JP3630850B2 - ポリアルコールの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレンを主体とするオレフィンと一酸化炭素とを共重合して得られるポリケトンを水素還元触媒の存在下に還元して、ガスバリヤー性材料用などとして有用なポリアルコールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレンを主体とするオレフィンと一酸化炭素とを共重合して得られるポリケトンを触媒の存在下に溶媒中で水素還元してポリアルコールを製造する方法はいくつか知られているが、ポリケトンはその製造法により溶媒に対する溶解性が大きく異なることから、まずポリケトンの製造法を分類し、その製造法毎に得られたポリケトンと溶媒に対する溶解度の関係について説明する。
エチレンと一酸化炭素、またはエチレンを主体とする2種以上のオレフィンと一酸化炭素との共重合体であるポリケトンの製造法は(1)フリーラジカル開始剤またはγ−線照射による共重合法、および(2)遷移金属触媒による共重合法の2つに分類される(アドバンセス・イン・ポリマー・サイエンス(Adv.Polym.Sci.)、1986年、73/74巻、125頁参照)が、本明細書においてはフリーラジカル開始剤による共重合法(以下、これをA法と省略する)、γ線照射による共重合法(以下、これをB法と省略する)、および遷移金属化合物触媒による共重合法(以下、これをC法と省略する)に分ける。
【0003】
特に、エチレンと一酸化炭素との共重合ポリケトンについて様々な研究が行われていることから、これを中心に各方法を比較する。
A法またはB法においては、反応温度、反応圧力および反応混合物組成などを変化させることにより共重合体ポリケトン中の、エチレンと一酸化炭素の共重合比率が変化したポリケトンが生成するのに対して、C法においては、エチレンと一酸化炭素が完全に交互共重合した、エチレンと一酸化炭素の共重合比率が1:1であるポリケトンが得られるという大きな違いがある。
【0004】
A法による合成について述べたアメリカ化学会誌(J.Am.Chem.Soc.,)、74巻、1509頁(1952年)において、ポリケトンの分子量の測定に関し「ベンゼンが大概のポリケトンの溶媒として使用される。エチレンと一酸化炭素の比率が3:1またはそれ以下のポリケトンはベンゼンに完全には溶解しないので、ジオキサン中で分子量を測定した。」と記載されている。さらに反応圧、一酸化炭素の比率及びポリケトンの分子量を比較した表1において、一酸化炭素の比率が44.9%のポリケトンは不溶と記載されている。従って、A法により合成されるポリケトンは、エチレンと一酸化炭素の比率が3:1またはそれ以下では、ジオキサンには可溶であるがベンゼンに一部不溶となり、一酸化炭素比率が44.9%に達するとジオキサンにも不溶となると理解される。
【0005】
B法による合成に関しては、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(J.Polym.Sci.)パートA−1(PartA−1)、1966年、4巻、29頁に詳しく記載されている。エチレンと一酸化炭素の共重合比率は、反応圧力、反応混合物組成、照射強度、および反応温度等によって制御される。生成したポリケトンの一酸化炭素共重合率とその溶媒に対する溶解度との関係については、一酸化炭素共重合率が33〜43%のものはベンゼン、キシレン、デカリン、四塩化炭素、ジメチルホルムアミド等に溶けず、α−クロルナフタレンおよびo−ジクロルベンゼンに130℃で溶解するが、一酸化炭素共重合率43〜48%のポリケトンはこれら溶媒に一部しか溶解しないようになり、48%を越えると全く溶けなくなると記載されている。繊維科学研究所年報、第12号、72頁(1959年)には、比較的低圧(50気圧)でエチレンと一酸化炭素をγ−線照射すると、エチレンと一酸化炭素のモル比が殆ど1:1に近いポリケトンが得られ、これはエチレンと一酸化炭素とが交互に規則的に配列した主鎖を持つことが記載され、また、繊維科学研究所年報、第13号、117頁(1960年)には、150気圧という比較的高圧でγ−線照射して得られたエチレンと一酸化炭素の共重合比率が1:1のポリケトンは、シクロヘキサノン、トルエン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、o−ジクロルベンゼン等に不溶であるが、検討した40種類の溶媒のなかでm−クレゾール、o−トルイジン、o−クロルフェノールの3種の溶媒に熱時溶解したと述べている。特公昭40−25268号には、上述の繊維科学研究所年報、第13号で報告したポリケトンの溶媒に対する溶解性について、高温でm−クレゾールにわずかに溶解する程度と記載されている。すなわちB法による共重合体は一酸化炭素の共重合率が高くなるに従い、つまり、エチレンと一酸化炭素の交互共重合性が高くなるに従い、溶媒への溶解性が著しく低下し、低温では殆どの溶媒に全く溶けなくなってしまうことが理解される。
【0006】
