JP2001259927A - 鋸 刃 - Google Patents
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Abstract
比率で切断しているユーザ向けに適した鋸刃を提供す
る。 【解決手段】 鋸刃は、複数の鋸歯からなる1グループ
の鋸歯パターンを繰り返して構成される。1グループの
鋸歯パターンの中で、第一の逃げ角θ2を有する一次切
断歯11を備えると共に前記第一の逃げ角θ2とは異な
る角度の第二の逃げ角θ3を有する二次切断歯15を備
え、直進性に重要な役割をする直歯TO7の逃げ面に切
込量を制限すべく直歯TO7の歯先5の突出高さよりも
突出高さの低い突起部9を備えている。この突起部9に
よりバイメタル溶接部の強度アップとなるために異形鋼
の切断時における直歯TO7の歯欠けが防止され、また
全体の連続歯欠けも防止される。一次切断歯11と二次
切断歯15の逃げ角が小さい方のθ2はチッピングを少
なくして歯の寿命を長くし、逃げ角が大きい方のθ3は
切削材に対する歯先の切断能力を大きくする。
Description
鋸、ハクソーのごとき鋸刃に係わり、さらに詳細には、
特に異形鋼からソリッド材まで切断できる金属用の鋸刃
に関するものである。
ピースを切断する装置として、帯鋸盤が使用されてい
る。この帯鋸盤に使用される一般的な帯鋸刃101は、
複数の鋸歯からなる1グループの鋸歯パターンが、図8
(A),(B)の従来例Aに示されているように左右に
屈曲していない直歯TA7と左または右方向に振り出し
たアサリ歯TA1,TA2,…,TA5,TA6から構
成されており、この鋸歯パターンが繰り返されている。
が等ピッチのものと不等ピッチのものがあり、等ピッチ
の場合よりも不等ピッチの方が切削振動を抑制するとい
う点ではより効果が大きい。
1では不等ピッチの場合が示されている。この鋸刃10
1では直歯TA7とアサリ歯TA1との間のピッチP1
から順にP2,P3,…,P7であり、各ピッチP1〜
P7に対応するガレット深さH1〜H7が備えられてい
る。この例では、ピッチP1〜P7の中で、P7が最も
ピッチが大きく、二番目に大きいのはP1である。
逃げ角θAを有しているので優れた切断能力を有する
が、極めて高いチッピング頻度が生じる。
削時には各歯がワークピースに突入する際、直歯は左右
方向(鋸刃の厚み方向)に振られる量は比較的小さい
が、右アサリ歯の場合は左方向、また左アサリ歯の場合
は右方向へ大きく振られるため、鋸刃の厚み方向に振動
や騒音を引き起こす大きな原因となっている。
ビリ振動や騒音などに対応するために、アサリのパター
ンをレーカーセット、ウェーブセツト、あるいはストレ
ートセットなど種々のパターンに設定されたり、上述し
たように各歯のピッチが不等ピッチにされたりしてい
る。
対応すべく、鋸刃における鋸歯の高低差、アサリ振出量
を変えるなどの鋸刃も開発されている。
適な配置を行ったものや帯鋸刃の長手方向に波状の加工
をおこなったものなど、市場ニーズに合わせた様々な鋸
刃が開発されている。
工具鋼から発展して、刃先に高速度工具鋼、胴部にバネ
鋼系の高靭性鋼を使用したバイメタル鋸刃が主流となっ
ており、最近では刃先に超硬合金を使用した鋸刃も多く
使用されている。
は前述したような種々の手法によって、市場のニーズに
答えるべく対応・改善が行われて来たが、切断作業の高
速化、高精度化、低騒音化等、更なる鋸刃の高性能化へ
の市場ニーズはとどまるところが無い。また、市場ニー
ズは業種や被削材等によって細分化されてきており、そ
れに伴い鋸刃の種類も千差万別になってきている。
刃メーカーとしては少数の市場ニーズであっても対応を
図らねばならない状況になっている。例えば、H形鋼、
アングル、チャンネル、角・丸パイプ等の異形鋼を扱う
鋼材業者には異形鋼を切断するのに適した歯形の鋸刃を
供給し、ソリッド材を主に取り扱う鋼材業者にはソリッ
ド材を切断するのに適した歯形の鋸刃を供給するといっ
た具合である。
べると、前述した異形鋼の切断においては切削材の不安
定な形状が起因してビビリ振動を生じやすく、それに伴
い鋸刃の歯先がチッピングや歯欠けを生じやすいという
問題点があった。
