JPH119190A - ミルク入りコーヒー飲料およびその製造方法 - Google Patents
ミルク入りコーヒー飲料およびその製造方法Info
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Abstract
びアミノ酸からなる混合物ならびに乳成分を添加し、容
器に充填後、レトルト殺菌することを特徴とする、ミル
ク入りコーヒー飲料およびその製造方法。 【効果】 本発明によれば、加温状態でも長期間にわた
り香味劣化のないミルク入りコーヒー飲料が提供され
る。
Description
間にわたり香味劣化のないミルク入りコーヒー飲料およ
びその製造方法に関する。
態(55〜60℃) でも販売される通年商材であり、清涼飲
料水の売り上げの中でも大きなウェイトを占めている。
ミルク入り缶コーヒーは、常温では12カ月以上も品質が
安定しているのに対し、加温状態におくと急速に製品の
香味が劣化してしまうことが知られている。従って、ミ
ルク入り缶コーヒーの香味を維持するためには、加温状
態で長期間保存しないよう、自動販売機で滞留している
時間を管理し、一定期間経過後にはその製品を廃棄する
などの厳密な商品管理が行われているのが現状である。
この加温状態におけるミルク入り缶コーヒーの香味劣
化、具体的には香りの面では乳独特の劣化臭(すえ臭)
の発生、味の面では乳独特のむれっぽい味の発生、乳成
分のこく味(クリーミー感)の消失は、牛乳等の乳成分
に含まれる乳脂肪やコーヒー油脂などが加温によって複
雑な酸化反応を起こして変化することが原因であると考
えられている。かかる加温中の乳脂肪の酸化反応を抑制
するために、抗酸化剤を添加することが考えられるが、
安全性が高く、天然物由来であって、しかもコーヒーの
味に影響を与えない抗酸化剤は少なく、また味に影響を
与えない程度の微量の添加では抗酸化力が期待できな
い。一方、糖−アミノ酸褐変物質、つまりメイラード反
応生成物には抗酸化作用があることが知られている(特
公昭61-40277号、特開平5-65482号公報) 。例えばロイ
シンとキシロース、イソロイシンとキシロース、バリン
とグルコースの褐変物質を利用して、油脂及び油脂含有
食品の酸化変敗を防止し、同時にそれらの風味を維持改
善する試みがなされている(特公昭45-28899号公報) 。
は、加温状態でも長期間にわたり香味劣化のないミルク
入りコーヒー飲料およびその製造方法を提供することに
ある。
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、抗酸化力が強
く、かつコーヒーの味に影響を与えないことが期待され
るメイラード反応生成物に着目し、このメイラード反応
生成物をコーヒー抽出液に存在させることにより、加温
状態におけるミルク入りコーヒー飲料の香味劣化を抑制
できることを見いだし、本発明を完成させるに到った。
抽出液に、単糖およびアミノ酸を添加し、更に乳成分を
配合し、容器に充填後、レトルト殺菌することを特徴と
する、ミルク入りコーヒー飲料およびその製造方法であ
る。以下、本発明を詳細に説明する。
ヒー飲料に配合するコーヒー抽出液は、コーヒー焙煎豆
を抽出して得られる。コーヒー豆の種類は、特に限定さ
れないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニ
ア、モカ等が挙げられる。コーヒー豆は1種でもよい
し、または複数種をブレンドして用いてもよい。焙煎は
通常の方法で行えばよく、焙煎の程度は所望する呈味に
より適宜調整すればよい。具体的には、焙煎を深くする
と苦みが強くなり、焙煎が浅いと酸味が強くなる。コー
ヒー焙煎豆の抽出方法は、特に限定されないが、例えば
熱水抽出で行う。
に配合する乳成分は、具体的には、生乳、牛乳、全粉
乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂
乳、れん乳等をいう。
よびアミノ酸を添加する。単糖はグルコース、キシロー
ス等が挙げられる。また、アミノ酸は、グリシン、アラ
ニン、ロイシン、イソロイシン、バリン等が挙げられ
る。これらの単糖およびアミノ酸からなる混合物は、加
熱によりメイラード反応生成物を生じるが、その組み合
わせとしては、キシロースとグリシン、キシロースとア
ラニン、グルコースとグリシンが好ましい。
