JPS6257527B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動変速機付車輌に装着される４輪
駆動用トランスフア装置に関し、特に直結と減速
の切換が可能な減速装置付の４輪駆動用トランス
フア装置に関する。 〔従来の技術〕 従来、パートタイム式の４輪駆動用トランスフ
ア装置においては、２輪駆動と４輪駆動の切換え
を行なう２輪４輪切換クラツチと、荒れ地、泥地
等を極低速で走行するため自動変速機とは別に減
速装置を備えており、２輪駆動と４輪駆動の切換
及び減速装置の直結駆動及び減速駆動の切換は歯
車式のドツグクラツチを用いて行なうようになつ
ていた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 歯車式のドツグクラツチは、解放状態で係合す
べき２軸間に回転数差が生じている状態からの係
合作動を円滑に行なうことが非常に困難であるた
めに、２輪駆動時の旋回走行中あるいはいづれか
の車輪がスリツプしているときなど前記両車輪伝
動軸に回転差が生じている走行状態における４輪
駆動への切換えを円滑に行なうことは困難であ
り、これらの切換えは、前記両伝動軸に回転数差
のない停車時あるいは直進走行時に限定され、操
作性の点で好ましくなかつたという問題があつ
た。 そこで、２輪４輪切換機構として湿式の摩擦多
板クラツチを用い、また減速機構として遊星歯車
機構と湿式の摩擦多板クラツチ及び摩擦多板ブレ
ーキを用いた４輪駆動用トランスフア装置が考え
られる。 この場合減速装置は、遊星歯車機構と湿式の摩
擦多板クラツチ及び摩擦多板ブレーキから構成さ
れ、４輪駆動車の直結走行状態で遊星歯車機構の
二つの要素を摩擦多板クラツチにより連結して遊
星歯車機構を一体化させて直結比を得るようにす
るとともに、４輪駆動車の減速走行状態で遊星歯
車機構の一つの要素を摩擦多板ブレーキにより固
定して減速比を得るようにしていた。 この減速装置の直結状態では、遊星歯車機構の
二つの要素が摩擦多板クラツチの係合により連結
され遊星歯車機構が一体化されて直結状態になつ
ていることから、遊星歯車機構のサンギヤ、プラ
ネタリギヤ及びリングギヤの各ギヤは相対回転す
ることなく常に同じ歯面で噛み合うことになる。 ところが、このように構成された従来の４輪駆
動車においては、車両の走行状態のの殆どを占め
る定常走行状態では減速装置は直結状態となつて
いるため、遊星歯車機構のサンギヤ、プラネタリ
ギヤ及びリングギヤの各ギヤが相対回転すること
なく常に同じ歯面で噛み合つていると、各ギヤの
噛合する歯面に作用する高い負荷が車両の走行状
態の殆どを占める定常走行状態で常に同じ歯面に
働くことになり、各ギヤの寿命を著しく損なうと
いう問題があつた。 本発明は、このような従来の問題点を解決する
ものであり、減速装置の直結状態では遊星歯車機
構を介さずに自動変速機の動力を出力軸に伝達す
るようにして、減速装置の遊星歯車機構の各ギヤ
の寿命を向上するようにしたものである。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明の４輪駆動用トランスフア装置は、自動
変速機の歯車変速装置の出力軸に連結された入力
軸と、該入力軸と同軸的に配設された第１の出力
軸と、該第１の出力軸と平行に配設された第２の
出力軸と、前記入力軸に連結したサンギヤとリン
グギヤと両ギヤに歯合したピニオンと該ピニオン
を回転自在に支持するとともに前記第１の出力軸
に連結したキヤリヤとからなる遊星歯車装置と、
前記入力軸と前記第１の出力軸とを着脱自在に連
結する第１の摩擦クラツチと、前記第１の出力軸
と前記第２の出力軸とを着脱自在に連結する第２
の摩擦クラツチと、前記リングギヤをトランスフ
アケースに着脱自在に連結する湿式摩擦ブレーキ
とから構成されることを特徴とする。 〔作用及び発明の効果〕 本発明の４輪駆動用トランスフア装置によれ
ば、２輪４輪切換用のクラツチとして湿式の摩擦
多板クラツチを用い、減速装置の直結駆動及び減
速速駆動を得るためのクラツチ及びブレーキとし
て湿式の摩擦多板クラツチ及び湿式の摩擦多板ブ
レーキを用いるように構成したので、２輪駆動時
の旋回走行中あるいはいづれかの車輪がスリツプ
