JP5172142B2 - 回転ダンパー - Google Patents
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Description
しかしながら、開口(孔)から粘性流体が漏れる対策、すなわち、開口(孔)を閉塞していないので、高温下で回転ダンパーを使用すると、開口(孔)から粘性流体が漏れ出すことがある。
そこで、開口(孔)から粘性流体が漏れることを考慮し、収容部を大気に連通させる開口(孔)を設けない回転ダンパーが提案されている(例えば、特許文献2〜特許文献5参照。)。
また、特許文献6に記載されている回転ダンパーは、回転体の取付時に回転体の凹部に溜まる空気を、エア抜き通路を介して排出させることができるが、回転体を取り付けた後に蓋部材を取り付けると、蓋部材によってケーシング内に空気が閉じ込められる。
このように、ケーシング内に空気が閉じ込められると、制動トルクにバラツキが発生し、トルク精度が一定しなくなる。
(1)駆動部材に係合する被駆動回転部を一体的に備えた被駆動回転部材と、この被駆動回転部材を回転自在に保持する固定支持部材と、この固定支持部材と前記被駆動回転部材との間に形成される収容部と、この収容部内に収容され、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転するのを制動する粘性流体とからなる回転ダンパーにおいて、前記固定支持部材の中心に中心軸を設け、この中心軸が回転可能に挿入される孔を前記被駆動回転部材に設け、この被駆動回転部材と前記固定支持部材との間から前記粘性流体が漏れるのを防止するシール部材を前記収容部の外周端に設け、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが組み付けられたとき、前記収容部における前記固定支持部材の底壁と、中心へ向かって上昇する傾斜面とされている前記被駆動回転部材の上壁面との間に、空気の移動する速度を前記粘性流体の移動速度に対して速くする狭窄部が形成されることを特徴とする。
(2)(1)に記載の回転ダンパーにおいて、前記狭窄部は複数設けられていることを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載の回転ダンパーにおいて、前記被駆動回転部材が、前記被駆動回転部を貫通するようにして設けられた軸部と、この軸部の下端外側に前記被駆動回転部に対向させて設けられるローター部とを備え、前記軸部に、前記ローター部の上端部分を半径方向に伸びる孔を設け、前記シール部材が、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが組み付けられた状態で、前記収容部の外周端と前記軸部との間で前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とを相対的に回転可能に封止し、前記軸部の孔により、前記シール部材の下側と、前記中心軸及び前記軸部の内周面とで構成される空間とが連通されていることを特徴とする。
(4)(3)に記載の回転ダンパーにおいて、前記中心軸及び前記軸部の内周面とで構成される空間を、前記被駆動回転部材の先端開口部の溶着により組立後に閉塞したことを特徴とする。
(5)(4)に記載の回転ダンパーにおいて、前記被駆動回転部材に、溶融した前記先端開口部分が前記中心軸に接するのを規制する溶着規制部を設けたことを特徴とする。
(6)(5)に記載の回転ダンパーにおいて、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とを組み付けたときに前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向の間隔を規制する間隔規制部を、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材との少なくとも一方に設けたことを特徴とする。
(7)(6)に記載の回転ダンパーにおいて、前記溶着規制部が前記間隔規制部を兼ねていることを特徴とする。
(8)(1)から(7)のいずれか1つに記載の回転ダンパーにおいて、前記孔の内周と前記中心軸の外周との間に、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向へ移動するのを規制するとともに、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転可能な相補的係合部を設けたことを特徴とする。
