JPWO2002042028A1 - 鋸刃 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、切削加工にて被削材(ワーク)を切断する工具としての例えば帯鋸、弓鋸、丸鋸などの鋸刃に関する。
背景技術
従来より、例えば金属製の大きなワークを切断する装置として帯鋸盤が使用されている。この帯鋸盤に使用される帯鋸刃においては、例えばビビリ振動や騒音などに対応するために、アサリ歯のパターンをレーカーセット、ウェーブセット、あるいはストレートセットなどの種々のアサリパターンに設定したり、各歯のピッチを不等ピッチにしたりしている。また、例えばステンレス鋼のような難削材に対応すべく、鋸刃における複数の歯に高低差を設けたり、複数のアサリ歯のアサリ振出量を変えた構成の鋸刃も開発されている。
さらに、各鋸歯の歯先の角度を種々の角度に構成した鋸刃や、鋸刃の背面に波状の加工を行ったり、鋸刃の各歯の先端などを結ぶ曲線が波状を呈するように構成した鋸刃など、市場ニーズに合わせて様々な鋸刃が開発されている。
一方、例えば金属製のワークを切断する帯鋸盤に関しても、切断用途に合わせて様々な帯鋸盤が開発されている。例えば、帯鋸盤における切削の切り込み方法を大別すると、主に、(1)ワークの切断長に無関係に切り込み速度が一定である場合と、(2)ワークの切断長に応じて切り込み速度が可変である場合との2種類がある。
また、上記の(2)のワークの切断長に応じて切り込み速度が変化する切削方法は、さらに分類すると、
(2−1)油圧シリンダを使用してシリンダに生じる背圧を制御する方法、
(2−2)油圧シリンダを使用して切削抵抗に応じた流量を制御する方法、
(2−3)ワークの形状を予め入力しておき、ワークの切削長を随時計算して切り込み速度を変化せしめるCNC制御方法、
(2−4)切削抵抗を検出し、切削抵抗に応じて切り込み速度を変化せしめるCNC制御方法、
(2−5)鋸刃が装着されているハウジングの自重を機械的に調整し抑制しておき、自由落下により切削する方法、
などが、一般的に用いられている。
従来、小型で安価なポータブルバンドソーなどの帯鋸盤が多く使用されており、この小型のポータブルバンドソーや横型バンドソーは、一般的に鋸刃ハウジングが円弧を描くように上下に揺動するヒンジタイプであり、上述した(2−5)の方法が多く用いられている。このような帯鋸盤を、本明細書においては以下「軽負荷鋸盤」と称する。
ところで、一般市場における軽負荷鋸盤の用途は、例えば鉄骨構造物の建設現場の切断作業において比較的小さいワークを切断するような現場での切断に適している。このようにワーク形状は小物に限定されるとはいえ千差万別であり、異形鋼やパイプあるいは小径ソリッド材などのワークの切断が行われている。
以上のような軽負荷鋸盤において、例えば図1A、図1Bに示されているように、1つの直歯Sと左右方向へのアサリ振出量が一定の一対の左右アサリ歯L、Rとの3個の歯で一つのアサリパターンを構成し、このアサリパターンを繰り返す構成であり、且つピッチ構成が例えば4mmの鋸刃101を用いて、例えば図3に示すように直径50mmのソリッド材Wを切削する場合は、適正な切削が行われる。しかし、上記と同一の鋸刃101を用いて、例えば図4に示されているように直径50mmで肉厚が例えば3mmのパイプ材Wを切削する場合は、鋸刃101に歯欠けが生じやすいという問題点があった。
その理由は、鋸刃101のピッチが4mmであるのに対してパイプ材Wの肉厚が3mmであると共に、鋸刃101の切り込み速度がハウジング荷重Gの自由落下に近いものであるために、この切削条件では鋸刃101による切削がパイプ材Wの中心付近に達すると、ワークWが鋸刃101の歯先と歯先の間に入り込んで急激な自由落下が生じてしまい、過度の切り込み量が生じるために歯欠けが生じ易いのである。
この問題を解決するための現状の方法としては、図2A、図2Bに示されているように、パイプ材Wの肉厚より小さいピッチの鋸刃103を用いて切削することが一般的である。図5においてはピッチ構成が2mmの鋸刃103(図2A、図2Bに示した鋸刃)を用いて肉厚3mmで直径50mmのパイプ材Wを切削する状態が示されている。
この条件では、パイプ材Wの肉厚3mmに対して鋸刃103のピッチが2mmと小さいので、鋸刃103がパイプ材の中心付近に達してもワークWが鋸刃103の歯先と歯先の間に入り込むことはなく、急激な自由落下も生じないので、適正な切削が行われる。
しかし、上記の同一の鋸刃103、つまりピッチが2mmの鋸刃103(図2A、図2Bに示した鋸刃)を用いて直径50mmのソリッド材W(図3に示されている被削材)を切削すると、鋸刃103のピッチがワークWの直径に比べて十分小さいために、急激な自由落下は生じないので過度の切り込みは生じない。しかし、ワークWの切削長に対して作用する鋸刃103の歯数が多くなり、ワークWに対する各歯の切込み量が小さくなる。そのために、図1A、図1Bに示されているようなピッチ構成が4mmの鋸刃101でソリッド材Wを切削する場合に比べて切削時間が長くなるという問題点があった。
以上のことから、ソリッド材やパイプ材等の被削材を切断する場合は、ワークWの形状,寸法に応じて適切なピッチの鋸刃に交換する必要があり、鋸刃交換の手間がかかるという問題点があった。
したがって、例えば建設現場等では、前述したように千差万別のワークを切断しており、ワークの形状,寸法等に応じてピッチの異なる鋸刃を交換する手間は無視できず、一方、歯欠けを未然に防ぐ目的で比較的ピッチの小さい鋸刃を予め装着しておく方法を用いるとしても、この場合には比較的切削長の大きいワークを切断する場合には切削時間が長くなるという問題が無視できなくなる。
本発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、比較的切削長が大きいワークから小さいワークまで歯欠けを生じることなく、高能率で切断が可能な鋸刃を提供することにある。
発明の開示
上記目的を達成するために、第1アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、直歯及び左右のアサリ振出しを行った左右のアサリ歯を備えた第1の歯群と左右のアサリ振出しを行った左右のアサリ歯を備えた第2の歯群とを組合せたアサリパターンを適宜に繰り返す構成の鋸刃において、前記第1の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量よりも前記第2の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量を小さく又は同一に設けてある。
第2アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、直歯及び左右のアサリ振出しを行った左右のアサリ歯を備えた第1の歯群と左右のアサリ振出しを行った左右のアサリ歯を備えた第2の歯群とを組合せたアサリパターンを適宜に繰り返す構成の鋸刃において、前記第1の歯群の歯高よりも前記第2の歯群の歯高を低く設けた構成である。
