JP2004196706A - 食感が改善されたシームレスカプセルとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、シームレスカプセルにおける皮膜部分の食感を改良し、嗜好性の良いシームレスカプセルを提供し、加えて、これに充填封入された新しい食感の口中使用物を提供することを課題とする。
【解決手段】皮膜部分において、ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖を含有するシームレスカプセルを提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】皮膜部分において、ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖を含有するシームレスカプセルを提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新しい食感を有するシームレスカプセル、及び、これに充填封入された新しい食感の飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などの口中使用物に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平5−31352号公報
【特許文献2】特開2001―161306号公報
【非特許文献1】春原著、「食品加工技術」、第15巻、第1号、第29乃至33頁(1995)
【非特許文献2】荒井ら著、「食品工業」、3月30日号、第53乃至58頁(1996)
【0003】
従来、医薬品等を充填封入する際にカプセルが使用されているが、近年、新たに、シームレスカプセルと呼ばれるものが開発された。このシームレスカプセルは、非特許文献1に開示されるように、2重ノズルの内側に充填溶液、外側に皮膜溶液を連続的に冷却溶媒中に流出滴下させることで作製され、従来のカプセルとは異なり、つなぎ目がないことから、「シームレスカプセル」と呼ばれるものである。このシームレスカプセルを用いると、従来カプセル化が難しかった液体を充填封入することが可能であり、また、極めて小型のカプセルを大量にかつ安価に作製することができるという利点を備えている。さらに、特許文献1には、3重ノズル滴下方式の製造装置を使用することにより、シームレスカプセルの皮膜部分と充填封入物との間に保護層を設ける技術が開示されており、この保護層を設けたシームレスカプセルによれば、充填封入される液体が親油性のものに限られていた従来のシームレスカプセルとは異なり、親水性の液体も充填封入することができるようになった。これにより、シームレスカプセルの利用分野は、医薬品のみならず、飲食物や化粧品分野などにも拡大された。
【0004】
また、従来、カプセル剤は、医薬品などの味や風味が好ましくない物質を封入充填し、服用しやすくするために用いられてきた。シームレスカプセルにおいても、同様の用途で用いられており、非特許文献2に開示されるように、胃酸に弱いビフィズス菌をシームレスカプセルに充填封入し、それをヨーグルトなどの食品に添加することが開示されている。このような使用方法では、シームレスカプセルは咀嚼されずに嚥下されるので、皮膜部分の嗜好性は問題とされることはなかった。
【0005】
近年、シームレスカプセルを食品分野などに適用するにあたり、味や風味に優れる物質をシームレスカプセルに充填封入し、口中で咀嚼して、充填封入物を口中に流出せしめてその味や風味を楽しむ目的である嗜好性を有する飲食物が開発されつつある。しかしながら、シームレスカプセルの皮膜の主成分であるゼラチンは、水分を多く含む際には、ゲル状となり、大変好ましい食感を有しているものの、これを乾燥して皮膜化した場合、噛み心地などの食感が悪く、皮膜の残骸が溶け残ったり、ゼラチン独特の風味が不快であることなど、その食感はあまり好ましくない。これを回避するために、皮膜の厚みを薄くし、使用するゼラチンの量を減らす試みや、例えば、特許文献2などには、ゼラチンを主体とする皮膜に香料を添加し嗜好性を付与する試みが開示されている。