(9)(1)から(8)のいずれか1つに記載の回転ダンパーにおいて、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向へ移動するのを規制するとともに、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転可能な係合部を、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材との外側部分に設けたことを特徴とする。
(10)(1)から(4)のいずれか1つに記載の回転ダンパーにおいて、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とを組み付けたときに前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向の間隔を規制する間隔規制部を、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材との少なくとも一方に設けたことを特徴とする。
そして、粘性流体が流れる方向へ狭窄部を複数設けたので、移動する粘性流体の速度が複数の狭窄部によってさらに抑制され、空気の移動する速度が粘性流体に対してさらに速くなることにより、空気が収容部の外へ一層排出され易くなる。
また、被駆動回転部材が、被駆動回転部を貫通するようにして設けられた軸部と、この軸部の下端外側に被駆動回転部に対向させて設けられるローター部とを備え、軸部に、ローター部の上端部分を半径方向に伸びる孔を設け、シール部材が、被駆動回転部材と固定支持部材とが組み付けられた状態で、収容部の外周端と軸部との間で被駆動回転部材と固定支持部材とを相対的に回転可能に封止し、軸部の孔により、シール部材の下側と、中心軸及び軸部の内周面とで構成される空間とが連通されているので、空気の溜まり易い収容部内のシール部材の下側に位置する空気を、軸部の孔により、中心軸及び軸部の内周面とで構成される空間を介して収容部の外へ排出させることができる。
そして、中心軸及び軸部の内周面とで構成される空間を、被駆動回転部材の先端開口部を溶着により組立後に閉塞したので、粘性流体の流出路がなくなることにより、粘性流体の収容部の外へ漏れを防止することができる。開口を確実に閉塞し、粘性流体が開口から漏れるのを防止することができる。
そして、被駆動回転部材に、溶融した先端開口部分が中心軸に接するのを規制する溶着規制部を設けたので、溶融した先端開口部分が中心軸に付着するのを阻止でき、被駆動回転部材と固定支持部材とを確実に回転させることができる。
さらに、被駆動回転部材と固定支持部材とを組み付けたときに被駆動回転部材と固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向の間隔を規制する間隔規制部を、被駆動回転部材と固定支持部材との少なくとも一方に設けたので、被駆動回転部材と固定支持部材との間隔が変動しなくなり、トルク精度を一定にすることができる。
さらに、溶着規制部が間隔規制部を兼ねているので、1つの構成部分に2つの機能を持たせることができ、機能に比して構成を簡単にすることができる。
そして、孔の内周と中心軸の外周との間に、被駆動回転部材と固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向へ移動するのを規制するとともに、被駆動回転部材と固定支持部材とが相対的に回転可能な相補的係合部を設けたので、固定支持部材に対して被駆動回転部材が抜け難くなり、また、スライダを使用するものの、2面割り金型で被駆動回転部材および固定支持部材を成形することができるようになり、また、被駆動回転部材と固定支持部材とが接触部分の少ない中心部分で接触することによって被駆動回転部材と固定支持部材との摩擦抵抗が少なくなるとともに、被駆動回転部材と固定支持部材との間に粘性流体が入り込むことにより、被駆動回転部材と固定支持部材との摩擦抵抗がさらに少なくなる。
さらに、被駆動回転部材と固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向へ移動するのを規制するとともに、被駆動回転部材と固定支持部材とが相対的に回転可能な係合部を、被駆動回転部材と固定支持部材との外側部分に設けたので、スライダを使用するものの、2面割り金型で被駆動回転部材および固定支持部材を成形することができるようになる。
