JPH0118984B2 - - Google Patents

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JPH0118984B2
JPH0118984B2 JP57167578A JP16757882A JPH0118984B2 JP H0118984 B2 JPH0118984 B2 JP H0118984B2 JP 57167578 A JP57167578 A JP 57167578A JP 16757882 A JP16757882 A JP 16757882A JP H0118984 B2 JPH0118984 B2 JP H0118984B2
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JP
Japan
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aluminum alloy
solid lubricant
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alloy powder
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JP57167578A
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JPS5959856A (ja
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Fumio Kyota
Tatsuo Fujita
Shinichi Horie
Tadao Hirano
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Riken Corp
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Riken Corp
Showa Denko KK
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Publication date
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Priority to CA000432033A priority patent/CA1230761A/en
Priority to EP83106849A priority patent/EP0100470B1/en
Priority to DE8383106849T priority patent/DE3381592D1/de
Publication of JPS5959856A publication Critical patent/JPS5959856A/ja
Priority to US07/259,402 priority patent/US4938810A/en
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、内燃機関のシリンダーライナーや、
ピストンの耐摩環のような部品に適する固体潤滑
剤分散耐熱型高Siアルミニウム合金粉末成形体に
関するものである。 自動車用エンジンのシリンダーブロツクを鋳鉄
からアルミニウム合金鋳物に置換すると軽量化の
効果は大きいが、その場合でもピストンリングや
ピストンと摺動する内周側はアルミニウム合金鋳
物では然摩耗性が不充分なために、片状黒鉛鋳鉄
材から成るシリンダーライナーを鋳ぐるんで使用
している。このシリンダーライナーをアルミニウ
ム合金にすると一段と軽量化の効果があるが他に
熱伝導率が鋳鉄よりも良いことと、鋳鉄よりも熱
膨張係数が大きく、シリンダーブロツクのアルミ
合金鋳物の熱膨張係数に近いので、運転時の昇温