これらの方法は、カプセルを摂取する際のゼラチンを主体とする皮膜に起因する不快感を解消することには効果的ではあるものの、ゼラチンを主体とする皮膜自体の食感などの物性を根本的に改良するものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、口中にて咀嚼される、つまり、口中使用物にシームレスカプセルを適用するために、上記のような従来のシームレスカプセルが有する欠点を解消するために為されたもので、シームレスカプセルにおける皮膜部分の食感を改善し、嗜好性の良いシームレスカプセル並びに、このシームレスカプセルに充填封入された口中使用物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明者等は、シームレスカプセルの皮膜部分の食感、口中での皮膜残骸の崩壊性に着目し、これらを改善することが可能な物質を検索したところ、α,α−トレハロース及び/又はショ糖は、ゼラチンとともに混合し皮膜化することで、シームレスカプセルの皮膜部分をガラス状に変化させ、それにより、従来のゼラチンを主体とする皮膜にはなかったカリカリとした食感を付与することを見出した。また、同時に、皮膜の崩壊性が良好になるとともに、ゼラチンの不快な風味を低減することを見い出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、皮膜部分において、ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖を含有するシームレスカプセルを提供することにより、前記課題を解決するものである。
【0009】
さらに、本発明は、シームレスカプセルに充填された新しい食感の飲食物、医薬品、化粧品又は医薬部外品などの口中使用物を提供することにより、前記課題を解決するものである。
【0010】
さらに、本発明は、ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖とを含有する水溶液を皮膜状に成形し、乾燥する工程を有するシームレスカプセルの製造方法を提供することにより、前記課題を解決するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明におけるシームレスカプセルは、ゼラチンと、トレハロース及び/又はショ糖を、適度な濃度、通常は、1乃至50w/v%の範囲で水性媒体に溶解し、さらに脱気し、約50℃以上に加温した後、適宜の方法で、充填封入物とともにシームレスカプセルに成形した後、カプセル皮膜の水分含量を2乃至30質量%、好ましくは5乃至15質量%、さらに好ましくは8乃至10質量%の範囲にまで乾燥して作製される。
【0012】
シームレスカプセルの皮膜部分の主成分であるゼラチンは、牛骨、牛皮、豚皮、魚、鶏などを原料として得られたコラーゲンを、酸・アルカリで処理した後、加熱するなどして得られる可溶性蛋白質である。本発明で用いられるゼラチンとしては、カプセル皮膜用のゼラチンを市販品から適宜選択すればよく、通常、その品質としては、日本工業規格JISK6503に定められたブルーム法により測定されるゼラチンのゲル強度が50乃至350ブルームの範囲内であるものが好ましい。また、本発明の目的が達成される範囲内で製法に由来する物質が混在していてもよい。
【0013】
本発明で用いるα,α−トレハロースは、2分子のα−D−グルコースが1,1結合した形の非還元性二糖類の一種であり、水に可溶な安定物質である。本発明におけるα,α−トレハロースの製法は問わず、本発明の目的を損ねない範囲内で、α,α−トレハロースの製法に起因する副産物が混入していてもよい。市販のα,α−トレハロースとしては、澱粉から酵素糖化方法により生産されたα,α−トレハロース(株式会社林原商事販売の登録商標『トレハ』)があり、本発明に有利に用いることができる。また、本発明で用いるショ糖は、安価な市販品が多数あり、それらから適宜選択可能である。
【0014】
本発明のシームレスカプセルの皮膜部分にゼラチンとともに、α,α−トレハロース及び/又はショ糖を含有させる利点として、α,α−トレハロースやショ糖はゼラチンと共存する状態で乾燥処理を行うと、ガラス状の皮膜を形成し、従来のゼラチンによる皮膜になかったカリカリとした食感を皮膜に付与すること、また、噛み砕いた際に、皮膜の残骸がバラバラになりやすく、さらにその残骸の崩壊性も優れていることが挙げられる。α,α−トレハロース及び/又はショ糖の含量としては、α,α−トレハロース及びショ糖の合計量でゼラチン1質量部に対して、0.5乃至2質量部である。
【0015】
また、α,α−トレハロースは、ショ糖に比べて、市販品が高価であるものの、甘味度が低く、う蝕性がなく、ゼラチンの不快な風味を抑制し、皮膜部分の良好な食感や崩壊性を長期間良好な状態に保持し、メイラード反応による皮膜の褐変、変質を防ぐ効果などに優れている。このような特性を鑑みて、α,α−トレハロースとショ糖を使い分けたり、混合したりすることができる。両者を混合して使用する場合、その混合比率は、皮膜部分に付与したい食感や崩壊性、シームレスカプセルの保存期間や保存条件などに応じて適宜決定すればよい。α,α−トレハロースが有する前記特性を発揮させるためには、α,α−トレハロースの含有量を、α,α−トレハロースとショ糖の合計量に対して30質量%以上とすることが好ましい。
