JPS6320298B2 - - Google Patents

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JPS6320298B2
JPS6320298B2 JP58158876A JP15887683A JPS6320298B2 JP S6320298 B2 JPS6320298 B2 JP S6320298B2 JP 58158876 A JP58158876 A JP 58158876A JP 15887683 A JP15887683 A JP 15887683A JP S6320298 B2 JPS6320298 B2 JP S6320298B2
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aluminum alloy
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hard
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JP58158876A
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Fumio Kyota
Tatsuo Fujita
Tadao Hirano
Shinichi Horie
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Riken Corp
Resonac Holdings Corp
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Riken Corp
Showa Denko KK
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Description

【発明の詳細な説明】
この発明は、内燃機関のシリンダライナやカー
クーラ用ロータリコンプレツサのベーンのような
部材に適する耐熱耐摩耗性高力アルミニウム合金
部材とその製造方法に関する。 自動車用エンジンのシリンダーブロツクを鋳鉄
からアルミニウム合金鋳物に置換すると軽量化の
効果は大であるが、その場合でもピストンリング
やピストンと摺動する内周側はアルミニウム合金
鋳物では耐摩耗性が不充分なために、片状黒鉛鋳
鉄材からなるシリンダライナを鋳包んで使用して
いる。このシリンダライナをアルミニウム合金に
すると一段と軽量化の効果が得られるほか、その
熱伝導率が鋳鉄よりも良いことと、鋳鉄よりも熱
膨張係数が大きく、シリンダブロツクのアルミニ
ウム合金鋳物の熱膨張係数に近いので、運転時の
昇温した状態でもライナとブロツクの密着性が良
いことから放熱性の良いエンジンとなり、ライナ
の内壁温度が低下することから潤滑油の寿命を長
くすることが出来たり、低粘度の潤滑油の使用が
可能となり燃費の向上も可能になる等の効果が期
待されている。 また、高Siアルミニウム合金は鋳鉄に比べて熱
膨張係数が大きいので、アルミニウム合金のピス
トンとの間のクリアランスを小さく設定出来る可
能性があり、ピストンとの間のクリアランスを小
さくすると、燃費の向上の他に潤滑油の消費量を
押えることが出来る。また、高Siアルミニウム合
金は摩擦係数が低いために、ピストンリングとの
間のフリクシヨンロスが低減されることからも燃
費の向上が期待される。 このようにシリンダライナにアルミニウム合金
を適用することの長所は多いが、従来公知のアル
ミニウム合金ではこのよな鋳包み用シリンダライ
ナ材としては不充分である。例えばAA規格の
A390.0合金(Si:16〜18%,Cu:4〜5%,
Mg:0.50〜0.65%,Fe:0.5%,Ti:0.2%,
Zn:0.1%,残:A1)の様な鋳造材は固液共存温
度域が広いために、健全な鋳物を得るためには大
きい押湯を必要とし、歩留りが悪くコストの高い
ものとなる他に、微細化処理や金型鋳造法によつ
ても初晶Si粒は尚粗大であるために被削性が悪
い。更に致命的欠点はシリンダブロツクに鋳包む
時に熱によつて材料が軟化するために、耐摩耗性
