JP2001153141A - Al−Sn系軸受材料 - Google Patents

Al−Sn系軸受材料

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JP2001153141A
JP2001153141A JP33695299A JP33695299A JP2001153141A JP 2001153141 A JP2001153141 A JP 2001153141A JP 33695299 A JP33695299 A JP 33695299A JP 33695299 A JP33695299 A JP 33695299A JP 2001153141 A JP2001153141 A JP 2001153141A
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JP33695299A
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Masahito Fujita
田 正 仁 藤
Takeshi Hoshina
科 毅 保
Masahiko Shioda
田 正 彦 塩
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Nissan Motor Co Ltd
Nippon Dia Clevite Co Ltd
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NDC Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Nippon Dia Clevite Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軸受材料として要求される耐焼付性やなじみ
性を損なわず、Al−Sn系合金の基本であるAlマト
リックスそのものの強度を改善し、靭性に富み、耐疲労
性においてケルメット系軸受材料を超える優れたAl−
Sn系軸受材料を提供する。 【解決手段】 重量%で、Sn:6〜40%、Si:1
〜10%、Mg:0.1〜1%を含み、場合によって
は、Cu:0.1〜1未満%、Pb:0.1〜3%、A
g,Mn,Cr,Sb,Ni,V,Ti,B,Zrのう
ちから選ばれる1種または2種以上の合計:0.01〜
3%を含み、残部実質的にAlのAl−Sn系軸受合金
を用い、前記合金を380℃以上の温度で1〜10分間
保持したのち、少なくとも70℃/分の冷却速度で室温
迄冷却し、150℃以上200℃以下の温度で3〜72
時間保持する熱処理を施してなるAl−Sn系軸受材
料、および前記Al−Sn系軸受合金と、Snを含まな
いAl合金からなる中間層もしくは純Alからなる中間
層もしくはNiメッキ中間層を介して裏金と圧接し前記
熱処理を施してなる裏金付Al−Sn系軸受材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や一般産業
用機械ないしは農業用機械などの高出力エンジンの軸受
部材として好適に使用され、高強度であって、耐疲労性
や耐焼付性にも優れたアルミニウム系すべり軸受材料に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のアルミニウム系軸受材料として
は、例えば、特公昭61−40297号公報や特公平7
−33558号公報に開示されているものがあり、主と
してAl−Sn系アルミニウム合金をベースにしてC
r,Mn,V,Znのごとき遷移元素を少量添加するこ
とにより合金強度を高めたものや、特公平2−3502
0号公報に開示されているようにAl−Si系アルミニ
ウム合金においてSiの粒状化により潤滑性と強度向上
を狙ったものや、特公昭52−12131号公報に開示
されているようにPbの分散を考慮したものや、特許第
2564012号公報に記載されているように中間接着
層を改良したもの等、種々の面からAl−Sn合金系軸
受の耐疲労性を向上させる工夫がなされてきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらのAl−Sn系
軸受材料の改良は、基本的には、Al−遷移金属系化合
物を微細に析出させた分散強化による合金強化の手法を
用いており、原子サイズでのAlマトリックスそのもの
の強化までには至っていないのが現状である。
【0004】すなわち、こうした遷移金属を少量添加す
