JPS6310225B2 - - Google Patents
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- JPS6310225B2 JPS6310225B2 JP19646185A JP19646185A JPS6310225B2 JP S6310225 B2 JPS6310225 B2 JP S6310225B2 JP 19646185 A JP19646185 A JP 19646185A JP 19646185 A JP19646185 A JP 19646185A JP S6310225 B2 JPS6310225 B2 JP S6310225B2
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Landscapes
- Powder Metallurgy (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、低線膨張係数の鋼系材料や鋳鉄系材
料と組合せて用いるのに好適な線膨張係数の低い
Al合金材に関する。 (従来の技術) 良好なエンジンの運転を保持するために、シリ
ンダブロツクの温度低下を企図して、鋳鉄製シリ
ンダブロツクのピストン摺動面にアルミ合金製の
シリンダライナを装着したものが用いられてお
り、かかるシリンダ構造を有するエンジンでは、
実際にシリンダブロツク壁面の温度が20〜30℃低
下することが報告されている。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら、シリンダライナとシリンダブロ
ツク本体との材質の線膨張係数の相違に基づき、
エンジンの運転中にシリンダブロツク本体に大き
な引張応力が発生し、その大きさが著しい場合に
は、両者の境界に空隙が生じたりして、エンジン
の運転性能に重大な悪影響を及ぼすことになる。 このように、アルミ合金材料を鋼系材料や鋳鉄
系材料と組合して熱負荷のかかる複合部材の要素
として用いると、線膨張係数の差違に基づいて、
界面に高い熱応力が発生し、空隙やすべりを招来
する場合もあり、複合部材としての機能を著しく
損う場合が生じる。 ちなみに、鋳鉄の線膨張係数は0〜100℃で10
〜11×10-6/℃であり、アルミニウムは20〜100
℃で23.9×10-6/℃であり、シリンダ部材として
用いられているJIS−H4140規定の2218鍛造用耐
熱Al合金では25〜100℃で19.68×10-6/℃となつ
ており、アルミニウムは鋳鉄の2.28倍、JIS2218
材では1.87倍の線膨張係数を有している。 本発明はかかる問題点に鑑みなされたもので、
従来の鍛造用耐熱アルミニウム合金程度の強度を
有し、かつ線膨張係数の低いアルミニウム合金材
料を提供することを目的とする。 (問題点を解決するための手段) 叙上の目的を達成するために講じられた本発明
の低線膨張係数を有するAl合金材料の特徴とす
るところは、化学組成が重量%で、 Si:17〜27%、Mg:2〜10% および残部実質的にAlからなるAl合金急冷凝固
粉末の押出材もしくは鍛造材であつて、Al基地
中にSiおよびMgが過飽和に固溶されたAl固溶体
に主として細粒状の共晶Siが均一に分散してなる
点にある。 (実施例) 本発明のAl合金材の原材料としては特定のAl
合金溶湯を空気アトマイズ法や水アトマイズ法等
により急冷凝固して得られたものを用い、その組
成は、重量%で、 Si:17〜27%、Mg:2〜10% 残部実質的にAlからなる。まず、上記組成限
定理由について説明する。 Siは合金の膨張率を低下させると共に、耐摩耗
性を付与するために積極的に添加する。17%未満
ではかかる効果が少なく、一方27%を越えると、
後述のように急冷凝固しても粗大でもろい初晶Si
の晶出を抑えることができず、靭性劣化の原因と
なり、また極部摩耗の原因ともなり好ましくな
い。 Mgは基地を著しく固溶体硬化させ、基地の強
化および転位の阻止による線膨張係数の低下を図
