JPH1179964A - 口臭除去用多重ソフトカプセルおよびその製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた口臭除去効果を発揮する口臭除去用多
重ソフトカプセルおよびその製造法の提供。 【解決手段】 第１ソフトカプセル1の内部に１つの第
２ソフトカプセル2を内包した多重ソフトカプセル10で
あって、前記第１ソフトカプセル1および第２ソフトカ
プセル2がいずれも内容物として口臭除去効果を有する
成分3および4を封入し、前記第２ソフトカプセルが胃溶
性であることを特徴とする口臭除去用多重ソフトカプセ
ル10。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カプセル・イン・
カプセル構造、すなわち多重構造を有し、かつ優れた口
臭除去効果を発揮する、口臭除去用多重ソフトカプセル
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、口腔内の口臭除去を目的とし
て服用（経口投与）する、口腔用組成物について、長
年、研究がなされており（例えば、特開平3-220117号公
報等）、多数の商品が上市されてきている。これらの中
には、通常の口臭（特に、メルカプタン臭）だけでな
く、複数の口臭除去有効成分を含むことにより、他の食
品臭、例えば、ニンニク臭（特に、ジアリルジサルファ
イド臭）やアルコール臭に対しても有効であるものもあ
る。しかしながら、上記のような従来の口腔用組成物
は、１商品を服用するだけでは、摂食した食品の口臭を
完全に消すことができなかった。

【０００３】元来、口臭は、例えば、食品を摂食するこ
とにより、直接、口腔内で発生するものと、摂食した食
品が胃等で消化された後、口腔内に戻ってくる臭い、い
わゆる「戻り臭」が合わさって発生するものと考えられ
ている。よって、口腔内の口臭除去のみを行っても、胃
からの「戻り臭」が発生するため、完全な口臭除去が達
成されなかった。

【０００４】そのような問題を克服するためには、口腔
内の口臭除去に有効な商品と、摂食した食品の臭い（戻
り臭）の消臭を目的とする商品の２つ以上の商品を同時
に服用する必要があった。このことは、手間であり、更
には、戻り臭に有効な成分が含まれている商品であって
も、服用した後者の商品においては、口腔内で溶解ある
いは噛み砕かれるため、胃に達するまでに、唾液や各種
消化液によって、必要な有効成分の濃度が薄められてし
まうという不利益があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような不利益を有さず、口腔内および胃からの戻り臭
の両者に対し有効な、口臭除去用カプセルを提供するこ
とである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、図１に示す如
く、第１ソフトカプセル1の内部に１つの第２ソフトカ
プセル2を内包した多重ソフトカプセル10であって、前
記第１ソフトカプセル1および第２ソフトカプセル2がい
ずれも内容物として口臭除去効果を有する成分3および4
を封入し、前記第２ソフトカプセルが胃溶性であること
を特徴とする口臭除去用多重ソフトカプセル10を提供す
る。また、本発明は、前記第１および／または第２ソフ
トカプセル用皮膜および／またはそれらの内容物が更に
呈味成分も含んで成る多重ソフトカプセルも提供する。

【０００７】更に、本発明は、順次増大する半径を有し
て同心円状に配置された第１ノズル、第２ノズル、第３
ノズルおよび第４ノズルからそれぞれ、第２ソフトカプ
セル用充填液、第２ソフトカプセル用皮膜液、第１ソフ
トカプセル用充填液および第１ソフトカプセル用皮膜液
を同時に押出し、この複合ジェットを冷却液中に放出す
ることを特徴とする口臭除去用多重ソフトカプセルの製
造法も提供する。

【０００８】

【発明の効果】 口腔内口臭除去効果を有する第１ソフトカプセル内の
成分によって、服用後、直ちに口腔内の口臭除去が達成
できる（口臭除去即効性効果）。このような第１ソフト
カプセル皮膜および／またはカプセル内包成分は、呈味
成分も含んでおり、それによって、口腔内で溶出したと
きに苦味等の刺激が緩和されるため、嗜好性が上がる。 口腔内で溶解および噛み砕かれずに胃へ到達した第２
ソフトカプセルに内封された成分が、唾液や各種消化液
等で希釈されることなく、胃内で溶出して戻り臭を押さ
える効果を発揮する（口臭除去持続性効果）。 すなわち、本発明の多重ソフトカプセルは、１つのカプ
セルの服用（経口投与）によって、口臭除去に対し、上
記およびのような即効性効果および持続性効果の２
つの効果を発揮する。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図１に示す、本発明の口臭除去用多重ソフトカプセル10
は、第１ソフトカプセル皮膜1およびその中に内包され
た口臭除去効果を有する成分を含む内容物3、並びに第
２ソフトカプセル2およびその中に内包された口臭除去
効果を有する成分を含む内容物4から成る。

