JPH0539507A - アルミニウム合金製オイルポンプ用ロータ及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製オイルポンプ用ロータ及びその製造方法

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JPH0539507A
JPH0539507A JP19658291A JP19658291A JPH0539507A JP H0539507 A JPH0539507 A JP H0539507A JP 19658291 A JP19658291 A JP 19658291A JP 19658291 A JP19658291 A JP 19658291A JP H0539507 A JPH0539507 A JP H0539507A
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aluminum alloy
powder
alloy
strength
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JP19658291A
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Inventor
Katsuyoshi Kondo
勝義 近藤
Yoshinobu Takeda
義信 武田
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】急冷凝固アルミニウム合金粉末で作られた高強
度、高耐摩耗性、高寸法精度のオイルポンプ用ロータと
その製造方法を提供する。 【構成】急冷凝固アルミニウム合金粉末を冷間又は温間
で相対密度75〜93%に予備成形し、次いで、この予
備成形体を不活性ガス雰囲気中300℃以上、560℃
以下で0.25〜3時間加熱脱ガス処理した後、直ちに
300〜560℃での熱間コイニングを行って空孔率2
〜5%の固化体となし、その後、この固化体をサイジン
グ処理する。予備成形体加熱時に不活性ガスによって蒸
発水とアルミニウムとの再反応が抑制されるので、固相
拡散の生じ易い状態で熱間コイニングが行われ、1回の
鍛造で粉末どうしが強固に結合する。また熱間コイニン
グの終了段階で固化体内に2〜5%の空孔が残存するの
で、その後サイジングを行って、寸法精度を高めること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、急冷凝固アルミニウム
(Al)合金粉末で作られた高強度、高耐摩耗性、高寸
法精度のオイルポンプ用ロータとその製造方法に関す
る。なお、本発明のロータは、高温強度にも優れてお
り、自動車の自動変速機(以下A/Tと云う)用オイル
ポンプに使用するのに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の燃費向上策の一貫として
自動車部品の軽量化が盛んに進められている。自動車用
のオイルポンプもその例にもれないが、従来のオイルポ
ンプは鉄製(ポンプケースは主として鋳物もしくはダイ
カスト)であり、そのため、A/T用オイルポンプはそ
の重量が5kgを越えている。これをAl合金化すると重
量は2kg以下となり、約60%の軽量化が図れる。ま
た、これによる周辺部品の軽量化によりポンプ性能の向
上等も期待できるようになる。
【0003】ところが、これまでに実用化されている種
々のAl合金はオイルポンプ用ロータ材としての適正に
欠ける。
【0004】例えば、ピストンや軸受などに使用されて
いるAC8BやA390等に代表されるAl溶製合金
(I/M合金)をロータに採用すると、Al合金同志の
摺動摩耗や面圧疲労に対する強度不足のため、歯面にお
いてはピッチング摩耗を出発点とする著しい摩耗損傷が
生じ、また、端面や外周部ではポンプケースとの焼付き
から生じる著しい摩耗が発生する。さらに、高速回転下
においてはシャフト接合部での強度不足による疲労破壊
を生じる。また、精密・複雑な形状創成に対しては冷間
鍛造加工等では不十分であるため切削加工が必要となる
が、耐摩耗性を高めるためにSi含有量を増やすと高S
i化に伴って初晶Siが粗大化するため切削性が悪化
し、強度の低下をも生じる。さらに、高温強度を向上さ
せるために必要なFeの含有量は3〜10%であるが、
5%を越えて添加すると粗大な針状組織となるため合金
の靱性が低下し、従って、高温強度も満足に確保できな
い。
【0005】また、急冷凝固粉末治金法で得られるAl
−高Si系の粉末合金(P/M合金)をロータに用いる
と、高Si含有のため熱膨張率が低く、ポンプケースと