は切削長が比較的大きいために、鋸刃のガレットが目詰
まりしやすいので、もし十分に大きいガレットがないと
目詰まりにより切断面が粗くなるとか切れ曲がる等の問
題が生じていた。
ソリッド材の両方を切断している所もある。このような
ユーザ向けには図9(A),(B)に示されているよう
に既に特開平8−17434号公報で開示されている鋸
刃103(従来例B)がある。この鋸刃103はピッチ
構成上でチッピングを生じやすい特定の歯があることに
着目して、この特定の歯のみに対して逃げ角を小さくす
る等の歯先の強度アップを図り、元々はソリッド材向け
の鋸刃であったが、ソリッド材の切削性能を損なうこと
なしに、異形鋼を切断してもチッピングや歯欠けが比較
的少なくなり、鋸刃103の寿命が延びるという特徴が
備えられている。
3では、従来例Aの鋸刃101との比較説明を分かりや
すくする便宜上、従来例Aの鋸刃101と同様に不等ピ
ッチの場合が示されており、複数の鋸歯からなる1グル
ープの鋸歯パターンが、直歯TB7と左または右方向に
振り出したアサリ歯TB1,TB2,…,TB5,T B
6から構成されており、直歯TB7及びこの直歯TB7
に後続の左右一対のアサリ歯TB1,TB2の逃げ角θ
Bが小さくされることにより、歯先の強度アップが図ら
れている。なお、アサリ歯TB3〜TB6は従来例Aの
場合と同じ逃げ角θAとしている。
の鋸刃101と同様に直歯TB7とアサリ歯TB1との
間のピッチP1から順にP2,P3,…,P7であり、
各ピッチP1〜P7に対応するガレット深さH1〜H7
が備えられている。図9(A),(B)における図8
(A),(B)と同符号のP1〜P7とH1〜H7はそ
れぞれ同一寸法であるので、ピッチP7が最も大きく、
二番目に大きいのはP1である。
断している所もある。このようなユーザ向けには図10
(A),(B)に示されているように既に特開平11−
19821号公報で開示されている鋸刃105(従来例
C)がある。この鋸刃105は異形鋼における特有の現
象、すなわち連続歯欠けによる早期鋸刃寿命の原因を研
究した結果、任意の1歯が欠けた場合に、この欠けた1
歯に後続する歯が切り込みオーバーになり、次々に歯欠
けを生じることが原因であることが判明した。この原因
に着目して鋸刃105の逃げ面107に切り込みオーバ
ーを防止するプロテクター109が設けられたことが特
徴である。
05では、従来例A及び従来例Bの鋸刃101,103
との比較説明を分かりやすくする便宜上、従来例Aの鋸
刃101と同様に不等ピッチの場合が示されており、複
数の鋸歯からなる1グループの鋸歯パターンが、直歯T
C7と左または右方向に振り出したアサリ歯TC1,T
C2,…,TC5,TC6から構成されている。また、
従来例Cの鋸刃105は、従来例A及び従来例Bの鋸刃
101,103と同様に、直歯TC7とアサリ歯TC1
との間のピッチP1から順にP2,P3,…,P7であ
り、各ピッチP1〜P7に対応するガレット深さH1〜
H7が備えられている。図10(A),(B)における
図8(A),(B)及び図9(A),(B)と同符号の
P1〜P7とH1〜H7はそれぞれ同一寸法であり、ピ
ッチP7が最も大きく、二番目に大きいのはP1であ
る。
来例A及び従来例Bの鋸刃101,103と比較する
と、全体のガレット面積が小さいものである。
例Bの鋸刃103及び従来例Cの鋸刃105が開発され
てきたのであるが、市場のニーズは留まる所を知らず、
新たなニーズが生まれてきた。
形鋼とソリッド材の両方を切断している所が数多くある
が、双方の切断比率がおおよそ半々である場合に使用す
る高性能な鋸刃の要求である。
鋸刃103は、元々はソリッド材向け鋸刃の改良版であ
り、大半がソリッド材の切断で少量の異形鋼を切断して
いる場合に特に威力を発揮する。一方、従来例Cの鋸刃
105は、大半が異形鋼の切断で少量のソリッド材の切
断に適している。
を切断する場合、従来通りの切断速度であれば大半が異
形鋼であっても特に問題は無いが、従来例Cの鋸刃10
5で実施されるような高速切断で行われるときは連続歯
欠けが生じやすいという問題点が出てくる。
を切断する場合は、歯先の逃げ面に設けられたプロテク
ター109がガレット面積を占有しているため、全体の
