JP2002206158A - 摺動特性に優れたアルミニウム合金溶射層及び摺動材料 - Google Patents

摺動特性に優れたアルミニウム合金溶射層及び摺動材料

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Si添加Al合金の溶射層ではマトリックス
が硬化し脆くなるために摩耗が起こり易くなる点を解決
する。 【解決手段】 Siを12〜60重量%含有し,Si粒
子を分散させたアルミニウム合金を含んでなり、アルミ
ニウム合金マトリックスの平均表面硬さ(Hv)を、熱
処理などにより50≦H≦(5/2)Si(Wt%)+
75の範囲に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動特性に優れた
高Si−Al合金溶射層及び摺動材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】まず、耐摩耗性アルミニウム合金の従来
技術を説明する。鋳造もしくは鍛造により製造される共
晶もしくは過共晶Al−Si系アルミニウム合金は耐摩耗性
が良好であるが、Si含有量が15%を超えると製造が困難
になるので、耐摩耗性もこのSi量で制約されることにな
る。近年、急冷凝固アルミニウム合金粉末を使用した粉
末冶金製品が多数提案されており(例えば特許第253578
9号公報)、Si含有量が例えば14〜30%と非常に高いた
めに耐摩耗性の向上は著しい。しかしながら、この合金
はホットプレスに続いて熱間押出などの加工を行う必要
があるから、大型部品を製造するためには非常に大容量
のプレスや押出機の設備投資をしなければならないの
で、コスト面の競争力が著しく低いと言わざるをえな
い。
【0003】優れた耐摩耗性を発揮できる35〜45重量%もの
高いSi含有量をもつAl合金を溶射する方法として、初晶
Siを晶出しないSi含有量のAl−Si合金とSi粒子を別々に
用意して、同時に溶射することにより初晶Siが晶出しな
い高Si−Al合金を製造することが公知である(特許第27
92130号公報)。この公報には溶射の具体的方法と溶射
ガンは示されていないので、一般的火炎溶射法であると
考えられる。これは、一般的溶射法で1種の粉末を使用
すると初晶Siの晶出が避けられないので、上述のように
二種の粉末を使用することが必要になっていると理解さ
れる。さらに、アルミニウム合金に固体潤滑剤として黒
鉛を添加することは公知である(特許第2584488号公
報)。ただし、この公報の方法では真空又は不活性雰囲
気中での焼結法が採用されており、黒鉛は粉末形態でア
ルミニウム合金粉と混合されている。
【0004】トライボロジストVol.41,No.11の第19〜24
頁に解説されているように、溶射技術は摺動層形成技衝
として広く採用されている。ここで列挙されている溶射
材料はZ n,Al,白溶性合金、耐熱合金、酸化物セラミ
ックス、サーメットなどである。なお、黒鉛(グラファ
イト)、MoS2などの周知のトライボマテリアルを溶射す
ることには言及されていない。
【0005】本出願人は特願平10−68951号にてSi含有アル
ミニウム合金を溶射することによりSiの形態を粒状にす
る方法を提案した。その後の研究によると溶射Si−Al合
金のマトリックスにはSiが固溶しているために脆くなっ
ており摺動特性上改良の余地があることが分かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のアルミニウム系
溶射材料の開発は、初晶Siの微細化もしくは生成抑制、
Si含有量の増大や添加金属成分種類の工夫などの方向に
向かっている。しかしながらこの方向の開発による摺動
特性向上は限界がある。さらに、Al−Si合金を溶射する
と脆化が招かれる。本発明はこれら従来技術の抱える問
題を解決するアルミニウム合金溶射層を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは通常のAl−
Siアトマイズ粉を溶射する通常の溶射法によると、Al−
Si合金のマトリックスはSiの固溶により硬化することは
避けられないので、溶射法を種々工夫して実験を行い、