の熱膨張率差が大きくなるので150℃付近まで温度が
上昇したときケースとの間のクリアランスが大きくなっ
てポンプ性能が低下する。また、この系の合金は高温強
度に問題があることから高温環境下で使用するロータへ
の適用は難しい。
【0006】さらに、同じ急冷凝固粉末治金法で得られ
るAl−高Zn系のP/M合金も、製造時の著しい時効
硬化により高温強度は有するものの、耐熱性、耐摩耗性
に問題があるため、やはり高温環境下で使用するロータ
には適していない。
【0007】このほか、急冷凝固のP/M合金にSi
C、TiC、Al2 3 の粒子等の硬質粒子を添加し、
耐摩耗性を向上させることが行われているが、この種の
合金もAl−高Si系P/M合金と同様高温強度に問題
がある。
【0008】そこで、急冷凝固Al合金粉末の組成を工
夫して上記の不具合を解消することを考えた。しかしな
がら、材料粉末の特性がいかに優れていても、材料の準
安定状態の合金相を保ち、かつ、微細組織を保って合金
粉末の完全結合を行わしめなければ要求特性を満たすロ
ータは得られない。
【0009】鉄系合金粉末の場合、圧粉成形後の焼結に
よって完全結合の目的を達成することができるが、Al
合金粉末は、表面に生じている酸化膜が拡散結合を阻害
するので、焼結操作は殆んど採用できない。極めて高温
の共晶液相を利用すれば焼結可能であるが、このような
焼結作用は材料の準安定状態の合金相を著しく損うため
部品の強度を維持できず、実質的に意味がない。
【0010】このため、一般的には熱間鍛造法を利用
し、適切な加熱、加圧を行うことで酸化皮膜を十分に除
去もしくは分断、破壊して粉末どうしを圧着させて金属
結合及び固相拡散を生じさせる方法が採られる。
【0011】その具体例としては、例えば特開昭63−
60265号がある。これに示される製造方法は、大気
雰囲気中で粉末成形体を熱処理して粉末粒子表面に吸着
している水分を先ず除去する。また、粉末表面の酸化膜
を破壊して粉末どうしを結合させるために粉末成形体を
加熱した後、予備的な熱間密閉型鍛造を経てから再度熱
間鍛造を実施する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】Al合金粉末表面の酸
化膜は、粉末製造工程及び粉末成形体の加熱工程におい
て生成される。後者の工程では粉末成形体の加熱温度が
300℃以上になるとAl粉末粒子に吸着している結晶
水が蒸発し、これとAlが反応して粉末表面に強固な酸
化Al皮膜ができる。
【0013】しかるに、上述した特開昭63−6062
5号の方法では、先ず大気中で成形体を加熱して吸着水
分を除去するので、除去された水分が再度Alと反応し
て粉末の結晶を害する酸化Al皮膜が生じる。その皮膜
は、次工程の予備的熱間密閉鍛造によって破壊するが、
これでは、熱間鍛造工程が計2回となるので生産性や製
造コスト面で不利になる。
【0014】また、Fe、Ni、Crなどの遷移元素を
添加した急冷凝固Al粉末の場合、遷移元素とAlとの
金属間化合物(例えばFeAl3 、NiAl3 、CrA
3 等)が組織中に微細に析出している。この金属間化
合物は素地のAlに対する拡散係数が極めて小さいので
遷移元素を多量に含有するような場合には、加熱処理に
より粗大化する金属間化合物がAl粉末どうしの拡散結
合を阻害し、従って、鍛造を2回に増やしても十分な強
度、靭性を得難い。
【0015】さらに、熱間鍛造法では、金属、及び粉末
成形体の熱膨脹、熱収縮を伴い、これによる固化体の寸
法変化が生じるため加工終了段階で鉄系焼結部品並の高
寸法精度を得るのが難しい。
【0016】鉄系焼結部品は、成形、焼結後に内部に残
存する10〜20%の空孔を利用し、これを加圧により
部分的に潰して全体としては大きな塑性変形を生じさせ
ずに局所的に金型に沿った形状に変形することで寸法精
度を高めるいわゆるサイジングを行って高寸法精度を確
保している。ところが、このサイジングは、上述した通
り、残存空孔を利用した圧縮性材料の局所組成変形法で
あって、真密度の鍛造や伸線・スエージなどの非圧縮性
材料の組成変形とは変形のメカニズムが全く異なるの
で、対象物が十分な固化強度と適量の残存空孔を有して
いなければ利用することができない。アルミニウム合金
は、内部に10〜20%もの空孔が残存すると強度が著
しく低下するのでサイジング実施のための条件を見たし
得ない。一方、強度確保のために空孔をもたない真密度
の鍛造体にするとサイジングにならず、再鍛造となるた
め寸法精度は向上しない。
【0017】内接歯車型ポンプのロータは、インナーロ
ータ、アウターロータのいずれか一方にトロコイド曲
線、インボリュート曲線又はこれ等と同等の性能を有す
る歯面形状を採用しており、この面を高精度に作らない