ガレット面積が小さいことから目詰まりを生じやすいの
で、切断速度を上げられないという問題点がでてくる。
れたもので、その目的は、特に異形鋼とソリッド材の両
方をおおよそ半々の比率で切断しているユーザ向けに適
した鋸刃を提供することであり、前述した従来例Bのよ
うなソリッド材に適する鋸刃と従来例Cのような異形鋼
に適する鋸刃とを兼ね備えた切削性能を発揮し得る鋸刃
を提供することである。
に請求項1によるこの発明の鋸刃は、複数の鋸歯からな
る1グループの鋸歯パターンを繰り返して構成される鋸
刃において、1グループの鋸歯パターンの中で、第一の
逃げ角を有する一次切断歯と、この第一の逃げ角とは異
なる角度の第二の逃げ角を有する二次切断歯と、逃げ面
に切込量を制限すべく歯先の突出高さよりも突出高さの
低い突起部を備えた直歯と、で構成されていることを特
徴とするものである。
歯に切込量を制限する突起部が設けられることにより、
万が一直歯の歯先が歯欠けした場合でも後続歯の切込量
が制限され、全体の連続歯欠けが防止される。また、バ
イメタル鋸刃の場合には突起部がない場合に比べてバイ
メタル溶接部の長さが長くなるために溶接部の強度が大
きくなるので、異形鋼の切断時における直歯のバイメタ
ル溶接部からの歯欠けが防止される。
断歯の第二の逃げ角とは異なるので、逃げ角が小さい方
は先端部の強さが大きくなるためにチッピングを少なく
して歯の寿命を長くすることに寄与し、逃げ角が大きい
方は切削材に対する歯先の食い込み能力及び切断能力を
大きくすることに寄与する。
ッチの複数の鋸歯からなる1グループの鋸歯パターンを
繰り返して構成される鋸刃において、1グループの鋸歯
パターンの中で、第一の逃げ角を有する一次切断歯と、
この第一の逃げ角とは異なる角度の第二の逃げ角を有す
る二次切断歯と、最もピッチの大きいガレット内に切込
量を制限すべく歯先の突出高さよりも突出高さの低い突
起部を備えた三次切断歯と、で構成されていることを特
徴とするものである。
ット内に突起部が設けられているから、ガレットが目詰
まりを起こさないようにソリッド材の切断に必要な全体
のガレット面積が確保される。さらに、突起部により切
込量が制限されるので異形鋼の切断時における鋸歯の歯
欠けが防止され、また後続歯の切込み量も制限されるの
で全体の連続歯欠けも防止される。
断歯の第二の逃げ角とは異なるので、逃げ角が小さい方
は先端部の強さが大きくなるために歯の寿命が長くする
ことに寄与し、逃げ角が大きい方は切削材に対する歯先
の食い込み能力及び切断能力を大きくすることに寄与す
る。
2記載の鋸刃において、前記三次切断歯が直歯であるこ
とを特徴とするものである。
歯に切込量を制限する突起部が設けられることにより、
万が一直歯の歯先が歯欠けした場合でも後続歯の切込量
が制限され、全体の連続歯欠けが防止される。また、バ
イメタル鋸刃の場合には突起部がない場合に比べてバイ
メタル溶接部の長さが長くなるために溶接部の強度が大
きくなるので、異形鋼の切断時における直歯のバイメタ
ル溶接部からの歯欠けが防止される。
3記載の鋸刃において、直歯のガレットが、各鋸歯間の
ピッチのうちで二番目に大きいピッチに設けてなること
を特徴とするものである。
きいピッチであるので、切曲がりなどに重要な役割をす
る直歯の十分なガレット面積が確保される。
1〜4のうちのいずれか一つに記載の鋸刃において、前
記1グループの鋸歯パターンが、直歯に後続する少なく
とも1対の左右アサリ歯を一次切断歯とし、この一次切
断歯の逃げ角を他の二次切断歯の左右アサリ歯の逃げ角
よりも小さくしてなることを特徴とするものである。
断歯の逃げ角が小さくされて歯先が強度アップされてい
るので、鋸刃の全体のチッピングが抑制される。
1〜5のうちのいずれか一つに記載の鋸刃において、前
記1グループの鋸歯パターンが、直歯と複数の左右アサ
リ歯を含む歯形のAグループと、このAグループと同じ
ピッチ配置で同数の直歯及び対応するアサり歯の振出方
向がAグループのアサリ歯の振出方向と反対である同数
のアサリ歯を有するBグループとを交互に備えてなるこ
とを特徴とするものである。
ープのアサリ歯が同じピッチ構成で、アサリ歯の屈曲方
向が互いに反対方向に屈曲されているので、Bグループ