そして、内側円筒壁16の上端部外周には、周回する段部16sが設けられている。
さらに、内側円筒壁16の内周には、下端から上下方向の中央部分位まで延びる、例えば、60度の等間隔で6本の溝17と、この溝17の上側に位置し、後述する固定支持部材21の係止周回溝26とで相対的に回転可能な相補的係合部を形成する、上端が平面とされ、下端が下側へ進むにしたがって外側へ拡開する傾斜面とされた、例えば、180度の間隔で位置する係合突起18(図2をも参照)と、この係合突起18の上側に差し渡されて位置し、被駆動回転部材11と固定支持部材21とを組み付けたとき、被駆動回転部材11と固定支持部材21とが相対的に回転する回転軸方向の間隔を規制するとともに、内側円筒壁16の上端部分を閉塞するために溶着した場合、溶融した内側円筒壁16の上端部分が凝固した閉塞部分16c(図6を参照)が、後述する固定支持部材21の中心軸25に接するのを規制する、間隔規制部を兼ねた溶着規制部19(図2をも参照)とが一体的に設けられている。
なお、保持フランジ部15の下端部外周、および、内側円筒壁16の下端部内周には、面取り加工が施されている。
そして、外側円筒壁23には、内側下端に、被駆動回転部材11の保持フランジ部15を内側に回転可能に収容する下側段部23dが設けられ、内側上端に、被駆動回転部材11の保持フランジ部13を内側に回転可能に収容する上側段部23uが設けられている。
なお、中心軸25は、上端外周に面取り加工が施され、被駆動回転部材11の係合突起18に対応する高さの外周に、被駆動回転部材11の係合突起18とで相対的に回転可能な相補的係合部を形成する、上端が平面とされた係止周回溝26が設けられている。
また、取付部27は、底部22から一旦外側へ延びた後に上側へ延び、上端外側に保持爪28aを有する保持片28と、底部22から外側へ延び、保持爪28aとの間に保持する被取付部材、例えば、被取付板E(図6を参照)の間隔を有する保持突起29(図3を参照)とで構成されている。
まず、図1に示すように、作業台の上に固定支持部材21を載置し、外側円筒壁23と内側円筒壁24とで形成される環状凹部内に所定量の粘性流体51を注入する。
そして、外側円筒壁14の外側に両保持フランジ部13,15でOリング31を保持させた被駆動回転部材11の下側を、中心軸25を内側円筒壁16内へ挿入するのをガイドとして固定支持部材21内へ挿入する。
このようにして被駆動回転部材11の下側を固定支持部材21内へ挿入すると、粘性流体51および空気は被駆動回転部材11と固定支持部材21とで圧縮されながら被駆動回転部材11と固定支持部材21との間を外側から内側へと移動し、溝17を通って内側円筒壁16と中心軸25との間へ進入する。
なお、空気は粘性流体51よりも速く移動するので、被駆動回転部材11と固定支持部材21とで形成される収容部41内に空気が残らなくなる。
また、中心軸25は、図4に示すように、内側円筒壁16内へ進入し、係合突起18を乗り越えて先端が溶着規制部19に衝合すると、係合突起18が係止周回溝26内に突入し、係合突起18が、図4に示すように、係止周回溝26に係合する。
図6に示すように、被取付板Eに設けた孔h、すなわち、固定支持部材21の底壁22と同じ円形で、その180度の対向する外周位置に取付部27を挿入させることのできる切欠を有する孔を利用し、被取付板Eを保持爪28aと保持突起29とに挟持させることにより、回転ダンパーDを被取付板Eに取り付ける。
まず、歯車、ラックなどに噛み合う歯車部12が回転することによって被駆動回転部材11が回転すると、被駆動回転部材11と固定支持部材21との間に位置する粘性流体51の粘性抵抗およびせん断抵抗により、被駆動回転部材11の回転を制動する。
したがって、被駆動回転部材11の歯車部12が噛み合う歯車、ラックなどの回転または移動を制動し、歯車、ラックなどをゆっくりと回転または移動させる。
そして、内側円筒壁16(開口)を閉塞する閉塞手段を、内側円筒壁16の上端部分(先端開口部、閉塞部材)の溶着としたので、閉塞部材を別途用意することなく内側円筒壁16(開口)を確実に閉塞し、粘性流体51が内側円筒壁16(開口)から漏れるのを防止することができる。
さらに、被駆動回転部材11と固定支持部材21とを組み付けたとき、被駆動回転部材11と固定支持部材21とが相対的に回転する回転軸方向の間隔を規制する間隔規制部(溶着規制部19)を、被駆動回転部材11に設けたので、被駆動回転部材11と固定支持部材21との間隔が変動しなくなり、トルク精度を一定にすることができる。
