JPS6150132B2 - - Google Patents
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- JPS6150132B2 JPS6150132B2 JP58036166A JP3616683A JPS6150132B2 JP S6150132 B2 JPS6150132 B2 JP S6150132B2 JP 58036166 A JP58036166 A JP 58036166A JP 3616683 A JP3616683 A JP 3616683A JP S6150132 B2 JPS6150132 B2 JP S6150132B2
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Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
Description
本発明は耐摩耗性の優れたアルミニウム・珪素
押出成形体及びその製造方法に係る。 過共晶A−Si合金は硬質の初晶Siが共晶組織
の基地中に分布した組織を有しているために耐摩
耗性に優れ、軽量でもある故に種々の摺動部品の
材料として使用されているが、本来鋳造用合金で
あつて、固液共存温度範囲が広いために健全な鋳
造品を得るためには大きな押湯を必要とするので
歩留が低く、また薄肉の鋳造品を得ることが困難
なため薄肉の部品の製造にあつては厚肉の素材か
ら削り出さねばならず、その上被削性が悪いため
に後加工のコストが嵩む等の問題点を有してい
る。 このような過共晶A−Si合金の問題点を解消
する手段として、アトマイズ法によつて製造され
た過共晶A−Si合金粉を原料として押出加工に
よつて成形した摺動部品およびその製造方法が提
示されている(特開昭52−109415号)。 この方法によつて得られる成形体は過共晶A
−Si合金の有する良好な耐摩耗性を保有する上に
薄肉の成形体も得られるのであるが、初晶Siの粒
径が極めて小さいために油膜の形成が困難な低速
の摺動条件下では耐摩耗性が良好ではなく、また
相手摺動材の表面粗さが粗い場合には鋳造材に比
べて耐摩耗性が劣るという問題点を有している。 また、一般にA合金は軽量であるという長所
を有している反面、熱膨張係数が大きいという問
題点を有している。例えばロータリコンプレツサ
のベーンはシリンダ内壁に押付けられながら摺動
するので、耐摩耗性に優れると共に押圧力が過大
にならないように軽量であることが望ましい。 然しながらロータリコンプレツサのシリンダは
一般に鋳鉄製であり、ベーンは運転中に百数十℃
に加熱されるので、ベーン材料にA合金を使用
すると、A合金は鋳鉄に比べて熱膨張係数が可
成り大きいために、室温でのベーンとサイドプレ
ートとの間隙を大きくとつておかねばならない。
その結果運転初期のベーンが充分に昇温していな
い時期にはコンプレツサの能力が低くならざるを
得ない。前記特開昭52−109415号に開示されたA
−Si合金材も同様にこの問題を解決できない。 発明者はこれまで種々研究の結果、微細な過共
晶A−Siアトマイズ合金粉及びこれより粗粒
で、過共晶A−Si合金よりも硬くかつ熱膨張係
数の小さい粉末、特に好ましくは金属Siおよび窒
化珪素(Si3N4)の一つまたは両方を原料として熱
間押出加工によつて、従来の過共晶A−Si合金
より一層優れた耐摩耗性を有し、かつ熱膨張係数
の小さいA−Si成形体を製造することに成功し
た。 本発明は前記のような過共晶A−Si合金の問
題点を解消し、耐摩耗性の一層改善されたアルミ
ニウム・珪素押出成形体及びその製造方法を提供
することを目的としており、その第1の発明は
Si12〜35%、Cu10%以下、Mg3%以下、残部実
質的にAからなり、きわめて微細な初晶Siが分
布している基地中に該基地よりも硬く、かつ熱膨
張係数の小さい材料の粒子が3〜25%分散してい
る組織を有する耐摩耗性アルミニウム・珪素押出
成形体に係り、第2の発明は平均粒径3〜60μm
の金属Si粉及びSi3N4粉の1種または2種3〜25
%と、Si12〜35%、Cu10%以下、Mg3%以下、
残部実質的にAからなるアトマイズ合金粉を配
合して混合し、押出比10以上で熱間押出しをする
ことを特徴とするSi12〜35%、Cu10%以下、
Mg3%以下、残部実質的にAからなり、極めて
微細な初晶Siが分布している基地中に平均粒径3
〜60μmの金属Si粉子およびSi3N4粒子の1種ま
たは2種が合計で3〜25%分散している組織を有
する耐摩耗性アルミニウム・珪素押出成形体の製
造方法に係る。 次に本発明押出成形体の化学組成について述べ
る。 基地は過共晶A−Si合金よりなるが、その中
のSiは12%未満では初晶Siがほとんど晶出せず、
基地の耐摩耗性が不足するので12%以上を必要と
する。Siが多いほど硬度、耐摩耗性が向上する上
に熱膨張係数が低下するが、Siが35%を越えると
初晶Siが多量になり、また粗大になつて押出加工
を困難にし、押出成形体に亀裂を生じ易くなる。
従つて基地中のSi含有量は12〜35%とする。特に
好ましい範囲は16〜25%である。 Cu及びMgは時効硬化によつて基地を強化する
作用を有する。またCu含有量が増加するほど熱