るために添加される。2%未満ではかかる効果が
過少であり、一方10%を越えると高温強度が劣化
する。尚、本発明に係るAl合金溶湯は、Al−Si
とAl−Mgの2種の合金の再溶解により溶製され
るが、Al−Mg合金の融点(例えば、Al−4.7%
Mg合金で635℃)は、低いので、生産性に優れ、
コスト面でも有利になる。 前記組成の溶湯を空気アトマイズ法等により急
冷凝固したものは、靭性や強度劣化の原因となる
初晶Siの粗大晶出がほとんど見られず、Al基地
中にSiおよびMgを過飽和に含みMgによつて固
溶体硬化されたAl−Si−Mgの固溶体中に微細な
Siが晶出したものとなり、機械的性質が良好で線
膨張率の低いAl合金粉末が得られる。 尚、上記の粉末合金の組織を得るには、102
℃/秒以上の冷却速度で急冷凝固させる必要があ
る。これ未満の速度では、初晶Siの多量の晶出が
起り、機械的性質の劣化を招来する。もつとも、
工業的生産面から現実には上限が定まり、106
℃/秒が限度であろう。 かかるAl合金急冷凝固粉末は、多量の粉末を
一体化すべく押出し加工に供される。すなわち、
粉末は押出し加工により強度のせん断作用を受
け、粉末の外表面に形成されている数Å程度の不
活性、安定なAl2O3被膜を分断破壊すると共に、
基地中の共晶Siおよび一部晶出した初晶Siをも更
に細粒状に分断して、これらを高強度のAl固溶
体中に均一に分散ならしめ、高強度の促進と基地
の拡散接合による一体化を同時に行うのである。 押出し加工方法としては、Al合金粉末を冷間
静水圧加圧(CIP)により等方向圧縮した後、圧
縮材を封缶脱ガス処理をして長時間の熱間静水圧
加圧(HIP)により加圧焼結し、該焼結材を押出
す方法、およびAl合金粉末に真空ホツトプレス
や冷間−軸圧縮を行い、圧縮材を押出す方法があ
る。 押出しに際いて、Al合金粉末表面のAl2O3被膜
やAl固溶体中の共晶Siおよび一部晶出した初晶
Siの分断、分散を十分行うために、押出比は5〜
20とするのがよく、また押出荷重の軽減および基
地の拡散接合のために、押出温度は250〜450℃と
するのがよい。 本発明の合金材は、押出し加工のほか鍛造加工
により押出し加工時と同等の作用がなされ、所期
の合金組織を得ることができる。この際、鍛造温
度は260〜510℃とするのがよい。 以上のようにして得られた押出材もしくは鍛造
材は、適宜、鍛造加工、切削加工等により目的と
する製品形状に加工される。本発明の合金材は、
耐熱性、耐摩耗性、および強度に優れ、かつ熱膨
張率が小さいので、これらの諸特性が要求される
高精度部品に適用できる。例えば、ピストン、ピ
ストンリング、シリンダライト、ピストンピン、
コンロツド、VTR用シリンダ、オイルポンプブ
ツシユ等の用途に好適である。尚、シリンダライ
ナ等、製品形状が円筒状のものに対しては、押出
し段階で円筒状に押出せばよい。 次に具体的実施例について説明する。 (1) 重量%で、Si22.0%、Mg4.7%残部実質的に
AlのAl合金を溶製し、空気アトマイズ法によ
り103〜104℃/秒の冷却速度で急冷凝固粉末を
製造した。 (2) 得られた粉末を分級し、44μm以下のものを
ゴム容器に詰めて、3000Kgf/cm2で1分間加圧
しφ140mmの棒材を得た。これを、厚さ3mmの
JIS5052材の缶体に挿入し、10-2〜10-3Torrの
圧力の下で脱ガスを十分行い、電子ビーム溶接
で封缶を行つて、HIP処理を施した。HIP処理
は、350℃、1500Kgf/cm2で1Hr行われた。得
られた焼結材を、350℃で約30分間十分加熱し
た後、押出比10.6、押出速度25mm/分でφ43mm
に押出した。 (3) 該押出材より、φ10×25の試験片を押出し
方向に沿つて採取し、下記の調査に供した。
尚、比較のため、JIS2218材についても同様の
調査を行つた。JIS2218材は、Cu4.1%、Mg1.4
%、Ni2.1%残部実質的にAlの組成を有し、
T61処理(510℃溶体化処理後、熱湯焼入れし、
その後170℃×10Hr時効処理)を行つたもので