と歯と歯の噛み合いがしっくりいかず、ポンプ性能に影
響が出るが、鍛造仕上げではどうしても寸法精度が悪く
なる。
【0018】本発明は、これ等の課題を解決するのに有
効なAl合金製のオイルポンプ用ロータとその製造方法
を提供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するため、急冷凝固アルミニウム合金粉末を冷間又
は温間で相対密度75〜93%に予備成形し、次いで、
この予備成形体を不活性ガス雰囲気中300℃以上、5
60℃以下で0.25〜3時間加熱脱ガス処理した後、
直ちに300〜560℃での熱間コイニングを行って空
孔率2〜5%の固化体となし、その後、この固化体をサ
イジング処理してポンプ用ロータに仕上げる方法を採
る。
【0020】また、本発明のロータは、上述した方法で
作って粉末の密着性や寸法精度を高めるが、これ以外に
も高温での強度、耐摩耗摺動特性が要求され、さらに、
熱膨張系数がポンプケースのそれに近似していることが
要求されるので、原料粉末として次のもの、即ち、F
e、Ni、Cuから選ばれた遷移元素のアルミ化合物を
分散強化粒子とし、マトリックスが重量比でCu:1〜
5%、Mg:0.2〜1.5%、Mn:0.2〜1%を
含有する溶体化時効硬化性アルミニウム合金から成る多
重強化アルミニウム合金であって、前記分散強化粒子を
形成する遷移元素を少なくとも一種含むと共にその遷移
元素の添加量は重量比でFe:3〜10%、Ni:3〜
10%、Cr:2〜8%、合計で15%を越えない範囲
にあり、さらに、分散強化粒子構成元素としてMo、
V、Zrから選ばれた1種又は1種以上の元素をそれぞ
れ重量比で1〜5%、合計で5%を越えない範囲含有
し、なおかつ、Si:5〜17%を含有する急冷凝固ア
ルミニウム合金粉末を用いる。なお、かかる本発明のロ
ータは、表面に電解Ni−P−BNメッキ処理、無電解
Ni−Pメッキ処理、或いは硬質アルマイト処理を施し
たり、レーザ、電子ビーム等の高密度熱処理で表層部を
硬化させたりして摺動部の耐摩耗性を更に高めることが
可能である。
【0021】
【作用】先ず、材料合金中の各成分の作用とその含有量
について述べる。
【0022】Fe:Alとの金属間化合物を生成して高
温強度を向上させる。その量が3%未満では添加効果が
充分でなく、一方、10%を越えると金属間化合物が粗
大化して得られる部品の強度が低下する。
【0023】Ni:Feと同様、Alとの金属間化合物
を生成して高温強度を高める。その量が3%未満又は1
0%超ではFe過不足時と同様の問題を生じる。
【0024】Cr:耐食性を向上させ、また、それ自身
がマトリックス中に微細に分散し、かつAlとの微細な
金属間化合物を生成して強度を向上させる。その添加量
が2%未満では効果が充分でなく、また、8%を越えて
も効果は特に伸びず、晶出物が粗大化して強度、靭性が
かえって低下する。
【0025】なお、これ等の遷移元素は単独添加、混合
添加のいずれでも効果があるが、混合添加時の総量が1
5%を越えても効果は特に伸びない。逆に、原料粉末の
製造過程での高融点元素の添加量が増え、均一溶体化温
度を高温側に移行させることになるので原料費の面では
不利になる。
【0026】Si:Al素地中に微細に分散して強度を
向上させ、また、前述の遷移元素とAlとの化合物の粗
大化を抑制する。その量が5%未満では効果が薄く、ま
た、17%を越すと初晶Siの粒径が大きくなり、合金
の強度、靭性が低下するほか、粉末の鍛造性も悪くな
る。
【0027】SiC、TiC、Al2 3 :Siと同様
の働きをする。その量が10%(この場合はvo1比)
未満では効果が不足し、30%を越えると粉末の鍛造性
が悪くなり、ポンプケースとの熱膨張率にも開きがでて
くる。
【0028】Cu及びMg:両者は固溶強化により強
度、硬度等の機械的特性を向上させ、同時にAl素地中
に析出して上記遷移元素とAlとの化合物の粗大化を抑
制する。Cuについてはその量が1%に満たないと効果
が不足し、また、5%を越えても効果の伸びがなく、逆
に耐食性の低下を招く。Mgについては0.5%未満で
は効果が不足し、1.5%を越えると効果の伸びがない
だけでなく晶出物が粗大化してかえって強度、靭性が低
下する。
【0029】Mn:Al合金を固溶強化し、また、繊維
組織化して強度を向上させ、かつ、遷移元素とAlとの
金属間化合物の粗大化を抑制する。その量が0.2%未
満では効果が不充分。また、1%を越えても効果は高ま
らず、粗大晶出物を生じるため強度、靭性がかえって低
下する。
【0030】Mo、V、Zr:これ等はAl素地中に微
細かつ均一に分散して素地の強度を高める。いずれの元