膨張係数が低下する。本発明で使用する基地用原
料粉は後述するようにアトマイズ法によつて急冷
凝固しているために粗大なCu2A相を晶出する
ことなく、Cuを多量に過飽和に固溶することが
できる。 しかしながらCu含有量が10%を越えると基地
を脆化させるので10%以下とし、下限は時効硬化
の点から1%以上とすることが望ましい。 MgはCuと同様時効硬化の作用によつて基地を
強化するが、含有量が多くなるほど熱膨張係数を
上昇させるので好ましくなく、Cuのみでも上記
時効硬化の効果は奏せられることを考慮してMg
は3%以下とするのが良い。 次に、過共晶A−Siアトマイズ合金粉に配合
する金属Si及びSi3N4粒子の如き硬質粒子粉につ
いて述べると、これらの粒子は過共晶A−Si合
金基地中に分散して摺動中に摺動面に浮出すよう
になり、低速摺動条件下でも油膜の形成を容易に
して優れた耐摩耗性を付与する。またこれらは熱
膨張係数が小さいので、これらを配合することに
よつて押出成形体の熱膨張係数を低下させること
ができる。 上記硬質粒子としては金属Si、Si3N4のほか、
TiN等の窒化物、A2O3等の酸化物、SiC、TiC
等の炭化物、TiSi2、MoSi2等の金属間化合物、
硼化物等のセラミツクスやフエロモリブデン、フ
エロタングステンのような硬質合金の粉末が使用
できる。特に金属SiおよびSi3N4は比重がA−
Si合金に近いので偏析することがなく、均一に混
合でき、またA−Si合金基地との密着性がよい
上に、安価であるので有利である。 硬質粒子の粒径は低速摺動条件下での耐摩耗性
改善のためには、基地を形成する過共晶A−Si
アトマイズ合金粉粒子よりも大きくする必要があ
り、平均粒径で少なくとも3μmを必要とする。
然しこれが60μmよりも大きくなると押出し加工
が困難になるので3〜60μmとする。ただし、最
大粒径は80μm以下にとどめるのがよい。特に好
ましい平均粒径の範囲は10〜40μmである。これ
らの粒子は押出加工に際して基地を形成する過共
晶A−Si合金粉によつて周囲から大きな圧縮力
を受けているので、押出成形体から摺動中に剥離
することはない。 これらの硬質粒子は基地中にそのいずれか一方
を分散させても良く、また双方を分散させても良
い。これらの分散量は合計で3%未満では前記の
効果が不充分であり、25%を越えると押出加工が
困難となつて押出成形体に亀裂が生じ易くなるの
で、3〜25%の範囲とする。 上記のように金属Si粉、Si3N4粉を使用して配
合すると、得られる押出成形体は13.4〜51.3%
Si、好ましくは17.3〜43.8%Si、0.75〜9.7%Cu、
Mg0.29%以下、残部実質的にAからなる化学
組成になる。 次に本発明押出成形体の製造方法について述べ
る。 原料粉の過共晶A−Si合金粉はアトマイズ法
によつて製造されたアトマイズ粉を使用するのが
好適である。アトマイズ法によれば溶湯を急冷凝
固して粉末とするので、初晶Siが極めて微細に分
布した組織の粉末が得られる。その化学組成は
Si12〜35%、望ましくはSi16〜25%、Cu10%以
下、Mg3%以下、残部実質的にAとする。この
粉末75〜97部と平均粒径3〜60μmの金属Si粉及
びSi3N4粉のいずれか一方または双方を合計で3
〜25部配合して混合する。 この混合粉を熱間押出しして形成する。原料粉
の表面に不可避的に生成された薄いA2O3皮膜
は押出加工による塑性流動によつて超微細に分断
され、A2O3皮膜の介在によつて粉末粒子間の
拡散が阻止され、その結果成形性が阻害されると
いう問題が解消される。そのためには押出比は10
以上であることを要し、加工温度は400〜500℃が
適当である。またこのようにすることによつて得
られる押出成形体中に分散する硬質粒子は周囲の
過共晶A−Si合金から強い圧縮力を受けるの
で、摺動中にこれら粒子が脱落することが防止さ
れる。なお、押出加工に先立つて通例の粉末冶金
法によつて焼結体としておいて押出加工にかける
と被加工材の取扱が容易となる。 このようにして得られる押出成形体は目的の部
品の寸法に近い寸法のものとすることが容易であ
るので、後の仕上げ加工に於ける歩留を極めて高
くすることができる。 次に実施例および試験結果について説明する。 実施例 1 過共晶A−Si合金溶湯を空気アトマイズ法に
よつて粉末とし、100メツシユの篩を通して第1
表に示す化学組成のアトマイズ粉を得た。
押出成形体及びその製造方法に係る。 過共晶A−Si合金は硬質の初晶Siが共晶組織
の基地中に分布した組織を有しているために耐摩
耗性に優れ、軽量でもある故に種々の摺動部品の
材料として使用されているが、本来鋳造用合金で
あつて、固液共存温度範囲が広いために健全な鋳
造品を得るためには大きな押湯を必要とするので
歩留が低く、また薄肉の鋳造品を得ることが困難
なため薄肉の部品の製造にあつては厚肉の素材か
ら削り出さねばならず、その上被削性が悪いため
に後加工のコストが嵩む等の問題点を有してい
る。 このような過共晶A−Si合金の問題点を解消
する手段として、アトマイズ法によつて製造され
た過共晶A−Si合金粉を原料として押出加工に
よつて成形した摺動部品およびその製造方法が提