が著しく低下する他、被削面にビビリやムシレを
生じやすく、ホーニング加工を困難とする。ま
た、近年粉末冶金法により、A390.0に近い組成
の合金を粉末としこれを熱間押出しして中空体と
する技術が提案されている(特開昭52−109415)。
これは高Siのアルミニウム合金溶湯をアトマイズ
法または遠心力による微粒化法により急冷された
微粒または粉末とし、これを熱間押出しすること
により中空体を得る方法であり、鋳造法により得
られる中空体よりもはるかに重量歩留りのすぐれ
た製造法である。また、この方法によると初晶Si
粒が20μm以下の大きさとなるために延性や機械
加工性にすぐれ、更に高ケイ素Al合金特有の低
摩擦係数の性質をも有している。また、この方法
により、15〜20%Si,1〜5%Cu,0.5〜5%
Mg,0.5〜1.5%Ni、残部Alの合金や或はこれに
SiC,Sn、黒鉛を混合して押出した中空体が提案
されている。 本発明者らはこのトレース実験を行つたとこ
ろ、20.0Si―4.0Cu―0.8Mg―0.5Ni―Al残の組成
とした粉末押出し材をシリンダライナ(外径73mm
内径65mm高さ105mm)として使用し、ADC―12合
金のシリンダブロツク(重量3.4Kg)に溶湯温度
675℃でダイキヤスト法で鋳包むテストを行つた
結果、鋳包み前にT6処理により硬さがHRB80で
あつたものが、鋳包み後はHRB40程度に軟化し
てしまうことが判明した。従つてこの中空体もア
ルミニウム合金製シリンダブロツクに鋳包む時に
軟化してしまい、鋳包み用シリンダライナとして
は使用に耐え得ないものである。 また、鋳包みはダイキヤスト法や低圧鋳造法に
よるがライナはコスト面からも出来るだけ薄肉と
することが望ましいが、前記の中空体は強度、特
に硬度が充分でなく薄肉化していくと鋳包み時の
ライナ搬送工程や位置決め時等に加わる機械的応
力により変形しやすくなる。 本発明者らは、これらの従来のアルミニウム合
金の難点を解消し、鋳包み時などに負荷される熱
負荷に対しても軟化することがなく、更に使用時
の熱負荷の下においても硬度低下の生ずることの
少ない耐熱耐摩耗性高力アルミニウム合金とその
製造方法を開発し先に提案した(特願昭57−
119901号、特願昭57−119902号)。 先きの提案に係る高力アルムニウム合金におい
ては、その高温強度を向上させることを目的とし
て、Al中での拡散速度の遅いFe,Mn,Ni等の
元素を含む金属間化合物の微粒子を合金基地中に
微細に分散させたものであるが、実機エンジンテ
ストによる結果、潤滑油中にダストや燃焼生成物
であるカーボン粒子等が混入する場合にシリンダ
ライナの摩耗が多くなる傾向を示すことが判明し
た。また、カークーラ用ロータリコンプレツサの
ベーンとしてこの種の合金材をテストしてみる
と、摺動相手部材の表面粗さが粗い場合に摩耗が
多くなることが判明した。 この発明は、上記アルミニウム合金の耐摩耗耐
焼付特性を更に改善し上記難点を解消することを
目的としてなされたもので、重量比でSi10.0〜
30.0%と、Ni5.0〜15.0%と、さらに必要に応じて
Cu0.5〜5.0%およびMg0.2〜3.0%を含み、残部が
不可避的不純物を含むAlからなり、Si結晶粒子
の大きさが15μm以下に、かつ金属間化合物粒子
の大きさが20μm以下に微細化分散しているアル
ミニウム合金基地中に、その粒径が前記Si結晶粒
子および金属間化合物粒子より大で且つ60μm以
下である硬質粒子が2〜20(重量)%分散してい
る組織を有する硬質粒子分散型耐熱耐摩耗性高力
アルミニウム合金に係り、更に該アルミニウム合
金の製造方法をも提供するものである。 以下、本発明をさらに説明する。 まず、本発明になる合金における前記硬質粒子
を除く部分の成分限定理由について説明する。 Siは10%以下ではSi結晶粒子の分散量が少な
く、耐摩耗性におよぼす効果が不充分である。
Si10%近傍の亜共晶域では初晶Siは晶出せず、微
細な共晶組織を有するものとなる。Siの添加量が
増すとともにSiが初晶として晶出するようにな
り、耐熱性、耐摩耗性も向上してくる。しかしな