した状態でもライナーとブロツクの密着性が良い
ことから放熱性の良いエンジンとなり、ライナー
の内壁温度が低下することから潤滑油の寿命を長
くすることが出来たり、低粘度の潤滑油の使用が
可能となり燃費の向上も可能になる等の効果が期
待されている。 又、高Siアルミニウム合金は鋳鉄に比べて熱膨
張係数が大きいので、アルミニウム合金のピスト
ンとの間のクリアランスを小さく設定出来る可能
性があり、ピストンとの間のクリアランスを小さ
くすると、燃費の向上の他に潤滑油の消費量を押
えることが出来る。又、高Siアルミニウム合金は
摩擦係数が低いために、ピストンリングとの間の
フリクシヨンロスが低減されることからも燃費の
向上が期待される。 又、ピストンの耐摩環はアルミニウム合金製ピ
ストンの頭部に近い圧縮リングのセツトされる部
分の摩耗対策として熱膨張係数がピストンのアル
ミニウム合金の熱膨張係数に近いニレジスト鋳鉄
が鋳ぐるまれて使用されている。ピストンの耐摩
環も軽量化出来れば燃費は一層向上することが期
待される。 このようにシリンダーライナーや耐摩環にアル
ミニウム合金を使用することの長所は多いが、従
来の公知のアルミニウム合金では高温における強
度が充分でなくこのような鋳ぐるみ用部材として
は不充分である。 すなわち、20.0Si−4.0Cu−0.8Mg−0.5Ni−Al
残の組成を有するアルミニウム合金粉末押出し材
をシリンダーライナー(外径73mm内径65mm高さ
105mm)としてADC−12合金のシリンダーブロツ
ク(重量3.4Kg)に溶湯温度675℃で、ダイキヤス
ト法で鋳ぐるむテストを行つた結果、鋳ぐるみ前
にT6処理によつて硬度がHRB80であつたものが
HRB40程度に軟化してしまつた。従つて、このア
ルミニウム合金粉末成形体は鋳ぐるみ用シリンダ
ーライナーとしては使用出来ないと判断される。 鋳ぐるみはダイキヤスト法や低圧鋳造法による
が、ライナーはコスト面からもできるだけ薄肉と
することが望ましい。しかしながら薄肉化してい
くと鋳ぐるみ時のライナー搬送工程や、位置決め
時に加わる機械的応力により変形しやすくなるの
で、高温度においても高剛性(高硬度)であるこ
とが必要である。 また、シリンダーライナーや耐摩環のような摺
動部材では、摺動する相手面を傷つけないこと、
相手面を摩耗させないことも重要である。これら
の目的を達成するため、Al−Si系合金粉末と炭
素粉末とを混合し、熱間押出成形する方法(特公
昭48−9686)や、Al−Si系合金粉末に黒鉛、
SiC、Sn等を添加して熱間押出し中空物体を得る
方法(特開昭52−109415)などが提案され、自己
潤滑性を備えたアルミニウム合金材料が知られて
いる。しかしながら従来知られているこれら材料
では高温特性に優れたものは見当らず、鋳ぐるみ
用シリンダーライナー材としては使用不可能であ
る。 本発明はこれらの難点を解消するためなされた
ものであり、高温における強度、耐摩耗性、耐焼
付性に優れ、かつ高温における自己潤滑性をも兼
ね備えたアルミニウム合金粉末成形体を提供する
ことを目的としている。 本発明者らはすでに鋳ぐるみ時の熱負荷に対し
ても軟化することがなく、更に使用時に負荷され
る温度に於ても軟化せず、耐摩耗性、耐焼付性に
すぐれたアルミニウム合金成形体として、高Siア
ルミニウム合金にFe、Mn、Niなどを多量に添加
した合金粉末の成形体を提案している(特願昭57
−119902)。本発明はその改良になり、先願のも
のに高温でも安定な固体潤滑剤を0.2〜5.0%含有
させて摺動特性を更に高めたものである。 第一の発明によるアルミニウム合金粉末成形体
は、重量比でSi10.0〜30.0%と、Fe3.0〜15.0%ま
たはMn5.0〜15.0%のうち1種または2種と、固
体潤滑剤0.2〜5.0%とを必須成分とし、残部がAl
からなる組成を有し、Si結晶粒の大きさが15μm
