JP2004149819A - バルブシート用鉄系焼結体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】−60メッシュ〜+350 メッシュの粒度分布を有する鉄系粉末に、黒鉛粉と、あるいはさらに合金元素粉と、潤滑剤粉末とを混合して混合粉となし、この混合粉を金型に装入し、圧粉成形して圧粉体としたのち、ついで圧粉体を焼結して、体積率で5〜50%の空孔を有し、かつ空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空孔に対し80%以上有する鉄系焼結体とする。鉄系焼結体は、質量%で、C:0.1 〜2.0 %を含み、あるいはさらにNi、Co、Cr、Mo、W、Si、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で50%以下含有することが好ましい。これによりバルブシートと軽金属合金製シリンダヘッドとの接合強度が顕著に増加し、エンジン運転中のバルブシートの脱落を防止できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用のバルブシートに係り、とくに内燃機関(エンジン)のアルミニウム合金等の軽金属合金製シリンダヘッドに鋳包まれて使用されるバルブシート用鉄系焼結体に関する。
【0002】
【従来の技術】
バルブシートは、燃焼ガスのシールとバルブを冷却する役割を担ってエンジンのシリンダヘッドに圧入されて使用されてきた。しかし、圧入されたバルブシートは、実際にはシリンダヘッドの全ての面と接触しているわけではなく、接触が不十分なものとなっている。
【0003】
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、エンジンのシリンダヘッドを鋳造すると同時にバルブシートを鋳包み、バルブシートとシリンダヘッドとを溶着した鋳鉄製シリンダヘッドが提案されている。
最近は、エンジンの軽量化および放熱性を高める目的から、軽金属合金の1種である、アルミニウム合金製のエンジンが一般化しつつある。そして、このようなアルミニウム合金製シリンダヘッドに鉄系焼結合金製のバルブシートを鋳包んで装着することが実用化されつつある。例えば、特許文献2には、排気系のバルブシートと吸気系バルブシートとをおのおの耐衝撃性に富む鉄系焼結合金で形成させるとともに、プラグシートを伝熱性に富む鉄系焼結合金で形成させ、これらを互いに一体的に結着した状態で鋳込み結着するエンジンのシリンダヘッドの製造方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献2等に記載された技術では、バルブシートとシリンダヘッドとが金属的に結合されておらず、バルブシートとシリンダヘッドとの間に隙間が存在する場合が多い。このため、熱伝導性が低下してバルブシート温度を低下できないとともに、バルブシートとシリンダヘッド間の接合強度が低下するという問題があった。
【0005】
このような問題に対し、例えば、特許文献3には、バルブシート表面に、好ましくはバルブシートおよびシリンダヘッドと親和性の良い金属をコーティングしたのち、フッ化物系フラックスを塗布して鋳ぐるむ、エンジンバルブシートの鋳ぐるみ方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭52−122712 号公報
【特許文献2】
特開昭58−74266号公報
【特許文献3】
特開平8−232616 号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に記載された技術では、バルブシート表面に金属や特殊なコーティングを施す必要があり、製造工程が複雑となり製造コストが高騰するという問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題を解決し、バルブシートとして軽金属合金に鋳包んでも容易に脱落しない高い接合強度を保持できる、バルブシート用鉄系焼結体を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、バルブシートを鉄系焼結体製としたときの、バルブシートと軽金属合金との接合性(以下、「軽金属合金鋳包み性」ともいう)に及ぼす要因について鋭意検討した。その結果、仕上加工しバルブシートとする鉄系焼結体を、体積率で5〜50%の空孔を有し、かつ該空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空孔に対し80%以上有する焼結体とすることにより、軽金属合金鋳包み性に優れたバルブシートが得られることを知見した。
