JPWO2002036983A1 - 回転式ダンパー - Google Patents

Abstract

収納室（４）を有するハウジング（１）と、該ハウジング（１）の収納室（４）内に回転可能に配される歯車（２ａ）一体型の回転子（２）と、該回転子（２）の回転を制御する制動部材（３）とを備える回転式ダンパーにおいて、上記制動部材（３）を回転子（２）の外周と収納室（４）の内周間に介設する一方、ハウジング（１）の収納室（４）の底部に支持軸（５）を立設し、回転子（２）の軸線方向に該支持軸（５）を挿入する軸孔（７）を穿設して、回転子（２）を支持軸（５）と軸孔（７）を介して支持することにより、回転中に、回転子（２）が傾くことが決してないので、常に、安定した制動力を提供できる。

Description

技術分野
本発明は、例えば、自動車のプッシュオープン型灰皿などに使用される回転式ダンパーの改良に関するものである。
背景技術
従来のこの種ダンパーとして、日本特開平７−９８０３５号公報の第２図に示すものが存する。
該従来の回転式ダンパーは、具体的には図示しないが、収納室を有するハウジングと、該ハウジングの収納室内に回転可能に配される歯車一体型の回転子と、ハウジングの収納室底部と回転子の下面間に配される制動シートとを備えて、回転子が制動シートに摺接しながら回転することにより、回転子と制動シート間に生じる摩擦抵抗を利用して、上記プッシュオープン型灰皿の開放速度に制動力を加えることができる構成となっている。
依って、従来の回転式ダンパーを用いて、プッシュオープン型灰皿をコントロールする場合には、灰皿ケースと該灰皿ケースを出没可能に保持する枠体の一方に当該ダンパーのハウジングを固定し、他方にラックを設けて、該ラックと回転子の一体歯車を咬合させれば、後は、灰皿ケースの閉塞位置でのロック状態を解除して、灰皿ケースが付勢ばね圧で開放方向に移動すると、灰皿ケースの移動に応じて回転子が回転して、回転子の下面と制動シート間に摩擦抵抗が生じるので、これにより、灰皿ケースはゆっくりと開放方向へ移動することが保障される。
従って、従来の回転式ダンパーにあっては、３部品で構成される関係で、構造が簡素化する利点はあるが、歯車一体型の回転子をハウジングの収納室内に配する場合には、収納室の開口縁に設けられている鍔部で回転子の姿勢を保持しているので、回転子が回転しながら制動シートに摺接する過程で、回転子が容易に傾いて、制動力が不安定となる恐れがあった。
本発明は、斯かる従来の回転式ダンパーが抱える課題を有効に解決するために開発されたものである。
発明の開示
本発明は、収納室を有するハウジングと、該ハウジングの収納室内に回転可能に配される歯車一体型の回転子と、該回転子の回転を制御する制動部材とを備える回転式ダンパーにおいて、上記制動部材を回転子の外周と収納室の内周間に介設する一方、ハウジングの収納室の底部に支持軸を立設し、回転子の軸線方向に該支持軸を挿入する軸孔を穿設して、回転子を支持軸と軸孔を介して支持する。このことによって、制動部材を回転子の外周と収納室の内周間に介設して、回転子を収納室の底部に立設された支持軸で支持する関係で、回転中に、回転子が傾くことが決してないので、常に、安定した制動力を提供できる。
本発明は、支持軸又は回転子の軸孔内周面のいずれか一方に環状のロック溝を形成すると共に、他方に当該ロック溝に移動可能に係止する係止爪を設ける。このことによって、収納室の支持軸を回転子の軸孔に挿入すると、係止爪がロック溝に係止する関係で、回転式ダンパーの組み付けがワンタッチで行なわれる上に、回転子が支持軸から抜け外れることがない。
本発明は、回転子の外周に環状の凹溝を形成して、該凹溝内に制動部材たるＯリングを装着する。このことによって、制動部材たるＯリングを回転子の凹溝内に装着する関係で、Ｏリングが回転子から脱落する恐れがないので、これによっても、一層安定した制動力を提供できる。
本発明は、回転子の摩擦係数がハウジングの摩擦係数よりも小さい。このことによって、制動部材をハウジング側に固定して、回転子のみを回転させる関係で、制動部材との共回りをなくして、安定した制動力を提供できる。
本発明は、軸孔の歯車側の内周面に係止爪又は環状のロック溝を設ける。このことによって、係止爪とロック溝との係止部分が力の加わる歯車の内周面に設けられている関係で、係止爪のロック溝に対する確実な係止状態が得られるので、回転子が支持軸に対して傾くことがない。
本発明は、制動部材をＯリングとなして、該Ｏリングをハウジングの収納室の底部にも接触させる。このことによって、Ｏリングがハウジングの収納室の底部にも接触している関係で、Ｏリングは、ハウジングにはその内周面と底部面の２点で接触し、回転子には１点で接触することとなるので、Ｏリングがハウジングに対して共回りせずに、回転子との間で摺動するために、やはり、安定した制動力を提供できる。
発明を実施するための最良の形態
本発明を図示する好適な実施の形態に基づいて詳述すれば、該実施の形態に係る回転式ダンパーも、第１図に示す如く、一面側が開口した収納室４を有するハウジング１と、該ハウジング１の収納室４内に回転可能に配される歯車２ａ一体型の回転子２と、該回転子２の回転を制御する制動部材たるＯリング３との３部品からなるものである。
そして、本実施の形態にあっては、ハウジング１に対しては、第２図にも示す如く、収納室４の底部中央に支持軸５を立設して、該支持軸５の先端部に環状のロック溝６を形成し、歯車２ａ一体型の回転子２に対しては、第３図にも示す如く、一体歯車２ａを含めてその軸線方向に上記支持軸５を挿入する貫通状の軸孔７を穿設して、該軸孔７の歯車２ａ側の内周面に上記ロック溝６に移動可能に係止する一対の係止爪８を設けると共に、回転子２の外周に環状の凹溝９を形成して、該凹溝９内に上記Ｏリング３を装着する構成となっている。