の鋸歯がAグループで発生した鋸歯の厚み方向の振動と
は正反対の同じ大きさの振動を発生することから、Aグ
ループの厚み方向の振動とBグループの厚み方向の振動
とが相殺されて切削騒音が低減される。
1〜5のうちのいずれか一つに記載の鋸刃において、前
記1グループの鋸歯パターンの中の歯数が、直歯と一次
切断歯の左右アサリ歯と二次切断歯の左右アサリ歯とを
合わせて少なくとも5歯からなることを特徴とするもの
である。
くい角、歯角等が異なる複数の種類の鋸歯が存在する場
合は、同じ種類の鋸歯は左右アサリ歯で同数にすること
により、鋸刃全体の左右のバランスがとれて切曲がりの
原因が取り除かれる。直進性に重要な役割をする直歯の
1歯と、チッピングを少なくする逃げ角が小さい左右ア
サリ歯の2歯と、食い込み能力及び切断能力を大きくす
る逃げ角が大きい左右アサリ歯の2歯と、の合計5歯が
基本的な鋸刃パターンとなって、種々の多数歯からなる
鋸歯パターンを構成可能となる。
6記載の鋸刃において、前記AグループとBグループか
らなる1グループの鋸歯パターンの中の歯数が、直歯と
一次切断歯の左右アサリ歯と二次切断歯の左右アサリ歯
とを合わせて少なくとも6歯からなることを特徴とする
ものである。
くい角、歯角等が異なる複数の種類の鋸歯が存在する場
合は、同じ種類の鋸歯は左右アサリ歯で同数にすること
により、鋸刃全体の左右のバランスがとれて切曲がりの
原因が取り除かれる。AグループとBグループとの中
に、直進性に重要な役割をする直歯が1個ずつで2歯
と、チッピングを少なくする逃げ角が小さい左右アサリ
歯の一方がAグループ、他方がBグループで合計2歯
と、食い込み能力及び切断能力を大きくする逃げ角が大
きい左右アサリ歯の一方がAグループ、他方がBグルー
プで合計2歯と、の合計6歯が基本的な鋸刃パターンと
なって、種々の多数歯からなる鋸歯パターンを構成可能
となる。
て図面を参照して説明する。
の第1の実施の形態に係わる鋸刃1が示されている。こ
の鋸刃1は、前述した従来例Bの鋸刃103及び従来例
Cの鋸刃105との比較説明を分かりやすくする便宜
上、従来例B及び従来例Cと同様に不等ピッチの場合が
示されている。
の鋸歯パターンが、直歯TO7(三次切断歯)と左また
は右方向に振り出したアサリ歯TO1,TO2,…,T
O5,TO6(TO1,TO2,:一次切断歯、TO3
〜TO6:二次切断歯)から構成されており、この鋸歯
パターンが繰り返されている。直歯TO7と後続するア
サリ歯TO1との間のピッチがP7で、アサリ歯TO1
とTO2の間のピッチがP2で、アサリ歯TO2から後
続のTO3,…,TO6までのピッチが順にP3,P
4,…,P6であり、各ピッチP1〜P7にそれぞれ対
応するガレット深さH1〜H7が備えられている。
P7及びH1〜H7は、従来例B及び従来例Cの鋸刃1
03,105との比較説明を分かりやすくする便宜上、
図9(A),(B)及び図10(A),(B)と同符号
のP1〜P7及びH1〜H7とそれぞれ同一寸法であ
る。ピッチP7が最も大きく、二番目に大きいのはP1
である。
進性に重要な役割をする直歯TO7の逃げ面のみに歯欠
けプロテクター3が設けられており、直歯TO7と後続
するアサリ歯TO1との間のピッチがP7であるので、
直歯TO7のプロテクター3は最も大きいピッチすなわ
ち最も大きいガレット面積を持つピッチP7のガレット
内に設けられている。これにより、ガレットが目詰まり
を起こさないようにソリッド材の切断に必要な全体のガ
レット面積が確保される。
歯TO7に切込量を制限する突起部であるプロテクター
3が設けられることにより、万が一直歯の歯先が歯欠け
た場合でも後続歯の切込量が制限され、全体の連続歯欠
けが防止される。また、直歯TO7にプロテクター3が
設けられ、しかもバイメタル溶接部がある場合には、図
2(B)に点線で示されているようにプロテクター3が
ない場合のバイメタル溶接部の長さLOに比べて、プロ
テクター3があるときのバイメタル溶接部の長さL1の
方が長くなるために溶接部の強度が大きくなるので、異
形鋼の切断時における直歯TO7のバイメタル溶接部か
らの歯欠けが防止される。
クター3についてより詳しく説明すると、歯先5の逃げ