ればAlやSiと化合物を作り、転位の移動に伴ってお
こる合金の変形を阻止し、適切な分散状態においては極
めて優れた強度向上に結びついたものとなっている。
【0005】しかしながら、こうした分散強化合金材料
は化合物の析出状態(大きさ、形態)に左右され、且
つ、偏析を起しやすく、多量に添加すれば化合物が粗大
化し、たちまち脆い材料になってしまうという欠点があ
った。
【0006】また、こうした化合物を生成する合金系は
強度向上に反して伸びが低下し、圧延加工性が極めて悪
くなり、特に、裏金付アルミニウム軸受材料として使用
するには鋳造後強加工を加えて圧延する必要があり、化
合物分散強化型材料では強度の向上に限界を有している
状況である。
【0007】さらにまた、最近はエンジンの高出力化と
同時に環境対策としてPbの削減が叫ばれており、Cu
−Pb系のケルメット合金に代えて、Pbを含まないA
l−Sn系合金が見直されつつある。
【0008】しかしながら、Al−Sn系合金はケルメ
ット系合金に比べ、表面層にPbを主成分とするオーバ
ーレイメッキ層を施さずに使える利点もあるが、オーバ
ーレイ層に比べ焼付性に劣り、且つ、合金強度も低いた
め、どうしても代替材料にそのまま使えるほどの信頼性
に欠けるのも現実である。
【0009】
【発明の目的】本発明は、こうした観点から、軸受合金
としての耐焼付性やなじみ性を損なわず、Al−Sn系
合金の基本であるAlマトリックスそのものの強化改善
を目指し、靭性に富み、耐疲労性においてケルメット系
軸受材料を陵駕する優れたAl−Sn系軸受材料および
これを用いた裏金付軸受材料を提供することを目的とし
ている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明ではアルミニウムマトリックス自体の飛躍的
な強度上昇を図ることとしたものであって、Al−Sn
系合金に含まれるMg成分の晶出形態に着目し、適切な
熱処理により、MgSn化合物として固定されていた
Mg分を極めて短時間で分解消失させ、このMg分をA
lマトリックス中に拡散させて分散させることによりA
lマトリックス自体を強化することを目指したものであ
る。
【0011】また、Cuが添加されている場合、Cu成
分の析出形態もSn相中にCuAl 化合物として晶出
することから、適切な熱処理により、Alマトリックス
中に拡散させ、Mgとの相乗効果によってより高強度な
材料とすることを目指したものである。
【0012】さらにまた、低温で時効析出させることに
より、より高強度で特性の安定した軸受材料およびこれ
を用いた軸受を提供するものである。
【0013】このようなAl−Sn系軸受材料として
は、重量%で、Sn:6〜40%、Si:1〜10%、
Mg:0.1〜1%を含み、残部実質的にAlのAl−
Sn系軸受合金からなり、Sn液相を介した拡散処理に
よりMgがAlマトリックス中に分散しているものとす
ることができ、場合によっては、Al−Sn系軸受合金
が、Cu:0.1〜1未満%を含んでいるものとするこ
とができ、同じく、場合によっては、Al−Sn系軸受
合金が、Pb:0.1〜3%を含んでいるものとするこ
とができ、同じく、場合によっては、Al−Sn系軸受
合金が、Ag,Mn,Cr,Sb,Ni,V,Ti,
B,Zrのうちから選ばれる1種または2種以上の合
計:0.01〜3%を含んでいるものとすることがで
き、裏金を用いる場合には、前記Al−Sn系軸受材料
が、Snを含まないAl合金からなる中間層もしくは純
Alからなる中間層もしくはNiメッキ中間層を介して
裏金と圧接してなるものとすることができる。
【0014】すなわち、本発明に係わるAl−Sn系軸
受材料は、請求項1に記載しているように、重量%で、
Sn:6〜40%、Si:1〜10%、Mg:0.1〜
1%を含み、残部実質的にAlのAl−Sn系軸受合金
を用い、前記合金を380℃以上(好ましくは、Sn液
相が生成される温度以上でかつ例えばFe裏金を用いる
場合に化合物層が生成される温度である520℃以下)
の温度で1〜10分間保持したのち、少なくとも70℃
/分の冷却速度で室温迄冷却し、150℃以上200℃
以下の温度で3〜72時間保持する熱処理を施してなる
ものとしたことを特徴としている。
【0015】そして、本発明に係わるAl−Sn系軸受
材料においては、請求項2に記載しているように、C
u:0.1〜1未満%を含んでいるAl−Sn系軸受合
金を用いるようになすことができる。
【0016】そしてまた、本発明に係わるAl−Sn系
