JP3336631B2 - アルミニウム合金製オイルポンプ - Google Patents

アルミニウム合金製オイルポンプ

Info

Publication number
JP3336631B2
JP3336631B2 JP17261092A JP17261092A JP3336631B2 JP 3336631 B2 JP3336631 B2 JP 3336631B2 JP 17261092 A JP17261092 A JP 17261092A JP 17261092 A JP17261092 A JP 17261092A JP 3336631 B2 JP3336631 B2 JP 3336631B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
aluminum
powder
rotor
aluminum alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP17261092A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0617993A (ja
Inventor
勝義 近藤
義信 武田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP17261092A priority Critical patent/JP3336631B2/ja
Priority to EP93110333A priority patent/EP0577062B1/en
Priority to KR1019930012325A priority patent/KR100219758B1/ko
Priority to DE69326290T priority patent/DE69326290T2/de
Priority to US08/082,930 priority patent/US5338168A/en
Publication of JPH0617993A publication Critical patent/JPH0617993A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3336631B2 publication Critical patent/JP3336631B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rotary Pumps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、SiやV、Zr、Mo等
の硬質粒子とFe、Ni、Cr等の遷移系金属元素を含有
することで同組成を有するアルミニウム合金およびAl
−Si系アルミニウム合金との組み合わせでオイルポン
プロータを構成して、高強度および耐摩耗性並びに経済
性が要求されるアルミニウム合金製オイルポンプを提供
せんとするものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の燃費向上が強く要求され
ている中、その対策の一貫である車両重量の軽減の効果
は大きく、各部品の軽量化について検討・実施がなされ
ている。その中でもオイルポンプに関しては、ポンプ
およびその周辺部品の重量軽減、摺動・回転部品の軽
量化によるポンプ性能の向上などの効果が期待されるこ
とからオイルポンプ部品の軽量化は重要視されている。
例えば、A/T用オイルポンプにおいては、従来、オイ
ルポンプ部品(ポンプケース)は鉄製(主に鋳物もしくは
ダイカスト)であり、その重量は5kgを越えるものとな
るが、それをアルミニウム合金化することにより2kg以
下となり、約60%の軽量化を図ることが出来ると共
に、軽量化によりオイルポンプの性能を向上させること
が可能である。しかし、これまでに実用化されている種
々のアルミニウム合金をオイルポンプ用ロータ材として
使用した場合、次のような問題が考えられる。