示されている(特開昭52−109415号)。 この方法によつて得られる成形体は過共晶A
−Si合金の有する良好な耐摩耗性を保有する上に
薄肉の成形体も得られるのであるが、初晶Siの粒
径が極めて小さいために油膜の形成が困難な低速
の摺動条件下では耐摩耗性が良好ではなく、また
相手摺動材の表面粗さが粗い場合には鋳造材に比
べて耐摩耗性が劣るという問題点を有している。 また、一般にA合金は軽量であるという長所
を有している反面、熱膨張係数が大きいという問
題点を有している。例えばロータリコンプレツサ
のベーンはシリンダ内壁に押付けられながら摺動
するので、耐摩耗性に優れると共に押圧力が過大
にならないように軽量であることが望ましい。 然しながらロータリコンプレツサのシリンダは
一般に鋳鉄製であり、ベーンは運転中に百数十℃
に加熱されるので、ベーン材料にA合金を使用
すると、A合金は鋳鉄に比べて熱膨張係数が可
成り大きいために、室温でのベーンとサイドプレ
ートとの間隙を大きくとつておかねばならない。
その結果運転初期のベーンが充分に昇温していな
い時期にはコンプレツサの能力が低くならざるを
得ない。前記特開昭52−109415号に開示されたA
−Si合金材も同様にこの問題を解決できない。 発明者はこれまで種々研究の結果、微細な過共
晶A−Siアトマイズ合金粉及びこれより粗粒
で、過共晶A−Si合金よりも硬くかつ熱膨張係
数の小さい粉末、特に好ましくは金属Siおよび窒
化珪素(Si3N4)の一つまたは両方を原料として熱
間押出加工によつて、従来の過共晶A−Si合金
より一層優れた耐摩耗性を有し、かつ熱膨張係数
の小さいA−Si成形体を製造することに成功し
た。 本発明は前記のような過共晶A−Si合金の問
題点を解消し、耐摩耗性の一層改善されたアルミ
ニウム・珪素押出成形体及びその製造方法を提供
することを目的としており、その第1の発明は
Si12〜35%、Cu10%以下、Mg3%以下、残部実
質的にAからなり、きわめて微細な初晶Siが分
布している基地中に該基地よりも硬く、かつ熱膨
張係数の小さい材料の粒子が3〜25%分散してい
る組織を有する耐摩耗性アルミニウム・珪素押出
成形体に係り、第2の発明は平均粒径3〜60μm
の金属Si粉及びSi3N4粉の1種または2種3〜25
%と、Si12〜35%、Cu10%以下、Mg3%以下、
残部実質的にAからなるアトマイズ合金粉を配
合して混合し、押出比10以上で熱間押出しをする
ことを特徴とするSi12〜35%、Cu10%以下、
Mg3%以下、残部実質的にAからなり、極めて
微細な初晶Siが分布している基地中に平均粒径3
〜60μmの金属Si粉子およびSi3N4粒子の1種ま
たは2種が合計で3〜25%分散している組織を有
する耐摩耗性アルミニウム・珪素押出成形体の製
造方法に係る。 次に本発明押出成形体の化学組成について述べ
る。 基地は過共晶A−Si合金よりなるが、その中
のSiは12%未満では初晶Siがほとんど晶出せず、
基地の耐摩耗性が不足するので12%以上を必要と
する。Siが多いほど硬度、耐摩耗性が向上する上
に熱膨張係数が低下するが、Siが35%を越えると
初晶Siが多量になり、また粗大になつて押出加工
を困難にし、押出成形体に亀裂を生じ易くなる。
従つて基地中のSi含有量は12〜35%とする。特に
好ましい範囲は16〜25%である。 Cu及びMgは時効硬化によつて基地を強化する
作用を有する。またCu含有量が増加するほど熱
膨張係数が低下する。本発明で使用する基地用原
料粉は後述するようにアトマイズ法によつて急冷
凝固しているために粗大なCu2A相を晶出する
ことなく、Cuを多量に過飽和に固溶することが
できる。 しかしながらCu含有量が10%を越えると基地
を脆化させるので10%以下とし、下限は時効硬化
の点から1%以上とすることが望ましい。 MgはCuと同様時効硬化の作用によつて基地を
強化するが、含有量が多くなるほど熱膨張係数を
上昇させるので好ましくなく、Cuのみでも上記
時効硬化の効果は奏せられることを考慮してMg
は3%以下とするのが良い。 次に、過共晶A−Siアトマイズ合金粉に配合
する金属Si及びSi3N4粒子の如き硬質粒子粉につ
いて述べると、これらの粒子は過共晶A−Si合
金基地中に分散して摺動中に摺動面に浮出すよう
になり、低速摺動条件下でも油膜の形成を容易に
して優れた耐摩耗性を付与する。またこれらは熱
膨張係数が小さいので、これらを配合することに
よつて押出成形体の熱膨張係数を低下させること
ができる。 上記硬質粒子としては金属Si、Si3N4のほか、
TiN等の窒化物、A2O3等の酸化物、SiC、TiC
等の炭化物、TiSi2、MoSi2等の金属間化合物、
硼化物等のセラミツクスやフエロモリブデン、フ
エロタングステンのような硬質合金の粉末が使用
できる。特に金属SiおよびSi3N4は比重がA−
Si合金に近いので偏析することがなく、均一に混
合でき、またA−Si合金基地との密着性がよい
上に、安価であるので有利である。 硬質粒子の粒径は低速摺動条件下での耐摩耗性
改善のためには、基地を形成する過共晶A−Si
アトマイズ合金粉粒子よりも大きくする必要があ
り、平均粒径で少なくとも3μmを必要とする。
然しこれが60μmよりも大きくなると押出し加工
が困難になるので3〜60μmとする。ただし、最