以下で、金属間化合物の大きさが20μm以下に微
細化分散していることを特徴とする。 また、第二の発明によるアルミニウム合金粉末
成形体は、重量比でSi10.0〜30.0%と、Fe3.0〜
12.0%またはMn5.0〜12.0%のうち1種または2
種と、Cu0.5〜5.0%およびMg0.2〜5.0%と、固体
潤滑剤0.2〜5.0%とを必須成分とし、残部がAlか
らなる組成を有し、Si結晶粒の大きさが15μm以
下で、金属間化合物の大きさが20μm以下に微細
化分散していることを特徴とする。 さらに第三の発明は重量比でSi10.0〜30.0%と、
Fe3.0〜15.0%またはMn5.0〜15.0%のうち1種ま
たは2種と、Ni3.0〜10.0%(ただしFe+Mn+
Ni合量で6.0〜15.0%)と、固体潤滑剤0.2〜5.0%
とを必須成分とし、残部がAlからなる組成を有
し、Si結晶粒の大きさが15μm以下であり、かつ
金属間化合物の大きさが20μm以下に微細化分散
していることを特徴とする。 第四の発明は、重量比でSi10.0〜30.0%と、
Fe3.0〜15.0%またはMn5.0〜15.0のうち1種また
は2種と、Ni3.0〜10.0%(ただしFe+Mn+Ni
合量で6.0〜15.0%)と、さらにCu0.5〜5.0%およ
びMg0.2〜3.0%とを含み、固体潤滑剤0.2〜5.0%
とを必須成分とし、残部がAlからなる組成を有
し、Si結晶粒の大きさが15μm以下であり、かつ
金属間化合物の大きさが20μm以下に微細化分散
していることを特徴とする。 以下本発明をさらに説明する。 まず、本発明による合金粉末成形体の各成分の
限定理由について説明する。 Siは10%以下では分散量が少く、耐熱性耐摩耗
性におよぼす効果が不充分である。Si10%近傍の
亜共晶域では初晶Siは晶出せず、微細な共晶組織
を有するものとなる。Siの添加量が増すとともに
Siが初晶として晶出するようになり、耐熱性、耐
摩耗性も向上してくる。しかしながらSiが30%を
越えると後述する本発明の製造方法の骨子である
分散急冷凝固法によつて粉末にしても、粗大な初
晶Siが消失しなくなる。 粗大な初晶Si組織を有するアルミニウム合金粉
末は押出成形加工して使用するに際しては、粉体
の圧縮性を著しく悪化させ圧粉体を造りにくくす
るほか、熱間押出においても変形抵抗が大きくな
り、大きな押出力を必要とし、押出ダイスを摩耗
させて寿命を著しく短縮させる難点がある。この
ような製造上の問題の他に、材質特性においても
鋳造材の場合と同様な難点があり、シリンダーラ
イナー材としては不適当なものとなるので、粗大
な初晶Siの晶出は避けなければならない。またア
ルミニウム合金製シリンダーブロツクに鋳ぐるま
れてシリンダーライナーとして使用する場合、Si
の添加量と共に熱膨張係数が小さくなり、Siが30
%を越えるとシリンダーブロツク材との密着性が
悪くなつたり、ピストンとのクリアランスを大き
くする必要性が生じてくる。従つてSiの添加量は
10.0〜30.0%、好ましくは15.0〜25.0%とするの
が良い。 FeおよびMnは本発明合金粉末成形体において
は重要な成分であり、Al中への溶解度が低くか
つ拡散速度が遅いことを利用して微細な化合物と
して分散させ、高温強度を高める目的で添加す
る。 固溶限界を越えてFeまたはMnを添加すると、
Al−(Fe、Mn)−Si系の化合物として析出し、そ
の形状は添加量が多いほど、また冷却速度が遅い
ほど粗大となる。これらの金属間化合物は本発明
の製造方法の骨子である分散急冷凝固法による合
金粉末においては棒状の組織として存在して、後
の熱間押出工程によつて分断され、基地中に微細
に分散する。これら化合物は高温においても安定
でかつ成長し難く、長時間高温保持しても強度の
低下は起こさない。従つて鋳ぐるみ用シリンダ−