【0003】(1)従来からピストンや軸受け等の摺動
部品として使用されているAC8BやA390等を代表
とするAl−Si系溶製アルミニウム合金(I/M:Ing
otMetallury)は耐摩耗性に優れているが、これをロー
タ材に適用すると、アルミニウム合金同士の摺動摩耗や
面圧疲労に対する強度不足のため歯面部においてはピッ
チング摩耗を起点とする著しい摩耗損傷が生じる。ま
た、ロータ端面や外周部では、ポンプケースとの摺動に
より著しい凝着(焼付き)摩耗が発生する。さらに、高速
回転下においては、シャフト接合部での強度不足による
疲労破壊を生じたり、また、精密かつ複雑な形状創製に
対しては冷間鍛造加工等では不十分であるため切削加工
が必要となるが、高Si化に伴って初晶Siが粗大化す
るために強度・靭性の低下を招く。一方、高温強度特性
を向上させるために必要なFeの含有量は3〜10%で
あるが、I/Mにおいては5%を越えて添加すると粗大
な針状組織となるため合金の靭性が低下する。
【0004】(2)急冷凝固粉末冶金法により得られた
Al−高Si系粉末合金(重量基準でSi;20〜40
%)をロータ側に適用することを考えた場合、この合金
系は高温強度特性に優れていないことから本発明が対象
とするような約150℃付近の環境下で使用されるロー
タ材への適用は困難である。
【0005】(3)上記(2)項のSiの代わりにSi
C、TiCおよびAl23粒子等の硬質粒子を添加する
ことにより耐摩耗性の向上が試みられている。しかしな
がら、摺動時の摩擦熱等により雰囲気温度が100℃を
越えて上昇すると、部材のマトリックスであるアルミニ
ウムが軟化し始めるために部材の強度が低下し、摺動・
摩擦による機械的な損傷を受けたり、また、摺動時に働
く剪断力によりこれら硬質粒子の脱落が生じ、部材の耐
摩耗性が低下することからロータ材への適用は困難であ
る。
【0006】(4)急冷凝固粉末冶金法により得られた
Al−高Zn系粉末合金をロータに適用すると、著しい
時効硬化特性により高温強度を有するものの、耐摩耗特
性に優れていないことから本発明が対象とするような耐
摩耗摺動特性が要求されるロータ材への適用は困難であ
る。
【0007】(5)ロータの耐摩耗性を向上させるため
に、例えば、実開昭60−147785号や実開昭62
−124284号が提案しているようなアルマイト処理
やニッケルもしくはクロムメッキ処理を施すことも考え
られるが、高圧・高速摺動条件下においては、これらの
表面処理皮膜は隔離・破壊し、ロータ同士もしくはケー
スとの焼付け摩耗が生じることや、高温環境下において
摺動することで素地であるアルミニウム合金が軟化し、
そのために高圧力が加わった際に素地と共にこれらの表
面皮膜処理材が破壊される。また、ポンプの効率向上の
ために高寸法精度にこれらの膜厚を制御する必要がある
ことから経済性においても大きな問題がある。
【0008】一方、ロータの製造方法を考えた場合、た
とえ、急冷凝固法やメカニカルアロイング法により高性
能アルミニウム合金粉末が得られたとしても、それを経
済的に成形・固化する方法が問題となる。即ち、具体的
にはアルミニウム合金粉末の完全結合(密着)が必要条件
である。粉末表面には酸化アルミニウム皮膜が形成され
ており、それが粉末どうしの結合を阻止するため、一般
には適切な加熱・加圧条件を付与することにより酸化ア
ルミニウム皮膜を十分に除去、もしくは、分断・破壊し
て粉末どうしを圧着させて金属結合および固相拡散を請
じさせ、十分な強度を有するアルミニウム合金部品を製
造する方法が考えられ、この酸化アルミニウム皮膜は主
に粉末製造工程および粉末成形体の加熱工程にて生成さ
れる。
【0009】このように、アルミニウム粉末合金部材の
製造工程において粉末成形体を加熱処理する場合、30
0℃以上に加熱するとアルミニウム粉末粒子に吸着して
いる結晶水が蒸発し、これとアルミニウムが反応して粉
末表面に強固な酸化皮膜を生成するため、上記の如く粉