【0009】
本発明は、上記した知見に基づいて、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)鉄系粉末を含む混合粉を圧粉、焼結してなる鉄系焼結体であって、前記鉄系焼結体が、体積率で5〜50%の空孔を有し、かつ該空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空孔に対し80%以上有することを特徴とする軽金属合金に鋳包まれて使用されるバルブシート用鉄系焼結体。
(2)(1)において、前記鉄系焼結体が、粒径:150 μm 以下のMnS 、CaF2、BNおよびエンスタタイトのうちから選ばれた1種または2種以上からなる被削性改善用微細粒子を0.1 〜5質量%含有することを特徴とするバルブシート用鉄系焼結体。
(3)(1)または(2)において、前記鉄系焼結体が、質量%で、C:0.1 〜2.0 %を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地組成を有することを特徴とするバルブシート用鉄系焼結体。
(4)(3)において、前記基地組成に加えてさらに、質量%で、Ni、Co、Cr、Mo、W、Si、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で50%以下含有することを特徴とするバルブシート用鉄系焼結体。
(5)(1)ないし(4)のいずれかに記載の鉄系焼結体からなるバルブシート。
(6)鉄系粉末に、黒鉛粉と、潤滑剤粉末とを混合して混合粉としたのち、該混合粉を成形して圧粉体となし、ついで該圧粉体を焼結して空孔を含む鉄系焼結体とする鉄系焼結体の製造方法において、前記鉄系粉末を−60メッシュ〜+350 メッシュの粒度分布を有する粉末とし、焼結条件を調整して、前記鉄系焼結体が体積率で5〜50%の空孔を含む焼結体とすることを特徴とする軽金属合金に鋳包まれて使用されるバブルシート用鉄系焼結体の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のバルブシート用鉄系焼結体は、バルブシートに仕上加工されて、アルミニウム合金等の軽金属合金製のシリンダヘッドに鋳包まれて使用に供される。本発明のバルブシート用鉄系焼結体は、体積率で5〜50%の空孔を有し、かつ該空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空孔に対し80%以上有することを特徴とする。空孔の体積率が5%未満では、アルミニウム合金等の軽合金製シリンダヘッドに鋳包むとき、軽金属合金の溶湯が焼結体の空孔内に含浸せず、シリンダヘッドとバルブシートとの接合強度が低下する。一方、空孔の体積率が50%を超えると、空孔が多すぎてバルブシートの強度が低下して、稼動時に変形する。このため、バルブシート用鉄系焼結体の空孔は、体積率で5〜50%の範囲に限定した。
【0011】
また、本発明のバルブシート用鉄系焼結体は、空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空孔量に対して80%以上有する。直径5μm を超える空孔が全空孔量に対し80%未満では、すなわち、直径5μm 以下の空孔が全空孔量に対し20%を超えると微細空孔が増加し、接合強度が低下する。このため、直径5μm を超える空孔を、全空孔量に対し80%以上に限定した。なお、本発明における鉄系焼結体中の空孔の体積率(空孔率)は、アルキメデス法により測定された密度から換算した値(体積率)を用いるものとする。
【0012】
なお、本発明のバルブシート用鉄系焼結体は、基地中に、被削性改善のため、被削性改善用微細粒子を分散させることが好ましい。分散させる被削性改善用微細粒子としては、MnS 、CaF2、BN、およびエンスタタイトのうちから選ばれた1種または2種以上とすることが好ましい。MnS 、CaF2、BN、およびエンスタタイトはいずれも、被削性を改善する粒子であり、必要に応じて選択して含有できる。
【0013】