【００１０】本発明の多重ソフトカプセルの第１および
第２ソフトカプセル皮膜1および2を形成するための基材
としては、例えば、ゼラチン、寒天、またはこれらの混
合物が挙げられるが、ソフトカプセル皮膜を形成できる
ものであれば、特にこれらに限定されない。本発明の多
重カプセルの形成用材料としては、前記皮膜形成用基材
の外に、所望により、水溶性多価アルコール（例えば、
ソルビトール、グリセリン等）、またはアルギン酸ナト
リウムもしくは低メトキシルペクチン、あるいはアルギ
ン酸ナトリウムの水溶液もしくは低メトキシルペクチン
を２価以上の多価イオンでゲル化処理したもの等を添加
してよい。この場合、上記多価イオンとしては、２価以
上の多価金属塩、特に、アルギン酸ナトリウムの水溶液
の場合は、水溶性カルシウム塩、例えば塩化カルシウ
ム、リン酸カルシウム等、低メトキシルペクチンの場合
は、カルシウム、マグネシウム等の水溶性塩類を適宜使
用すればよい。

【００１１】本発明において、前記第１および／または
第２カプセル皮膜形成用材料には、更に呈味成分も含ん
でいてよい。このような呈味成分とは、甘味料、酸味料
および苦味料を意味し、具体的には、例えば、甘味料と
しては、アスパルテーム、ステビア、サッカリンナトリ
ウム、ソーマチンが、酸味料としては、例えばクエン
酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸が、また苦味料として
は、例えばカフェイン、ナリンジンがそれぞれ挙げられ
る。カプセル皮膜形成用材料への呈味成分の添加につい
ては、上記甘味料、酸味料および苦味料から選ばれた少
なくとも１種を使用し得る。

【００１２】本発明の多重ソフトカプセルのカプセル皮
膜には、更に、可塑剤、防腐剤、色素および香料等の添
加物を添加してもよい。

【００１３】前記カプセル皮膜形成材料内において、上
記添加物および呈味成分の合計配合料は、カプセル皮膜
形成用基材100重量部に対して、0.01〜50重量部であり
得る。特に上記呈味成分は、カプセル皮膜形成用基材10
0重量部に対して、0.1〜30重量部であり得る。

【００１４】本発明において、前記第２ソフトカプセル
用皮膜形成材料には、口腔内で溶解せずに胃内で溶解さ
せるために、例えば、寒天、アラビアゴムのような物質
を、上記添加剤の合計配合量の0.01〜10％の量で添加し
てもよい。

【００１５】本発明の多重ソフトカプセルにおいて、第
１ソフトカプセル内に封入する内容物は、食用植物油脂
および口腔内において口臭除去効果を有する物質を含ん
で成る。前記食用植物油脂は、香味調整および安定性向
上のために添加するものであって、例えば、ヤシ油、ヒ
マワリ油、ベニバナ油、ゴマ油、ナタネ油、グレープ種
子油、およびこれらの混合物が挙げられる。また、口腔
内において口臭除去効果を有する物質としては、例え
ば、レモンオイル、ペパーミントオイル、パセリ油、シ
ャンピニオンエキス、緑茶抽出物、ウーロン茶抽出物、
ヨモギ焙煎抽出物、リンゴ抽出物、柿抽出物、ジンジャ
ーエキス等、およびそれらの混合物が挙げられる。

【００１６】第１ソフトカプセル内容物において、上記
食用植物油脂および口腔内において口臭除去効果を有す
る物質は、内容物100重量部に対し、0〜99重量部および
1〜100重量部の量でそれぞれ含まれてよい。特に、前記
食用植物油脂の量が、上記上限：99重量部を超えると、
口臭除去効果がなくなるため好ましくない。

【００１７】前記第１ソフトカプセル内容物は、更に、
上記カプセル皮膜形成用材料について記載したのと同様
の呈味成分も含んで成る。このような呈味成分は、第１
ソフトカプセル内容物100重量部に対して、0.01〜50重
量部であり得る。

【００１８】更に、第１ソフトカプセル内容物は、所望
により、当該分野において通常使用される色素および香
料を含んでいてもよい。前記内容物中の色素および香料
の含有量は、第１ソフトカプセル内容物100重量部に対
して、80重量部以下であることが好ましい。

