JP2000345431A - ポリケトン繊維及びその製造方法 - Google Patents

ポリケトン繊維及びその製造方法

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JP2000345431A
JP2000345431A JP11159258A JP15925899A JP2000345431A JP 2000345431 A JP2000345431 A JP 2000345431A JP 11159258 A JP11159258 A JP 11159258A JP 15925899 A JP15925899 A JP 15925899A JP 2000345431 A JP2000345431 A JP 2000345431A
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polyketone
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fiber
water
ppm
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JP11159258A
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Jinichiro Kato
仁一郎 加藤
Toru Morita
徹 森田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン化亜鉛水溶液を用いてポリケトンを
湿式紡糸する際に、ポリマー溶解や紡糸段階でポリマー
溶液がゲル化することなく、ポリマー溶液の粘度が安定
した状態で紡糸することができ、更に凝固後の延伸が容
易に行える結果、強度、弾性率に優れるポリケトン繊維
及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 繰り返し単位の90重量%以上が一酸化
炭素とオレフィンの交互共重合体からなるポリケトン繊
維であって、該繊維中のパラジウム、ニッケル、コバル
トからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素の含有
量が合計で1ppm以上100ppm以下であるポリケ
トン繊維、および、特定の水溶液にポリケトン溶液を押
し出した後凝固浴に通し、乾燥した後延伸するポリケト
ン繊維の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリケトン繊維及び
その製造方法に関する。更に詳しくは、ハロゲン化亜鉛
水溶液を用いてポリケトンを湿式紡糸する際に、ポリマ
ーの溶解や紡糸段階でポリマー溶液がゲル化することな
く、ポリマー溶液の粘度が安定した状態で紡糸すること
ができ、更に凝固後の延伸が容易に行え、その結果、強
度、弾性率に優れるポリケトン繊維及びその製造方法に
関する。また、触媒残渣及び/又は溶剤に用いた亜鉛塩
残量が少なく、そのために産業資材として製造時、使用
時に、優れた耐熱性、耐久性を示すポリケトン繊維に関
する。
【0002】
【従来の技術】一酸化炭素と、エチレン、プロピレンの
ようなオレフィンとをパラジウム、ニッケル、コバルト
といった遷移金属錯体を触媒として用いて重合させるこ
とにより、一酸化炭素と該オレフィンが実質完全に交互
共重合したポリケトンが得られることが知られている
(工業材料、12月号、第5ページ、1997年参
照)。ポリケトンを産業資材用繊維として応用する検討
が多くの研究者によってなされ、高強度、高弾性率、高
温での寸法安定性、接着性、耐クリープ特性を生かして
タイヤコード、ベルト等の補強繊維、コンクリート補強
用繊維といった複合材料用繊維への応用が期待されてい
る。上記の用途に最も適したポリケトンは、高度な繊維
物性を発現できるという観点から実質的に一酸化炭素と
エチレンのみからなるポリケトン〔ポリ(1−オキソト
リメチレン)〕(以下「ECO」と略記する。)である
が、このポリマーはゲル化しやすいために溶融紡糸では
得ることができず、湿式紡糸でしか得られない。
【0003】ECOを湿式紡糸する場合に用いる溶剤と
しては、ヘキサフルオロイソプロパノールやm−クレゾ
ール、レゾルシン/水といったフェノール系溶剤、レゾ
ルシン/カーボネートといった有機溶剤が知られている
(特開平2−112413号公報、特開平4−2286
13号公報、特表平7−508317号公報、特表平8
−507328号公報)。しかしながら、これらの溶剤
はいずれも毒性、可燃性が高く、用いる凝固溶剤にもメ
タノールやアセトンといった可燃性溶剤を使用せざるを
得ないので、高価な防爆施設を備えた紡糸設備が必要と
なる他、これらの溶剤はいずれも高価でありわずかな回
収ロスでさえ、紡糸コストを大きく上昇させるといった
欠点を有する。また、これらの溶剤はECOの溶解性が
悪く、溶解操作が極めて困難となる欠点があった。
【0004】これに対し、本発明者らは塩化亜鉛に代表
されるハロゲン化亜鉛塩水溶液がポリケトンの極めて優
れた溶剤になることを見い出している(特願平10−2
36595号)。この溶剤は、先に述べた有機溶剤が抱
える問題を完全に解決する全く新しいポリケトン溶剤で
ある。すなわち、ハロゲン化亜鉛水溶液は、安価、不
燃、低毒性であり、かつポリケトンを容易に溶解させる
ことが可能であり、得られたポリマー溶液は優れた湿式
紡糸適性を示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハロゲ
ン化亜鉛水溶液についても工業化検討を進める段階にお
いて問題があることがわかった。確かにハロゲン化亜鉛
水溶液はポリケトンの優れた溶剤となり得るが、ポリケ
トンの重合触媒に用いる触媒残渣が多くなるとポリケト
ンがハロゲン化亜鉛水溶液に溶解する際にゲル化が生じ
ることがわかった。ここで、ゲル化とはポリマーが溶液
中で共有結合による3次元架橋を起こすことを指す。ゲ
ル化が生じたポリマー溶液は、紡口からの押し出しが困
難になる他、ゲル化が刻々と進行するのでポリマー溶液
粘度が時間と共に増大するので安定した紡糸を行うこと
はできない。また、凝固させても延伸が困難な繊維にし
かならない。
【0006】更に、ゲル化を起こすことなく紡糸ができ
た場合であっても、凝固条件が適性化されないために、
実質的にハロゲン化亜鉛に由来する亜鉛塩が多く繊維に
残存し、延伸倍率を高くすることができず、その結果強
度や弾性率が低い繊維にしかならない。また、触媒残渣
や亜鉛塩を大量に含むポリケトン繊維は、タイヤ、ベル
ト、コンクリート補強剤等の産業資材の成形時や使用時
に高い熱が長期的に掛かる用途に使用した場合、熱安定
性が低下し、強度低下、タフネス低下、分子量低下、着
色しやすいといった問題が生じる。
【0007】しかしながら、公知文献の範囲では、解決
策はもちろんのこと、その示唆すら得られない。すなわ
ち、公知文献には、繊維製造に用いるポリケトンに残存
する触媒残渣に関する紡糸性や延伸性、得られた繊維の
耐熱性、耐久性への影響、その問題の解決策については
一切記載されていない。本発明が解決しようとする課題
は、ポリケトンをハロゲン化亜鉛水溶液に溶解する際
にゲル化が起こさないこと、更に凝固後には延伸性に
優れたポリケトン繊維状物を得ること、耐熱性、耐久