軸受材料においては、請求項3に記載しているように、
Pb:0.1〜3%を含んでいるAl−Sn系軸受合金
を用いるようになすことができる。
【0017】さらに、本発明に係わるAl−Sn系軸受
材料においては、請求項4に記載しているように、A
g,Mn,Cr,Sb,Ni,V,Ti,B,Zrのう
ちから選ばれる1種または2種以上の合計:0.01〜
3%を含んでいるAl−Sn系軸受合金を用いるように
なすことができる。
【0018】さらにまた、本発明による裏金付Al−S
n系軸受材料は、請求項5に記載しているように、請求
項1ないし4のいずれかに記載のAl−Sn系軸受合金
と、Snを含まないAl合金からなる中間層もしくは純
Alからなる中間層もしくはNiメッキ中間層を介して
裏金と圧接し、前記裏金付Al−Sn系軸受合金を38
0℃以上520℃以下の温度で1〜10分間保持したの
ち、少なくとも70℃/分の冷却速度で室温迄冷却し、
150℃以上200℃以下の温度で3〜72時間保持す
る熱処理を施してなるものとしたことを特徴としてい
る。
【0019】
【発明の作用】次に、本発明に係わるAl−Sn系軸受
材料の素材となるAl−Sn系軸受合金の成分組成(重
量%)と熱処理の関係についてそれらの作用と共にさら
に詳細に説明する。
【0020】従来より、アルミニウム合金における強度
向上の手法として、熱処理を施すことは日常的に行われ
てきたが、Snを多量に含む軸受合金への適用研究は少
ないといえるのであり、むしろ、Snは熱処理における
時効現象を阻害する元素として一般的には見られてき
た。
【0021】本発明は、そのような従来の見解を否定
し、むしろ、多量のSnの介在を活用して軸受合金とし
て必要な性質の向上を目指したものである。
【0022】本発明で素材とするAl−Sn−Si−M
g系合金において、MgはSn相中にMgSnの化合
物の形をとって晶出する。もし、Snを含まない通常の
合金の場合であっても本合金系の如くSiを多量に含む
場合、MgSiという極めて安定な化合物に固定さ
れ、析出硬化の用に供されるMg分が無くなってしま
う。しかしながら、本発明で適用される合金ではSnを
多量に含んでいるためSn相中にMgがMgSnの形
で晶出することを見い出した。また、本発明で適用され
る合金をSnが溶解する温度以上に加熱するとMg
nもSn液相に溶け、温度上昇と共に急速にAlマトリ
ックス中に拡散していく。
【0023】すなわち、網目状に張りめぐらされたSn
ネットワークを通してMgがAlマトリックスに浸透し
ていく。また、Snを含まない通常のアルミニウム合金
の場合、Sn液相を介さない固相拡散によってMgがマ
トリックス中に拡散するので極めて長い時間を必要とす
るが、本合金系では極めて短時間の保持時間(1〜10
分)で十分その拡散・溶体化を完了することができる。
【0024】さらにまた、本合金系にCuを少量加えた
ときでもより強度向上を図れることも判明した。すなわ
ち、このCuもMgと同じくSn相中にCuAlとし
て析出し、Snが溶解する温度以上に加熱するとSn液
相中のCuAlは徐々に分解し、Snネットワークを
通してMgと同様にAlマトリックス中に拡散し、極め
て短時間で溶体化が完了する。
【0025】続いて、水冷若しくは空冷でも冷却速度が
70℃/分以上であるように急冷すれば、Mg、場合に
よってはさらにCuを過飽和に溶解したAlマトリック
スが得られることとなり、この合金を150〜200℃
で3時間以上72時間以内の熱処理を加えることにより
時効現象が表われてより強靭な材料とすることができ
る。
【0026】このように、本発明はSn相中に晶出する
金属間化合物の再溶解・再析出を巧みに利用したもので
あって、特に、本発明では鋳造しそして圧延等により加
工していく段階では軟質な状態を保つことができ、最終
工程において、合金に内在する有効元素をサブミクロン
のオーダーで再析出させ、強度ならびに靭性に富む材料
に変化させることが可能であり、軸受材料としては理想
的なものである。
【0027】また、図1に示すように、Fe組成の裏金
付アルミニウム軸受材料における熱処理においてはAl
/Fe界面に脆いAl−Fe金属間化合物が生成され、
この化合物が生成するとその界面からアルミニウム軸受
合金が剥離を起こし、裏金付アルミニウム軸受材料とし
ての用を全くなさなくなってしまう。従って、この化合
物生成を避けるには短時間でしかも比較的低い温度でM
gやCuを均一に拡散させる溶体化を進めなくてはなら
ない。
【0028】すなわち、本発明はAl−Sn系軸受合金