第3アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、第2アスペクトに基づくこの発明の鋸刃において、前記第1の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量よりも前記第2の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量を小さく又は同一に設けてある。
第4アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、少なくとも直歯及び左右のアサリ振出しを行った左右一対のアサリ歯を備えた第1の歯群と第2の歯群とを組合せたアサリパターンを適宜に繰り返す構成の鋸刃であって、前記第1の歯群における鋸歯の歯高よりも前記第2の歯群における鋸歯の歯高を低く設け、前記第2の歯群における鋸歯のガレットを含む歯先ピッチは前記第1の歯群における鋸歯のガレットを含む歯先ピッチより小さく、かつ前記第2の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量を、前記第1の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量に等しく又はより小さく設けた構成である。
第5アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、少なくとも直歯及び左右のアサリ振出しを行った左右の一対のアサリ歯を備えた第1の歯群と少なくとも左右一対のアサリ歯を備えた第2の歯群とを組合せたアサリパターンを適宜に繰り返す構成の鋸刃であって、前記第1の歯群における鋸歯の歯高よりも前記第2の歯群における鋸歯の歯高を低く設け、前記第2の歯群における鋸歯のガレットを含む歯先ピッチは前記第1の歯群における鋸歯のガレットを含む歯先ピッチより小さく、かつ前記第2の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量を、前記第1の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量に等しく又はより小さく設けた構成である。
第6アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第5アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、前記第2の歯群に直歯を備え、かつ前記第1の歯群の歯数と前記第2の歯群の歯数とを同一に設けてある。
第7アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第6アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、前記第1の歯群の左右のアサリ歯の数と前記第2の歯群の左右のアサリ歯の数とを等しく設けた構成である。
第8アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第7アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、前記第1の歯群と第2の歯群とが交互に配置してある。
第9アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第8アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、第1の歯群の歯数よりも第2の歯群の歯数の方が多い構成である。
第10アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第9アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、第2の歯群の歯数よりも第1の歯群の歯数の方が多い構成である。
第11アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第10アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続して配置してある。
第12アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第10アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続しない配置である。
第13アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第12アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、前記各歯間のピッチが不等ピッチである。
第14アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第13アスペクトに基づく鋸刃において、前記不等ピッチは2種類のピッチである。
第15アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第14アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、前記第1の歯群の歯と前記第2の歯群の歯との高低差は0.2mm以下である。
第16アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第1アスペクト乃至第15アスペクトの内のいずれか1つのアスペクトに基づく鋸刃において、前記第2の歯群における鋸歯のガレットの底部は、前記第1の歯群における鋸歯のガレットの底部より歯先側に位置してある。
第17アスペクトに基づくこの発明の鋸刃は、上記第4アスペクト又は第5アスペクトに基づく鋸刃において、前記第2の歯群における鋸歯は、前記第1の歯群における鋸歯の間に配置してある。
上述の通り、本発明に基づく鋸刃によれば、歯高の高い直歯及び左右のアサリ歯を備えた第1の歯群の各鋸歯と、歯高が低くかつアサリ振出量が第1の歯群のアサリ歯よりもアサリ振出量のより小さい左右のアサリ歯を備えた第2の歯群の各鋸歯とを組合せてアサリパターンを構成した構成である。
従って、ソリッド材等の切削及びパイプ材等の切削に容易に対応することができ、かつ歯欠等を生じることなく効率よく切削を行うことができ、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明するに、以下の実施の形態に係る鋸刃は、各図において右方向へ移動することによってワークの切削加工を行うものである。
図6A、図6Bを参照するに、本発明の第1の実施の形態に係る鋸刃1は、鋸刃1に対して左右方向(鋸刃1の厚さ方向)にアサリ振出しを行わない直歯Sと左右方向へのアサリ振出量が比較的大きい(換言するに、アサリ幅が広い)一対の左右のアサリ歯Lw,Rwを備えた第1の歯群(この第1の歯群に属する鋸歯は符号Aで示す)と、上記第1の歯群Aの左右の前記アサリ歯Lw,Rwのアサリ振出量よりも小さなアサリ振出量の(換言するに、アサリ幅が狭い)左右一対のアサリ歯Ln,Rnを備えた第2の歯群(この第2の歯群に属する鋸歯は符号Bで示す)とを、組合せたアサリパターンを適宜に繰り返す構成である。
