JPH11293374A - 耐熱耐摩耗性アルミニウム合金およびその製造方法 - Google Patents

耐熱耐摩耗性アルミニウム合金およびその製造方法

Info

Publication number
JPH11293374A
JPH11293374A JP10116135A JP11613598A JPH11293374A JP H11293374 A JPH11293374 A JP H11293374A JP 10116135 A JP10116135 A JP 10116135A JP 11613598 A JP11613598 A JP 11613598A JP H11293374 A JPH11293374 A JP H11293374A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
aluminum alloy
resistant
heat
wear
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10116135A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Kaji
俊彦 鍛冶
Hisao Hattori
久雄 服部
Manabu Hashikura
学 橋倉
Yoshinobu Takeda
義信 武田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP10116135A priority Critical patent/JPH11293374A/ja
Publication of JPH11293374A publication Critical patent/JPH11293374A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性および耐磨耗性に優れたアルミニウム
合金およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金は、Siを10〜30
mass%、Tiを1〜5mass%、FeおよびNi
の少なくともいずれかを総量で3〜10mass%、M
gを0.05〜1.0mass%含有し、残部が実質的
にAlからなり、Siの平均結晶粒径が2μm以下であ
り、Si以外の金属間化合物相の平均粒径が1μm以下
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱耐磨耗性アル
ミニウム合金およびその製造方法に関し、特に、300
℃以上で使用でき、しかも耐磨耗性を要求されるピスト
ンやエンジン部品として好適な耐熱耐磨耗性アルミニウ
ム合金およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】耐熱および耐磨耗性を有するアルミニウ
ム粉末合金を示すものには、特開平3−177530号
公報(「耐熱耐クリープ性アルミニウム合金」、東洋ア
ルミニウム)がある。この公報には、Si、Fe、N
i、Cr、Mn、Mo、Zr、V、Tiなどを含有した
Al合金が主に示されている。また、エアーアトマイズ
法により得られた急冷凝固粉末を冷間予備成形で成形体
とした後に450℃で押出しを行なうことでアルミニウ
ム合金を製造することが示されている。
【0003】また耐熱および耐磨耗性を有し、かつ高温
での変形性能に優れたアルミニウム粉末合金を示すもの
には、特開平8−232034号公報(「超塑性アルミ
ニウム合金材料およびその製造方法」、豊田中央研究
所)がある。この公報には、Si、Mn、Fe、Cuお
よびMgを含有したAl合金が主に示されている。ま
た、エアーアトマイズ法で得られた急冷凝固粉末を圧粉
成形によってプリフォームした後に押出を行ない、さら
に熱間スエージ加工を行なうことでアルミニウム合金を
製造することが示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記2つの公報に示さ
れた技術には、以下に述べるような問題点があった。
【0005】特開平3−177530号公報に示された
製造方法では、固化時の熱履歴に特別な配慮がなされて
いないため、固化時に合金の特性が低下してしまうとい
う問題点があった。また、微細組織を利用して高温で超
塑性的に固化と造形を一度に行なう、つまり粉末を直接
鍛造するという発想がないため、固化材はその後、塑性
変形させにく特性と組織を有するものとなっているとい
う問題点もあった。
【0006】また特開平8−232034号公報の合金
組成では、組織中のSi結晶の耐熱性および微細化性が
まだ不十分であり、合金マトリクスの耐熱性も十分でな
いという問題点があった。また高温での超塑性的な造形
を行なうために必要な組織の微細化を達成するために熱
間スエージ工程が付加されているため、コスト高になる
という問題点もあった。
【0007】それゆえ本発明の1の目的は、耐熱性およ
び耐磨耗性に優れたアルミニウム合金を提供することで
ある。
【0008】また本発明の他の目的は、耐熱性および耐
磨耗性に優れたアルミニウム合金を良好な造形手法を用
いて安価なプロセスで製造できるアルミニウム合金の製
造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】良好な耐熱性および耐磨
耗性を有するアルミニウム合金を良好な造形手法を用い
て安価なプロセスで製造することを達成するには、以下
の各項目を満たすことが必須であることを本願発明者ら
は見い出した。 1.耐熱かつ耐磨耗性を有し、高温で超塑性変形が発現
するに十分な微細構造を有する合金組成および組織の急
冷粉末を得ること。 2:その粉末の冷間予備成形体を急速に加熱して、粉末
の有する微細構造を粗大化させることなく、固化と造形
とを一度に行なうこと。
【0010】本発明の一の局面に従う耐熱耐磨耗性アル
ミニウム合金は、Siを10〜30mass%、Tiを
1〜5mass%、FeおよびNiの少なくともいずれ
かを総量で3〜10mass%、Mgを0.05〜1.