においてSn液相を介在させることで短時間でかつ比較
的低い温度で溶体化させることを主旨として主にMg添
加により達成したものである。
【0029】次に、本発明の耐疲労性に優れたAl−S
n系軸受材料におけるAl−Sn−Si−Mg系合金の
成分組成(重量%)の理由とその作用・効果について説
明する。
【0030】1)Sn:6〜40% SnはMgSn、CuAlの析出・再溶解・拡散の
全てに関与するこの系での必須元素である。特に、その
析出形態として、ネットワーク構造を持つことがこの合
金系の熱処理効果を引き出すのに有効であり、軸受の基
本的な性質である耐焼付性を保持する上でも必要な元素
である。従って、ネットワーク構造を持たせるにはSn
含有量は6〜40%の範囲とするのが良く、6%未満で
はその効果が弱く、40%超過ではマトリックスの強度
が急減し、軸受としての耐荷重特性が問題となる。
【0031】2)Si:1〜10% Siは軸受合金において硬質粒子として存在し、耐摩耗
性や耐焼付性を向上させる成分であるが、1%未満では
その効果が乏しく、10%超過ではSiが粗大化し、合
金そのものが脆くなってしまう。 Mg:0.1〜1% Mgは前記の如く熱処理効果を引き出すために必要な添
加元素であり、0.1%未満ではその効果は不十分であ
り、1%を超えて加えるとSnを多量に含む軸受合金に
あっては鋳造時の巣の発生が多くなり、問題となる。同
時に合金が硬くなり過ぎ、本来軸受が必要とするなじみ
性や耐焼付性に問題が出る。
【0032】4)Cu:0.1〜1未満% CuはMgと共に熱処理効果に寄与するので必要に応じ
て添加する元素であり、0.1%未満ではその効果は少
なく、1%以上では合金が硬くなり、また、応力腐食割
れが発生するため問題となる。また、Cuを増すと耐食
性も悪化するので1%以上の添加は好ましくない。
【0033】5)Pb:0.1〜3% PbはSnと同様に潤滑の用に供される金属であり、少
量の添加で耐焼付性が飛躍的に向上するので必要に応じ
て添加されるが、0.1%未満では効果は無く、3%超
過では偏析を起こし、均一な分布が得られなくなる。従
って、添加量としては0.1〜3%が適切であり、Pb
添加により切削性も良くなり、軸受内面の仕上げ加工時
の精度向上にも役立つ。
【0034】6)Ag,Mn,Cr,Sb,Ni,V,
Ti,B,Zrのうちから選ばれる1種または2種以上
の合計:0.01〜3% これらの元素はAlマトリックスの強化に有効な元素で
あって、適性量添加すればマトリックス中に分散し、軸
受合金の耐疲労性を高める。しかし、0.01%未満で
は効果は少なく、3%超過では粗大な化合物を析出し、
割れが発生しやすくなるため、添加するとしてもこの範
囲に抑える必要がある。また、これらの元素の添加は熱
処理による応力割れを防止する効果もある。
【0035】7)熱処理条件 上記成分のAl−Sn系軸受合金は、裏金としてFe系
材料を用いる場合に、処理温度と処理時間によって裏金
との接合界面に脆いAl−Fe金属間化合物を生成す
る。この化合物の生成傾向は温度が高い程、また、時間
が長い程生成しやすくなる傾向を持つ。この生成傾向を
マトリックス的に表したものが図1であるが、520℃
よりも高い熱処理では時間を短くしても化合物が生成し
てしまうことが判明した。
【0036】一方、図2は軸受合金の熱処理効果を硬度
上昇で示したものであるが、この図2から明らかなよう
に処理温度が高いほど、また、時間が長いほど熱処理効
果が得られることが判る。そして、図1と図2を同時に
満足する図3に示す熱処理条件では界面に脆い金属間化
合物を生成させず、且つ、熱処理効果が得られる。
【0037】すなわち、処理温度範囲としては、Sn液
相が生成される380℃以上であり、Fe系裏金を用い
る場合には520℃以下であり、処理時間としては、1
〜10分が適切である。そして、この処理条件下で溶体
化し、Mgと場合によってはCuを過飽和に固溶させる
為には、少なくとも70℃/分の冷却速度で室温まで冷
却する必要がある。この冷却速度が70℃/分未満で徐
冷した場合、拡散溶体化したMgやCuが再び化合物化
し、マトリックスは強度を失ってしまう。また、その後
150℃〜200℃の温度で3時間以上72時間以内の
時効処理を加えることにより時効現象が起こり、材料強
度を押し上げる。しかし、この温度範囲から外れると時
効効果が無くなり、また、処理時間が3時間未満でも同
じく時効効果は少なくなり好ましくない。また、処理時
