JP2001098066A - 高分子量ポリマー - Google Patents

高分子量ポリマー

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JP2001098066A
JP2001098066A JP27586799A JP27586799A JP2001098066A JP 2001098066 A JP2001098066 A JP 2001098066A JP 27586799 A JP27586799 A JP 27586799A JP 27586799 A JP27586799 A JP 27586799A JP 2001098066 A JP2001098066 A JP 2001098066A
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polymer
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Jinichiro Kato
仁一郎 加藤
Toru Morita
徹 森田
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 繰り返し単位の90重量%以上が下記式
(1)で示されるポリケトンにおいて、該ポリマーの極
限粘度[η]が10.1dl/g以上であることを特徴
とするポリケトン。 【化1】 (ここで、Rは炭素数1〜30の有機基である。) 【効果】 本発明のポリケトンは、従来得られていなか
った高分子量を有し、高分子量ポリマーが前提となるゲ
ル紡糸法を適用することで高い延伸倍率を達成すること
ができ、その結果、高強度、高弾性率繊維を与えること
ができる。本発明のポリケトンを用いて得られた延伸糸
は高度な力学特性、耐熱性、寸法安定性、化学的安定性
等の特性を有するので、とりわけ産業用資材に有用とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子量ポリケト
ンに関する。更に詳しくは、ゲル紡糸に適し、ゲル紡糸
を行うことで高い延伸倍率を達成することができ、その
結果、高強度、高弾性率繊維を与えることができるポリ
ケトンに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、一酸化炭素とエチレン、プロピレ
ンのようなオレフィンとをパラジウムやニッケルといっ
た遷移金属錯体を触媒として用いて重合させることによ
り、一酸化炭素と該オレフィンが実質完全に交互共重合
したポリケトンが得られることが知られている(工業材
料、12月号、第5ページ、1997年)。該ポリケト
ンからなるポリケトン繊維は高強度、高弾性率の他、高
温での寸法安定性、接着性、耐クリープ特性といった優
れた特性を有しているので、これらの特性を生かしてタ
イヤコード、ベルト等の補強繊維、コンクリート補強用
繊維といった複合材料用繊維への応用が期待されている
(特開平2―112413号公報、特開平9−3243
77号公報、特開平9―328342号公報等)。
【0003】高分子量ポリエチレン、高分子量ポリビニ
ルアルコールのような屈曲性ポリマーから高強度・高弾
性率繊維を得る方法として、ゲル紡糸法が知られてい
る。ゲル紡糸は、高分子量屈曲性ポリマーを希薄溶液に
して、ポリマー分子間の絡み合いを適度に解きほぐした
後に、この希薄溶液を冷却して絡み合いを実質的に増大
させないようにしてゲル化させた後、超延伸して高強度
高弾性率繊維を得る方法である。ゲル紡糸では、延伸糸
における分子末端の存在による強度低下を避けるため
に、高分子量ポリマーの使用が有利となっている。
【0004】ポリケトンも屈曲性ポリマーの1種である
ために、ゲル紡糸を適用させることで高強度繊維になる
ことが考えられる。しかしながら、これまでのポリケト
ンでは、ゲル紡糸に適した高い分子量を持つポリマーは
知られていなかった。例えば、特表平4−505344
号公報には、極限粘度(以下、[η]と略記する)が
9.9dl/gのエチレン/一酸化炭素交互共重合(以
後、ECOと略記する)が開示されている。しかしなが
ら、本発明者らの検討によれば、このポリマーを用いて
ゲル紡糸を行うと分子量が小さいために、凝固段階での