ある。 (4) 機械的性質を調べた結果を第1表に示す。
料と組合せて用いるのに好適な線膨張係数の低い
Al合金材に関する。 (従来の技術) 良好なエンジンの運転を保持するために、シリ
ンダブロツクの温度低下を企図して、鋳鉄製シリ
ンダブロツクのピストン摺動面にアルミ合金製の
シリンダライナを装着したものが用いられてお
り、かかるシリンダ構造を有するエンジンでは、
実際にシリンダブロツク壁面の温度が20〜30℃低
下することが報告されている。 (発明が解決しようとする問題点) しかしながら、シリンダライナとシリンダブロ
ツク本体との材質の線膨張係数の相違に基づき、
エンジンの運転中にシリンダブロツク本体に大き
な引張応力が発生し、その大きさが著しい場合に
は、両者の境界に空隙が生じたりして、エンジン
の運転性能に重大な悪影響を及ぼすことになる。 このように、アルミ合金材料を鋼系材料や鋳鉄
系材料と組合して熱負荷のかかる複合部材の要素
として用いると、線膨張係数の差違に基づいて、
界面に高い熱応力が発生し、空隙やすべりを招来
する場合もあり、複合部材としての機能を著しく
損う場合が生じる。 ちなみに、鋳鉄の線膨張係数は0〜100℃で10
〜11×10-6/℃であり、アルミニウムは20〜100
℃で23.9×10-6/℃であり、シリンダ部材として
用いられているJIS−H4140規定の2218鍛造用耐
熱Al合金では25〜100℃で19.68×10-6/℃となつ
ており、アルミニウムは鋳鉄の2.28倍、JIS2218
材では1.87倍の線膨張係数を有している。 本発明はかかる問題点に鑑みなされたもので、
従来の鍛造用耐熱アルミニウム合金程度の強度を
有し、かつ線膨張係数の低いアルミニウム合金材
料を提供することを目的とする。 (問題点を解決するための手段) 叙上の目的を達成するために講じられた本発明
の低線膨張係数を有するAl合金材料の特徴とす
るところは、化学組成が重量%で、 Si:17〜27%、Mg:2〜10% および残部実質的にAlからなるAl合金急冷凝固
粉末の押出材もしくは鍛造材であつて、Al基地
中にSiおよびMgが過飽和に固溶されたAl固溶体
に主として細粒状の共晶Siが均一に分散してなる
点にある。 (実施例) 本発明のAl合金材の原材料としては特定のAl
合金溶湯を空気アトマイズ法や水アトマイズ法等
により急冷凝固して得られたものを用い、その組
成は、重量%で、 Si:17〜27%、Mg:2〜10% 残部実質的にAlからなる。まず、上記組成限
定理由について説明する。 Siは合金の膨張率を低下させると共に、耐摩耗
性を付与するために積極的に添加する。17%未満
ではかかる効果が少なく、一方27%を越えると、
後述のように急冷凝固しても粗大でもろい初晶Si
の晶出を抑えることができず、靭性劣化の原因と
なり、また極部摩耗の原因ともなり好ましくな
い。 Mgは基地を著しく固溶体硬化させ、基地の強
化および転位の阻止による線膨張係数の低下を図
るために添加される。2%未満ではかかる効果が
過少であり、一方10%を越えると高温強度が劣化
する。尚、本発明に係るAl合金溶湯は、Al−Si
とAl−Mgの2種の合金の再溶解により溶製され
るが、Al−Mg合金の融点(例えば、Al−4.7%
Mg合金で635℃)は、低いので、生産性に優れ、
コスト面でも有利になる。 前記組成の溶湯を空気アトマイズ法等により急
冷凝固したものは、靭性や強度劣化の原因となる
初晶Siの粗大晶出がほとんど見られず、Al基地
中にSiおよびMgを過飽和に含みMgによつて固
溶体硬化されたAl−Si−Mgの固溶体中に微細な
Siが晶出したものとなり、機械的性質が良好で線
膨張率の低いAl合金粉末が得られる。 尚、上記の粉末合金の組織を得るには、102
℃/秒以上の冷却速度で急冷凝固させる必要があ
る。これ未満の速度では、初晶Siの多量の晶出が
起り、機械的性質の劣化を招来する。もつとも、
工業的生産面から現実には上限が定まり、106
℃/秒が限度であろう。 かかるAl合金急冷凝固粉末は、多量の粉末を
