JP2790807B2 - 複合ピストン - Google Patents

複合ピストン

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はAl合金製耐摩環を複合化したAl合金製複合ピ
ストンに係わるものである。 〔従来の技術〕 従来、往復動エンジンにはAl合金製ピストンが使用さ
れており、Al合金製ピストンの使用はエンジンの軽量化
と効率向上に有効である。 然しながら、従来、エンジン用ピストンとして一般に
用いられているAl合金は、その耐熱強度と耐摩耗性が十
分でなく、従って、苛酷な使用条件下で使用されるとピ
ストンリングが装着されているリング溝の壁面、特に下
側壁面に摩耗や変形が発生しピストンの機能が損われ易
いという問題がある。このため、Al合金製ピストンの上
記難点を解消することを目的として、ピストンリングが
装着される部分に耐摩耗性が良好で且つ高強度を有する
材質でなる環体、即ち耐摩環を鋳包み、リング溝側壁部
分の耐熱、耐摩耗性を向上させたAl合金製ピストンの使
用が増加してきている。 この種のAl合金製ピストンに使用される耐摩環は、耐
熱特性や耐摩耗特性が良好な材質であることが必要であ
るが、Al合金に鋳包まれて使用される関係でその熱膨脹
係数が該Al合金のそれに近い材質であることが必要であ
る。これらの要求を満足する耐摩環として、ニレジスト
と称されている高Niオーステナイト鋳鉄よりなる耐摩環
が一般に使用されている。 〔発明が解決しようとする問題点〕 然しながら、従来使用されている高Niオーステナイト
鋳鉄製の耐摩環は、高価なNiを多量に含有し、且つ鋳造
性の良くない材質であるために製造コストが高く経済的
でなく、また、重量が大きいためにピストンの軽量化の
観点からも十分満足されるものではない。さらに、ピス
トン本体の材質であるAl合金との密着性を良好にするた
めに鋳包む前にアルフィン処理が必要であること、また
熱伝導率がAl合金のそれより小さいためピストンヘッド
からの熱の拡散が阻害されて異常昇温による不具合発生
が生ずるなどの問題がある。 本発明は、高Niオーステナイト鋳鉄製耐摩環を鋳包ん
で製造されたAl合金製複合ピストンの上記不具合点を解
決することを目的としたものであり、軽量かつリング溝
部の耐摩耗性に優れた耐摩環を何らの前処理も要さずに
鋳包むことができ、さらに、ピストンヘッド部からの熱
の拡散が十分に生ずるAl合金製複合ピストンを提供しよ
うとするものである。 〔問題点を解決するための手段〕 即ち、本発明によれば、Al−Si系合金粉末成形体のマ
トリックス中に1〜10wt%のセラミックス粒子が均一分
散している耐摩環をピストンヘッド部に複合化したこと
を特徴とするAl合金製複合ピストンによって、この目的
を達成できる。更に、好ましい実施態様としては、Al−
Si系合金はいずれも重量%でSi:10〜15%,Cu:0.5〜5
%,Mg:0.2〜3%およびFe,Ni,Mnの1種以上を合計で3.1
〜7wt%を含み、残部が実質的に不可避的不純物を含むA
lからなる合金であり、この合金の粉末成形体からなる
マトリックス中にセラミックス粒子としてSiCおよび/
又はAl2O3粒子を1〜10wt%を均一分散させた耐摩環を
複合化したAl合金製複合ピストンによってこの目的を達
成できる。 ピストン用として使用されているAl合金は、通常Siを
12%程度含むAC8AやADC12のようなAl−Si系合金が用い
られている。この合金は共晶Si晶の分散によって高温強
度や耐摩耗性が改善されているが、前述のようにリング
溝部の耐摩耗性や変形の点においては必ずしも十分でな
い。本発明者らは耐摩環の材質を検討するに当たり、ピ
ストンの耐摩環との熱膨脹、熱伝導特性のバランスを考
慮してAl−Si系を基本にして、高温強度および耐摩耗性
の改善策を種々調査した。その結果、Si:10〜15wt%と
してFe,Ni,Mnの1種以上を3.1〜7wt%添加することによ
って高温強度を大巾に向上させることができ、耐摩耗性
も若干向上させることができた。また、セラミックス粒
子1〜10wt%を添加し、均一に分散させると耐摩耗性を
著しく向上させることができた。即ち、耐摩環の材質と
しては、Fe,Ni,Mnの1種以上を3.1〜7wt%添加した高Si
のAl−Si系合金マトリックス中にセラミックス粒子を1
〜10wt%を均一に分散させることによって、高温強度、