従って、斯かる構成の回転式ダンパーを組み立てる場合には、回転子２の凹溝９内にＯリング３を装着した状態を得て、回転子２の軸孔７にハウジング１側の支持軸５を挿入すると、支持軸５のロック溝６に軸孔７の各係止爪８が係止するので、これにより、第４図に示す如く、回転式ダンパーがワンタッチで組み立てられる。しかも、ロック溝６に対する係止爪８の係止状態は、回転子２の回転を許容しながら、回転子２の抜け外れを防止することとなる。ここで、第５図に示す如く、支持軸５側に係止爪８ａを設け、回転子２の軸孔７内周面側にロック溝６ａを設けて、両者６ａ・８ａを係止させることも可能である。又、Ｏリング３は、凹溝９を介して、回転子２の外周と収納室４の内周間に介設されることとなる。
依って、本実施の形態に係る回転式ダンパーを用いて、プッシュオープン型灰皿をコントロールする場合には、具体的には図示しないが、従来と同様に、灰皿ケースと該灰皿ケースを出没可能に保持する枠体の一方に当該ダンパーのハウジング１を固定し、他方にラックを設けて、該ラックと回転子２の一体歯車２ａを咬合させれば、後は、灰皿ケースの閉塞位置でのロック状態を解除して、灰皿ケースが付勢ばね圧で開放方向に移動すると、灰皿ケースの移動に応じて回転子２が回転して、Ｏリング３と収納室４の内周面間、或いは、Ｏリング３と凹溝９の内周面間に摩擦抵抗が生じるので、いずれにしても、灰皿ケースはゆっくりと開放方向へ移動することが保障できる。
しかも、この場合には、制動部材たるＯリング３を回転子２の外周と収納室４の内周間に位置させて、回転子２をハウジング１の収納室４の底部に立設された支持軸５で支持する構成を採用した関係で、回転中に、回転子２が傾くことが決してないので、常に、安定した制動力を提供できる。又、係止爪８とロック溝６との係止部分が力の加わる歯車２ａの内周面に設けられている関係で、係止爪８のロック溝６に対する確実な係止状態が得られるので、これによっても、回転子２が支持軸５に対して傾くことがない。
尚、本実施の形態にあって、特に、Ｏリング３と凹溝９の内周面間に摩擦抵抗を生じさせる場合には、回転子２の摩擦係数がハウジング１の摩擦係数よりも小さくなるように設定すれば、Ｏリング３をハウジング１側に固定して、回転子２のみを回転させられるので、Ｏリング３との共回りをなくして、安定した制動力を提供できる。
又、制動部材たるＯリング３を回転子２の凹溝９内に装着する関係で、Ｏリング３が回転子２から脱落する恐れがないので、これによっても、一層安定した制動力を提供できることとなる。
尚、上記した実施の形態にあっては、Ｏリング３のみを用いて、プッシュオープン型灰皿をコントロールしたものであるが、Ｏリング３の摩擦抵抗だけでは制動力が不足するような場合には、例えば、第５図に示す如く、ハウジング１と回転子２との間に相互に噛み合う環状の凹凸部１０を形成して、当該各凹凸部１０の隙間内に粘性オイルを充填すれば、制動力の不足分を十分に補うことが可能となる。
この場合において、図示する如く、凹溝９の一部を取り除いて、Ｏリング３をハウジング１の収納室４の底部にも接触させれば、Ｏリング３は、ハウジング１にはその内周面と底部面の２点で接触し、回転子２には１点で接触することとなるので、Ｏリング３がハウジング１に対して共回りせずに、回転子２との間で摺動するために、やはり、安定した制動力を提供できる。
又、斯かる構成下では、予め、ハウジング１にＯリング３をセットした状態で、回転子２を組み立てることが可能となり、その時には、回転子２とＯリング３とは、回転子２の外径とＯリング３の内径のみの接触となるため、Ｏリング３が共回りせずに、安定した制動力を提供できる。
産業上の利用可能性
以上の如く、本発明に係る回転式ダンパーは、制動部材を回転子の外周と収納室の内周間に介設して、回転子を収納室の底部に立設された支持軸で支持する関係で、回転中に、回転子が傾くことが決してないので、常に、安定した制動力を提供できる。
又、収納室の支持軸を回転子の軸孔に挿入すると、係止爪がロック溝に係止する関係で、回転式ダンパーの組み付けがワンタッチで行なわれる上に、回転子が支持軸から抜け外れることがない。
又、制動部材たるＯリングを回転子の凹溝内に装着する関係で、Ｏリングが回転子から脱落する恐れがないので、これによっても、一層安定した制動力を提供できる。
又、制動部材をハウジング側に固定して、回転子のみを回転させる関係で、制動部材との共回りをなくして、安定した制動力を提供できる。
又、係止爪又はロック溝の係止部分が力の加わる歯車の内周面に設けられている関係で、係止爪のロック溝に対する確実な係止状態が得られるので、回転子が支持軸に対して傾くことがない。
又、Ｏリングがハウジングの収納室の底部にも接触している関係で、Ｏリングは、ハウジングにはその内周面と底部面の２点で接触し、回転子には１点で接触することとなるので、Ｏリングがハウジングに対して共回りせずに、回転子との間で摺動するために、やはり、安定した制動力を提供できる。
【図面の簡単な説明】
第１図は、本発明の実施の形態に係る回転式ダンパーを示す分解斜視図である。
第２図は、ハウジングの断面図である。
第３図は、歯車一体型の回転子の断面図である。
第４図は、回転式ダンパーの組み立て状態を示す断面図である。
第５図は、本発明の他例に係る回転式ダンパーをその組み立て状態をもって示す断面図である。

