JP2003096531A - 内燃機器用ピストン - Google Patents

内燃機器用ピストン

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JP2003096531A
JP2003096531A JP2001290395A JP2001290395A JP2003096531A JP 2003096531 A JP2003096531 A JP 2003096531A JP 2001290395 A JP2001290395 A JP 2001290395A JP 2001290395 A JP2001290395 A JP 2001290395A JP 2003096531 A JP2003096531 A JP 2003096531A
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JP
Japan
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powder
alloy
piston
alloy powder
transition metal
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JP2001290395A
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English (en)
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Eiji Nozu
栄治 野洲
Atsushi Kuroishi
農士 黒石
Kenji Matsuki
賢司 松木
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内燃機器用ピストンの頂部とリング溝部を含
む部分を、高い高温強度、すぐれた耐摩耗性及び機械加
工性を具備させる。 【解決手段】 複数種類の合金粉末を固化成形して一体
構造の予備成形体を形成し、得られた予備成形体を塑性
加工して形成するピストンにおいて、ピストンの頂部と
リング溝部を含む部分を、重量%にて、Fe、Cr、N
i、Zr、Ti、Mn及びMoからなる群から選択され
る少なくとも1種の遷移金属元素を5〜25%(複数含
む場合は合計量)、Si:10〜40%、Cu:0.5〜
5%、Mg:1〜5%、残部実質的にAlからなり、結
晶粒径が0.05〜2μm、粉体粒径30〜1000μ
mであるAl合金粉末と、粉体粒径5μm以下の硬質粒
子との混合粉末から形成し、ピストンのその他の部分は
前記Al合金粉末よりも遷移金属元素の含有量が少ない
Al合金粉末又はMg合金粉末から形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機器用ピスト
ンに関する。
【0002】
【従来の技術】Alは、比重がFeの約3分の1と小さ
いため、例えば内燃機器のピストンをAl合金で製作す
ると効率面で有利である。しかし、燃焼室に面するピス
トンの頂部においては、燃焼室の燃焼に耐えることので
きる高い高温強度を有することが必要である。このピス
トン頂部において、例えば、火花点火式のエンジンの場
合、300℃で150MPa以上、ディーゼルエンジン
の場合、300℃で250MPa以上の高温強度を要求
されることがある。また、ピストン上部の側部リング溝
部は、耐摩耗性が要求される。しかし、Alを主体とす
る合金では、高温強度及び耐摩耗性が両方とも不十分で
ある。高温強度の向上には、Fe等の遷移金属元素を含
有させたAl合金(以下、Fe−Al系合金)を用いると
効果があるが、軽量化が損なわれ、効率面で不利とな
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、高温強度を必
要とするピストンの頂部のみをFe−Al系合金によっ
て作製し、これをピストン本体を形成するAl主体合金
で鋳ぐるんだ後、溶接で接合するものがある(特開平4
−36050等)。しかし、このような溶接によって作
製されるピストンは、接合部での耐久性が問題となる。
また、Fe−Al系合金は、耐摩耗性が必ずしも十分で
ないため、リング溝部にリングトレーガ(耐摩環)を設け
てリング溝の摩耗に対処する必要がある。Fe−Al系
合金の耐摩耗性を向上させるには、SiC粒子等の硬質
粒子を含有させるのが有効である。しかし、粗大な硬質
粒子が含まれると、機械加工性が著しく損なわれる不都
合がある。機械加工箇所をできるだけ少なくするため
に、リング溝部のみを、硬質粒子を含む材料で鋳ぐるむ
こともできるが、工数がかかり、製造コストが高くな
る。
【0004】本発明の目的は、頂部とリング溝部を含む
部分を、高い高温強度、すぐれた耐摩耗性及び機械加工
性を有するように作られたピストンを提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の内燃機器用ピストンは、複数種類の合金粉
末を固化成形して一体構造の予備成形体を形成し、得ら
れた予備成形体を塑性加工して形成したもので、ピスト
ンの頂部とリング溝部を含む部分を、重量%にて、F