耐摩耗性を向上できることを見出だしたのである。 そこで、次にAl合金製耐摩環の製法およびピストンへ
の複合化方法について鋭意検討を行なった。この際、配
慮した点は、セラミックス粒子の均一分散が容易で且
つ耐摩環の材質がセラミックス粒子を含有しており切削
性が低下しているので耐摩環の二次加工としての切削加
工を極力少なくできるようにNear Net Shapeの形状に製
作できること、ピストンの製法に用いられている重力
鋳造や加圧鋳造の際に何らの前処理も要さずに複合化で
きること、の2点である。第1点に関しては、溶製法お
よび粉末法について検討したが、Al−Si系合金粉とセラ
ミックス粒子を混合した後、耐摩環形状に近い形状のプ
リフォームを圧粉成形によって作り、これを焼結後、熱
間鍛造し更に再焼結する方法が最適であることを見出だ
した。第2点に関しては、耐摩環の材質のマトリックス
がAl−Si系であったためか、特別な前処理を施さなくて
も鋳包みによって良好な接合状態になることが判った
が、粉末法で製作した耐摩環の場合には鋳包み後の断面
観察を行なうと耐摩環内および耐摩環−ピストン界面に
径が5〜100μmのvoidが発生していたものがあった。
鋳包み前の耐摩環は真密度でありvoidは全く認められな
かったことから、この原因を解析したところ耐摩環の含
有水素ガス量とvoid発生程度との間に相関が認められ
た。即ち、熱間鍛造後の耐摩環の水素ガス量が10cc/100
g・Alを越えるとvoidが多数発生し、5cc/100g・Al以下
ではvoidは全く認められず、5〜10cc/100g・Alでは微
小なvoidが少数認められる程度であった。このことか
ら、耐摩環の水素ガス量は10cc/100g・Al以下、望まし
くは5cc/100g・Al以下にすることが必要であり、耐摩環
の粉末法による製造条件はこの点を満足するように制御
する必要がある。 上述の点について種々の調査検討を行なうことによ
り、本発明に到ったものである。即ち、本発明によるピ
ストンの製造方法としてはAl−Si系合金粉末とセラミッ
クス粒子を均一に混合し、該混合粉末を真密度比70〜95
%のプリフォームに成形した後、450〜550℃の真空又は
不活性雰囲気中で焼結し、その後200〜550℃の温度で鍛
造して真密度比95%以上とし、更にその後450〜550℃の
温度で再焼結することを特徴とする耐摩環の製造工程
と、この耐摩環を重力鋳造あるいは加圧鋳造によってAl
合金製ピストンに鋳包み一体化する工程から成ることを
特徴とする複合ピストンの製造方法により、高温強度、
耐摩耗性に優れた耐摩環を何らの前処理を必要とせずに
良好な接合状態でAl合金製ピストンと複合化でき、かつ
耐摩環でのvoid発生も抑制できるのである。 耐摩環を使用する位置は、第2図に示すようにトップ
リング溝(一番上部にある第1ピストンリング溝)を含
むピストンヘッド部である。トップリングはピストンと
シリンダーライナー間とのシールの役割を果すもので、
ピストンヘッド部にあり温度も最も高くなり過酷な条件
で使用される部分である。この部位の摩耗が最も激しい
のであるが、トップリング溝に限らず、トップリングを
含むピストンヘッド部(第2図点線位置)を一体に構成
しても良い。 次に、本発明の条件限定理由について説明する。耐摩
環のマトリックス合金はAl−Si系合金を用いる。これ
は、通常ピストン用として用いられる合金がAC8A,ADC12
のように約12%のSiを含有するAl−Si系合金であり、こ
れと複合化した時の熱膨脹、熱伝導のバランスが良好で
あるからである。更に、望ましくはAl−Si系合金はいず
れも重量比でSi:10〜15%,Cu:0.5〜5%,Mg:0.2〜3%
およびFe,Ni,Mnの1種以上を合計で3.1〜7wt%を含み、
残部が実質的に不可避的不純物を含むAlからなる合金を
用いる。Siは共晶Siあるいは初晶Siとして存在し、熱膨
脹や熱伝導を低下させてピストン用合金のそれらに近く
する作用があると共に、耐摩耗性、強度の向上に有効で
ある。 Si量が10%より少ないと、これらの作用、効果が十分
でなく、15%を越えると熱膨脹、熱伝導の値が小さくな
り過ぎると共にSi晶が粗大化し易く延性低下の原因とな
る。このため、Siの含有量は10〜15%とする。 Cuは時効硬化および固溶強化によってAl−Si系マトリ