素も1%未満では効果が充分でなく、また、合計添加量
が5%を越えるとこれ等の分散粒子における切欠感受性
が大きくなって強度が低下する。
【0031】次に、本発明方法の作用や限定条件等につ
いて述べる。
【0032】(1)使用材料 I/M合金はP/M合金と違って急冷凝固の効果をもた
ないため組成が同じであってもP/M合金のように高強
度が得られない。従って、本発明では急冷凝固Al合金
粉末を原料として用いる。
【0033】(2)粉末成形 残留空孔は、通常の粉末冶金法の場合、相対密度約94
%を境として連結空孔から孤立空孔に変わっていくが、
粉末の予備成形体の段階で残留空孔が孤立していると、
次工程の加熱脱ガスがうまくいかない。この加熱脱ガス
処理のためには蒸発成分の通過に支障の無い大きさの連
結空孔を必要とし、この要求に応え得る範囲として予備
成形体の相対密度を75〜93%に定めた。この予備成
形体は最終製品に近い形に成形するほど後工程での成形
が容易になってコスト面で有利になる。
【0034】(3)加熱処理 Al合金粉末粒子に吸着している水分及びその他の有機
成分を蒸発、除去して粉末どうしを完全結合させるのに
必要である。加熱温度が300℃未満又は加熱時間が
0.25時間未満では吸着成分の蒸発が十分に進まな
い。また、300℃以上の加熱では蒸発した結晶水がA
lと再反応して酸化Al皮膜を生成する恐れがあるが、
この発明では予備成形体をアルゴン、窒素等の不活性ガ
ス雰囲気中に置いているので蒸発水のAlとの再反応が
抑えられ、粉末どうしが結合し易い状態に保たれる。
【0035】なお、加熱温度が560℃を越えるか又は
加熱時間が3時間を越えると粉末内の微細組織が崩れて
急冷凝固による粉末の特性が失われる。従って、予備成
形体の加熱は不活性雰囲気下で行い、かつ、この際の条
件として加熱温度300〜560℃、加熱保持時間0.
25〜3時間を設定した。
【0036】(4)熱間コイニング(熱間型押鍛造) 前工程で表面の水分及びその他の有機物が除去されたA
l合金粉末を加熱、加圧して表面の酸化膜を十分に分
断、破壊した後、粉末どうしを圧着させ、これにより、
金属結合及び固相拡散を生じさせて粉末を完全に結合さ
せる。
【0037】この工程において、熱間コイニングに引続
き同一金型臼内で杵や中栓を作動させて先方及び/若し
くは後方押出鍛造処理を行うと加圧方向と並行方向及び
/若しくは垂直方向の塑性流動で予備成形時には無かっ
た突起等を生じさせることができ、従って、部品形状が
多少複雑になっても実質的な鍛造は1回で済み、ロータ
の製造は比較的簡単である。
【0038】この熱間コイニングは、300℃未満の温
度では粉末間での十分な金属結合及び固相拡散が生じ
ず、粉末どうしの完全結合の目的が達成されない。一
方、560℃を越えると金属間化合物やその他の微細分
散粒子が粗大化して急冷凝固による粉末の特性を失い、
かつ粉末成形体と金型との焼付き等も生じ易くなる。
【0039】熱間コイニング時の加圧力は、固化体内の
空孔率が2〜5%となる値に制御する必要がある。空孔
率が5%以上ではA/T用オイルポンプロータの場合強
度不足となる。また、空孔率が2%以下では固化体の圧
縮性が悪くなってサイジングによる高精度の確保が困難
になる。
【0040】図1は表1に示す成分組成の急冷凝固Al
合金粉末を用いたときのサイジング能、固化体強度と空
孔率の関係を示している。これから判るように、空孔率
を2〜5%にすればA/T用オイルポンプの内接歯車式
ロータに要求される高強度と高精度を併せて得ることが
できる。
【0041】
【表1】
【0042】(5)サイジング処理 この処理は、金型を加熱せず常温のままで使用する冷間
サイジング、金型を300℃以下の一定温度に加熱して
温度制御しながら使用する温間サイジングのどちらであ
ってもよい。この条件の選択は、製造するロータの形
状、材質、仕上げ寸法精度などを考慮して最適な条件を
選ぶことになる。なお、ロータの寸法精度は、このサイ
ジングによる固化体の局所変形によって高まるが、サイ
ジング時に焼付き等が起こると高寸法精度を得難くなる
ので、サイジング処理は一般に使用される油などの液体
又は固体潤滑剤を使用して行うのが望ましい。
【0043】このように、本発明の方法では、不活性雰
囲気中での加熱により蒸発水分とAlとの再反応を防止
しながら粉末表面の結合阻害物を除去し、酸化皮膜が再
生成していない状態で予備成形体を熱間コイニングして
粉末どうしを強固に結合させた後、残存空孔を利用して
サイジングを行うので、機械的特性に優れ、しかも寸法
精度が高いAl合金製オイルポンプ用ロータを1回の熱
間鍛造で比較的簡単に経済的に製造することができる。
【0044】
【実施例】表2に示す配合組成のA〜Oの急冷凝固Al