間が72時間を超えると過時効となり、材料が軟化して
しまう。
【0038】
【発明の効果】本発明に係わるAl−Sn系軸受材料に
よれば、請求項1に記載しているように、重量%で、S
n:6〜40%、Si:1〜10%、Mg:0.1〜1
%を含み、残部実質的にAlのAl−Sn系軸受合金を
用い、前記合金を380℃以上の温度で1〜10分間保
持したのち、少なくとも70℃/分の冷却速度で室温迄
冷却し、150℃以上200℃以下の温度で3〜72時
間保持する熱処理を施してなるものとしたから、軸受材
料としての耐焼付性やなじみ性を損なわず、Al−Sn
系合金の基本であるAlマトリックスがより一層強化さ
れ、靭性および耐疲労性がより一層向上したAl−Sn
系軸受材料を提供することが可能であるという著しく優
れた効果がもたらされる。
【0039】そして、請求項2に記載しているように、
Al−Sn系軸受合金が、Cu:0.1〜1未満%を含
んでいるものとすることによって、強度のより一層の向
上を実現することが可能であるという著しく優れた効果
がもたらされる。
【0040】そしてまた、請求項3に記載しているよう
に、Al−Sn系軸受合金が、Pb:0.1〜3%を含
んでいるものとすることによって、潤滑性能をさらに良
好なものとして耐焼付性をより一層向上させることが可
能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0041】さらにまた、請求項4に記載しているよう
に、Al−Sn系軸受合金が、Ag,Mn,Cr,S
b,Ni,V,Ti,B,Zrのうちから選ばれる1種
または2種以上の合計:0.01〜3%を含んでいるも
のとすることによって、マトリックスの強化により一層
寄与するものになるという著しく優れた効果がもたらさ
れる。
【0042】さらにまた、本発明による裏金付Al−S
n系軸受材料によれば、請求項5に記載しているよう
に、請求項1ないし4のいずれかに記載のAl−Sn系
軸受合金と、Snを含まないAl合金からなる中間層も
しくは純Alからなる中間層もしくはNiメッキ中間層
を介して裏金と圧接し、前記裏金付Al−Sn系軸受合
金を380℃以上520℃以下の温度で1〜10分間保
持したのち、少なくとも70℃/分の冷却速度で室温迄
冷却し、150℃以上200℃以下の温度で3〜72時
間保持する熱処理を施してなるものとしたから、軸受材
料としての基本である耐焼付性やなじみ性を損なうこと
なく、Alマトリックスが強化された靭性および耐疲労
性に優れた裏金付Al−Sn系軸受材料を提供すること
が可能であるという著大なる効果がもたらされる。
【0043】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこのような実施例のみに限定されな
いことはいうまでもない。
【0044】表1は比較例および本発明例のAl−Sn
系軸受合金成分を示したものである。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示す成分組成のAl−Sn系軸受合
金に通常の鋳造および圧延加工を施し、中間(接着)層
用の純アルミニウム板若しくはアルミニウム合金板をロ
ール圧延して複層アルミニウム板とした。次いで、この
複層アルミニウム板と裏金となる圧延鋼板(炭素量が
0.04〜0.20重量%の鋼板)を重ねて圧下率35
〜50%でロール圧接し、全体厚さが1.6mmの裏金
付アルミニウム合金軸受材料を得た。その後、最終工程
において比較例の一部と本発明例について以下に示す条
件で熱処理を行った。 得られた裏金付アルミニウム軸受材料を35mm角の大
きさに切り出し、鈴木式摩擦摩耗試験機にて、耐焼付性
を評価した。評価条件は表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】また、この裏金付アルミニウム軸受材料を
半割の軸受形状に加工し、アンダーウッド試験機にて耐
疲労性を評価した。評価条件は表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】また、これらの軸受合金自体の機械的性質
を把握するために、表1に示した各材料を鋳造および圧
延し、裏金付アルミニウム軸受材料と同じ加工率で合金
のみを圧延して1mm厚さの合金板を作成し、引張試験
と硬さ測定を行った。これらの結果を表4〜表6に示
す。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】表1および表4〜6においてNo.1から