面7に、又は逃げ面7の後方等の適宜位置に、歯先5よ
りも高さtだけ低くした歯欠けプロテクター3としての
当接部をなす突起部9が設けられている。なお、この歯
先5の逃げ角θ1は15度〜45度の範囲で特に20度
〜35度が好適である。また、図2ではθ1とθ3は同
じ角度で描かれているが、θ2と同じ角度であっても良
いし、あるいはθ2,θ3以外の角度であっても良い。
の切削部における切削溝の底部に接触するものではない
が、もし歯先5に歯欠けが生じた場合には突起部9の当
接面が切削材の切削部の切削溝の底部に当接することに
なるので、鋸刃1の切削抵抗における背分力に起因する
たわみの戻りが上記の高さtに制限される。その結果、
鋸刃1の走行方向に対して直交する切込み方向への後続
歯であるアサリ歯TO1の切込み量が制限される。した
がって、後続歯であるアサリ歯TO1の切込み量が急に
大きくなることが防止されるので、切削抵抗の急激な増
大が抑制されて、歯欠けが連続的に発生することが防止
される。
切断歯11を構成する左右1対のアサリ歯TO1とTO
2の逃げ角θ2を小さくして、歯先13が強度アップさ
れている。これにより、鋸刃1の全体のチッピングが抑
制される。
ように歯角aとすくい角hと逃げ角θ2との和は90度
であるので、すくい角hが大きく変化しない限り、逃げ
角θ 2が小さくなれば歯角aは大きくなる。したがっ
て、逃げ角θ2が小さくなるほど歯先13の強さは大き
くなり、歯の寿命が長くなる。しかし、切削材に対する
歯先13の食い込み能力及び切断能力は減少する。その
逆に、逃げ角θ2 が大きくなると切削材に対する歯先
13の食い込み能力及び切断能力は大きくなるが、歯先
13の強さは低下するので歯のチッピングの頻度が増大
し、歯の寿命が短くなる。
に、上記の一次切断歯11の左右1対のアサリ歯TO1
とTO2に後続の二次切断歯15を構成する左右2対の
アサリ歯TO3〜TO6は逃げ角θ3が一次切断歯の逃
げ角θ2より大きく構成されて、歯先17の食い込み能
力及び切断能力が大きくされている。しかしながら、一
次切断歯11が強度アップされていることから、後続の
二次切断歯15に対してもチッピングの抑制力の波及効
果が及ぶものである。
ッチの大きいP1とされている。これにより、切曲がり
などに重要な役割をする直歯TO7の十分なガレット面
積が確保される。
は、アサリの鋸歯パターンがTO1〜TO7の7歯で1
組で、この鋸歯パターンが繰り返されているのである
が、このアサリの鋸歯パターンが少なくとも5歯で1組
の場合から実施できるものである。なぜなら、直歯TO
7が1歯、歯先13を強度アップした左右のアサリ歯T
O1とTO2で2歯、逃げ角θ3が大きい歯先17を持
つ左右のアサリ歯TO3とTO4で2歯、以上合計5歯
が基本的なアサリの鋸歯パターンとなるからである。
て、種々の多数歯からなる鋸歯パターンが構成可能であ
る。
い角、歯角等が異なる複数の種類の歯が存在するもので
あっても、同じ種類の歯は左右アサリ歯で同数でなけれ
ばならない。もし同数でない場合は鋸刃全体の左右のバ
ランスが崩れて切曲がりの原因となるからである。
の第2の実施の形態に係わる鋸刃19が示されている。
この鋸刃19は、基本的な1グループの鋸歯パターンと
しては、複数の鋸歯を有する二種類のAグループ及びB
グループを有している。
K8と奇数個(ここでは3個)のアサリ歯TK1,TK
2,TK3を有しており、すべてのピッチPK1〜PK
4が異なっている。
る胴部の長手方向すなわち鋸刃19の走行方向(図3に
おいて右方向)に向かって左方向へ屈曲されていて、ア
サリ歯TK2は右方向へ屈曲されている。
役割をする直歯TK8の逃げ面のみにプロテクター3A
が設けられている。直歯TK8と後続するアサリ歯TK
1との間のピッチPK1はピッチPK1〜PK4の中で
最も大きいピッチであるので、直歯TK8のプロテクタ
ー3Aは最も大きいピッチすなわち最も大きいガレット
面積を持つピッチPK1のガレット内に設けられてい
る。これにより、ガレットが目詰まりを起こさないよう
にソリッド材の切断に必要な全体のガレット面積が確保
される。
1の実施の形態の鋸刃1のプロテクター3とほぼ同様の
構成であるので説明は省略する。
