JPWO2003055934A1 - ポリケトン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、高分子量で繊維にした際に超高強度の発現が可能であり、優れた熱安定性および耐薬品性を有し、長期保管時の品質の安定性、高温下、湿熱下での加工性、無機塩溶剤中でのドープの安定性に優れるポリケトンおよびその製造方法に関する。
背景技術
一酸化炭素由来の繰り返し単位とエチレン性不飽和化合物由来の繰り返し単位が実質的に交互に連結した構造を有するポリケトンは、機械的性質及び熱的性質に優れ、耐摩耗性、耐薬品性、ガスバリア性も高く、さまざまな分野への展開が期待される。例えば、ポリケトンは高強度、高耐熱性の樹脂や繊維、フィルムとして有用な材料である。特に極限粘度が2.5dl/gd以上の高分子量のポリケトンを原料として用いると、極めて高い強度、弾性率を有する繊維やフィルムを得ることが可能となる。このような繊維やフィルムは、ベルト、ホースやタイヤコード等のゴム補強材や、コンクリート補強材等、建築材料や産業資材用途での広範な活用が期待される。
エチレンと一酸化炭素からなる繰り返し単位を主体とするポリケトンは、200℃以上の高い融点を有するが、長時間の加熱下では三次元架橋等の熱変性が起こり、流動性の消失による成形加工性が低下し、また融点の低下によって成形体の機械的、耐熱性能が劣化する問題があった。
高強度繊維やフィルムに成形する方法としては、ポリケトンを塩化亜鉛等の無機塩水溶液に溶解して成形する湿式成形法が知られている(例えば、国際公開WO99/18143号パンフレット、国際公開WO00/09611号パンフレット等)。しかし、この方法においては、ポリケトンが溶解したドープを長時間加温することによりポリケトンの熱変性が起こり、ドープの流動性や紡糸性の低下等の問題、得られる繊維、フィルムの機械的特性が低下する問題等があった。
ポリケトンは熱を受けることにより、Paal−Knorr反応によるフラン環の生成や、アルドール縮合による分子内、分子間架橋の生成等の化学反応を生じ、熱劣化が進行する。これらの化学反応はポリケトン中に残存する重合触媒(パラジウム(Pd))によって大きく加速される。この熱劣化への対策としてポリケトン中に残存するPd量を低減する技術が検討されている(例えば、欧州特許285218号明細書、米国特許4855400号明細書、米国特許4855401号明細書)。ポリケトンに残存するPd量の低減は、ポリケトンの耐熱性改善に効果がある。しかしながら、これらの文献で公開されている技術は、通常の重合法で得られたポリケトンを、トリフェニルホスフィンやトリエチルアミン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン等の化合物を用いて長時間のPd抽出処理を行う方法であり、洗浄設備および洗浄、抽出溶媒のコストを考慮すると、工業的には実用可能な技術ではない。また長時間の熱処理によりポリケトンの熱劣化も起こるため、Pd量は少ないものの得られるポリケトンの耐熱性は十分ではなかった。
Polymer,42(2001)6283−6287には、アセトン溶媒中で重合したポリケトンを、2,4−ペンタンジオンで抽出処理し、含有Pd量を20ppm以下とすることでポリケトンの耐熱性が向上することが開示されている。このポリケトンは重合溶媒にアルコールを使用していないため、この条件では重合活性が非常に低い。更に重合後煩雑なPd抽出処理が必要であり、生産性、コストの観点から工業的に採用することが出来ない。
国際公開WO00/09611号パンフレットには、Pd含有量5ppmのポリケトンが示されている。しかしながら、このポリケトンは、80℃、5MPaで重合した後に、ポリマー中のPdを溶媒抽出により取り除いたものであり、重合速度が非常に遅く、更に溶媒抽出時の長時間の熱処理を必要とするなどの問題があった。
長時間の抽出処理を行うことなくポリケトン中のPd量を低減するには、少量のPdで多量のポリケトンを製造すること、すなわち、高い重合活性で長時間の重合を行うことが必要である。高重合活性の重合法としては、これまでいくつかの技術が知られている。例えば、特開平1−201333号公報、特開平2−115223号公報、国際公開WO00/68296号パンフレット、国際公開WO01/02463号パンフレット等では、20kg/g−Pd/hrを超える非常に高い重合活性での重合技術が開示されている。ここで、重合活性とは単位量の触媒(本発明においてはPd)により単位時間に生成されるポリマーの量を表す指標(単位:kg/g−Pd/hr)であり、この数値が大きいほど単位量のPdからより多くのポリケトンが得られることを意味する。
しかしながら、これらの文献で公開されている高重合活性(20kg/g−Pd・hr以上)の重合法で得られたポリケトンはいずれも低重合度であって、極限粘度は2.5dl/g未満であり、高強度の繊維やフィルム用途へ展開するには不十分な重合技術であった。
一方、ポリケトンの末端構造については、重合溶媒の種類と生成末端の構造および比率との関係についての検討がなされている。ポリケトンの末端構造は、重合に用いる溶媒の種類によって変化することが知られており、Chem.Rev.,96(1996),663−681には、メタノール中でのポリケトンの重合反応において、以下の機構(反応式I〜反応式VI)が提唱されていて、開始反応および停止反応で、アルキルエステル末端(反応式I、V)およびアルキルケトン末端(反応式II、VI)が生成することが示されている。なお、下記反応式中L2はリン二座配位子を、Polはポリケトン重合体分子鎖を表すものである。
(開始反応)
反応式I:
反応式II:
(成長反応)
反応式III:
反応式IV:
(停止反応)
反応式V:
反応式VI:
また、特開昭59−197427号公報においては、リン配位子として1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを用いて、各種の重合溶媒を用いた場合の末端構造およびその比率が記載されている。例えば、メタノールやエタノール等のアルコールを用いる場合にはアルキルエステル末端およびアルキルケトン末端が、また、エチレングリコール等のグリコールを用いる場合にはヒドロキシアルキル末端およびアルキルケトン末端が、テトラヒドロフランやアセトン等の非プロトン性極性溶媒を用いる場合にはアルキルケトン末端のみが生成することが開示されている。この文献ではアルキルエステル末端が生成する場合、アルキルエステル末端(末端基A)/アルキルケトン末端(末端基B)の当量比が1/1ではなく、0.09/1〜1.04/1の比率となると記載されている。しかしながら、この文献で例示されているポリケトンは、いずれも低分子量のポリマーに関するものであり、極限粘度が2.5dl/g以上の高分子量のポリケトンに関しては一切開示されていない。具体的には、この文献の実施例で示された末端基Aおよび末端基Bを有するポリケトンは、数平均分子量が250〜7500である。分子量分布(Mw/Mn)を一般的なポリマーの値である3.3として、文献(例えば、特開平4−228613号公報)に記載されている式(極限粘度=1.0×10−4×Mw0.85)を用いて極限粘度を計算すると、この実施例に記載のポリケトンの極限粘度は0.03〜0.54dl/gであり、高強度、高弾性率の高い機械特性を発現することが期待出来ないポリマーであった。
更に、この文献のポリケトンは重合活性が非常に低く、重合活性と重合時間の積(触媒効率)から計算されるポリケトンの理論含有Pd量は100ppm以上と非常に多量のPdを含有するものであった。
ポリケトンの末端基に関しては重合条件と生成末端の構造およびその比率についての検討はなされてきているが、末端構造とポリケトンの特性の関係については、例えば、特開平2−16155号公報において、ポリケトンの特性が末端基構造に依存することはないと記載されているにすぎない。特に金属塩水溶液中でのポリケトンの熱安定性を改善する手段としての末端基構造の制御については一切開示されていない。
本発明が解決しようとする課題は、公知の技術では得られていない、高分子量を有し、繊維やフィルム等の成形体とした際に高い機械的特性、優れた耐熱性、耐薬品性を発現し、かつ、安価で工業的な原料として使用可能なポリケトンを提供することにある。本発明のさらなる解決しようとする課題は、このようなポリケトンを触媒抽出処理等の煩雑な工程を経ることなく高い重合活性で生産性よく製造する方法を提供することにある。
発明の開示
本発明者らは、上記課題を達成するために、高分子量かつ高融点のポリケトンの製造条件とポリケトンの構造制御による耐熱性の改善について研究を重ね、ポリケトン中のPdの含有量を低減すること、および、ポリケトンの末端構造を特定の比率にすること、が上記課題の解決策となりうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、下記に関する:
(i)繰り返し単位の95〜100モル%が化学式(1)で示される1−オキソトリメチレンであり、かつ、極限粘度が2.5〜20dl/gであるポリケトンであって、Pd元素の含有量が0〜20ppmであり、かつ、末端構造が化学式(2)で示されるアルキルエステル基(末端基A)および化学式(3)で示されるアルキルケトン基(末端基B)を含み、末端基A/末端基Bの当量比が0.1〜8.0である、上記ポリケトン。
(但し式中、R1は炭素数1〜6の炭化水素であり、R2は炭素数1〜10の有機基である。)
(ii)極限粘度が4.0〜8.0dl/gであり、かつ、末端基A/末端基Bの当量比が0.5〜3.0であり、Pd元素の含有量が0〜10ppmである、(i)のポリケトン。
(iii)カルボン酸末端基量が0〜10ミリ当量/kgである、(i)または(ii)のポリケトン。
(iv)DSC融点Tm3が230℃以上である、(i)〜(iii)のいずれかのポリケトン。
(v)DSC融点Tm3が240℃以上である、(i)〜(iv)のいずれかのポリケトン。
(vi)末端基Aが化学式(4)で示されるメチルエステル基、末端基Bが化学式(5)で示されるエチルケトン基であり、末端基A/末端基Bの当量比が1.0〜8.0である、(i)〜(v)のいずれかのポリケトン。
(vii)末端基Aが化学式(6)で示されるイソプロピルエステル基、末端基Bが化学式(5)で示されるエチルケトン基であり、末端基A/末端基Bの当量比が0.5〜2.5である、(i)〜(v)のいずれか一項に記載のポリケトン。
(viii)ポリケトンをヘキサフルオロイソプロパノール中にその濃度が0.1wt%となるように溶解し、石英セル中、走査速度=200nm/分、データ取り込み間隔=0.5nmで、この溶液の紫外線スペクトルを測定したときに、200〜250nm波長に見られる吸光度の極小値が0.14以下である、(i)〜(vii)のいずれかのポリケトン。
(ix)繰り返し単位の95〜100モル%が化学式(1)で示される1−オキソトリメチレンであり、かつ、極限粘度が2.5〜20dl/gであるポリケトン成形体であって、Pd元素の含有量が0〜20ppmであり、かつ、末端構造が化学式(2)で示されるアルキルエステル基(末端基A)および化学式(3)で示されるアルキルケトン基(末端基B)を含み、末端基A/末端基Bの当量比が0.1〜8.0である、上記ポリケトン成形体。
(但し式中、R1は炭素数1〜6の炭化水素であり、R2は炭素数1〜10の有機基である。)
(x)繰り返し単位の95〜100モル%が化学式(1)で示される1−オキソトリメチレンであり、かつ、極限粘度が2.5〜20dl/gであるポリケトンで繊維であって、Pd元素の含有量が0〜20ppmであり、かつ、末端構造が化学式(2)で示されるアルキルエステル基(末端基A)および化学式(3)で示されるアルキルケトン基(末端基B)を含み、末端基A/末端基Bの当量比が0.1〜8.0である、上記ポリケトン繊維。