【0016】
本発明のシームレスカプセルの皮膜部分には、本発明の目的を逸脱しない範囲内で、他の成分を含有してもよい。例えば、寒天、ペクチン、澱粉、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、タマリンド、ファーセレラン、マルメロ抽出物、カードラン、プルラン、エルシナンなどの水溶性多糖類、グリセリン、糖アルコール、蛋白質などの可塑剤、スクラロース、アスパルテームなどの高甘味度甘味料、さらには、抗酸化剤、防腐剤、光線防護剤、着色剤、着香剤、調味料、香辛料、酸味料、苦味料、塩分、アミノ酸などを含有させることができる。これらの成分は、それぞれの成分の特性を勘案して適宜含有させればよく、多すぎると本発明の効果が発揮されないおそれがあるので、通常は、皮膜部分の乾燥固形物中で25質量%未満、好ましく5質量%未満である。
【0017】
本発明でいう口中使用物とは、主に、口腔内において使用されるものを意味しており、原則的には、カプセルを咀嚼によって破壊し、充填封入物を口中内に流出させて使用されることを目的とするものである。したがって、咀嚼せずに嚥下されるタイプのものは本発明のシームレスカプセルの有する優れた口中における特徴が発揮されない可能性があるので、本発明の用途から原則的には排除される。しかしながら、本発明は、本発明のシームレスカプセルを咀嚼せずに嚥下する用途に用いることを妨げるものではない。
【0018】
本発明のシームレスカプセルにおける充填封入物としては、液体、ゲル、ゾル、エマルジョン、マスキットなどの親油性又は親水性のものが挙げられ、例えば、アニス油、アジョワン油、アミリス油、アーモンド油、アンゲリカルート油、アンブレット油、エストラゴン油、オリガナム油、オリス根油、オリバナム油、オレンジ油、カシア油、カスカリア油、カナンガ油、カプシカム油、カモミール油、からし油、カラムス油、ガーリック油、カルダモン油、キャラウエー油、キャロット種子油、キュベブ油、クミン油、グレープフルーツ油、クローブ油、桂皮油、こしょう油、コニャック油、コパイバヤ油、コリアンダー油、シソ油、麝香、ジュニパーベリー油、ジンジャー油、スターアニス油、スペアミント油、セイジ油、セボリー油、ゼラニウム油、セロリー種子油、タイム油、たまねぎ油、タンゼリン油、ディル油、とうか油、トルーバルサム油、ナツメグ油、バジル油、パセリ種子油、バーチ油、パチュリ油、はっか油、バニラ豆抽出物、パルマローザ油、ピメント油、フェンネル油、プチグレイン油、ベイ葉油、ペニロイヤル油、ペパーミント油、ベルガモット油、ペルーバルサム油、ベンゾイン樹脂、ボアドローズ油、ホップ油、マージョラン油、マンダリン油、ミルトル油、ユーカリ油、ライム油、ラベンジン油、ラベンダー油、ルー油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズマリー油、ロベージ油、ローレルリーフ油、ワームウッド油などの香料、オレンジ果汁、リンゴ果汁、イチゴ果汁、ブドウ果汁、ナシ果汁、グレープフルーツ果汁などの果汁類、炭酸飲料、コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、ウーロン茶、花茶などの清涼飲料水、牛乳、練乳、チーズ、バター、マーガリン、ヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品、プリン、ババロア、ゼリー、ジャム、マーマレードなどのゲル状食品、水飴、シロップなどの甘味料類、チョコレート、マヨネーズなどの油脂類、カルシウム塩などのミネラル類、食酢、みりん、ケチャプ、ソース、醤油、味噌、カレールウ、ドレッシングなどの調味料類、唐辛子、胡椒、わさび、しょうが、からしなどのスパイス類、ハーブ類、アルコール類、ビタミン類などの飲食物が挙げられる。また、医薬品、化粧品又は医薬部外品では、虫歯、口内炎などの治療剤、消毒剤、抗菌剤、抗炎症剤、歯垢検査薬、口中清涼剤、口中洗浄剤、口臭予防剤、アミラーゼ、デキストラナーゼなどの澱粉消化酵素、歯磨きなどが挙げられる。また、空気、窒素ガス、炭酸ガス、酸素ガスなどの気体や、それらを発生する発泡性物質などを封入充填することもできる。
【0019】
カプセルの内外が親水性液体の場合、シームレスカプセルの皮膜部分は軟化し、溶解する恐れがある。この場合には、親水性液体に接触する面を、既知の方法で防水加工することで対処できる。防水加工の方法としては、3重ノズル滴下方式のシームレスカプセル製造装置を使用するなどして、例えば、糖脂肪酸エステルなどの油性物質、硬化油脂、乳化剤などの水に溶解しにくい物質を用いて保護層を形成させればよい。
【0020】