鋸刃1は、図において左から右の方向へ走行して、ワークWを切削する。この場合、当該切削加工工程において、上記アサリパターンの歯Lw、Ln、Rw、Rn、S、Sが、歯Lw、Ln、Rw、Rn、S、Sの順に前記ワークWと当接して切削加工を進める。
図6A、図6Bに示す鋸刃1においては、第1の歯群Aとして、2個の直歯Sと、アサリ振出量が比較的大きく等しい左右一対のアサリ歯Lw、Rwとの合計4個からなり、第2の歯群Bとしては、アサリ振出量が第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwよりも小さい左右一対のアサリ歯Ln、Rnの合計2個からなり、この第1の歯群Aと第2の歯群Bとの組合せによってアサリパターンが構成されている。そして、各歯先ピッチP1は等しく、例えば2mmに設けてある。
上記の構成の鋸刃1を用いて、例えば図3に示されているソリッド材のような比較的切削長の大きいワークWを切削するとき、第2の歯群Bの左右アサリ歯Ln、Rnは第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwよりもアサリ振出量が小さいので、ワークWの切削溝を広げるように切削する際の切削に寄与する働きが小さい。その働きが小さい量だけあたかも鋸刃のピッチ構成が大きくなったかのようになる。すなわち、切削に寄与する働きの小さな第2の歯群Bを無視すると、切削に大きく寄与する鋸歯の間隔は、主として切削の働きをする第1の歯群Aの左アサリ歯Lwと右アサリ歯Rwとの間隔及び右アサリ歯Rwと直歯Sとの間隔となり、あたかも大きなピッチ(P1×2)の鋸刃でワークWを切削する態様となる。なお、直歯S,Sの間はもとのピッチP1である。
したがって、本実施の形態の鋸刃1と図2A、図2Bに示した従来の鋸刃103とを用い、帯鋸盤、鋸刃の走行速度、切り込み荷重などの切削条件を同じくして、例えば図3に示されているソリッド材を切削し比較してみると、本実施の形態の鋸刃1の方が切断時間が短いものであった。
また、上記の切削時には、鋸刃1は鋸歯ピッチが(P1×2)のピッチ及びピッチP1でワークWの切削を行うこととなり、切削時の鋸刃の共振が抑制されることとなり、騒音が抑制されることになる。さらに、左右のアサリ歯が等しいことにより、鋸刃に作用する左右方向の分力が相殺されることになる。
図1A、図1Bに示した従来の鋸刃101をも含めて切削時間を比較すると、鋸刃101<鋸刃1<鋸刃103となり、ソリッド材の切断には図2A、図2Bに示した従来の鋸刃103に比べて切削時間が改善される。
一方、図6A、図6Bに示した鋸刃1を用いて、例えば図5に示されているパイプ材のようなワークWを切削すると、パイプ材の肉厚3mmに対して鋸刃のピッチP1が2mmと小さく、鋸刃1がパイプ材の中心付近に達してもワークWが鋸刃の歯先と歯先の間に入り込むことはなく、急激な自由落下も生じないので、歯欠けすることなく適正な切削が行われる。
すなわち、ワークを切削する際、ソリッド材の切削を行う場合のように、切削抵抗が大きく比較的切り込み速度が小さくなる傾向の場合の切削をするときは、主に第1の歯群Aの鋸歯が主として切削作用を行い、パイプ材の切削を行う場合のように、比較的切削抵抗が小さく、比較的切り込み速度が大きくなり易い場合の切削をするときは第1の歯群と第2の歯群の双方が共に切削作用を行うこととなり、比較的切削長が大きいワークから切削長の小さいワークまで歯欠けを生じることなく、高能率に切断を行うことができることになる。その結果、ワークに応じての鋸刃交換の手間が省かれるだけでなく、鋸刃の消費量も削減される。
ところで、図6Cに示すように、第1の歯群Aの左右のアサリ歯Lw,Rwのアサリ振出量と第2の歯群Bのアサリ歯Ln,Rnのアサリ振出量とをほぼ同一とすることも可能である。この場合には、前述のごとき効果を奏し得ると共に、第2の歯群Bのアサリ歯Ln,Rnが多少切削に寄与するので、ワークWの切断面のシエービングを行う態様となり、切断面の精度がより向上するものである。
図7A、図7Bを参照するに、この発明の第2の実施の形態を示す鋸刃3であり、図6A、図6B、図6Cの鋸刃1における第1の歯群Aに相当する鋸歯と第2の歯群Bに相当するの鋸歯の歯高に高低差H1が設けられたものであり、鋸歯間は等ピッチP1の鋸刃である。
換言すると、各鋸歯S、Lw、Rwの歯先は、一点鎖線で示す第1の仮想線F1に一致するように配列されている。一方、各鋸歯St、Ln、Rnの歯先は、一点鎖線で示す第2の仮想線F2に一致するように配列されている。これら第1の仮想線F1と第2の仮想線F2の高低差が、上記鋸歯の歯高に高低差H1に相当するのである。
上述のように、各鋸歯S、Lw、Rwの歯先と各鋸歯St、Ln、Rnの歯先とを高低差H1を設けて配置しているため、双方のガレットの深さが異なってくる。つまり、第2の歯群Bに属する各鋸歯Ln,Rnは歯高が低く((L)で示す通り)、前側(図において右側であって、鋸刃の移動方向の上流側)のガレットは第1の歯群Aに属する各鋸歯St、Lw、Rwの前側のガレットより浅く形成してある。このように、歯高を低くし、かつ前側のガレットを浅くすることにより、第2の歯群Bに属する鋸歯の剛性が向上し、当該鋸歯でもってワークを切削する際の切削抵抗によるアサリ振り出し方向の撓みを抑制でき、切削性が向上するものである。
また、第1の歯群Aの左右のアサリ歯と第2の歯群Bの左右アサリ歯の高低差としては、第2の歯群Bのアサリ振出量の小さいアサリ歯が歯高も低くされている。換言すれば、歯高の低いアサリ歯は、歯高の高いアサリ歯のアサリ振出量より小さなアサリ振出量である。
より詳しくは、第1の歯群Aとしては、1個の歯高の高い((H)で示す通り)直歯Sと、歯高の高く(H)で示す、且つ、アサリ振出量が比較的大きく等しい左右一対のアサリ歯Lw、Rwと、の合計3個からなる。第2の歯群Bとしては、第1の歯群Aの直歯Sよりも歯高の低い1個の直歯Stと、第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwより歯高が低くてアサリ振出量が小さい左右一対のアサリ歯Ln、Rnの合計3個からなり、直歯と左右アサリ歯の個数が同数であり、第1の歯群Aと第2の歯群Bの合計6個の鋸歯で1つのアサリパターンが構成されている。そして、第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯は交互に配置されている。
前記鋸刃3において、第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯との歯先の高低差の量H1としては、例えば図3に示されているソリッド材を切削する場合のように、切削長が長くなり、切込み方向の切削抵抗が大きくなって切り込み速度が比較的小さくなる態様のときには主に第1の歯群Aの各鋸歯により切込み切削作用が行われ、図5に示されているパイプ材の切削時のように、切込み方向の切削抵抗が小さく切り込み速度が比較的大きくなり易い場合には第1の歯群Aと第2の歯群Bの双方が切込み切削作用を行う程度に高低差H1が設けられている。
なお、高低差の量H1は、鋸歯のピッチやワークWの形状,寸法,種類等によって異なるが、数々の実験によると、概ね0.2mm以下であることが望ましく、特に金属を切断する場合には0.1mm以下が適している。