ライナーのように高温にさらされた後も硬度の低
下がなく、耐摩耗性を保持することが可能とな
る。 過共晶Al−Si合金中にFeまたはMnを添加して
いくと初晶Siは少くなるが、代つて析出するAl
−(Fe、Mn)−Si系金属間化合物によつて耐熱
性、耐摩耗性を維持し改善するものである。この
ようにFeとMnは同様の作用効果を有しているの
で、FeまたはMnのうちいずれか1種または2種
を使用することができる。FeまたはMnの添加量
はFe単独の場合は3.0〜15.0%、Mn単独の場合は
5.0〜15.0%、FeおよびMnを合わせて使用する場
合は2種合計で3.0〜15.0%の範囲とするのが適
当である。添加量が上記範囲より少い場合は高温
強度を維持向上させるための金属間化合物の析出
量が不足するので効果が上らない。また添加量が
上記範囲を越えた場合は硬さや耐摩耗性がかえつ
て低下するのでライナー材としては好ましくな
い。また、アルミニウム合金の有する軽量特性を
失わせ、粉末を押出成形加工する場合は圧縮性を
悪くし、押出変形抵抗を大きくし加工を困難にす
るので好ましくない。従つてFeまたはMnの添加
量の上限は15%とした。 さらに本発明においては黒鉛、二硫化モリブデ
ン、窒化硼素から選ばれた固体潤滑剤を0.2〜5.0
%添加することを特徴としている。上記の固体潤
滑剤は自己潤滑性を付与する役割を有し、高温に
おいても安定で潤滑性を保持しているので、シリ
ンダ−ライナーやピストンの耐摩環のような部材
に適している。これらの固体潤滑剤はアルミニウ
ム合金成形体の基材中に分散して存在することに
より、油溜りとしての作用効果のほかに、油膜切
れを起こすような厳しい摺動条件において、固体
潤滑剤として作用し焼付を防ぐ効果を有する。 しかし、基材強度が弱い場合には摺動による発
熱とそれに伴う材料強度の低下のために、摺動面
の基材が塑性流動を起こして、摺動面に開口する
形で存在している固体潤滑剤の部分をおおつてし
まう。したがつて高温強度や硬度の高い基材との
組合せによりすぐれた効果を発揮するものとな
る。 固体潤滑剤の添加量は0.2%以下では摺動特性
に与える効果が認められず、他方5.0%を越える
と熱間押出時に押出材にクラツクが生じて健全な
材料が得られない。上記3種類の固体潤滑剤の作
用効果は、ほゞ同等であるが、シリンダーライナ
ーの使用温度によつて種類を選択する。すなわち
上記3種類の固体潤滑剤の熱的安定性は二硫化モ
リブデンが最も低く、窒化硼素が最も高温まで安
定である。 本発明による合金粉末成形体は必要に応じて
0.5〜5.0%のCuおよび0.2〜3.0%のMgを添加する
ことができる。CuやMgはアルミニウム合金に時
効硬化性を付与して材質を強化する成分として知
られている。本発明においても溶体化処理温度で
の固溶限度内の前記範囲内でCuおよびMgを添加
すると材質強化に有効である。 さらに本発明合金粉末ではNiを合わせて使用
することができる。Niの添加効果はFeまたはMn
の添加によつて減少した初晶Siを回復させ、高温
強度や耐摩耗性を向上させると同時に、耐焼付性
を改善できる点にある。即ち、過共晶Al−Si合
金中にNi、Fe、Mnを合わせて添加すると、微細
な初晶Siや共晶Siと、Al−Ni系金属間化合物、
およびAl−(Fe、Mn)−Si系金属間化合物が同時
に析出する。この結果合金の高温強度や耐摩耗性
を向上させ、さらに耐焼付性を著しく改善すると
いう新たな効果が現われる。 Niの添加量はSi初晶と金属間化合物相の析出
を考慮すると3.0〜10.0%が適当である。Niの添
加によりAl合金中でのSi溶解度が減少し、過剰
のSiが初晶として晶出する。これにFe3.0〜12.0
%またはMn5.0〜12.0%のうち1種または2種を
添加するのが良い。たゞし(Ni+Fe+Mn)合量
で6.0〜15.0%の範囲内にとどめるべきである。
