の濃度と引き上げ速度を制御することにより任意の膜厚を形成することができる。好ましくは膜厚を5μm以上とすることで下地の金属を保護する効果が得られる。
【0053】
次いで第1の被覆層を形成する。セパレータの凸部頂点は導電性の無いPVDFにより被覆されているので、これを除去する。平面研磨、ブラシ研磨等の手段で、下地の金属層が露出するまで研削する(図5(c))。第1の被覆層の材料となる材料はここではPVDFをバインダとする炭素塗料を選んだ。金属セパレータの中で最も腐食が激しい箇所は電流が流れる第1の被覆層にあたる部位であるため、特に第1の被覆層12に用いる材料を吟味する必要がある。
【0054】
PVDFをバインダとする導電性塗料は他の各種表面処理手段に比較して材料コスト、処理プロセス等の経済性の点で優れ、かつ、防食効果も大きい。この防食効果は膜厚と導電性塗料に含まれる導電材量の割合に依存することが各種試験の結果から明らかになった。ここでは防食効果の大きかった例として膜厚10μm、乾燥後の第1の被覆層12中に含まれる導電材の割合が50wt%の被覆層とした。導電材は球状黒鉛、燐片状黒鉛およびカーボンブラックからなる炭素系材料の混合物を選んだ。PVDFと炭素系材料とを溶剤のNMPに溶かし、ロールを用いて分散化して導電性塗料として仕上げた。
【0055】
上記で述べた導電性塗料を仕上がり膜厚が10μmとなるようなスクリーンを用いて先の金属セパレータ上に塗布する。このとき第2の被覆層と重なるように金属の露出部に塗布する。これによって完全に裸の金属部位が無くなる。その後、140〜230℃の温度範囲で30分以上乾燥する。これによって第1の被覆層12が形成され、セパレータ1が完成する(図5(d))。
【0056】
ガスケット5は平板あるいはシート状の弾性体を打ち抜き加工により製作する。材料は耐熱性、耐水性ならびに耐クリープ性に優れるシリコンゴム、EPDM(エチレンプロピレンゴム)などが好適である。ガスケット5は弾性体でなくとも、PPS(ポリフェニレンサルファイド)のような硬い材料を用いることも可能である。ただし、シール効果が小さいので、セパレータ1とガスケット5の間には液状ガスケット等を用いて密着させる必要がある。以上によりガスケット付きセパレータ101が得られる。
【0057】
上記で用いた材料は本実施例を説明するための一例であって、これに限定するものではない。また、セパレータのマニホールドや流路構造、ガスケット構造、電池構成も一例であり、これに限定するものではない。また、多層金属基板11を製作するプロセス、第1の被覆層12および第2の被覆層13を形成するプロセスも各種存在し、必要に応じて適当な手段を選ぶことができる。
【0058】
(実施例2)
本実施例によるセパレータ1の耐食性を調べるため、70℃、0.5M硫酸水溶液中における浸漬試験を行った。耐食性は50h後の硫酸水溶液中に含まれる溶出金属濃度をICP(Inductively Coupled Plasma Automatic Emission Spectrometer 誘導結合プラズマ発光分析)で定量し、これを各材料で比較した。表1はその結果を示す。No.1からNo.6まで、いずれの試験でも多少の金属成分が溶出している。したがってPVDF系の被覆層でも完全に下地の金属を保護できているとはいえないが、ステンレス単層の場合での同じ試験では溶出金属濃度がppmオーダーを超えることを考えると、多大な効果がある。その中でもNo.6で示す外層がチタン、中間層がステンレス鋼の多層金属基板で、かつ、被覆層がPVDF系で最も金属溶出量が小さくなっている。外表面をチタン、中間層にステンレス鋼とすることで、被覆層の不完全性を補っているといえる。
【0059】
【表1】
Figure 0004073828
【0060】
外層がニッケルの場合は被覆層を介して多層金属基板11の表面に達した硫酸水溶液がニッケルを侵し、その結果Niイオンとなって試験溶液中に溶け出したと考えられる。一方、チタンの場合は、試験溶液が多層金属基板11に達すところまでは同じであるが、チタンが耐食性に優れていること、腐食生成物が酸化皮膜として金属表面に留まるという特徴のため、試験溶液へのチタンの溶出が無い。
【0061】
これらの結果から、チタンの様に腐食生成物を系外放出しない金属を使用することは有効である。チタンの他にはニオブ、ジルコニウム、タンタル、タングステン等がある。アルミニウムはこれら金属に比べると耐食性に乏しいが、同様の効果が中性溶液中(純水等でアグレッシブアニオンを含まない場合)で期待できるため、外層金属としても中間層としても有効である。
【0062】
(実施例3)