(但し式中、R1は炭素数1〜6の炭化水素であり、R2は炭素数1〜10の有機基である。)
(xi)(x)のポリケトン繊維を少なくとも50wt%以上含有する、タイヤコード。
(xii)(ix)のポリケトン成形体又は(x)のポリケトン繊維を少なくとも一部に使用することを特徴とするポリケトン製品。
(xiii)ポリケトン製品がタイヤ、ベルト又は建材である、(xii)のポリケトン製品。
(xiv)(x)のポリケトン繊維を全繊維中1wt%以上含む、繊維強化複合材料。
(xv)一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物を共重合させ、極限粘度が2.5〜20dl/gであるポリケトンを製造する方法において、(a)〜(c)の化合物を反応させて得られる金属錯体触媒の存在下で、(d)の液状媒体中で、(e)の条件で当該共重合を行うことを含む、ポリケトンの製造方法。
(a)パラジウム化合物
(b)第15族元素の原子を有する二座配位子
(c)pKaが4以下の酸
(d)炭素数が1〜6のアルコールと水とを含有し、数式1で示される水含率が10〜500000ppmである液状媒体
(e)重合圧力Pが5MPa以上、重合温度Tが50〜200℃
なお、数式中、右辺分母の容積は25℃での値である。
(xvi)重合温度が70〜200℃、重合圧力が7MPa以上である、(xv)のポリケトンの製造方法。
(xvii)(a)が酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、及び塩化パラジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のパラジウム化合物であって、
(b)が1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス[{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}メチル]ベンゼン、及び1,3−ビス{ジ(2−メトキシ−4−スルホン酸ナトリウム−フェニル)ホスフィノ}プロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種のリン二座配位子であり、
(c)が、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及びトリフルオロ酢酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸であり、
(d)が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコールを含有する溶剤である(xv)又は(xvi)のポリケトンの製造方法。
(xviii)共重合をベンゾキノンまたはナフトキノンの存在下で行う、(xv)〜(xvii)のいずれかのポリケトンの製造方法。
(xix)反応器内部のエチレン性不飽和化合物/一酸化炭素のモル比率が、1/1〜5/1である、(xv)〜(xiix)のいずれかのポリケトンの製造方法。
(xx)パラジウム化合物の使用量が、重合溶剤1リットルあたり0.01〜10000マイクロモルであり、第15族元素の原子を有する二座配位子、pKaが4以下の酸の量が、パラジウム化合物1モルに対してそれぞれ、0.1〜10モル、0.1〜10000モルである、(xv)〜(xix)のいずれかのポリケトンの製造方法。
(xxi)液状媒体(d)中の炭素数1〜6のアルコールの含有量が75容量%以上である、(xv)〜(xx)のいずれかのポリケトンの製造方法。
(xxii)pKaが4以下の酸が硫酸であり、重合溶剤が炭素数1〜6のアルコールと水とを含有し、水含率が10〜500000ppmである、(xv)〜(xxi)のいずれかのポリケトンの製造方法。
(xxiii)重合圧力P(MPa)、重合温度T(℃)が、数式2および数式3の両方を満たすものである、(xv)〜(xxii)のいずれか一項に記載のポリケトンの製造方法。
(xxiv)一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物を共重合させ、極限粘度が3.0〜20dl/gであるポリケトンを製造する方法において、重合活性が10kg/g−Pd・hr以上である、上記ポリケトンの製造方法。
(xxv)一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物を共重合させ、極限粘度が2.5〜20dl/gであるポリケトンを製造する方法において、重合活性が20kg/g−Pd・hr以上であり、かつ、重合活性と重合時間(hr)の積で表される触媒効率(kg/g−Pd)が50以上である、上記ポリケトンの製造方法。
発明を実施するための最良の形態
本発明のポリケトンは、繰り返し単位の95〜100モル%が化学式(1)で示される1−オキソトリメチレンである。1−オキソトリメチレンの割合が95モル%未満では、ポリケトンの結晶性が大きく低下し、高強度で高融点のポリケトン成形体を得ることが困難となる。1−オキソトリメチレンの割合が高ければ高いほど、得られるポリケトン成形体は強度、弾性率、融点において優れるようになるため、その好ましい割合は97モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
1−オキソトリメチレン以外の繰り返し単位には特に制限はなく、一酸化炭素とエチレン以外のエチレン性不飽和化合物とが結合してなる単位が一般的である。エチレン性不飽和化合物の例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン等のアルケニル芳香族化合物;シクロペンテン、ノルボルネン等の環状オレフィン;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル化合物;エチルアクリレート、メチルメタクリレート等のアクリル酸エステル化合物、等を挙げることができる。これらの一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物由来の繰り返し単位は、一種又は複数種の混合物であってもよい。
本発明のポリケトンの極限粘度は、低すぎると高強度、高弾性率の高い機械特性を有する成形体が得られないことから、2.5dl/g以上であることが必要である。また、極限粘度が高すぎる場合には成形性、溶剤への溶解性、生産性が低下することから20dl/g以下であることが必要である。得られる成形体の物性および工程通過性、生産性の観点から、より好ましくは3.0〜15dl/g、さらに好ましくは3.5〜10dl/g、特に好ましくは4〜8dl/gである。
本発明のポリケトンは、Pd元素の含有量が20ppm以下であることが必要である。Pd元素の含有量が20ppmを超えると、残存Pdに起因する熱変性、化学変性が起こり易くなり、溶融成形時には溶融粘性の上昇、溶剤に溶解した際にはドープ粘性の上昇等の現象を生じ、加工性が不良となる。さらには、成形後に得られるポリケトン成形体にも多量のPd元素が残存してしまうため、成形体の耐熱性も悪くなる。ポリケトン中のPd元素の含有量は、工程通過性、成形体の耐熱性の観点から、少なければ少ないほど好ましく、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下、最も好ましくは0ppmである。
本発明のポリケトンは、化学式(2)に示されるアルキルエステル基(末端基A)および化学式(3)に示されるアルキルケトン基(末端基B)の2種類の末端基を有する。
本発明においては、末端基Aを構成するR1の炭素数は1〜6であることが必要である。R1の炭素数が7以上の場合(すなわち重合溶剤として炭素数が7以上のアルコールを用いる場合)、
(1)高い重合活性でのポリケトンの重合が困難となり、Pd量の少ないポリケトンを製造するには極めて長時間の反応が必要となり生産性が低下する;
(2)重合懸濁液の粘度が上昇し均一な攪拌が困難になる;
(3)溶剤の沸点が高くなり回収コストが高くなる;
等の問題が生じる。重合活性および生産性の観点から、R1の炭素数は、より好ましくは1〜4である。末端基Aの好ましい構造として具体的には、炭素数1のメチルエステル基(化学式(4))、炭素数4のイソプロピルエステル基(化学式(6))が挙げられる。
炭素数が1〜6の範囲であれば、R1の構造は直鎖状でも分岐を有していても、あるいは環状であってもよく、また、鎖長や形状の異なる複数種の基を包含してもよい。
本発明においては、末端基Bを構成するR2は、炭素数が1〜10の有機基であることが必要である。炭素数1〜10の有機基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、フェニル基、ベンジル基等の炭化水素が挙げられ、これらの炭化水素の一部もしくは全部、あるいは水素原子の一部もしくは全部がエステル基、エーテル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、ハロゲン原子等で任意により置換されていてもよい。有機基の炭素数が10を超える場合、得られるポリケトンの結晶性の低下が起こり、耐熱性が低下する。このため、R2の炭素数は、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜3、特に好ましくは2である。末端基Bの好ましい構造として具体的には、炭素数2のエチルケトン基(化学式(5))が挙げられる。
また、本発明のポリケトンは、全末端基のうち、当量比で20%以下であれば、カルボン酸末端基やアルコール末端基、炭素数が7以上のアルキルエステル末端基等の末端基Aおよび末端基B以外の末端を有していてもよい。
カルボン酸末端基を含有する場合には、カルボン酸末端基量が多いとポリケトンの耐熱性が低下し、成形時や使用時の熱劣化が起こりやすくなるため、ポリケトン中のカルボン酸末端基量としては、好ましくは10ミリ当量/kg以下、より好ましくは5ミリ当量/kg以下、最も好ましくは0ミリ当量/kgである。
本発明においては、末端基A/末端基Bの当量比が0.1〜8.0であることが必要である。末端基A/末端基Bの比率が0.1〜8.0であれば、塩化亜鉛水溶液等の金属塩溶剤中のポリケトンの熱安定性が優れ、安定した品質の成形体が得られる。
末端基A/末端基Bの当量比が0.1未満では、重合時、重合後処理時の熱劣化によるポリマーの品質が低下する。
一方、末端基A/末端基Bの比率が8.0を超える場合、長期の熱処理や溶剤中での溶解によって三次元架橋によるポリマー変性や加工性の低下等の問題が著しくなる。耐熱性および耐薬品性、生産性、コストの観点から、末端基A/末端基Bの比率は、好ましくは0.2〜4.0、より好ましくは0.3〜3.0、さらに好ましくは0.5〜2.5、特に好ましくは1.0〜2.0である。
この場合、ポリケトンの末端基の比率は、公知の方法(1H−NMR法)によって測定されるアルキルエステル末端基由来のピークおよびアルキルケトン末端基由来によるピークの面積の比率より求めることが出来る。
本発明のポリケトンの融点は、成形体とした際の耐熱性の観点から、220℃以上であることが好ましく、より好ましくは240℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。