e、Cr、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoからなる群
から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を5〜2
5%(複数含む場合は合計量)、Si:10〜40%、C
u:0.5〜5%、Mg:1〜5%、残部実質的にAl
からなり、結晶粒径が0.05〜2μm、粉体粒径30
〜1000μmであるAl合金粉末と、粉体粒径5μm
以下の硬質粒子の粉末との混合粉末(なお、以下では、
説明簡略化のためにこれを第1の粉末と称することもあ
る)から形成し、ピストンのその他の部分を前記Al合
金粉末よりも遷移金属元素の含有量が少ないAl合金粉
末又はMg合金粉末(なお、以下では、説明簡略化のた
めにこれを第2の粉末と称することもある)から形成す
るようにしたものである。
【0006】また、本発明の内燃機器用ピストンにあっ
ては、ピストンの頂部とリング溝部を形成する第1の粉
末に含まれるAl合金粉末を、遷移金属元素及び/又は
Siの含有量が異なる2種以上のAl合金粉末からなる
構成とすることもできる。
【0007】
【作用及び効果】第1の粉末と第2の粉末は、ピストン
の部位に対応させて適当に充填された金型内で固化成形
され、予備成形体が形成される。次に、予備成形体は塑
性加工され、適当な機械加工が施されて、ピストンが形
成される。
【0008】Fe等の遷移元素を5%以上含むAl合金
は、一般に硬質かつ耐熱性であるため、通常結晶材の塑
性加工は500℃以上の高温域で200MPa以上の高
加工力を必要とし、また超塑性を利用した加工プロセス
(結晶粒径:約10〜100μm)を適用した場合でも、
その加工速度は約10-3〜10-4/秒と低く、10- 2
秒以上の高速加工は不可能であり、生産性に劣る。ま
た、硬質粒子を含むと、超塑性加工特性のさらなる低下
を招く。しかし、本発明にあっては、Al合金粉末は、
結晶粒径が0.05〜2μm、粉体粒径30〜1000
μmであり、硬質粒子の粉体粒径が5μm以下であるか
ら、所望の高速超塑性加工を有することができる。即
ち、後述するように、固相線以下の温度域で、歪み加工
速度(ε)10-2/秒以上の高速加工を行なうことがで
き、この加工条件下に、伸び率約200%以上の高延性
を示し、その変形流動応力は約20MPa以下と著しく
低く、高速度・低加圧力下の効率的な塑性加工を実現す
ることができる。
【0009】ピストンの頂部とリング溝部を含む部分
は、Fe等の遷移元素を5%以上含むAl合金粉末と硬
質粒子が混合された粉末(第1の粉末)から形成されるの
で、高温強度だけでなく耐摩耗性にもすぐれている。本
発明では、硬質粒子は、粉体粒径が5μm以下の超微細
な粉体がAl合金粉末と略均一に混ざり合った状態で成
形されるから、成形後の機械加工性に及ぼす影響は殆ん
どない。従って、成形後におけるリング溝等の加工を容
易に行なうことができる。ピストンのリング溝部は、耐
摩耗性にすぐれるから、これまでリング溝の摩耗防止用
として設けられていたリングトレーガを省略することが
可能となる。
【0010】なお、Fe等の遷移金属元素を多く含有す
るとより高い高温強度が得られ、Siを多く含有すると
よりすぐれた耐摩耗性が得られる。
【0011】頂部及びリング溝を含む部分以外のピスト
ンのその他部分は、第1の粉末に含まれるAl合金粉末
よりも遷移金属元素の含有量が少ないAl合金粉末又は
Mg合金粉末により形成されるから、ピストンの軽量化
を達成できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下の説明で、「%」は全て重量
%を表すものとする。ピストンの頂部とリング溝部を含
む部分は第1の粉末から形成することができる。第1の
粉末は、Fe、Cr、Ni、Zr、Ti、Mn及びMo
からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元
素を合計量で5〜25%、Si:10〜40%、Cu:
0.5〜5%、Mg:1〜5%、残部実質的にAlから
なり、結晶粒径が0.05〜2μm、粉体粒径30〜1
000μmであるAl合金粉末と、粉体粒径5μm以下
の硬質粒子の粉末との混合粉末である。なお、Al合金
粉末と硬質粒子の配合は、Al合金粉末100重量部に
対して、硬質粒子を1〜30重量部とすることが好まし
い。
【0013】Fe、Cr、Ni、Zr、Ti、Mn及び
Moの遷移金属元素は、Al合金に含まれると、強度の
向上に寄与すると共に、機械的性質の改善に奏功する元
素である。図1は、Al合金におけるFe含有量と高温
引張強度との関係を示しており、Feの含有量が増すに
つれて、引張強度は向上している。また、これら遷移元
素は、超塑性特性を高めるのに重要な役割を果たす。つ
まり、これらの元素はAlと化合し、微細な化合物相と
して析出することによりAl合金の結晶成長を抑制し、
超塑性特性の発現に必要な微細結晶構造を得ることを可
能にする。所望の強度向上効果と超塑性特性を確保する
ために、含有量は5〜25%(2種以上を含有する場合
は合計量)とすることが好ましい。
【0014】Si、Cu及びMgは、耐熱性、耐摩耗性
等を高めるのに有効な元素であり、これらの効果を得る