また、第1の実施の形態の鋸刃1では、アサリ振出量の小さいアサリ歯とアサリ振出量の大きいアサリ歯との歯高がほぼ同じ構成であるから、アサリ振出量の小さいアサリ歯も大きいアサリ歯よりも働きは少ないとはいえ常に切込み方向の切削作用を行うことになる。これに対して第2の実施の形態の鋸刃3では、ソリッド材を切削するとき、第2の歯群Bの各鋸歯Ln、Rn、Stにより切込み方向の切削作用が殆ど行われず、ほとんどが第1の歯群Aにおける各鋸歯によって切削が行われる。したがって、切削作用を行う第1の歯群Aの鋸歯だけに注目すると、ピッチがP1×2になり、あたかも図1A、図1Bに示した従来の鋸刃101のようになる。
したがって、第2の実施の形態に係る鋸刃3を用いて、帯鋸盤、鋸刃の走行速度、切り込み荷重などの切削条件を前述した第1の実施の形態に係る鋸刃1による切断加工時の場合と同じくして、図3に示されているソリッド材を切削して切削時間を比較してみると、鋸刃101≒鋸刃3<鋸刃1<鋸刃103となる。つまり、ソリッド材の切断には図2A、図2Bに示した従来の鋸刃103及び図6A、図6B、図6Cの第1の本実施の形態に係る鋸刃1に比べて切削時間が改善され、しかも図1A、図1Bに示した従来の鋸刃101とほぼ同じになる。
一方、図7A、図7B、図7Cに示した鋸刃3を用いて、例えば図5に示されているパイプ材のようなワークWを切削すると、パイプ材の肉厚3mmに対して鋸刃のピッチP1が2mmと小さく、また、切込み方向の切削抵抗が小さくなって切り込み速度,切込み量が大きくなるような傾向にある場合、すなわち鋸刃3がパイプ材の中心付近に達したときには、第2の歯群Bの鋸歯も共に切削作用を行うこととなり、ワークWが鋸刃3の歯先と歯先の間に入り込むようなことはなく、急激な自由落下も生じないので、歯欠けすることなく適正な切削が行われる。
なお、上記鋸歯3において、第1の歯群Aのアサリ歯と第2の歯群Bのアサリ歯とのアサリ振出量を図7Cに示すようにほぼ等しく設けることも可能である。この場合、シエービング効果によって切断面の切断精度がより向上することになる。
図8A、図8Bを参照するに、この発明の第3の実施の形態に係る鋸刃5を示すものであり、図7A、図7B、図7Cに示した第2の実施の形態の鋸刃3における第2の歯群Bの直歯Stを取り除いたものであり、鋸歯間は等ピッチP1の鋸刃である。
より詳しくは、第1の歯群Aとしては、1個の歯高の高い直歯Sと、アサリ振出量が比較的大きく等しい左右一対のアサリ歯Lw、Rwとの合計3個からなり、第2の歯群Bとしては、第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwより歯高が低くかつアサリ振出量が、第1の歯群Aにおけるアサリ歯Lw,Rwのアサリ振出量よりも小さい左右一対のアサリ歯Ln、Rnの合計2個からなり、この第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯との組合せによる合計5個の鋸歯で1つのアサリパターンが構成されている。
そして、第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯との歯先の高低差の量H1としては、前述した第2の実施の形態に係る鋸刃3と同様であるので、説明は省略する。
なお、第3の実施の形態の鋸刃5では、第2の実施の形態の鋸刃3と同様に、ソリッド材を切削すると第2の歯群Bの各アサリ歯Ln、Rnによる切削作用が殆ど行われず、ほとんどが第1の歯群Aに属する各鋸歯で切削が行われる。そこで、主として切削作用を行う第1の歯群Aの各鋸歯だけに注目すると、第2の実施の形態の鋸刃3ではアサリパターンにおいての鋸歯の平均ピッチが4mmであるのに対して、第3の実施の形態の鋸刃5ではアサリパターンにおいての鋸歯の平均ピッチが約3.3mm〔=(2+4+4)/3〕と、少し小さくなる。
したがって、第3の実施の形態の鋸刃5を用いて、帯鋸盤、鋸刃の走行速度、切り込み荷重などの切削条件を前述した第1及び第2の実施の形態に係る鋸刃の場合と同じくして、図3に示されているソリッド材を切削した切削時間を比較してみると、鋸刃101≒鋸刃3<鋸刃5<鋸刃1<鋸刃103となる。つまり、ソリッド材の切断には第1の歯群Aの平均ピッチが約3.3mmと図1A、図1Bに示した従来の鋸刃101のピッチ4mmよりも小さくなった分だけ切削時間は鋸刃3よりも大きくなってしまうが、図2A、図2Bに示した従来の鋸刃103及び図6A、図6B、図6Cに示した第1の本実施の形態に係る鋸刃1に比べて切削時間が改善される。
一方、図8A、図8Bに示した鋸刃5を用いて、例えば図5に示されているパイプ材のようなワークWを切削する場合は、第2の実施の形態の鋸刃3と同様の作用をして歯欠けを生じることなく適正な切削が行われる。
図9A、図9Bを参照するに、この発明の第4の実施の形態に係る鋸刃7を示すものであり、図8A、図8Bの第3の実施の形態の鋸刃5の第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwと、第2の歯群Bの左右アサリ歯Ln、Rnとのアサリ振出量をほぼ同じにしたものであり、鋸歯間は等ピッチP1の鋸刃である。
より詳しくは、第1の歯群Aとしては、1個の歯高の高い直歯Sと、アサリ振出量が比較的大きくて歯高の高い左右一対のアサリ歯Lw、Rwとの合計3個からなり、第2の歯群Bとしては、第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwより歯高が低くてアサリ振出量がほぼ等しい左右一対のアサリ歯Ln、Rnの合計2個からなり、この第1の歯群Aに属する複数の鋸歯と第2の歯群Bに属する複数の鋸歯とを組合せた合計5個の鋸歯で1つのアサリパターンが構成されている。
上記構成の鋸歯7においては、例えば図3に示されているソリッド材の切削を行う場合のように切削抵抗が大きく切り込み速度が比較的小さくなる態様のときには、第2の歯群Bの歯高の低いアサリ歯Ln、Rnはほとんど切削作用を行わないが、第1の歯群Aの歯高の高いアサリ歯Lw、Rwが切削した切削溝の側面を擦るように僅かな切削作用が行われ、シェービング作用により切削面の精度が向上する。そして、第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯との歯先の高低差の量H1としては、前述した第2の実施の形態の鋸刃3と同様であるので、説明は省略する。
なお、第4の実施の形態に係る鋸刃7では、ソリッド材を切削するときに主として、切削作用を行う第1の歯群Aの鋸歯だけに注目すると、第3の実施の形態の鋸刃5と同様に、アサリパターンにおいての鋸歯の平均ピッチが約3.3mmである。したがって、帯鋸盤、鋸刃の走行速度、切り込み荷重などの切削条件が前述した第1、第2及び第3の実施の形態の場合と同じで、図3に示されているソリッド材を切削したときの切削時間を比較してみると、鋸刃101≒鋸刃3<鋸刃5≒鋸刃7<鋸刃1<鋸刃103となる。
つまり、ソリッド材の切断には図2A、図2Bに示した従来の鋸刃103及び図1に示した第1の本実施の形態に係る鋸刃1に比べて切削時間が改善され、図8A、図8Bの第3の本実施の形態に係る鋸刃5とほぼ同様である。