末どうしの結合が阻止されて十分な強度を有するアルミ
ニウム粉末合金部材を得ることが困難となる。
【0010】これに対してアルミニウム粉末合金部材の
製造方法として、例えば、特開昭63−60265号が
提案されているが、ここではまず、粉末粒子表面に吸着
している水分の除去を目的として大気雰囲気中での粉末
成形体の熱処理工程を導入しているが、前記の如く、除
去された水分が再度アルミニウムと反応して粉末表面に
強固な酸化アルミニウム皮膜を生成して粉末どうしの結
合を阻止することになる。また、粉末表面に存在する酸
化皮膜を十分に破壊して粉末どうしを結合させるために
粉末成形体を加熱処理した後、予備的な熱間密閉型鍛造
を経てから合計2回の熱間鍛造を実施していることから
この製造工程においては経済的な問題がある。
【0011】さらに、従来、鉄系粉末で行っている焼結
操作は、上述したアルミニウム合金粉末表面に形成され
ている酸化皮膜が拡散・焼結を阻害するためにほとんど
不可能であり、極めて高温の共晶液相を利用する場合に
しか適用できない。また、このような焼結操作は、急冷
凝固法やメカニカルアロイング法により得られた微細か
つ均一な準安定状態の合金相を著しく損なうために実質
的に意味がない。さらに、上記の鉄系焼結体の如く10
〜20%の空孔がアルミニウム粉末固化体内に残存する
と著しい強度の低下を招くため、焼結技術の摺動部品へ
の適用は極めて困難である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、SiやV、
Mo、Zr等の硬質粒子とFe、NiおよびCr等の遷
移系金属元素を含むことでAl−Si系溶製アルミニウ
ム合金でできたオイルポンプ用ケースとの優れた耐摩耗
性を有する高強度急冷凝固アルミニウム粉末合金製ロー
タを、熱間鍛造法に基づく比較的簡単で経済的な粉末鍛
造方法(具体的には1回の熱間鍛造工程)により創製する
ことが課題となる。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は種々の実験
および検討を行った結果、耐摩耗・摺動特性に優れた急
冷凝固アルミニウム粉末合金部材の開発とそれを創製す
るにあたり比較的簡単でかつ経済性に優れた製造方法を
確立してそれらの合金および製法に基づいたアルミニウ
ム合金製オイルポンプを新規に創作した。
【0014】本発明は、特定の成分組成を有する急冷凝
固アルミニウム粉末合金をロータ材に適用することによ
り、同一組成のアルミニウム合金との耐摩耗・摺動特性
(共擦り性)に優れ、かつポンプケース材であるAl−S
i系溶製アルミニウム合金との耐摩耗性にも優れてお
り、それらの組み合わせにより構成したアルミニウム合
金製オイルポンプを提供するものである。
【0015】まず、上記のポンプケース用Al−Si系
アルミニウム合金の各成分の作用とその含有量について
説明する。その成分組成は、第1合金元素として、S
i;5≦Wc≦17%(Wc:Si含有量)、第2合金元素
として、Cu;1〜5、Mg;0.2〜1.5、Mn;0.2
〜1%を含み、残部がアルミニウムおよび不可避的不純
物からなる溶製アルミニウム合金である。
【0016】ここで、第1合金元素であるSiに関し
て、鋳造法やダイカスト法などの溶製法によればその大
きさは平均粒径30〜100μm程度である。それは本
発明が対象とするアルミニウム合金製ロータとの耐摩耗
・摺動特性および合金自身の機械的特性に大きく寄与し
ており、具体的にはその含有量Wcが5%未満ではその
効果はなく、また17%を越えるとSi粒径が大きくな
るために合金の強度・靭性が低下し、かつ粉末の鍛造性
が低下する。
【0017】第2合金元素に関して、Cu、Mg、Mn
の元素は固溶強化により強度・硬度等の機械的特性を向
上させる作用がある。Cuについては、1%未満ではそ
の効果は不十分であり、また5%を越えて添加してもそ
の効果は向上しないうえ耐食性が低下する。Mgについ
ては、0.2%未満では上記の効果は不十分であり、1.