No.8が比較例であり、No.9からNo.23が本
発明例であって、表4〜6はそれらの合金の機械的性質
および裏金付アルミニウム軸受材料(バイメタル材)の
焼付荷重と疲労荷重の結果を示すものである。
【0055】結果を総合すると、合金の機械的性質では
熱処理を施すことにより強度および耐力の改善が認めら
れ、硬さも上昇している。そして、特に耐力の改善が著
しく、例えば、比較例のMgを含まないNo.4を熱処
理したものはNo.7であるがこの場合硬さが増加する
程には耐力は増加せず、軸受材料の疲労荷重も向上して
いない 一方、同じ合金系のMgを含むNo.14では約40%
の耐力向上が認められ、アンダーウッド試験機による軸
受材料の疲労荷重も700kgf/cm(68.6M
Pa)から800kgf/cm2(78.4MPa)に
向上し、且つ、焼付荷重も改善されている。また、Pb
を含む場合においても同様のことが言え、Mgを含まな
いNo.6を熱処理しても耐力は大きく増加せず疲労荷
重も向上していないがMgを含むNo.16では約55
%の耐力向上が認められた。これは特筆すべきことで、
アンダーウッド試験機による軸受材料の疲労荷重も75
0kgf/cm(73.5MPa)から850kgf
/cm(83.3MPa)に向上し、且つ、焼付荷重
も改善されている。これらの傾向はNo.9〜23の何
れの合金系においても共通しており、本発明におけるS
nの介在するMgの添加効果、場合によっては共存する
Cuとの添加効果が顕著に現れている。また、Snの多
い材料においてもMgが0.3%含めば本発明に基づく
熱処理により軸受性能の格段の向上が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱処理条件によるAl−Fe金属間化合物の生
成の有無を調べた結果を例示するグラフである。
【図2】熱処理条件による硬度上昇の程度を調べた結果
を例示するグラフである。
【図3】Al−Fe金属間化合物が生成せずかつ硬度上
昇が認められた熱処理条件を例示するグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 631 C22F 1/00 631A 691 691A 691B 692 692A 1/04 1/04 A (72)発明者 塩 田 正 彦 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3J011 PA02 SB03 SB04 SB05 SB12 SB13 SB15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Sn:6〜40%、Si:1
    〜10%、Mg:0.1〜1%を含み、残部実質的にA
    lのAl−Sn系軸受合金を用い、前記合金を380℃
    以上の温度で1〜10分間保持したのち、少なくとも7
    0℃/分の冷却速度で室温迄冷却し、150℃以上20
    0℃以下の温度で3〜72時間保持する熱処理を施して
    なることを特徴とするAl−Sn系軸受材料。
  2. 【請求項2】 Cu:0.1〜1未満%を含んでいるA
    l−Sn系軸受合金を用いる請求項1に記載のAl−S
    n系軸受材料。
  3. 【請求項3】 Pb:0.1〜3%を含んでいるAl−
    Sn系軸受合金を用いる請求項1または2に記載のAl
    −Sn系軸受材料。
  4. 【請求項4】 Ag,Mn,Cr,Sb,Ni,V,T
    i,B,Zrのうちから選ばれる1種または2種以上の
    合計:0.01〜3%を含んでいるAl−Sn系軸受合
    金を用いる請求項1ないし3のいずれかに記載のAl−
    Sn系軸受材料。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のA
    l−Sn系軸受合金と、Snを含まないAl合金からな
    る中間層もしくは純Alからなる中間層もしくはNiメ
    ッキ中間層を介して裏金と圧接し、前記裏金付Al−S
    n系軸受合金を380℃以上520℃以下の温度で1〜
    10分間保持したのち、少なくとも70℃/分の冷却速
    度で室温迄冷却し、150℃以上200℃以下の温度で
    3〜72時間保持する熱処理を施してなることを特徴と
    する裏金付Al−Sn系軸受材料。
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