性に優れたポリケトン繊維を得ることであり、上記〜
の課題を解決して得られるポリケトン繊維及びその製
造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題を解決するために、原料のポリケトンの性質や紡糸条
件を詳細に検討した結果、ポリケトン中の触媒残渣、特
に触媒に用いた遷移金属の残渣がゲル化の原因であるこ
と、延伸倍率を高くするためには凝固後の繊維中の亜鉛
含量を十分に減らす必要があること、そして触媒残渣や
亜鉛含量を十分に減らすと得られたポリケトン繊維が耐
熱性、耐久性に優れ、高強度、高弾性率が発現すること
を見出し、更に検討した結果、本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明は、繰り返し単位の90
重量%以上が一酸化炭素とオレフィンの交互共重合体か
らなるポリケトン繊維であって、該繊維中のパラジウ
ム、ニッケル、コバルトからなる群から選ばれた少なく
とも1種の元素の含有量が合計で100ppm以下であ
るポリケトン繊維を提供するものである。本発明のポリ
ケトン繊維を構成するポリケトンは繰り返し単位の90
重量%以上が一酸化炭素とオレフィンの交互共重合体か
らなるポリケトンである。したがって、10重量%未満
でポリケトン以外の繰り返し単位を有していてもよい。
繊維としての強度、弾性率、接着性、寸法安定性、耐ク
リープ性、耐光性が優れるという点で、次の構造式
(1)に示す一酸化炭素とオレフィンが交互共重合して
なるポリケトンが特に好ましい。
【0010】
【化1】 (ここで、Rはアルキレン基を示す。)
【0011】すなわち、本発明での好ましいポリケトン
はカルボニル基がオレフィン由来のアルキレン基と交互
に配列されているポリマーであり、このポリマー中には
部分的にカルボニル基同士、アルキレン基同士が結合し
ていてもよいが、90重量%以上が一酸化炭素とオレフ
ィンの完全交互共重合体、すなわち、アルキレン基の次
にはカルボニル基が結合し、カルボニル基の次にはアル
キレン基が結合する共重合体からなるポリケトンである
ことが耐熱性、耐光性を向上させる観点から好ましい。
もちろん、ポリマー中の一酸化炭素とオレフィンが完全
交互共重合した部分の含有率は高ければ高いほどよく、
好ましくは97重量%以上であり、最も好ましくは10
0重量%である。
【0012】また、本発明のポリケトン繊維を構成する
ポリケトンは、一酸化炭素と、1種のオレフィンとのコ
ポリマーであっても、2種以上のオレフィンとの共重合
ポリマーであってもよい。用いるオレフィンの具体例と
しては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘ
キセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセ
ン、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、酢酸ビニル、ウンデンセン酸、ウンデセノール、6
−クロロヘキセン、N−ビニルイロリドン等が挙げられ
る。これらのオレフィンから得られるポリケトンとして
は、実質的に一酸化炭素とエチレンのみの完全交互共重
合単位から構成されるポリケトンが、高強度、高弾性
率、高温での寸法安定性が優れるという観点から最も好
ましい。また、本発明の溶剤への溶解性が特に優れてい
るという観点から、ポリケトンを構成するオレフィンと
して3〜10モル%、好ましくは4〜8モル%のプロピ
レンを含んだ、一酸化炭素とエチレンの交互共重合単位
と一酸化炭素とプロピレンの交互共重合単位とが混在し
たポリケトンが好ましい。
【0013】また、これらのポリケトンには、目的に応
じて酸化防止剤、ゲル化抑制剤、艶消し剤、難燃剤、紫
外線吸収剤、蛍光増白剤、金属石鹸等の添加剤を含んで
いてもよい。本発明の繊維を構成するポリケトンの製造
方法については、公知の方法をそのまま、あるいは修正
して用いることができる。例えば、一酸化炭素とエチレ
ンやプロピレン等のオレフィンを、パラジウム、ニッケ
ル、コバルト等の第VIII族遷移金属化合物、次の構造式
(2)で示されるリン系二座配位子及び、pKaが4以
下の酸のアニオンからなる触媒下で重合して、本発明で
用いるポリケトンを製造することができる。
【0014】
【化2】 (ここで、R1 、R2 、R3 、R4 は異種または同種の
炭素数1〜30の有機基であり、Rは炭素数2〜5の有
機基である。)
【0015】第VIII族遷移金属化合物としては、パラジ
ウム、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、ルテニウ
ム、オスミウム、イリジウム、白金等が挙げられるが、
重合活性の観点からパラジウム、ニッケル、コバルトが
好ましく、特に好ましくはパラジウムである。触媒とし
てはこれらの金属をカルボン酸塩、特に酢酸塩として用
いるのが好ましい。また、構造式(2)で示されるリン
系2座配位子については、R1 、R2 、R3 、R4 が未
置換のフェニル基、或いはR1 、R2 、R3 、R 4 の少
なくとも1つがフェニル基に結合しているリン元素に対
してオルトの位置にある1つ以上のアルコキシ基を含む
フェニル基であることが好ましい。また、2つのリン原
子を結ぶRは、トリメチレン基が好ましい。pKaが4
以下の酸としては、トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢
酸、トリクロロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げ
られる。
【0016】本発明におけるポリケトンの製造方法につ
いての具体例を以下例示する。重合は、メタノール、エ
タノールのような低級アルコール中に、パラジウム、ニ
ッケル、コバルト等の第VIII族遷移金属化合物、構造式
(2)で示されるリン系二座配位子、及びpKaが4以
下の酸のアニオンからなる触媒を添加し、この溶液に一
酸化炭素とオレフィンを導入して重合を行う。一酸化炭
素とオレフィンのモル比は、5:1〜1:2が好まし
い。触媒用いる第VIII族遷移化合物は、重合に用いるオ
レフィン1モル当たり、10-8〜0.1モル量相当の金
属元素量であることが触媒活性の観点から好ましい。特
に、得られるポリケトン中のパラジウム、ニッケル、コ
バルトからなる群の少なくとも1種の元素の量が総量と
してポリケトン中に100ppm以下しか含有されない
ように、仕込みの第VIII族遷移金属化合物を設定するこ
とが本発明の目的を達成するためには必要である。
【0017】また、構造式(2)で示されるリン系二座
配位子は、第VIII族遷移金属化合物1モル当たり0.1
〜20モル、好ましくは1〜3モルの範囲で使用するこ
とが重合活性の観点から好ましい。また、pKaが4以
下の酸は、第VIII遷移族金属化合物1グラム原子当たり
0.01〜150当量が好ましく、特に好ましくは1〜
50当量の範囲である。また、重合は、温度が50〜1
50℃、圧力が4〜10MPaで、通常10分〜20日
間行うことが好ましい。また、重合中の触媒活性を維持
するために、また、得られたポリケトンのゲル化を防止
するために、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキ
ノン等のキノン類を触媒金属元素1モルに対して、0.