5%を越えて添加してもその効果は向上しないうえ、逆
に晶出物が粗大化するため強度・靭性が低下する。Mn
についは、0.2%未満ではその効果は不十分であり、
また、1%を越えて添加してもその効果は向上しないう
え、粗大な晶出物が生じるため逆に強度・靭性は低下す
る。
【0018】次に、ロータ用アルミニウム合金の各成分
の作用とその含有量について、共擦り摺動特性およびA
l−Si系溶製アルミニウム合金との耐摩耗・摺動特性
の観点から説明すると次の通りである。
【0019】(1)Siは、アルミニウム素地中に微細
かつ均一に分散して耐摩耗性を向上させる効果が最も大
きく、後述のFe、Ni、Crなどの遷移系金属元素と
Alとの金属間化合物の粗大化を抑制する作用もある。
さらに、Siは均一かつ微細に分布することで強度・硬
度を向上させる効果がある。Siの含有量(Wr)につい
ては、共擦り摺動特性の観点から5%未満では耐摩耗性
に関する十分な効果が得られず、また、25%を越えて
添加した場合にはSi粒径が粗大化するために合金の強
度・靭性が低下し、かつ粉末の鍛造性が悪くなる。
【0020】一方、上記のAl−Si系溶製アルミニウ
ム合金製ポンプケースとの耐摩耗性の観点から、両者の
合計のSi含有量WrとWcは次式の関係を満足する必
要がある。 (Wr+Wc)≧15% .......(1) (Wr+Wc)は、ポンプケースおよびロータ素地中に分
散しているSi晶はロータが摺動する際、それらが接触
することで素地どうしの直接接触を抑制して耐摩耗・摺
動特性を向上させる役割を有している。しかしながら、
その合計量が15%よりも小さい場合、両者のアルミニ
ウム素地が直接接触する面積比率が増加するために、ど
ちらか一方、もしくは両者の素地において加圧力による
塑性流動が生じその部分を起点とした焼付き、もしく
は、凝着摩耗を生じるために耐摩耗性が著しく低くする
欠点がある。
【0021】(2)Feは、Alとの金属間化合物(例
えば、FeAl)を生成して高温強度特性を改善させ
る効果がある。Feの量が3%未満では特性改善に対す
る効果が不十分であり、また10%を超えて添加すると
金属間化合物が粗大化するため、合金の強度が低下す
る。
【0022】(3)Niは、Feと同様にAlとの金属
間化合物(例えば、NiAl,NiAl3)を生成して
高温強度特性を改善させる効果がある。Niの量が3%
未満では特性改善に対する効果が不十分であり、また1
0%を越えて添加すると金属間化合物が粗大化するた
め、合金の強度・低下する。
【0023】(4)Crは、耐食性を向上させるととも
に、それ自身がマトリックス中に微細に分散すること及
びAlとの微細な金属間化合物(例えば、CrAl3
を生成することにより強度を向上させる効果がある。C
rが1%未満ではその効果は不十分であり、また8%を
越えて添加してもその効果は向上しないうえ、逆に晶出
物が粗大化するため、強度・靱性が低下する。
【0024】なお、Fe,Ni,Cr等の遷移系金属元
素の各々の添加量については前記に記載した範囲におい
てその効果が確認されるが、これらの金属元素から選ば
れた1種もしくは1種以上を合計添加量で15%を越え
て添加してもその効果は向上しないうえ、原料粉末を製
造するうえで高融点元素を多量に添加するので、その均
一容体化温度が高温側に移行するために原料費が高価と
なる。
【0025】(5)Mo,V,Zrの元素は、アルミニ
ウムの素地に対して微細かつ均一に分散することにより
素地の強度を向上させる効果がある。Mo,V,Zrそ
れぞれが1%未満ではその効果は不十分であり、また合
計5%を越えて添加した場合には逆にこれらの分散粒子
における切欠き感受性が大きくなるために強度が低下す
る。
【0026】(6)Cu,Mg,Mnの元素は、固溶強
化により強度・硬度等の機械的特性を向上させると共に
アルミニウムの素地に析出して前記のFe,Ni,Cr
などの遷移系金属元素とAlとの金属間化合物の粗大化
を抑制する作用がある。Cuについては1%未満ではそ
の効果は不十分であり、また5%を越えて添加してもそ
の効果は向上しないうえ耐食性が低下する。Mgについ
ては0.2%未満では上記の効果は不十分であり、1.5
%を越えて添加してもその効果は向上しないうえ逆に晶
出物が粗大化するため強度・靱性が低下する。Mnにつ
いては0.2%未満ではその効果は不十分であり、また
1%を越えて添加してもその効果は向上しないうえ粗大
な晶出物が生じるため逆に強度・靱性は低下する。
【0027】但し、上記した如き各元素の所定の成分か