C法による合成法に関しては、例えばジャーナル・オブ・オーガノメタリック・ケミストリー(J.Organomet.Chem.)、417巻、235頁(1991年)およびジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス(J.Polym.Sci.)パートA(PartA)、ポリマー・ケミストリー(Polym.Chem.)、1992年、30巻、2735頁に記載されており、後者には、交互共重合体ポリケトンについて、m−クレゾール、ヘキサフルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸には溶解するが、一般的な有機溶媒には溶解しないとの記載がある。また、アメリカ化学会誌(J.Am.Chem.Soc.)、104巻、3520頁(1982年)に、エチレンと一酸化炭素との交互共重合体は通常一般的な有機溶媒には実質的に不溶であると記載されている。
【0007】
次にA法、B法およびC法により合成されたポリケトンを触媒の存在下に溶媒中で水素還元してポリアルコールを製造する方法について説明する。
A法により合成したポリケトンを原料とする還元法は、米国特許第2,495,292号明細書、英国特許第598,145号明細書、特開平1−149828号公報、特開平5−339367号公報および特開平6−49203号公報に記載されている。
【0008】
米国特許第2,495,292号明細書に開示された方法は、ジオキサンを溶媒としてエチレンと一酸化炭素の共重合比率が1.3〜45:1のポリケトンを使用している。英国特許第598,145号明細書に開示された方法は炭化水素系溶媒およびジオキサン、好ましくは1,4−ジオキサンを用いるものであり、実施例においてエチレンと一酸化炭素の共重合比率が45:1のポリケトンに対してはデカヒドロナフタレンを、エチレンと一酸化炭素の共重合比率が1.3〜1.7:1のポリケトンに対してはジオキサンを使用している。特開平1−149828号公報ではカルボニル基の含有率が1〜50当量%のポリケトンについて、炭素数が1〜6の脂肪族アルコールおよび/またはジエチレングリコールの使用を開示し、特開平5−339367号公報および特開平6−49203号公報でもカルボニル基の含有率が1〜50当量%のポリケトンについて、エーテル類またはこれを主体とする混合溶媒の使用を開示している。
エチレンを主体とする2種以上のオレフィンと一酸化炭素との共重合体の合成に関しては、特開平2−232228号公報にカルボニル基の含有率が1〜50当量%、CHCH基が30〜49当量%、CH(CH)CH基が20〜1当量%のポリケトンについて、メタノール、シクロヘキサノールおよびジエチレングリコールのなかから選ばれた少なくとも1種の溶媒を使用する例が開示されている。
【0009】
B法により合成したポリケトンを原料とし触媒を使用する水素還元法は知られていないが、特公昭40−25268号およびヨーロピアン・ポリマージャーナル(Eur.Polym.J.)、9巻、669頁(1973年)に、ポリケトンをメタノール懸濁液中で水素化ホウ素ナトリウムにより還元する方法が開示されている。
【0010】
C法により合成した交互共重合ポリケトンに関しては、特開平1−204929号公報に金属水素化物とニッケル化合物との反応によって得られる触媒組成物を用い、ヘキサフルオロイソプロパノールまたはアルコール、エーテルもしくはアルコールエーテルを使用する水素還元法が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
特開平1−149828号公報および特開平5−339367号公報等に記載されているように、ポリケトンを還元して得られるポリアルコールに高度なガスバリアー性を付与するためには、ポリマー中のアルコール含有率を高めることが必要と考えられている。このためには原料として一酸化炭素の共重合比率の高いポリケトンを使用すること、および、還元反応で副生するテトラヒドロフラン環の生成を抑制することが必要となる。このテトラヒドロフラン環はポリケトンが部分的に還元されてカルボニル基と水酸基が共存する場合に生成してくるヘミアセタールに由来し、ポリケトンが溶媒に溶解していない場合にポリケトンと還元剤または還元触媒との接触が抑制されるためテトラヒドロフラン環が生成しやすくなると想定されている。
【0012】
ところが、A法により重合されたポリケトンの水添に関する米国特許第2,495,292号明細書、英国特許第598,145号明細書、特開平1−149828号公報、特開平5−339367号公報、特開平6−49203号公報および特開平2−232228号公報に記載の方法は、B法またはC法により合成された溶解性に乏しいポリケトンの水添に適用するにはいずれも問題がある。米国特許第2,495,292号明細書および英国特許第598,145号明細書に記載のジオキサンを溶媒とする方法は、特開平1−149828号公報において比較例1として追試され、テトラヒドロフラン環が17%副生することが判明している。特開平1−149828号公報、特開平5−339367号公報および特開平6−49203号公報に記載の方法は、いずれもA法により合成されたポリケトンに対してのみ適用される方法であり、後述の比較例1〜3に示すようにC法で合成されたポリケトンには適用できないか、適用できてもテトラヒドロフラン環の生成率が高く実用的でないことが判明した。特開平2−232228号公報に記載の方法はエチレン、プロピレンおよび一酸化炭素からなる3元ポリケトンに関するものである。比較例4に示すように、プロピレンを混合することにより分子構造の規則性が乱され、溶媒への溶解性が向上するため、この溶媒系をそのまま一酸化炭素共重合率の高い、エチレンと一酸化炭素からなるポリケトンに適用することはできない。