0mass%含有し、残部が実質的にAlからなり、S
iの平均結晶粒径が2μm以下であり、Si以外の金属
間化合物相の平均粒径が1μm以下である。
【0011】本発明の一の局面に従う耐熱耐磨耗性アル
ミニウム合金は、上記の組成を有するとともに微細な結
晶組織を有するため、良好な耐熱性および耐磨耗性を有
している。
【0012】Siを10〜30mass%としたのは、
Siは合金中にSi結晶として晶出し耐磨耗性の向上に
役立つものであり、10%未満だと耐磨耗性の向上は少
なく、30%を超えると材料が脆性になるからである。
【0013】Tiを1〜5mass%としたのは次の理
由に基づく。TiはAl−Ti系の微細金属間化合物を
生成してAlマトリクス中に微細に晶出してマトリクス
の耐熱性を高める効果が従来より知られている。これに
加えて本願発明者らは下記の効果を見い出し、本発明に
至った。つまり、TiはSi結晶粒を微細化する効果も
持ち、これによって高温での引張強さを上昇させ、それ
に伴って高温での耐磨耗性も向上させる。Tiの量が1
%未満だと、上記Si結晶の耐熱性向上や微細化効果が
少なく、5%を超えると効果が飽和してしまう。
【0014】FeおよびNiの少なくともいずれかを総
量で3〜10mass%としたのは次の理由に基づく。
FeはAl−Fe系の微細金属間化合物をAlマトリク
スに晶出してマトリクスの耐熱性を高める働きをするも
のである。Niを含有せずFeを単独で含有する場合、
Feの含有量が3%未満だと耐熱性の効果がなく、10
%を超えると大きな針状の金属間化合物が晶出するよう
になって材料が脆性になる。
【0015】またFeを単独で添加してもよいが、Ni
との複合添加をするとAl−Fe系金属間化合物がAl
−Fe−Niの3元系金属間化合物になることによって
より細かくなる。合計で3%未満だと耐熱性向上の効果
が小さくなり、10%を超えるとアルミニウム合金が脆
性になる。
【0016】Mgを0.05〜1.0mass%とした
のは次の理由に基づく。極く微量のMgは、粉末を48
0℃以上に加熱すると表面にでてきて下記の反応を起こ
すことで、アルミニウム合金粉末表面の酸化皮膜(結晶
水を有する)を破壊してアルミニウムの新生面を露出す
る働きを有する。
【0017】 Mg+Al23 ・H2 O→MgAl24 +H2 ↑ 本発明では急速加熱の粉末鍛造を用いることによって、
短熱履歴を達成し、それによって粉末の微細組織を利用
した超塑性的な鍛造をしようとしているため、Mgを入
れて粉末の接合性を高めることは非常に有効である。M
gの量が0.05%未満だと上記効果が少なく、1.0
%を超えると合金の耐熱性を低下させてしまったり、ア
ルミニウム合金が室温で脆性になったりする。
【0018】Siの平均結晶粒径を2μm以下としたの
は、2μmを超えると高速超塑性変形の際にボイドが発
生してしまうからである。
【0019】その他の金属間化合物相の平均粒径を1μ
m以下としたのは、1μmを超えると高速超塑性変形が
発生しづらくなるからである。
【0020】本発明の他の局面に従う耐熱耐磨耗性アル
ミニウム合金は、Siを10〜30mass%、Tiを
1〜5mass%、FeおよびNiの少なくともいずれ
かを総量で3〜10mass%、Mgを0.05〜1.