1〜100モルの範囲で添加してもよい。得られたポリ
ケトンは、濾過した後、触媒、キノン等を洗い流すため
に、洗浄を行った後、乾燥してポリケトンを単離する。
また、ポリケトンの重合は、上記で示した触媒をポリマ
ー、無機粉体等に担持させた、いわゆる担持触媒として
用いた気相重合でもよく、得られたポリケトンに触媒が
残存し難いのでむしろ好ましい方法である。
【0018】こうして得られたポリケトンは元素分析等
を行い、ポリケトン中に含まれるパラジウム、ニッケ
ル、コバルト元素量を測定し、その総量が100ppm
以下であればそのまま後述する紡糸工程へ供することが
できる。しかしながら、100ppmを越える場合はポ
リケトン中に含まれるパラジウム、ニッケル、コバルト
元素量を低減する操作を行うことが必要である。これら
の金属量を低減する方法としては、特に制限はないが、
例えば得られたポリケトンを繰り返し、溶剤を用いて1
〜20回、繰り返し洗浄し、パラジウム、ニッケル、コ
バルト元素含量を100ppm以下にする方法、その他
の方法としては溶剤中にポリケトンを分散させ一酸化炭
素やリン系配位子を導入して、金属カルボニ錯体や金属
リン錯体を生成させて金属を溶出させる方法等が挙げら
れる。
【0019】その際の溶媒としては、メタノール、エタ
ノール、プロパノール等のアルコール類、ジオキサン、
テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ペン
タン、ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類などが挙
げられる。洗浄温度には特に制限はないが、例えば0〜
80℃であり、洗浄時間にも制限はないが、例えば一回
当たり10秒〜1時間であり、このようにして洗浄操作
を行って再度パラジウム、ニッケル及びコバルト含量を
測定し、その総量が100ppm以下であれば紡糸工程
へ供する。本発明のポリケトン繊維は、繰り返し単位の
90重量%以上が一酸化炭素とオレフィンの交互共重合
体からなるポリケトン繊維であって、該繊維中に含まれ
るパラジウム、ニッケル、コバルトからなる群から選ば
れた少なくとも1種の元素の含有量が合計で100pp
m以下であることが必要である。これは、例えば繊維中
にパラジウム、ニッケル、コバルトが全て含まれる場合
にはその全ての元素の含有量の合計が100ppm以下
でなければならないことを意味し、また、例えば、繊維
中にパラジウム、ニッケルの2種の元素が含まれ、残り
の一つの元素であるコバルトが含まれない場合には、含
まれる2種の元素であるパラジウムとニッケルの含有量
の合計が100ppm以下でなければならないことを意
味する。また、例えば繊維中にパラジウムのみが含ま
れ、他の2種の元素であるニッケル、コバルトが含まれ
ない場合には、パラジウムの含有量が100ppm以下
でなければならないことを意味する。
【0020】これらの金属元素含量が100ppmを越
えると、得られたポリケトンをハロゲン化亜鉛を含む水
溶液に溶解させた場合にポリケトンがゲル化し溶液粘度
が著しく増大して紡糸ができなくなったり、紡糸ができ
なくはならないが徐々に溶液粘度が高くなり、得られた
繊維の特性が紡糸時間と共に変化してしまう。また、得
られたポリケトン繊維は、加熱されると強度、伸度、弾
性率、分子量の低下、着色といった問題が起こりやすく
なる。このような問題を起こさないためには、これらの
金属元素含量をできるだけ減らすことが好ましく、具体
的には50ppm以下が好ましく、より好ましくは20
ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。下
限については0ppmが好ましいが、通常は完全にこれ
らの金属を除去することができないので0.01ppm
が下限となる。
【0021】更に、本発明のポリケトン繊維は、繰り返
し単位の90重量%以上が一酸化炭素とオレフィンの交
互共重体からなるポリケトン繊維であって、該繊維中に
含まれるパラジウム、ニッケル、コバルトからなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素の含有量が合計で10
0ppm以下であることと同時に、亜鉛元素含量が10
000ppm以下であることが好ましい。亜鉛元素は溶
剤として用いる亜鉛水溶液からポリケトン繊維に除去さ
れずに残存すものである。亜鉛元素含量が10000p
pmを越えると、延伸しにくい繊維になり、延伸倍率を
高めることが困難となって、強度や弾性率が低くなる欠
点を有する。この理由は明らかでないが、亜鉛元素がポ
リマー分子間あるいは、ポリマー分子内で架橋を起こす
ために延伸が困難になるものと推定される。亜鉛元素含
量は少なければ少ない程よいが、高度の延伸倍率を達成
するには3000ppm以下が好ましく、更に好ましく
は2000ppm以下、一層好ましくは200ppm以
下である。下限については0ppmが好ましいが、通常
は完全に該元素を除くことができないので0.1ppm
が下限となる。
【0022】また、本発明のポリケトン繊維の極限粘度
は0.3以上であることが好ましい。これは、極限粘度
が0.3未満では分子量が低すぎて強度を高くすること
が困難となるからである。得られる繊維の強度と溶解
性、紡糸性の兼ね合いから、好ましくは0.5〜15、
最も好ましくは2〜10の範囲である。ここでの極限粘
度の測定方法については、後述する実施例中に記載した
方法を採用した。また、本発明のポリケトン繊維の繊度
は特に制限はないが、通常、単糸繊度は0.01〜10
d、総繊度は5〜5000dである。
【0023】本発明のポリケトン繊維の製造方法につい
ては、特に制限はないが、以下好ましい例を挙げて説明
する。本発明のポリケトン繊維は、少なくとも1種のハ
ロゲン化亜鉛水溶液または、少なくとも1種のハロゲン
化亜鉛と該ハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1
重量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を含有する
水溶液に、繰り返し単位の90重量%以上が一酸化炭素