がらSiが30%を越えると後述する本発明の骨子で
ある硬質粒子と混合して熱間押出しすることが著
しく困難になる。また、アルミニウム合金製シリ
ンダブロツクに鋳包まれてシリンダライナ等とし
て使用する場合、Siの添加量と共に熱膨張係数が
小さくなり、Siが30%を越えるとシリンダブロツ
ク材との密着性が悪くなつたり、ピストンとのク
リアランスを大きくする必要性が生じてくる。従
つてSiの添加量は10.0〜30.0%、好ましくは12.0
〜23.0%とするのが良い。 Niは、本発明合金においては重要な成分であ
り、Al中への溶解度が低くかつ拡散速度が遅い
ことを利用して微細な金属間化合物として基地中
に分散させ、高温強度を高める目的で特に添加す
るものである。固溶限界を越えてNiを添加する
と、Al―Ni系の金属間化合物として析出し、そ
の形状は添加量が多いほど、また冷却速度が遅い
ほど粗大となる。これらの金属間化合物は本発明
の重要な骨子である分散急冷凝固法により得られ
る合金粉末中においては棒状の組織として存在し
て、後の熱間押出工程によつて分断され、基地中
に微細に分散される。この種の金属間化合物は高
温においても安定でかつ成長し難く、それ故、長
時間高温に保持しても合金の硬度を高い値に維持
する効果を示す。従つて、鋳包み用シリンダライ
ナのように高温にさらされた後も硬度の低下がな
く、良好な耐摩耗性を保持することが可能とな
る。 Niの添加量は5%以下では顕著な効果が認め
られず、15%以上になるとAlへのSiの溶解限度
が低くなり、過剰のSiが初晶となつて多量に晶出
する。また、合金の溶解温度が高くなり溶湯の酸
化が進むので特別の酸化防止策を必要とし経済的
でない。また、析出する金属間化合物が粗大とな
り、後の熱間押出加工による分断微細化がなされ
難くなるとともに押出加工性も悪くなる。それ
故、Niの添加量は5.0〜15.0%の範囲とすること
が望ましい。 本発明の合金では、このように多量のNiを添
加してアルミニウム合金粉末中に強制固溶させる
とともに棒状の金属間化合物として析出させた
後、後加工工程の熱間押出加工によつて微細な化
合物として析出させ、あるいは分断することによ
りアルミニウム合金基地中に微細分散させ材質の
強度、特に高温における強度と硬度とを向上させ
ている。なお、本発明においては、必要に応じて
0.5〜5.0%のCuおよび0.2〜3.0%のMgを添加する
ことができる。CuやMgはアルミニウム合金に時
効硬化性を付与して材質を強化する成分として知
られているものである。本発明においても溶体化
処理温度での固溶限度内程度の前記範囲内でCu
およびMgを添加すると材質強化に有効である。
また、本発明においてはさらにFe,Mn,Ti,
Cr,V,Zr,Mo,Co等を添加して高温強度を改
善することも可能である。 更に本発明において特に重要な要件は、上記ア
ルミニウム合金基地中に、その粒径が後述する初
晶Si粒や金属間化合物粒子の粒径より大であり且
つ60μmよりは小さい硬質粒子を2〜20%分散さ
せることである。これら硬質粒子はアルミニウム
合金基地中に分散して存在することにより、摺動
中に摺動面に露出して低速の摺動条件下において
も油膜の形成を容易にする他に相手の摺動面が粗
い場合や潤滑油中にダストやカーボン粒子等が含
まれている場合であつても良好な耐摩耗特性を発
揮する。 上記硬質粒子としては、金属Si,Si3N4,SiC
のほか、TiN等の窒化物、Al2O3等の酸化物、
TiC等の炭化物、TiSi2,MoSi等の金属間化合
物、硼化物等のセラミツクスやフエロモリブデ
ン、フエロタングステンのような硬質合金の粉末
が使用できる。これらの硬質粉末のうち特に金属
Si,Si3N4およびSiCはその比重が前記の分散急
冷凝固法によつて得られた合金粉末の比重に近い
ので本発明合金の製造過程において偏析を生ずる
ことがなく、均一に混合でき、また、Al―Si合
金との密着性がよい上に、安価であるので有利で
ある。 前記硬質粒子の粒径は低速摺動条件下での耐摩
耗性改善のためには、アルミニウム合金基地中に
微細化分散している初晶Si結晶粒や金属間化合物