その結果マトリックスの適切な硬さ範囲を見出して、本
発明を完成した。すなわち、本発明は、Siを12〜60重量
%、Snを0.1〜30重量%含有し、Si粒子を分散させたア
ルミニウム合金を含んでなり、アルミニウム合金マトリ
ックスの平均表面硬さ(Hv)が50≦Hv≦(5/2)Si(wt
%)+75であることを特徴とする摺動特性に優れたアル
ミニウム合金溶射層を提供するものである。以下、本発
明を詳しく説明する。なお百分率は特に断らない限り重
量%である
【0008】本発明の溶射Al−Si系合金において、Siはアル
ミニウムマトリックス中に微細かつ多量に分散して合金
の硬さを高めて耐摩耗性を向上させる。さらに、微細か
つ多量に分散した粒状Siはアルミニウムマトリックスが
相手材と凝着することによる焼付を起こり難くしてい
る。Siの含有量が12%未満ではこの効果が少なく、一方
60%を越えると合金が脆くなり好ましくない。なお、好
ましいSi含有量は15〜60%であり、より好ましくは20〜
45%である。本発明において、Si粒子は、粒状、即ち圧
延合金のSi粒子で見られるような、材料内の一つの方向
が明らかに長い方向性がある粒子形状ではなく、どの方
向でもほとんど同じ寸法の球状、塊状、多角状、凹凸輪
郭を有する島状、その他これらに分類されない不定型形
状で分散することが好ましい。より限定するならば最大
径と最小径の比が平均で3倍以下である。
【0009】続いてアルミニウム合金のマトリックスの硬さ
(Hv)の範囲は図1に示すとおりである。ここで、硬さ
がHv50未満であると、耐焼付性が不良であり好ましくな
い。ちなみにHv50はA2024合金のT6調質状態にほぼ該当
する。次に、Hv>(5/2)Si(wt%)+75であるとマト
リックスが硬くかつ脆化しているので、耐摩耗性が不良
となる。ここで一次式の勾配(5/2)はSi量が増加する
と、許容マトリックス硬さの上限が増加すること意味し
ている。これは、さらに分散Si粒子の量がSi量増大に対
応して多くなると、マトリックスがある程度硬くともSi
粒子の耐摩耗性作用により焼付を防止できることを意味
する。この勾配が(5/2)より大きいと、高Si組成のAl
合金でアブレーシブ摩耗が激しくなり、摩耗量が増大し
かつ焼付き易くなり、一方(5/2)より小さくなると、
耐焼付性が良好な組成が高Si域で本発明から除かれてし
まう。同様に、一次式の75は上記の勾配とともに許容マ
トリックス硬さの上限を定める。上記一次式は通常の溶
射アトマイズ粉よりなる摺動層よりも低い表面硬さ(H
v)を定めており、このように硬さを定めることによ
り、マトリックスのアブレーシブな摩耗が起こって耐摩
耗性が不良になることを防止している。
【0010】アルミニウム合金のマトリックスの硬さはマイ
クロビッカース硬度計(荷重=25〜300g)で、研磨試料
の組織をエッチングで表した試料を測定することにより
行う。硬さの平均値は相手材と接触する面積全体の硬度
を代表する値が得られるように行う。
【0011】続いて、アルミニウム合金のマトリックスの硬
さの調整法を説明する。 (イ)熱処理法(a):アトマイズ粉末の全量もしくは
一部を400〜650℃で熱処理することにより、マトリック
ス中の固溶Siを析出させる。なお、析出により合金全体
の硬度は上昇してもマトリックスの硬度が低下すればよ
い。 (ロ)熱処理法(b):溶射層を400〜650℃の温度に保
って、マトリックス中の固溶Siを析出させる。 (ハ)粉末の粒度調整法:アトマイズ粉末の一部に75〜
200μm程度の粗粒粉末を使用する。粗粒粉末はアトマイ
ズ粉製造時の冷却速度が遅いために固溶Si量が少ないこ
とを利用する。
【0012】本発明においてはSnを添加し、優れた耐摩耗性
と耐焼付性をもつAl−Si−Sn系合金をマトリックスとし
て使用する。Snは、均一にアルミニウム中に分散して潤
滑性やなじみ性を付与する成分であり、また、相手材に
優先的に付着して、相手材に凝着したAlと軸受のAlの同
種材料どうしの摺動が起こるのを妨げて、耐焼付性を高
める。Sn含有量が0.1%未満では潤滑性などの向上の効
果が少なく、30%を超えると合金の強度が低下する。好
ましいSn含有量は5〜25%である。Sn相は層内で片状を
呈し、この形状は潤滑性の面で好ましいと考えられる。