1 :2〜2:1(モル比)の割合で用いることが好まし
く、両成分をコーヒー飲料全量に対して0.01〜1.0 重量
%、好ましくは0.15〜0.9 重量%の割合で含有させる。
として、例えば、ショ糖、果糖ブドウ糖液糖、水飴、麦
芽糖、乳糖、パラチノース、各種オリゴ糖が用いられ
る。また、上記の単糖は、糖分全量に0.1 〜7.0 重量
%、好ましくは1.0 〜6.0 重量%の割合で含有させる。
ー飲料には、副原料としてpH調整剤、乳化剤、香料等
を添加することができる。pH調整剤は加熱殺菌による
乳蛋白質の沈殿生成を防止できるものであれば特に限定
はされないが、例えば重曹が好適に用いられる。乳化剤
としては、加熱殺菌による乳蛋白質の沈殿生成や、脂肪
の分離を防止できるものであれば特に限定されないが、
例えばショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステ
ル、微結晶セルロースが好適に用いられる。
法としては、具体的には、コーヒー抽出液に所定量の糖
分、例えばショ糖を加え溶解させた後、上記の単糖およ
びアミノ酸を添加して重曹にてpHを6.8 〜7.1 に調整
する。さらに、乳化剤を添加した後、乳成分、香料を加
えコーヒー調合液とする。これを例えば60〜70℃に昇温
後、ホモゲナイズ処理し、さらに90℃に昇温後、容器に
充填してレトルト殺菌する。レトルト殺菌は、例えば11
5 〜130 ℃、15〜30分間、10〜60Fにて行う。ここで使
用される容器としては、例えば缶(アルミニウム、スチ
ール)、瓶(ガラス)である。
単糖とアミノ酸によりメイラード反応が起こり、メイラ
ード反応生成物ができる。メイラード反応生成物は、予
め別途調製しておき、これをコーヒー抽出液に添加し、
その後レトルト処理を行ってもよいが、上記のようにレ
トルト殺菌中にメイラード反応生成物を調製するほう
が、原料の調達や操作性の面から有効である。
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造 焙煎したブラジル豆を粉砕した後、攪拌を行いながら、
14倍量の90℃の熱水で、15分間抽出を行った。抽出終了
後、市販の紙製の濾過フィルターで抽出液を濾過し、濾
液を氷冷した。得られた液(以下、コーヒー抽出液)の
可溶性固形分(ブリックス;Brix )は2.3 であり、抽出
率は25% であった。このコーヒー抽出液を1000g 処方で
のコーヒー焙煎豆の使用量が52g になるように秤量し
た。この抽出液に、ショ糖を61g 、キシロースを1.22g
、グリシンを0.61g 添加し完全に溶解した後、重曹を
加えpHを6.9 に調整した。これに乳化剤としてショ糖脂
肪酸エステル0.3gを溶解した後添加した。次いで、牛乳
を120g、香料を1g加えて調合液とした。この調合液をホ
モゲナイズ処理(1次圧150kg/cm2 、2次圧50kg/cm2の
計200kg/cm2)して均質化し、90℃に昇温後、缶に充填
し、レトルト殺菌を行い(124℃, 20分間, F=39) 、目的
のミルク入りコーヒー飲料を得た。
酸化能試験(1) (1) メイラード反応生成物の調製 単糖としてキシロース(Xyl)またはグルコース (Glc)、
アミノ酸としてグリシン(Gly) 、アラニン(Ala) 、イソ
ロイシン(Ile) 、ロイシン(Leu) 、またはバリン(Val)
をモル比で1:1 になるように混合し、終濃度が25mMにな
るようにリン酸バッファー(pH7.0) を添加し、完全に溶
解した。その後、124℃ 20 分間の加熱を行い、メイラ
ード反応を行った。加熱終了後、速やかに冷却した後、
これをメイラード反応生成物とした。 (2) 過酸化物価(P.O.V.)の算出 99.5% エタノール2ml 、2.5%リノール酸/エタノール2m
l 、50mMリン酸バッファー(pH7.0)4mlに市販の抗酸化剤
としてビタミンE、ブチルヒドロキシアニソール(BH
A)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸
プロピル(PG)を200ppm、及び上記のメイラード反応
生成物を加え(単糖が1000ppm になるように) 、全量を
10mlにした後、スクリューバイアルに入れ、55℃で8 日
間保存し、これを試料液とした。保存したスクリューバ
イアルから試料液を0.05ml採取し、これを試験管に入