一方、図9A、図9Bに示した鋸刃7を用いて、例えば図5に示されているパイプ材のようなワークWを切削する場合は、第2の実施の形態に係る鋸刃3と同様の作用をして歯欠けを生じることなく適正な切削が行われる。
図10A、図10Bを参照するに、この発明の第5の実施の形態に係る鋸刃9は、図3に示した第3の実施の形態の鋸刃5における第1の歯群Aの左右のアサリ歯Lw、Rwと、第2の歯群Bの左右のアサリ歯Ln、Rnとの配置の順番を入れ替えたものであり、鋸歯間は等ピッチP1の鋸刃である。図8A、図8Bの第3の実施の形態の鋸刃5と機能的には殆ど差がないので、より詳細な説明は省略する。
この第5の実施の形態に係る鋸刃9のように第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯の各歯の配置は適宜変更可能である。なお、この場合は第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯の同じ方向のアサリ歯は連続しないように配置されている。
図11A、図11Bを参照するに、この発明の第6の実施の形態に係る鋸刃11は、図3に示した第3の実施の形態の鋸刃5の第2の歯群Bに歯高が低くてアサリ振出量の小さい左右アサリ歯Ln2、Rn2を追加して鋸歯数を多くしたものであり、鋸歯間は等ピッチP1の鋸刃である。
より詳しくは、第1の歯群Aとしては、1個の歯高の高い直歯Sと、アサリ振出量が比較的大きく等しい左右一対のアサリ歯Lw、Rwとの合計3個からなり、第2の歯群Bとしては、第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwより歯高が低くてアサリ振出量が僅かに小さい左右一対のアサリ歯Ln1、Ln2と、さらにアサリ振出量が小さな一対の左右のアサリ歯Rn1、Rn2の合計4個からなり、この第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯との組合せにより合計7個の鋸歯で1つのアサリパターンが構成されている。そして、第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯との歯先の高低差の量H1としては、前述した第2の実施の形態に係る鋸刃3と同様であるので、より詳細な説明は省略する。
なお、第6の実施の形態に係る鋸刃11では、第3の実施の形態に係る鋸刃5と同様に、ソリッド材を切削するときには第2の歯群Bにおける各鋸歯Ln1、Ln2、Rn1、Rn2による切削作用が殆ど行われず、ほとんどが第1の歯群Aにおける各鋸歯S,Lw,Rwによって切削が行われる。したがって、主として切削作用を行う第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwだけに注目すると、左右のアサリ歯LwとRwとの間隔及びアサリ歯Rwと直歯Sとの間隔がそれぞれ(P1×3=6mm)と大きくなり、ピッチが大きくなった分だけ各鋸歯の切込み量が大きくなって各鋸歯の負荷が大きくなるので、比較的ピッチが大きい鋸刃では好ましくないが、ピッチが小さい鋸刃では有用な構成パターンとなる。
一方、図11A、図11Bに示した鋸刃11を用いて、例えば図5に示されているパイプ材のようなワークWを切削する場合は、第2の実施の形態に係る鋸刃3と同様の作用をして歯欠けすることなく適正な切削が行われる。
図12A、図12Bを参照するに、この発明の第7の実施の形態に係る鋸刃13は、図8A、図8Bに示した第3の実施の形態に係る鋸刃5の第1の歯群Aに歯高が高くてアサリ振出量が比較的大きい左右アサリ歯Lw2、Rw2を追加して歯数を多くしたものであり、鋸歯間は等ピッチP1の鋸刃である。
より詳しくは、第1の歯群Aとしては、1個の歯高が高い直歯Sと、歯高が高くてアサリ振出量が比較的大きく等しい左右2対のアサリ歯Lw1、Lw2、Rw1、Rw2との合計5個からなり、第2の歯群Bとしては、第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwより歯高が低くてアサリ振出量が小さい左右一対のアサリ歯Ln、Rnの合計2個からなり、この第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯とを組合せた合計7個の鋸歯で1つのアサリパターンが構成されている。
なお、第7の実施の形態に係る鋸刃13は、前述した図11A、図11Bに示した実施の形態の鋸刃11の第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwのピッチが大きくなることに伴う欠点を改善したものである。そして、ソリッド材やパイプ材に対する切削作用、及び第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯との歯先の高低差の量H1については、前述した第3の実施の形態に係る鋸刃5とほぼ同様であるのでより詳細な説明を省略する。以上のように、第1の歯群Aの鋸歯の種類及び数と第2の歯群Bの鋸歯の種類及び数の構成は適宜変更可能である。
図13A、図13Bを参照するに、この発明の第8の実施の形態に係る鋸刃15は、図8A、図8Bに示した第3の実施の形態の鋸刃5の第1の歯群Aの左右アサリ歯Lw、Rwと、第2の歯群Bの左右アサリ歯Ln、Rnとの組合せによるアサリパターン及び歯高の高低差のパターンは同じであり,鋸歯のピッチ構成が2種類のピッチの組合せよりなる不等ピッチである。
不等ピッチであることにより、切削時の騒音が低減できるという新たな効果が生じる。図13AではピッチがP1とP2の2種類からなることを示しているが、さらに複数の種類のピッチ構成にすることにより、切削時の振動による共振を効果的に抑制でき、切削騒音の低減効果がより一層大きくなる。
なお、ソリッド材やパイプ材に対する切削作用、及び第1の歯群Aの鋸歯と第2の歯群Bの鋸歯との歯先の高低差の量H1については、前述した第3の実施の形態に係る鋸刃5とほぼ同様であるので説明を省略する。
図14A、図14Bを参照するに、本発明の第9の実施の形態に係る鋸刃17は、直歯S1、左右のアサリ歯Lw、Rwの3歯を備えた第1の歯群Aと、同じく直歯S2、左右のアサリ歯Ln、Rnの3歯を備えた第2の歯群Bとを組合せた合計6個の鋸歯によってアサリパターンを構成している。
前記第1の歯群Aに属する直歯S1、左右のアサリ歯Lw,Rwの歯高に比較して第2の歯群Bに属する直歯S2、左右のアサリ歯Ln,Rnの歯高は低く、かつ前側のガレットは前述の各実施の形態と同様に、第1の歯群Aに属する各鋸歯の前側のガレットより浅く形成してある。そして第1の歯群Aと第2の歯群Bとの高低差H1は前述した各鋸刃の高低差と同一である。そして、前記第1の歯群Aに属する左右のアサリ歯Lw、Rwのアサリ振出量よりも第2の歯群Bに属する左右のアサリ歯Ln、Rnのアサリ振出量は小さく、又は等しく設けてあり、かつ第1の歯群Aに属する各鋸歯S1,Lw,Rwと第2の歯群Bに属する各鋸歯S2、Ln,Rnは交互に配置してある。