Claims (6)

1. 収納室を有するハウジングと、該ハウジングの収納室内に回転可能に配される歯車一体型の回転子と、該回転子の回転を制御する制動部材とを備える回転式ダンパーにおいて、上記制動部材を回転子の外周と収納室の内周間に介設する一方、ハウジングの収納室の底部に支持軸を立設し、回転子の軸線方向に該支持軸を挿入する軸孔を穿設して、回転子を支持軸と軸孔を介して支持することを特徴とする回転式ダンパー。
2. 支持軸又は回転子の軸孔内周面のいずれか一方に環状のロック溝を形成すると共に、他方に当該ロック溝に移動可能に係止する係止爪を設けたことを特徴とする請求項１記載の回転式ダンパー。
3. 回転子の外周に環状の凹溝を形成して、該凹溝内に制動部材たるＯリングを装着したことを特徴とする請求項１記載の回転式ダンパー。
4. 回転子の摩擦係数がハウジングの摩擦係数よりも小さいことを特徴とする請求項１記載の回転式ダンパー。
5. 軸孔の歯車側の内周面に係止爪又は環状のロック溝を設けたことを特徴とする請求項２記載の回転式ダンパー。
6. 制動部材をＯリングとなして、該Ｏリングをハウジングの収納室の底部にも接触させたことを特徴とする請求項１記載の回転式ダンパー。

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