糸の結晶化度が大きくなって、延伸が困難な糸になって
いるために高度な力学物性を発現することはできなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、ゲル紡糸を適用することで優れた延伸性を
し、その結果、高強度高弾性率繊維を与えることができ
る分子量が高いポリケトンを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために、ポリケトンの高分子量化の検討を進
めた結果、特定の[η]値以上のポリケトンがゲル紡糸
によって優れた延伸特性を示すことを見い出し、更に検
討を進めた結果、本発明の課題を解決することができ
た。すなわち本発明は、繰り返し単位の90重量%以上
が下記式(1)で示されるポリケトンにおいて、該ポリ
マーの[η]が10.1dl/g以上であることを特徴
とするポリケトン、である。
【0007】
【化2】 (ここで、Rは炭素数1〜30の有機基である。) 本発明のポリケトンは、繰り返し単位の10重量%未満
で式(1)のケトン以外の繰り返し単位を有していても
よい。
【0008】繊維としての強度、弾性率、接着性、寸法
安定性、耐クリープ性、耐光性が優れるという点で、カ
ルボニル基とRが実質的に交互に配列されているポリケ
トンが特に好ましい。この好ましいポリケトン中には部
分的にカルボニル基同士、アルキレン基同士が結合して
いてもよいが、95重量%以上が完全交互共重合体、す
なわち、Rの次にはカルボニル基が結合し、カルボニル
基の次にはRが結合する交互共重合体からなるポリケト
ンであることが耐熱性、耐光性を向上させる観点から好
ましい。もちろん、完全交互共重合した部分の含有率は
高ければ高いほどよく、好ましくは97重量%以上であ
り、最も好ましくは100重量%である。
【0009】Rは炭素数が1〜30の有機基であり、例
えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、1
−フェニルエチレン等が例示される。これらの基の水素
原子の一部または全部が、ハロゲン原子、エステル基、
アミド基、水酸基、エーテル結合等の原子や基で置換さ
れていてもよい。もちろん、Rは2種以上であってもよ
く、例えば、エチレンとプロピレンが混在していてもよ
い。これらのポリケトンとしては、Rがエチレンの完全
交互共重合単位から構成されるポリケトン、すなわちE
COが高強度、高弾性率、高温での寸法安定性が優れる
という観点から最も好ましい。また、溶剤への溶解性が
優れているという観点から、Rが90〜97モル%のエ
チレンと10〜3モル%のプロピレンからなる共重合ポ
リケトンが好ましい。また、本発明のポリケトンには、
目的に応じて酸化防止剤、ラジカル抑制剤、艶消し剤、
難燃剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、金属石鹸等の添加
剤を含有させてもよい。
【0010】本発明のポリケトンの[η]は、10.1
dl/g以上であることが必要である。[η]が10.
1dl/g未満では、凝固糸の結晶化度が大きくなっ
て、延伸倍率を高めることができず、その結果、延伸糸
の強度や弾性率を十分に高めることが困難となる。延伸
性を高めるためには、[η]は10.5dl/g以上が
好ましく、更には11dl/g以上が好ましく、より好
ましくは12dl/g以上であり、最も好ましくは13
dl/g以上である。[η]の上限は、特に制限はない
が、溶剤への溶解性が低下しにくくなるという理由で2
5dl/g以下が好ましく、更に好ましくは20dl/
g以下である。
【0011】更に、本発明のポリケトンは嵩密度が0.
001〜0.8g/cm3 であることが好ましい。嵩密
度が0.8g/cm3 を越えると、本発明のポリケトン
は分子量が高いので、ポリマー粒子の空隙率が減るため
に溶剤への溶解性が低下して、ポリマー溶液を作りにく
くなる。嵩密度が0.001g/cm3 よりも小さい
と、嵩が大きすぎるので運送の経費が高くなりすぎる。
好ましくは0.05〜0.8g/cm3 であり、更に好
ましくは、0.1〜0.8g/cm3 である。更に、本
発明のポリケトンの融点は、240℃以上であることが
好ましい。240℃未満では、耐熱性が低くなって産業
資材の用途によっては使用できなくなったり、強度や弾