本発明のポリケトンは、Pd含有量が少なく、熱成形性、耐熱性に優れる。耐熱性としては、本発明実施例に記載の方法により測定されるDSC融点Tm3により判断出来る。ポリケトンを常温から融点以上に加熱し、再び常温まで下げる操作を繰り返す場合、融点以上に加熱されている間にフラン環の生成やアルドール縮合等のポリケトンの熱変性が進行する。そして、融点以下に冷却したときには、そのように生成した熱変性部分は不規則な構造となって結晶化することが出来ず、従ってポリケトンの結晶性が低下する。熱変性量が少ないほどポリケトンの結晶性の低下は少なく、その結果再度昇温した場合の融点も高いまま保持される。DSC融点Tm3は繰り返し昇降温処理をした後のポリケトンの融点であり、この値が高いほどポリケトンの結晶性がよく、熱変性が起こりにくいことを意味する。DSC融点Tm3の具体的な数値としては、230℃以上であることが好ましい。DSC融点Tm3は、より好ましくは235℃以上、さらに好ましくは240℃以上である。
本発明のポリケトンは、製造工程において、長時間の重合や溶媒抽出処理等の過剰な熱履歴を受けないため、化学架橋等の熱変性が少ないポリマーである。この熱変性の少ないポリケトンは、熱成形性、溶液成形性等の加工性、成形体の耐熱特性に優れるという利点を有する。ポリケトンの熱変性の程度の具体的な測定方法としては、下記の実施例記載の方法で測定されるヘキサフルオロイソプロパノール溶液の紫外線スペクトル測定方法がある。この紫外線吸収スペクトルの吸光度の極小値が、0.14以下であることが好ましい。この吸光度の極小値は、ポリケトンの熱変性による架橋構造の程度に対応し、この極小値が小さいほど重合時およびポリマーの洗浄、乾燥処理時のポリケトンの劣化が少ない。当該極小値が小さいほど、ポリケトンはより優れた加工性を有し、また成形体とした際により優れた熱特性を有する。このため、吸光度の極小値は、より好ましくは0.13以下、特に好ましくは0.12以下である。
また、ポリケトン中にはPd以外にも重合触媒に用いたリン化合物や酸が不純物として残存する。これら化合物の残存量が多い場合、ポリケトンの保管時の劣化や着色等の問題が起こるばかりか、成形加工時の変性や、成形体の耐熱性の低下、着色の問題が生じる。このため、ポリケトン中のリン元素の量は、好ましくは20ppm以下、より好ましくは10ppm、さらに好ましくは5ppm以下、特に好ましくは0ppmである。また、硫酸やメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のイオウ元素を含む酸を重合に用いる場合には、ポリケトン中のイオウ元素の残留量は、好ましくは20ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下、特に好ましくは0ppmである。
本発明の重合後のポリケトンの形状には特に制限はなくどのような形態であってもよい。懸濁重合法で製造した場合には粒子状あるいはフレーク状で得られるが、溶剤への溶解性の観点から粒子状であることが好ましい。粒子の大きさや形状についても特に制限はないが、取り扱い性や溶剤への溶解性の観点から、平均粒径は0.01〜2mmが好ましく、0.1〜1mmがさらに好ましい。粒子形状は球状が特に好ましい。
また、貯蔵性や運搬性の観点からは得られるポリケトンの嵩密度は高いほど好ましく、また溶剤への溶解性の観点からは嵩密度は低い方が好ましい。運搬性および溶解性のバランスから、嵩密度は5〜50g/100mlの範囲が好ましく、より好ましくは20〜45g/100ml、特に好ましくは30g〜40g/100mlである。
本発明のポリケトンには必要に応じて、各種の添加剤、例えば、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、界面活性剤などが含まれていても良い。
本発明のポリケトンから成形されてなる成形体は、機械的特性、熱的特性および耐熱性の観点から、繰り返し単位の95〜100モル%が1−オキソトリメチレンであり、かつ、極限粘度が2.5〜20dl/gであるポリケトン成形体であって、末端基A/末端基Bの当量比が0.1〜8.0であり、かつ、Pd元素の含有量が20ppm以下であることが必要である。
ポリケトン成形体を構成するポリケトンの1−オキソトリメチレンの割合が95モル%未満では、結晶性が大きく低下し、高強度で高融点のポリケトン成形体を得ることが困難となる。1−オキソトリメチレンの割合は高いほど、得られるポリケトン成形体の強度、弾性率、融点に優れ、その好ましい割合は97モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
1−オキソトリメチレン以外の繰り返し単位には特に制限はなく、一酸化炭素とエチレン以外のエチレン性不飽和化合物とが結合してなる単位が一般的である。エチレン性不飽和化合物の例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン;スチレン、α−メチルスチレン等のアルケニル芳香族化合物;シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン等の環状オレフィン;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;エチルアクリレート、メチルメタクリレート等のアクリル酸エステル等を挙げることができる。これらの一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物由来の繰り返し単位は、単独又は複数種の混合物であってもよい。
ポリケトン成形体の極限粘度は2.5dl/g以上であることが高機械物性を得るために必要である。極限粘度が高すぎる場合には、加工性、生産性が低下し、コストが増大する点から、20dl/g以下であることが必要である。成形体の物性および工程通過性、生産性の観点から、より好ましくは3.0〜15dl/g、さらに好ましくは3.5〜10dl/g、特に好ましくは4〜8dl/gである。
本発明のポリケトン成形体は、Pd元素の含有量が20ppm以下であることが必要である。Pd元素の含有量が20ppmを超える場合、工程通過性が悪く、成形体の耐熱性も悪くなる。このため、ポリケトン成形体中のPd元素の含有量は少なければ少ないほど好ましく、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下、特に好ましくは0ppmである。
また、ポリケトン成形体を塩化亜鉛等の濃厚金属塩水溶液に溶解して成形を行う場合には、溶剤中の金属が成形体中に残存することがある。これら残存金属はポリケトン成形体の耐熱性や機械的物性に悪影響を及ぼすため、残存量は少ないほど好ましい。具体的には、例えばZn元素及びCa元素は好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下、特に好ましくは0ppmである。
本発明においては、ポリケトン成形体中の末端基A/末端基Bの当量比が0.1〜8.0であることが必要である。末端基A/末端基Bの比率が0.1未満では、加工性や長期熱安定性に問題が生じやすい。また、末端基A/末端基Bの比率が8.0を超える場合、熱処理時、金属塩溶剤溶解時にポリマー変性や加工性の低下等の問題が生じやすくなる。耐熱性および耐薬品性、生産性、コストの観点から、末端基A/末端基Bの比率は、好ましくは0.2〜3.0、より好ましくは0.5〜2.5、更に好ましくは1.0〜2.0である。
また、全末端基の20モル%以下であれば、カルボン酸末端基やアルコール末端基等の末端基Aおよび末端基B以外の末端を有していてもよい。カルボン酸末端基を含有する場合には、カルボン酸末端基量が多いとポリケトン成形体の耐熱性が低下するため、ポリケトン成形体中のカルボン酸末端基量としては、好ましくは10ミリ当量/kg以下、より好ましくは5ミリ当量/kg以下、特に好ましくは0ミルモル/kgである。
具体的な特性としては、例えば、繊維として用いる場合、その機械的特性としては、強度が好ましくは10cN/dtex以上、より好ましくは12cN/dtex以上、特に好ましくは15cN/dtex以上、初期弾性率は好ましくは200cN/dtex以上、より好ましくは300cN/dtex以上、特に好ましくは350cN/dtex以上である。熱的特性としては、融点が好ましくは240℃以上、より好ましくは250℃以上、特に好ましくは260℃以上である。PdやP等の触媒残渣が多くなると、長期使用により徐々に繊維が劣化するが、本発明のポリケトン成形体を用いると、耐久性を落とすことなく長期間、優れた熱特性、機械特性を維持することが可能となる。
次に、本発明のポリケトンの製造法について説明する。
本発明のポリケトンは、(a)〜(c)の化合物を反応させて得られる金属錯体触媒の存在下で、(d)の液状媒体の存在下で、(e)の条件で一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物とを共重合させることにより製造することが出来る。
(a)パラジウム化合物
(b)第15族元素の原子を有する二座配位子
(c)pKaが4以下の酸
(d)炭素数が1〜6のアルコールと水とを含有し、数式1で示される水含率が10〜500000ppmである液状媒体
(e)重合圧力Pが5MPa以上、重合温度Tが50〜200℃
本発明において、重合に用いる触媒は、パラジウム化合物と第15族元素の原子を有する二座配位子およびpKaが4以下の酸を配合して得られる金属錯体である。
パラジウム化合物(a)の例としては、パラジウムのカルボン酸塩、リン酸塩、カルバミン酸塩、スルホン酸塩、ハロゲン塩等を挙げることができ、それらの具体例としては、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、塩化パラジウム、ビス(N,N−ジエチルカーバメート)、ビス(ジエチルアミノ)パラジウム、硫酸パラジウム等を挙げることが出来る。これらは単独で又は数種類を混合して用いることも出来る。重合活性、金属錯体の安定性、回収コストの観点から好ましい化合物は、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、塩化パラジウムであり、特に好ましくは酢酸パラジウムである。
金属錯体に用いる配位子は、第15族の原子を有する二座配位子(b)であり、その例として、2,2’−ジピリジル、4,4’−ジメチル−2,2’−ジピリジル、2,2’−ジ−4−ピコリン、2,2’−ジキノリン等の窒素二座配位子、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,3−ビス{ジ(2−メチル)ホスフィノ}プロパン、1,3−ビス{ジ(2−イソプロピル)ホスフィノ}プロパン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシ−4−スルホン酸ナトリウム−フェニル)ホスフィノ}プロパン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)シクロヘキサン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、1,2−ビス{(ジフェニルホスフィノ)メチル}ベンゼン、1,2−ビス[{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}メチル]ベンゼン、1,2−ビス[{ジ(2−メトキシ−4−スルホン酸ナトリウム−フェニル)ホスフィノ}メチル]ベンゼン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2−ヒドロキシ−1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン、2,2−ジメチル−1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン等のリン二座配位子等を挙げることができる。