直歯TK8に切込量を制限する突起部であるプロテクタ
ー3Aが設けられていることにより、万が一直歯TK8
の歯先が歯欠けした場合でも後続歯の切込み量が制限さ
れ、全体の連続歯欠けが防止される。また、図2(B)
のプロテクター3の場合と同じように、プロテクター3
Aがない場合に比べてバイメタル溶接部の長さが長くな
るために溶接部の強度が大きくなるので、異形鋼の切断
時における直歯TK8のバイメタル溶接部からの歯欠け
が防止される。
の一次切断歯21を構成する左右1対のアサリ歯TK1
とTK2の逃げ角を小さくして、歯先が強度アップされ
ている。これにより、鋸刃19の全体のチッピングが抑
制される。
歯TK1とTK2に後続の二次切断歯23を構成するア
サリ歯TK3は、鋸刃19の走行方向に向かって左方向
へ屈曲されており、逃げ角が一次切断歯の逃げ角より大
きく構成されて食い込み能力及び切断能力が大きくされ
ている。しかしながら、一次切断歯21が強度アップさ
れていることから、後続の二次切断歯23に対してもチ
ッピングの抑制力の波及効果が及ぶものである。
同じピッチ構成及び同数の直歯及び対応するアサリ歯の
振り出し方向がAグループのアサリ歯の振り出し方向と
反対である同数のアサリ歯を有しており、この第2の実
施の形態では1個の直歯TK4と奇数個(ここでは3
個)のアサリ歯TK5,TK6,TK7を有しており、
その振り出し方向がAグループのアサリ歯TK1,TK
2,TK3の振り出し方向と反対になっている。
応する各歯のすくい角、歯角、逃げ角、プロテクター3
Aは、それぞれ同じ構成となっており、両グループの左
右のアサリ歯のアサリ振り出し量及びすべての歯の歯高
はほぼ一定となっている。
プとからなる1グループの鋸歯パターンが交互に繰り返
して備えられている。
構成で、Aグループのアサリ歯の屈曲方向とは反対方向
に屈曲せしめたアサリ歯のBグループを有することによ
り、Bグループの鋸刃がAグループで発生した鋸刃の厚
み方向の振動とは正反対の同じ大きさの振動を発生する
ことにより、Aグループの厚み方向の振動とBグループ
の厚み方向の振動とが相殺されて切削騒音が低減され
る。
は、アサリの鋸歯パターンがTK1〜TK8の8歯で1
組で、この鋸歯パターンが繰り返されているのである
が、このアサリの鋸歯パターンが少なくとも6歯で1組
の場合から実施できるものである。なぜなら、Aグルー
プの直歯TK8が1歯、歯先を強度アップしたアサリ歯
(例えばTK2)が1歯、逃げ角が大きい歯先を持つア
サリ歯TK3が1歯の計3歯に、アサリが逆方向のBグ
ループが例えばTK4、TK6、TK7の計3歯で総計
6歯となるからである。
て、種々の多数歯からなる鋸歯パターンが構成可能であ
る。
形態の鋸刃1において一次切断歯11を構成する一対の
アサリ歯TO1とTO2、及び第2の実施の形態の鋸刃
19においてAグループの一次切断歯21を構成する一
対のアサリ歯TK1とTK2、Bグループの一次切断歯
21を構成する一対のアサリ歯TK5とTK6は、歯先
形状の逃げ面が図4に示されているように歯先からの直
線部25から曲線部27(R形状)で滑らかな面に変化
させても構わない。
形態の鋸刃1において一次切断歯11を構成する一対の
アサリ歯TO1とTO2、及び第2の実施の形態の鋸刃
19においてAグループの一次切断歯21を構成する一
対のアサリ歯TK1とTK2、Bグループの一次切断歯
21を構成する一対のアサリ歯TK5とTK6は、歯先
形状の逃げ面が図5に示されているように歯先からR形
状の曲線部27で構成したものであっても構わない。
刃103と、従来例Cの鋸刃105と、本発明の第1の
実施の形態の鋸刃1と、第2の実施の形態の鋸刃19と
を用いて、同じ材質及び形状のソリッド材を切断したと
きの各鋸刃の寿命が比較されている。この場合、従来例
Bの鋸刃103における寿命を100%として比較されて
いる。
の場合では、本発明の第1及び第2の実施の形態の鋸刃
1,19はいずれも、従来例Bの鋸刃103と従来例C
の鋸刃105のほぼ中間の寿命である。
刃103と、従来例Cの鋸刃105と、本発明の第1の
実施の形態の鋸刃1と、第2の実施の形態の鋸刃19と
を用いて、同じ材質及び形状の異形鋼を切断したときの