【0013】
B法で合成されたポリケトンはこれまで触媒を用いる水素還元を試みられたことがない。
C法で合成された交互共重合ポリケトンの金属水素化物とニッケル化合物との反応によって得られる触媒組成物を用いる水素還元法は特開平1−204929号公報に記載され、ヘキサフルオロイソプロパノールまたはアルコール、エーテルもしくはアルコールエーテルを使用するとされている。しかしその実施例9に記載されているように、この水素還元法によればカルボニル基の50%が還元を受けていないこと、および約10%の水酸基しか生成していないことから実用的ではない。
【0014】
したがって、本発明の目的は、A法、B法またはC法により製造される、交互共重合ポリケトンを含めた一酸化炭素の共重合比率の高いポリケトンを溶解する溶媒を見いだし、この溶媒中で還元反応を実施することにより、ポリケトンと触媒との接触を促進し、テトラヒドロフラン環の生成を抑制することによりポリマー中のアルコール含量を高めた、高度なガスバリアー性を有するポリアルコールを合成する方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明にしたがって、エチレンを主体とするオレフィンと一酸化炭素とを共重合して得られるポリケトンを触媒の存在下に水素還元してポリアルコールを製造する方法において、スルホランまたはこれを主体とする溶媒中で該還元反応を行うことを特徴とするポリアルコールの製造方法を提供することによって、上記の目的を達成することができる。
本発明者らは、前述のように一般的な有機溶媒には不溶であると言われていたC法により得られる交互共重合ポリケトンを溶解する溶媒の探索を行った結果、意外なことに、工業的な規模で使用可能であるスルホランまたはこれを主体とする混合溶媒が溶解性に優れており、該溶媒中では水素還元が速やかに起こり選択率も高いこと、さらには上記の交互共重合体のみではなくA法またはB法による共重合体からもポリアルコールが製造可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリアルコール製造の原料は、エチレンを主体とするオレフィンと一酸化炭素とを共重合して得られるポリケトンである。このポリケトンは、例えば、エチレンと一酸化炭素、あるいはエチレンを主体とする2種以上のオレフィンと一酸化炭素とをラジカル共重合させることにより得られ、公知の方法として米国特許2,495,286号明細書、特開昭53−128690号公報および特開昭53−128691号公報に開示された方法が挙げられる。また、一酸化炭素共重合率の高い交互共重合体の製造法に関しては、例えば、エチレンと一酸化炭素との交互共重合体、あるいはエチレンを主体とする2種以上のオレフィンと一酸化炭素との交互共重合体の遷移金属化合物を成分とする触媒による製造法が、特開昭59−197427号公報、特開昭61−91226号公報、特開昭62−232434号公報、特開昭62−53332号公報、特開昭63−3025号公報、特開昭63−105031号公報、特開昭63−132937号公報、特開平1−149829号公報および特開平2−67319号公報に記載されている。エチレン以外のオレフィンとしては、上記の方法により共重合可能なものであれば使用可能で、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、イソブテン、ブタジエン、1,7−オクタジエン、酢酸ビニル、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、N−ビニルピロリドンなどを例示できる。エチレンとエチレン以外のオレフィンとの重合比率はエチレンが50モル%以上であれば、特に限定されるものではない。本発明は、原料である上記ポリケトンの製造方法およびその一酸化炭素共重合率により何等制限されるものではないが、高い水酸基含有率のポリアルコールを得るためには、一酸化炭素共重合率が49〜60当量%の範囲の共重合体、好ましくは49〜50当量%の範囲の共重合体、さらに好ましくは交互共重合体、さらに一層好ましくは遷移金属化合物を成分とする触媒により交互共重合されたポリケトンが好適な原料である。
【0017】
水素還元触媒としては、一般に水素化反応に使用される不均一系あるいは均一系の触媒を用いることができる。不均一系触媒の例として、ラネーニッケル、ニッケル金属、あるいはケイソウ土、シリカ、アルミナなどから選ばれる1種または2種以上の担体に担持したニッケル触媒;ラネーコバルト、コバルト金属、あるいはケイソウ土、シリカ、アルミナなどから選ばれる1種または2種以上の担体に担持したコバルト触媒;ラネー銅、銅金属、あるいは必要に応じてマンガンまたはバリウムなどの1種または複数の助触媒成分を添加したアドキンス型銅クロム触媒、その他の銅酸化物を主体とする触媒;ルテニウム金属、酸化ルテニウム、あるいはケイソウ土、シリカ、アルミナ、炭素などから選ばれる1種または2種以上の担体に担持したルテニウム触媒;パラジウム金属、酸化パラジウム、あるいはケイソウ土、シリカ、アルミナ、炭素などから選ばれる1種または2種以上の担体に担持したパラジウム触媒;ロジウム金属、酸化ロジウム、あるいはケイソウ土、シリカ、アルミナ、炭素などから選ばれる1種または2種以上の担体に担持したロジウム触媒を挙げることができる。