合金粉末を用いて表3に示す条件で外径80mm×内径6
0mm×厚さ10mmのリングを作った。表2のA〜Jの材
料は本発明のロータ材、K〜Oは比較合金である。ま
た、表3のNo1〜No15の試料は本発明の方法で、
No16〜No20の試料は比較製造で各々作った。そ
して、これ等の各試料についてサイジング後の特性(引
張強度及び伸び)と寸法精度(内・外径の真円度と厚さ
バラツキ)を調べた。その結果を表3に併せて示す。
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】この結果から、温度、時間を特定した不活
性ガス雰囲気下での加熱脱ガス処理が強度の向上(粉末
の結合)に有効なことが、また、サイジング処理が寸法
精度の向上に有効なことが良く判る。
【0048】次に、図2に示すようなオイルポンプ用ア
ウターロータ1、インナーロータ2を表2のA〜Oの粉
末材料を用いて本発明の方法で製造し、表4の組合わせ
にしてポンプケース3内に組込み、回転数:7000r
pm、温度:150℃、油圧:20kg/cm2 、運転時
間:50時間の摺動条件での運転によるポンプ性能の評
価試験を行った。その結果を表4に併せて示す。
【0049】
【表4】
【0050】これから判るように、本発明のロータは高
温下での使用でも優れた性能を発揮する。
【0051】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法によれ
ば、急冷凝固Al合金粉末を材料合金の特性を維持しな
がら1回の熱間鍛造で強固に結合させ、その後のサイジ
ング処理で高精度に仕上げることができる。
【0052】また、この方法で得られる本発明のオイル
ポンプ用ロータは粉末の結合が強固になり、かつ寸法精
度が高まると云う製造方法の効果と材料組成の改善によ
る効果(摩耗摺動特性並びに高温強度が高まり、熱膨張
率はポンプケース用Al合金に近づく)の双方が生かさ
れ、高温下で使用しても信頼性が低下しない。従って、
本発明によればAl合金化を図った軽量のA/T用オイ
ルポンプを提供することが可能となり、自動車の燃費改
善や周辺部品の軽量化によるポンプ性能の更なる向上等
につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1の組成の合金のサイジング能及び固化体強
度と残存空孔率の関係を示すグラフ
【図2】本発明のポンプロータの一例を示す端面図
【符号の説明】
1 アウターロータ 2 インナーロータ 3 ポンプケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F04C 29/00 D 8608−3H U 8608−3H

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 急冷凝固アルミニウム合金粉末を冷間又
    は温間で相対密度75〜93%に予備成形し、次いで、
    この予備成形体を不活性ガス雰囲気中300℃以上、5
    60℃以下で0.25〜3時間加熱脱ガス処理した後、
    直ちに300〜560℃での熱間コイニングを行って空
    孔率2〜5%の固化体となし、その後、この固化体をサ
    イジング処理することから成るアルミニウム合金製オイ
    ルポンプ用ロータの製造方法。
  2. 【請求項2】 Fe、Ni、Cuから選ばれた遷移元素
    のアルミ化合物を分散強化粒子とし、マトリックスが重
    量比でCu:1〜5%、Mg:0.2〜1.5%、M
    n:0.2〜1%を含有する溶体化時効硬化性アルミニ
    ウム合金から成る多重強化アルミニウム合金であって、
    前記分散強化粒子を形成する遷移元素を少なくとも一種
    含むと共にその遷移元素の添加量は重量比でFe:3〜
    10%、Ni:3〜10%、Cr:2〜8%、合計で1
    5%を越えない範囲にあり、さらに、分散強化粒子構成
    元素としてMo、V、Zrから選ばれた1種又は1種以
    上の元素をそれぞれ重量比で1〜5%、合計で5%を越
    えない範囲含有し、なおかつ、Si:5〜17%を含有
    する急冷凝固アルミニウム合金粉末を原料としてインナ
    ー、アウターの両ロータを請求項1記載の方法で作って
    ある内接歯車型のアルミニウム合金製オイルポンプ用ロ
    ータ。
JP19658291A 1991-04-03 1991-08-06 アルミニウム合金製オイルポンプ用ロータ及びその製造方法 Pending JPH0539507A (ja)

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