第2の被覆層13の材質を変えたときのセパレータ内に滞留する水の排出性について比較する。多層金属基板11は実施例1で述べたものと同じ、チタン/ステンレス鋼/チタンを選んだ。
(i)撥水性の表面は被覆層としてPVDF系樹脂を選ぶことで撥水性を得る。
(ii)親水性については前記多層金属基板の外表面はTiO2の酸化皮膜で覆われているため、これにUV照射してそのまま用いることで親水性を得る。
(iii)親水性と撥水性の中間的な材料としてフェノール系樹脂を被覆層に選んだ。
【0063】
以上の3種類のセパレータを用い、流路溝の液滴の排出性を観察した。ここでは液滴の流れ具合を観察するため、(i)と(ii)については図4の状態で試験した。セパレータの片面に透明なアクリル板を密着させ、入口から水蒸気飽和となった70℃の窒素ガスを流した。セパレータは室温に置かれているので水蒸気がセパレータ上で凝縮する。
【0064】
凝縮した水分がどの程度の流速で完全に滞留することなく系外に排出されるかを調べたところ、(ii)の親水性の表面が最も低い流速(約2.1m/s)で水分による流路溝の閉塞が解消された。次いで(i)の撥水性の表面が約1.5m/秒、そして中間的な性質の(iii)が約3.2m/秒で閉塞がなくなった。したがって流路溝の性状が親水性であるか撥水性であるか、いずれか一方の性質を有することにより水分を速やかに排出させることができる。ただし、(ii)は時間と共に親水作用が低下したため、持続的な効果を得るためには第3の態様で説明した他の親水化手段が適当である。
【0065】
以上の様に被覆層を第1の被覆層12と第2の被覆層13とで別材料を選択できるため、流路部3の溝内部だけに撥水性あるいは親水性を付与し、導電面には導電性と防食性に優れた材料をそれぞれ独自に適用が可能となる。そのため、それぞれの部位や機能に応じて最適な材料を使用することができ、電池性能向上を図ることができる。
【0066】
(実施例4)
本実施例では実際の電池として使用する構成について説明する。また実施例1によるセパレータの効果を調べるために、実セルによる発電寿命試験を用いて効果を比較する。本実施例のセパレータ1として多層金属基板11は外層がチタン、中間層がステンレス鋼を選び、被覆層を次の4種類とした。
(iv)第1の被覆層12はPVDFバインダと炭素による導電性塗料、第2の被覆層はPVDF。
(v)PVDFバインダと炭素による導電性塗料単層。
(vi)第1の被覆層12はフェノール樹脂バインダと炭素による導電性塗料、第2の被覆層はフェノール樹脂。
(vii)第1の被覆層12はPVDFバインダと炭素による導電性塗料である。第2の被覆層なし。
(viii)被覆層なし(比較例)。
【0067】
図6は上記セパレータ1を用いた単セル構成を示す。同種のセパレータ1組を用いてMEA7と2枚のガス拡散層6を挟持し、さらに集電板8と端板10で挟み込んで単セルとしている。端板10に設けた一方の入口から燃料ガスを供給し、もう一方の端板側から酸化剤ガスを送気すると、集電板8間に起電力が生じる。この集電板8間に任意の負荷を与えると、負荷の大きさに応じて電流が流れる。
【0068】
図7は燃料ガスに純水素、酸化剤ガスに空気を用いたときの上記セパレータを用いた単セルの発電寿命試験の結果である。各種試験条件は次のとおりである。
セル温度:70℃、燃料ガス加湿温度:70℃、酸化剤ガス加湿温度:70℃、水素利用率:80%、酸素利用率:40%、負荷電流密度:0.25A/cm2である。
【0069】
被覆層の無い(viii)は発電開始と共に急激に電圧が減少した。その他の(iv)、(v)及び(vii)は約1000h程度まで単調に減少した後、2000hまでに、ほぼ一定の電圧を示す。ただし、被覆層がフェノール系樹脂の(v)は電圧の低下が大きい。最も安定で高い出力を示すセルは(iv)の被覆層がPVDF系樹脂である。同じPVDF系の被覆層であっても第2の被覆層がない(vi)は電圧の低下が(iv)と(v)に比べると大きい。
【0070】
これはマニホールド4における多層金属基板11の端面(中間層)が露出しており、ここで発生した腐食生成物が電極や電解質膜の劣化を引き起こしたと考えられる。本セルを解体したMEA中をICPならびにSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometer、二次イオン質量分析装置)で分析すると、電解質膜や電極に金属成分が存在していた。以上の結果から多層金属基板11に第1の被覆層および第2の被覆層を形成することにより、電池の寿命を延伸させることが可能である。
【0071】