一体化すべく押出し加工に供される。すなわち、
粉末は押出し加工により強度のせん断作用を受
け、粉末の外表面に形成されている数Å程度の不
活性、安定なAl2O3被膜を分断破壊すると共に、
基地中の共晶Siおよび一部晶出した初晶Siをも更
に細粒状に分断して、これらを高強度のAl固溶
体中に均一に分散ならしめ、高強度の促進と基地
の拡散接合による一体化を同時に行うのである。 押出し加工方法としては、Al合金粉末を冷間
静水圧加圧(CIP)により等方向圧縮した後、圧
縮材を封缶脱ガス処理をして長時間の熱間静水圧
加圧(HIP)により加圧焼結し、該焼結材を押出
す方法、およびAl合金粉末に真空ホツトプレス
や冷間−軸圧縮を行い、圧縮材を押出す方法があ
る。 押出しに際いて、Al合金粉末表面のAl2O3被膜
やAl固溶体中の共晶Siおよび一部晶出した初晶
Siの分断、分散を十分行うために、押出比は5〜
20とするのがよく、また押出荷重の軽減および基
地の拡散接合のために、押出温度は250〜450℃と
するのがよい。 本発明の合金材は、押出し加工のほか鍛造加工
により押出し加工時と同等の作用がなされ、所期
の合金組織を得ることができる。この際、鍛造温
度は260〜510℃とするのがよい。 以上のようにして得られた押出材もしくは鍛造
材は、適宜、鍛造加工、切削加工等により目的と
する製品形状に加工される。本発明の合金材は、
耐熱性、耐摩耗性、および強度に優れ、かつ熱膨
張率が小さいので、これらの諸特性が要求される
高精度部品に適用できる。例えば、ピストン、ピ
ストンリング、シリンダライト、ピストンピン、
コンロツド、VTR用シリンダ、オイルポンプブ
ツシユ等の用途に好適である。尚、シリンダライ
ナ等、製品形状が円筒状のものに対しては、押出
し段階で円筒状に押出せばよい。 次に具体的実施例について説明する。 (1) 重量%で、Si22.0%、Mg4.7%残部実質的に
AlのAl合金を溶製し、空気アトマイズ法によ
り103〜104℃/秒の冷却速度で急冷凝固粉末を
製造した。 (2) 得られた粉末を分級し、44μm以下のものを
ゴム容器に詰めて、3000Kgf/cm2で1分間加圧
しφ140mmの棒材を得た。これを、厚さ3mmの
JIS5052材の缶体に挿入し、10-2〜10-3Torrの
圧力の下で脱ガスを十分行い、電子ビーム溶接
で封缶を行つて、HIP処理を施した。HIP処理
は、350℃、1500Kgf/cm2で1Hr行われた。得
られた焼結材を、350℃で約30分間十分加熱し
た後、押出比10.6、押出速度25mm/分でφ43mm
に押出した。 (3) 該押出材より、φ10×25の試験片を押出し
方向に沿つて採取し、下記の調査に供した。
尚、比較のため、JIS2218材についても同様の
調査を行つた。JIS2218材は、Cu4.1%、Mg1.4
%、Ni2.1%残部実質的にAlの組成を有し、
T61処理(510℃溶体化処理後、熱湯焼入れし、
その後170℃×10Hr時効処理)を行つたもので
ある。 (4) 機械的性質を調べた結果を第1表に示す。
【表】
第1表より、本発明材は、2218材に比べて、
伸びがやや劣るものの、その他の性質は良好で
あることが確認され、強度面等を考えた場合
2218材に十分代替えできることが判つた。 (5) 線膨張係数を調べた結果を第2表に示す。
伸びがやや劣るものの、その他の性質は良好で
あることが確認され、強度面等を考えた場合
2218材に十分代替えできることが判つた。 (5) 線膨張係数を調べた結果を第2表に示す。
【表】
第2表より、内熱機関等で特に問題となる
300℃以下の温度範囲で線膨張係数が2218材に
対して約18〜22%低下しているのが確かめられ
た。また、500℃以下でも線膨張係数は約20%
低下している。 (6) 金属組織の観察結果を第1図および第3図に
示す。第1図は本発明材の金属組織写真(3000
倍)であり、第3図は2218材の同写真(3000
倍)である。尚、参考のため、本発明に係る
Al合金急冷凝固粉末の金属組織写真(300倍)