とオレフィンの交互共重体からなるポリケトンを0.0
05〜70重量%含有したポリケトン溶液を紡口口金か
ら押し出し、押し出された繊維状物を50重量%以上が
水で構成された凝固浴に通し、更に必要に応じて水また
はpHが4以下の水溶液で洗浄して、繊維状物に含まれ
る亜鉛元素量を10000ppm以下にした後、50℃
以上の温度で乾燥して繊維状物から水分の一部、又は全
部を除去した後、50℃以上の温度で3倍以上延伸して
製造する。
【0024】用いるハロゲン化亜鉛としては、例えば塩
化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛等が挙げられる。これらの
ハロゲン化亜鉛は純度が高ければ高いほどよく、好まし
くは90重量%以上であり、更に好ましくは95重量%
以上である。特に、回収使用する場合の回収のしやす
さ、安定性、価格を考慮すると、特に塩化亜鉛が好まし
い。また、少なくとも1種のハロゲン化亜鉛とは、複数
の種類のハロゲン化亜鉛を組み合わせて使用してもよい
ことをいう。これらのハロゲン化亜鉛は、結晶水を持っ
た状態で使用しても何ら差し支えない。
【0025】また、50℃の水に1重量%以上溶解する
少なくとも1種の金属塩とは、50℃の水に1重量%以
上溶解する金属塩であれば特に制限はなく、典型金属元
素または遷移金属元素のハロゲン化塩、硫酸塩、リン酸
塩、硝酸塩等の無機塩、酢酸塩、ぎ酸塩、スルホン酸塩
等の有機金属塩のいずれでもよいが、ハロゲン化亜鉛と
陰イオン元素を共通にすると回収しやすいという利点を
有するので、亜鉛以外のハロゲン化金属塩が好ましい。
また、金属の種類としては、得られるポリマー溶液の溶
液粘度低下の程度が大きいという観点から、ハロゲン化
アルカリ金属やハロゲン化アルカリ土類金属が好まし
い。この場合、回収をしやすくするという観点から、ハ
ロゲン化亜鉛に用いたハロゲンと同じハロゲンを陰イオ
ンに用いることが好ましく、特に塩化物が好ましい。
【0026】好ましい金属塩の具体例としては、塩化ナ
トリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化バリウ
ム、臭化ナトリウム、臭化カルシウム、臭化リチウム、
臭化バリウム、沃化ナトリウム、沃化カルシウム、沃化
リチウム、沃化バリウム等が挙げられ、ポリマー溶液の
粘度低下の大きさ、紡糸の安定性、得られる繊維の着色
が少なさ、回収のしやすさ、金属塩の安定性、コストの
観点から特に塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化バ
リウムが好ましく、特に塩化ナトリウムが好ましい。ま
た、少なくとも1種の金属塩とは、複数の種類の金属塩
を組み合わせて使用してもよいことをいう。
【0027】紡糸において、ポリケトンを溶解させる溶
剤は、少なくとも1種のハロゲン化亜鉛水溶液または、
少なくとも1種のハロゲン化亜鉛と該ハロゲン化亜鉛以
外であって50℃の水に1重量%以上溶解する少なくと
も1種の金属塩を含有した水溶液である。ハロゲン化亜
鉛の水溶液はポリケトンの優れた溶剤となるが、このま
までは得られたポリマー溶液の粘度が高すぎたり、溶液
が容易に着色する傾向がある。そこで、更に50℃の水
に1重量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩をハロ
ゲン化亜鉛水溶液に添加すると、ポリマー溶液の溶液粘
度が大幅に低下すると同時に、着色が抑制されるために
より好ましい。
【0028】用いる溶剤中に含まれる少なくとも1種の
ハロゲン化亜鉛の量としては、ハロゲン化亜鉛のみ用い
る場合は、溶剤全量の50〜75重量%が好ましい。少
なくとも1種のハロゲン化亜鉛と該ハロゲン化亜鉛以外
であって50℃の水に1重量%以上溶解する少なくとも
1種の金属塩を用いる場合は、溶剤中に含まれる少なく
とも1種のハロゲン化亜鉛の量としては溶解性の良さか
ら溶剤全量の30〜75重量%が好ましく、特に好まし
くは45〜70重量%である。また、ハロゲン化亜鉛
と、該ハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1重量
%以上溶解する少なくとも1種の金属塩との比は、ポリ
マー溶液粘度の低下と着色の抑制の観点からの98/2
〜50/50が好ましく、特に好ましくは90/10〜
66/34である。この溶液中の少なくとも1種のハロ
ゲン化亜鉛と、該ハロゲン化亜鉛以外であって50℃の
水に1重量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩は、
溶液中で反応していてもよく、例えば、塩化亜鉛と塩化
ナトリウムを用いた場合には溶解条件によっては4塩化
亜鉛錯体を形成するが、このような状態になってもよ
い。
【0029】また、溶剤に用いる水については、工業的
に用いることができるものであれば特に制限はなく、飲
料水、硬水、軟水、イオン交換処理水、川水等、任意の
ものが使用できる。更に、本発明の目的を阻害しない範
囲、通常は溶剤中の50重量%以内で、水以外の溶剤、
例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコー
ル、アセトン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホ
キシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミド等の有機溶剤や塩化水素、臭化水素、
沃化水素、硫酸等の酸を含有させてもよい。
【0030】本発明に用いるポリケトン溶液中のポリマ
ー濃度は0.005〜70重量%の範囲である。ポリマ
ー濃度が0.005重量%未満では濃度が低すぎて繊維
の製造コストが高くなりすぎる欠点を有し、また70重
量%を越えるとポリマーの溶解が極めて困難になる。溶
解性、繊維の製造コストの観点から、好ましくは0.2
〜40重量%、更に好ましくは1〜30重量%の範囲で
ある。また、ポリケトン溶液中には、本発明の目的を阻
害しない範囲で任意の添加物を含有させてもよい。その
ような添加物としては、酸化防止剤、熱安定剤、艶消し