そして、固定支持部材21の中心に中心軸25を設け、被駆動回転部材11に、中心軸25が挿入される開口を有する内側円筒壁16(筒状部)を設け、この内側円筒壁16内に、溶融した内側円筒壁16の上端部分が中心軸25に接するのを規制する溶着規制部19を設けたので、溶融した内側円筒壁16の上端部分が中心軸25に付着するのを阻止でき、被駆動回転部材11と固定支持部材21とを確実に回転させることができる。
さらに、溶着規制部19が間隔規制部を兼ねているので、1つの構成部分に2つの機能を持たせることができ、機能に比して構成を簡単にすることができる。
そして、内側円筒壁16の内周と中心軸25の外周との間に、被駆動回転部材11と固定支持部材21とが相対的に回転する回転軸方向へ移動するのを規制するとともに、被駆動回転部材11と固定支持部材21とが相対的に回転可能な、係合部としての相補的係合部(係合突起18、係止周回溝26)を設けたので、固定支持部材21に対して被駆動回転部材11が抜け難くなり、また、スライダを使用するものの、2面割り金型で被駆動回転部材11および固定支持部材21を成形することができるようになり、また、被駆動回転部材11と固定支持部材21とが接触部分の少ない中心部分で接触することによって被駆動回転部材11と固定支持部材21との摩擦抵抗が少なくなるとともに、被駆動回転部材11と固定支持部材21との間に粘性流体51が入り込むことにより、被駆動回転部材11と固定支持部材21との摩擦抵抗がさらに少なくなる。
また、外側円筒壁14に保持フランジ部15を設けたので、外側円筒壁14からOリング31が抜く落ちなくなることにより、組み付け作業を作業性よく行うことができる。
そして、内側円筒壁16の内周に溝17を設けたので、収容部41内の空気が溝17を伝って内側円筒壁16から大気へと放出されることにより、また、収容部41内の粘性流体51が溝17を伝って内側円筒壁16と内側円筒壁24との間へ入ることにより、収容部41内に残留する空気がさらに減少することにより、さらに組み付け易くなるとともに、粘性流体51中に混入する空気がさらに減少してトルク精度をさらに一定にすることができる。
23Aは底壁22の外縁に一体的に設けられた外側円筒壁を示し、上端内側に、上側が内側へ下降する傾斜とされて内側へ突出し、被駆動回転部材11の保持フランジ部13Aの上面に回転可能に係合する係合爪23iが所定間隔、例えば、90度分割で円周方向へ4つ設けられている。
上記した保持フランジ部13Aと係合爪23iとは、被駆動回転部材11と固定支持部材21とが相対的に回転可能な係合部を構成している。
なお、この第2実施例の回転ダンパーDにおける他の部分は、第1実施例と同じ構成とされている。
まず、図1に示すように、作業台の上に固定支持部材21を載置し、外側円筒壁23Aと内側円筒壁24とで形成される環状凹部内に所定量の粘性流体51を注入する。
そして、外側円筒壁14の外側に両保持フランジ部13A,15でOリング31を保持させた被駆動回転部材11の下側を、中心軸25を内側円筒壁16内へ挿入するのをガイドとして固定支持部材21内へ挿入する。
このようにして被駆動回転部材11の下側を固定支持部材21内へ挿入すると、粘性流体51および空気は被駆動回転部材11と固定支持部材21とで圧縮されながら被駆動回転部材11と固定支持部材21との間を外側から内側へと移動し、溝17を通って内側円筒壁16と中心軸25との間へ進入する。
なお、空気は粘性流体51よりも速く移動するので、被駆動回転部材11と固定支持部材21とで形成される収容部41内に空気が残らなくなる。
また、中心軸25は、図7に示すように、内側円筒壁16内へ進入し、係合突起18を乗り越えて先端が溶着規制部19に衝合すると、係合突起18が係止周回溝26内に突入し、係合突起18が係止周回溝26に係合する。
そして、被駆動回転部材11と固定支持部材21とが相対的に回転可能な係合部(保持フランジ部13A、係合爪23i)を、被駆動回転部材11と固定支持部材21との外側部分に設けたので、スライダを使用するものの、2面割り金型で被駆動回転部材11および固定支持部材21を成形することができる。
23Bは底壁22の外縁に一体的に設けられた外側円筒壁を示し、上端外側に、上側が外側へ下降する傾斜面とされて外側へ突出し、被駆動回転部材11の保持フランジ部13Bの係合爪13cが下面に回転可能に係合する周回係止部23oが設けられている。
上記した係合爪13cと周回係止部23oとは、被駆動回転部材11と固定支持部材21とが相対的に回転可能な係合部を構成している。