これらの中で、より好ましい配位子はリン二座配位子である。高重合活性で高分子量のポリケトンを得るという観点から好ましいリンニ座配位子は1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス[{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}メチル]ベンゼン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシ−4−スルホン酸ナトリウム−フェニル)ホスフィノ}プロパンであり、高分子量のポリケトンを工業的規模で製造するという観点から、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパンが特に好ましい。
pKaが4以下の酸(c)としては、例えばトリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸、テトロフルオロ硼酸、ヘキサフルオロリン酸、フルオロ硅酸等の無機酸;トリスペンタフルオロフェニルボラン、トリスフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等の硼素化合物等を挙げることができる。これらの酸は単独でもしくは複数種を混合して使用することができる。
高分子量のポリケトンを高重合活性で得られるという観点から好ましい酸は、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸である。なおpKaとは、酸の解離定数をKaとしたときのpKa=−log10Kaで定義される数値で、この値が小さいほど強酸である。
パラジウム化合物(a)の使用量は、選ばれるエチレン性不飽和化合物の種類や他の重合条件によってその好適な値が異なるため、一概にその範囲を定めることはできない。しかし、好ましくは、重合の液状媒体1リットル当り0.01〜10000マイクロモル、より好ましくは、0.1〜1000マイクロモルである。
二座配位子(b)の使用量は限定されないが、パラジウム化合物1モル当たり、好ましくは、0.1〜10モル、より好ましくは、1〜3モル、特に好ましくは1.1〜1.3モルである。
pKaが4以下の酸の使用量は、パラジウム1モル当たり、好ましくは0.1〜10000モル、より好ましくは1〜1000モル、特に好ましくは2〜100モルである。
本発明の触媒に用いる金属錯体は、パラジウム化合物と、第15族元素の原子を有する二座配位子と、pKaが4以下の酸とを接触させることによって生成する。接触させる方法としては、任意の方法が採用できる。例えば、前記の3成分を、適当な溶媒中に、予め混合した溶液として用いてもよいし、重合系へ3成分を、各々、別々に供給して、重合系内で接触させてもよい。また、パラジウム化合物と、第15族元素の原子を有する二座配位子とを予め反応させて得られる錯体と、pKaが4以下の酸とを接触させてもよい。
金属錯体の形態および調製手順については特に制限はないが、予め(a)〜(c)の混合物からなる金属錯体を調製してから反応容器内に添加することが好ましい。この場合には、先ずパラジウム化合物(a)および二座配位子(b)を混合し、次いで酸(c)を混合することが好ましい。金属錯体の調製に用いる溶媒は、メタノール等のアルコール類であっても、アセトン、メチルエチルケトン等の非プロトン性有機溶媒であってもよい。
ポリケトンの重合は、一酸化炭素およびエチレン性不飽和化合物を液状媒体を介して金属錯体と接触させることで行われる。液状媒体(以下、重合溶剤ということがある)は、高い重合活性でポリケトンを製造するという観点から、炭素数が1〜6のアルコールと水とを含有し、数式1で示される水含率が10〜500000ppmである液状媒体であることが必要である。
なお、数式1中、右辺分母の液状媒体の容積は25℃での値である。
水酸基を全く含まない重合溶剤、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド等の中で重合を行った場合、重合速度が極めて遅く、本発明のPd含有量の少ないポリケトンを得ることが出来ない。また、アルコールであっても炭素数が7以上のアルコールのみを含有する重合溶剤の中で重合を行った場合も、重合速度が極めて遅く、Pd含有量の少ないポリケトンを得ることが出来ない。これらの重合溶媒を用いた場合、得られるポリケトンの末端基A/末端基Bの当量比が0.1未満となるが、このような条件では高い重合活性でポリケトンを製造することが困難であり、得られるポリケトンの品質が低下する。
重合溶剤が含有するアルコールの炭素数は6以下であることが必要であり、より高い重合活性が得られるという観点から炭素数は4以下が好ましい。具体的な化合物としては、メタノール、エタノール、ブタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。取り扱い性、重合活性、高分子量化の観点からメタノール、イソプロパノールが特に好ましい。これらのアルコールは単独で又は混合して用いてもよい。
重合溶剤中の炭素数が1〜6のアルコールの含有量は、特に制限はないが、高重合活性で製造するという観点からは20容量%以上であることが望ましい。アルコールの含有量が多いほど重合活性が高くなることから、重合溶剤中の炭素数が1〜6のアルコールの量は、好ましくは50容量%以上、より好ましくは75容量%以上である。
また、本発明のPd含有量の低いポリケトンを得るためには、重合溶剤が上記数式1で表される水の含有率が10〜500000ppmであることが必要である。なお、本発明においては、触媒を液状媒体に溶解して触媒液として、重合溶剤に加える場合、触媒液も重合溶剤の一部とみなし、触媒液の容量は数式1の右辺分母に加算し、触媒液に水を使用した場合には数式1の右辺分子に加算して水の含有率を求める。
重合溶剤の水の含有率が10ppm未満の場合、重合溶剤に炭素数1〜6のアルコールを用いた場合でも重合活性を十分に高くすることが出来ない。一方、重合溶剤の水の含有率が10ppm以上の場合、重合活性が高まる効果があるが、水の含有率が500000ppmより多くなると、重合活性が高まる反面分子量が上がらなくなり、極限粘度が2.5dl/g以上のポリケトンを製造することが困難となる。水の含有率の好ましい範囲は500〜200000ppmである。また、水がパラジウム化合物に対して100〜10000000倍モル量、pKaが4以下の酸に対して1〜50000倍モル量である場合、重合活性が一層向上し好ましい。
また、重合溶剤には、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等の有機溶媒を併用使用することが出来る。
触媒として金属錯体を上述の重合溶剤中に添加し、オートクレーブ等の反応容器の中で、エチレン性不飽和化合物と一酸化炭素の存在下で、重合圧力Pが5MPa以上、重合温度Tが50〜200℃の条件でポリケトンの重合を行うことができる。
重合圧力Pが5MPa未満では、高い重合活性で重合することが困難になり、本発明のPd含有量の少ないポリケトンを製造することが出来なくなるため、5MPa以上であることが必要である。重合圧力は、高ければ高いほど、重合活性が高まりポリケトン中のPd含有量が少なくなり、生産性が向上するため、好ましくは7MPa以上、より好ましくは10MPa以上、さらに好ましくは15MPa以上である。
一方、重合圧力が過大になると、反応器や配管等の設備が重厚になり、設備製造費が増大するため、重合時の圧力は300MPa以下であることが望ましく、より好ましくは100MPa以下、さらに好ましくは30MPa以下である。
重合温度Tは50℃以上であることが必要である。50℃未満では、重合圧力を高めても高い重合活性でポリケトンを製造することが困難である。重合温度は、高ければ高いほど、重合活性が高まりポリケトン中のPd含有量が少なくなり、生産性が向上するため、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上である。
一方、重合温度が高くなると、重合停止反応速度が速くなりすぎて、極限粘度が2.5dl/g以上の高分子量のポリケトンを製造することが困難となる。このため、重合温度は200℃以下内にあることが必要であり、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下である。
高分子量のポリケトンを高い重合活性で得るという観点から、重合圧力Pと重合温度Tは、数式2、数式3の範囲内にあることが好ましい。
数式2は、温度Tにおいて重合活性10kg/g−Pd・hr以上を得るための好ましい圧力範囲であり、数式3は温度Tにおいて極限粘度2.5dl/gを得るための好ましい圧力範囲である。
高い重合活性を維持して長時間の重合を行うという観点から、添加剤として、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン等のキノン類、塩化銅、塩化アルミニウム、塩化鉄等の金属塩化合物を添加することが好ましい。重合活性を維持する効果が高いという点で、ベンゾキノン、ナフトキノンが好ましい。添加剤の使用量はパラジウム化合物(a)1モル当たり、好ましくは10〜10000モル、より好ましくは50〜500モルである。キノン類の添加は、触媒組成物に添加してから反応容器に添加する方法、重合溶剤に添加する方法のいずれであってもよく、必要に応じては反応中に反応容器内に連続的に添加してもよい。
先に述べた触媒組成物および任意により添加剤を上述の重合溶剤中に添加し、オートクレーブ等の反応容器の中で、エチレン性不飽和化合物と一酸化炭素の存在下で下記の条件で重合を行う。
一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物の反応容器内での割合は、重合活性および回収コストの観点から、一酸化炭素/エチレン性不飽和化合物のモル比が2/1〜1/15が好ましく、1/1〜1/10であることがより好ましく、重合活性が高くできるという観点から、1/2〜1/5であることが好ましい。一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物の添加方法には特に制限はなく、予め両者を混合してから添加しても、また、それぞれ別の供給ラインから添加してもよい。
懸濁重合法で製造する場合、気相部/液相部の容積比は、反応器容量あたりより多量のポリケトンを製造するという観点から、1/50〜1/1が好ましく、一酸化炭素およびエチレンの液相部への溶解速度、反応制御の観点から1/10〜5/1が好ましい。重合活性および生産性、反応制御性、コストの観点から、気相部/液相部の容積比のより好ましい範囲は1/30〜1/1である。
ポリケトンの重合時間は1〜24時間であることが好ましい。重合時間が1時間未満ではポリケトン中のPd量が多く、特別な触媒除去工程が必要となり生産性が低下する。一方、重合時間が24時間を超えると所定時間あたりのポリケトンの収量が小さくなり生産性が低下する。重合時間はより好ましくは1.5〜10時間、特に好ましくは2〜6時間である。
なお、本発明において重合時間とは、上述の触媒組成物および重合溶剤が存在し、上述の重合条件にある反応容器中に、一酸化炭素およびエチレン性不飽和化合物を投入した時点から、温度を下げる、あるいは、内圧を開放する等の実質的に重合反応が起こらない状態にする時点までの時間を意味する。一酸化炭素およびエチレン性不飽和化合物を反応容器内に連続的に投入し、重合生成物を連続的に抜き出す連続的に抜き出す連続重合法においては、投入から抜き出しまでの平均の滞留時間を重合時間とする。
本発明のポリケトンの製造法は、Pd元素量が20ppm以下のポリケトンを工業的なコストで得るという観点から、重合活性が高いことが望ましい。本発明において重合活性とは、下記数式4で計算される数値で、この値が大きいほど単位Pd量および単位重合時間あたりに得られるポリケトンの量が多いこと、すなわち、同一量のポリケトンを得るために必要なPd量が少ないことおよび重合に要する時間が短いことを意味する。