しているときなど両車輪伝動軸に回転差が生じて
いる走行状態における４輪駆動への切換えを円滑
に行なうことができ、４輪駆動車の操作性が向上
するという効果を有する。 また、入力軸と第１の出力軸とを第１の湿式摩
擦多板クラツチにより着脱自在に連結するように
構成したので、第１の湿式摩擦多板クラツチが係
合される４輪駆動用トランスフア装置の直結状態
では、遊星歯車機構が一体化されることなく自動
変速機の動力が出力軸に伝達されるため、自動車
の定常走行状態では遊星歯車機構の各ギヤは空回
りして噛合する歯面が変化するようになるため、
遊星歯車機構の各ギヤに負荷がかからず遊星歯車
機構の寿命が向上するという効果を有する。 〔実施例〕 次に本発明の一実施例を図面により説明する。 １は自動変速機の歯車変速装置、２は歯車変速
装置の出力軸であるとともにトランスフア装置の
入力軸、３は出力軸２に設けられたガバナ弁、４
はトランスフア装置の入力軸２に同心的に設けら
れた遊星歯車装置、１１はトランスフア装置の入
力軸２に同軸的に設けられたトランスフア装置の
第１の出力軸、１７はトランスフア装置の第１の
出力軸１１と平行に設けられたトランスフア装置
の第２の出力軸である。 遊星歯車装置４はトランスフア装置の入力軸２
にスプライン嵌合されたサンギヤ４１と、該サン
ギヤ４１と噛合するピニオン４２と、該ピニオン
４２と噛合するリングギヤ４３と、ピニオン４２
を回転自在に支持するとともにトランスフア装置
の第１の出力軸１１に連結されたキヤリヤ４４と
から構成される。 リングギヤ４３は摩擦ブレーキ５によりトラン
スフアケース１８に着脱自在に係合されており、
該摩擦ブレーキ５はトランスフアケース１８内に
形成されたシリンダ１８Ａと該シリンダ１８Ａ内
に装着されたピストン５１とで構成される油圧サ
ーボ５０により作動される。 ７は遊星歯車装置のサンギヤ４１とキヤリヤ４
４とを着脱自在に連結する第１の湿式摩擦クラツ
チであり、キヤリヤ４４に連結したクラツチシリ
ンダ７１と、サンギヤ４１に連結されたクラツチ
ハブ７５と、クラツチシリンダ７１にスプライン
嵌合されたクラツチプレート７６と、該クラツチ
プレート７６と交互に配設され前記クラツチハブ
７５にスプライン嵌合したクラツチデイスク７７
と、前記クラツチシリンダ７１内に配設され前記
クラツチプレート７６と前記クラツチデイスク７
７とを押圧係合するピストン７２とで構成される
油圧サーボ７０により作動される。 ８は遊星歯車装置のキヤリヤ４４に連結した第
１の出力軸１１と第２の出力軸１７とを着脱自在
に連結する第２の湿式摩擦クラツチであり、第１
の出力軸１１上に回転可能に配設されたスリーブ
９と該スリーブ９に溶接されたクラツチシリンダ
８１と該クラツチシリンダ８１内に装着されたピ
ストン８２とで構成される油圧サーボ８０により
作動される。 １４はスリーブ９と第２の出力軸１７とを連結
するリンク機構であり、スリーブ９に同軸的にス
プライン嵌合された第１のスプロケツト１２と第
２の出力軸１７に同軸的にスプライン嵌合された
第２のスプロケツト１５と両スプロケツト１２、
１５間に張設されたチエーン１６とから構成され
る。 摩擦クラツチ７は自動変速機の歯車変速装置１
と遊星歯車装置４との間に配設され、摩擦クラツ
チ７のクラツチシリンダ７１はその外周部にパー
キングギヤ７３が形成されており、自動変速機の
シフトレバーをパーキング位置に選択した時、シ
フトレバーと連動する歯止め７４をパーキングギ
ヤ７３にかみ合わせ第１の出力軸１１を固定する
ようになつている。 ９０は自動変速機のオイルパン、９１は４輪駆
動用トランスフア装置の摩擦クラツチ７，８およ
び摩擦ブレーキ５の油圧サーボ７０，８０および
５０に油圧を給排する油圧制御装置（バルブボデ
イ）、９２は該油圧制御装置９１のオイルパンで
ある。 摩擦クラツチ７，８および摩擦ブレーキ５の油
圧サーボ７０，８０および５０に供給される油圧
は、オイルパン９０より自動変速機のケース９３
とトランスフアケース９４に取付けられたパイプ
９５を介して油圧制御装置９１を通して供給され
る。 このトランスフア装置は第２図に示すＡの如く
車両の機関Ｅに装着された自動変速機Ｔに取り付
けられ、第１の出力軸１１は後輪駆動用プロペラ
シヤフトＣに連結され、第２の出力軸１７は前輪