なお、この第3実施例の回転ダンパーDにおける他の部分は、第1実施例と同じ構成とされている。
そして、この第3実施例においても、第2実施例と同様な効果を得ることができる。
25Aは中心軸を示し、中心に貫通孔25tが設けられている。
そして、中心軸25Aの高さ(長さ)は、被駆動回転部材11を固定支持部材21に組み付けると、内側有底円筒壁16Xの底が上端面に当接して貫通孔25tを閉塞する高さ(長さ)とされている。
したがって、先端開口部、閉塞部材としての内側有底円筒壁16Xに、間隔規制部を兼ねさせることができる。
なお、この第4実施例における回転ダンパーDの取付、動作は、第1実施例と同じになるので、その説明を省略する。
そして、被駆動回転部材11と固定支持部材21とを組み付けたときに貫通孔25t(開口)を閉塞する構成にしたので、貫通孔25t(開口)を閉塞する作業を別途必要せず、組み付けを作業性よく行うことができる。
さらに、内側有底円筒壁16Xが閉塞部材を兼ねているので、1つの構成部分に2つの機能を持たせることができ、機能に比して構成を簡単にすることができる。
この第5実施例においても、第1実施例と同様な効果を得ることができる。
そして、内側円筒壁63の上端部は、薄肉にされて外側に周回する段部63a(図13(a)をも参照)が設けられている。
さらに、内側円筒壁63の内周には、下端から上下方向の中央部分位まで、例えば、90度の等間隔で延びる4本の溝63b(図13(b),(c)をも参照)と、この溝63bの上側に位置し、固定支持部材71の係止周回溝73aとで相対的に回転可能な相補的係合部を形成する、上端が平面とされ、下端が下側へ進むにしたがって外側へ拡開する傾斜面とされ、例えば、180度の間隔で位置する係合突起64(図13(a),(b)をも参照)と、この係合突起64の上側に差し渡されて位置し、被駆動回転部材61と固定支持部材71とを組み付けたとき、被駆動回転部材61と固定支持部材71とが相対的に回転する回転軸方向の間隔を規制するとともに、内側円筒壁63の上端部分を閉塞するために溶着した場合、溶融した内側円筒壁63の上端部分が凝固した閉塞部分63d(図17を参照)が、固定支持部材71の中心軸73に接するのを規制する、間隔規制部を兼ねた溶着規制部65(図13(a),(b)をも参照)とが設けられている。
さらに、内側円筒壁63には、例えば、ローター部66の上端部分を180度の間隔で半径方向へ延びる孔(第2通路)63c(図13(c)をも参照)が設けられている。
上記したローター部66は、平面視円形のフランジ部67(図13(b),(c)をも参照)と、このフランジ部67の下側にIカット状に突出する突出傾斜部68(図13(b)をも参照)とで構成されている。
そして、突出傾斜部68の下面(上壁面)68aは、中心(内側円筒壁63)へ向かって上昇する傾斜面(図13(b)をも参照)とされている。
そして、底壁72の内側には、中心軸73を中心とする同心の段部72aが複数、例えば、3つ(段)設けられている。
そして、中心軸73には、上端外周に面取り加工が施され、被駆動回転部材61の係合突起64に対応する高さの外周に、被駆動回転部材61の係合突起64とで相対的に回転可能な相補的係合部を形成する、上端が平面とされた係止周回溝73aが設けられている。
上記した取付部75は、外側円筒壁74から一旦外側へ延びた後に上側へ延び、上端外側に保持爪76aを有する保持片76(図14をも参照)と、外側円筒壁74から外側へ延び、保持爪76aとの間に保持する被取付部材、例えば、被取付板E(図17を参照)の間隔を有する保持突起77(図14参照)とで構成されている。
そして、固定支持部材71の中心軸73が回転可能に挿通される孔は、内側円筒壁63によって形成される。
そして、粘性流体101で満たされる収容部91を固定支持部材71の外へ連通させる第1通路70は、固定支持部材71を構成する底壁72の内側面および中心軸73の外周面と、被駆動回転部材61を構成する内側円筒壁63の内周面および突出傾斜部68の下面68aとによって形成される(図15または図17を参照)。
そして、第1通路70の狭窄部70a(図15または図17を参照)は、底壁72に設けた段部72aの上外側へ突出するエッジ(角部)と、突出傾斜部68の下面68aとによって形成される。
まず、図12に示すように、作業台の上に固定支持部材71を載置し、底壁72と外側円筒壁74とで形成される凹部内に所定量の粘性流体101を注入する。