重合活性が低くても重合時間を長くすればポリケトン中のPd元素量を少なくすることも可能であるが、重合時間を長くした場合には、触媒の失活を抑制するために多量の酸化剤を必要とすること、生産性が低くなること等の問題が生じる。
重合活性は10kg/g−Pd・hr以上であることが望ましい。生産性及び得られる原料に用いるPdのコストの観点から、重合活性はより好ましくは20kg/g−Pd・hr以上、さらに好ましくは30kg/g−Pd・hr以上、特に好ましくは40kg/g−Pd・hr以上である。
また、触媒の洗浄、除去等の工程を経ることなく、ポリケトン中のPd元素量を20ppm以下とするためには、重合工程のみでPd元素量が20ppm以下のポリケトンを製造することが好ましく、その場合、重合活性(kg/g−Pd・hr)および重合時間(hr)の積で表される触媒効率(kg/g−Pd)が50(kg/g−Pd)以上であることが好ましい。触媒効率が高ければ高いほどポリケトン中のPd元素量が少なくなるため、触媒効率はより好ましくは100以上、さらに好ましくは200以上であることが望ましい。
本発明のポリケトンの重合方式としては特に制限はなく、公知の重合方式、製造プロセスを用いることができる。例えば、重合方式としては、液状媒体を使用する懸濁重合法、少量のポリマーに高濃度の触媒溶液を含浸させる気相重合法等が用いられ、プロセスとしては、回分式プロセス、連続式プロセスのいずれであってもよい。
以下に、一酸化炭素とエチレンからなるポリケトンの懸濁式重合法を例に重合プロセスの好ましい態様について説明する。
反応に用いる一酸化炭素およびエチレンは1段以上の吸着塔を通し、イオウ分や鉄分、金属カルボニル、メタンやエタン等の不純物を除去、精製する。精製した一酸化炭素およびエチレンを、それぞれあるいは混合してガス圧縮機および/または液体圧縮機で反応圧力以上に加圧し、必要に応じて減圧を行ってから所定のモル比率で反応容器中に投入する。
反応容器への一酸化炭素およびエチレン性不飽和化合物の投入は、気相部、液相部のいずれに行ってもよい。気相部に投入する場合には、気液界面を攪拌し重合溶剤への溶解を促進する措置をとることが好ましい。また、気液界面積S(m2)/液相部容積V(m3)の比率は、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上である。また、液相部に投入する場合には、投入位置付近を攪拌し重合溶剤への溶解を促進する措置をとることが好ましい。
反応容器はオートクレーブ型、チューブラー型のいずれであってもよい。オートクレーブ型の反応容器を用いる場合には、複数の反応容器を直列に連結して、2段階以上の多段で重合を行っても良い。反応容器内壁はグラスライニングやテフロンライニング等の表面処理を施したものであることが好ましい。
触媒組成物は予め触媒調製器内で調製し、反応容器内に重合開始時あるいは重合時間中に連続的に供給する。
重合溶剤中に触媒組成物および一酸化炭素、エチレンを供給し、反応容器内の温度、圧力を所定の条件として、所定の時間重合を行う。
ポリケトンの嵩密度は5〜50g/100mlの範囲が好ましいが、その嵩密度の調整は可能である。嵩密度を高くするために、重合溶剤に硫酸やトリフルオロ酢酸、酢酸等の酸を添加したり、重合溶剤にアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類を混合してもよい。酸を添加する場合には、パラジウム化合物に対して40〜5000倍モル、好ましくは60〜1000倍モルが好ましい。ケトン類を混合する場合には、ケトン類を重合溶剤の10〜80容量%、好ましくは20〜60容量%とすることが望ましい。一方、嵩密度を低くするには、重合溶剤にイソプロパノールやt−ブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール等の炭素数3以上のアルコール類を添加する方法などがある。炭素数3以上のアルコールを添加する場合には、炭素数3以上のアルコールを重合溶剤の10〜80容量%、好ましくは20〜60容量%とすることが望ましい。
重合が完了したポリケトンは懸濁液の状態で反応容器内から抜き出される。反応容器から抜き出された懸濁液は必要に応じてフラッシュタンクを通過させて、懸濁液内に残留する未反応の一酸化炭素およびエチレンを除去する。
反応容器およびフラッシュタンクから抜き出される気相成分は、冷却して重合溶剤を取り除いて未反応の一酸化炭素とエチレンに精製した後に圧縮機に戻して再び重合に用いることができる。
次いで、ポリケトン懸濁液を、湿潤ポリケトン粉体と液体成分とを分離する工程、および、湿潤ポリケトン粉体に残存する液体成分を乾燥、除去する工程の2段階の工程をに付し、ポリケトンを単離する。
ポリケトン懸濁液を湿潤ポリケトン粉体と液体成分とに分離する方法としては、液体サイクロンや遠心沈降機、遠心傾斜機、遠心脱水機等の遠心分級器による分離が好ましい。ポリケトンに残存する触媒組成物の量を減らす、および、乾燥エネルギーを低減する観点から、湿潤ポリケトン粉体中の液体成分の量をポリケトンに対して15〜50wt%、より好ましくは18〜30wt%となるまで分離することが好ましい。また、遠心分離により得られた湿潤ポリケトン粉体を重合溶剤に用いた溶媒と同一種類の溶媒を用いて洗浄し、湿潤粉体の液相部分に残存する触媒組成物を希釈した後に再度遠心分級を行う操作を2回以上繰り返し行うと、容易にポリケトンに残存する触媒組成物の量を低減することができる。酸として硫酸を用いる場合には、残存する硫酸を効率的に除去するために水を含有する溶媒で洗浄することが好ましく、さらに30℃以上に加温された水を含有する溶媒で洗浄することがより好ましい。
このようにして得られた液体成分を15〜50wt%含有する湿潤ポリケトン粉体に残存する重合溶剤を、重合溶剤の沸点以上に加熱することで乾燥、除去する。乾燥方法は、加熱気体を吹き付ける方法、ポリケトン粉体を攪拌しながら加熱気体を通す方法等、公知の装置、方法を用いることが出来る。乾燥速度および乾燥の均一性の観点から、流動層乾燥機が好ましい。乾燥効率およびポリケトンの熱劣化の観点から加熱温度は60〜150℃が好ましく、70〜120℃がより好ましい。乾燥機内を通す加熱気体としては窒素が好ましい。
上述のポリケトン懸濁液から除去された液体成分および洗浄に用いた液体成分は、蒸留器を通して低沸点留分(オリゴマー、触媒組成物、キノン類)を除去し、さらに、必要に応じては分留器を通して重合溶剤成分毎に回収される。回収された溶媒は必要に応じて吸着塔を通した後に、触媒調製用溶媒および重合溶剤、洗浄用溶媒として再利用することが可能である。
重合にキノン類を用いた場合、Pdの酸化剤として働いたキノン類は自身は還元されてヒドロキシキノン類となる。これらヒドロキシキノン類は触媒毒となるため、回収時に除去することが好ましい。単蒸留処理のみではヒドロキシキノン類が昇華して回収溶媒中に残ることがあるため、蒸留前に水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム等のアルカリ化合物を添加してヒドロキシキノン類を沈降させることが望ましい。
低沸点留分は焼成を行い、パラジウム化合物を再生して触媒として再利用する。パラジウム化合物の再生方法としては、たとえば、低沸点留分を窒素等の不活性ガスの存在下で300〜1000℃、好ましくは350〜700℃で加熱処理を行い、引き続き酸素を10容量%以上含有する雰囲気下で300〜1000℃、好ましくは350〜700℃の焼成処理を行って得られた焼成物を、酢酸、硝酸等の酸性溶液で処理する方法が挙げられる。焼成物から酢酸パラジウムに再生する方法としては、例えば、酢酸中に水素等の還元性化合物を添加してパラジウムを還元した後に、濃硝酸を添加して酸化することで高純度の酢酸パラジウムを得る方法が挙げられる。
以上のような製造方法、プロセスから得られたポリケトンは、溶融成形あるいは溶剤に溶解した後に乾式成形、湿式成形を行って成形体とすることが出来る。例えば、溶融成形では、ポリケトンを融点〜融点+50℃に加熱溶融し、公知の成形機により成形することが出来る。成形方法は目的、用途に応じて適宜選定することが出来、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、金型成形等を選定することが出来る。
また、ポリケトンに対して0.1〜80wt%の水を添加してポリケトンを可塑化し、ポリケトンの融点−10℃以下の温度で成形することも可能である。
溶剤に溶解して成形する場合の溶剤は特に限定されず、ヘキサフルオロイソプロパノール、m−クレゾール、レゾルシン等の有機溶剤、塩化亜鉛溶液、塩化亜鉛/塩化カルシウム溶液等の金属塩溶液など公知の溶剤を用いることができる。
ポリケトンをこれら溶剤に溶解してドープとした後に、ドープを加熱あるいは凝固剤中に浸漬することでドープから溶剤を抽出、除去し、任意の形状に成形する。ここで、塩化亜鉛や塩化リチウム、塩化カルシウム等のハロゲン化アルカリ金属塩、ハロゲン化アルカリ土類金属塩を主成分とする水溶液を溶剤とする場合、溶解条件や貯蔵条件によってはポリケトンの変性に起因する成形性の低下や成形体の着色が起こる。ポリケトンの熱変性を抑制する観点から、ドープを80℃以上に加温する時間は5時間以内とすることが好ましく、また、ドープ調製から成形までの時間が長い場合には、ドープ調製後は70℃以下に冷却して成形直前に加熱することが望ましい。
凝固剤はポリケトンが不溶性である液状媒体が好ましく、安全性、コストの観点から水を80wt%以上含有する水溶液が好ましい。また、ポリケトン成形体の耐熱性の観点から、塩化亜鉛を含有する金属塩溶液を溶剤とする場合には、残存する亜鉛量が20ppm以下となるまで、凝固後さらに塩酸等の酸性溶液で洗浄することが望ましい。
凝固剤中で任意の形状としたポリケトンを、引き続き加熱し、又は減圧環境下に置くことにより凝固剤を抽出、除去することでポリケトン成形体とすることが出来る。加熱により凝固剤を除去する場合の加熱温度は、凝固剤の沸点〜ポリケトンの融点が好ましい。
さらに必要に応じては、ポリケトン成形体を引き続き加熱、延伸することで結晶化度が高く、強度、弾性率等の力学的性質に優れる成形体に加工してもよい。加熱、延伸の条件は目的、用途に応じて適宜選定することが出来るが、産業資材繊維用途の場合では、温度200〜270℃で5〜20倍の範囲が好適であり、延伸を2段以上の多段で行い、延伸温度を徐々に高くしていく多段延伸が特に好ましい。
成形体がポリケトン繊維であり、コードに加工して補強材料として用いる場合、撚糸数は用途に応じて選定される。一般的には撚り係数Kが1000〜30000の範囲で撚糸を行う。
ゴム補強用繊維とする場合には撚り合わされたポリケトンコードを、そのままあるいはすだれ状に製織し、引き続きレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液を付着させ、樹脂を固着させる。RFL液の組成としては、レゾルシンを0.1〜10wt%、ホルマリンを0.1〜10wt%、ラテックスを1〜28wt%が望ましい。また、RFL液の乾燥温度としては好ましくは100〜250℃、より好ましくは140〜200℃であり、少なくとも10秒、好ましくは20〜120秒間乾燥熱処理する。乾燥後のコードには、引き続き熱処理を行う。熱処理の温度、張力、時間はそれぞれ、150〜250℃、0.01〜0.7cN/dtex、10〜300秒とすることが好ましい。
本発明を実施例等により具体的に説明するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例に用いた有機溶媒は、有機合成用に脱水されたものを、重合前に乾燥窒素気流下で硫酸マグネシウムにより更に脱水させて得られる完全乾燥溶媒である。水は金属等の不純物を含まない蒸留水を用いた。酸に用いた硫酸は、試薬特級96wt%硫酸を用いた。この硫酸は、4wt%の水分を含んでおり、それを考慮して、実施例の硫酸使用量及び水含有率になるよう調製し重合を行った。