性率が高くなりにくいといった欠点を有する。好ましく
は250℃以上である。
【0012】更に、本発明のポリケトンは、パラジウ
ム、ニッケル、コバルトからなる群から選ばれた少なく
とも1種の元素の含有量が合計で100ppm以下であ
ることが好ましい。これらの金属元素量の合計が100
ppmを越えると、ポリマー溶液にした場合に、ポリケ
トンが部分的に架橋して溶液粘度が著しく増大して紡糸
ができなくなったり、紡糸ができなくはならないが徐々
に溶液粘度が高くなるので得られた繊維の特性が紡糸時
間と共に変化してしまうといった欠点を有する。更に、
得られたポリケトン繊維は、加熱されると強度、伸度、
弾性率、分子量の低下、着色といった問題が起こりやす
くなる。このような問題を起こさないためには、これら
の金属元素量の合計をできるだけ減らすことが好まし
く、具体的には50ppm以下が好ましく、より好まし
くは20ppm以下、更に好ましくは10ppm以下で
ある。下限については特に制限はないが、通常0.00
1ppmである。
【0013】本発明のポリケトンの製造方法については
特に制限はないが、一例を挙げると、一酸化炭素とエチ
レンやプロピレン等のオレフィンを、パラジウム、ニッ
ケル、コバルト等の第VIII族遷移金属化合物、構造式
(2)で示されるリン系二座配位子及び、pKaが4以
下の酸のアニオンからなる触媒下で重合させて製造する
ことができる。 R1 2 P−R−PR3 4 ・・・構造式(2) (ここで、R1 、R2 、R3 、R4 は、異種または同種
の炭素数1〜30の有機基であり、Rは炭素数2〜5の
有機基である。)
【0014】第VIII族遷移金属化合物としては、パラジ
ウム、ニッケル、コバルト、鉄、ロジウム、ルテニウ
ム、オスミウム、イリジウム、白金等が挙げられるが、
重合活性の観点からパラジウム、ニッケル、コバルトが
好ましく、特に好ましくはパラジウムである。触媒とし
てはカルボン酸塩、特に酢酸塩として用いるのが好まし
い。また、構造式(2)のリン系2座配位子について
は、R1 、R2 、R3 、R 4 の少なくとも1つが、フェ
ニル基に結合しているリン元素に対してオルトの位置に
ある1つ以上のアルコキシ基を含むフェニル基であるこ
とが好ましい。このようなR1 、R2 、R3 、R4 とし
ては、重合活性が高いという理由でo−メトキシフェニ
ル基、o−エトキシフェニル基、o−フェノキシフェニ
ル基等が好ましい。また、2つのリン原子を結ぶRは、
トリメチレン基が好ましい。pKaが4以下の酸として
は、トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリクロロ酢
酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられるが、重合活
性が高いという理由でトリフルオロ酢酸が好ましい。
【0015】本発明のポリケトンの製造方法の具体例を
以下例示する。ポリケトンの重合は、メタノール、エタ
ノールのような低級アルコール中に、パラジウム、ニッ
ケル、コバルト等の第VIII族遷移金属化合物、構造式
(2)で示されるリン系二座配位子及び、pKaが4以
下の酸のアニオンからなる触媒を添加し、この溶液に一
酸化炭素とオレフィンを導入させて重合を行う。一酸化
炭素とオレフィンのモル比は、5:1〜1:2が好まし
い。触媒に用いる第VIII族遷移化合物は、重合に用いる
オレフィン1モル当たり、10-8〜0.1モル量相当の
金属元素量にすることが触媒活性の観点から好ましい。
とりわけ、得られるポリケトン量のパラジウム、ニッケ
ル、コバルト量の総量としてポリケトン中に100pp
m以下しか含有されないように、仕込みの第VIII族遷移
金属化合物を設定することが本発明の目的を達成するた
めには好ましい。
【0016】また、構造式(2)で示されるリン系二座
配位子は、第VIII族遷移金属化合物1モル当たり0.1
〜20モル、好ましくは1〜3モル使用することが重合
活性の観点から好ましい。また、pKaが4以下の酸
は、第VIII遷移族金属化合物1グラム原子当たり0.0
1〜150当量が好ましく、特に好ましくは1〜50当
量である。本発明のポリケトンを得るためには重合温度
の選択が極めて重要であり、特に40〜70℃の範囲を