そして、内側円筒壁63の外側に歯車部62とローター部66とでOリング81を保持させた被駆動回転部材61の下側を、中心軸73を内側円筒壁63内へ挿入するのをガイドとして固定支持部材71内へ挿入する。
このようにして被駆動回転部材61の下側、すなわち、歯車部62よりも下側を固定支持部材71内へ挿入すると、粘性流体101および空気は、底壁72とローター部66との間の第1通路70を通って中心軸73と内側円筒壁63との間へ進入するとともに、外側円筒壁74とローター部66との間を上昇してOリング81の下側を通って孔(第2通路)63cから中心軸73と内側円筒壁63との間の第1通路70へと進入する。
また、第1通路70に狭窄部70aが設けられているので、第1通路70を移動する粘性流体101の速度が狭窄部70aによって抑制され、空気の移動する速度が粘性流体101に対して速くなることにより、空気が収容部91の外へ排出され易くなる。
さらに、外側円筒壁74、内側円筒壁63およびローター部66で形成される空間、すなわち、収容部91内のOリング81の下側が孔(第2通路)63cで第1通路70に連通しているので、この収容部91内に空気が残らなくなる。
また、中心軸73は、内側円筒壁63内へ進入し、係合突起64を乗り越えて先端が溶着規制部65に衝合すると、係合突起64が係止周回溝73a内に突入し、係止周回溝73aに係合する。
図17に示すように、被取付板Eに設けられた孔h、すなわち、固定支持部材71の外側円筒壁74と同じ円形で、その180度の対向する外周位置に取付部75を挿入させることのできる切欠を有する孔を利用し、被取付板Eを保持爪76aと保持突起77とに挟持させることにより、回転ダンパーDを被取付板Eに取り付ける。
まず、歯車、ラックなどに噛み合う歯車部62が回転することによって被駆動回転部材61が回転すると、被駆動回転部材61と固定支持部材71との間に位置する粘性流体101の粘性抵抗およびせん断抵抗により、被駆動回転部材61の回転を制動する。
したがって、被駆動回転部材61の歯車部62が噛み合う歯車、ラックなどの回転または移動を制動し、歯車、ラックなどをゆっくりと回転または移動させる。
したがって、収容部内91に残留する空気が減少することにより、制動トルクのバラツキが少なくなる。
また、被駆動回転部材61と固定支持部材71との間に収容部91が外へ通じる第1通路70を設け、この第1通路70に狭窄部70aを設けたので、第1通路70を移動する粘性流体101の速度が狭窄部70aによって抑制され、空気の移動する速度が粘性流体に対して速くなることにより、空気が収容部91の外へ排出され易くなる。
したがって、収容部91内に残留する空気が減少することにより、制動トルクのバラツキが少なくなる。
そして、第1通路70に、粘性流体101が流れる方向へ狭窄部70aを複数設けたので、第1通路70を移動する粘性流体101の速度が複数の狭窄部70aによってさらに抑制され、空気の移動する速度が粘性流体101に対してさらに速くなることにより、空気が収容部91の外へ一層排出され易くなる。
したがって、収容部91内に残留する空気がさらに減少することにより、制動トルクのバラツキがさらに少なくなる。
さらに、第1通路70を形成する上壁面(突出傾斜部68の下面68a)を、上昇する傾斜面にしたので、空気が上壁面伝いに上昇して収容部91の外へより一層排出され易くなる。
したがって、収容部91内に残留する空気がより一層減少することにより、制動トルクのバラツキがより一層少なくなる。
そして、第1通路70を、組立後に閉塞したので、粘性流体101の流出路がなくなることにより、粘性流体101の収容部91の外へ漏れを防止することができる。
また、内側円筒壁16,63に係合突起18,64を設け、中心軸25,73に係止周回溝26,73aを設けた相補的係合部の例を示したが、内側円筒壁に係止周回溝を設け、中心軸に係合突起を設けて相補的係合部を構成してもよい。
また、シール部材をOリング31,81とした例を示したが、シール部材は、相対的に回転可能な凹部と凸部、さらには、その凸部を軟質材を用いて二色成形したものであってもよい。
また、第1〜第4、第6実施例の中心軸25,73に、第5実施例における貫通孔25tを設け、この貫通孔25tを組み付けた後に溶着によって閉塞してもよい。
また、係合爪23iの撓み量を確保したい場合は、Oリング31が圧接してシールする外側円筒壁23Aの上側部分に、係合爪23iの左右に対応させてスリットを設けることにより、外側円筒壁23の一部を撓ませるようにするとよい。