剤、顔料、紫外線吸収剤、光安定剤等や、本発明に用い
る溶液に溶解する他のポリマー、例えば、ポリアクリロ
ニトリル、セルロース等が挙げられる。
【0031】ポリケトン溶液の調整方法としては、繰り
返し単位の90重量%以上が一酸化炭素とオレフィンの
交互共重合体であるポリケトンを、上記で説明した水溶
液に撹拌しながら一気にあるいは数回に分けて添加し、
その後撹拌操作を続けて実質的に完全溶解させて製造す
る。ポリケトン中に含まれるパラジウム、ニッケル、コ
バルト元素の含有量の合計は100ppm以下であるこ
とが好ましい。ポリケトンの形態としては、粉、チップ
等特に制限はないが、溶解速度、重合過程で生成するゲ
ル化物量が少ないという観点から粉末が好ましい。溶解
する際の温度は特に制限はないが、溶解速度、溶剤の安
定性の観点から通常は5〜90℃、好ましくは30〜8
0℃の範囲で溶解する。金属の種類、組み合わせによっ
ては、添加した金属塩それ自体や、あるいは2種もしく
はそれ以上の金属塩が互いに反応して生成する金属塩や
錯体が、温度を下げると結晶化し析出する場合がある。
そのような場合は、結晶が析出しない温度で溶解、紡糸
を行うことが重要である。また、溶解は得られたポリケ
トン溶液に気泡が入らないように減圧下で溶解させるこ
とが好ましく、減圧の程度は特に制限はないが、700
torr以下が好ましく、更に好ましくは100tor
r以下、最も好ましくは50torr以下である。溶解
方法としては、例えば撹拌羽根による撹拌、1軸または
2軸押出機を用いた撹拌、超音波を用いた撹拌等、公知
の方法が適用できる。
【0032】こうして得られたポリケトン溶液は、ご
み、ゲル化物、少量の未溶解ポリマー、触媒残渣等を除
去するために、必要に応じてフィルターを通した後、紡
口口金から押し出し、凝固浴に通してポリケトンを繊維
状物とする。凝固浴は、ポリケトン溶液から金属塩の一
部または全部を除去し、凝固浴に用いた溶液にポリケト
ンが溶解しない状態に変えて繊維形状を保持させる役割
を持つ。凝固浴に用いる溶液としては、特に制限はない
が、50重量%以上が水で構成された溶液が脱塩速度が
速いという点で好ましく、例えば、水、ハロゲン化亜鉛
または/及び該ハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水
に1重量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を50
重量%未満含む水溶液等である。もちろん、50重量%
未満の範囲でメタノール、アセトン、アセトン、メチル
エチルケトン等の有機溶剤、塩酸、臭化水素酸、硫酸、
リン酸等を含有させてもよい。これらの溶剤は必要に応
じて2種以上混合してもよい。特に好ましくは、ハロゲ
ン化亜鉛等の金属塩を繊維状物からでき得る限り除去す
るという点から実質100%の水、ポリケトン溶液の溶
剤として用いる水溶液よりも低濃度のハロゲン化亜鉛及
び/または該ハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に
1重量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を含む水
溶液、例えば、ハロゲン化亜鉛が1〜45重量%含む水
溶液、1〜30重量%のハロゲン化亜鉛及び1〜20重
量%の該ハロゲン化亜鉛以外であって50℃の水に1重
量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩を含有する水
溶液である。凝固浴の温度としては、特に制限はない
が、繊維状物からハロゲン化亜鉛等の金属塩の除去を速
くできるという観点から、20℃以上が好ましく、特に
好ましくは40℃以上、更に好ましくは50〜95℃で
ある。凝固浴に用いる溶液量は、1時間当たり吐出する
ポリケトン量の1倍以上が好ましく、更に好ましくは3
0倍以上である。
【0033】こうして固化した繊維状物は、必要に応じ
て水またはpHが4以下の水溶液で少なくとも1回洗浄
する。該洗浄は、凝固浴で除去できなかった金属塩を溶
解するために好ましい方法であり、特に、塩化亜鉛を用
いる場合には塩化亜鉛を一度水に溶解させた後、水で希
釈すると水に溶解しにくい亜鉛塩が生成し、この亜鉛塩
を除くためには、大量の水で更に洗浄したり、好ましく
はpHが4以下の水溶液、例えば、塩酸、臭化水素酸、
硫酸、リン酸等の水溶液で洗浄することが極めて有効で
ある。また、水に溶解しにくい亜鉛塩の溶解性を高める
ためには、これらの洗浄水の温度は40℃以上、好まし
くは50〜95℃にする。
【0034】以上のような凝固や洗浄において、得られ
た繊維状物に含まれる亜鉛含量を乾燥繊維量中1000
0ppm以下にすることが必要である。10000pp
mよりも亜鉛元素含量が多いと次工程の延伸において、
高い強度や弾性率を発現するための高倍率延伸ができな
くなる。亜鉛含量を10000ppm以下にするには、
凝固浴の長さ、洗浄時間を調節し、脱塩速度を上げるた
めに凝固浴や洗浄水の温度を40℃以上にすることで達
成できる。
【0035】こうして金属塩を除去された繊維状物は、
水を大量に含んでいるので50℃以上の温度で乾燥して
水分の一部または全部を除くことが好ましい。乾燥方法
としては、延伸しながら、定長で、或いは、収縮させな
がら乾燥してもよい。乾燥時の温度としては、目標とす
る乾燥程度により任意に設定できるが、通常、50〜2
30℃であり、好ましくは50〜150℃である。乾燥
するための装置としては、トンネル型乾燥機、ロール加
熱機等の公知の設備でよい。こうして乾燥を受けた繊維
は、3倍以上、更には6倍以上延伸を行って延伸糸とす
る。延伸は、延伸のしやすさから好ましくは50℃、更
に好ましくは150〜300℃の温度で、1段もしくは
多段延伸する。このような3倍以上の延伸は、繊維中に
含まれる亜鉛残量が10000ppm以下の場合には効
率良く行うことができる。尚、繊維と延伸機との摩擦、
静電気の発生を抑制し延伸を円滑にするために、乾燥か
ら延伸の任意の段階で仕上げ剤を付与することが好まし
い。仕上げ剤としては、公知のものが使用できる。
【0036】以上述べた本発明のポリケトン繊維の製造