【0013】本発明のアルミニウム合金には例えば次の任意
元素を含有することができる。しかし、これらの元素は
すべてマトリックスを硬化するので、Siに関して上述し
たように、析出処理を行ってマトリックスから駆逐する
必要がある。この程度は上記関係式が満足されるように
行う。 Cu:Cuはアルミニウムマトリックスに固溶してその強度
を高めることによって、アルミニウムの凝着摩耗や、Si
粒子が脱落することによる摩耗を抑える。さらにCuはSn
の一部とSn−Cu金属間化合物を生成して耐摩耗性を高め
る。しかしながら、Cuの含有量が7%を超えると合金が
硬化し過ぎるために摺動部材として不適当になる。好ま
しいCu含有量は0.5〜5%である。 Mg:MgはSiの一部と化合してMg−Si金属間化合物を生成
して耐摩耗性を高める。しかしながらMgの含有量が5.0
%を超えると、粗大なMg相が生成して摺動特性が劣化す
る。Mn:Mnはアルミニウムマトリックスに過飽和に固溶
してその強度を高めることによってCuと同様の効果をも
たらす。しかしながらMnの含有量が5%を超えると合金
が硬化し過ぎるために摺動郡材として不適当になる。好
ましいMn含有量は0.1〜3%である。 F e:F eはアルミニウムマトリックスに過飽和に固溶し
てその強度を高めることによってCuと同様の効果をもた
らす。しかしながら、F eの含有量が5%を超えると合金
が硬化し過ぎるために摺動部材として不適当になる。好
ましいF e含有量は0.1〜3%である。 Ni:Niはアルミニウムマトリックスに過飽和に固溶して
その強度を高めることによってCuと同様の効果をもたら
す。しかしながら、Niの含有量が8%を超えると合金が
硬化し過ぎるために摺動部材として不適当になる。好ま
しいNi含有量は0.1〜5%以下である。
【0014】さらに、本発明者らは、共晶及び過共晶領域の
Al−Si系アルミニウム合金摺動材料を簡単な方法で斜板
の表面に摺動層として成膜し、かつ従来の各種摺動層よ
りも優れた特性を発揮させるための研究を行った。従
来、グラファイトやMoS2などのトライボ材料と溶射技衝
を結び付ける検討は行われていなかった。ところで、ア
ルミニウム合金の溶射温度は700℃以上が必要であり、
一方グラファイトと酸素の反応は500℃以上では活発に
起こるので、溶射火炎中に少量でも酸素が存在している
とグラファイトは溶射層中に取り込まれないおそれがあ
る。したがって、本発明者らは、グラファイトは溶射雰
囲気中に存在する酸素により燃焼し消失するのではない
か、またMoS2も同様に分解消失するのではないかとの懸
念を抱いたが、予想外にこれらトライボ材料がAl材料中
に分散できることを見出した。即ち、本発明は、Siを12
〜60重量%、Snを0.1〜30重量%含有し、粒状Siを分散
させたアルミニウム合金と、該アルミニウム合金からな
るマトリックス内に分散されたグラファイト型もしくは
無定形炭素あるいは結晶化の程度が両者の中間の炭素汲
びMoS2からなる群の少なくとも1種の分散相とを含んで
なることを特徴とする摺動特性に優れた溶射層を提供す
るものである。
【0015】本発明においては、アルミニウム合金の溶射法
としてトライボロジストVol.41,No.11の第20頁、図2
に掲載されている各種溶射法を採用することができる
が、中でも高速ガス火炎溶射法(HVOF,high velocity
oxyfuel)を好ましく採用することができる。この方法
は同誌第20頁右欄第4〜13行に記載された特長を有して
いるので、特長があるSi相形態が得られると考えられ
る。溶射粉末としてはAl−Si合金、Al−Si-Sn合金など
のアトマイズ粉末を使用することができる。これらのア
トマイズ粉末は完全に基板上で溶融しその後凝固しても
よく、あるいは一部が未溶融状態で基板上にて被着され
粉末の組織が残るようにしてもよい。溶射条件として
は、酸素圧力0.9〜1.2MPa,燃料圧力0.6〜0.9MPa,
溶射距離50〜250mmが好ましい。溶射層の厚さは10〜500
μm、特に10〜300μmが好ましい。溶射後のアルミニウ
ム合金の硬度はHvlOO〜400の範囲にある。従来の12%Si
含有アルミニウム合金では硬度がHv50〜100であるの