本発明に用いられる各測定値の測定方法は次の通りである。
(1)極限粘度([η])
極限粘度[η]は次の数式5に基づいて求めた。
式中、t及びTは純度98%以上のヘキサフルオロイソプロパノール及びヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流下時間、Cは上記溶液100ml中のグラム単位による溶質質量値である。
(2)重合活性
単位パラジウム量、単位時間あたりのポリケトンの収量を表し、数式(7)により計算した。
(3)ポリケトン中の元素量
Pd、P、Zn、Caの各元素について、高周波プラズマ発光分光分析により、公知の方法を用いて測定した。
(4)末端基比率
0.03wt%のテトラメチルシランを含有する重水素化クロロホルム0.05mlと重水素化−ヘキサフルオロイソプロパノール0.6mlの混合溶液にポリケトン12mgを溶解し、Bruker社製FT−NMR(商品名:DPX−400)を用いて、1H−NMRの測定を行った。テトラメチルシランを基準ピーク(0ppm)として以下の方法で求めた。
4−1)重合溶剤にメタノールを用いる場合:
3.7ppm付近に観察されるピーク(〜COOCH 3に対応するピーク)の面積をM、1.1ppm付近に観察されるピーク(〜CH2CH 3に対応するピーク)の面積をKとして、M/Kを末端基比率とした。
4−2)重合溶剤にエタノールを用いる場合:
1.3ppm付近に観察されるピーク(〜COOCH2CH 3に対応するピーク)の面積をE、(1.1ppm付近に観察されるピーク(〜CH2CH 3に対応するピーク)の面積をKとして、E/Kを末端基比率とした。
4−3)重合溶剤にイソプロパノールを用いる場合:
1.2ppm付近に観察されるピーク(〜COOCH(CH 3)2に対応するピーク)の面積をP、(1.1ppm付近に観察されるピーク(〜CH2CH 3に対応するピーク)の面積をKとして、(P/K)/2を末端基比率とした。
(5)乾熱耐熱性Tm3
試料5mgを窒素雰囲気下でアルミニウムパンに封入し、パーキンエルマー社製示差熱測定装置Pyris1(商品名)を用いて下記条件で測定を行った。
サンプル重量: 1mg
雰囲気 : 窒素、流量=200ml/分
温度条件 :▲1▼20℃で1分間保持
▲2▼20℃→280℃(昇温速度=20℃/分)
▲3▼280℃→20℃(降温速度=20℃/分)
▲4▼20℃→280℃(昇温速度=20℃/分)
▲5▼280℃で10分間保持
▲6▼280℃→20℃(降温速度=20℃/分)
▲7▼20℃→280℃(昇温速度=20℃/分)
▲7▼の最後の昇温過程で観察される最大の吸熱ピークのピークトップ温度Tm3を計測した。
Tm3≧240℃ :乾熱耐熱性極めて良好 :◎
230≦Tm3<240℃:乾熱耐熱性良好 :○
220≦Tm3<230℃:乾熱耐熱性並 :△
Tm3<220℃ :乾熱耐熱性極めて不良 :×
(6)溶剤耐熱性
ポリケトンを塩化亜鉛65g、水35gからなる塩化亜鉛水溶液に添加混合し、80℃で2時間攪拌しドープとした。塩化亜鉛水溶液で溶解するポリケトンの濃度は、ドープの粘度が300〜500Pa・sとなるようにポリケトンの極限粘度に応じて変更した。
さらに、このドープを80℃に保温したまま24時間保持し、24時間保持前後のドープについて、東京計器(株)社製B8H型粘度計(商品名)を用いて80℃における溶液粘度を測定した。ドープ調製直後の溶液粘度をη0、24時間保温後の溶液粘度をη24とした時に、下式により求められる溶液粘度増加率を溶剤中の耐熱性の指標とした。
溶液粘度増加率=(η24−η0)/η0×100 (%)
この溶液粘度増加率が小さいほど、金属塩溶剤中での変性が少なく溶剤安定性に優れることを意味する。
溶液粘度増加率≦30% : 溶剤耐熱性極めて良好 : ◎
30<溶液粘度増加率≦50% : 溶剤耐熱性良好 : ○
50<溶液粘度増加率≦100%: 溶剤耐熱性不良 : △
溶液粘度増加率>100% : 溶剤耐熱性極めて不良 : ×
(7)融点
(5)の耐熱性試験において1回目の昇温過程▲2▼で観察される100℃→280℃における最大の吸熱ピークのピークトップ温度を融点とした。
(8)紫外線スペクトルの測定
ポリケトン100mgをヘキサフルオロイソプロパノール(セントラル硝子(株)社製)100gに溶解し、これを石英ガラス製のセル中に入れ、紫外可視分光光度計V−530(日本分光(株)社製)を用いて紫外線スペクトルを測定した。測定条件は、走査速度=200nm/分、データ取り込み間隔=0.5nm、バンド幅=2.0nm、レスポンス=Quick、測定範囲=200〜600nm、ベースライン=補正有り、である。
この測定において、200〜250nmに観測される吸光度の極小値をUVminとした。この値が小さいほど、ポリケトンの不純物が少なく、熱劣化が少ないことを意味する。
(9)繊維の強度、弾性率
繊維の強伸度は、JIS−L−1013に基づいて測定した。
<実施例1>
酢酸パラジウム25マイクロモル、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパンを30マイクロモルと硫酸1ミリモル及び1,4−ベンゾキノン2.5ミリモルをアセトン40ミリリットルに溶解して触媒液とした。この触媒液をメタノール水混合溶媒(水を12容量%含む)1000ミリリットルの入った容量2000ミリリットルのステンレス製オートクレーブに投入した。なお、触媒投入前にオートクレーブ中でメタノール水混合溶媒には予め30℃、3MPaで3回の窒素置換を行った。
オートクレーブを密閉後、内容物を撹拌しながら加温し、内温が85℃に達した時点でエチレンを内圧が4.5MPaになるまで加え、続いて一酸化炭素を内圧が9.0MPaになるまで加えた。その後、エチレンと一酸化炭素の比率が1:1の混合ガスを連続的に供給して内圧を9.0MPa、内温を85℃に保ちながら、4時間撹拌を続けた。冷却後、オートクレーブ内気体をパージし、内容物を取り出した。反応溶液を以下の条件で処理した。得られたポリケトン懸濁液を遠心分離し液体成分が35wt%の湿潤ポリケトン粉体とした後に、2リットルのメタノールで洗浄後、再度濾過、遠心分離を行い液体成分が30wt%の湿潤ポリケトン粉体を得た。さらに35℃、2リットルの水で洗浄後、2リットルのメタノール洗浄を行った後に遠心分離を行い液体成分が25wt%の湿潤ポリケトン粉体を得た。この湿潤ポリケトン粉体を窒素雰囲気下、80℃で4時間の乾燥を行い、重合体297gを得た。
13C−NMR及びIRの測定結果から、この重合体は、実質的に一酸化炭素由来の繰り返し単位とエチレン由来の繰り返し単位からなるポリケトンであることがわかった。その融点は261℃であった。重合活性は28.0kg/g−Pd・hrで、[η]は6.2dl/gであった。このポリケトン中のPd量は5ppm、P量は3ppmであった。また、末端基A/末端基Bの比率は2.2であった。得られたポリケトンは平均粒径が0.5mm、嵩密度は27g/100mlであった。
このポリケトンは、UVminが0.11であり、Tm3が241℃、溶液粘度増加率が32.0%と共に良好な耐熱性を有していた。
<実施例2>
酢酸パラジウム1.25マイクロモル、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン1.5マイクロモル及び硫酸50マイクロモルをアセトン4mlに溶解し触媒液とした。これを水を2000ppm含んだメタノール/水混合溶媒50mlに溶解し、この溶液を窒素置換したステンレス製100ml容のオートクレーブに投入した。
この後、温度を80℃に昇温し、エチレンを内圧が4.5MPaになるまで投入した後、一酸化炭素を内圧が9.0MPaになるまで投入した。以後はエチレンと一酸化炭素の比率が1:1の混合ガスを連続的に供給して内圧を9.0MPa、内温を85℃に保ちながら、実施例1と同様の処方で4時間の重合を行い、1.33gのポリケトンを得た。重合活性は20.0kg/g−Pd・hrで、[η]は3.6dl/gであった。このポリケトン中のPd量は9ppm、末端基A/末端基Bの比率は、7.1であった。このポリケトンは良好な耐熱性を有していた。
<実施例3>
実施例1において、触媒液の組成を酢酸パラジウム10マイクロモル、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパンを12マイクロモルと硫酸1ミリモル及び1,4−ベンゾキノン5.0ミリモルとしたこと及び、重合時間を10時間とした以外は同様にして重合を行い、274gのポリケトンを得た。重合活性は25.7kg/g−Pd・hrで、[η]は6.3dl/gであった。このポリケトン中のPd量は2ppm、末端基A/末端基Bの比率は、2.0であった。このポリケトンは、良好な耐熱性を有していた。
<実施例4>
実施例1において、触媒液の組成を酢酸パラジウム15マイクロモル、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパンを18マイクロモルと硫酸1ミリモル及び1,4−ベンゾキノン7.5ミリモルとした及び重合開始前にエチレンを内圧が5.0MPaまで加え、次いで一酸化炭素を内圧が9.0MPaになるまで加えた以外は同様にして反応を行い、199gのポリケトンを得た。重合活性は31.2kg/g−Pd・hrで、[η]は6.4dl/gという高い値であった。このポリケトン中のPd量は3ppm、末端基A/末端基Bの比率は1.9であった。このポリケトンは、Tm3、溶液粘度増加率ともに優れ、優れた耐熱性を有していた。
<実施例5>
実施例4において、重合開始前にエチレンを内圧が5.0MPaになるまで加え、次いで一酸化炭素を内圧が7.0MPaになるまで加えて重合を開始したこと以外は同様にして反応を行い、153gのポリケトンを得た。重合活性は24.0kg/g−Pd・hrで、[η]は2.7dl/gであった。ポリケトン中のPd量は8ppm、末端基A/末端基Bの比率は1.3であった。このポリケトンは、優れた耐熱性を有していた。
<実施例6>
実施例5において、重合開始前にエチレンを内圧が5.5MPaになるまで加え、次いで一酸化炭素を内圧が7.0MPaになるまで加えて重合を開始した以外は同様にして反応を行い、119gのポリケトンを得た。重合活性は18.7kg/g−Pd・hrで、[η]は2.6dl/gであった。このポリケトン中のPd量は9ppm、末端基A/末端基Bの比率は、0.9であった。このポリケトンは、Tm3および溶液粘度増加率ともに優れていた。
<実施例7>
酢酸パラジウム3.125マイクロモル、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン3.75マイクロモル及び硫酸50マイクロモル、1,4−ベンゾキノン1.25ミリモルを含有する20.0mlの触媒液(アセトン/メタノール/水=10ml/9.9ml/0.1ml)を、窒素置換した250mlのメタノールの入ったハステロイ製500ml容のオートクレーブに投入した。この後、温度を85℃に昇温し、内圧が12MPaになるようにエチレンと一酸化炭素の比率が1:1の混合ガスを投入し、以後、内圧を12.0MPa、内温を85℃に保ちながら、実施例1と同様の処方で2時間の重合を行った。重合活性は27.5kg/g−Pd・hrで、[η]は3.2dl/gであった。このポリケトン中のPd量は15ppm、末端基A/末端基Bの比率は、7.5であった。このポリケトンは良好な耐熱性を有していた。
<実施例8>