各鋸刃の寿命が比較されている。この場合、従来例Cの
鋸刃105における寿命を100%として比較されてい
る。
場合でも、本発明の第1及び第2の実施の形態の鋸刃
1,19はいずれも、従来例Bの鋸刃103と従来例C
の鋸刃105のほぼ中間の寿命である。
態の鋸刃1よりも第2の実施の形態の鋸刃19の方が鋸
刃寿命が良い理由としては、歯先を強度アップした鋸歯
の比率が異なるためである。つまり、第1の実施の形態
では7歯中2歯であるのに対して第2の実施の形態では
8歯中4歯であって比率が高いからである。
9は、ソリッド材に適する従来例Bの鋸刃103と異形
鋼に適する従来例Cの鋸刃105とのほぼ中間的な性能
を発揮する鋸刃であるので、異形鋼とソリッド材の両方
をおおよそ半々の比率で切断しているユーザにとって、
鋸刃の消費量が削減できるため経済的となる。
リッド材の両方をおおよそ半々の比率で切断しているユ
ーザの中でも若干ソリッド材が多い場合に特に性能が発
揮される。
様に異形鋼とソリッド材の両方をおおよそ半々の比率で
切断しているユーザの中でも若干異形鋼が多い場合に特
に性能が発揮される。
定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他
の態様で実施し得るものである。すなわち、本実施の形
態では帯鋸刃の場合について説明したが、この他丸鋸刃
やハクソー等の種々の鋸刃にも適用できるものであり、
また、アサリ振り出し量が異なる歯や、逃げ面に突起を
有する歯、逃げ角が異なる歯、歯高を異にする歯など、
必要に応じてそれぞれ適宜に組み合わせて実施可能なも
のである。また、不等ピッチの例で説明したが、等ピッ
チであっても構わない。
ら理解されるように、請求項1の発明によれば、直進性
に重要な役割をする直歯に切込量を制限する突起部が設
けられることにより、万が一直歯の歯先が歯欠けした場
合でも後続歯の切込量が制限され、全体の連続歯欠けが
防止される。また、バイメタル鋸刃の場合には突起部が
ない場合に比べてバイメタル溶接部の長さが長くなるた
めに溶接部の強度が大きくなるので、異形鋼の切断時に
おける直歯のバイメタル溶接部からの歯欠けが防止され
る。
断歯の第二の逃げ角とは異なるので、逃げ角が小さい方
では先端部の強さを大きくできるためにチッピングを少
なくして歯の寿命を長くでき、逃げ角が大きい方では切
削材に対する歯先の食い込み能力及び切断能力を大きく
できる。
もピッチの大きいガレット内に突起部が設けられている
ので、ガレットが目詰まりを起こさないようにソリッド
材の切断に必要な全体のガレット面積を確保することが
できる。さらに、突起部により切込量を制限できるので
異形鋼の切断時における鋸歯の歯欠けを防止でき、また
後続歯の切込み量も制限できるので全体の連続歯欠けも
防止できる。
断歯の第二の逃げ角とは異なるので、逃げ角が小さい方
では先端部の強さを大きくできるためにチッピングを少
なくして歯の寿命を長くでき、逃げ角が大きい方では切
削材に対する歯先の食い込み能力及び切断能力を大きく
できる。
歯とし、この直歯に前記突起部が設けられているので、
直進性に重要な役割をする直歯に切込量を制限する突起
部が設けられることにより、万が一直歯の歯先が歯欠け
した場合でも後続歯の切込量が制限され、全体の連続歯
欠けが防止される。また、バイメタル鋸刃の場合には突
起部がない場合に比べてバイメタル溶接部の長さが長く
なるために溶接部の強度が大きくなるので、異形鋼の切
断時における直歯のバイメタル溶接部からの歯欠けが防
止される。
を二番目に大きいピッチとしたので、切曲がりなどに重
要な役割をする直歯の十分なガレット面積を確保でき
る。
後続の一次切断歯の逃げ角が小さくされて歯先が強度ア
ップされているので、鋸刃の全体のチッピングが抑制さ
れる。
ープとBグループのアサリ歯が同じピッチ構成で、アサ
リ歯の屈曲方向が互いに反対方向に屈曲されているの
で、Bグループの鋸歯がAグループで発生した鋸歯の厚
み方向の振動とは正反対の同じ大きさの振動を発生す
る。その結果、Aグループの厚み方向の振動とBグルー
プの厚み方向の振動とを相殺して切削騒音を低減でき
る。
で逃げ角、すくい角、歯角等が異なる複数の種類の鋸歯