さらに、鋸刃17において、第2の歯群Bに属する各鋸歯S2,Ln,Rnのガレットを含む歯先ピッチP1は、第1の歯群Aに属する各鋸歯S1,Lw,Rwのガレットを含む歯先ピッチP2より小さく設けてある。なお、第1の歯群Aに属する左右のアサリ歯Lw、Rwと第2の歯群Bに属する左右のアサリ歯Ln、Rnとの配置関係は、図14Bに示すように、同一方向に振出しを行ったアサリ歯が隣接して対をなすように連続して配置しても、また図14Cに示すように、振出し方向の異ったアサリ歯が隣接して対をなすように連続して配置しても良いものである。
上記構成の鋸刃17においては、図3に示したごときソリッド材Wを切断するような場合には第1の歯群Aに属する各鋸歯S1,Lw,Rwが主として切削に寄与するものであり、パイプ材等を切断するような場合には第1の歯群Aに属する各鋸歯S1,Lw,Rw及び第2の歯群Bに属する各鋸歯S2,Ln,Rnが共にワークの切削に寄与することとなり、ソリッド材の切断やパイプ材の切断に容易に対応することができるものである。
図15A、図15Bを参照するに、本発明の第10の実施の形態に係る鋸刃19は、前述した第8の実施の形態に係る鋸刃15とアサリパターンや各鋸歯の配置は同じであるが、歯先の逃げ角を二段にしてガレット容量を大きくして、切屑の目詰りを生じ難くしたものである。また、第2の歯群Bに属する各鋸歯の切削作用は、第1の歯群Aに属する各鋸歯よりも小さいので、第1の歯群Aに属する各鋸歯の前側のガレットの深さよりも、第2の歯群Bに属する各鋸歯の前側のガレットの深さを浅くして、各鋸歯の機能に適した構成としてある。
なお、第1の歯群Aに属する左右のアサリ歯Lw、Rwと第2の歯群Bに属する左右のアサリ歯Ln、Rnとの配置関係は、図15Bに示すように、同一方向に振出しを行ったアサリ歯が隣接して対をなすように連続して配置しても、また図15Cに示すように、振出し方向の異ったアサリ歯が隣接して対をなすように連続して配置しても良いものである。
前記鋸刃17,19の説明より理解されるように、第1の歯群Aに属する各鋸歯の種類及び数は任意であり、また第2の歯群Bに属する各鋸歯の種類及び数は任意であって、第1の歯群Aの各鋸歯と第2の歯群Bの各鋸歯を組合せてアサリパターンを構成したとき、このアサリパターンに含まれる左アサリ歯の数と右アサリ歯の数とが等しく構成することが望ましいものである。なお、アサリパターンにおいての歯先ピッチは前記P1、P2の2種類に限ることなく、さらに別のピッチをも組合せても良いものであり、例えばアサリパターンにおいての全てのピッチが異なる構成であっても良いものである。
【図面の簡単な説明】
図1Aは、従来の鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図1Bは、図1Aに示す従来の鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図2Aは、従来の鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図2Bは、図2Aに示す従来の鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図3は、ピッチ4mmの鋸刃にてソリッド材を切削するときの状態説明図である。
図4は、ピッチ4mmの鋸刃にて肉厚3mmのパイプ材を切削する状態説明図である。
図5は、ピッチ2mmの鋸刃にて肉厚3mmのパイプ材を切削する状態説明図である。
図6Aは、本発明の第1の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図6Bは、図6Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図6Cは、図6Bに示す鋸刃の歯先形状の変更態様を示す下面図である。
図7Aは、本発明の第2の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図7Bは、図7Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図7Cは、図7Bに示す鋸刃の歯先形状の変更態様を示す下面図である。
図8Aは、本発明の第3の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図8Bは、図8Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図9Aは、本発明の第4の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図9Bは、図9Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図10Aは、本発明の第5の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図10Bは、図10Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図11Aは、本発明の第6の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図11Bは、図11Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図12Aは、本発明の第7の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図12Bは、図12Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図13Aは、本発明の第8の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図13Bは、図13Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図14Aは、本発明の第9の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図14Bは、図14Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図14Cは、図14Bに示す鋸刃の歯先形状の変更態様を示す下面図である。
図15Aは、本発明の第10の実施の形態に係る鋸刃の歯先形状の一部を示す正面図である。
図15Bは、図15Aに示す鋸刃の歯先形状の一部を示す下面図である。
図15Cは、図15Bに示す鋸刃の歯先形状の変更態様を示す下面図である。
Claims (51)
- 直歯及び左右のアサリ振出しを行った左右のアサリ歯を備えた第1の歯群と左右のアサリ振出しを行った左右のアサリ歯を備えた第2の歯群とを組合せたアサリパターンを適宜に繰り返す構成の鋸刃において、前記第1の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量よりも前記第2の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量を小さく又は同一に設けてあることを特徴とする鋸刃。