ックスの強化に有効であり、この効果は200℃より低い
温度で特に顕著である。このためには、Cuを0.5%以上
添加する必要がある。また、5%を越えると加工性、延
性の低下をもたらすので、5%を上限とする。 MgもCuと同様に時効硬化および固溶強化によってAl−
Si系マトリックスの強化に有効である。このためには、
0.2%以上の添加が必要であり、3%を越えると加工
性、延性が低下するので、Mgの添加量は0.2〜3%とす
る。 Fe,Ni,Mnは高温強度の向上に特に有効であり、耐摩耗
性も向上させる。これらの元素はAl−Si系合金におい
て、それぞれAl−Si−Fe系、Al−Ni系およびAl−Si−Mn
系の金属間化合物を形成し、これらの金属間化合物の分
散によって高温強度と耐摩耗性を向上させる効果があ
り、Fe,Ni,Mnのいずれの元素でも同様の効果がある。こ
れらの元素が1%未満では上述の効果がなく、10%を越
えると金属間化合物が粗大化し延性、加工性を害する。
このため、Fe,Ni,Mnの添加量は1種以上の合計で3.1〜7
wt%が望ましい。 セラミックス粒子は耐摩環の耐摩耗性を向上させるた
めに添加する。Al−Si系マトリックスの耐摩耗性は、ピ
ストン用合金のそれと同等以上であるが、耐摩環に要求
される耐摩耗性が苛酷であるため、Al−Si系マトリック
スだけではリング溝の摩耗が生じ十分な特性が得られな
い。この点を改善するために、セラミックス粒子を添加
し、これらの粒子としてはSiCおよび/又はAl2O3粒子が
望ましい。これらの添加量が、1%未満では耐摩耗性の
改善効果が不十分であり、10%を越えると自分自身は摩
耗しないものの相手材を摩耗させてしまう。このため、
セラミックス粒子、望ましくはSiCおよび/又はAl2O3
子の添加量は1〜10%であり、更に望ましくは2〜7%
である。また、粒径は耐摩耗性の点より3〜30μmが望
ましい。耐摩環とピストンの複合化は、重力鋳造あるい
は加圧鋳造によってピストンを製造する際、型内の所定
場所に耐摩環を予め設置しておき溶湯を注入して鋳包む
ことによって行なう。この場合、耐摩環のマトリックス
がAl−Si系合金であるため、高Niオーステナイト鋳鉄製
耐摩環のように鋳包む前の特殊処理を施さなくても、耐
摩環とピストンの良好な接合状態を得ることができる。 次に、本発明の複合ピストンの製造方法について説明
する。 まず、Al−Si系合金粉末とセラミックス粒子を所定の
配合にした後、これをV型混合機等の乾式混合によって
セラミックス粒子を均一に分散させ、この混合粉末を成
形して真密度比70〜95%のプリフォームを作る。真密度
比が70%より低いと、プリフォームをハンドリングする
際、コーナー部が欠ける等の問題がある。また、真密度
比が95%よりも高いと、本発明の特徴の1つである次工
程の焼結工程における脱ガスが阻害され、10cc/100g・A
l望ましくは5cc/100g・Al以下のガス量の耐摩環が得ら
れないだけでなく、いたずらに大きな能力の成形プレス
が必要となり、好ましくない。なお、プリフォームの成
形には、金型成形や冷間静水圧成形を用いることができ
る。 プリフォームの焼結は、450〜550℃の真空又は不活性
雰囲気中で行なう。大気中では脱ガスが十分に進行せ
ず、10cc/100g・Al以下のガス量の耐摩環が得られな
い。このため、真空又は不活性雰囲気中で焼結すること
が必要である。真空の場合、真空度は0.1Torr以下、望
ましくは0.01Torr以下にするのがよい。Ar,N2のような
不活性雰囲気では、露点が−10℃以下、望ましくは−20
℃以下になるように雰囲気を制御するとよい。焼結温度
が450℃より低いと焼結の進行が遅く、また、アルミニ
ウム酸化物表面に吸着した水分や結晶水を完全に除去す
ることができないため脱ガスが十分に進行しない。550
℃より高いと焼結は進行するものの組織の粗大化が生
じ、機械的特性の劣化が生ずるので好ましくない。 鍛造は、200〜550℃にて行ない鍛造後の耐摩環の真密
度比を95%以上とする。鍛造によってAl合金粉末に十分
な塑性変形を与え、その表面に形成されている酸化皮膜
を破壊して新生活性表面を現出させるためには、Al合金
粉末を200℃以上に加熱し軟化させておくのが好まし
い。このためには、プリフォームを200℃以上に加熱保
持しておくとよい。温度が550℃を超えると、組織の粗
大化が生じ機械的性質の劣化が生ずるので好ましくな