粒子の粒径よりも大きくする必要がある。然しこ
れが60μmよりも大きくなると熱間押出し加工が
困難になるので大きくとも60μm以下、好ましく
は40μm以下とする。 これらの硬質粒子は、分散急冷凝固法によつて
得られたアルミニウム合金粉末に混合されて熱間
押出し加工されるに際して該合金粉末によつて周
囲から大きな圧縮力を受けるので該合金に良好に
密着し、摺動中に成形体から剥離脱落するような
ことがない。 なお、これらの硬質粒子は相手摺動材の硬度や
表面粗さあるいは摺動条件等に応じて1種類で、
あるいは数種類で併せて用いることができる。 これら硬質粒子の分散量は、合計で2%未満で
は前記の効果が不充分であり、20%を越えると押
出し加工が困難となつて押出成形体に亀裂が生じ
易くなる。それ故、本発明においては該硬質粒子
の量を2〜20%の範囲とする。 Si結晶粒子の大きさを15μm以下としたのは押
出加工を容易にするという製造上の要請の他に、
得られる合金の延性を良好にし被削性を改善する
ためでもある。また、Siの微細結晶により耐摩耗
性が向上し、摩擦係数が低下するのでシリンダラ
イナ等の摺動部材に適したものとするためであ
る。 Al―Ni系の金属間化合物粒の大きさは実質的
には5μm以下で、大きなものでも20μm以下に微
細かつ均一に分散させることにより、高温強度と
耐摩耗性が従来品に比較して著しく改善される。 本発明の硬質粒子分散型耐熱耐摩耗性高力アル
ミニウム合金部材は、上記の金属間化合物の微細
化分散によつて分散強化されて特に高温強度が改
善され、さらにSi結晶粒の微細化分散によつて耐
摩耗性が改善されているアルミニウム合金基地中
に、これら金属間化合物粒やSi結晶粒の粒径より
も大なる粒度を有する硬質粒子を分散させること
によつて部材の耐摩耗性.耐焼付性を更に一段と
向上させたものであり、従来品に比べて耐摩耗性
に優れている他、鋳包み等により熱履歴を受ける
ことがあつても材質が軟化することがなく、特に
使用条件の苛酷な内燃機関のシリンダライナやカ
ークーラ用ロータリコンプレツサの部品等として
好適なものである。 本発明は、更に前記の硬質粒子分散型耐熱耐摩
耗性高力アルミニウム合金部材の製造方法をも提
供するものである。 その製造方法の要旨とするところは、所定量の
Niを含む高Siアルミニウム合金溶湯を分散急冷
凝固させ、得られたアルミニウム合金粉末に所定
量の硬質粒子を加えて混合したのち、熱間押出成
形することにある。 合金溶湯を分散急冷凝固させるのは、Si,Ni,
Cu,Mg等の合金元素を過飽和に固溶させるとと
もに、初晶Siや金属間化合物相を微細化するため
である。分散急冷凝固させる方法としては、アト
マイズ法、遠心微粉化法等既知の金属粉末製造方
法が利用できる。これらの方法により粉末粒径を
0.5mm以下に微細化し急冷凝固させれば満足する
組織の合金粉末が得られる。次に前記アルミニウ
ム合金粉末に前述した硬質粒子を2〜20%添加し
混合する。該硬質粒子の粒径としては若干の小径
粒子の混入は許容されるが、耐摩耗性、耐焼付性
の改善の為には概ね前記の分散急冷凝固法によつ
て得られた合金粉末中に分散晶出あるいは分散析
出したSi結晶粒および金属間化合物が押出し成形
加工後に呈する粒径より大であることが望まし
く、また、成形加工性の観点から60μm以下とす
ることが望ましい。 なお、熱間押出に先だつて、ビレツトを製造す
る工程を加えることが望ましいく、金型中で圧縮
成形してこれを製造する場合には、金型と粉末材
料とを200〜350℃℃程度の温度としておこなう。
300℃を越えると酸化が著しくなるので窒素ガス
やアルゴンのような非酸化性雰囲気中でおこなう
のが望ましい。成形圧力は0.5〜3ton/cm2程度で
おこない、圧粉体密度は真密度比70%以上とする
のが圧粉体のハンドリング上望ましい。 冷間静水圧プレスによりビレツトの成形加工を
おこなうこともできるがこの場合には5ton/cm2
上の圧力が必要である。 熱間押出しは350℃以上の温度、好ましくは400
〜470℃の温度域でおこなう。これは圧粉体の成
形加工を容易にすると同時に粒子間の結合を促進