- 請求の範囲第1項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群に直歯を備え、かつ前記第1の歯群の歯数と前記第2の歯群の歯数とを同一に設けてあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第2項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群の左右のアサリ歯の数と前記第2の歯群の左右のアサリ歯の数とを等しく設けたことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第3項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群と第2の歯群とが交互に配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第4項に記載の鋸刃において、
第1の歯群の歯数よりも第2の歯群の歯数の方が多いことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第5項に記載の鋸刃において、
第2の歯群の歯数よりも第1の歯群の歯数の方が多いことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第6項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続して配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第7項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続しない配置であることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第8項に記載の鋸刃において、
前記各歯間のピッチが不等ピッチであることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第9項の鋸刃において、
前記不等ピッチは2種類のピッチであることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第10項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群の歯と前記第2の歯群の歯との高低差は0.2mm以下であることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第11項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群における鋸歯のガレットの底部は、前記第1の歯群における鋸歯のガレットの底部より歯先側に位置してあることを特徴とする鋸刃。 - 直歯及び左右のアサリ振出しを行った左右のアサリ歯を備えた第1の歯群と左右のアサリ振出しを行った左右のアサリ歯を備えた第2の歯群とを組合せたアサリパターンを適宜に繰り返す構成の鋸刃において、前記第1の歯群の歯高よりも前記第2の歯群の歯高を低く設けたことを特徴とする鋸刃。
- 請求の範囲第13項の鋸刃において、
前記第1の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量よりも前記第2の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量を小さく又は同一に設けてあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第13項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群に直歯を備え、かつ前記第1の歯群の歯数と前記第2の歯群の歯数とを同一に設けてあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第15項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群の左右のアサリ歯の数と前記第2の歯群の左右のアサリ歯の数とを等しく設けたことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第16項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群と第2の歯群とが交互に配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第17項に記載の鋸刃において、
第1の歯群の歯数よりも第2の歯群の歯数の方が多いことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第18項に記載の鋸刃において、
第2の歯群の歯数よりも第1の歯群の歯数の方が多いことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第19項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続して配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第20項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続しない配置であることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第21項に記載の鋸刃において、
前記各歯間のピッチが不等ピッチであることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第22項の鋸刃において、
前記不等ピッチは2種類のピッチであることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第23項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群の歯と前記第2の歯群の歯との高低差は0.2mm以下であることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第24項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群における鋸歯のガレットの底部は、前記第1の歯群における鋸歯のガレットの底部より歯先側に位置してあることを特徴とする鋸刃。 - 少なくとも直歯及び左右のアサリ振出しを行った左右一対のアサリ歯を備えた第1の歯群と第2の歯群とを組合せたアサリパターンを適宜に繰り返す構成の鋸刃であって、前記第1の歯群における鋸歯の歯高よりも前記第2の歯群における鋸歯の歯高を低く設け、前記第2の歯群における鋸歯のガレットを含む歯先ピッチは前記第1の歯群における鋸歯のガレットを含む歯先ピッチより小さく、かつ前記第2の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量を、前記第1の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量に等しく又はより小さく設けたことを特徴とする鋸刃。