を第2図に示す。 第1図より、本発明材は、基地中に約0.3μm
の多量の細粒状の共晶Siが微細かつ均一に分散
しており、また約2μmの初晶Siの分断片が均一
に分布している様子が観察される。また、Mg
の析出物は見当らず、Mgは基地中に過飽和に
固溶していることが推察される。第2図は押出
し加工前の急冷凝固粉末の組織を示すが、網目
状の共晶Siが広範囲に晶出しており、約5μmの
粗粒状の初晶Siが島状に一部晶出している様子
が観察される。またMgの析出物は見られな
い。尚、粉末の表面にはAl2O3の被膜が形成さ
れているが数Åであるため、視認不能である。
第1図においても、同様にAl2O3被膜の分断片
の視認はできなかつた。 一方、第3図より、2218材は、平均3μm程
度の白色のNi−Cu金属間化合物と平均5μm程
度の黒色のMg−Si化合物が基地中に析出して
いる様子が観察される。 本発明材は、第1図より明らかな通り、Si粒子
が基地中に微細かつ均一に分散しており、機械的
性質が優れている理由がミクロ組織からも裏付け
られた。 (発明の効果) 以上説明した通り、本発明の合金材は、Siを15
〜25%含有しているので、Mgの添加とあいまつ
て、従来の鍛造用Al合金に対して線膨張係数が
300℃以下において20%程度低下する。また本来
機械的性質を劣化させない多量の共晶SiをAl固
溶体中に細粒状に均一分散させたものであるか
ら、機械的性質をまつたく劣化させずに、良好な
耐摩耗性を付与することができる。また、Mgを
2〜10%含有しているので、基地はMgを過飽和
に固溶して固溶体硬化が図られ、強度向上および
転位の阻止による線膨張係数の低下に資するもの
となる。 このように本発明の合金材は、機械的性質を損
なうことなく優れた耐摩耗性を具備したものであ
り、更に線膨張係数も低く押さえることができ、
これらの諸特性が共に要求される部材の素材とし
て、利用価値は著大である。
300℃以下の温度範囲で線膨張係数が2218材に
対して約18〜22%低下しているのが確かめられ
た。また、500℃以下でも線膨張係数は約20%
低下している。 (6) 金属組織の観察結果を第1図および第3図に
示す。第1図は本発明材の金属組織写真(3000
倍)であり、第3図は2218材の同写真(3000
倍)である。尚、参考のため、本発明に係る
Al合金急冷凝固粉末の金属組織写真(300倍)
を第2図に示す。 第1図より、本発明材は、基地中に約0.3μm
の多量の細粒状の共晶Siが微細かつ均一に分散
しており、また約2μmの初晶Siの分断片が均一
に分布している様子が観察される。また、Mg
の析出物は見当らず、Mgは基地中に過飽和に
固溶していることが推察される。第2図は押出
し加工前の急冷凝固粉末の組織を示すが、網目
状の共晶Siが広範囲に晶出しており、約5μmの
粗粒状の初晶Siが島状に一部晶出している様子
が観察される。またMgの析出物は見られな
い。尚、粉末の表面にはAl2O3の被膜が形成さ
れているが数Åであるため、視認不能である。
第1図においても、同様にAl2O3被膜の分断片
の視認はできなかつた。 一方、第3図より、2218材は、平均3μm程
度の白色のNi−Cu金属間化合物と平均5μm程
度の黒色のMg−Si化合物が基地中に析出して
いる様子が観察される。 本発明材は、第1図より明らかな通り、Si粒子
が基地中に微細かつ均一に分散しており、機械的
性質が優れている理由がミクロ組織からも裏付け
られた。 (発明の効果) 以上説明した通り、本発明の合金材は、Siを15
〜25%含有しているので、Mgの添加とあいまつ
て、従来の鍛造用Al合金に対して線膨張係数が
300℃以下において20%程度低下する。また本来
機械的性質を劣化させない多量の共晶SiをAl固
溶体中に細粒状に均一分散させたものであるか
ら、機械的性質をまつたく劣化させずに、良好な
耐摩耗性を付与することができる。また、Mgを
2〜10%含有しているので、基地はMgを過飽和
に固溶して固溶体硬化が図られ、強度向上および
転位の阻止による線膨張係数の低下に資するもの