本発明のシームレスカプセルの製造方法は、2重以上のノズルによって主に、充填封入物と皮膜溶液を連続的に冷却溶媒中に流出滴下する方法であるならば、製造に用いる装置には特に制限はなく、例えば、市販されている専用の装置を使用することができる。たとえば、シームレスカプセル製造機としては、フロイント産業株式会社販売の商品名『スフェレックスSPX−LABO』などが挙げられる。
【0021】
本発明のシームレスカプセルにより充填封入された本発明の口中使用物は、それ単独で口中使用物とすることも、さらには、それを何らかの他の飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などの口中で使用する物に含有させて用いることができる。例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、まんじゅう、ういろう、餡、ようかん、水ようかん、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディー、ウイスキーボンボンなどの洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷菓、果実のシロップ漬、氷蜜などのシロップ類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、スプレッドなどのペースト類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖果などの果実、野菜の加工食品、福神漬、たくあん漬、白菜漬、キムチなどの漬物類やそれらの素、ハム、ソーセージなどの畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、天ぷらなどの魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢昆布、さきするめ、ふぐみりん干しなどの各種珍味類、のり、山菜、するめ、小魚、貝などで製造される佃煮類、煮豆、ポテトサラダ、昆布巻きなどの惣菜食品、チーズ、ヨーグルト、バター、マーガリンなどの乳製品、缶詰類、合成酒、洋酒などの酒類、紅茶、緑茶、ウーロン茶、花茶、コーヒー、ココア、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミックス、ホットケーキミックス、即席しるこ、即席スープなどの即席食品、さらには、ビタミン剤、ミネラル剤、生理活性物質などの健康食品、治療食、ドリンク剤、ペプチド食品、冷凍食品、乾燥食品などの各種飲食物、虫歯、口内炎などの治療剤、消毒剤、抗菌剤、抗炎症剤などの医薬品、口中清涼剤、口中洗浄剤、口臭予防剤、歯磨きなどの化粧品や医薬部外品などに含有させれば、これらの物品の食感、味覚又は風味を改善したり、変化を与えたりすることができる。
【0022】
本発明のシームレスカプセルにおいて、その皮膜厚は、シームレスカプセルの強度に影響し、カプセルの直径が大きくなるほど、皮膜厚を厚くする必要がある。また、皮膜厚は、シームレスカプセルの皮膜部分の崩壊性に大きく影響を与える。すなわち、本発明で開示する、ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖の好適な比率によっても、皮膜厚が厚すぎると崩壊性が低下し、必ずしも好ましい食感を与えない場合がある。したがって、本発明のシームレスカプセルの皮膜厚は、用途、保存方法、包装方法、輸送方法などの諸条件に応じて、できる限り薄い皮膜とすべきところではあるが、通常、水分含量が約9%のシームレスカプセルの場合には、0.03乃至0.37mm、好ましくは0.03mm乃至0.21mmの範囲内に設定される。皮膜厚が0.37mmを越えると、上記のような本発明の効果が発揮されない恐れがあり、皮膜厚が0.03mmに満たないものは、直径約3mm未満の小型のカプセルしか製造できず、比較的大型のカプセルの製造は技術的に困難である。皮膜厚の算出は、皮膜率=(皮膜の占める質量)/(全体の質量)×100%及びカプセルの直径から算出することもできる(数式1)。また、適宜の厚みを測定する装置を用いて測定してもよい。
【0023】
【式1】
皮膜厚(mm)=カプセルの直径(mm)×[1−{1−(皮膜率(%)/100)}1/3]/2
【0024】