大粒径は80μm以下にとどめるのがよい。特に好
ましい平均粒径の範囲は10〜40μmである。これ
らの粒子は押出加工に際して基地を形成する過共
晶A−Si合金粉によつて周囲から大きな圧縮力
を受けているので、押出成形体から摺動中に剥離
することはない。 これらの硬質粒子は基地中にそのいずれか一方
を分散させても良く、また双方を分散させても良
い。これらの分散量は合計で3%未満では前記の
効果が不充分であり、25%を越えると押出加工が
困難となつて押出成形体に亀裂が生じ易くなるの
で、3〜25%の範囲とする。 上記のように金属Si粉、Si3N4粉を使用して配
合すると、得られる押出成形体は13.4〜51.3%
Si、好ましくは17.3〜43.8%Si、0.75〜9.7%Cu、
Mg0.29%以下、残部実質的にAからなる化学
組成になる。 次に本発明押出成形体の製造方法について述べ
る。 原料粉の過共晶A−Si合金粉はアトマイズ法
によつて製造されたアトマイズ粉を使用するのが
好適である。アトマイズ法によれば溶湯を急冷凝
固して粉末とするので、初晶Siが極めて微細に分
布した組織の粉末が得られる。その化学組成は
Si12〜35%、望ましくはSi16〜25%、Cu10%以
下、Mg3%以下、残部実質的にAとする。この
粉末75〜97部と平均粒径3〜60μmの金属Si粉及
びSi3N4粉のいずれか一方または双方を合計で3
〜25部配合して混合する。 この混合粉を熱間押出しして形成する。原料粉
の表面に不可避的に生成された薄いA2O3皮膜
は押出加工による塑性流動によつて超微細に分断
され、A2O3皮膜の介在によつて粉末粒子間の
拡散が阻止され、その結果成形性が阻害されると
いう問題が解消される。そのためには押出比は10
以上であることを要し、加工温度は400〜500℃が
適当である。またこのようにすることによつて得
られる押出成形体中に分散する硬質粒子は周囲の
過共晶A−Si合金から強い圧縮力を受けるの
で、摺動中にこれら粒子が脱落することが防止さ
れる。なお、押出加工に先立つて通例の粉末冶金
法によつて焼結体としておいて押出加工にかける
と被加工材の取扱が容易となる。 このようにして得られる押出成形体は目的の部
品の寸法に近い寸法のものとすることが容易であ
るので、後の仕上げ加工に於ける歩留を極めて高
くすることができる。 次に実施例および試験結果について説明する。 実施例 1 過共晶A−Si合金溶湯を空気アトマイズ法に
よつて粉末とし、100メツシユの篩を通して第1
表に示す化学組成のアトマイズ粉を得た。
【表】
これに純度98.5%、平均粒径15μmの金属Si粒
及び平均粒径10μmのSi3N4粉を第2表に示すよ
うに配合し、V型コーンで混合した。 これら混合粉を250℃に1時間加熱し、同温度
に加熱保持された内径49.5mmの3分割金型中に充
填し、上下パンチで圧縮、成形して真密度比70%
の長さ90mmのビレツトとした。
及び平均粒径10μmのSi3N4粉を第2表に示すよ
うに配合し、V型コーンで混合した。 これら混合粉を250℃に1時間加熱し、同温度
に加熱保持された内径49.5mmの3分割金型中に充
填し、上下パンチで圧縮、成形して真密度比70%
の長さ90mmのビレツトとした。
【表】
次に430℃に加熱保持された内径50mmのコンテ
ナ中に予め窒素ガス中で450℃に2時間加熱した
前記ビレツトを挿入し、内径12mmのダイスを用い
て間接押出法により丸棒押出材とした。押出比は
17.4である。 次にこれら押出材にT7熱処理を施してから試
験片を採取し、摩耗試験及び熱膨張係数の測定を
行つた。第1図には押出材No.1の、第2図には
No.2の顕微鏡組織(×400)を示す。図中1及び
2は白色を呈する微細な初晶Siの晶出した過共晶
A−Si合金からなる基地、3は金属Si粒子、ね
ずみ色を呈する粒子4はSi3N4粒子である。 次にこれら押出成形体について行なつた試験に
ついて述べる。 (1) 摩耗試験 試験は第3図に示す方法で行つた。試験片5を
試験片ホルダー6で保持し、相手方回転円板7の
外周面に一定圧力で圧接させ、潤滑油供給管8か
ら潤滑油を供給しながら摺動させる。試験片は5
×5×20mmの角柱状を呈し、先端摺動面には半径
6mmの丸みが付せられ、研磨仕上げが施されてい
る。相手円板7は球状黒鉛鋳鉄FCD50に焼入、
焼戻が施されHRC50の硬さを有し、外径44.2mm
で、摺動外周面は表面粗さを0.6〜1.5μmに研磨
仕上げが施してある。 このような装置によつて相手円板7を1,3,
5m/秒の周速で回転させ、80±1℃に加熱され
たコンプレツサオイル(スニソ5GS)を300ml/
分の割合で供給管8から給油しながら試験片5を
相手円板7の外周面に3Kg/mm2の押圧力で押付
け、摩擦距離を150Kmとして試験片5と相手円板
7とを摺動させた。 試験前の相手円板7の外周面の表面粗さは表面
粗さ計の触針を軸方向に走査させて測定した。 試験後試験片5の摺動面の摩耗幅を工具顕微鏡
で測定して、これから摩耗体積を計算で求めた。 なお、比較材として前記No.4、No.5のほかに
T7熱処理を施した20%Si、3.4Cu、0.9Mg、残部
実質的にAの鋳造材No.6についても同様の試