添加量が上記範囲より少い場合は高温強度を向上
させるための金属間化合物の析出が不足するので
効果が上がらない。また添加量が上記範囲を越え
た場合は硬さや耐摩耗性がかえつて低下するの
で、ライナー材としては好ましくない。さらには
合金粉末を押出成形加工する場合は圧縮性を悪く
し、押出変形抵抗を大きくして加工を困難とする
ので好ましくない。 本発明合金粉末成形体においてはさらにTi、
Cr、V、Zr、Mo、Co等を合金粉末を得る過程で
添加して高温強度を改善することも可能である。 Si結晶粒の大きさを15μm以下としたのは、従
来の成形品よりも延性が良くなり被削性も改善さ
れて機械加工が容易となり、加工中にビビリやム
シレが発生しにくくするためである。また、Siの
微細結晶により耐摩耗性が向上し、摩搾係数が低
下するのでシリンダーライナーなどに適したもの
とするためである。 Al−(Fe、Mn)−Si系、Al−Ni系等の金属間
化合物の大きさを実質的には5μm以下で、大き
なものでも20μm以下に微細かつ均一に分散させ
ることにより、高温強度と耐摩耗性が従来品に比
較して著しく改善されたものとなる。上記の金属
間化合物の微細結晶とSiの微細結晶と、さらには
固体潤滑剤粒子とが均一に混ざり合つて分布する
と、高温強度、耐摩耗性、潤滑特性に一段と優れ
た効果を発揮するものとなる。 本発明によるアルミニウム合金粉末成形体は従
来品に比較して耐焼付性に優れたものである。さ
らに本発明品は摩擦係数が小さく、自己潤滑性に
も優れているので、特に内燃機関のシリンダーラ
イナーのような高温で使用され、かつ耐摩耗性、
耐焼付性、自己潤滑性が要求される部材として最
適なものである。 前記アルミニウム合金粉末成形体の製造方法の
要旨とするところは、Fe、Mn、Ni等を含む高Si
アルミニウム合金溶湯を分散急冷凝固させ、得ら
れた合金粉末に固体潤滑剤を添加混合したのち、
熱間押出成形することにある。 合金溶湯を分散急冷凝固させるのは、Si、Fe、
Mn、Ni、Cu、Mg等の合金元素を過飽和に固溶
させるとともに、初晶Siや金属間化合物相を微細
化するためである。分散急冷凝固させる方法とし
ては、アトマイズ法、遠心微粉化法等既知の金属
粉末製造方法が利用できる。これらの方法により
粉末粒径を0.5mm以下に微細化し急冷凝固させれ
ば満足する組織の合金粉末が得られる。 次に前記合金粉末に黒鉛、二硫化モリブデン、
窒化硼素のうちから選ばれた固体潤滑剤を重量比
で0.2〜5.0%添加し混合する。前記固体潤滑剤は
アルミニウム合金に対して溶解度がなく、またア
ルミニウム合金との濡れ性が悪いので溶湯段階で
均一に分布させるのは著しく困難である。 したがつて粉末段階で固体潤滑剤を添加混合
し、さらに後続の熱間押出工程を利用して均一に
分散させるのがきわめて有効である。固体潤滑剤
は50μm以下の微粉末にして添加するのが良い。
混合はアルミニウム合金粉末の酸化を防止するた
め不活性雰囲気中で撹拌混合する。 次に該混合粉末を利用して熱間押出により成形
体に加工する。熱間押出はアルミニウム合金粒子
を強固な結合体に仕上げるばかりでなく、アルミ
ニウム合金粒子と固体潤滑剤粒子とを圧着して強
固に結合させ、さらには合金粉末中に晶出してい
る初晶Si、共晶、金属間化合物の結晶粒を微細化
し、材料の機械的特性を改善するための必須要件
である。 熱間押出に先だつて圧粉体を準備すると作業上
都合が良い。圧粉体の製造は合金粉末を温度200
〜350℃程度の温度域でおこなう。300℃を越える
と酸化が著しくなるので窒素ガスやアルゴンのよ
うな非酸化性雰囲気中でおこなうのが望ましい。
成形圧力は0.5〜3ton/cm2程度でおこない、圧粉
体密度は真密度比70%以上とするのが圧粉体のハ
ンドリング上望ましい。 熱間押出は350℃以上の温度、好ましくは400〜
470℃の温度領域でおこなう。これは圧粉体の加