させて強固な成形体とするためである。さらには
棒状組織をなしている金属間化合物を分断して微
細化分散させ、成形体の強度と摩擦特性を改善す
るためである。熱間押出しは圧粉体(ビレツト)
を大気中または非酸化雰囲気中で予熱し、ほゞ同
温度のコンテナ中に挿入しておこなうのがよい。 また、押出加工比は10以上が好ましい。押出加
工比が10未満だと押出材中に空隙が残存し、また
粉末相互間の拡散結合や棒状金属間化合物の分断
効果が不充分なために、強度や靭性の高い材料が
得られないためである。 本発明の方法によれば、分散冷凝固法によつて
得られたアルミニウム合金粉末中には、前述の合
金元素が過飽和に固溶されている他に極めて微細
な初晶Siの結晶粒と棒状の金属間化合物とが析出
しており、この合金粉末に前記の金属Si粒子、
Si3N4粒子あるいはSiC粒子等の硬質粒子を所定
量混合して熱間押出し加工をおこなうことにより
棒状金属間化合物は極めて微細に分断され微細均
一に分散され、一方、前記混合された硬質粒子は
その粒径をほとんど変えることなく、前記の初晶
Siや分断された金属間化合物粒子よりも大なる粒
径をなして基地中に分布し材料の耐摩耗性.耐焼
付性の一層の改善に寄与する。 実施例 1 表―1に示す各種合金組成を有する高Siアルミ
ニウム合金溶湯を空気アトマイズで急冷凝固粉末
とし、得られた粉末を−60meshとなるようにフ
ルイ分けをおこなつた。次いで表―1に示すよう
な硬質粉末を前記急冷凝固合金粉末に配合し、V
型コーンミキサにて窒素ガス封入下で均一に混合
した。硬質粒子として使用した金属Siは純度98.5
%、平均粒径15μmのもの、SiNは平均粒径20μ
m,SiCは平均粒径10μmのGC型のものである。 これらの混合粉を250℃に1時間加熱し、同温
度に加熱された内径87mmの3分割金型中に充填し
上下パンチにより圧縮成形して真密度72%の長さ
200mmのビレツトとした。 次に該ビレツトをArガス中で450℃で30分加熱
した後、430℃に加熱保持された内径90mmのコン
テナ中に挿入し、内径23mmのダイスを用いて間接
押出法により丸棒の押出材とした。押出比は15.3
である。得られた押出材組織写真(400倍)を第
7〜9図に示す。5は金属Si粒、6はアルミニウ
ム合金の基地、7はSi3N4粒、9はSiC粒である。 次にこの押出材より引張試験片を削り出して
350℃×10HrのO処理をおこなつた後、200℃,
250℃に100時間保持後、その温度で引張試験をお
こなつた。なお、比較のために高Siアルミニウム
合金(鋳造材)のA390.0合金と耐熱性にすぐれ
たピストン用鋳造アルミニウム合金であるAC8B
合金の0処理材についても引張試験をおこなつ
た。その結果を表―2に示す。表―2から明らか
な如く本発明の合金は高温強度が高く、また高温
保持後の硬度が高い。 次に、これらの合金について摩耗試験をおこな
つた。 試験は第1図に示す方法で実施した。試験片1
を試験片ホルダ2で保持し、相手方回転円板3の
外周面に一定圧力で圧接させ、潤滑油供給管4か
ら潤滑油を供給しながら摺動させる。試験片は5
×5×20mmの角柱状を呈し、先端摺動面には半径
6mmの丸みが付せられ、研磨仕上げが施されてい
る。相手円板3は球状黒鉛鋳鉄FCD50に焼入、
焼戻が施されHRC50の硬さを有し、外径44.2mm
で、摺動外周面は表面粗さ約1.5μmに研磨仕上げ
が施してあ
【表】
【表】 る。このような装置によつて相手円板3を1,
3,5m/秒の周速で回転させ、80±1℃に加熱
されたコンプレツサオイル(スニソ5GS)を300
m1/分の割合で供給管から給油しながら試験片
1を相手円板3の外周面に3Kg/mmの押圧力で押
付け、摩擦距離を150Kmとして試験片1と相手円
板3とを摺動させた。 供試材として、前記の本発明実施例の1〜3の
押出丸棒より試験片1を削り出した後、O処理を
行つたものと、比較のために本発明実施例の1〜
3で硬質粉末を添加していない押出丸棒より試験
片を削り出し同じ熱処理を施したものについて試
験を行つた。その結果を第2図に示す。なお、摩