一方、均一系触媒の例としては、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドテトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ルテニウムドデカカルボニルなどのルテニウム錯体;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムなどのロジウム錯体を挙げることができる。いずれの場合も活性向上などのために必要に応じて、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミンなどを添加したり、あるいは例えば鉄、マンガン、レニウム、モリブデンなどの他の金属あるいは金属化合物で変性したりすることができる。触媒の使用量は用いる触媒の種類によって異なるが、原料ポリケトンおよび溶媒の混合物に対して0.0001〜50重量%、好ましくは0.001〜5重量%である。触媒量が0.0001重量%より少なすぎると反応時間の点で、50重量%より多すぎると費用および回収操作の点で不利となる。
【0018】
本発明は水素還元反応の溶媒としてスルホランまたはこれを主体とする混合溶媒を用いることに特徴がある。スルホランを主体とする混合溶媒の成分としては、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、オクチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのジオールモノエーテル類;などを挙げることができる。望ましい混合溶媒は水である。混合比率はスルホラン50重量%以上の範囲で任意であるが、好ましくはスルホラン/水の比率として100/0〜60/40である。同様に、他の混合溶媒も1種または2種以上をスルホラン50重量%以上の範囲で任意に混ぜて使用できる。溶媒の使用量は、原料ポリケトンの濃度として0.1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。濃度が80重量%より高すぎると溶液粘度が高くなるため十分な撹拌が難しくなり、0.1重量%より低すぎると反応効率および溶媒回収の点で経済的に不利となる。
【0019】
反応温度は30〜300℃、好ましくは100〜250℃、特に好ましくは150〜200℃である。温度が30℃より低すぎると反応速度の点で、300℃より高すぎると選択性の点で不利となる。反応は水素雰囲気あるいは加圧下で行うが、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスが共存しても良い。反応圧力は1〜500気圧、好ましくは20〜300気圧、特に好ましくは50〜200気圧である。圧力が1気圧より低すぎると反応速度の点で、500気圧より高すぎると装置および運転費用の点で不利となる。なお、反応で消費された水素を補給するように水素を追加してもよく、水素を常に流しながら反応を行ってもよい。反応はバッチ式、セミ連続式、連続式いずれの方法でも実施できる。触媒は撹拌槽中に分散させても良く、固定床などの触媒固定化反応方式でも良い。
【0020】
このようにして得られたポリアルコールは、一般的な分離手段、例えば必要に応じて反応混合物から触媒を遠心分離、濾過、吸着、抽出などの操作により除去した後、析出、抽出、溶媒留去などの操作により溶媒と分離することができる。さらに必要であれば一般的な精製手段、例えば、再沈澱、抽出洗浄によりポリアルコールを精製することもできる。
【0021】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明の方法をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1
容量100mlの撹拌機付ステンレス製オートクレーブに、エチレンと一酸化炭素との交互共重合体を3g、水素化触媒としてラネーコバルト1.2g、および反応溶媒としてスルホランと水との混合物(容量比80/20)30mlを仕込み、反応器を封じた。室温で系内を水素ガスで置換した後、100気圧まで水素を圧入した。オートクレーブ内を撹拌しながら内温が150℃になるまでオートクレーブを加熱し、その後水素を追加して全圧150気圧で15時間加熱撹拌を続けた。反応終了後、反応器を冷却し放圧した後、反応器を開封し内容物を採取した。触媒を除去した後に反応液をアセトンに滴下して白色固形物を得た。原料ポリケトンに対する収率は90%であった。生成物のNMRスペクトル分析により構造解析を行ったところ、カルボニル基の転化率は100%であり、CH (OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は92/8であった。
【0023】
実施例2