が存在する場合であっても、同じ種類の鋸歯は左右アサ
リ歯で同数にするので、鋸刃全体の左右のバランスをと
ることができ切曲がりを解消できる。直進性に重要な役
割をする直歯の1歯と、チッピングを少なくする逃げ角
が小さい左右アサリ歯の2歯と、食い込み能力及び切断
能力を大きくする逃げ角が大きい左右アサリ歯の2歯
と、の合計5歯が基本的な鋸刃パターンとなって、種々
変化せしめて多数歯の鋸刃パターンを構成することがで
きる。
で逃げ角、すくい角、歯角等が異なる複数の種類の鋸歯
が存在する場合であっても、同じ種類の鋸歯は左右アサ
リ歯で同数にするので、鋸刃全体の左右のバランスをと
ることができ切曲がりを解消できる。AグループとBグ
ループとの中に、直進性に重要な役割をする直歯が1個
ずつで2歯と、チッピングを少なくする逃げ角が小さい
左右アサリ歯の一方がAグループ、他方がBグループで
合計2歯と、食い込み能力及び切断能力を大きくする逃
げ角が大きい左右アサリ歯の一方がAグループ、他方が
Bグループで合計2歯と、の合計6歯が基本的な鋸刃パ
ターンとなって、種々変化せしめて多数歯の鋸刃パター
ンを構成することができる。
で、(A)は平面図で、(B)は正面図である。
もので、(A)は平面図で、(B)は正面図である。
で、(A)は平面図で、(B)は正面図である。
形態を示す部分的な正面図である。
形態を示す部分的な正面図である。
比較図である。
図である。
で、(B)は正面図である。
で、(B)は正面図である。
図で、(B)は正面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 複数の鋸歯からなる1グループの鋸歯パ
ターンを繰り返して構成される鋸刃において、 1グループの鋸歯パターンの中で、第一の逃げ角を有す
る一次切断歯と、この第一の逃げ角とは異なる角度の第
二の逃げ角を有する二次切断歯と、逃げ面に切込量を制
限すべく歯先の突出高さよりも突出高さの低い突起部を
備えた直歯と、で構成されていることを特徴とする鋸
刃。 - 【請求項2】 不等ピッチの複数の鋸歯からなる1グル
ープの鋸歯パターンを繰り返して構成される鋸刃におい
て、 1グループの鋸歯パターンの中で、第一の逃げ角を有す
る一次切断歯と、この第一の逃げ角とは異なる角度の第
二の逃げ角を有する二次切断歯と、最もピッチの大きい
ガレット内に切込量を制限すべく歯先の突出高さよりも
突出高さの低い突起部を備えた三次切断歯と、で構成さ
れていることを特徴とする鋸刃。 - 【請求項3】 前記三次切断歯が、直歯であることを特
徴とする請求項2記載の鋸刃。 - 【請求項4】 直歯のガレットが、各鋸歯間のピッチの
うちで二番目に大きいピッチに設けてなることを特徴と
する請求項3記載の鋸刃。 - 【請求項5】 前記1グループの鋸歯パターンが、直歯
に後続する少なくとも1対の左右アサリ歯を一次切断歯
とし、この一次切断歯の逃げ角を他の二次切断歯の左右
アサリ歯の逃げ角よりも小さくしてなることを特徴とす
る請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載の鋸刃。 - 【請求項6】 前記1グループの鋸歯パターンが、直歯
と複数の左右アサリ歯を含む歯形のAグループと、この
Aグループと同じピッチ配置で同数の直歯及び対応する
アサり歯の振出方向がAグループのアサリ歯の振出方向
と反対である同数のアサリ歯を有するBグループとを交
互に備えてなることを特徴とする請求項1〜5のうちの
いずれか一つに記載の鋸刃。 - 【請求項7】 前記1グループの鋸歯パターンの中の歯
数が、直歯と一次切断歯の左右アサリ歯と二次切断歯の
左右アサリ歯とを合わせて少なくとも5歯からなること
を特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一つに記載
の鋸刃。 - 【請求項8】 前記AグループとBグループからなる1
グループの鋸歯パターンの中の歯数が、直歯と一次切断
歯の左右アサリ歯と二次切断歯の左右アサリ歯とを合わ
せて少なくとも6歯からなることを特徴とする請求項6
記載の鋸刃。
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