験を行つた。 試験片の硬さ(HRB)はNo.1〜3が87、No.4
が82、No.5が85、鋳造材No.6が88であつた。 試験結果を第4図は周速1m/秒の、第5図は
周速3m/秒の、第6図は周速5m/秒の場合につ
いて示してある。 本発明材No.1、No.2、No.3はいずれの比較材
に比べても摩耗量が少なく、比較材No.4及び
No.5は摩耗量が比較材の鋳造材No.6よりも大き
く、特に相手材の表面粗さが粗くなると摩耗量が
著しく増大している。また周速1m/秒では周速
3m/秒に比べてその傾向が大きい。この現象は
比較材No.4及びNo.5は硬質の初晶Siが極めて微細
であり、他に粗い硬質相が存在しないために、油
膜の形成が困難であるためと考えられ、更に低速
になると摩耗量は一層大きくなるものと推測され
る。本発明の押出成形体は耐摩耗性の良好な過共
晶A−Si合金を基地としており、更に硬質の金
属Si粒子やSi3N4粒子が分散しているので、摺動
中にこれら硬質粒子が浮上つて油溜りが形成され
るようになつて保油性が改善されるため、低速で
も優れた耐摩耗性を示すものと考えられる。 (2) 熱膨張係数測定 前記ビレツトから直径5mm、長さ20mmの丸棒試
験片を採取し、室温から200℃迄の間の熱膨張係
数を測定した。結果は第3表に示す通りである。 同表から本発明押出成形体はいずれの比較材に
比べても熱膨張係数が低く、例えば比較材No.4
に比べて1.5〜1.6×10-6/℃低く、8.2〜8.7%も
小さくなつている。
ナ中に予め窒素ガス中で450℃に2時間加熱した
前記ビレツトを挿入し、内径12mmのダイスを用い
て間接押出法により丸棒押出材とした。押出比は
17.4である。 次にこれら押出材にT7熱処理を施してから試
験片を採取し、摩耗試験及び熱膨張係数の測定を
行つた。第1図には押出材No.1の、第2図には
No.2の顕微鏡組織(×400)を示す。図中1及び
2は白色を呈する微細な初晶Siの晶出した過共晶
A−Si合金からなる基地、3は金属Si粒子、ね
ずみ色を呈する粒子4はSi3N4粒子である。 次にこれら押出成形体について行なつた試験に
ついて述べる。 (1) 摩耗試験 試験は第3図に示す方法で行つた。試験片5を
試験片ホルダー6で保持し、相手方回転円板7の
外周面に一定圧力で圧接させ、潤滑油供給管8か
ら潤滑油を供給しながら摺動させる。試験片は5
×5×20mmの角柱状を呈し、先端摺動面には半径
6mmの丸みが付せられ、研磨仕上げが施されてい
る。相手円板7は球状黒鉛鋳鉄FCD50に焼入、
焼戻が施されHRC50の硬さを有し、外径44.2mm
で、摺動外周面は表面粗さを0.6〜1.5μmに研磨
仕上げが施してある。 このような装置によつて相手円板7を1,3,
5m/秒の周速で回転させ、80±1℃に加熱され
たコンプレツサオイル(スニソ5GS)を300ml/
分の割合で供給管8から給油しながら試験片5を
相手円板7の外周面に3Kg/mm2の押圧力で押付
け、摩擦距離を150Kmとして試験片5と相手円板
7とを摺動させた。 試験前の相手円板7の外周面の表面粗さは表面
粗さ計の触針を軸方向に走査させて測定した。 試験後試験片5の摺動面の摩耗幅を工具顕微鏡
で測定して、これから摩耗体積を計算で求めた。 なお、比較材として前記No.4、No.5のほかに
T7熱処理を施した20%Si、3.4Cu、0.9Mg、残部
実質的にAの鋳造材No.6についても同様の試
験を行つた。 試験片の硬さ(HRB)はNo.1〜3が87、No.4
が82、No.5が85、鋳造材No.6が88であつた。 試験結果を第4図は周速1m/秒の、第5図は
周速3m/秒の、第6図は周速5m/秒の場合につ
いて示してある。 本発明材No.1、No.2、No.3はいずれの比較材
に比べても摩耗量が少なく、比較材No.4及び
No.5は摩耗量が比較材の鋳造材No.6よりも大き
く、特に相手材の表面粗さが粗くなると摩耗量が
著しく増大している。また周速1m/秒では周速
3m/秒に比べてその傾向が大きい。この現象は
比較材No.4及びNo.5は硬質の初晶Siが極めて微細
であり、他に粗い硬質相が存在しないために、油
膜の形成が困難であるためと考えられ、更に低速
になると摩耗量は一層大きくなるものと推測され
る。本発明の押出成形体は耐摩耗性の良好な過共
晶A−Si合金を基地としており、更に硬質の金
属Si粒子やSi3N4粒子が分散しているので、摺動
中にこれら硬質粒子が浮上つて油溜りが形成され
るようになつて保油性が改善されるため、低速で
も優れた耐摩耗性を示すものと考えられる。 (2) 熱膨張係数測定 前記ビレツトから直径5mm、長さ20mmの丸棒試
験片を採取し、室温から200℃迄の間の熱膨張係
数を測定した。結果は第3表に示す通りである。 同表から本発明押出成形体はいずれの比較材に
比べても熱膨張係数が低く、例えば比較材No.4
に比べて1.5〜1.6×10-6/℃低く、8.2〜8.7%も
小さくなつている。
【表】
実施例 2
前記実施例1と同様にして第4表に示す化学組
成を有する−100メツシユのアトマイズ合金粉を
得た。
成を有する−100メツシユのアトマイズ合金粉を
得た。
【表】
これら合金粉に前記実施例1で用いたと同じ金
属Si粉またはSi3N4粉を全体の0,5,10,15,