0mass%含有し、残部が実質的にAlからなり、T
iがSi結晶中に2mass%以上固溶している。
【0021】本発明の他の局面に従うアルミニウム合金
は、所定の組成を有するとともに、TiをSi結晶中に
所定量固溶させているため、良好な耐熱性および耐磨耗
性を有する。
【0022】本願発明者らはTiについて下記の効果を
見い出し、本発明をするに至った。つまり、TiはSi
結晶に固溶することによって、Si結晶の耐熱性を高め
るとともに、Si結晶の冷却速度が遅くなっても粗大化
するのを防ぐ。Al−Siの2元系合金よりもAl−S
i−Fe系金属粉末(またはAl−Si−Fe−Ni系
金属粉末)方が、Siの結晶は小さくなることが知られ
ている。これはSi結晶に接してAl−遷移金属系の金
属間化合物が晶出することでSi結晶の粗大晶出を妨げ
るためと考えられるが、その効果も粉末の冷却速度が小
さくなる(=大きな粉末)と効果がなくなってしまう。
本願発明者らは、Tiを添加することによって、大きな
粉末でもSi結晶が小さいことを発見した。そしてさら
にSi結晶中にTiが固溶していることを発見した。な
お、他の遷移金属ではそのような例はない。
【0023】以上よりTiがSi結晶中に固溶すことに
よって、Si結晶の耐熱性を高めるとともに、Si結晶
の粗大化を防ぐため耐磨耗性を向上させることができ
る。またSi結晶中のTiの固溶量を2mass%以上
としたのは、2mass%未満だと上記Si結晶の耐熱
性向上や微細化効果が少なくなってしまうからである。
【0024】上記2つの局面において好ましくは、Fe
のみが3〜10mass%含有されている。
【0025】上述したようにFeの含有量が3%未満だ
と耐熱性の向上がなく、10%を超えると大きな針状の
金属間化合物が晶出するようになって材料が脆性になる
からである。
【0026】上記2つの局面において好ましくは、Fe
が1〜8mass%、Niが1〜8mass%含有され
ており、FeとNiとの総量が3〜10mass%であ
る。
【0027】上述したようにFeとNiとの総含有量が
3%未満だと耐熱性向上の効果が小さくなり、10%を
超えると材料が脆性になるからである。またFeとNi
との各々の含有量を1〜8mass%としたのは、1%
未満だと複合添加効果が小さくなり、8%を超えるとF
eまたはNiのいずれかの元素が多くなってしまって複
合添加効果が小さくなってしまうからである。
【0028】上記2のつ局面において好ましくは、Mm
(ミッシュメタル)が1〜5mass%含有されてい
る。
【0029】MmはAl−遷移金属系金属間化合物を小
さくしたり、Si結晶を微細にして室温から高温までの
引張強さを向上する働きを有する。Mmの含有量が1%
未満では上記効果が小さく、5%を超えると上記効果が
飽和してしまう。
【0030】上記2つの局面において好ましくは、Zr
が1〜3mass%含有されている。
【0031】Zrは、耐熱性を向上させるために上記M
mとの同時添加が有効である。Zrの含有量が1%未満
だと上記効果が小さく、3%を超えると上記効果が飽和
してしまう。
【0032】上記2つの局面において好ましくは、Cu
が0.5mass%以下含有されている。
【0033】Cuは耐熱性を低下させるため極力添加し
ないことが望ましく、耐熱性を低下させない限度が0.