ために、前記範囲内で含有させる。
【0015】前記Al合金粉末の結晶粒径は0.05〜
2μmであることを要する。結晶粒径が0.05μmよ
り小さい粉末を作製するのは現在の技術では難しいため
であり、結晶粒径を2μm以下の超微細構造とするの
は、高速超塑性を確保するためである。また、粉体粒径
を30μm以上に規定するのは、粉末の圧縮性、成形性
及び塑性変形能を良好にするためである。超急冷凝固に
より製造される粉末は、微細なほど歪み硬化が大きく、
また塑性加工における粒子界面の摩擦抵抗が増大し、塑
性変形能が低下するからである。粉体粒径を1000μ
m以下に規定するのは、これを越えると塑性性能を発現
することが困難となり、歩留りも悪くなるからである。
この超微細結晶構造及び粉体粒径を有するAl合金粉末
は、SWAP(Spinning Water Atomization Process)法
の噴霧処理(冷却速度:104℃/秒以上)により収率良
く得ることができる。
【0016】ところで、Feは硬質且つ耐熱性を有する
ため、これまでは、Feの含有量が増えると、その後の
塑性加工における生産性の低下を招く不都合があった。
しかし、本発明で利用するAl合金粉末はFeを例えば
5〜25%の範囲で含有させても、前述のように高速超
塑性特性を有するので、後の塑性加工において生産性を
殆んど低下させることがなく、所望の高温強度を具備す
ることができる。
【0017】ピストンの頂部とリング溝部の形成に用い
られる第1の粉末は、粉体粒径5μm以下の硬質粒子を
含んでいる。硬質粒子として、酸化物系、窒化物系、炭
化物系、硼化物系などのセラミックス粒子を挙げること
ができる。特に、炭化珪素(SiC)、アルミナ(Al2
3)、窒化珪素(Si34)等の単独又は複合使用は効果的
である。硬質粒子の粉末は、粉体粒径が5μm以下であ
ることを要する。これより粗大な粒径では、Al合金粉
末の超塑性の低下をきたし、高速超塑性加工が困難とな
り、また仕上げの機械加工性の低下を招くからである。
【0018】ピストンの頂部とリング溝部の形成に用い
られる第1の粉末に含まれるAl合金粉末は、所望によ
り、遷移金属元素及び/又はSiの含有量が異なる2種
以上のAl合金粉末から構成することもできる。第1の
粉末に含まれるAl合金の遷移金属元素が多くなるにつ
れて高温強度は向上するが、軽量化が損なわれるため、
第1の粉末を例えば2種類のAl合金粉末から構成し、
遷移金属元素の含有量を、一方の粉末を多く、他方の粉
末を少なくすることにより、高温強度の向上と軽量化を
同時に達成することができる。また、第1の粉末に含ま
れるAl合金のSiが多くなるにつれて耐摩耗性は向上
するが、その分他の元素の含有量が少なくなり、高温強
度の低下を招くことにもなりかねない。このため、第1
の粉末を例えば2種類の粉末から構成し、Siの含有量
を、一方の粉末を多く、他方の粉末が少なくすることに
より、他の特性を損なうことなく、耐摩耗性の向上を達
成することができる。
【0019】第1の粉末を2種類のAl合金粉末から構
成する実施例として、一方のAl合金粉末を、Fe、C
r、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoからなる群から選
択される少なくとも1種の遷移金属元素を合計量で5〜
15%、Si:10〜40%、Cu:0.5〜5%、M
g:1〜5%、残部実質的にAlからなる合金の粉末と
し、他方のAl合金粉末を、Fe、Cr、Ni、Zr、
Ti、Mn及びMoからなる群から選択される少なくと
も1種の遷移金属元素を合計量で15〜25%、Si:
10〜40%、Cu:0.5〜5%、Mg:1〜5%、
残部実質的にAlからなる合金の粉末としたものを示す
ことができる。2種類のAl合金粉末の配合比は、前者
100重量部に対して、後者2〜30重量部とすること
ができる。
【0020】第1の粉末を2種類のAl合金粉末から構
成する他の実施例として、一方のAl合金粉末を、F
e、Cr、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoからなる群
から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を合計量
で5〜25%、Si:10〜30%、Cu:0.5〜5
%、Mg:1〜5%、残部実質的にAlからなる合金の
粉末とし、他方のAl合金粉末を、Fe、Cr、Ni、
Zr、Ti、Mn及びMoからなる群から選択される少
なくとも1種の遷移金属元素を合計量で5〜25%、S
i:30〜40%、Cu:0.5〜5%、Mg:1〜5
%、残部実質的にAlからなる合金の粉末としたものを
示すことができる。2種類のAl合金粉末の配合比は、
前者100重量部に対して、後者2〜30重量部とする
ことができる。
【0021】第1の粉末を2種類のAl合金粉末から構
成するさらに他の実施例として、一方のAl合金粉末
を、Fe、Cr、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoから
なる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を
合計量で5〜15%、Si:10〜30%、Cu:0.