スルホランと水との混合物(容量比80/20)に代えてスルホランと水との混合物(容量比90/10)を溶媒とした他は実施例1と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は81%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は94/6であった。
【0024】
実施例3
容量100mlの撹拌機付ステンレス製オートクレーブに、エチレンと一酸化炭素との交互共重合体を0.5g、水素化触媒としてラネーコバルト1.0g、および反応溶媒としてスルホラン50mlを仕込み、反応器を封じた。室温で系内を水素ガスで置換した後、100気圧まで水素を圧入した。オートクレーブ内を撹拌しながら内温が180℃になるまでオートクレーブを加熱し、その後水素を追加して全圧150気圧で15時間加熱撹拌を続けた。反応終了後、反応器を冷却し放圧した後、反応器を開封し内容物を採取した。触媒を除去した後に反応液から溶媒を減圧下で一部除去した。得られた濃縮液をアセトンに滴下して白色固形物を得た。原料ポリケトンに対する収率は81%であった。生成物のNMRスペクトル分析により構造解析を行ったところ、カルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は94/6であった。
【0025】
実施例4
エチレンと一酸化炭素との交互共重合体に代えてエチレン、プロピレンと一酸化炭素との交互共重合体(組成比47/3/50)を原料として用い、反応温度を180℃に代えて150℃とした他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は85%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は94/6であった。
【0026】
実施例5
エチレンと一酸化炭素との交互共重合体に代えてエチレン、1−ブテンと一酸化炭素との交互共重合体(組成比47/3/50)を原料として用い、反応温度を180℃に代えて150℃とした他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は83%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は94/6であった。
【0027】
実施例6
ラネーコバルトに代えてマンガンおよびバリウムで変性された銅クロム酸化物を触媒として用いた他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は80%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は91/9であった。
【0028】
実施例7
ラネーコバルトに代えてγ−アルミナに担持したルテニウム(担持量5重量%)を触媒として用いた他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は75%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は90/10であった。
【0029】
実施例8
エチレンと一酸化炭素との交互共重合体に代えて一酸化炭素共重合率が45当量%であるエチレンと一酸化炭素との共重合体を原料として用い、溶媒としてスルホランに代えてスルホランと水との混合物(容量比90/10)を用いた他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は90%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は93/7であった。
【0030】
実施例9
エチレンと一酸化炭素との交互共重合体に代えて一酸化炭素共重合率が48当量%であるエチレンと一酸化炭素との共重合体を原料として用いた他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は93%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は92/8であった。
【0031】
実施例10
エチレンと一酸化炭素との交互共重合体に代えて一酸化炭素共重合率が49当量%であるエチレンと一酸化炭素との共重合体を原料として用い、溶媒としてスルホランに代えてスルホランと水との混合物(容量比80/20)を用いた他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は95%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は92/8であった。
【0032】
実施例11
エチレンと一酸化炭素との交互共重合体に代えて一酸化炭素共重合率が55当量%であるエチレンと一酸化炭素との共重合体を原料として用いた他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は95%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は90/10であった。
【0033】
実施例12