い。なお、プリフォームの加熱は焼結時の加熱と兼ねる
のが望ましく、プリフォームの温度降下および大気中に
さらされることによるガス量の増加を少なくするため、
焼結炉から取り出した後、直ちに鍛造することが望まし
い。もし、鍛造前のプリフォームの加熱を焼結時の加熱
とは別途に行なうのであるならば、真空あるいは不活性
雰囲気中で450〜550℃に加熱することが必要であり、炉
から取り出した後の配慮は前記と同じである。鍛造後の
耐摩環の真密度比が95%より低いと、機械的性質に劣る
ので好ましくない。 鍛造後の再焼結は450〜550℃で行なう。再焼結の目的
は、鍛造時に生じた新性活性面の焼結を十分に行なうた
めであり、このためには450℃以上で行なう必要があ
る。550℃より温度が高いと組織の粗大化が生じ、機械
的性質が劣化するので好ましくない。なお、再焼結は大
気中で行なっても支障ないが、望ましくは真空あるいは
不活性雰囲気が良い。 このように製造した耐摩環はガス量が10cc/100g・Al
以下になっているため、重力鋳造あるいは加圧鋳造によ
ってピストンに鋳包んでもブリスターの発生がなく、か
つピストンとの良好な接合状態を得ることができる。 このようにして得られた耐摩環に切削加工してピスト
ンリング溝を形成したのち、ピストン頂部位置にくるよ
う鋳型内に固定し、重力鋳造あるいは加圧鋳造法を用い
て鋳包んでピストンと一体化する。鋳造後仕上げ加工及
び研磨をしてピストンとする。 次に、本発明の実施例を示す。 〔実施例〕 大気アトマイズ法によって製造した100メッシュ以下
のAl−Si系合金粉末に粒径3〜30μmのセラミックス粒
子を、表1に示す組み合わせおよび量で添加・混合し、
直径75mm,厚さ20mmのプリフォームを面圧6ton/cm2にて
冷間で金型成形した。得られたプリフォームの真密度比
は73〜80%であった。 次いで、これらのプリフォームを露点−20℃以下のN2
雰囲気中で500℃,30minの条件で焼結した。焼結後、炉
内からプリフォームを取り出し、400℃に加熱した金型
にて大気中、8ton/cm2の面圧で鍛造した。得られた成形
体の真密度比はいずれも99%以上であった。 引き続いて、成形体を大気中で520℃,30minの条件で
再焼結し、水素ガス分析、引張試験、熱膨脹測定、熱伝
導率測定、摩耗試験および焼付試験を行なった。尚、水
素ガス分析は再焼結のままの状態で行ない、それ以外の
項目についてはT6処理(480℃×2hr,WQ→175℃×8hr,A
C)を施した状態で供試した。 水素ガス分析は溶融ガスキャリヤ法により行なった。 引張試験は、平行部5φ×20 mmの試験片を用い、室
温および200℃で行なった。尚、200℃での試験は、試験
前に200℃×100hr加熱した試験片について行なった。 熱膨脹測定は5φ×20 mmの試験片を用い、昇温速度
5℃/minで行ない、室温〜200℃の熱膨脹率を求めた。 熱伝導率測定は12φ×3 mmの試験片を用い、クセノ
ンフラッシュ法にて行ない、200℃での熱伝導率を求め
た。 耐摩耗性試験は直径70mmの円板状試験片を用い、相手
材としてはピストンリング材を想定して5×5×10mmの
Crメッキを施した球状黒鉛鋳鉄を用いた。試験機はピン
−ディスク型であり、70φmmの固定ディスクに所定の押
圧力で5×5×10mmのピンを押しつけて回転させる方式
であり、摺動速度5m/sec,押圧力100kg/cm2,潤滑油SAE20
エンジンオイル,90℃,500ml/min,摺動距離500kmの条件
で摩耗量を測定した。円板状の試験片の摩耗量は表面粗
さ計にて90゜づつずれた位置で4ケ所摺動方向と直角と
なるように触針を走らせ、摩耗痕の状況をチャート上に
記録して摩耗痕の凹部の面積を求めて算出し、ニレジス
トの摩耗痕の面積を1とした時の相対比で材料間の比較
を行なった。 相手材試験片の摩耗量は5×5×10mmの角状試験片の
高さ寸法を試験前後にマイクロメーターで測定し、その
差を求める方法で行った。 耐焼付性試験は前記耐摩耗性試験と同様にして押圧力
を100kg/cm2で開始し、その後3分間経過毎に10kg/cm2
づつ押圧力を上昇させ、焼付が発生する時の面押圧を測
定した。 表2は水素ガス分析、引張試験、熱膨脹率および熱伝
導率の結果を示したものである。水素ガス量はいづれも
5cc/100g・Al以下であり、高温強度はFe,Ni,Mnの一種以