また、係合部を、係合突起18,64と係止周回溝26,73aとで構成したり(第1、第4、第5、第6実施例)、または、保持フランジ部13Aと係合爪23iとで構成したり(第2実施例)、または、係合爪13cと周回係止部23oとで構成した例(第3実施例)を示したが、いずれの係合部を用いることができる。
また、収容部91内のOリング81の下側と第1通路70とを連通させる第2通路(孔63c)を、ローター部66の上側の内側円筒壁63の部分に設けた例を示したが、この第2通路は、ローター部66の上端部分にかかるように、または、ローター部66の上端に設けてもよい。
また、ローター部66をフランジ部67と突出傾斜部68とで構成し、突出傾斜部68の下面68aを傾斜面とした例を示したが、ローター部66全体を突出傾斜部として、突出傾斜部の下面を、中心(内側円筒壁63)に向かって上昇する円錐面としてもよい。
また、内側円筒壁63の上端部分を閉塞する例を示したが、粘性流体101が第1通路70から固定支持部材71の外へ漏れなければ、内側円筒壁63の上端部分は閉塞しなくてもよい。
また、第1通路70の狭窄部70aを、底壁72に段部12aを設けることによって形成した例を示したが、底壁72の内側底面を円錐面とし、突出傾斜部68に段部を設けることによって第1通路70に狭窄部を設けてもよい。
さらに、円筒状の凹部を有する固定支持部材本体、この固定支持部材本体の開口面を閉塞し、周縁が固定支持部材本体にシールされて取り付けられるキャップで構成された円筒状の凹部を有する固定支持部材と、この固定支持部材内に充填される粘性流体と、固定支持部材内の粘性流体内にローター部が回転可能に挿入されるとともに、中心軸がキャップの中心から外(固定支持部材外)へ突出する被駆動回転部材と、中心軸の外側(被駆動回転部材)とキャップの内側(固定支持部材)との間から粘性流体が漏れるのを防止するシール部材(Oリング)とで構成される通常の回転ダンパーにも、この発明の第6実施例を適用することができる。
このように、通常の回転ダンパーにこの発明の第6実施例を適用する場合、横孔(第2通路63cに相当する横方向の孔)と、内側円筒壁63が有する孔(上下方向の孔)の横孔よりも上側で、横孔に連通する縦孔(上下方向の孔)とによって構成(形成)される、縦断面がL字状または逆T字状の第1通路を中心軸に設け、この第1通路を組み立てた時または組み立てた後に閉塞すればよい。
11 被駆動回転部材
12 歯車部(被駆動回転部)
13 保持フランジ部
13A 保持フランジ部(係合部)
13B 保持フランジ部
13c 係合爪
14 外側円筒壁
15 保持フランジ部
16 内側円筒壁(開口、筒状部、先端開口部)
16X 内側有底円筒壁(閉塞部材、間隔規制部)
16s 段部
16c 閉塞部分
17 溝
18 係合突起(相補的係合部)
19 溶着規制部(間隔規制部)
21 固定支持部材(ハウジング)
22 底壁
23 外側円筒壁
23A 外側円筒壁
23B 外側円筒壁
23d 下側段部
23u 上側段部
23i 係合爪(係合部)
23o 周回係止部(係合部)
24 内側円筒壁
25 中心軸
25A 中心軸
25t 貫通孔
26 係止周回溝(相補的係合部)
27 取付部
28 保持片
28a 保持爪
29 保持突起
31 Oリング(シール部材)
41 収容部
51 粘性流体
61 被駆動回転部材
62 歯車部(被駆動回転部)
63 内側円筒壁(孔、軸部)
63a 段部
63b 溝
63c 孔(第2通路)
63d 閉塞部分
64 係合突起(相補的係合部)
65 溶着規制部(間隔規制部)
66 ローター部
67 フランジ部
68 突出傾斜部
68a 下面(上壁面)
70 第1通路
70a 狭窄部
71 固定支持部材(ハウジング)
72 底壁
72a 段部
73 中心軸
73a 係止周回溝(相補的係合部)
74 外側円筒壁(孔、軸部)
75 取付部
76 保持片
76a 保持爪
77 保持突起
81 Oリング(シール部材)
91 収容部
101 粘性流体
H ヒートチップ(溶着治具)
c 凹部
p 突起
E 被取付板(被取付部材)
h 孔
Claims (10)
- 駆動部材に係合する被駆動回転部を一体的に備えた被駆動回転部材と、
この被駆動回転部材を回転自在に保持する固定支持部材と、
この固定支持部材と前記被駆動回転部材との間に形成される収容部と、
この収容部内に収容され、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転するのを制動する粘性流体と、
からなる回転ダンパーにおいて、
前記固定支持部材の中心に中心軸を設け、