ら成る急冷凝固粉末合金(P/M合金)に比べて同一組
成を有する溶製合金(I/M合金)においては、急冷凝
固の効果が無いために上記の特性を確保することはでき
ない。
【0028】次に、上記した如き構成の考え方より成る
成分組成を有するアルミニウム合金粉末を用いて成形固
化体を比較的簡単で且つ経済的に創製する方法について
説明する。
【0029】(1)粉末成形 上記した如き構成の各元素より成る遷移元素添加アルミ
ニウム合金粉末を温間もしくは冷間にて金型内に充填し
て圧力を付加することにより、相対密度75〜90%の
粉末予備成形体を作製する。このときできる限り最終製
品に近い形状を付与する金型を使用することは経済的に
有利である。
【0030】(2)加熱処理 加熱処理は、アルミニウム合金粉末粒子に吸着している
水分及びその他の有機成分を蒸発・除去して粉末同士を
完全に結合させるのに必要不可欠な工程である。加熱温
度が300℃未満または加熱時間が0.25時間未満の
場合には、粉末粒子に吸着している水分及びその他の有
機成分を十分に蒸発・除去することができない。しかし
ながら、前記の如く300℃以上に粉末予備成形体を加
熱することによりアルミニウム合金粉末粒子に吸着して
いる結晶水を蒸発させても、再度アルミニウムと反応し
て酸化アルミニウム皮膜を粉末表面に生成するため粉末
同士の結合が阻害される。そこで、粉末予備成形体を窒
素もしくはアルゴンなどの不活性ガス雰囲気中にて過熱
することにより、蒸発した結晶水とアルミニウムとの再
反応による酸化アルミニウム皮膜の生成を抑制すること
ができる。一方、加熱温度が560℃を越えるか、もし
くは、加熱時間が3時間を越えると、粉末内の微細組織
が損なわれて急冷凝固により得られた粉末自体の特性を
失うことになる。したがって、粉末予備成形体の適正な
加熱処理条件としては、窒素もしくはアルゴンなどの不
活性ガス雰囲気中にて加熱温度を300〜560℃、加
熱保持時間を0.25〜3時間を設定することが好まし
い。
【0031】(3)熱間型押鍛造 熱間型押鍛造は、前記の加熱処理により表面の水分及び
その他の有機物が除去されたアルミニウム合金粉末を加
熱・加圧して表面の酸化皮膜を十分に分断・破壊した
後、粉末どうしを圧着させ、金属結合及び固相拡散を生
じさせて粉末を完全に結合させるのに必要不可欠な工程
である。具体的な方法としては、上記加熱処理した粉末
予備成形体の温度が300〜560℃の範囲において熱
間コイニングに引続き同一金型臼内で杵もしくは/及び
中栓を作動させて先方または/及び後方押出鍛造処理に
より加圧軸方向と並行もしくは/及び垂直な塑性流動で
突起形状を創製する。その温度が300℃未満では、粉
末間での十分な金属結合及び固相拡散が生じないため粉
末どうしが完全に結合しない。一方、560℃を越える
と、金属間化合物やその他の微細分散粒子が粗大化して
急冷凝固により得られた粉末自体の特性を失うと共に粉
末成形体と金型との焼き付きといった問題が生じる。
【0032】なお、固化体の空孔率は強度特性と密接な
関係があり、空孔率が5%を超える場合にはその固化体
の強度は著しく低下し、また連結空孔となるため雰囲気
の影響を受けて酸化する等の問題から固化体内の空孔率
が5%以下となるように加圧力を付加させる必要があ
る。なお、本発明においては、前記の加熱処理により粉
末表面の水分およびその他の有機物が十分に除去され、
且つ酸化被膜が再生成されていないアルミニウム合金粉
末を使用するため、熱間コインニングに引続く先方、も
しくは/および、後方押出鍛造処理といった連続した1
回の熱間型押鍛造により比較的簡単でかつ経済的にアル
ミニウム粉末合金部材を製造することが可能である。
【0033】尚、このようにして得られるアルミニウム
粉末合金部材の強度をさらに向上させる場合には、T4
処理やT6処理といった公知の熱処理を実施することも
本発明のアルミニウム粉末合金に対しては可能である。
【0034】
【実施例】本発明にかかるインナーロータおよびアウタ
ーロータとポンプケースとの組み合わせから構成された
オイルポンプにおいて、ケースは重量基準で第1合金元
素−Si;5≦Wc≦17%(含有Si量:Wc)、第2合
金元素−Cu;1〜5%、Mg;0.2〜1.5%、M
n;0.2〜1%を含む、残部にアルミニウムおよび不
可避的不純物を含むAl−Si系溶製アルミニウム合金
であり、ロータはインナーロータの外周部およびアウタ
ーロータの内周部がトロコイド曲線、インボリュート曲
線、ハイポサイクロイド曲線またはこれらと同等の性能