上を添加すると改善されることがわかる。また、熱膨脹
率、熱伝導率についてはAC8A,ニレジストの結果も示し
てあるが、本発明材の熱伝導率はAC8Aとほぼ同じであ
り、ニレジストより熱伝導性が良好である。 表3は耐摩耗性試験と耐焼付性試験の結果を示したも
のであり、AC8Aおよびニレジストの結果も併せて示して
ある。耐摩耗性、耐焼付性はセラミックス粒子の添加に
よって改善されており、本発明材はニレジストと同等の
特性を有している。 このように、本発明材はAC8Aと同等の良好な熱伝導性
およびニレジストと同等の良好な耐摩耗性、耐焼付性を
有しており、かつ軽量であることから耐摩環用材料とし
ての優れた特性を具備している。 次に、表1のNo.5で得られた材料を使用して耐摩環の
試作とピストンへの鋳包み実験を行なった。 まず、第1図に示す形状の耐摩環を実施例1と同じ方
法で作り、切削加工によってリング溝を付けた後、第2
図のようにピストン頂部の第1リング部の位置に重力鋳
造法およびダイカスト鋳造法によって鋳包み、複合ピス
トンを作った。その後、複合ピストンを縦方向に切断し
て耐摩環の組織および耐摩環〜ピストンの接合界面を光
学顕微鏡により調べた。その結果、耐摩環にはvoidが発
生しておらず、また耐摩環〜ピストンの接合界面にもvo
idは認められず良好な接合状況であった。尚、この耐摩
環の水素ガス量は2.4cc/100g・Alであった。 一方、比較のためにプリフォームの焼結雰囲気を大気
とし、その他の条件は上記方法と同じにして作製した耐
摩環についても同様の実験を行なった。この場合の耐摩
環の水素ガス量は16.8cc/100g・Alであったが、耐摩環
および耐摩環〜ピストンの接合界面のいずれにもvoidが
発生していた。尚、voidの発生はダイカスト鋳造法より
重力鋳造法で鋳包んだ場合の方が多かった。 このように、本発明方法によれば鋳包み前に何らの処
理を行なわなくても耐摩環とピストンの良好な接合界面
を有する複合ピストンを製造することができる。 〔効果〕 以上詳述したように、本発明によれば、軽量で耐摩耗
性、熱伝導性、高温強度に優れた耐摩環を、特別な前処
理を必要とせずに良好な耐摩環〜ピストン接合界面を有
する状態に鋳包むことができる。従って、従来のニレジ
スト製耐摩環を複合化したピストンに比べ、軽量でかつ
ピストンヘッド部の熱伝導性が良好なAl合金製複合ピス
トンを得ることができ、高性能エンジン用ピストンとし
てその効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】 第1図は耐摩環の斜視図、第2図は耐摩環を有するピス
トンの断面図である。 図中1:耐摩環、2:リング溝、3:ピストンヘッド、4:ピス
トンヘッド部、5:ピストン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉村 亮一 東京都港区芝大門2―10―12 昭和電工 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−47849(JP,A) 実開 昭62−137359(JP,U) 実開 昭60−28245(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16J 1/00 - 10/04 F02F 3/00 - 3/28

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.重量%でSi:10〜15%、Cu:0.5〜5%、Mg:0.2〜3
    %およびFe,Ni,Mnのうち少くとも1種以上を合計で3.1
    〜7%を含み、残部が実質的に不可避的不純物を含むAl
    からなるアルミニウム・シリコン系合金マトリックス中
    に1〜10wt%のセラミックス粒子が均一分散している粉
    末冶金法により製造された耐摩環をトップリング溝を含
    むピストンヘッド部に複合化したことを特徴とするアル
    ミニウム合金製複合ピストン。 2.セラミックス粒子が、SiCおよび、又はAl2O3である
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の複合ピス
    トン。
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