工を容易にすると同時に粒子間の結合を促進させ
て強固な成形体とするためである。さらには過飽
和固溶分の元素を微細分散させるとともに、初晶
Siや金属間化合物の棒状組織を分断して微細化
し、成形体の強度と摩擦特性を改善するためであ
る。熱間押出は圧粉体を大気中または非酸化性雰
囲気中で予熱し、ほゞ同温度のコンテナー中に挿
入しておこなう。押出比は10以上が好ましい。押
出比が10未満だと押出材中に空隙が残存し、また
粉末相互間の拡散接合や棒状金属間化合の分断効
果が不充分なために、強度や靭性の高い材料が得
られないためである。 本発明の方法によればSi初晶、共晶、金属間化
合物、固体潤滑剤のいずれをもきわめて微細に均
一分散させることが可能となり、特に材料の耐熱
性耐摩耗性と潤滑特性に優れた部材を容易に得る
ことが可能となる。また、本発明により得られた
合金粉末成型体に安定化熱処理をほどこし、材料
特性をさらに改善することも何らさしつかえな
い。 次に実施例をあげて、本発明を説明する。 実施例 表−1に示す各種合金組成を有する高Siアルミ
ニウム合金溶湯をガスアトマイズし、−48meshの
原料合金粉末を得た。 次いでNo.2〜No.7を除いては表−1に示すよう
に固体潤滑剤粉末を添加し、V型コーンミキサー
にて窒素ガス封入下で均一に混合した。使用した
固体潤滑剤粉末については、黒鉛は15μm以下の
人造黒鉛粉末(LONZA社KS−15)を、窒化硼
素は44μm以下の粉末(昭和電工UHP)を、二硫
化モリブデンは44μm以下の粉末(日本モリブデ
ン)を使用した。 次にこれらの混合粉末を250℃の温度に予熱し
同じ温度に加熱保持された金型中に充填し、
1.5ton/cm2の圧力で圧縮成形して直径90mm、即さ
200mmの圧粉体を得た。 次にこれらの圧粉体を外径100mm、内径90mm、
長さ250mmの5051合金製円筒内に挿入し、直径90
mm、厚さ5mmのフタをしたのち、移動防止のため
接合部をカシメて第1図に示すようなビレツトを
作つた。 次に各ビレツトを450℃の温度に加熱し、ほゞ
同温度に保持された内径104mmのコンテナ中にフ
タ3がダイス側となるようにして挿入し、内径30
mmのダイスで間接押出(押出比12)を行い、丸棒
成形体を得た。 得られた成形体を切削し、粉末押出材の部分だ
けから成る標点間距離50mm平行部直径6mmの引張
試験片に加工し、300℃で100Hr保持後、更に各
引張試験温度に100Hr保持した後、引張試験を行
つた。又、200℃で引張テストをした後のテスト
ピース端部チヤツキング部について硬度を室温に
て測定した。又このチヤツキング部について組織
観察を行い得られた成形体の結晶粒の大きさを測
定した。これらの結果を表−2に示す。
【表】
【表】
【表】
【表】 結果から明らかなように本発明合金は高温に保持
後の強度、及び硬度が高い。又、固体潤滑材添加
によつても強度、硬度の低下は少い。 表2のNo.8のテストピースの顕微鏡組織写真を
第4図および第5図に示す。組織観察は押出方向
に対し直角な面と、押出方向に対し平行な面につ
いて実施した。図において強い黒色を呈している
のが固体潤滑材であり、やゝ濃度の濃い部分が
Feを含む金属間化合物相である。第4図、第5
図は実施例中のNo.8に対応する黒鉛4%を添加し
たものである。第4図は押出方向に対して直角な
面、第5図は押出方向に対して平行な面について
観察したものである。 組識写真から明らかなとおり、本発明の合金粉
未成形体においては共晶相と金属間化合物がきわ
めて微細かつ均一に分布しており、固体潤滑剤は
押出方向に直角な面において均一に分散してお
り、かつ押出方向に平行する方向に引伸ばされて
分散しているのがわかる。 次に、前記熱間押出成形体を切断し、熱間鍛造
により直径70mm、厚さ10mmの素材を作り、300℃
で100Hr保持後機械加工により摺動面が、粉末押