20%になるように配合して混合し、前記実施例1
に於けると同様にして直径15mmの押出材とした。
押出比は11.1である。これら押出材から試験片を
採取し、前記実施例1に於けると同様の方法で摩
耗試験及び熱膨張係数測定を行ない、硬質粒子の
配合割合による影響を調べた。 (1) 摩耗試験 試験条件は相手円板の表面粗さを0.8〜1.0μm
に、周速を1m/秒とし、その他の各条件は前記
実施例1に於けると同様である。 第7図に金属Si粉を配合した場合の結果を、第
8図にSi3N4粉を配合した場合の結果を示す。 両図から金属Si粉またはSi3N4粉を配合するこ
とによつて耐摩耗性が著しく改善されることが判
る。然しこれらの配合量が5%を越えると改善の
効果の増加は顕著ではなくなる。また、A−Si
合金粉中のSi含有量が多いほど耐摩耗性が良好で
あることが判る。 (2) 熱膨張係数測定 第9図に金属Si粉を配合した場合の結果を、第
10図にSi3N4粉を配合した場合の結果を示す。 両図からA−Si合金粉のSi含有量が多いほど
熱膨張係数が低く、金属Si粉またはSi3N4粉の配
合量の増加によつて熱膨張係数は直線的に低下す
ることが判る。また金属Si粉配合による上記効果
とSi3N4粉配合によるそれはほぼ同等である。 実施例 3 前記実施例2で使用したA−Siアトマイズ合
金粉Dに平均粒径の異なる金属Si粉またはSi3N4
粉を全体の10%になるよう配合して混合し、前記
実施例2に於けると同様にして試験片を製作し、
摩耗試験片を行つて粒径の大小による影響を調べ
た。相手材円板の表面粗さは1.5μmとし、その
他の試験条件は前記実施例2に於けると同様であ
る。 試験結果は第11図に示す通りである。 金属Si粉またはSi3N4粉の平均粒径が1μmで
は摩耗量が大きく、これが5μmになると摩耗量
が著しく減少し、5μmを越えると再び増加傾向
に転ずるが、その変化は僅少である。このことか
ら押出成形体の組織中に分散している金属Si粒子
またはSi3N4粒子の平均粒径が相手摺動材の表面
粗さを示す数値よりも小さいと、これら分散粒子
が相手摺動材によつてむしり取られるようにして
摩耗が進行し、分散粒子の平均粒径が相手摺動材
の表面粗さを示す数値より大きくなると分散粒子
が相手摺動材表面の凹凸の2以上の山に乗るよう
になつて良好な耐摩耗性を示すようになるものと
考えられる。然し分散粒子が余り大き過ぎるとそ
の間隔が大きくなるために摩耗量が漸増するよう
になる。 なお、本発明複合材料のA−Si合金基地中
に、耐熱性や高温強度を高めるために、また熱膨
張係数を一層低下させるためにCr,Fe,Mn,
Ni,Tiを単独または2種以上を合計3〜15%含
有させることができる。これらの元素はアトマイ
ズ法によつて急冷凝固した過共晶A−Si合金粉
中に過飽和に固溶または超微細な析出相として析
出するので押出加工性の低下は少ない。 以上説明したように、本発明の押出成形体は油
膜の形成の困難な低速摺動条件下でも優れた耐摩
耗性を示し、その上、熱膨張係数が小さいので、
ロータリコンプレツサのベーンのほかレシプロエ
ンジンのピストンのような部品の材料として好適
である。また、焼嵌めされて使用される摺動部
品、例えばバルブガイドのような熱負荷のかかる
摺動部品の材料としても好適である。 またその製造方法は原料粉からの押出加工によ
るので所望の断面形状のものが製造でき、中空材
の製造も容易である。その上、製品の形状寸法に
極めて近い形状寸法のものが得られるので仕上げ
加工の工程を大幅に省略することができる。
属Si粉またはSi3N4粉を全体の0,5,10,15,
20%になるように配合して混合し、前記実施例1
に於けると同様にして直径15mmの押出材とした。
押出比は11.1である。これら押出材から試験片を
採取し、前記実施例1に於けると同様の方法で摩
耗試験及び熱膨張係数測定を行ない、硬質粒子の
配合割合による影響を調べた。 (1) 摩耗試験 試験条件は相手円板の表面粗さを0.8〜1.0μm
に、周速を1m/秒とし、その他の各条件は前記
実施例1に於けると同様である。 第7図に金属Si粉を配合した場合の結果を、第
8図にSi3N4粉を配合した場合の結果を示す。 両図から金属Si粉またはSi3N4粉を配合するこ
とによつて耐摩耗性が著しく改善されることが判
る。然しこれらの配合量が5%を越えると改善の
効果の増加は顕著ではなくなる。また、A−Si
合金粉中のSi含有量が多いほど耐摩耗性が良好で
あることが判る。 (2) 熱膨張係数測定 第9図に金属Si粉を配合した場合の結果を、第
10図にSi3N4粉を配合した場合の結果を示す。 両図からA−Si合金粉のSi含有量が多いほど
熱膨張係数が低く、金属Si粉またはSi3N4粉の配
合量の増加によつて熱膨張係数は直線的に低下す
ることが判る。また金属Si粉配合による上記効果
とSi3N4粉配合によるそれはほぼ同等である。 実施例 3 前記実施例2で使用したA−Siアトマイズ合
金粉Dに平均粒径の異なる金属Si粉またはSi3N4
粉を全体の10%になるよう配合して混合し、前記
実施例2に於けると同様にして試験片を製作し、
摩耗試験片を行つて粒径の大小による影響を調べ
た。相手材円板の表面粗さは1.5μmとし、その