を有する歯面形状であり、そのインナーおよびアウター
ロータが重量基準で(以下、重量基準で表示)、第1合金
元素−Si;5〜25%(含有Si量:Wr)、第2合金元
素−Fe;3〜10%、Ni;3〜10%、Cr;1〜
8%から選ばれた1種または1種以上で合金添加量が1
5%を越えない範囲、第3合金元素−Mo、V、Zrか
ら選ばれた1種または1種以上の元素をそれぞれ1〜5
%、合計で5%を越えない範囲を含み、残部アルミニウ
ムおよび不可避的不純物である急冷凝固アルミニウム粉
末合金であり、それぞれの合金でのSi含有量の合計
(Wr+Wc)が15%以上となるようなアルミニウム合
金製オイルポンプの実施例を以下に説明する。
【0035】
【実施例1】表1は、本発明にかかるロータ用アルミニ
ウム合金(〜10)と比較合金(11〜17)の各構成元素の重
量基準での構成割合を示し、表2はそれら〜17につい
て、その機械的特性(引張強度・伸び)と図1に示すスラ
スト式摩耗試験機を用いての共擦り条件での焼付き試験
結果を示す。また、図1の同試験機を用いて図2の加圧
力−時間の条件で、本発明のロータ用アルミニウム合金
とポンプケース用Al−Si系溶製アルミニウム合金部
材との焼付き試験結果を表3に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【0040】表2において、種別11はSi量が5%を下
回るために共擦り摺動での耐焼付き性が低下し、種別12
はSi量が25%を超えるために靭性(伸び)が低下、
種別13はFe量が10%を超えるために靭性(伸び)が
低下、種別14はNi量が10%を超えるために靭性(伸
び)が低下、種別15は遷移系金属元素が添加されていな
いため高温引張特性が低下、種別17はMo、V、Zrの
硬質粒子の合計添加量が5%を超えるために靭性(伸
び)が低下していることか゛分かる。
【0041】表3において、I〜Xは本発明を満足する
アルミニウム合金、XI〜XIVは比較例、XIはWr
+Wc=13%<15%と耐焼なるため耐焼付き性が低
下し、XIIはWr+Wc=13%<15%となるため
付き性が低下し、XIIIはWr+Wc=12%<15
%となるため耐焼付き特性が低下し、XIVはWr+W
c=10%<15%となるため耐焼付き性が低下してい
ることが分かる。
【0042】
【実施例2】図3に示すようなポンプケース10の中に
組み込んだ歯面形状を有するオイルポンプ用アウターロ
ータ11とインナーロータ12に対して表1に示した本
発明の合金および比較合金を適用し、表4に示す摺動条
件下にてポンプ性能評価試験を実施した結果を表5に示
す。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】なお、表5で◎は摺動部の摩耗損傷なくポ
ンプ性能良好、△はアウターロータとポンプケース間で
凝着摩耗発生、▽はロータの歯面部にて凝着摩耗もしく
は擦れ傷発生、×は摺動中にロータ割れを示している。
【0046】表5で、I乃至VI、およびXIは本発明
にかかわるアルミニウム合金製オイルポンプである。V
IIはアウターロータ材のSi量とケース材との合計S
i量(Wr+Wc)が15%よりも少ないために耐焼付
き性が低下し、アウターロータの外周部にてケースと凝
着磨耗が発生し、また、インナー、アウターロータ共に
Si量が5%よりも少ないためにロータの歯面部にて凝
着磨耗もしくは擦れ傷が発生した。VIIIはロータ材
のSi量が25%を超えるために靭性が低下して運転中
にロータが破損した。IX、Xはアウターロータ材の含
有Si量とケース材との合計Si量(Wr+Wc)が1
5%よりも少ないために耐焼付き性が低下し、アウター
ロータの外周部にてケースとの凝着磨耗が発生した。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、急冷凝固アルミニウム
合金粉末をその高性能な材料特性を維持しながら1回の
熱間鍛造で強固に結合・固化することが可能であり、そ
の結果、耐摩耗性に優れたオイルポンプ用ロータを創製
することができる。また、このようにして得られたロー
タはAl−Si系溶製アルミニウム合金部材との耐摩耗
・摺動特性にも優れており、さらに、熱膨張率もそれに
近いことからこのAl−Si系溶製アルミニウム合金を
ケース材とするアルミニウム合金製オイルポンプを提供
することが可能となり、自動車の燃費改善や周辺部品の
軽量化によるポンプ効率の更なる向上等につながるもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スラスト式焼付式評価試験機の概略図であ