となる。 このように本発明の合金材は、機械的性質を損
なうことなく優れた耐摩耗性を具備したものであ
り、更に線膨張係数も低く押さえることができ、
これらの諸特性が共に要求される部材の素材とし
て、利用価値は著大である。
第1図は本発明のAl合金材の金属組織写真、
第2図は本発明の合金材の原料であるAl合金急
冷凝固粉末の金属組織写真、第3図はJIS2218材
の金属組織写真である。
第2図は本発明の合金材の原料であるAl合金急
冷凝固粉末の金属組織写真、第3図はJIS2218材
の金属組織写真である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 化学組成が重量%で、 Si:17〜27%、Mg:2〜10% および残部実質的にAlからなるAl合金急冷凝固
粉末の押出材もしくは鍛造材であつて、Al基地
中にSiおよびMgが過飽和に固溶されたAl固溶体
に主として細粒状の共晶Siが均一に分散してなる
ことを特徴とする線膨張係数の低いAl合金材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19646185A JPS6256551A (ja) | 1985-09-04 | 1985-09-04 | 線膨張係数の低いAl合金材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19646185A JPS6256551A (ja) | 1985-09-04 | 1985-09-04 | 線膨張係数の低いAl合金材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6256551A JPS6256551A (ja) | 1987-03-12 |
JPS6310225B2 true JPS6310225B2 (ja) | 1988-03-04 |
Family
ID=16358190
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19646185A Granted JPS6256551A (ja) | 1985-09-04 | 1985-09-04 | 線膨張係数の低いAl合金材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6256551A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0526261Y2 (ja) * | 1986-11-05 | 1993-07-02 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01159344A (ja) * | 1987-09-22 | 1989-06-22 | Kobe Steel Ltd | 高速,高精度移動装置の作業手段保持用部品 |
EP0436952B1 (en) * | 1989-12-29 | 1997-04-02 | Showa Denko Kabushiki Kaisha | Aluminium-alloy powder, sintered aluminium-alloy, and method for producing the sintered aluminum-alloy |
-
1985
- 1985-09-04 JP JP19646185A patent/JPS6256551A/ja active Granted
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0526261Y2 (ja) * | 1986-11-05 | 1993-07-02 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6256551A (ja) | 1987-03-12 |
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