5〜5%、Mg:1〜5%、残部実質的にAlからなる
合金の粉末とし、他方のAl合金粉末を、Fe、Cr、
Ni、Zr、Ti、Mn及びMoからなる群から選択さ
れる少なくとも1種の遷移金属元素を合計量で15〜2
5%、Si:30〜40%、Cu:0.5〜5%、M
g:1〜5%、残部実質的にAlからなる合金の粉末と
したものを示すことができる。2種類のAl合金粉末の
配合比は、前者100重量部に対して、後者2〜30重
量部とすることができる。
【0022】なお、第1の粉末を2種類のAl合金粉末
から構成する場合、前記の実施例に限定されるものでは
なく、遷移金属元素:5〜25%及びSi:10〜40
%の範囲内で種々の組合せが可能である。また、3種類
以上のAl合金粉末の組合せとすることもできる。
【0023】頂部とリング溝部以外のピストンのその他
部分は、第1の粉末に含まれるAl合金よりも遷移金属
元素の含有量が少ないAl合金又はMg合金の粉末(第
2の粉末)から形成される。第2の粉末のAl合金とし
て、Fe、Cr、Ni、Zr、Mn、Mo、Si、C
u、Mg、Tiの少なくとも1種を合計量で0.1〜5
%含有し、残部実質的にAlからなるAl合金を挙げる
ことができる。第2の粉末のMg合金として、Al:
0.1〜15%、Zn、Gaの少なくとも1種を合計量
で0.1〜10%、Zr、Mn、Si、Cu、Ni、F
e、Caの少なくとも1種を合計量で0.1〜5%、希
土類元素(Nd、Pr等)の少なくとも1種を合計量で
0.1〜10%含有し、残部実質的にMgからなるMg
合金を挙げることができる。
【0024】第2の粉末は、結晶粒径が0.05〜10
μmであることが好ましい。結晶粒径が0.05μmよ
り小さい粉末を作製するのは現在の技術では難しいため
であり、結晶粒径を2μm以下の超微細構造とするの
は、高速超塑性を確保するためである。また、粉体粒径
は30μm〜500μmであることが好ましい。粉体粒
径を30μm以上に規定するのは、粉末の圧縮性、成形
性及び塑性変形能を良好にするためである。超急冷凝固
により製造される粉末は、微細なほど歪み硬化が大き
く、また塑性加工における粒子界面の摩擦抵抗が増大
し、塑性変形能が低下するからである。粉体粒径を50
0μm以下に規定するのは、これを越えると超塑性を発
現することが困難となり、歩留りも悪くなるからであ
る。
【0025】予備成形体の成形は、第1の粉末と第2の
粉末を金型内に充填して、固化成形することにより行わ
れる。例えば、ピストンの頂部とリング溝を含む部分に
第1の粉末、それ以外の部分に第2の粉末を用い、金型
内に第1の粉末と第2の粉末を充填した後、放電プラズ
マ焼結を施すことにより、一体構造の予備成形体が形成
される。図2において、(1)は予備成形体であり、(11)
は、その後の塑性加工により、ピストンの頂部と側部の
リング溝を含む部分となり、(12)はピストンのそれ以外
の部分となる。
【0026】放電プラズマ焼結は、パルス通電を利用し
て加圧焼結するものであり、粉体粒子間隙に発生する瞬
間及び断続的な火花放電による高温プラズマの高エネル
ギーを利用した内部発熱方式の焼結法である。粉体試料
内の放電点は、電流・電圧印加のオン・オフ繰返しに伴
って試料全体に移動分散する。この内部発熱による均一
な加熱効果により、短時間かつ低温度の処理条件下にて
焼結が行われるので、結晶粒成長及び粗大化が抑制防止
され、均質な焼結を達成することができる。
【0027】上記焼結処理温度は500℃以下で行なう
のが望ましい。結晶粒の成長粗大化を防止し、微細結晶
構造に基づく高速超塑性特性を保持するためである。処
理温度は、パルス電流、オン・オフ周期、処理時間等に
より容易に制御することができる。また、加圧力は約5
0〜180MPaの範囲が適当である。加圧力がこれよ
り低いと、高温焼結が必要となり、結晶粒の成長粗大化
を招く不都合がある。他方、180MPaを越える高圧
力とする必要はなく、それ以上の加圧力の増加は金型の
消耗を助長するので好ましくない。この放電プラズマ焼
結法によって焼結され、粉末どうしは良好な接合がなさ
れる。
【0028】放電プラズマ焼結処理において、Al合金
粉末の結晶中に、各種の金属間化合物(Cu−Al、M
g−Si、Al−Cu−Fe、Al−Mn等)を析出す
る。本発明に利用されるAl合金粉末は、合金元素を多
量に含有しているが、SWAP法等の超急冷凝固処理