この中心軸が回転可能に挿入される孔を前記被駆動回転部材に設け、
この被駆動回転部材と前記固定支持部材との間から前記粘性流体が漏れるのを防止するシール部材を前記収容部の外周端に設け、
前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが組み付けられたとき、前記収容部における前記固定支持部材の底壁と、中心へ向かって上昇する傾斜面とされている前記被駆動回転部材の上壁面との間に、空気の移動する速度を前記粘性流体の移動速度に対して速くする狭窄部が形成される、
ことを特徴とする回転ダンパー。 - 請求項1に記載の回転ダンパーにおいて、
前記狭窄部は複数設けられている、
ことを特徴とする回転ダンパー。 - 請求項1または請求項2に記載の回転ダンパーにおいて、
前記被駆動回転部材が、前記被駆動回転部を貫通するようにして設けられた軸部と、この軸部の下端外側に前記被駆動回転部に対向させて設けられるローター部とを備え、前記軸部に、前記ローター部の上端部分を半径方向に伸びる孔を設け、
前記シール部材が、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが組み付けられた状態で、前記収容部の外周端と前記軸部との間で前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とを相対的に回転可能に封止し、
前記軸部の孔により、前記シール部材の下側と、前記中心軸及び前記軸部の内周面とで構成される空間とが連通されている、
ことを特徴とする回転ダンパー。 - 請求項3に記載の回転ダンパーにおいて、
前記中心軸及び前記軸部の内周面とで構成される空間を、前記被駆動回転部材の先端開口部の溶着により組立後に閉塞した、
ことを特徴とする回転ダンパー。 - 請求項4に記載の回転ダンパーにおいて、
前記被駆動回転部材に、溶融した前記先端開口部分が前記中心軸に接するのを規制する溶着規制部を設けた、
ことを特徴とする回転ダンパー。 - 請求項5に記載の回転ダンパーにおいて、
前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とを組み付けたときに前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向の間隔を規制する間隔規制部を、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材との少なくとも一方に設けた、
ことを特徴とする回転ダンパー。 - 請求項6に記載の回転ダンパーにおいて、
前記溶着規制部が前記間隔規制部を兼ねている、
ことを特徴とする回転ダンパー。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転ダンパーにおいて、
前記孔の内周と前記中心軸の外周との間に、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向へ移動するのを規制するとともに、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転可能な相補的係合部を設けた、
ことを特徴とする回転ダンパー。 - 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転ダンパーにおいて、
前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向へ移動するのを規制するとともに、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転可能な係合部を、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材との外側部分に設けた、
ことを特徴とする回転ダンパー。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転ダンパーにおいて、
前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とを組み付けたときに前記被駆動回転部材と前記固定支持部材とが相対的に回転する回転軸方向の間隔を規制する間隔規制部を、前記被駆動回転部材と前記固定支持部材との少なくとも一方に設けた、
ことを特徴とする回転ダンパー。
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