耗量は試験片先端部の摩耗巾で示している。 第2図から明らかなように、硬質粉末粒子を添
加しない比較例1〜3の押出材は硬質粉末粒子を
添加した本発明合金に比べて摩耗量が多く、特に
低速域と高速域において摩耗が増大する傾向を示
している。これに対して、硬質粉末粒子を添加し
た本発明の合金1〜3は低速域から高速域まで安
定して良好な耐摩耗性を示しており、比較例1〜
3に比べて大巾な耐摩耗性改善効果を示してい
る。特に金属Si粒の添加に比べてSiNやSiCのよ
うに硬度の高い粒子を添加した場合に摩耗が少な
くなる傾向が認められる。 実施例 2 15.1%Si―7.0%Ni―2.5%Cu―1.5%Mg―残Al
からなる合金溶湯を実施例―1と同じ方法でアト
マイズして急冷凝固粉末を得た後、これを−
60meshにフルイ分けして原料アルミニウム合金
粉末とした。 該合金粉末に前記実施例―1で用いたと同じ金
属Si粒、Si3N4粒およびSiC粒を全体の0,3,
5,10,15,20%になるように各々配合し、前記
実施例―1におけると同様にして直径23mmの押出
材とした。押出比は15.3であつた。これら押出材
から試験片を削り出し、実施例―1におけると同
様の方法で摩耗試験を行ない、硬質粒子の配合割
合による影響を調べた。 試験条件は相手円板の表面粗さを0.8〜1.0μm
に、周速を1m/秒とし、その他の各条件は前記
実施例1に於けると同様である。 第3図に金属Si粒を配合した場合の結果を、第
4図にSi3N4粒を配合した場合の結果を、また、
第5図にSiC粒を配合した場合の結果を示す。な
お、図中、摩耗量は硬質粒子無配合の場合の摩耗
量を1として、相対摩耗量で示している。 これらの図から、硬質粒子の配合量(添加量)
が3%を越えると摩耗量が著しく低下することが
認められる。なお、Si3N4粒を20%配合したもの
については、押出材の加工性が悪く試験片に加工
することができなかつた。 実施例 3 前記実施例―2で用いたと同様な原料アルミニ
ウム合金粉末に、平均粒径の異なる金属Si粒、
Si3N4粒、SiC粒を重量で5%配合して混合し、
実施例1と同様にして熱間押出しをおこない、得
られた押出材より摩耗試験片を削り出し、実施例
1と同様な熱処理を施した後、実施例1と同じ摩
耗試験をおこなつた。その他の試験条件は実施例
1におけると同じにした。 その結果を第6図に示す。第6図から明らかな
ように、平均粒径が1μm以下のSiC粒やSi3N4
の添加では摩耗量が大であり、また、30μmを越
えても摩耗量は僅かではあるが増加の傾向を示し
ている。この試験結果は次のことがらを教示する
ものと考えられる。即ち、押出材の組織中に分散
して存在する金属Si粒子やSi3N4粒子等の硬質粒
子の平均粒径が、相手摺動部材の表面粗さを示す
数値よりも小さいと、摺動時にこれら硬質粒子が
相手摺動面によつてむしり取られ易くなる。した
がつて、分散される硬質粒子の平均粒径は過度に
小さくないことが望ましい。一方、分散される硬
質粒子の粒径が、相手摺動部材表面の凹凸の隣り
合う山部間を架橋するに充分な程度に大きい場合
には、該硬質粒子は剥離脱落することなく安定し
た状態で一方の、即ち成形体の表面に保持され良
好な耐摩耗特性が発揮される。ただし、硬質粒子
の平均粒径が過度に大きくなると硬質粒子間の間
隔が大になり、摩耗量の漸増傾向が生ずる。 以上説明した通りで、本発明の硬質粒子分散型
耐熱耐摩耗性高力アルミニウム合金は、Al中で
の拡散速度の遅い元素を含む微細な金属間化合物
微粒子による分散強化によつて高温強度が高めら
れ、また同じく微細均一に分散された初晶Si粒や
共晶Siによつて耐摩耗性が向上されているアルミ
ニウム合金の基地中に、更に、これら微細な金属
間化合物粒子や初晶Si粒の粒径よりも平均粒径の
大なる硬質粒子を分散させて有するものであり、
このように構成されることにより格段と優れた耐
摩耗耐焼付性を発揮するものである。 なお、本発明の硬質粒分散型耐熱耐摩耗性高力
アルミニウム合金の特記すべき特徴の一は、本合
金がアルミニウム合金部材を摺動相手として使用
する場合においても極めて良好な耐摩耗性を発揮