【００１９】第２ソフトカプセル内に封入する内容物
は、上述の第１ソフトカプセル内容物に記載したのと同
様の食用植物油脂および口腔内において口臭除去効果を
有する物質、並びに、所望により、色素および香料を含
み得る。第２ソフトカプセル内容物において、上記食用
植物油脂および口腔内において口臭除去効果を有する物
質は、内容物100重量部に対し、0〜99重量部および1〜1
00重量部の量でそれぞれ含まれてよい。また、前記内容
物中の色素および香料の含有量は、第２ソフトカプセル
内容物100重量部に対して、80重量部以下であることが
好ましい。

【００２０】本発明の多重ソフトカプセルにおいて、第
１および第２ソフトカプセル内に封入される上記内容物
の配合量は通常、各カプセル全体の10〜95重量％、好ま
しくは50〜90重量％である。

【００２１】本発明の多重ソフトカプセルの製造法とし
ては、例えば、ゼラチン等を基剤とする第２カプセル皮
膜用シートを予め調製した後、乾燥させることにより乾
燥シートを形成し、これを用いて、ロータリー式充填機
で、第２カプセル用の口臭除去効果を有する成分を含ん
で成る内容物を封入することにより第２ソフトカプセル
を形成し、次いで、第１カプセル皮膜用シートを予め調
製して乾燥させた後、これを用いて、ロータリー式充填
機で、上記で形成した第２ソフトカプセルと、第１カプ
セル用の口臭除去効果を有する成分を含んで成る内容物
を同時に封入する、継ぎ目有りカプセル製剤の成形法；
並びに同芯多重ノズルを用いて、シームレスカプセルを
製造する方法が挙げられる。

【００２２】本発明のカプセル製剤を製造する方法とし
ては、後者の同芯多重ノズル、特に同芯四重ノズルを用
いる方法がより好ましい（特開昭59-131355号公報）。
同芯四重ノズルによる４重構造（すなわち、カプセル・
イン・カプセル構造）のシームレス・カプセルの製造方
法の実施態様を図２に示す。

【００２３】図２において、予め、各内容物充填液およ
び各皮膜液を調製した。次に、第２ソフトカプセル内容
物充填液11'をＣ方向から第１ノズル11へ供給し、第２
ソフトカプセル皮膜液12'をＤ方向から第２ノズル12へ
供給し、第１ソフトカプセル内容物充填液13'をＡ方向
から第３ノズル13へ、更に第１ソフトカプセル皮膜液1
4'をＢ方向から最も外側の第４ノズル14へそれぞれ供給
して、各環状孔先端部から同時に押し出し、この四相複
合ジェットを冷却液15中に放出して本発明による多重ソ
フトカプセル20を得る。

【００２４】本発明のカプセル製造法において、充填物
は液状であるため、振動手段を用いて複合ジェット流に
適度な振動を与えることによってジェット流の切れを良
くしてカプセル化を容易にし、それによって粒径を均一
にすることもできる。本発明の多重ソフトカプセルにお
いて、第１ソフトカプセルは、通常、粒径2.0〜20mm、
好ましくは3.0〜10mm、および皮膜率（＝ソフトカプセ
ル重量に対する皮膜重量の割合）5〜50％、好ましくは8
〜30％に、また第２ソフトカプセルは、通常、粒径0.5
〜18mm、好ましくは1.0〜9mm、および皮膜率5〜100％、
好ましくは8〜50％の範囲内でそれぞれ成形することが
できる。

【００２５】本発明において、最終カプセル製品は、よ
り好ましくは、上記製造法によって成形されたカプセル
を乾燥処理した状態であり得る。

【００２６】

【実施例】以下に実施例を用いて本発明を説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例 第１ソフトカプセル被膜液、第１ソフトカプセル内容物
充填液、第２ソフトカプセル被膜液および第２ソフトカ
プセル内容物充填液はそれぞれ、表１に示した組成で混
合することで調製した。次に、これらを、シームレスカ
プセル製造機（森下仁丹製）内の同心四重ノズルの各ノ
ズルから同時に押し出し、四相複合ジェットを冷却液中
に放出して本発明による４重構造のソフトカプセルを得
た。

【００２７】

【表１】 組 成 配合量 (重量％) 第１ソフトカプセル被膜液： ゼラチン 9.0 甘味料：アスパルテーム 0.2 ソルビトール 2.0 第１ソフトカプセル内容物充填液： レモンオイル 6.0 ペパーミント 1.0 香料：Ｌ−メントール、ウィンターグリーンオイル、 7.0 ワニラオイル 甘味料：アスパルテーム 0.4 食用植物油脂：ヤシ油 57.3 第２ソフトカプセル被膜液： ゼラチン 5.0 甘味料：アスパルテーム 0.1 第２ソフトカプセル内容物充填液： パセリ油 6.0 食用植物油脂：ヤシ油 6.0