方法は、用いた金属塩の回収工程を考慮した場合、極め
て有効である。すなわち、ハロゲン化亜鉛や該ハロゲン
化亜鉛以外であって50℃の水に1重量%以上溶解する
少なくとも1種の金属塩は、凝固、洗浄工程を経て希釈
されても、水分を除くことによりほとんどロスすること
なく再度ポリケトンの溶剤として再使用できる。もちろ
ん、部分的にロスする金属塩は、再使用する際に必要量
分のみ添加することもできる。すなわち、繊維状物から
脱落したハロゲン化亜鉛を少なくとも1ppm含む凝固
浴と洗浄に用いた水の一部又は全部を濃縮し濃縮された
水溶液に必要に応じてロス分を補うためにハロゲン化亜
鉛及び/又は50℃の水に1重量%以上溶解する少なく
とも1種の金属塩を加えた水溶液を再度ポリケトンの溶
剤として循環使用することが可能となる。もちろん、濃
縮する水溶液には、該ハロゲン化亜鉛以外であって50
℃の水に1重量%以上溶解する少なくとも1種の金属塩
が含有されていてもよい。濃縮濃縮操作としては、公知
の方法が用いられ、例えば、加熱による水の蒸発による
濃縮、限外濾過膜法やイオン交換法を用いた濃縮、中和
等を施し一旦溶剤に不溶としてから、濾過して再度元の
塩構造に戻す方法等が挙げられ、特に制限はない。
【0037】本発明のポリケトン繊維は、高強度、高弾
性率、高接着性、高温での寸法安定性、優れたクリープ
特性、耐溶剤性、耐湿熱特性といった特徴を示すと同時
に、ポリケトンの劣化を促進するパラジウム、コバル
ト、ニッケルといった触媒残渣や亜鉛含量が少なくな
り、そのためタイヤ、ベルト等の繊維強化ゴム、建材に
用いる繊維強化樹脂、建材、自動車、船舶、スポーツ用
品等に用いる繊維強化樹脂等の繊維強化複合材料の補強
繊維として用いることができる。すなわち、触媒残渣や
亜鉛量が多くなると、長期使用された場合、徐々に繊維
が劣化し補強効果がなくなってくる。本発明の触媒残渣
や亜鉛含量を特定量以下にしたポリケトン繊維を用いる
と、耐久性を低下させずに、ポリケトン繊維の優れた力
学特性、熱特性を発揮した繊維強化複合材料の性能を長
期間発揮することが可能となる。
【0038】本発明のポリケトン繊維をタイヤコードと
する場合は公知の方法を用いることができる。タイヤコ
ードとして用いる場合は単糸繊度は1〜4dが好まし
く、総繊度は500〜3000dが好ましい。必要に応
じて他の繊維、例えば、レーヨン、ポリエステル繊維、
アラミド繊維、ナイロン繊維、スチール繊維等と混合使
用してもよいが、好ましくはタイヤ中に含まれる全タイ
ヤコードの20重量%、更に好ましくは50重量%以上
使用することが性能発揮の面から好ましい。得られたポ
リケトン繊維は、合撚して100〜1000T/m、好
ましくは200〜500T/mの撚りを掛けた後、すだ
れ織りとした後、10〜30%のRFL(フェノール/
ホルマリンラテックス)液を付着させ、少なくとも10
0℃で固着させる。RFL樹脂の付着量は繊維重量に対
して2〜7重量%が好ましい。こうして得られたタイヤ
コードは、特にラジアルタイヤ用カーカス材として有用
である。得られたタイヤコードをタイヤへ加工する方法
としては、公知の方法が用いられる。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明を以下の実施例等により更
に詳しく説明するが、これらは本発明の範囲を限定する
ものではない。実施例等の説明中に用いられる各測定値
の測定方法は、次の通りである。 (1)極限粘度 極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求めた。
【式1】 定義式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサイソプ
ロパノール及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶
解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過
時間である。また、Cは上記希釈溶液100ml中のグ
ラム単位による溶質重量値である。 (2)パラジウム、ニッケル、コバルト、亜鉛元素含量 高周波プラズマ発光分光分析により、公知の方法を用い
て測定した。 (3)繊維の強力、強度、伸度、弾性率 繊維の強度、伸度などは、JIS−L−1013に準じ
て測定した。
【0040】
【参考例1】20リットルのオートクレーブにメタノー
ル1リットルを加え、更に酢酸パラジウム0.141モ
ル、ビス(2−メトキシフェニル)ホスフィノプロパン
0.0821モル、トリフルオロ酢酸1.333モルを
予めメタノール10ミリリットル中で撹拌して調整した
触媒液を加えた。その後、一酸化炭素とエチレンを1:
1モル含む混合ガスを充填し、5MPaの圧力を維持す
るように連続的に該混合ガスを追加しながら、80℃で
3.5時間反応を行った。反応後、圧力を解放し、得ら
れた白色ポリマーを繰り返しメタノールで洗浄した後単
離した。収量は、73gであった。得られたポリケトン
は核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル等の分析
によりECO〔ポリ(1−オキソトリメチレン)〕であ
った。また、その極限粘度は5.5、Pd含有量は41
ppmであった。
【0041】同様に、触媒量を変えて上記重合操作を繰
り返して、極限粘度5.6、Pd含有量105ppmの
ECO、極限粘度5.7ppm、Pd含有量5ppmの
ECOを得た。これらのポリケトンからは実質的にニッ
ケル、コバルト元素は検出されなかった。参考例1で得
た3種のポリケトンを塩化亜鉛/塩化ナトリウム/水
(重量比65/15/20)にポリマー濃度が6重量%
になるように溶解した。得られたポリマー溶液を80℃
で30時間保持し、溶液粘度の上昇を測定した。Pd含
量が5ppm、41ppmのECOを用いたポリマー溶
液の粘度上昇は、30時間経過後もほとんど認められな
かった。しかしながら、Pd残量が105ppmのEC
Oは20時間保持後で約40%、30時間後には約10
0%溶液粘度が上昇した。
【0042】
【実施例1、2】参考例1で作成した、極限粘度5.