実施例7において、重合圧力を24.0MPaとした以外は同様にして重合を行った。重合活性は40.6kg/g−Pd・hr、[η]は7.0dl/gであった。このポリケトン中のPd量は11ppm、末端基A/末端基Bの比率は、2.7であった。このポリケトンは良好な耐熱性を有していた。
<実施例9>
実施例7において、重合溶媒をイソプロパノールとして、重合温度を95℃、重合圧力を15.0MPaとした以外は同様にして重合を行った。重合活性は25.0kg/g−Pd・hr、[η]は4.8dl/gであった。このポリケトン中のPd量は18ppmであった。末端基Aは当量比で95%がイソプロピルエステル末端、5%がメチルエステル末端であり、末端基A/末端基Bの比率は1.9であった。このポリケトンは良好な耐熱性を有していた。
<実施例10>
実施例9において、重合温度を100℃、重合圧力を20.0MPa、重合時間を3時間とした以外は同様にして重合を行った。重合活性は24.8kg/g−Pd・hr、[η]は5.5dl/gであった。このポリケトン中のPd量は13ppmであった。末端基Aは当量比で97%がイソプロピルエステル末端、3%がメチルエステル末端であり、末端基A/末端基Bの比率は1.6であった。このポリケトンは良好な耐熱性を有していた。
<実施例11>
実施例1において、重合温度を100℃、重合時間を2時間とした以外は同様にして重合を行った。重合活性は61.4kg/g−Pd・hrと極めて高く、[η]は3.6dl/gであった。このポリケトン中のPd量は5ppm、末端基A/末端基Bの比率は、5.7であった。このポリケトンは、Tm3および溶液粘度増加率ともに優れていた。
<実施例12>
実施例1において、硫酸を用いる替わりにトリフルオロ酢酸500マイクロモルとし、重合溶媒を水を90ppm含有するメタノールとして、重合温度を70℃、重合圧力を9.0MPa(エチレンを3.3MPaまで投入後、エチレン:一酸化炭素を1:1で含む混合ガスを9.0MPaになるまで投入)、重合時間を4時間とした以外は同様にして反応を行った。重合活性は12.8kg/g−Pd・hrで、[η]は13.9であった。このポリケトン中のPd量は18ppm、末端基A/末端基Bの比率は、2.4であった。このポリケトンは、Tm3および溶液粘度増加率ともに優れていた。
<実施例13>
実施例1において、重合溶剤を水を20容量%含んだエタノールとした以外は同様にして反応を行い、321gのポリケトンを得た。重合活性は30.1kg/g−Pd・hrで、[η]は6.5dl/gであった。このポリケトン中のPd量は5ppm、P量は4ppmであった。末端基Aはエチルエステル末端基のみが観測され、末端基A/末端基Bの比率は、2.7であった。このポリケトンは、Tm3および溶液粘度増加率ともに優れていた。
<実施例14>
実施例1において、硫酸の替わりにメタンスルホン酸を用いること、ベンゾキノンの替わりにナフトキノンを用いること、重合溶剤を水を0.1容量%含有するメタノールとした以外は同様にして重合を行い、227gのポリケトンを得た。重合活性は21.3kg/g−Pd・hrで、[η]は6.3dl/gであった。このポリケトン中のPd量は7ppm、P量は10ppmであった。末端基A/末端基Bの比率は、2.5であった。このポリケトンは、Tm3および溶液粘度増加率ともに優れていた。
<比較例1>
酢酸パラジウム1.65ミリモル、1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパンを1.98ミリモルとトリフルオロ酢酸33.0ミリモル及び1,4−ベンゾキノン330ミリモルをアセトン500mlに溶解して触媒液とした。この触媒液をメタノール27リットルの入った容量55リットルのステンレス製オートクレーブに投入した。なお、触媒投入前にオートクレーブ中でメタノールには予め30℃、3MPaで3回の窒素置換を行った。
オートクレーブを密閉後、内容物を撹拌しながら加温し、内温が80℃に達した時点でエチレンと一酸化炭素の比率が1:1の混合ガスを連続的に供給して内圧を5.5MPaまで上げた後に、内圧を5.5MPa、内温を80℃に保ちながら1時間撹拌を続けた。冷却後、オートクレーブ内気体をパージし、内容物を取り出した。反応溶液を濾過し、36リットルのメタノールで洗浄を行った後に減圧乾燥し、重合体879gを得た。重合活性は5.0kg/g−Pd・hrで、[η]は4.6dl/g、平均粒径が1.5mm、嵩密度は21g/100mlであった。
このポリケトン中のPd量は155ppm、P量は130ppmと非常に多く本発明の範囲外のものであった。このポリケトンは耐熱性試験においてTm3が215℃、溶液粘度増加率が105.5%と共に極めて不良であった。
<比較例2>
比較例1において反応時間を4時間とした以外は同様にして反応を行い、重合体3374gを得た。重合活性は4.8kg/g−Pd・hrで、[η]は5.9dl/gであった。このポリケトン中のPd量は44ppm、P量は30ppmと非常に多く本発明の範囲外のものであった。このポリケトンは、耐熱性および溶液粘度増加率ともに不良であった。
<比較例3>
実施例2において重合溶媒を水を75容量%含有するメタノールとした以外は同様にして反応を行い、12.2gの重合体を得た。重合活性は15.3kg/g−Pd・hrであった。[η]は2.1dl/gと不十分なものであった。
<比較例4>
実施例1において、酸を硫酸に替えてトリフルオロ酢酸を用い、リン配位子に1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを用い、重合溶剤にメタノールを用い、重合温度を90℃、重合圧力を5.5MPa(エチレン/一酸化炭素の1:1混合ガス)とした以外は同様にして重合を行った。重合活性は10.5kg/g−Pd・hrで、[η]は0.9dl/gであり、これは産業資材用原料としては不十分であり、本発明の範囲外のものであった。このポリケトン中のPd量は75ppmと非常に多く、また、末端にA/末端基Bの比率も8.9と高く本発明の範囲外のものであった。このポリケトンは、耐熱性が極めて不良であった。
<比較例5>
実施例1において、酢酸パラジウムを50マイクロモル、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを60マイクロモルとトリフルオロ酢酸1ミリモル及び1,4−ベンゾキノン10ミリモルをアセトン80ミリリットルに溶解して触媒液とし、重合溶剤にメタノールを用い、エチレンを内圧が3.5MPaになるまで投入後、一酸化炭素を内圧が7.0MPaになるまで加えて反応を開始し、その後反応を内圧7.0MPa、温度90℃で行う以外は同様にして、4時間の反応を行い、328gのポリケトンを得た。
重合活性は9.8kg/g−Pd・hrであり、このポリケトン中のPd量は21ppm、P量は15ppm、末端基A/末端基Bの比率は2.9であった。[η]が1.9dl/gと不十分であり、本発明の範囲外のものであった。
<比較例6>
比較例2において、重合溶剤をアセトン27リットルとし、重合後の洗浄を36リットルのアセトンで行う以外は同様にして、4時間の重合および洗浄、乾燥を行い[η]6.7dl/gのポリケトン492gを得た。重合活性は0.7kg/g−Pd・hrと全く不十分であった。このポリケトン中のPd量は280ppm、P量は90ppmと非常に多く本発明の範囲外のものであった。NMRで観察したところ、このポリケトンにはアルキルエステル末端基(末端基A)はないことが確認された。このポリケトンは、耐熱性が極めて不良であった。
<比較例7>
比較例2において、重合溶剤に水を12容量%含有するメチルエチルケトン27リットルを用い、重合後の洗浄を36リットルのメチルエチルケトンで行う以外は同様にして、4時間の重合および洗浄、乾燥を行い[η]6.5dl/gのポリケトン2320gを得た。重合活性は3.3kg/g−Pd・hrであった。このポリケトン中のPd量は45ppmと多く本発明の範囲外のものであった。NMRで観察したところ、このポリケトンにはアルキルエステル末端基(末端基A)はないことが確認された。このポリケトンは耐熱性が不十分であった。
<比較例8>
比較例2において、重合溶剤に水を12容量%含有する1−オクタノール27リットルを用い、重合後の洗浄を36リットルの1−オクタノールで行い、引き続き27リットルのメタノールで洗浄を行う以外は同様にして、4時間の重合および洗浄、乾燥を行い[η]7.7dl/gのポリケトンを得た。重合活性は1.2kg/g−Pd・hrであった。このポリケトン中のPd量は138ppmと多く本発明の範囲外のものであり、耐熱性が不十分であった。
<比較例9>
比較例4と同じ処方で4時間の重合を行った後に、冷却し、内温が60℃まで下がった時点で内圧を0.3MPaまで減圧および窒素パージし、33ミリモルの1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパンを含有するアセトン溶液500ミリリットルを注入した。注入後引き続き、内温を110℃まで上げて15分間攪拌した。攪拌停止後、再度冷却し、その後オートクレーブ内気体をパージし、内容物を取り出した。反応溶液を濾過し、5リットルのメタノールで洗浄を行った後に、3リットルのアセトンで洗浄し、さらに3リットルのメタノールで洗浄の3段階の洗浄を行った後に減圧乾燥し、重合体を得た。
このポリケトン中のPd量及びP量は、後処理によりそれぞれ、12ppm、及び20ppmへと減少していた。しかし[η]は0.9と本発明の範囲外のものであった。このポリケトンは、乾熱耐熱性において比較例4より改善され良好となったが、溶剤耐熱性(溶液粘度増加率)は極めて不良であった。
<比較例10>
比較例6と同じ処方で重合を行った。反応終了後取り出されたポリケトン−アセトン懸濁液10リットルを2,4−ペンタンジオン20リットルで洗浄ろ過した。その後、重合体を20リットルの2,4−ペンタンジオンに加えて攪拌下、120℃、6時間の処理を行った後に、メタノールで洗浄、減圧乾燥し重合体を得た。
このポリケトンの[η]は6.7と比較例6とほぼ同一であったが、Pd量及びP量は後処理によりそれぞれ9ppm、及び13ppmと減少していた。しかし、このポリケトンは末端基Aを有さず(即ち、末端基A/末端基Bの比率は0.0)、本発明の範囲外のものであった。このポリケトンは、耐熱性は比較例6より改善されたが、溶液粘度増加率は極めて不良であった。
<比較例11>
比較例1において、重合圧力を4.0MPa、重合時間を4時間とする以外は同様にして重合を行った。重合活性は3.0kg/g−Pd・hrと低く、得られたポリケトンの[η]は5.3dl/gであったが、Pd量が81ppmと本発明の範囲外であった。末端基A/末端基Bの比率は4.3であり、Tm3、溶液粘度増加率ともに不良であった。
<比較例12>
比較例1において、配位子に1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンを用い、重合温度を45℃、重合圧力を5.5MPa、重合時間を22時間とする以外は同様にして重合を行った。重合活性は1.0kg/g−Pd・hrと極めて低かった。得られたポリケトンは、[η]は6.3dl/gであったが、Pd量が43ppmと本発明の範囲外であった。末端基A/末端基Bの比率は6.9であり、Tm3、溶液粘度増加率ともに極めて不良であった。
<比較例13>
実施例2において、酢酸パラジウムを酢酸ニッケルに替え、リン配位子を1,2−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)}エタンに替え、重合温度を85℃、重合圧力を7.0MPa(エチレン/一酸化炭素の1/1混合ガス)、重合時間を0.5hrとした以外は同様にして重合を行ったところ、痕跡量のポリケトンしか得られなかった。
上記実施例の結果をまとめたものを表1及び表2に、比較例の結果をまとめたものを表3及び表4に示す。