る。
【図2】 図1の試験機の加圧力−時間線図である。
【図3】 オイルポンプの概略構成図である。
【符号の説明】
10 ポンプケース 11 アウターロータ 12 インナーロータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−169881(JP,A) 特開 平4−99204(JP,A) 特開 平5−79468(JP,A) 特開 平3−294678(JP,A) 特開 平2−75783(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16N 13/00 F16N 13/22 F04C 2/10 341

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インナーロータおよびアウターロータと
    ポンプケースとの組み合わせから構成され、前記インナ
    ーロータの外周部および前記アウターロータの内周部が
    歯面形状を有するオイルポンプにおいて、 前記ポンプケースは重量基準で、Siの含有量Wcが5〜
    17%である第1合金元素と、Cuを1〜5%、Mgを
    0.2〜1.5%、Mnを0.2〜1%含む第2合金元素
    と、残部にアルミニウムおよび不可避的不純物を含むA
    l−Si系溶製アルミニウム合金よりなり、 前記インナーロータおよびアウターロータは夫々重量基
    準で、Siの含有量Wrが5〜25%である第1合金元素
    と、Feが3〜10%、Niが3〜10%、Crが1〜8
    %から選ばれた1種または1種以上で合金添加量が15
    %を越えない範囲のものを含む第2合金元素と、Mo
    と、V、Zrのうちの少なくともいずれか一方とをそれ
    ぞれ1〜5%、合計で5%を越えない範囲で含む第3合
    金元素と、残部にアルミニウムおよび不可避的不純物を
    含む急冷凝固アルミニウム粉末合金よりなり、かつ、 前記インナーロータおよび前記アウターロータについて
    夫々オイルポンプケースとのSi含有量の合計(Wr+W
    c)が15%以上であることを特徴とするアルミニウム合
    金製オイルポンプ。
  2. 【請求項2】 前記インナーロータおよび前記アウター
    ロータの急冷凝固アルミニウム粉末合金は夫々、Cuを
    1〜5%、Mgを0.2〜1.5%、Mnを0.2〜1%含
    有する第4合金元素をさらに含むことを特徴とする、請
    求項1に記載のアルミニウム合金製オイルポンプ。
  3. 【請求項3】 前記インナーロータおよび前記アウター
    ロータは、前記急冷凝固アルミニウム合金粉末を冷間ま
    たは温間で相対密度75〜90%に予備成形し、不活性
    ガス気流中300℃以上560℃以下で、0.25〜3
    時間加熱脱ガス処理した後、直ちに熱間コイニングによ
    り空孔率5%以下となるようにして粉末固化体にしても
    のであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記
    載のアルミニウム合金製オイルポンプ。
JP17261092A 1992-06-29 1992-06-30 アルミニウム合金製オイルポンプ Expired - Fee Related JP3336631B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17261092A JP3336631B2 (ja) 1992-06-30 1992-06-30 アルミニウム合金製オイルポンプ
EP93110333A EP0577062B1 (en) 1992-06-29 1993-06-29 Oil pump made of aluminum alloys
KR1019930012325A KR100219758B1 (ko) 1992-06-29 1993-06-29 알루미늄 합금제 오일펌프
DE69326290T DE69326290T2 (de) 1992-06-29 1993-06-29 Ölpumpe aus Aluminiumlegierungen
US08/082,930 US5338168A (en) 1992-06-29 1993-06-29 Oil pump made of aluminum alloys