で、本発明の溶射層は非常に硬質であると言える。
【0016】続いて、アルミニウム合金マトリックスに溶射
により分散される相について説明する。この分散相の材
料はアルミニウム合金もしくはその原料粉末とともに溶
射される。これらのトライボ材料は上記した高速ガス火
炎溶射法によると溶射中に燃焼分解などを受けることが
比較的少なく溶射層中に取り込まれる。炭素質物質とし
ては、無定形炭素、グラファイト、結晶化の程度が両者
の中間にある炭素などを使用する。グラファイトは天然
黒鉛汲び人造黒鉛の何れでもよい。黒鉛は強い劈開性を
もつので、この性質を利用して摺動特性を高めることが
できる。炭素質物質はグラファイト構造が顕著なものは
劈開性による効果を発揮し、一方二次元構造が不明瞭に
なるにしたがい、耐摩耗性を発揮して、摺動特性を高め
る。またこれら炭素質物質は、溶射中に溶融しないため
に溶射層中に原料粉末形状を比較的に保ってそのままの
状態で分散している。他の分散層であるMoS2は周知のト
ライボマテリアルであるが、過酷な条件下での溶射層の
摺動特性改良の効果は少なく、穏やかの条件下ではグラ
ファイトほどではないが摺動特性を改良する効果があ
る。上記トライボ材料の量は溶射層に対して2〜40重量
%であることが好ましく、より好ましくは5〜25重量%
である。また、トライボ材料の溶射前平均拉径は10〜50
μmであることが好ましく、より好ましくは20〜40μmで
ある
【0017】上記したアルミニウム合金と炭素質物質及び/
又はMoS2以外には、FeB,Fe3P,A12O3,SiO2,SiC,Si3
N4などの硬質物を耐摩耗性向上のために添加することも
できる。これらの物質は溶射中に溶解せず合金中に分散
される。これらの硬質物は溶射層全体に対して20重量%
以下とすることが好ましい。
【0018】溶射層を形成する基板としては、鉄、銅、アル
ミニウムなどの各種金属基板を使用することができる。
基板の表面はショットブラストなどにより、好ましくは
RzlO〜60μmの表面粗さに粗面化しておくと、膜の密着
強度が高くなる。具体的には剪断破壊試験法により密着
強度を測定したところ、鋼基板(ショットプラスト)に
対する溶射Ni皮膜の密着強度が30〜50MP aであったのに
対し、本発明皮膜の密着強度は40〜60MPaであった。し
たがって従来密着性が良いと言われているNi溶射皮膜と
同等の密着強度が得られる。溶射層には熱処理を施して
硬さを調整することできる。
【0019】溶射層をオーバレイなしで使用する場合は、溶
射層表面をR z3.2μm以下に仕上げることが好ましい。
オーバレイを使用した摺動材料として本発明を実施する
場合はSn系、Pb−Snなどの軟質金属や,MoS2、グラファ
イト、MoS2+グラファイトなどの固体潤滑剤やこれらの
樹脂を樹脂と混合したなじみ性にすぐれた各種軟質皮膜
を溶射層に固着して使用することができる。上記の軟質
皮膜と溶射層を組み合わせると耐焼付性が飛躍的に高め
られ、青銅系摺動材料を凌駕する性能が得られる。上述
のように、溶射層中に存在するMoS2は冷凍機油がないよ
うな過酷な条件下での摺動特性の改善効果は少ないが、
オーバレイとしてのMoS2は抜群の効果を発揮する。
【0020】
【作用】一般に、アルミウム合金のマトリックスを硬化
・強化することは、摺動特性に有効であるが、溶射アル
ミニウム合金の場合は硬化が過度になってアブレーシブ
な摩耗を招き逆効果となるので、本発明においては、マ
トリックスから固溶元素を析出させることを提案してい
る。一方、本発明のようにマトリックス中の溶質元素が
ほぼ枯渇するようなAl合金は、通常は相手材との凝着に
よる摩耗が起こり易くなるが、溶射材料の場合は多量の
Siが、しかも好ましくは粒状形態で含有しているため
に、弊害を招くことはない。
【0021】
【実施例】実施例1 以下の表1に組成及び調製法を示すアルミニウム合金ア
トマイズ粉末(平均粒径−75μm)を調製し、市販の純
アルミ圧延板にスチールグリッド(寸法0.7mm)による
ショットブラストを施し、表面を粗さR z45μmに粗面化
したものを基板として溶射を行った。溶射はHVOF型溶射
機(スルザーメテコ社製DJ)を使用し、下記条件で溶射