5%である。
【0034】上記2つの局面において好ましくは、Pが
0.005〜0.03mass%、Naが0.05ma
ss%以下、Caが0.05mass%以下含有されて
いる。
【0035】PはAlP化合物を作ってSi初晶の結晶
核となってSi初晶を微細化する(Si量が17%以上
でないと効果はない)。Pの含有量が0.005%未満
だと上記効果が小さく、0.03%を超えると上記効果
が飽和してしまう。またNaおよびCaは、Pと作用し
てAlP合成を妨げてしまう。NaおよびCaのどちら
とも0.05%未満ならば上記の害はない。
【0036】上記2つの局面において好ましくは、平均
粒径が1〜5μmの硬質粒子が2〜10体積%分散した
組織をアルミニウム合金は有している。
【0037】硬質粒子は高温での耐磨耗性を向上させる
のに役立つ。1μm未満の微細硬質粒子を均一に混合す
ることは工業的に大変困難であり、かえって粒子が凝集
してしまって材料を脆くさせてしまい、耐磨耗性を悪化
させる。硬質粒子の平均粒径が5μmを超えると、被削
性が悪化する(チップ磨耗が大きくなる)。また2体積
%未満では耐磨耗性向上効果が小さく、10体積%を超
えるとやはり材料が脆くなるとともに被削性が悪化す
る。
【0038】上記2つの局面において好ましくは、硬質
粒子が、酸化アルミニウム、炭化珪素、窒化アルミニウ
ム、グラファイト、窒化珪素および窒化硼素からなる群
から選ばれる1種以上よりなっている。
【0039】これらの材料は工業的に容易に入手可能で
あり、かつ高温での硬度も高い。上記2つの局面におい
て好ましくは、アルミニウム合金はピストンまたは吸気
バルブとして使用される。
【0040】本発明の耐熱耐磨耗性アルミニウム合金の
製造方法は、Siを10〜30mass%、Tiを1〜
5mass%、FeおよびNiの少なくともいずれかを
総量で3〜10mass%、Mgを0.05〜1.0m
ass%含有し、残部が実質的にAlからなる耐熱耐磨
耗性アルミニウム合金の製造方法であって、アルミニウ
ム合金溶湯をガスアトマイズすることによって、急冷凝
固粉末を得て、急冷凝固粉末を熱間塑性加工することに
よって固化体を得る工程において、熱間塑性加工時の加
熱において300℃以上での昇温速度が10℃/秒以上
であり、固化時に480℃以上に加熱して固化する。
【0041】本発明の耐熱耐磨耗性アルミニウム合金の
製造方法では、Tiを所定量含んでいるため、上述した
ようにSi結晶粒を微細化させることができる。また熱
間塑性加工時の加熱において300℃以上での昇温速度
が10℃/秒以上と短熱履歴としているため、Si結晶
粒の粗大化を防止できる。このようにSi結晶粒が微細
な状態で熱間塑性加工を行なうことができるため、粉末
の微細組織を利用した超塑性的な鍛造ができ、固化と造
形とを一度に行なうことが可能となる。このため、加工
工程の簡略化を図ることができ、安価なプロセスで耐熱
性および耐磨耗性に優れたアルミニウム合金を良好な造
形手法で製造することができる。
【0042】また、Mgを所定量含んでおり、かつ固化
時に480℃以上に加熱して固化するため、上記のよう
に粉末の微細組織を利用した超塑性的な鍛造を行なって
も、粉末同士の接合性を高めることができる。
【0043】なお、熱間塑性加工時の加熱において、3
00℃以上での昇温速度を10℃/秒以上としたのは、
これより大きな熱履歴ではSi結晶粒がオストワルド成
長を始めるためである。
【0044】固化時に480℃以上に加熱して固化する
こととしたのは、Mgを入れた効果を出すための方策で
ある。つまり、480℃未満の温度だと粉末の接合性が
悪くなり、延びが出なくなる。
【0045】上記のアルミニウム合金の製造方法におい
て好ましくは、固化は粉末鍛造により行なわれる。
【0046】粉末鍛造は、押出法に比べて粉末の歩留り
の良い手法だからである。上記のアルミニウム合金の製
造方法において好ましくは、ガスアトマイズでの粉末の
冷却速度が100℃/秒以上である。
【0047】この冷却速度とすることにより、本発明の
組成の合金では、Siの平均結晶粒径を2μm以下と
し、かつその他の金属間化合物相の平均粒径を1μm以
下と微細組織にすることができる。
【0048】
【実施例】実施例1 表1に示す試料1〜4の組成の粉末をエアーアトマイズ
法で作製し、100meshで篩粉して使用した。
【0049】
【表1】 面圧6ton/cm2 でφ80×50mmの成形体を作
製し、試料3と4とに関してはこれを誘導加熱で300
℃から500℃まで20秒間で加熱(加熱パターンB)
し、ピストン形状に鍛造した。金型の温度は400℃
で、クランクプレスを使用した。試料1と2とに関して
は300℃から450℃まで690秒間で加熱(加熱パ
ターンA)し、同様に鍛造した。なお、加熱パターンA
およびBの条件を表2に示す。
【0050】
【表2】 合金の耐熱性を調査する目的で、鍛造体の頭頂部から引
張試験片(平行部φ3×5mm)を切出し、引張試験を
室温300℃にて行なった。
【0051】また合金の高温での耐磨耗性を調べる目的
で、頭頂部から切出したφ30×10×厚み3mmのリ
ングを250℃のエンジンオイル雰囲気中で、相手材と
して□40×5mmのSUS420にCrめっきを施し
たディスクを用いて面圧20MPaで200mの試験を
行ない、磨耗深さ(μm)を比較した。また組織観察を
SEMにて行なった。
【0052】室温および高温での引張強さ、延び、Si
粒径、その他の金属間化合物相(IMC)の平均粒径、
300℃での磨耗量および鍛造亀裂についての結果を表
3に示す。また試料2と4との合金の組織写真を図1お
よび図2に示す。
【0053】
【表3】 表3の結果より、Mgを添加せず、かつ加熱パターンA
で加熱した試料1と2とは300℃での引張強さが25
0MPaより低く、特に試料2では300℃での延びが
1.5%よりも小さくなることがわかった。またこの試
料1と2では、Siの平均結晶粒径が2μmよりも大き
く、その他の金属間化合物相の平均粒径が1μmよりも
大きくなつていることがわかった。
【0054】一方、本発明範囲の組成および製造方法で
得られた試料3と4とでは、300℃での引張強さが2
50MPaより大きく、かつ300℃での伸びは1.5
%よりも大きくなることがわかった。
【0055】実施例2 表4に示す試料5〜39の組成の粉末を用いて実施例1
と同様の方法で試料を作製した後、実施例1と同様の調
査を行なった。その結果を表5に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】 なお表4において試料13.1、13.2、13.3で
は、Tiの代わりに1.7mass%のCr、1.7m
ass%のV、1.7mass%のMoが含有されてい
る。
【0058】表5の結果より、本発明の組成範囲内のア
ルミニウム合金(本発明例)のすべてにおいて、300
℃での引張強さが250MPa以上、300℃での延び
が1.5%以上、300℃での磨耗量が80μm以下の
良好な特性が得られ、かつSiの平均結晶粒径が2μm
以下、その他の金属間化合物相の平均結晶粒径が1μm
以下の微細組織の得られることが判明した。
【0059】一方、本発明の組成範囲外のアルミニウム
合金(比較例)では、上記特性のいずれかを満たさない
ことが判明した。
【0060】実施例3 表6に示す試料40〜45の組成の粉末を用いて実施例
1と同様の方法で試料を作製した後、実施例1と同様の
調査を行なった。その結果を表7に示す。
【0061】
【表6】
【0062】
【表7】 表7の結果より、組成が本発明の範囲内のものであって
も加熱パターンが本発明の範囲外のもの(比較例)であ
れば、300℃での引張強さ、延びおよび磨耗量におい
て良好な特性が得られないことがわかった。
【0063】実施例4 表8に示す試料46〜57の合金に関して、硬質粒子を
所定の量だけV型混合機にて混合した粉末を用いて実施
例1と同様の調査を行なった。被削性を調べるために、
ピストンの外周を超硬のバイトで旋削した。旋削条件は
切込み深さ0.3mm、周速50m/分で500m切削
し、チップの逃げ面磨耗量を調査した。その調査結果を
表8に併せて示す。
【0064】
【表8】 この結果より、硬質粒子の粒径が1〜5μmの範囲外の
試料51と53とでは、300℃における磨耗量が80
μmよりも大きくなるか、もしくはチップ磨耗量が20
0μmよりも大きくなることが判明した。また硬質粒子
の量が2〜10体積%の範囲外の試料46と50とで
は、300℃での磨耗量が80μmよりも大きくなる
か、もしくはチップ磨耗が200μmよりも大きくなる
ことがわかった。
【0065】また、硬質粒子を酸化アルミニウム以外に
炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化珪素を用いた場合に
も、平均粒径が1〜5μmの硬質粒子が2〜10体積%
分散していれば、酸化アルミニウムと同様の効果が得ら
れることがわかった。また、硬質粒子として、グラファ
イトや窒化珪素を用いた場合にも同様の効果が得られる
ものと考えられる。
【0066】実施例5 表4に示す試料13の合金組織をEDXで分析した。そ
の結果として図3に2次電子像を示す。図3において白
く見えているポイント1はAl−遷移金属系のIMC
(金属間化合物)を示し、灰色に見えるポイント2はS
i結晶を示し、黒く見えるポイント3はAlのマトリク
スを示す。また、図4〜図6にそれぞれポイント1〜3
でのEDX分析結果を示す。特に図5の結果より、約2
〜4%程度のTiがSi結晶中に固溶していることがわ
かる。
【0067】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の耐熱耐磨
耗性アルミニウム合金では、組成および組織を所定のも
のとしたことにより、良好な耐熱性および耐磨耗性が得
られる。
【0069】また本発明の耐熱耐磨耗性アルミニウム合
金の製造方法では、Tiを所定量含ませるとともに熱履
歴を短くすることにより、Si結晶粒の粗大化を防止し
て、粉末の微細組織を利用した超塑性的な鍛造を行なう
ことができる。このため、固化と造形とを一度に行なう
ことができ、加工工程の簡略化を図ることができ、安価
なプロセスで耐熱性および耐磨耗性に優れたアルミニウ
ム合金を製造することがてきる。
【0070】また、Mgを所定量含み、かつ固化時に4
80℃以上に加熱して固化するため、上述のように粉末
の微細組織を利用した超塑性的な鍛造を行なっても、粉
末同士の接合性を高めることができる。
【0071】以上より、高温、特に300℃以上で使用
でき、しかも耐磨耗性を要求されるピストンやエンジン
部品として好適なアルミニウム合金およびその製造方法
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における試料2の合金の金属
組織を示す写真である。
【図2】本発明の実施例1における試料4の合金の金属
組織を示す写真である。
【図3】本発明の実施例5における試料13の合金の金
属組織を示す写真である。
【図4】図3のポイント1におけるEDX分析結果を示
す図である。
【図5】図3のポイント2におけるEDX分析結果を示
す図である。
【図6】図3のポイント3におけるEDX分析結果を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02F 3/00 302 B22F 3/02 101C (72)発明者 武田 義信 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Siを10〜30mass%、Tiを1
    〜5mass%、FeおよびNiの少なくともいずれか
    を総量で3〜10mass%、Mgを0.05〜1.0
    mass%含有し、残部が実質的にAlからなり、 Siの平均結晶粒径が2μm以下であり、前記Si以外
    の金属間化合物相の平均粒径が1μm以下である、耐熱
    耐磨耗性アルミニウム合金。
  2. 【請求項2】 Siを10〜30mass%、Tiを1
    〜5mass%、FeおよびNiの少なくともいずれか
    を総量で3〜10mass%、Mgを0.05〜1.0
    mass%含有し、残部が実質的にAlからなり、 TiがSi結晶中に2mass%以上固溶している、耐
    熱耐磨耗性アルミニウム合金。
  3. 【請求項3】 Niを含有せず、Feが3〜10mas
    s%含有されている、請求項1または2に記載の耐熱耐
    磨耗性アルミニウム合金。
  4. 【請求項4】 Feが1〜8mass%、Niが1〜8
    mass%含有されており、FeとNiとの総量が3〜
    10mass%である、請求項1または2に記載の耐熱
    耐磨耗性アルミニウム合金。
  5. 【請求項5】 Mmを1〜5mass%含有する、請求
    項1〜4のいずれかに記載の耐熱耐磨耗性アルミニウム
    合金。
  6. 【請求項6】 Zrを1〜3mass%含有する、請求
    項1〜5のいずれかに記載の耐熱耐磨耗性アルミニウム
    合金。
  7. 【請求項7】 Cuを0.5mass%以下含有する、
    請求項1〜6のいずれかに記載の耐熱耐磨耗性アルミニ
    ウム合金。
  8. 【請求項8】 Pを0.005〜0.03mass%、
    Naを0.05mass%以下、Caを0.05mas
    s%以下含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の耐
    熱耐磨耗性アルミニウム合金。
  9. 【請求項9】 平均粒径が1〜5μmの硬質粒子が2〜
    10体積%分散した組織を有している、請求項1〜8の
    いずれかに記載の耐熱耐磨耗性アルミニウム合金。
  10. 【請求項10】 前記硬質粒子が、酸化アルミニウム、
    炭化珪素、窒化アルミニウム、グラファイト、窒化珪素
    および窒化硼素からなる群から選ばれる1種以上よりな
    る、請求項1〜9のいずれかに記載の耐熱耐磨耗性アル
    ミニウム合金。
  11. 【請求項11】 ピストンまたは吸気バルブとして使用
    される、請求項1〜10のいずれかに記載の耐熱耐磨耗
    性アルミニウム合金。
  12. 【請求項12】 Siを10〜30mass%、Tiを
    1〜5mass%、FeおよびNiの少なくともいずれ
    かを総量で3〜10mass%、Mgを0.05〜1.
    0mass%含有し、残部が実質的にAlからなる耐熱
    耐磨耗性アルミニウム合金の製造方法であって、 アルミニウム合金溶湯をガスアトマイズすることによっ
    て急冷凝固粉末を得て、前記急冷凝固粉末を熱間塑性加
    工することによって固化体を得る工程において、 前記熱間塑性加工時の加熱において300℃以上での昇
    温速度が10℃/秒以上であり、固化時に480℃以上
    に加熱して固化する、耐熱耐磨耗性アルミニウム合金の
    製造方法。
  13. 【請求項13】 前記固化は粉末鍛造により行なわれ
    る、請求項12に記載の耐熱耐磨耗性アルミニウム合金
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記ガスアトマイズでの粉末の冷却速
    度が100℃/秒以上である、請求項12に記載の耐熱
    耐磨耗性アルミニウム合金の製造方法。
JP10116135A 1998-04-10 1998-04-10 耐熱耐摩耗性アルミニウム合金およびその製造方法 Withdrawn JPH11293374A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10116135A JPH11293374A (ja) 1998-04-10 1998-04-10 耐熱耐摩耗性アルミニウム合金およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10116135A JPH11293374A (ja) 1998-04-10 1998-04-10 耐熱耐摩耗性アルミニウム合金およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11293374A true JPH11293374A (ja) 1999-10-26

Family

ID=14679602

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10116135A Withdrawn JPH11293374A (ja) 1998-04-10 1998-04-10 耐熱耐摩耗性アルミニウム合金およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11293374A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002077308A1 (fr) * 2001-03-23 2002-10-03 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Alliage d'aluminium resistant a la chaleur et au fluage, et son procede de fabrication
DE102004050484A1 (de) * 2004-10-15 2006-04-20 Peak Werkstoff Gmbh Legierung auf Basis von Aluminium sowie Formteil aus dieser Legierung
EP1690953A1 (en) * 2003-12-02 2006-08-16 Sumitomo Electric Sintered Alloy, Ltd. Heat-resistant and highly tough aluminum alloy and method for production thereof and engine parts
JP2007084889A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Aisin Seiki Co Ltd アルミニウム合金及びその製造方法
JP2009228870A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Daido Metal Co Ltd すべり軸受
JP2012072474A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd シリンダスリーブ用合金及びそれを使用したシリンダスリーブ
US9725792B2 (en) 2014-04-15 2017-08-08 Hyundai Motor Company High elasticity hyper eutectic aluminum alloy and method for manufacturing the same
US10190535B2 (en) 2015-08-13 2019-01-29 Hyundai Motor Company Hypereutectic aluminum-silicon-based alloy having superior elasticity and wear resistance
JP2020007594A (ja) * 2018-07-05 2020-01-16 昭和電工株式会社 アルミニウム合金材、アルミニウム合金鋳造材の製造方法及びアルミニウム合金粉末押出材の製造方法
JP2020007596A (ja) * 2018-07-05 2020-01-16 昭和電工株式会社 アルミニウム合金材
JP2020007595A (ja) * 2018-07-05 2020-01-16 昭和電工株式会社 アルミニウム合金材

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002077308A1 (fr) * 2001-03-23 2002-10-03 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Alliage d'aluminium resistant a la chaleur et au fluage, et son procede de fabrication
US6962673B2 (en) 2001-03-23 2005-11-08 Sumitomo Electric Sintered Alloy, Ltd. Heat-resistant, creep-resistant aluminum alloy and billet thereof as well as methods of preparing the same
EP1690953A1 (en) * 2003-12-02 2006-08-16 Sumitomo Electric Sintered Alloy, Ltd. Heat-resistant and highly tough aluminum alloy and method for production thereof and engine parts
EP1690953A4 (en) * 2003-12-02 2008-02-13 Sumitomo Electric Sintered Aly HEAT-RESISTANT AND HIGH-SPEED ALUMINUM ALLOYING AND MANUFACTURING METHOD AND MOTOR PARTS THEREOF
DE102004050484A1 (de) * 2004-10-15 2006-04-20 Peak Werkstoff Gmbh Legierung auf Basis von Aluminium sowie Formteil aus dieser Legierung
JP2007084889A (ja) * 2005-09-22 2007-04-05 Aisin Seiki Co Ltd アルミニウム合金及びその製造方法
JP2009228870A (ja) * 2008-03-25 2009-10-08 Daido Metal Co Ltd すべり軸受
JP2012072474A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Sumitomo Electric Sintered Alloy Ltd シリンダスリーブ用合金及びそれを使用したシリンダスリーブ
US9725792B2 (en) 2014-04-15 2017-08-08 Hyundai Motor Company High elasticity hyper eutectic aluminum alloy and method for manufacturing the same
US10190535B2 (en) 2015-08-13 2019-01-29 Hyundai Motor Company Hypereutectic aluminum-silicon-based alloy having superior elasticity and wear resistance
JP2020007594A (ja) * 2018-07-05 2020-01-16 昭和電工株式会社 アルミニウム合金材、アルミニウム合金鋳造材の製造方法及びアルミニウム合金粉末押出材の製造方法
JP2020007596A (ja) * 2018-07-05 2020-01-16 昭和電工株式会社 アルミニウム合金材
JP2020007595A (ja) * 2018-07-05 2020-01-16 昭和電工株式会社 アルミニウム合金材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006002184A (ja) 高強靭性マグネシウム基合金およびそれを用いた駆動系部品並びに高強靭性マグネシウム基合金素材の製造方法
JP2007169712A (ja) 塑性加工用アルミニウム合金
JPH11293374A (ja) 耐熱耐摩耗性アルミニウム合金およびその製造方法
JP2546660B2 (ja) セラミックス分散強化型アルミニウム合金の製造方法
JP3424156B2 (ja) 高強度アルミニウム合金部材の製造方法
JP2017222893A (ja) アルミニウム合金鍛造品及びその製造方法
EP1371740A1 (en) Heat-resistant and creep-resistant aluminum alloy and billet thereof, and method for their production
JP2909569B2 (ja) 耐摩耗性高強度アルミニウム合金部品の製造方法
JP4704720B2 (ja) 高温疲労特性に優れた耐熱性Al基合金
JP3128041B2 (ja) シリンダーブロックとその製造方法
JP5560549B2 (ja) アルミニウム焼結合金、及びアルミニウム焼結合金用粉末
JP2003096531A (ja) 内燃機器用ピストン
JP2003096524A (ja) アルミニウム合金、アルミニウム合金製ピストンおよびアルミニウム合金製ピストンの製造方法
JPH0539507A (ja) アルミニウム合金製オイルポンプ用ロータ及びその製造方法
JPH07305132A (ja) 靭性に優れた高弾性アルミニウム合金
JP2584488B2 (ja) 耐摩耗性アルミニウム合金の加工方法
JP4699787B2 (ja) 耐磨耗性と剛性とに優れた耐熱性Al基合金
JPH0776701A (ja) 金属間化合物分散強化アルミニウム合金(粉末)およびその製造方法
JPH06158211A (ja) 耐熱性アルミニウム合金及びその製造方法
JP2672834B2 (ja) 高強度、且つ、鍛造性に優れたアルミニウム合金部材
JP2917999B2 (ja) 高強度アルミニウム合金成形体の製造方法
JP3234380B2 (ja) 耐熱アルミニウム粉末合金
JPH07331356A (ja) Al3Fe分散強化アルミニウム合金と粉末およびそれらの製造方法
JP2003253306A (ja) Al−Si系合金の圧縮塑性加工成形体の製造方法
JP4126742B2 (ja) SiC粒子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20040202