出材のみから成る円板状の試験片とした後耐焼付
性試験を行つた。 Γ耐焼付性試験 試験装置は、第2図及び第3図に概要を図解的
に示すものであつて、ステータ4に取外し可能に
取付けられた直径70mmの試料円板5の中央には、
裏側から注油孔6を通じて潤滑油が注油される。
ステータ4には油圧装置(図示せず)によつて右
方へ向けて所定圧力で押出力Pが作用するように
してある。円板5に相対向してロータ7があり、
駆動装置(図示せず)によつて所定速度で回転す
るようにしてある。ロータ7の試料円板5に対す
る端面に取付けられた試料保持具7aには、5mm
×5mm×10mmの角柱状相手材試験片8が、同心円
上に等間隔に4個取外し可能にかつ正方形端面が
試料円板5に対して摺動自在に取付けてある。こ
の様な装置に於いてステータ4に所定の押出力P
をかけ所定の面圧で試料円板5と相手材試験片8
とが接触するようにしておいて、注油孔6から摺
動面に所定給油速度で給油しながらロータ7を回
転させる。 一定時間毎にステータ4に作用する圧力を段階
的に増加していき、ロータ7の回転によつて相手
材試験片8と、試料円板5との摩擦によつて、ス
テータ4に生ずるトルク(摩擦力によつて生じる
トルク)Tをスピンドル9を介してロードセル1
0に作用せしめ、その変化を動歪計11で読み、
記録料12に記録させる。トルクTが急激に上昇
するときに焼付が生じたものとして、その時の接
触面圧をもつて焼付面圧とし、この大小をもつて
耐焼付性の良否を判断する。 試験に供した試料円板5は、300℃×100Hrの
熱処理後研摩仕上げをしたものを使用し相手材試
験片8は、球状黒鉛鋳鉄で摺動面に硬質クロムメ
ツキを施したものと、平均粒径0.8μのSiCを面積
率で15〜20%基材中に分散させた鉄メツキの2種
類とし研摩仕上げを行つた。また、比較材として
A390.0金型鋳造材(T6処理品)、シリンダーライ
ナー用として使用されている片状黒鉛鋳鉄につい
ても行つた。試験条件は速度8m/sec、潤滑油
はベースオイル#20で、温度90℃、油量300ml/
minとし、接触圧力は20Kg/cm2で20分間の馴らし
運転後30Kg/cm2で3分間、その後3分経過毎に10
Kg/cm2づつ上昇させていく。結果を表−3に示
す。 結果から明らかなように、現在多くのガソリン
エンジンでの組合せに見られる片状黒鉛鋳鉄(シ
リンダーライナー材)とクロムメツキ(ピストン
リング表面)の組合せよりも、本発明によるNo.8
〜No.17のものはすぐれた耐焼付性を示している。
又、比較材(A390金型鋳造材)に見られるよう
にSiC分散鉄メツキに比べ、硬化クロムメツキと
の組合せの場合は、焼付発生面圧が大巾に低くな
つているが、本発明によるNo.8〜No.17については
相手表面処理の違いによる差が小さくなる結果と
なつている点が注目される。 更に比較材(A390金型鋳造材)やNo.2〜No.7
に比べてNo.8〜No.17の成形体の焼付発生面圧が高
いが、これはAl基材中に分散するSi粒や金属間
化合物から成る硬質相の量が多く、微小な凹凸と
なつて油膜の保持作用として働く他に、固体潤滑
剤の分散による潤滑効果や油溜りとしての作用と
基材の金属間化合物による分散強化の相剰効果に
よる。 即ち、高温強度や硬度の低い基材中に固体潤滑
材が分散された材料では、摺動による発熱で、表
面温度が上昇し、摺動による応力によつて表面が
塑性流動を起こして固体潤滑材の部分をおおい固
体潤滑作用や油溜りとしての作用を失つて早期に
焼付発生に到るが、基材の高温強度や硬度が高い
と表面部の塑性流動が起こりにくく、固体潤滑剤
部分をより高面圧まで維持出来るためと考えられ
る。
【表】 以上のように本発明合金はAl合金に鋳ぐるま
れ、且つ使用時に比較的高い温度域で使用される
シリンダーライナーやピストン耐摩環のような用