するということである。 A390.0合金組成の金型鋳造材のT7処理材を摺
動相手材とし、周速5m/秒、潤滑油(スニソ
5GS)、油温80℃の条件で本発明合金の前記実施
例―1の1〜3合金(O処理材)の摩耗テストを
実施例―1におけると同様に行つた。 なお、比較のために本発明実施例―1の各合金
から硬質粒子を除いた合金およびA390.0合金
(T7処理材)についても同様な摩耗テストを行つ
た。このテスト結果によると、本発明の硬質粒子
分散型耐熱耐摩耗高力アルミニウム合金は、本発
明合金から硬質粒子を除いた構成の比較材や
A390.0合金に比べ格段に優れた耐摩耗耐焼付特
性を示すことが確認された。従つて、本発明のア
ルミニウム合金は、従来タブーとされていたアル
ミニウム合金部材同種を組合せて摺動部材として
使用することも可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は摩耗試験機を示す。第2〜6図は摩耗
試験の結果を示す。第7図は実施例1における本
発明合金1の合金組織(400倍)を示す。第8図
は実施例1における本発明合金2の組織を示す。
また第9図は実施例1における本発明合金3の組
織を示す。 図中:1…摩耗試験片、2…ホルダー、3…相
手材、5…金属Si粒、6…アルミニウム合金の基
地、7…Si3N4粒、9…SiC粒。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量比でSi10.0〜30.0%とNi5.0〜15.0%と、
    残部が不可避的不純物を含むAlからなり、Si結
    晶粒の大きさが15μm以下に、かつ金属間化合物
    粒の大きさが20μm以下に微細化分散しているア
    ルミニウム合金基地中に、その平均粒径が前記Si
    結晶粒および金属間化合物粒の粒径より大で且つ
    60μm以下である金属Si粒子、Si3N4粒子または
    SiC粒子のうち1種または2種以上からなる硬質
    粒子が2〜20(重量)%分散している組織を有す
    ることを特徴とする硬質粒子分散型耐熱耐摩耗性
    高力アルミニウム合金部材。 2 重量比でSi10.0〜30.0%とNi5.0〜15.0%とを
    含み、さらにCu0.5〜5.0%およびMg0.2〜3.0%の
    うち少くとも1種を含み、残部が不可避的不純物
    を含むAlからなり、Si結晶粒の大きさが15μm以
    下に、かつ金属間化合物粒の大きさが20μm以下
    に微細化分散しているアルミニウム合金基地に、
    その平均粒径が前記Si結晶粒および金属間化合物
    粒の粒径より大で且つ60μm以下である金属Si粒
    子、Si3N4粒子またはSiC粒子のうち1種または
    2種以上からなる硬質粒子が2〜20(重量)%分
    散している組織を有することを特徴とする硬質粒
    子分散型耐熱耐摩耗性高力アルミニウム合金部
    材。 3 重量比でSi10.0〜30.0%と、Ni5.0〜15.0%
    と、残部が不可避的不純物を含むAlからなる合
    金溶湯を、分散急冷凝固させて合金粉末とし、得
    られた合金粉末に、その平均粒径が60μm以下で
    ある金属Si粒子、Si3N4粒子またはSiC粒子のう
    ち1種又は2種以上からなる硬質粒子を2〜20
    (重量)%配合して混合し、押出し比10以上で熱
    間押出成型することを特徴とするSi結晶粒の大き
    さが15μm以下に、かつ金属間化合物粒の大きさ
    が20μm以下に微細化分散しているアルミニウム
    合金基地中に、その平均粒径が前記Si結晶粒およ
    び金属間化合物粒の粒径より大で且つ60μm以下
    である金属Si粒子、Si3N4粒子およびSiC粒子の
    うち1種または2種以上からなる硬質粒子が2〜
    20(重量)%分散している組織を有する硬質粒子
    分散型耐熱耐摩耗性高力アルミニウム合金部材の
    製造法。
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