6、Pd含有量41ppmのECOを塩化亜鉛/塩化ナ
トリウム/水(重量比65/10/25)にポリマー濃
度が12重量%になるように溶解し、80℃で紡口径
0.16mm×20ホールから吐出し、10mmのエア
ギャップを介して10℃の水を満たした1.2mの凝固
浴を通し、次に2%の硫酸を含む2mの洗浄浴を通し、
水を連続的に吹きかけるネルソンロールを通してから、
定長で240℃の乾燥ラインを通した後、ホットプレー
トを2つのフィードロールの間に備えた延伸機を用い
て、表1に記載した総延伸倍率になるように240℃で
第一段延伸、更に260℃で第二段延伸を行った後、巻
き取った。紡糸を20時間連続して行っても、特に紡糸
性、延伸性について変化はなく、良好であった。得られ
たポリケトン繊維は、表1に示すように、優れた力学物
性を示した。
【0043】
【比較例1】参考例1で作成した、極限粘度5.6、P
d含有量105ppmのECOを用いて、実施例1と同
様にして紡糸を行った。紡糸を開始後、5時間程度は安
定に紡糸を行うことができたが、その後糸切れが増大し
た。おそらく、部分的にゲル化物が蓄積し、ポリマー溶
液の円滑な吐出を妨げたものと思われる。また、ゲル化
物が延伸を妨げているためか、総延伸倍率を実施例2の
程度まで高めることはできなかった。また、強度が実施
例1に比べて低い割には、伸度も低い値を示した。得ら
れた繊維の物性値などを表1に示した。
【0044】
【実施例3】参考例1で作成した極限粘度5.7、Pd
含有量5ppmのECOを用いて、実施例1と同様にし
て紡糸を行った。得られた繊維の物性値などを表1に示
した。
【実施例4】洗浄浴に用いる液を2%の硫酸の代わりに
70℃の温水を通した以外は実施例1と同様にして紡糸
を行った。実施例1や実施例2と比較して繊維に含まれ
る亜鉛量は増大したが、ほぼ同様の延伸性を示した。得
られた繊維の物性値などを表1に示した。
【0045】
【比較例2】洗浄浴に用いる液体を2%の硫酸の代わり
に15℃の冷水を用いた以外は実施例1と同様にして紡
糸を行った。得られた繊維から亜鉛元素を十分に除去す
ることができず、そのために延伸性が阻害され、総延伸
倍率を5倍以上にしようとすると、糸切れが発生した。
延伸できる限界で巻き取った繊維の物性値等を表1に示
すが、延伸倍率が低いために、強度、弾性率が低い繊維
であった。
【実施例5】凝固浴に用いる液体を10℃の水の代わり
に、塩化亜鉛を10.0重量%と塩化ナトリウム1重量
%を含む10℃の水溶液を用い、凝固浴の長さを4mに
した以外は実施例1と同様にして紡糸を行った。得られ
た繊維の物性値などを表1に示す。実施例1と同様に、
強度、弾性率に優れた繊維を安定して得ることができ
た。
【0046】また、紡糸を5時間連続して行った後の凝
固浴は、塩化亜鉛14重量%、塩化ナトリウム1.4重
量%を含む水溶液であった。この凝固浴を120℃で加
熱し、水を留去して濃縮し、濃度を調整するために塩化
亜鉛を加えて、塩化亜鉛/塩化ナトリウム/水(重量比
65/15/20)の水溶液を得た。この水溶液に再度
実施例1で用いたポリマーを溶解させ、実施例1や実施
例2の紡糸を繰り返したが、ほぼ同じ紡糸性、延伸性で
あり、得られた繊維の物性値なども表1に示す如く変化
はなかった。このことは、本発明に用いる溶媒は、回収
性に優れることを示すものである。
【0047】
【表1】
【0048】
【実施例6】実施例3と同様の方法で得た1500d/
750fの繊維を下撚、上撚共に390T/mで合撚し
て生コードを得た。これに20%の樹脂量のRFLを樹
脂付着率が5重量%になるように付着させ、130℃、
225℃の乾燥機を通して乾燥した。こうして得たタイ
ヤコードを用いて、ラジアルタイヤを作成した。得られ
たラジアルタイヤを35℃アスファルト面に1tの乗用
車が200km/hrで走行する場合と同じ接圧をかけ
ながら接触させて200km/hrの走行する場合と同
じ回転をさせ、そのまま96時間の回転試験を行った。
96時間後、タイヤからタイヤコードを取り出し、強度
保持率を測定した。実施例3のポリケトン繊維を用いた
場合は、RFL処理後のタイヤコードと比較して強度低
下は殆ど起こっていなかった。比較として、同様の実験
を比較例1のポリケトン繊維を用いて行ったが、実験後
のタイヤコードの強度は約6%低下していた。
【0049】
【実施例7】実施例3と同様の方法で得た1500d/
750fの繊維を50mmの短繊維に切断し、該短繊維
を2部、パルプ3部、ポルトランセメント57部、、シ
リカ38部を混合した後、湿式抄造し、オートクレーブ
中120℃で成形してスレート板を作成した。こうして
得られたスレート板は強度に優れ、断面を観察したとこ
ろポリケトン繊維は均一に分散していた。スレート板か
ら取り出したポリケトン繊維の溶液粘度を測定したとこ
ろ、粘度の低下はみられなかった。しかしながら、比較
として、同様の実験を比較例1のポリケトン繊維を用い
て同様実験を行ったが、実験後のポリケトン繊維の粘度
は約12%低下していた。オートクレーブ成形の段階
で、粘度低下が起こったものと思われる。
【0050】
【実施例8】実施例1のポリケトン繊維を下撚、上撚共
に390T/mで合撚し、生コードを得た。これにエポ
キシ樹脂を樹脂付着率が5重量%になるように付着さ
せ、230℃の乾燥機で乾燥した。こうして得た処理コ
ードを定法に従って、上帆布、クロロプレンゴムからな
る圧縮ゴム層及び下帆布の構成からなる長さ1016m
mのB型コグ付きVベルトを作成した。このVベルトを
2つのプーリー間に通して2000rpmで24時間回
転させた。実験後、ポリケトン繊維をVベルトから取り
出し強度を測定したところ、エポキシ処理後の強度に対
して殆ど強度低下は起こしていなかった。比較として、
同様の実験を比較例1のポリケトン繊維を用いて同様実
験を行ったが、実験後のポリケトン繊維の強度は約15
%低下していた。
【0051】
【実施例9】ビス(シクロオクタジエン)ニッケル