途に適するものであり、固体潤滑剤の分散と高温
強度、硬度の高い分散強化された基材との相剰効
果によりすぐれた耐焼付性を発揮する。又、固体
潤滑剤の分散は摺動面への油の保持作用があるた
め、冷間始動時にも焼付を発生しにくい効果をも
有するほか、切粉を細く分断するため切削加工や
研削加工をも容易とする効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は中間ビレツトの構造を示す図で、1は
圧粉体、2は円筒、3はフタである。 第2図および第3図は耐焼付性試験装置の概要
を示す図で、5は試料円板、8は相手材試験片、
9はスピンドル、10はロードセル、11は動歪
計、12は記録計である。 第4図および第5図は本発明による合金粉末成
型体断面の顕微鏡組織写真である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量比でSi10.0〜30.0%とFe3.0〜15.0%また
    はMn5.0〜15.0%のうち1種または2種(2種の
    場合は合計で3.0〜15.0%)と、黒鉛、二硫化モ
    リブデン、窒化硼素のうちから選ばれた固体潤滑
    剤を0.2以上5.0未満必須成分として含み、残部が
    不可避的不純物を含むAlからなり、Si結晶粒の
    大きさが15μm以下であり、かつ金属間化合物の
    大きさが20μm以下に微細化分散してなることを
    特徴とする潤滑性に優れた耐熱耐摩耗性高力アル
    ミニユウム合金粉末成形体。 2 重量比でSi10.0〜30.0%とFe3.0〜15.0%また
    はMn5.0〜15.0%のうち1種または2種(ただし
    2種の場合は合計で3.0〜15.0%)と、さらに
    Cu0.5〜5.0%およびMg0.2〜3.0%を含み、黒鉛、
    三硫化モリブデン、窒化硼化のうちから選ばれた
    固体潤滑剤を0.2%以上5.0未満必須成分として含
    み、残部が不可避的不純物を含むAlからなり、
    Si結晶粒の大きさが15μm以下であり、かつ金属
    間化合物の大きさが20μm以下に微細化分散して
    なることを特徴とする潤滑性に優れた耐熱耐摩耗
    性高力アルミニユウム合金粉末成形体。 3 重量比でSi10.0〜30.0%と、Fe3.0〜15.0%ま
    たはMn5.0〜15.0%のうち1種または2種と、
    Ni3.0〜10.0%(ただしFe+Mn+Ni合計で6.0〜
    15.0%)と、黒鉛、二硫化モリブデン、窒化硼素
    のうちから選ばれた固体潤滑剤を0.2%以上5.0%
    未満必須成分として含み、残部が不可避的不純物
    から含むAlからなり、Si結晶粒の大きさが15μm
    以下であり、かつ金属間化合物の大きさが20μm
    以下に微細化分散してなることを特徴とする潤滑
    性に優れた耐熱摩耗性高力アルミニウム合金粉末
    成形体。 4 重量比でSi10.0〜30.0%とFe3.0〜15.0%また
    はMn5.0〜15.0%のうち1種または2種と、
    Ni3.0〜10.0%(ただしFe+Mn+Ni合計で6.0〜
    15.0%)と、さらにCu0.5〜5.0%およびng0.2〜
    3.0%を含み、黒鉛、二硫化モリブデン、窒化硼
    素のうちから選ばれた固体潤滑剤を0.2%以上5.0
    %未満必須成分として含み、残部が不可避的不純
    物を含むAlからなり、Si結晶粒の大きさが15μm
    以下であり、かつ金属間化合物の大きさが20μm
    以下に微細化分散してなることを特徴とする潤滑
    性に優れた耐熱耐摩耗性高力アルミニウム合金粉
    末成形体。
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