このような被削性改善用微細粒子を基地中に均一分散させることにより、切削中の切粉は、これらの微細粒子と微細粒子間の距離で決定される大きさに分断されるため、切削抵抗は低く維持される。
また、基地中に分散させる被削性改善用微細粒子は、粒径:150 μm 以下の微細粒子とすることが好ましい。微細粒子の粒径が150 μm を超えると、接合強度が低下する。なお、好ましくは5〜100 μmである。
【0014】
また、鉄系焼結体の基地中に分散させる被削性改善用微細粒子の含有量は、0.1 〜5質量%とすることが好ましい。被削性改善用微細粒子の含有量が、0.1 質量%未満では被削性改善の効果が認められない。一方、5質量%を超えて含有すると、基地との密着強度が低下する。このため、粒径:150 μm 以下の被削性改善用微細粒子は、0.1 〜5質量%の範囲で含有することが好ましい。
【0015】
次に、本発明の鉄系焼結体の基地組成の限定理由について説明する。
本発明のバルブシート用鉄系焼結体は、質量%で、C:0.1 〜2.0 %を含み、あるいはさらに質量%で、Ni、Co、Cr、Mo、W、Si、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で50%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地組成を有することが好ましい。
【0016】
C:0.1 〜2.0 質量%
Cは、焼結体の強度、硬さを増加させる元素であり、 本発明では強度確保のために、0.1 質量%以上含有することが好ましい。一方、2.0 質量%を超えて含有すると炭化物が粗大化し、かえって被削性が低下する。このため、Cは0.1 〜2.0 質量%に限定することが好ましい。
【0017】
Ni、Co、Cr、Mo、W、Si、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で50質量%以下
Ni、Co、Cr、Mo、W、Si、Vは、いずれも焼結体の強度を増加し、さらに、耐摩耗性や高温特性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じ1種または2種以上含有できる。これらの元素の含有量が合計で50質量%を超えると、成形性が低下し、強度が低下する。
【0018】
本発明の鉄系焼結体の基地組成では、上記した成分以外、残部はFeおよび不可避的不純物である。
次に、本発明の鉄系焼結体の製造方法について、説明する。
本発明の鉄系焼結体は、鉄系粉末、黒鉛粉等を混合した混合粉を所定の形状に成形し圧粉体としたのち、焼結して、製品とされる。
【0019】
原料とする鉄系粉末と、黒鉛粉末と、あるいはさらに合金元素粉末と、潤滑剤粉末とを混合して混合粉としたのち、これら混合粉を金型に装入して加圧成形し圧粉体とし、該圧粉体を焼結して鉄系焼結体とする。
原料粉として、 使用する鉄系粉末および合金元素粉末を、60メッシュの篩を通過し(以下、60メッシュアンダー、あるいは−60メッシュともいう)、350 メッシュの篩を通過しない(以下、350 メッシュオーバー、あるいは+350 メッシュともいう)粒度分布に調整した粉末とすることが好ましい。
【0020】
+100 メッシュ(#100 メッシュの篩を通過しない)の粒子が存在すると、混合粉の圧粉性が低下し、所望の密度の圧粉体とすることが難しくなる場合があるが、−60〜+100 メッシュの粒子が、全体の粉末の40%未満であれば、成形可能であり、所望の空孔率を有する圧粉体とするためには有利となる。一方、−350 メッシュ(#350 メッシュの篩を通過する)の粒子が存在すると、直径5μm 未満の微細空孔の存在量が増加し、軽金属合金鋳包み性が低下する傾向となる。
【0021】
上記した粒度分布を有する鉄系粉末は、純鉄粉および/またはCr鋼粉、Mo鋼粉とすることが好ましい。
黒鉛粉は、鉄系焼結体の強度を増加させる合金元素として必要に応じ添加する。このためには、混合粉(鉄系粉末+黒鉛粉末+合金元素粉+被削性改善用微細粒子粉末)中のC含有量が0.1 〜2.0 質量%となるように、調整して添加することが好ましい。混合粉中の黒鉛粉の配合量が0.1 質量%未満では、所望の強度確保が困難となり、一方、2.0 質量%を超えると、炭化物が増加し、焼結体の特性を劣化させるとともに、焼結時に液相が生じ、独立空孔が多く発生して軽金属合金鋳包み性が低下する。
【0022】