(冷却速度:104℃/秒以上)で製造されるため、析出
物の生成は殆んどなく(析出しても生成量は少なく)、過
飽和の固溶状態にある。放電プラズマ焼結過程で、これ
らの元素は金属間化合物として析出する。その焼結処理
は、低温・短時間の条件下で達成されるので、析出化合
物相は微細(粒径1μm以下)であり、粉末の超塑性特使
エネルギーを損なうことなく、またAl合金製品の機械
性質の強化に寄与する。
【0029】次に、予備成形体は、押出成形機、プレス
機械等により、塑性加工が施される。例えば、図3に示
すように、押出成形機の金型(21)の中に、ピストン頂部
側が下になるように予備成形体(1)をセットし、パンチ
(22)を下降させて、塑性加工する。塑性加工は、Al合
金の固相線Tsol直下の温度域において、歪み加工速度
10-2秒以上の条件下で行われる。塑性加工温度Tの最
適領域は、Tsol−35℃≦T≦Tsol−10℃である。
固相線直下の温度域(約515〜540℃)での高歪み速
度加工において、伸び率200%以上の高延性を示し、
その変形流動応力は20MPa以下と著しく低い。この
ように、予備成形体を、高速度・低加圧力下で効率的な
塑性加工を行なうことができ、粉末冶金法による各種部
材の生産性を高められる。また金型の損耗が軽減緩和さ
れ、その耐用寿命が改善される。また、複雑形状の部材
の形状精度を高めることができる。
【0030】このようにして成形された成形品は、図4
に示すように、ピンボス部(35)や、リング溝(34)等の機
械加工が施され、ピストン(3)が形成される。図4中、
(31)は、ピストンの頂部(33)及びリング溝(34)を含む部
分であり、(32)はピストンのその他の部分である。
【0031】(31)の部分は、Fe等の遷移元素を5%以
上含むAl合金粉末と硬質粒子との混合粉末を固化成形
した後、圧縮塑性加工することにより形成されているか
ら、高い高温強度とすぐれた耐摩耗性を具えている。ま
た、混合された硬質粒子は粉体粒径が5μm以下と超微
細であり、固化成形と圧縮塑性加工により、Al合金マ
トリックス中に略均一に分散しているから、リング溝(3
4)の機械加工に特に支障をきたすことはない。リング溝
(34)の部分は、耐摩耗性にすぐれるから、リングトレー
ガの設置を省略できる。
【0032】(32)の部分は、遷移金属元素の含有量が少
ないAl合金粉末又はMg合金粉末から形成されるか
ら、ピストンの軽量化に寄与することができる。
【0033】予備成形体(1)は、図5に示すように、ピ
ストンの頂部と側部のリング溝を含む外周部分のみを第
1の粉末又は第3の粉末を使用し、その他の部分を第2
の粉末を使用するようにすれば、さらなる軽量化を達成
することができる。
【0034】上記実施例の説明は、本発明を説明するた
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮するように解すべきでない。本発明
の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記
載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al合金におけるFeの含有量と引張強度の関
係を示すグラフである。
【図2】ピストンの予備成形体の一実施例を示す断面図
である。
【図3】ピストンの予備成形体の圧縮塑性加工を模式的
に説明する概略図である。
【図4】内燃機器用ピストンの斜視図である。
【図5】ピストンの予備成形体の他の実施例を示す断面
図である。
【符号の説明】
(1) 予備成形体 (3) ピストン (31) 頂部及びリング溝部を含む部分 (33) 頂部 (34) リング溝部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒石 農士 茨城県竜ヶ崎市向陽台5丁目6番 株式会 社クボタ開発センターつくば分室内 (72)発明者 松木 賢司 富山県高岡市佐加野新町1000−43

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数種類の合金粉末を固化成形して一体
    構造の予備成形体を形成し、得られた予備成形体を塑性
    加工して形成された内燃機器用ピストンであって、ピス
    トンの頂部とリング溝部を含む部分は、重量%にて、F