他の試験条件は前記実施例2に於けると同様であ
る。 試験結果は第11図に示す通りである。 金属Si粉またはSi3N4粉の平均粒径が1μmで
は摩耗量が大きく、これが5μmになると摩耗量
が著しく減少し、5μmを越えると再び増加傾向
に転ずるが、その変化は僅少である。このことか
ら押出成形体の組織中に分散している金属Si粒子
またはSi3N4粒子の平均粒径が相手摺動材の表面
粗さを示す数値よりも小さいと、これら分散粒子
が相手摺動材によつてむしり取られるようにして
摩耗が進行し、分散粒子の平均粒径が相手摺動材
の表面粗さを示す数値より大きくなると分散粒子
が相手摺動材表面の凹凸の2以上の山に乗るよう
になつて良好な耐摩耗性を示すようになるものと
考えられる。然し分散粒子が余り大き過ぎるとそ
の間隔が大きくなるために摩耗量が漸増するよう
になる。 なお、本発明複合材料のA−Si合金基地中
に、耐熱性や高温強度を高めるために、また熱膨
張係数を一層低下させるためにCr,Fe,Mn,
Ni,Tiを単独または2種以上を合計3〜15%含
有させることができる。これらの元素はアトマイ
ズ法によつて急冷凝固した過共晶A−Si合金粉
中に過飽和に固溶または超微細な析出相として析
出するので押出加工性の低下は少ない。 以上説明したように、本発明の押出成形体は油
膜の形成の困難な低速摺動条件下でも優れた耐摩
耗性を示し、その上、熱膨張係数が小さいので、
ロータリコンプレツサのベーンのほかレシプロエ
ンジンのピストンのような部品の材料として好適
である。また、焼嵌めされて使用される摺動部
品、例えばバルブガイドのような熱負荷のかかる
摺動部品の材料としても好適である。 またその製造方法は原料粉からの押出加工によ
るので所望の断面形状のものが製造でき、中空材
の製造も容易である。その上、製品の形状寸法に
極めて近い形状寸法のものが得られるので仕上げ
加工の工程を大幅に省略することができる。
第1図は本発明に係る押出成形体の顕微鏡組織
を示す写真(×400)、第2図は他の押出成形体の
同様な写真、第3図は摩耗試験装置の概要を示す
立面図、第4図は摩耗試験結果(周速1m/秒)
を示すグラフ、第5図は周速3m/秒の、第6図
は周速5m/秒の場合の第4図と同様なグラフ、
第7図は金属Si粉の配合割合と摩耗量との関係を
示すグラフ、第8図はSi3N4の配合割合と摩耗量
との関係を示すグラフ、第9図は金属Si粉の配合
割合と熱膨張係数との関係を示すグラフ、第10
図はSi3N4粉の配合割合と熱膨張係数との関係を
示すグラフ、第11図は金属Si粉、Si3N4粉の粒
径と摩耗量との関係を示すグラフである。
を示す写真(×400)、第2図は他の押出成形体の
同様な写真、第3図は摩耗試験装置の概要を示す
立面図、第4図は摩耗試験結果(周速1m/秒)
を示すグラフ、第5図は周速3m/秒の、第6図
は周速5m/秒の場合の第4図と同様なグラフ、
第7図は金属Si粉の配合割合と摩耗量との関係を
示すグラフ、第8図はSi3N4の配合割合と摩耗量
との関係を示すグラフ、第9図は金属Si粉の配合
割合と熱膨張係数との関係を示すグラフ、第10
図はSi3N4粉の配合割合と熱膨張係数との関係を
示すグラフ、第11図は金属Si粉、Si3N4粉の粒
径と摩耗量との関係を示すグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 Si12〜35%、Cu10%以下、Mg3%以下、残
部実質的にAlからなり、極めて微細な初晶Siが分
布している基地中に、該基地よりも硬く、かつ熱
膨脹係数の小さい硬質材料の平均粒径3〜60μm
の粒子が3〜25%分散している組織を有する耐摩
耗性アルミニウム・珪素押出成形体。 2 基地中に分散する硬質粒子が金属Si粒子およ
びSi3N4粒子の1種または2種からなる粒子であ
る特許請求の範囲第1項記載の耐摩耗性アルミニ
ウム・珪素押出成形体。 3 平均粒径3〜60μmの金属Si粉およびSi3N4
粉の1種または2種3〜25%と、Si12〜35%、
Cu10%以下、Mg3%以下、残部実質的にAlから
なるアトマイズ合金粉とを配合して混合し、押出
比10以上で熱間押出しをすることを特徴とする
Si12〜35%、Cu10%以下、Mg3%以下、残部実
質的にAlからなり、極めて微細な初晶Siが分布し
ている基地中に平均粒径3〜60μmの金属Si粒子
およびSi3N4粒子の1種または2種が合計で3〜
25%分散している組織を有する耐摩耗性アルミニ
ウム・珪素押出成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3616683A JPS59162242A (ja) | 1983-03-05 | 1983-03-05 | 耐摩耗性アルミニウム・珪素押出成形体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3616683A JPS59162242A (ja) | 1983-03-05 | 1983-03-05 | 耐摩耗性アルミニウム・珪素押出成形体およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS59162242A JPS59162242A (ja) | 1984-09-13 |