【００２８】比較例 上記実施例のようなカプセル・イン・カプセル構造（す
なわち四重構造）を有しないカプセルであって、内部に
口臭除去効果を有する成分としてパセリ油を含有する市
販のカプセルを入手した［ブレスアシュア社（米国）
製、商品名：ブレスアシュア］。

【００２９】口臭除去効果評価 上記実施例において得られたカプセルおよび比較例のカ
プセルの口臭除去効果について、以下の手順で試験し
た。 １.７名のパネラーおよび３名の評価者を選出した。パ
ネラーは、歯磨き剤を用いずに歯を磨いた。 ２.パネラーの呼気を採取した（呼気Ａ）。 ３.各パネラーがニンニク入りギョウザを摂食した。 ４.再度、パネラーの呼気を採取した（呼気Ｂ）。 ５.パネラーに上記実施例および比較例の口臭除去カプ
セルを与えて服用させた。 ６.服用後、０分後、３０分後、６０分後および１８０
分後の呼気を採取し、評価者が、各パネラーの各時間に
おける口臭除去効果について、以下の評価基準で評価し
た。

【００３０】評価基準： ０：無臭である。 １：呼気Ａと同程度の口臭を感じる。 ２：呼気Ａよりも強い口臭を感じる。 ３：呼気Ｂよりも少し弱い口臭を感じる。 ４：呼気Ｂと同程度の口臭を感じる。

【００３１】また、上記手順１.〜５.の後、口臭除去カ
プセルを服用しなかった場合（パネラー数：７名）につ
いても、上記と同様の評価基準で、前記評価者により口
臭除去を評価した。以上の評価結果を図３にまとめる。
図３において、水平方向は、服用後の経過時間を、また
垂直方向は、評価者による評価結果の平均値をそれぞれ
示す。図３中、ａは、実施例で得た本発明の多重ソフト
カプセル服用後の結果を、ｂは、比較例のカプセル服用
後の結果を、およびｃは、いずれのカプセルも服用しな
かった場合の結果をそれぞれ表している。

【００３２】図３より、口臭除去カプセルを服用しなか
った場合および比較例のカプセルを服用した場合、カプ
セル服用後または未服用後６０分において、評価基準２
付近まで口臭が消えている。しかしながら、その後、未
服用の場合は、胃からの戻り臭により、再度口臭を強く
感じるようになり、また比較例のカプセルを服用後は、
戻り臭を含む口臭を歯磨き直後程度まで除去することが
できなかった。それに対し、本発明の多重ソフトカプセ
ルは、服用直後に迅速に口臭除去効果を発揮し、かつ服
用後１８０分経過後も、その効果を持続していることが
分かる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の口臭除去用多重ソフトカプセルの模
式的な断面図を表す。

【図２】 本発明の口臭除去用多重ソフトカプセルを製
造するのに好適な製造装置のノズル部の一態様を示す模
式的な縦断面図を表す。

【図３】 パネラー試験による口臭除去効果の評価結果
を表すグラフである。

【符号の説明】

１…第１ソフトカプセル、２…第２ソフトカプセル、
３、13'…第１ソフトカプセル内容物、４、11'…第２ソ
フトカプセル内容物、10、20…本発明の口臭除去用多重
ソフトカプセル、11…第１ノズル、12…第２ノズル、1
2'…第２ソフトカプセル皮膜液、13…第３ノズル、14…
第４ノズル、14'…第１ソフトカプセル皮膜液、15…冷
却液。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 昌志 大阪府大阪市中央区玉造１丁目１番30号 森下仁丹株式会社内 (72)発明者 森島 裕子 大阪府大阪市中央区玉造１丁目１番30号 森下仁丹株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 第１ソフトカプセル1の内部に１つの第
   ２ソフトカプセル2を内包した多重ソフトカプセル10で
   あって、前記第１ソフトカプセル1および第２ソフトカ
   プセル2がいずれも内容物として口臭除去効果を有する
   成分3および4を封入し、前記第２ソフトカプセルが胃溶
   性であることを特徴とする口臭除去用多重ソフトカプセ
   ル10。
2. 【請求項２】 前記第１および／または第２ソフトカプ
   セル用皮膜および／またはそれらの内容物が、更に呈味
   成分を含んで成る請求項１記載の口臭除去用多重ソフト
   カプセル。
3. 【請求項３】 順次増大する半径を有して同心円状に配
   置された第１ノズル、第２ノズル、第３ノズルおよび第
   ４ノズルからそれぞれ、第２ソフトカプセル用充填液、
   第２ソフトカプセル用皮膜液、第１ソフトカプセル用充
   填液および第１ソフトカプセル用皮膜液を同時に押出
   し、この複合ジェットを冷却液中に放出することを特徴
   とする口臭除去用多重ソフトカプセルの製造法。