また、潤滑剤粉末は、圧粉成形時の成形性を向上し、圧粉密度を増加させるために混合粉中に含有される。潤滑剤粉末としては、ステアリン酸亜鉛が好ましい。なお、混合粉中の潤滑剤粉末の混合量は、混合粉全量(鉄系粉末+黒鉛粉末+合金元素粉末+被削性改善用微細粒子粉末)100 重量部に対し、0.2 〜10重量部とすることが好ましい。
【0023】
また、本発明では、さらに合金用粉末として、上記した粒径分布を有するNi粉、Co粉、Cr粉、Mo粉、W粉、Si粉、V粉あるいはNi、Co、Cr、Mo、W、Si、Vのうちの1種または2種以上を含むFe基合金粉、あるいはFe−Mo硬質粒子粉、Cr−Mo−Co−Si系硬質粒子粉、C−Cr−W−Co系硬質粒子粉を単独または複合して、混合粉全量(鉄系粉+合金元素粉+黒鉛粉+被削性改善用微細粒子粉)に対し、Ni、Co、Cr、Mo、W、Si、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で50質量%以下含有するように配合することが好ましい。Ni粉、Co粉、Mo粉、W粉、Si粉、V粉あるいはFe基合金粉、あるいは、硬質粒子粉はいずれも、耐摩耗性向上のために配合するもので、合計で50質量%以下、好ましくは2質量%以上となるように配合することが好ましい。配合量が2質量%未満では、上記した効果が顕著に認められず、一方、50質量%を超えて配合すると、成形性が劣化する。
【0024】
本発明では、上記した鉄系粉末、黒鉛粉末、潤滑剤粉末、あるいはさらに合金用粉末に加えてさらに、混合粉には、被削性改善のために、被削性改善用微細粒子粉末を含有することができる。被削性改善用微細粒子粉としては、MnS 、CaF2、BN、およびエンスタタイトのうちから選ばれた1種または2種以上とすることが好ましい。MnS 、CaF2、BN、およびエンスタタイトはいずれも、被削性を改善する粒子であり、必要に応じて選択して含有できる。また、混合粉に添加する被削性改善用微細粒子粉は、粒径:150 μm 以下の微細粒子粉とすることが好ましい。微細粒子粉の粒径が150 μm を超えると、境界強度が低下する。なお、好ましくは5〜100 μm である。混合粉中に被削性改善用微細粒子粉を含有する場合には、被削性改善用微細粒子粉の含有量は混合粉全量に対し0.1 〜5質量%とすることが好ましい。0.1 質量%未満では、被削性改善効果が少なく、一方、5質量%を超えると境界強度が低下する。
【0025】
なお、混合方法は、とくに限定する必要はないが、Vミルを用いることが経済上から好ましい。
上記した混合粉を、金型に装入し加圧成形して所定形状の圧粉体とする。なお、圧粉体の密度が6.3 〜7.3 g/cm3 となるように、加圧成形条件を調整することが好ましい。混合粉の成形方法は、特に限定されないが、プレス等を用いることが好ましい。
【0026】
ついで、圧紛体を1100〜1200℃で焼結して焼結体とする。
ついで、焼結体(鉄系焼結体)は、所定形状のバルブシートに加工されたのち、エンジンのシリンダヘッド用鋳型の対応部位に装着される。その鋳型内に軽金属合金(例えば、アルミニウム合金)溶湯を注入し、低圧ダイキャストして、バルブシートが鋳包れたシリンダヘッドとすることができる。本発明の鉄系焼結体からなるバルブシートを使用すれば、シリンダヘッドとバルブシートとの境界が隙間なく密着し、接合強度が向上する。
【0027】
【実施例】
表1に示す鉄系粉末に、黒鉛粉と、あるいはさらに合金元素粉(合金粉)と、潤滑剤粉末としてのステアリン酸亜鉛粉と、あるいはさらに被削性改善用微細粒子粉を、混合し混練して混合粉とした。混合粉における各粉末の配合量を表2に示す。
【0028】
これら混合粉を、金型に充填し成形プレスにより面圧:500 〜600MPaで加圧成形して、バルブシート(寸法:32×22×7.5 mm)形状の圧粉体とした。なお、鉄系粉末および合金元素粉末は、表1に示すように、予め分級し、粒度分布を調整した。得られた圧粉体密度を測定し表2に示す。
ついで、これら圧粉体を真空中で1160℃×30min の焼結を施し、表2に示す空孔を含む鉄系焼結体とした。なお、全空孔率は、アルキメデス法により密度を測定し、得られた密度から換算により空孔率(体積%)を算出した。
【0029】