(0)を0.33ミリモル、2−メルカプト安息香酸を
0.33ミリモル、トルエンを2モル、オートクレーブ
に加え、一酸化炭素とエチレンを1:1モル含む混合ガ
スを充填し、5MPaで80℃、15時間重合を行っ
た。得られたポリケトンを徹底的にアセトンで洗浄し、
極限粘度4.2、ニッケル含有量12ppm、パラジウ
ム、コバルトを実質含まないECOを得た。このポリケ
トンを用いて実施例1と同様に湿式紡糸を行った。得ら
れた繊維は、ニッケルを10ppm、亜鉛を300pp
m含み、強度10.2g/d、伸度4%を示した。
【0052】
【実施例10】酢酸パラジウムの代わりに、酢酸コバル
トを用いて参考例1の重合操作を繰り返した。得られた
ポリケトンは、極限粘度3.0、コバルト含有量41p
pm、パラジウム、ニッケルは実質含まないECOであ
った。このポリケトンを用いて実施例1と同様に湿式紡
糸を行った。得られた繊維は、コバルトを57ppm、
亜鉛を512ppm含み、強度7.2g/d、伸度4%
を示した。
【0053】
【発明の効果】本発明により、ハロゲン化亜鉛水溶液を
用いてポリケトンを湿式紡糸する際に、ポリマー溶解や
紡糸段階でポリマー溶液がゲル化することなく、ポリマ
ー溶液の粘度が安定した状態で紡糸することができ、更
に凝固後の延伸が容易に行える結果、強度、弾性率に優
れるポリケトン繊維及びその製造方法が提供できた。こ
うして得られたポリケトン繊維は触媒残渣及び/又は溶
剤に用いた亜鉛塩含量が少ないために、タイヤコード、
ベルト、ラジエターホース、スリングベルト、縫い糸、
ロープ、セメント補強材等の産業資材として製造時や使
用時に、優れた耐熱性、耐久性を示す。また、衣料、衣
料用資材としても有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16G 5/06 F16G 5/06 A // C08L 21:00 Fターム(参考) 4F072 AB05 AD02 AF02 AL03 AL17 AL18 AL19 4J005 AB01 BB00 BC00 4L035 BB04 BB06 BB10 BB15 BB17 BB66 BB69 BB77 BB81 BB89 BB91 EE01 EE09 EE20 FF01 GG02 HH10 MA05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し単位の90重量%以上が一酸化
    炭素とオレフィンの交互共重合体からなるポリケトン繊
    維であって、該繊維中のパラジウム、ニッケル、コバル
    トからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素の含有
    量が合計で100ppm以下であるポリケトン繊維。
  2. 【請求項2】 亜鉛元素含量が10000ppm以下で
    ある請求項1記載のポリケトン繊維。
  3. 【請求項3】 少なくとも1種のハロゲン化亜鉛水溶液
    または、少なくとも1種のハロゲン化亜鉛と該ハロゲン
    化亜鉛以外であって50℃の水に1重量%以上溶解する
    少なくとも1種の金属塩を含有する水溶液に、繰り返し
    単位の90重量%以上が一酸化炭素とオレフィンの交互
    共重体からなるポリケトンを0.005〜70重量%含
    有したポリケトン溶液を紡口口金から押し出し、押し出
    された繊維状物を50重量%以上が水で構成された凝固
    浴に通し、さらに必要に応じて、水またはpHが4以下
    の水溶液で洗浄して繊維状物に含まれる亜鉛元素含量を
    10000ppm以下にした後、50℃以上の温度で乾
    燥して繊維状物から水分の一部又は全部を除去した後、
    50℃以上の温度で3倍以上延伸することを特徴とする
    請求項1又は2記載のポリケトン繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 50重量%以上が水で構成された凝固浴
    が、ポリケトン溶液の溶剤として用いる水溶液よりも低
    濃度の、ハロゲン化亜鉛及びまたは該ハロゲン化亜鉛以
    外であって50℃の水に1重量%以上溶解する少なくと
    も1種の金属塩を含む水溶液であることを特徴とする請
    求項3記載のポリケトン繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 50重量%以上が水で構成された凝固浴
    及び/又は洗浄に用いる水またはpHが4以下の水溶液
    の温度が50〜95℃であることを特徴とする請求項3
    又は4記載のポリケトン繊維の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5に記載されたポリケトン繊
    維の製造方法において、繊維状物から脱落したハロゲン
    化亜鉛を少なくとも1ppm含む凝固浴と洗浄に用いた
    水の一部又は全部を濃縮し、濃縮された水溶液に必要に
    応じてハロゲン化亜鉛及び/又は50℃の水に1重量%
    以上溶解する少なくとも1種の金属塩を加えた水溶液を
    再度ポリケトン溶液の溶剤として循環使用することを特
    徴とするポリケトン繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1又は2記載のポリケトン繊維を
    少なくとも50重量%以上用いることを特徴とするタイ
    ヤコード。
  8. 【請求項8】 繊維強化複合材料において、用いた繊維
    重量の1重量%以上が請求項1又は2記載のポリケトン
    繊維であることを特徴とする繊維強化複合材料。
  9. 【請求項9】 繊維強化複合材料がタイヤ、ベルト、建
    材であることを特徴とする請求項8記載の繊維強化複合
    材料。
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