JPS6150132B2 true JPS6150132B2 (ja) | 1986-11-01 |
Family
ID=12462170
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3616683A Granted JPS59162242A (ja) | 1983-03-05 | 1983-03-05 | 耐摩耗性アルミニウム・珪素押出成形体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS59162242A (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6148555A (ja) * | 1984-08-15 | 1986-03-10 | Showa Alum Corp | 耐摩耗性に優れたアルミニウム合金押出材 |
JPS6342342A (ja) * | 1986-08-06 | 1988-02-23 | Alum Funmatsu Yakin Gijutsu Kenkyu Kumiai | 摺動部材用アルミニウム合金材料 |
JPS63143233A (ja) * | 1986-12-04 | 1988-06-15 | Sumitomo Light Metal Ind Ltd | 耐熱耐摩耗性アルミニウム合金材 |
JPH01177340A (ja) * | 1987-12-30 | 1989-07-13 | Showa Denko Kk | 高強度・耐摩耗性Al粉末合金の加工熱処理方法 |
US5006417A (en) * | 1988-06-09 | 1991-04-09 | Advanced Composite Materials Corporation | Ternary metal matrix composite |
US5106702A (en) * | 1988-08-04 | 1992-04-21 | Advanced Composite Materials Corporation | Reinforced aluminum matrix composite |
JPH02163570A (ja) * | 1988-12-15 | 1990-06-22 | Mitsubishi Alum Co Ltd | シリンダーチューブ材 |
JPH02285044A (ja) * | 1989-04-26 | 1990-11-22 | Mitsubishi Materials Corp | 耐摩耗性のすぐれた低熱膨張係数を有するAl―Si系合金粉末鍛造部材 |
JP2787703B2 (ja) * | 1989-04-26 | 1998-08-20 | 三菱マテリアル株式会社 | 極低熱膨張係数を有するA▲l▼―Si系合金粉末鍛造部材 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5597447A (en) * | 1979-01-19 | 1980-07-24 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Aluminum sintered alloy and production of the same |
JPS579851A (en) * | 1980-06-18 | 1982-01-19 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Wear-resistant aluminum composite material |
JPS5996242A (ja) * | 1982-11-24 | 1984-06-02 | Showa Alum Ind Kk | アルミニウム合金焼結体およびその製造方法 |
-
1983
- 1983-03-05 JP JP3616683A patent/JPS59162242A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5597447A (en) * | 1979-01-19 | 1980-07-24 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Aluminum sintered alloy and production of the same |
JPS579851A (en) * | 1980-06-18 | 1982-01-19 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Wear-resistant aluminum composite material |
JPS5996242A (ja) * | 1982-11-24 | 1984-06-02 | Showa Alum Ind Kk | アルミニウム合金焼結体およびその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS59162242A (ja) | 1984-09-13 |
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