選ぶことが大切である。特に、上限温度は70℃程度で
あり、これを越えると[η]を10.1dl/gにする
ことは困難である。また、40℃を下回ると重合速度が
低くなり過ぎる。好ましくは50〜70℃である。ま
た、重合圧力としては、4〜20MPa、好ましくは4
〜10MPaである。重合時間としては、通常10分〜
5日間行うことが好ましい。また、重合中の触媒活性を
維持するために、また得られたポリケトンの架橋を抑え
るために、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノ
ン等のキノンを触媒金属元素のモル数に対して0.1〜
500倍添加してもよい。得られたポリケトンは、濾過
した後、触媒、キノン等を洗い流すために、洗浄を行っ
た後、乾燥しポリケトンを単離する。また、ポリケトン
は、上記で示した触媒を、ポリマー、無機粉体等に担持
させ、いわゆる気相重合を行ってもよく、ポリケトンに
触媒が残りにくいのでむしろ好ましい方法である。
【0017】こうして得られたポリケトンは元素分析等
を行い、ポリケトン中に含まれるパラジウム、ニッケ
ル、コバルト元素量を測定し、その総量が100ppm
以下であればそのまま後述する紡糸工程へ供することが
できる。しかしながら、100ppmを越える場合、ポ
リケトン中に含まれるパラジウム、ニッケル、コバルト
量を低減する操作を行うことが推奨される。これらの金
属量を低減する方法としては、特に制限はないが、例え
ば、得られたポリケトンを繰り返し、溶剤を用いて1〜
20回、繰り返し洗浄し、パラジウム、ニッケル、コバ
ルト量を100ppm以下にする方法、その他の方法と
しては溶剤中にポリケトンを分散させ一酸化炭素やリン
系配位子を導入して、金属カルボニ錯体や金属リン錯体
を生成させ、金属を溶出させる方法等が挙げられる。溶
媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等
のアルコール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエ
チルエーテル等のエーテル、アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン、ペンタン、ヘキサン、石油エーテル等
の炭化水素等が挙げられる。洗浄温度は特に制限はない
が、例えば0〜80℃であり、洗浄時間も制限はない
が、例えば一回当たり10秒〜1時間である。こうして
洗浄操作を行って、再度パラジウム、ニッケル及びコバ
ルト量を測定し、その総量が100ppm以下であれ
ば、紡糸工程へ供することができる。
【0018】
【実施例】本発明を以下の実施例等により更に詳しく説
明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定するもので
はない。実施例の説明中に用いられる各測定値の測定方
法は、次の通りである。 (1)極限粘度[η] [η]は、次の定義式に基づいて求めた。 定義式中のt及びTは、純度98%以上のヘキサイソプ
ロパノール及び該ヘキサフルオロイソプロパノールに溶
解したポリケトンの希釈溶液の25℃での粘度管の流過
時間である。また、Cは上記100ml中のグラム単位
による溶質重量値である。
【0019】(2)嵩密度 ポリマー粒をメスシリンダーに入れて、単位体積当たり
の重量を嵩密度とした。長い部分が3mmを越えないポ
リマーは、そのままメスシリンダーに入れた。長い部分
が3mmを越えるポリマーは、3mmを越えないように
砕いてからメスシリンダーに入れた。 (3)融点 パーキンエルマー社製DSCを用い、窒素雰囲気下、2
0℃/minの昇温速度で測定した。 (4)パラジウム、ニッケル、コバルト元素量 高周波プラズマ発光分光分析により、公知の方法を用い
て測定した。 (4)繊維の強力、強度、伸度、弾性率 繊維の強伸度は、JIS−L−1013に準じて測定し
た。
【0020】
【実施例1〜4、比較例1】20リットルのオートクレ
ーブにメタノール1リットル、1,3−ベンゾキノン
2.88g(26.7mmol)を加え、更に酢酸パラ
ジウム15mg(0.067mmol)、ビス(2−メ
トキシフェニル)ホスフィノプロパン44mg(0.0
821mmol)、トリフルオロ酢酸152mg(1.