実施例1〜14のポリケトンは本発明の請求の範囲内の[η]、Pd元素量、末端基比率を具備しており、乾熱耐熱性および溶剤耐熱性(溶液粘度増加率)の両方で優れた性質を示している。一方、比較例1〜13のポリケトンは、[η]、Pd元素量、末端基比率の少なくとも1つが本発明の範囲外にあり、乾熱耐熱性、溶剤耐熱性(溶液粘度増加率)のいずれか、または、その両方で本発明のポリケトンに劣るものである。
<実施例15>
実施例3で重合したポリケトンを、塩化カルシウム30wt%/塩化亜鉛22wt%/塩化リチウム10wt%を含有する水溶液に溶解して、ポリケトン濃度6.5wt%のドープを得た。得られたドープを80℃に加温し、紡口径0.15mmφ、ホール数250の紡口より10mmのエアーギャップを通した後に、2wt%の塩化カルシウム、1.1wt%の塩化亜鉛、0.5wt%の塩化リチウムおよび0.1wt%の塩酸を含有する−2℃の水からなる凝固浴中に押し出した。紡糸性は良好で6時間の紡糸中に押出圧力の上昇や紡口詰まり、糸切れ等のトラブルは一度も生じなかった。
引き続き、糸条を40℃の0.1wt%の塩酸水溶液で1分間、さらに、40℃の水で1分間洗浄した後に、IRGANOX(登録商標、Ciba Specialty Chemicals社製)1098、IRGANOX(登録商標、Ciba Specialty Chemicals社製)1076をそれぞれ0.05wt%ずつ(対ポリケトン)配合した後に、225℃にて定長乾燥した。
乾燥した繊維に、ステアリルホスフェートカリウム塩水分散液を供給し、引き続き225℃/240℃/250℃/257℃でそれぞれ6.5倍/1.5倍/1.3倍/1.2倍の、トータル15.2倍の4段延伸を行い、総繊度250dtexのポリケトン繊維を得た。この繊維は、融点268℃、強度17.5cN/dtex、伸度5.6%、弾性率365cN/dtexと産業資材として極めて優れた熱的、機械的特性を有していた。
このポリケトン繊維の極限粘度は3.7であり、繊維に残存する金属元素量を測定したところ、Pd元素量2ppm、Zn元素量9ppm、Ca元素量8ppmと少量の残存金属があるのみであった。また、この繊維をメチルエチルケトンにて80℃、4時間のソックスレー抽出を行い、熱安定剤を抽出除去した後に末端構造を測定したところ末端基A/末端基Bの当量比は2.1であった。
<比較例14>
比較例1で重合したポリケトンを、実施例15と同じ条件、方法で紡糸、洗浄、乾燥、延伸を行った。6時間の紡糸の間で80%の押出圧力の上昇が観察され、6時間後に紡口から押し出されたドープは黄色に着色していた。また、紡糸開始3時間までは紡糸性に問題はなかったが、3時間以降で計8回の単糸切れが観察された。また、延伸工程においても、紡糸開始後3時間以降に押し出されたドープから紡糸された糸では毛羽や単糸切れが多発した。
得られた繊維は、総繊度260cN/dtex、融点267℃、強度15.2cN/dtex、伸度5.1%、弾性率355cN/dtexであった。この繊維の[η]は2.7であり、繊維中に残存する金属元素量は、Pd元素量145ppm、Zn元素量30ppm、Ca元素量20ppmと非常に多量の金属元素を含有していた。また、実施例8と同様の処理をして末端構造を調べたところ末端基A/末端基Bの当量比は4.3であった。
<比較例14>
比較例2で重合したポリケトンを、実施例15と同じ条件、方法で紡糸、洗浄、乾燥、延伸を行った。6時間の紡糸の過程で、紡口詰まりや糸切れ等は観察されなかったが、6時間の間に15%の押出圧力の上昇が観察され、6時間後に紡口から押し出されたドープは薄い黄色に着色していた。
得られた繊維は、総繊度252cN/dtex、融点268℃、強度17.3cN/dtex、伸度5.6%、弾性率366cN/dtexであった。この繊維は[η]が3.2であり、繊維中に残存する金属元素量は、Pd元素量40ppm、Zn元素量22ppm、Ca元素量15ppmと多量の金属元素を含有していた。末端基A/末端基Bの当量比は3.1であった。
<比較例15>
比較例5で重合したポリケトンを、ポリマー濃度を22wt%とする以外は実施例1と同様にして紡糸、乾燥、延伸を行った。紡糸性は極めて不良で、分子量が低すぎるため凝固した糸の強度が低く、凝固浴から引き上げる際に単糸切れ、断糸が多発した。また、高倍率の延伸では断糸したため、延伸条件を225℃/240℃/255℃で6倍/1.5倍/1.25倍のトータル11.3倍の3段延伸とした。
得られた繊維は、総繊度1210cN/dtex、融点263℃、強度8.2cN/dtex、伸度7.4%、弾性率159cN/dtexと不十分なものであった。この繊維は末端基A/末端基Bの当量比は2.3、繊維中に残存する金属元素量は、Pd元素量10ppm、Zn元素量18ppm、Ca元素量10ppmであったが、[η]が1.2と全く不十分であった。
<実施例16>
実施例15で作製したポリケトン繊維6本を合糸し、カジ鉄工社製リング撚糸機を用い、Z方向に下撚り後これを2本双糸しS方向に上撚りして生コードとした(下撚り/上撚りともに390T/m)。この生コードを、下記の液組成のRFL液に浸漬した後に、張力3N、160℃で120秒間、張力4.2N、220℃で60秒間、張力2.8N、220℃で60秒間の熱処理を段階的に加えてコードを得た。
(RFL液組成)
レゾルシン 22.0部
ホルマリン(30質量%) 30.0部
水酸化ナトリウム(10質量%) 14.0部
水 570.0部
ビニルピリジンラテックス(41質量%) 364.0部
得られたポリケトンコードは、引っ張り強度11.8cN/dtex、中間伸度3.1%、乾熱収縮率0.4%と極めて優れた力学特性および寸法安定性を有するものであった。このコードを、天然ゴム70%、SBR15%、カーボンブラック15%配合の未加硫ゴム中に25本/インチで上下2層に配列し、135℃、35kg/cm2、40分の加硫を行い厚さ8mmのベルトを得た。ベルトに10kgの荷重をかけて100rpmでフレックス試験を行った。8時間の試験でもベルトは破断を起こさず、高荷重に耐えうるものであった。疲労試験後にベルトから抜き出したコードは、疲労試験前の60%の強度を維持していた。
産業上の利用可能性
短時間の重合工程で製造可能であり、かつ、過剰な洗浄工程を必要とせず生産性の高い方法で得られるポリケトンであって、高強度、高弾性率、高融点の優れた機械的、熱的特性を発現可能であり、かつ、加熱や溶剤への溶解等の成形加工時の耐熱性、耐溶剤性に優れ、製造時の劣化が少なく、熱特性の優れる成形体を安定した品質で製造可能なポリケトンである。本発明のポリケトン成形体は、繊維やフィルム等任意の形状で用いることができ、衣料用途、ゴムや樹脂・セメント・光ファイバー等の補強材料、電子材料、電池材料、土木資材、医療用資材、生活資材、漁獲資材、包装資材等の幅広い用途に適用することが出来る。
Claims (25)
- 極限粘度が4.0〜8.0dl/gであり、かつ、末端基A/末端基Bの当量比が0.5〜3.0であり、Pd元素の含有量が0〜10ppmである、請求項1記載のポリケトン。
- カルボン酸末端基量が0〜10ミリ当量/kgである、請求項1または2に記載のポリケトン。
- DSC融点Tm3が230℃以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリケトン。
- DSC融点Tm3が240℃以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリケトン。
- ポリケトンをヘキサフルオロイソプロパノール中にその濃度が0.1wt%となるように溶解し、石英セル中、走査速度=200nm/分、データ取り込み間隔=0.5nmで、この溶液の紫外線スペクトルを測定したときに、200〜250nmの波長に見られる吸光度の極小値が0.14以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリケトン。
- 請求項10記載のポリケトン繊維を少なくとも50wt%以上含有する、タイヤコード。
- 請求項9記載のポリケトン成形体又は請求項10に記載のポリケトン繊維を少なくとも一部に使用することを特徴とするポリケトン製品。
- ポリケトン製品がタイヤ、ベルト又は建材である、請求項12記載のポリケトン製品。
- 請求項10記載のポリケトン繊維を全繊維中1wt%以上含む、繊維強化複合材料。
- 重合温度が70〜200℃、重合圧力が7MPa以上である、請求項15記載のポリケトンの製造方法。
- (a)が酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトネート、及び塩化パラジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のパラジウム化合物であって、
(b)が1,3−ビス{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}プロパン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,2−ビス[{ジ(2−メトキシフェニル)ホスフィノ}メチル]ベンゼン、及び1,3−ビス{ジ(2−メトキシ−4−スルホン酸ナトリウム−フェニル)ホスフィノ}プロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種のリン二座配位子であり、
(c)が、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、及びトリフルオロ酢酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸であり、
(d)が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、及びイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルコールを含有する溶剤である、請求項15または16に記載のポリケトンの製造方法。 - 共重合をベンゾキノンまたはナフトキノンの存在下で行う、請求項15〜17のいずれか一項に記載のポリケトンの製造方法。
- 反応器内部のエチレン性不飽和化合物/一酸化炭素のモル比率が、1/1〜5/1である、請求項15〜18のいずれか一項に記載のポリケトンの製造方法。
- パラジウム化合物の使用量が、重合溶剤1リットルあたり0.01〜10000マイクロモルであり、第15族元素の原子を有する二座配位子、pKaが4以下の酸の量が、パラジウム化合物1モルに対してそれぞれ、0.1〜10モル、0.1〜10000モルである、請求項15〜19のいずれか一項に記載のポリケトンの製造方法。
- 液状媒体(d)中の炭素数1〜6のアルコールの含有量が75容量%以上である、請求項15〜20のいずれか一項に記載のポリケトンの製造方法。
- pKaが4以下の酸が硫酸であり、重合溶剤が炭素数1〜6のアルコールと水とを含有し、水含率が10〜500000ppmである、請求項15〜21のいずれか一項に記載のポリケトンの製造方法。
- 一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物を共重合させ、極限粘度が3.0〜20dl/gであるポリケトンを製造する方法において、重合活性が10kg/g−Pd・hr以上である、上記ポリケトンの製造方法。
- 一酸化炭素とエチレン性不飽和化合物を共重合させ、極限粘度が2.5〜20dl/gであるポリケトンを製造する方法において、重合活性が20kg/g−Pd・hr以上であり、かつ、重合活性と重合時間(hr)の積で表される触媒効率(kg/g−Pd)が50以上である、上記ポリケトンの製造方法。
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