また、全空孔に対する微細空孔の比率は、鉄系焼結体のプレス方向断面について、金属顕微鏡により組織を撮像し、画像解析により直径5μm 以下の微細空孔の全面積と全空孔の面積をもとめ、(直径5μm 以下の微細空孔の全面積)/(全空孔の面積)により求めた。なお、 測定個所は円周上3個所とした。
得られた焼結体の組成、空孔率、焼結後の密度を、表3に示す。
【0030】
ついで、これら焼結体を切削・研削加工により、所定の寸法(寸法:29×23×6.3 mm)のバルブシートとした。得られたバルブシートをシリンダヘッド相当鋳型の所定部位に装着した。ついで該鋳型にアルミニウム合金(ADC 8A)溶湯を注入し、低圧ダイカストし、バルブシートが鋳包まれたシリンダヘッド相当材とした。なお、従来例として、鉄系焼結体製バルブシートに代えて、鋳鉄製バルブシートを同様に鋳包んだ。
【0031】
これらシリンダヘッド相当材について、図2に示すように抜き治具3を用いて、鋳包んだバルブシートあるいは圧入したバルブシート1を押圧して、シリンダヘッド2から離脱する時の抜き荷重Lを測定した。得られた抜き荷重Lについて、圧入した鋳鉄製バルブシート(試料No. 5)の場合の抜き荷重を基準(100 )として、各バルブシートの接合性を評価した。
【0032】
得られた結果を表3、および図1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
本発明例は、いずれも鋳鉄製バルブシートを圧入した場合と同等以上の高い抜き荷重を示し、接合性が高いことがわかる。一方、本発明範囲を外れる比較例では低い抜き荷重しか示さず、接合性が低下している。なお、鋳鉄製バルブシートを鋳包んだ場合は、圧入した場合にくらべ抜き荷重は低下している。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、バルブシートと軽金属合金製シリンダヘッドとの接合強度が顕著に増加し、エンジン運転中のバルブシートの脱落を防止でき、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における抜き荷重の変化を示すグラフである。
【図2】バルブシートの抜き荷重測定方法を模式的に示す説明図である。
Claims (6)
- 鉄系粉末を含む混合粉を圧粉、焼結してなる鉄系焼結体であって、前記鉄系焼結体が、体積率で5〜50%の空孔を有し、かつ該空孔のうち直径5μm を超える空孔を、全空孔に対し80%以上有することを特徴とする軽金属合金に鋳包まれて使用されるバルブシート用鉄系焼結体。
- 前記鉄系焼結体が、粒径:150 μm 以下のMnS 、CaF2、BNおよびエンスタタイトのうちから選ばれた1種または2種以上からなる被削性改善用微細粒子を0.1 〜5質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のバルブシート用鉄系焼結体。
- 前記鉄系焼結体が、質量%で、C:0.1 〜2.0 %を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる基地組成を有することを特徴とする請求項1または2に記載のバルブシート用鉄系焼結体。
- 前記基地組成に加えてさらに、質量%で、Ni、Co、Cr、Mo、W、Si、Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で50%以下含有することを特徴とする請求項3に記載のバルブシート用鉄系焼結体。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の鉄系焼結体からなるバルブシート。
- 鉄系粉末に、黒鉛粉と、潤滑剤粉末とを混合して混合粉としたのち、該混合粉を成形して圧粉体となし、ついで該圧粉体を焼結して空孔を含む鉄系焼結体とする鉄系焼結体の製造方法において、前記鉄系粉末を−60メッシュ〜+350 メッシュの粒度分布を有する粉末とし、焼結条件を調整して、前記鉄系焼結体が体積率で5〜50%の空孔を含む焼結体とすることを特徴とする軽金属合金に鋳包まれて使用されるバブルシート用鉄系焼結体の製造方法。
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- 2002-10-29 JP JP2002313665A patent/JP2004149819A/ja active Pending
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