33mmol)を予めメタノール10ミリリリットル中
で撹拌し調整した触媒液を加えた。その後、一酸化炭素
とエチレンを1:1モル含む混合ガスを充填し、5MP
aの圧力を維持するように連続的に、この混合ガスを追
加しながら、表1に示した温度、時間で反応を行った。
反応後、圧力を解放し、メタノール中に懸濁している白
色ポリマーを分離し、繰り返しメタノールで洗浄後、単
離した。得られたポリケトンは、核磁気共鳴スペクト
ル、赤外吸収スペクトル等の分析によりECO(ポリ
(1−オキソトリメチレン))であった。得られたポリ
ケトンの分析結果も表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】実施例1で作成した、[η]11.3のE
COを塩化亜鉛/塩化カルシウム/水(重量比32/3
1/37)の溶媒にポリマー濃度が5重量%になるよう
に120℃で溶解した。溶解時間は、7時間であった。
得られたポリマー溶液を100℃で紡口径0.16mm
×20ホールから吐出し、10mmのエアギャップを通
して、−20℃のメタノール/水(重量比30/70)
を満たした1.2mの冷却浴を通し、一旦熱可塑性ゲル
状態を経た後、次に20℃の水を満たした2mの洗浄浴
を通した。更に、2%の硫酸を含む2mの洗浄浴を通
し、水を連続的に吹きかけるネルソンロールを通してか
ら、定長で240℃の乾燥ラインを通した後、ホットプ
レートを2つのフィードロールの間に備えた延伸機を用
いて、240℃で5.5倍、更に255℃で1.6倍、
更に265℃で1.4倍、更に272℃で1.3倍、延
伸を行った。総延伸倍率は16.0倍であった。紡糸を
20時間連続して行っても、特に紡糸性、延伸性につい
て変化はなく、良好であった。
【0023】得られた延伸糸の強度は17.3g/d、
伸度5.6%、弾性率は400g/dであった。このよ
うな高い物性が発現するのは、乾燥糸の段階で結晶化度
が35%であり、延伸されやすい繊維構造を有するため
と推定できる。これに対し、比較例1のECOを用いて
同様の紡糸実験を行ったところ、総延伸倍率は14.2
倍しか達成できず、得られた延伸糸の強度は15.2g
/d、伸度4.7%、弾性率は320g/dであった。
この場合、乾燥糸の段階で結晶化度が43%であり、実
施例1の繊維対比、延伸されにくい繊維構造を有するこ
とがわかった。また、[η]が7.2dl/gのECO
を用いて同様の紡糸実験を行ったところ、総延伸倍率は
14.0倍しか達成できず、得られた延伸糸の強度は1
4.9g/d、伸度4.8%、弾性率は310g/dで
あった。ポリケトンの[η]の延伸性に与える影響は、
11.3dl/gの場合と、9.7dl/gや7.2d
l/gの場合とでは大きく異なることがわかる。
【0024】
【参考例1】実施例1において、重合釜壁に付着した白
色ポリマーを単離した。得られたポリマーは、[η]1
1.3dl/gであり、嵩密度1.01g/cm3 のE
COであった。これを参考例1で用いた溶剤に溶解しよ
うとしたが、溶解時間に36時間かかった。その間に溶
液は黄色みを帯びた。
【0025】
【参考例2】実施例1において触媒量を5倍にして(酢
酸パラジウム、ビス(2−メトキシフェニル)ホスフィ
ノプロパン、トリフルオロ酢酸をいずれも5倍使用)用
いて実施例1を繰り返した。得られたポリマーは、
[η]10.8dl/g、嵩密度0.72g/cm3
融点254℃、Pd含量103ppmのECOであっ
た。このECOを実施例1で用いたポリマー溶剤にポリ
マー濃度3重量%で溶解し、90℃で10時間貯蔵した
ところ、溶液の粘度が向上した。これに対し実施例1の
ポリマーを用いて同様の検討を行ったところ、溶液の粘
度に変化は認められなかった。ポリマーに含まれるPd
残量がポリマー溶液の熱安定性に影響を及ぼすことがわ
かった。
【0026】
【発明の効果】本発明のポリケトンは、従来得られてい
なかった高分子量を有し、高分子量ポリマーが前提とな
るゲル紡糸法を適用することで高い延伸倍率を達成する
ことができ、その結果、高強度、高弾性率繊維を与える
ことができる。本発明のポリケトンを用いて得られた延
伸糸は高度な力学特性、耐熱性、寸法安定性、化学的安
定性等の特性を有するので、とりわけ産業用資材に有用
となる。もちろん、本発明のポリケトンは、通常の湿式
紡糸、乾式紡糸にも用いることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し単位の90重量%以上が下記式
    (1)で示されるポリケトンにおいて、該ポリマーの極
    限粘度[η]が10.1dl/g以上であることを特徴
    とするポリケトン。 【化1】 (ここで、Rは炭素数1〜30の有機基である。)
  2. 【請求項2】 嵩密度が0.001〜0.8g/cm3
    であることを特徴とする請求項1記載のポリケトン。
  3. 【請求項3】 融点が240℃以上であることを特徴と
    する請求項1又は2記載のポリケトン。
  4. 【請求項4】 パラジウム、ニッケル、コバルトからな
    る群から選ばれた少なくとも1種の元素の含有量が合計
    で100ppm以下であることを特徴とする請求項1〜
    3記載のポリケトン。
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Cited By (3)

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