を行った。 酸素圧力:1.0Mpa 燃料圧力:0.7MPa 溶射距離:180mm 溶射層厚さ:200μm
【0022】溶射層の耐摩耗性試験を下記条件で行ない、そ
の結果を組成とともに表1に示す。 試験機:3ピン/ディスク摩擦摩耗試験機 荷重:40kgf/cm2 回転数:700rpm 時間:2Hr
【0023】
【表1】
【0024】この表に見られるように、本発明法によりマト
リックスの硬さを所定値以下にすることにより耐摩耗性
が著しく向上する。実施例3の粉末及び溶射層の金属顕
微鏡組織をそれぞれ図2、3に示す。比較例3の粉末及び
溶射層の金属顕微鏡組織をそれぞれ図4、5に示す。図
2、3を図4、5と比較すると熱処理により粉末中のSi粒子
層は粗大化し、またこれと対応して溶射層中のSi粒子も
粗大化していることが分かる。
【0025】次に、溶射層の耐焼付試験を下記条件で行い、
その結果を組成とともに図6(表2)に示す。 試験機:3ピン/ディスク摩擦摩耗試験機 荷重:40kgf/cm2より20kgf/cm2づつ漸増(最大150kgf
/cm2) 回転数:7200rpm 時間:15分ずつステップアップ(計150分) 表2より、本発明の溶射層及び軟質皮膜を固着した溶射
摺動材料はマトリックスが硬い比較例よりも耐焼付性が
優れていることが分かる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると従
来本出願人が提案した溶射Al合金よりも一層良好な耐摩
耗性及び耐焼付性を達成することができる。このため
に、本発明の溶射層は各種摺動材料として好ましく使用
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のアルミニウム合金マトリックス表面
硬さとSi量の関係を示すグラフである。
【図2】 実施例3のアトマイズ粉末の組織を示す金属顕
微鏡写真である。
【図3】 実施例3の溶射層の組織を示す金属顕微鏡写真
である。
【図4】 比較例3のアトマイズ粉末の組織を示す金属顕
微鏡写真である。
【図5】 比較例3の溶射層の組織を示す金属顆微鏡写真
である。
【図6】 焼付試験に供した供試材の性状と試験結果を
示す図表(表2)である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Siを12〜60重量%、Snを0.1〜30重量%
    含有し、Si粒子を分散させたアルミニウム合金を含んで
    なり、アルミニウム合金マトリックスの平均表面硬さ
    (Hv)が50≦Hv≦(5/2)Si(wt%)+75であることを
    特徴とする摺動特性に優れたアルミニウム合金溶射層。
  2. 【請求項2】 前記アルミニウム合金が7重量%以下のC
    u,5重量%以下のMg,5重量%以下のMn,5重量%以下の
    Fe及び8重量%以下のNiからなる群の少なくとも1種の元
    素を含有することを特徴とする請求項1記載の摺動特性
    に優れたアルミニウム合金溶射層。
  3. 【請求項3】 前記Si粒子が粒状である請求項1又は2記
    載の摺動特性に優れたアルミニウム合金溶射層。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム合金と、残部がグラフ
    ァイト型もしくは無定形炭素あるいは結晶化した程度が
    両者の中間にある炭素及びMoS2からなる群の少なくとも
    1種の分散相とからなる請求項1から3までの何れか1項記
    載の摺動特性に優れたアルミニウム合金溶射層。
  5. 【請求項5】 高速ガス火炎溶射法により成膜された請
    求項3又は4記載の摺動特性に優れたアルミニウム合金溶
    射層。
  6. 【請求項6】 請求項1から5までの何れか1項記載の溶射
    層に軟質皮膜層を固着させた摺動材料。
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KR101231952B1 (ko) 2004-10-12 2013-02-08 만 디젤 앤 터보 에스이 방사상 압축기 휠 및 그 제조 방법
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