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17261092A JP3336631B2 (ja) 1992-06-30 1992-06-30 アルミニウム合金製オイルポンプ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0617993A JPH0617993A (ja) 1994-01-25
JP3336631B2 true JP3336631B2 (ja) 2002-10-21

Family

ID=15945068

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17261092A Expired - Fee Related JP3336631B2 (ja) 1992-06-29 1992-06-30 アルミニウム合金製オイルポンプ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3336631B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100884293B1 (ko) * 2007-10-08 2009-03-19 주식회사 금호펌프 액체와 가스의 혼합물용 원심펌프
JP6108273B2 (ja) * 2013-09-27 2017-04-05 住友電工焼結合金株式会社 オイルポンプ用ロータ

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0617993A (ja) 1994-01-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1557567B1 (en) Cast aluminum alloy compressor wheel for a turbocharger
US5338168A (en) Oil pump made of aluminum alloys
US5976214A (en) Slide member of sintered aluminum alloy and method of manufacturing the same
US5368629A (en) Rotor for oil pump made of aluminum alloy and method of manufacturing the same
JP4116166B2 (ja) すべり軸受及びその製造方法
JP3336631B2 (ja) アルミニウム合金製オイルポンプ
US4992117A (en) Heat resistant aluminum alloy excellent in tensile strength, ductility and fatigue strength
JP2951262B2 (ja) 高温強度に優れたアルミニウム合金
JP2509052B2 (ja) 窒素化合アルミニウム焼結合金及びその製造方法
JPH0539507A (ja) アルミニウム合金製オイルポンプ用ロータ及びその製造方法
JP2781131B2 (ja) 低線膨張急冷凝固アルミニウム合金およびその製造方法
JP3146529B2 (ja) 高精度アルミニウム合金摺動部品の製造方法
JP2790774B2 (ja) 靭性に優れた高弾性アルミニウム合金
JPH0610849A (ja) アルミニウム合金製ポンプ
JP2001153141A (ja) Al−Sn系軸受材料
JP3556863B2 (ja) 銅−アルミニウム複合材料の製造方法
JP3048143B1 (ja) 摺動特性に優れた溶射層
JP2584488B2 (ja) 耐摩耗性アルミニウム合金の加工方法
JP2002206158A (ja) 摺動特性に優れたアルミニウム合金溶射層及び摺動材料
JP2000282161A (ja) 靱性に優れた耐熱アルミニウム合金及びその製造方法
JPH06228697A (ja) 高温特性のすぐれた急冷凝固Al合金
JPH07314118A (ja) シリンダーブロックとその製造方法
JPH07278713A (ja) アルミニウム粉末合金およびその製造方法
JPS6310225B2 (ja)
JP3417227B2 (ja) 耐摩耗性と被削性に優れたアルミニウム基複合材料

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020709

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees