JP2909569B2 - 耐摩耗性高強度アルミニウム合金部品の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性高強度アルミニウム合金部品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐摩耗性高強度アルミ
ニウム合金部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジン部品を従来のスチールに
代えて、アルミニウム合金を用いて作成し、軽量化して
燃費を向上する検討が盛んに行われている。しかし、特
にバルブリフター、バルブスプリングリテーナ等のエン
ジン部品は、高温強度・耐摩耗性が必要とされるため、
現在までスチールが主として用いられてきた。これらの
部品を軽量化するため、アルミニウム合金を使用する
と、通常のアルミニウム合金では強度・耐摩耗性が不足
する。
【0003】耐摩耗性に関しては、その不足分を補うた
め、アルミニウム合金中にセラミック粒子を複合した材
料が開発されている(例えば特開昭64−56844
号)が、強度に関しては、それを充分に高める技術は確
立されていない。例えば、合金組成を変えたり、熱処理
(通常の溶体化時効処理:T6 処理)の最適条件を探究
したりしてアルミニウム合金の強度を向上させる試みが
為されてきたが、画期的に強度を向上させる手段は未だ
見出されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】アルミニウムマトリッ
クス中に占める他種金属の割合を高めると強度を向上さ
せることも可能であるが、そうするとアルミニウム合金
の靱性が低下し、鍛造等による成形が困難となる。本発
明は、以上の点に鑑み為されたもので、その解決しよう
とする課題は、鍛造によって製造され得る一段と強度・
耐摩耗性が向上したアルミニウム合金部品の製造方法を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の耐摩耗性高強度
アルミ合金部品の製造方法は、重量%で、Cu:2.5〜
5.5 %、Mg:0.3 〜2.5 %、Si:0.1 〜0.19%、M
nとCrの1種又は2種:0.3 〜1.0 %、残部:不可避
不純物を含むAl;からなる組成のマトリックス材中に
平均粒子径1〜10μ,ビッカース硬さ1000以上の硬質粒
子を0.2 〜5体積%分散させた合金を溶体化処理した
後、室温にて塑性加工を施し、さらに時効処理を施すこ
とを特徴とする。
【0006】なお、本発明のアルミニウム合金部品の製
造方法において施される、溶体化処理→室温での塑
性加工(冷間処理)→時効処理 の連続処理は、アル
ミニウム合金の処理質別記号で規定されているT8処理
に相当する。以下、本発明の構成要件について説明す
る。金属の%は重量%である。
【0007】A.化学成分の限定理由は次の通りであ
る。 (1) Cu含有量=2.5 〜5.5 %の理由:CuはMgと共
存してAl−Cu−Mg系析出中間層(S′)を形成す
る。このS′が上記T8処理でアルミニウムマトリック
ス中に微細に分散するため、合金の室温ないし高温での
強度が向上する。Cu含有量が2.5 %未満ではその効果
が小さく、5.5 %を越えると塑性変形能が低下するた
め、T8処理時に強く加工すると割れ等が発生し易くな
る。 (2) Mg含有量=0.3 〜2.5 %の理由:MgはCuと共
存してAl−Cu−Mg系析出中間層(S′)を形成す
る。このS′が上記T8処理でアルミニウムマトリック
ス中に微細に分散するため、合金の室温ないし高温での
強度が向上する。Mg含有量が0.3 %未満ではその効果
が小さく、2.5 %を越えると塑性変形能が低下するた
め、T8処理時に強く加工すると割れ等が発生し易くな
る。 (3) Si含有量=0.1 〜0.19%の理由:Siの添加によ
り上記S′が微細に形成され、合金の室温ないし高温で
の強度が向上する。その量が0.1 %未満では効果が認め
られず、0.19%を越えると一部のSiが粒界上に析出す
るため、T8処理時に強く加工すると割れ等が発生し易
くなる。 (4) MnとCrの1種又は2種の含有率=0.3 〜1.0 %
の理由:Mn及び/又はCrは、Siと共存して再結晶
組織を微細にさせる作用をなす。この結果、T8処理で
合金の室温ないし高温での強度が向上し、同時に延性・
靱性も向上する。延性・靱性向上の効果は、0.5 〜0.6
%の時最も強く現れ、0.3 %未満でもまた1.0 %を越え
ても、その効果は不十分である。さらに0.3 %未満のと
きは強度の向上が認められない。
【0008】B.硬質粒子について (1) 使用できる硬質粒子の例:耐摩耗性を大幅に向上す
るためにアルミニウムに添加できる硬質粒子の例とし
て、炭化珪素、窒化珪素、ジルコニア、アルミナ、ジル
コン等のセラミック粒子、フェロモリブデン等の金属粒
子、TiAl、Ni3 Al等の金属間化合物の如き硬質
粒子を挙げることができる。 (2) ビッカース硬さが1000以上必要な理由:硬さが
ビッカース硬さ1000未満では、充分な耐摩耗性が得
られないばかりでなくT8処理時粒子の塑性変形及び粒
子の破壊が生じ転位導入が加速されないため強化作用が
充分でないことから1000以上とした。 (3) 平均粒子径が1〜10μでなければならない理由:
平均粒子径が10μを越えると合金自体の耐摩耗性は向
上するが相手材を摩耗させる。さらに平均粒子径が1μ
未満では粒子同士が凝集してしまい、T8処理時、凝集
部位から割れ等が発生する。
【0009】C.T8処理における好ましい条件は次の
通りである。 (C-1) 溶体化処理 最初の溶体化処理は470〜510℃で0.2〜5時間
行うのが好ましい。この範囲から遠ざかるほど、強度・
耐摩耗性の向上効果は小さくなる。 (C-2) 室温での塑性加工 溶体化処理後のこの冷間加工は、1〜10%の加工率
(抽伸加工時の断面減少率)で行うのが好ましい。加工
率が1%未満では強度・耐摩耗性の向上効果が得られ
ず、10%を越えると加工時に割れ等が発生する。な
お、溶体化処理前に多少の塑性加工を施しても、特性は
損なわれない。 (C-3) 最後の時効処理は150〜200℃で5〜15時
間行うのが好ましい。この範囲から遠ざかるほど、強度
・耐摩耗性の向上効果は小さくなる。
【0010】
【作用】本発明の上記構成によれば、以下のような作用
により、アルミニウム合金部品の強度と耐摩耗性が向上
する。 (1) 強度への作用 本発明の如く硬質粒子を少量添加する複合材料の場合、
溶体化→時効処理(T6処理)して得られた従来品で
は、硬質粒子が一般的な介在物と同様の作用しか奏しな
いため、硬質粒子の添加による耐摩耗性向上に強度向上
が伴わない。しかし、本発明では、冷間加工中の塑性流
動による転位導入が塑性変形しない粒子周辺で特に加速
されるため、粒子周辺に高密度な転位ネットワークが形
成される。その結果、冷間加工後の時効処理によりAl
−Cu−Mg系析出中間層(S′)がそのネットワーク
上に微細に析出するため強度が向上する。 (2) 耐摩耗性への作用 本発明の製造方法により得られたアルミニウム合金部品
では、冷間加工による転位の導入により硬質粒子がマト
リックス材にしっかり保持されているため、従来のT6
品でのように高面圧下で硬質粒子が脱落するようなこと
は起こらない。そのため、高面圧下で脱落した硬質粒子
が相互に摺動するアルミニウム合金部品と相手材の摩耗
を加速させることは無くなり、アルミニウム合金部品の
耐摩耗性がより一層向上する。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例とともに説明
するが、本発明は下記実施例により限定されるものでは
ない。
【0012】実施例1〜3及び比較例1〜7として、下
記表2に示すような硬さの硬質粒子を含有する下記表1
に示す組成の各種アルミニウム合金を、次のようにして
製造した。すなわち、先ず空気噴霧法により各種アルミ
ニウム合金粉末を製造し、149μ以下に分級した。次
いでこの合金粉末に所定の粒径及び量の硬質粒子を添加
し、ボールミルによって混合した。この混合粉末を外径
2.5インチのアルミニウム缶に装入した後、缶内の空
気及び粉末表面に吸着している水分を取り除くため48
0℃にて1時間の真空脱ガス処理を施し、これを押出用
ビレットとした。このビレットを400℃で直径18m
mに押出し(押出比15)、得られた押出材からT8処
理品又はT6処理品を製造した。なお、T8処理として
は、495℃にて1時間加熱後水冷する溶体化処理後、
所定の塑性加工を施し、直ちに185℃にて8時間の時
効処理を施した。またT6処理としては、495℃にて
1時間加熱後水冷する溶体化処理後直ちに185℃にて
8時間の時効処理を施した。以上のようにT8又はT6
処理した押出材から、機械加工により引張試験片を製造
し、室温の引張試験に供試した。結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【表2】
【0014】実施例1で製造した試験片の金属組織の電
子顕微鏡写真を図1として、そして比較例1で製造した
試験片のそれを図2として示す。図1と図2の比較か
ら、実施例1のT8処理品ではS′が微細に分散してい
ることがわかる。表1から明らかなように、本発明の実
施例1〜3により製造された試験片は、いずれも高い強
度を示している。これに対し、比較例1の試験片は、通
常の熱処理であるため強度が充分ではなく、比較例2及
び3の試験片は硬質粒子を添加していないため強度が低
く、比較例4の試験片はCu添加量が少なくMg添加量
も少ないため強度が低く、比較例5の試験片は添加した
粒子の硬さが低いため、強度が低い。また、比較例6の
試験片はCu添加量が多いため、さらに比較例7の試験
片はT8処理時の加工率が高いため割れが発生した。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、鍛造性に優れかつ耐摩
耗性と特に強度が一段と向上したアルミニウム合金部品
を製造することができる。従って、例えば従来のスチー
ル製部品と置き換え得るアルミニウム合金製のバルブリ
フター、バルブスプリングリテーナー等のエンジン部品
を製造することが可能となり、エンジンの軽量化・高性
能化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一実施例により製造されたアルミ
ニウム合金部品の金属組織の顕微鏡写真である。
【図2】従来方法により製造されたアルミニウム合金部
品の金属組織の顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C22C 1/05 C22C 1/05 C Q 1/10 1/10 J (72)発明者 大久保 喜正 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽 金属工業株式会社内 (72)発明者 水越 秀雄 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽 金属工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22F 1/04 - 1/057 C22C 21/00 - 21/18 C22C 32/00 C22C 1/05 C22C 1/10

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、Cu:2.5 〜5.5 %、Mg:
    0.3 〜2.5 %、Si:0.1 〜0.19%、MnとCrの1種
    又は2種:0.3 〜1.0 %、残部:不可避不純物を含むA
    l;からなる組成のマトリックス材中に平均粒子径1〜
    10μ,ビッカース硬さ1000以上の硬質粒子を0.2 〜5体
    積%分散させた合金を溶体化処理した後、室温にて塑性
    加工を施し、さらに時効処理を施すことを特徴とする耐
    摩耗性高強度アルミ合金部品の製造方法。
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