駆動用プロペラシヤフトＢに連結されて使用され
る。 通常走行時は油圧サーボ７０に自動変速機の油
圧制御装置に供給されるライン圧を供給して摩擦
クラツチ７を係合せしめ、油圧サーボ５０及び８
０を排圧して摩擦ブレーキ５及び摩擦クラツチ８
を解放せしめる。これにより入力軸２と第１の出
力軸１１とが連結され、動力は入力軸２から第１
の出力軸１１に減速比１で伝達され後輪２輪駆動
走行が得られる。このとき、入力軸２からの動力
は摩擦クラツチ７を介して直接第１の出力軸１１
に伝達され、遊星歯車装置の各ギヤ４１，４２，
４３を介さないため、遊星歯車機構の各ギヤは空
回りして噛合する歯面が変化するので、各ギヤの
歯面には負荷がかからず各ギヤの寿命が向上す
る。 この２輪駆動走行中、４輪駆動走行が必要とな
つたときは運転席に設けられたレバー又はスイツ
チを操作して、トランスフア装置の油圧サーボへ
の油圧給排制御弁（図示せず）を作用せしめ、油
圧サーボ８０にライン圧を徐々に供給し摩擦クラ
ツチ８を円滑に係合せしめると、第１の出力軸１
１とスリーブ９とが連結しリンク機構１４、第２
の出力軸１７及びプロペラシヤフトＢを経て前輪
にも動力が伝達され４輪駆動走行が得られる。 この４輪駆動走行中、急坂路など出力トルクの
増大が必要な時は、油圧サーボへの油圧の給排制
御弁を作用せしめ油圧サーボ５０へライン圧を
徐々に供給するとともに適切なタイミングで油圧
サーボ７０の油圧を排出し、摩擦ブレーキ５を
徐々に係合せしめるとともに摩擦クラツチ７を円
滑に解放させる。これにより、サンギヤ４１とキ
ヤリヤ４４とは解放されるとともにリングギヤ４
３は固定され、動力は入力軸２からサンギヤ４
１、ピニオン４２及びキヤリヤ４４を介して減速
されて第１の出力軸１１及び第２の出力軸１７に
伝達され、トルクの大きな４輪駆動減速走行が得
られる。 表１に摩擦ブレーキ５、摩擦クラツチ７及び摩
擦クラツチ８の係合及び解放と車両の走行状態を
示す。

【表】 表１において、〇は摩擦係合要素の係合状態を
示し、×は解放状態を示す。減速比のλは、遊星
歯車装置のサンギヤ４１とリングギヤ４３との歯
数比であり、減速比の値はλを0.5とした場合の
ものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のトランスフア装置の断面図、
第２図は車両の動力伝達系を示す概略図である。 図中 １…歯車変速装置、２…入力軸、４…遊
星歯車装置、５…湿式摩擦ブレーキ、７…第１の
湿式摩擦クラツチ、８…第２の湿式摩擦クラツ
チ、１１…第１の出力軸、１７…第２の出力軸、
４１…サンギヤ、４２…ピニオン、４３…リング
ギヤ、４４…キヤリヤ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動変速機の歯車変速装置の出力軸に連結さ
   れた入力軸と、該入力軸と同軸的に配設された第
   １の出力軸と、該第１の出力軸と平行に配設され
   た第２の出力軸と、前記入力軸に連結したサンギ
   ヤと、リングギヤと、両ギヤに歯合したピニオン
   と、該ピニオンを回転自在に支持するとともに前
   記第１の出力軸に連結したキヤリヤとからなる遊
   星歯車装置と、前記入力軸と前記第１の出力軸と
   を着脱自在に連結する第１の湿式摩擦クラツチ
   と、前記第１の出力軸と前記第２の出力軸とを着
   脱自在に連結する第２の湿式摩擦クラツチと、前
   記リングギヤをトランスフアケースに着脱自在に
   連結する湿式摩擦ブレーキとから構成されること
   を特徴とする４輪駆動用トランスフア装置。 ２ 前記第１の湿式摩擦クラツチは、前記キヤリ
   ヤに連結されたクラツチシリンダと、前記サンギ
   ヤに連結されたクラツチハブと、前記クラツチシ
   リンダにスプライン嵌合されたクラツチプレート
   と、該クラツチプレートと交互に配設され前記ク
   ラツチハブにスプライン嵌合したクラツチデイス
   クと、前記クラツチシリンダ内に配設され前記ク
   ラツチプレートと前記クラツチデイスクとを押圧
   係合するピストンとから構成されていることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項に記載の４輪駆動
   用トランスフア装置。