(vii)は全面が導電性塗料により被覆されているものの、防食性能は導電材としての炭素が含まれているため、バインダと炭素界面における隙間が形成される可能性があり、PVDF単体に比べると耐食性に劣ることが原因と考えられる。その結果、マニホールド4端面における中間金属の溶出を完全に保護できないために、(iv)や(v)に比較すると電圧低下が大きくなった原因であると予想される。
【0072】
以上で述べた実施例は主に発電側のセパレータについて説明したが、冷却水を流すセパレータについても同様の考えを適用可能である。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、(1)腐食あるいは不働態皮膜の成長による導電性の低下(2)水分の滞留による出力低下、(3)マニホールド端面からの中間金属の溶出、(4)外層金属のクラックによる中間金属の溶出を同時に解決でき、長期にわたり安定な燃料電池及び燃料電池用セパレータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の態様を示すセパレータの展開斜視図。
【図2】本発明のセパレータを用いた燃料電池の展開斜視図。
【図3】図1に示したセパレータのA−A‘における断面図。
【図4】図1に示したセパレータのB−B‘における断面図。
【図5】セパレータの製作法を示すフロー図。
【図6】実施例4のセパレータを用いた単セル構成を示す断面図。
【図7】実施例4のセパレータを用いた単セル発電寿命試験の結果を示す図。
【符号の説明】
1…セパレータ、2…平坦部、3…流通部、4…マニホールド、5…ガスケット、6…ガス拡散層、7…MEA、8…集電板、9…絶縁板、10…端板、11…多層金属基板、12…第1の被覆層、13…第2の被覆層、101…ガスケットつきセパレータ。

Claims (8)

  1. 外層を耐食性金属で構成された多層金属板を含み、燃料電池の集電極と電気的に接する導電面と、燃料ガス及び酸化剤ガスを輸送する通路を構成する流通面とを有し、燃料ガス及び酸化剤ガスを各セルに分配するためのマニホールドとを有し、該導電面の最外層は導電性を有する耐食性皮膜で被覆し、該流通面および該マニホールド端面を含む、該導電面以外の表面は、導電性を有しない耐食性皮膜で被覆したことを特徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 前記導電面は、導電材と樹脂との複合物、導電性樹脂、金属、導電性セラミクス及び炭素の群から選ばれる1種類以上の材料で被覆され、かつ、上記流通面は無機物及び樹脂から選ばれる1種類以上の材料で被覆されていることを特徴とする請求項記載の燃料電池用セパレータ。
  3. 前記多層金属板の最外表面がチタン、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、タングステン、クロム、アルミニウム、金、白金、ルテニウム、パラジウム、これら金属を主成分とする合金及びステンレス鋼の中から選ばれる金属であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータ。
  4. 前記導電面を被覆する前記導電性を有する耐食性皮膜がフッ素系樹脂バインダと炭素とを含む混合物であり、かつ前記導電面以外の表面を被覆する前記導電性を有しない耐食性皮膜がフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  5. 前記導電性を有する耐食性皮膜および前記導電性を有しない耐食性皮膜の少なくとも最外表面が親水性あるいは撥水性であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の燃料電池用セパレータ。
  6. イオン導電性を有する電解質と、該電解質を挟持する一対の電極部と、燃料ガス及び酸化剤ガスを前記一対の電極部のそれぞれに別個に供給する請求項1〜のいずれかに記載の燃料電池用セパレータとを有することを特徴とする燃料電池。
  7. 中間層および外層を含む多層金属板に凹凸形状を形成する工程と、該多層金属板にマニホールドを形成する工程と、該多層金属板に耐食性皮膜を被覆する工程と、該耐食性皮膜のうち、燃料電池の集電極と電気的に接する導電面を被覆した耐食性皮膜部を除去する工程と、この耐食性皮膜部が除去された該導電面に導電性を有する耐食性皮膜を被覆する工程と含むことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
  8. 中間層および外層を含む前記多層金属板に凹凸形状を形成する工程が、プレス成型により前記多層金属板に凹凸形状を形成する工程であることを特徴とする請求項記載の燃料電池用セパレータの製造方法。
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