    e、Cr、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoからなる群
    から選択される少なくとも1種の遷移金属元素を5〜2
    5%(複数含む場合は合計量)、Si:10〜40%、C
    u:0.5〜5%、Mg:1〜5%、残部実質的にAl
    からなり、結晶粒径が0.05〜2μm、粉体粒径30
    〜1000μmであるAl合金粉末と、粉体粒径5μm
    以下の硬質粒子の粉末との混合粉末から形成され、ピス
    トンのその他の部分は前記Al合金粉末よりも遷移金属
    元素の含有量が少ないAl合金粉末又はMg合金粉末か
    ら形成され、頂部とリング溝を含む部分は、高い高温強
    度、すぐれた耐摩耗性及び機械加工性を具えていること
    を特徴とする内燃機器用ピストン。
  2. 【請求項2】 混合粉末に含まれるAl合金粉末は、遷
    移金属元素及び/又はSiの含有量が異なる2種類以上
    のAl合金粉末から構成される請求項1に記載の内燃機
    器用ピストン。
  3. 【請求項3】 Al合金粉末は、2種類の粉末から構成
    され、一方のAl合金粉末は、重量%にて、Fe、C
    r、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoからなる群から選
    択される少なくとも1種の遷移金属元素を5〜15%
    (但し、複数含む場合は合計量)、Si:10〜40%、
    Cu:0.5〜5%、Mg:1〜5%、残部実質的にA
    lからなる合金の粉末であり、他方のAl合金粉末は、
    重量%にて、Fe、Cr、Ni、Zr、Ti、Mn及び
    Moからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金
    属元素を15〜25%(複数含む場合は合計量)、Si:
    10〜40%、Cu:0.5〜5%、Mg:1〜5%、
    残部実質的にAlからなる合金の粉末である請求項2に
    記載の内燃機器用ピストン。
  4. 【請求項4】 Al合金粉末は、2種類の粉末から構成
    され、一方のAl合金粉末は、重量%にて、Fe、C
    r、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoからなる群から選
    択される少なくとも1種の遷移金属元素を5〜25%
    (複数含む場合は合計量)、Si:10〜30%、Cu:
    0.5〜5%、Mg:1〜5%、残部実質的にAlから
    なる合金の粉末であり、他方のAl合金粉末は、重量%
    にて、Fe、Cr、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoか
    らなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素
    を5〜25%(複数含む場合は合計量)、Si:30〜4
    0%、Cu:0.5〜5%、Mg:1〜5%、残部実質
    的にAlからなる合金の粉末である請求項2に記載の内
    燃機器用ピストン。
  5. 【請求項5】 Al合金粉末は、2種類の粉末から構成
    され、一方のAl合金粉末は、重量%にて、Fe、C
    r、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoからなる群から選
    択される少なくとも1種の遷移金属元素を5〜15%
    (複数含む場合は合計量)、Si:10〜30%、Cu:
    0.5〜5%、Mg:1〜5%、残部実質的にAlから
    なる合金の粉末であり、他方のAl合金粉末は、重量%
    にて、Fe、Cr、Ni、Zr、Ti、Mn及びMoか
    らなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属元素
    を15〜25%(複数含む場合は合計量)、Si:30〜
    40%、Cu:0.5〜5%、Mg:1〜5%、残部実
    質的にAlからなる合金の粉末である請求項2に記載の
    内燃機器用ピストン。
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