- 請求の範囲第26項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群における鋸歯は、前記第1の歯群における鋸歯の間に配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第27項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群に直歯を備え、かつ前記第1の歯群の歯数と前記第2の歯群の歯数とを同一に設けてあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第28項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群の左右のアサリ歯の数と前記第2の歯群の左右のアサリ歯の数とを等しく設けたことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第29項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群と第2の歯群とが交互に配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第30項に記載の鋸刃において、
第1の歯群の歯数よりも第2の歯群の歯数の方が多いことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第31項に記載の鋸刃において、
第2の歯群の歯数よりも第1の歯群の歯数の方が多いことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第32項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続して配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第33項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続しない配置であることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第34項に記載の鋸刃において、
前記各歯間のピッチが不等ピッチであることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第35項の鋸刃において、
前記不等ピッチは2種類のピッチであることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第36項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群の歯と前記第2の歯群の歯との高低差は0.2mm以下であることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第37項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群における鋸歯のガレットの底部は、前記第1の歯群における鋸歯のガレットの底部より歯先側に位置してあることを特徴とする鋸刃。 - 少なくとも直歯及び左右のアサリ振出しを行った左右の一対のアサリ歯を備えた第1の歯群と少なくとも左右一対のアサリ歯を備えた第2の歯群とを組合せたアサリパターンを適宜に繰り返す構成の鋸刃であって、前記第1の歯群における鋸歯の歯高よりも前記第2の歯群における鋸歯の歯高を低く設け、前記第2の歯群における鋸歯のガレットを含む歯先ピッチは前記第1の歯群における鋸歯のガレットを含む歯先ピッチより小さく、かつ前記第2の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量を、前記第1の歯群における左右のアサリ歯のアサリ振出し量に等しく又はより小さく設けたことを特徴とする鋸刃。
- 請求の範囲第39項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群における鋸歯は、前記第1の歯群における鋸歯の間に配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第40項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群に直歯を備え、かつ前記第1の歯群の歯数と前記第2の歯群の歯数とを同一に設けてあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第41項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群の左右のアサリ歯の数と前記第2の歯群の左右のアサリ歯の数とを等しく設けたことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第42項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群と第2の歯群とが交互に配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第43項に記載の鋸刃において、
第1の歯群の歯数よりも第2の歯群の歯数の方が多いことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第44項に記載の鋸刃において、
第2の歯群の歯数よりも第1の歯群の歯数の方が多いことを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第45項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続して配置してあることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第46項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群及び前記第2の歯群における左右のアサリ歯のうち同方向にアサリ振出しを行ったアサリ歯が連続しない配置であることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第47項に記載の鋸刃において、
前記各歯間のピッチが不等ピッチであることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第48項の鋸刃において、
前記不等ピッチは2種類のピッチであることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第49項に記載の鋸刃において、
前記第1の歯群の歯と前記第2の歯群の歯との高低差は0.2mm以下であることを特徴とする鋸刃。 - 請求の範囲第50項に記載の鋸刃において、
前記第2の歯群における鋸歯のガレットの底部は、前記第1の歯群における鋸歯のガレットの底部より歯先側に位置してあることを特徴とする鋸刃。
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