エチレンと一酸化炭素との交互共重合体に代えてエチレン、プロピレンと一酸化炭素との共重合体(組成比49/3/48)を原料として用い、反応温度を180℃に代えて150℃とした他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は82%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は94/6であった。
【0034】
実施例13
エチレンと一酸化炭素との交互共重合体に代えてエチレン、1−ブテンと一酸化炭素との共重合体(組成比47/5/48)を原料として用い、反応温度を180℃に代えて150℃とし、溶媒としてスルホランに代えてスルホランと水との混合物(容量比90/10)を用いた他は実施例3と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は80%であり、NMRスペクトル分析からカルボニル基の転化率は100%であり、CH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は94/6であった。
【0035】
比較例1
スルホランと水との混合物(容量比80/20)に代えてシクロヘキサノールを溶媒とした他は実施例1と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の重量は2.55gであったが、NMRスペクトル分析の結果から、これはポリアルコールではなく未反応の原料ポリケトンであることが確認された。
【0036】
比較例2
スルホランと水との混合物(容量比80/20)に代えてジエチレングリコールを溶媒とし、反応温度を150℃に代えて180℃とした他は実施例1と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の原料ポリケトンに対する収率は70%であり、NMRスペクトル分析からCH(OH)構造とテトラヒドロフラン環構造との比率は60/40であった。
【0037】
比較例3
スルホランと水との混合物(容量比80/20)に代えて1,3−ジオキソランを溶媒とした他は実施例1と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の重量は2.49gであったが、NMRスペクトル分析の結果から、これはポリアルコールではなく未反応の原料ポリケトンであることが確認された。
【0038】
比較例4
スルホランと水との混合物(容量比80/20)に代えてメタノールと水との混合物(容量比70/30)を溶媒とした他は実施例1と同様の操作により反応を行った。得られた白色固形物の重量は2.49gであったが、NMRスペクトル分析の結果から、これはポリアルコールではなく未反応の原料ポリケトンであることが確認された。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、エチレンを主体とするオレフィンと一酸化炭素とを共重合して得られるポリケトンの水素還元触媒の存在下における還元において、一酸化炭素共重合率の高い交互共重合ポリケトンを原料として使用することを可能とし、かつ水素還元反応における選択率を向上させることにより、テトラヒドロフラン環含有率が低く、したがって水酸基含有率の高い、高度なガスバリアー性を有するポリアルコールを製造することができる。

Claims (11)

  1. エチレンを主体とするオレフィンと一酸化炭素とを共重合して得られるポリケトンを水素還元触媒の存在下に還元してポリアルコールを製造する方法において、スルホランまたはこれを主体とする溶媒中で該還元反応を行うことを特徴とするポリアルコールの製造方法。
  2. エチレンを主体とするオレフィンがエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアルコールの製造方法。
  3. ポリケトン中の一酸化炭素の共重合比率が49〜60当量%であることを特徴とする請求項2に記載のポリアルコールの製造方法。
  4. ポリケトン中の一酸化炭素の共重合比率が49〜50当量%であることを特徴とする請求項3に記載のポリアルコールの製造方法。
  5. ポリケトンが交互共重合体であることを特徴とする請求項4に記載のポリアルコールの製造方法。
  6. ポリケトンが遷移金属化合物を成分とする触媒により重合された交互共重合体であることを特徴とする請求項5に記載のポリアルコールの製造方法。
  7. エチレンを主体とするオレフィンがエチレンおよびプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアルコールの製造方法。
  8. ポリケトン中の一酸化炭素の共重合比率が49〜50当量%であることを特徴とする請求項7に記載のポリアルコールの製造方法。
  9. ポリケトンが交互共重合体であることを特徴とする請求項8に記載のポリアルコールの製造方法。
  10. ポリケトンが遷移金属化合物を成分とする触媒により重合された交互共重合体であることを特徴とする請求項9に記載のポリアルコールの製造方法。
  11. 溶媒がスルホランと水との混合物であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1つの項に記載のポリアルコールの製造方法。
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