れ、75% エタノールを4.85ml、30% チオシアン酸アンモ
ニウム溶液を0.05ml加えた。これらの混合液に20mM塩化
第一鉄/3.5%塩酸溶液0.05ml加え、15秒間攪拌し、正確
に3 分後に500mm の吸光度を測定した。この測定法は、
ロダン液と塩化鉄とが反応し、生じた赤色物質[Fe 3+(S
CN)3 -] を比色定量するもので、別に作成したFeの標準
直線よりFe量を換算し、過酸化物価(P.O.V.)として算出
した。下記表1にその結果を示す。
うち、キシロース(Xyl) とグリシン(Gly) 、グルコース
(Glc) とグリシン(Gly) 、キシロース(Xyl) とアラニン
(Ala) の組み合わせが特に効果的であることがわかっ
た。
酸化能試験(2) キシロース(Xyl) とグリシン(Gly) を用いて下記表2の
配合割合でコーヒー飲料を調製し、これを55℃で2 カ月
保存後、化学発光(CL)強度を測定した。化学発光
(CL)強度は、試料室に飲料5ml を正確に計り入れ、
これを40℃に保ち5分間に測定されるCLを積算するこ
とにより算出した。その結果を図1に示す。
に比べて酸化の度合いが顕著に抑制されていることが示
される。
官能評価(1) (1) 単糖とアミノ酸の使用量範囲 基本処方(表3)に、キシロース(Xyl) とグリシン(Gl
y) を表4に示す割合で添加し、試料を調製した。
記表5に示す。
るキシロースとグリシンのコーヒー香味に影響を与えな
い最大添加量は0.92重量%(試料5)、最低添加量は0.
018重量%(試料2)と判断された。
はグルコース(Glc) 、アミノ酸としてグリシン(Gly) 、
アラニン(Ala) 、イソロイシン(Ile) 、またはロイシン
(Leu) 、バリン(Val) を表6に示す割合で添加し、試験
試料を調製した。
7に示す。
えずに使用できるアミノ酸としては、グリシン(Gly)
が最も好ましく、アラニン(Ala) も好ましいと判断でき
る。単糖はキシロース(Xyl) 、グルコース(Glc) いずれ
も使用できる。
官能評価(2) 基本処方(表3)のもの、および基本処方にキシロース
(Xyl) を1.22g 、グリシン(Gly) を 0.61g添加したもの
をそれぞれ調製した。これらを55℃、2 カ月間保存し、
冷蔵庫保存品をコントロールとして11名のパネラーによ
り官能評価を行った。乳の「すえ臭」については、基本
処方では55% のパネラーがコントロールに比べて“非常
に強い”または“かなり強い”と評価したのに対し、Xy
l-Gly 添加処方では9%にまで低下した。逆に、“差がな
い”と評価した割合も18から27%まで増加した。また、
乳の「むれっぽさ」についても基本処方では18% のパネ
ラーがコントロールに比べて“非常に強い”または“か
なり強い”と評価したのに対し、Xyl-Gly 添加処方では
これらの評価はなくなり、“差がない”または“弱い”
と評価したパネラーが36% に増え、香味の改善がはから
れていることがわかった(図2)。
わたり香味劣化のないミルク入りコーヒー飲料が提供さ
れる。従って、冬季に加温状態で販売されているミルク
入り缶コーヒーについての保存期間の延長が可能となる
ので、商品管理に要する努力の削減、商品の廃棄率の低
下に役立つ。
態での長期間保存(55℃,2 カ月)後の化学発光(C
L)強度を示す。
価結果を示す。
Claims (5)
- 【請求項1】 糖分を含むコーヒー抽出液に、単糖およ
びアミノ酸を添加し、更に乳成分を配合し、容器に充填
後、レトルト殺菌することを特徴とする、ミルク入りコ
ーヒー飲料の製造方法。 - 【請求項2】 単糖およびアミノ酸の組み合わせが、キ
シロースとグリシン、グルコースとグリシン、またはキ
シロースとアラニンから選ばれる組み合わせである、請
求項1記載の方法。 - 【請求項3】 単糖およびアミノ酸のコーヒー飲料全量
に対する添加量が、0.01〜1.0 重量%である請求項1記
載の方法。 - 【請求項4】 単糖およびアミノ酸の混合比が、1:2
〜2:1(モル比)である、請求項1記載の方法。 - 【請求項5】 糖分を含むコーヒー抽出液に、単糖およ
びアミノ酸を添加し、更に乳成分を配合し、容器に充填
後、レトルト殺菌することを特徴とする、ミルク入りコ
ーヒー飲料。
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