本発明におけるシームレスカプセルの直径及び皮膜率は、それらによって皮膜厚が決定されるので、本発明を実施するうえで重要である。カプセルの直径及び皮膜率については、使用目的、必要な強度などを勘案して適宜決定すればよく、通常、直径は、27mm以下、好ましくは3乃至20mm、さらに好ましくは5乃至10mmの範囲内から、また、皮膜率は、30質量%以下、好ましくは8乃至20質量%、さらに好ましくは9乃至15質量%の範囲内から選択すれば、製造されるシームレスカプセルは、本発明を実施する上で望ましい皮膜厚を有することになる。なお、直径の測定方法としては、どのような方法を用いても構わないが、例えば、ノギスなどの計測装置を用いて計測する方法が挙げられる。また、皮膜率の測定方法としては、作製した内容物を含むカプセルの全体質量から内容物を除去した後の皮膜部分のみの質量を計測して、内容物と皮膜の比重の差を補正して算出する方法が挙げられる。
【0025】
以下、実験で本発明の詳細を示す。
【0026】
【実験1】
<各種糖質を含有させたシームレスカプセル皮膜の作製と比較>
無水物換算で12質量部の糖質、即ち、ソルビトール(商品名『P−60W』、ロケット社販売)、エリスリトール(商品名『エリスリトール微粉』、日研化学株式会社販売)、キシリトール(商品名『キシリデックス』、セレスター社販売)、還元パラチノース(商品名『還元パラチノースPN』、新三井製糖株式会社販売)、マルチトール(商品名『レシス』、東和化成株式会社販売)、ショ糖(商品名『グラニュ糖』、新三井製糖株式会社販売)、α,α−トレハロース(登録商標『トレハ』、株式会社林原商事販売)または果糖(和光純薬株式会社販売)をそれぞれ70質量部の水に溶解した後、18質量部のゼラチン(アルカリ処理牛骨ゼラチン300ブルーム、商品名『CLV』、新田ゼラチン株式会社販売)を添加し、膨潤させた後、約85℃に加熱し完全に溶解させ、アスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、シームレスカプセルの充填封入物は、レモングラス油を用い、常法にしたがい、シームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)により、シームレスカプセルを作製した。作製したシームレスカプセルは乾燥器により、ゼラチン皮膜の水分含量が約9質量%になるまで乾燥し、結果的に、直径7mm、皮膜率10質量%(皮膜厚約0.12mm)のシームレスカプセルを得た。製造直後のもの又は製造後1ヶ月間を乾燥剤としてシリカゲルとともに密封保存したカプセルを20名のパネラーに食してもらい、食感(カリカリとした食感)及び崩壊性(皮膜の残骸の溶解しやすさ)を、糖質を含有しないシームレスカプセルと比較して、それよりも「やや劣る」を0点、「同等」を1点、「やや優れる」を2点、「優れる」を3点として評価してもらい、その平均点を算出し、平均点2点以上で効果ありと判断した。結果を表1に示す。なお、表1において、「カプセル形成」の項は、カプセルが製造できれば「○」、できなければ「×」、製造できるものの強度が不足している場合を「△」で示した。
【0027】
【表1】
【0028】
表1の結果に示すように、α,α−トレハロースは、製造直後及び製造後1ヶ月後において、シームレスカプセルの皮膜部分における食感及び崩壊性を改善する効果が認められた。また、ショ糖は、製造直後においては、α,α−トレハロースよりはやや劣るものの、食感及び崩壊性の改善効果が認められたが、製造後1ヶ月後においては、食感及び崩壊性の劣化が起こっていた。なお、他の糖類では、食感及び崩壊性改善の効果は認められなかった。
【0029】
【実験2】
<α,α−トレハロース又はショ糖の含有量の検討>
ゼラチン1質量部に対し、無水物換算で、α,α−トレハロース又はショ糖を、0.2、0.3、0.5、0.67、1、1.5、2、3.3、又は5質量部の比率で含有させたもの30質量部を水70質量部に溶解し、膨潤させた後、約85℃に加熱し完全に溶解させた。これをアスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、シームレスカプセルの充填封入物は、レモングラス油を用い、常法にしたがい、シームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)によりシームレスカプセルを作製した。カプセルを水分含量9質量%まで乾燥し、結果的に、直径7mm、皮膜率10質量%(皮膜厚0.12mm)のカプセルを得た。これを実験1と同様の方法により、各試料を評価した。結果を表2に示す(評点については表1と同じ)。
【0030】
【表2】
【0031】
表2に示すように、ゼラチン1質量部に対してα,α−トレハロース又はショ糖の比率が0.5質量部以上のとき、評価点が2点以上となり、食感及び崩壊性に優れたシームレスカプセルを作製することができることが判明した。一方、α,α−トレハロース又はショ糖の比率がゼラチン1質量部に対し2質量部を越えると、脆く、実用的な強度を有さず、5質量部を越えると、カプセル化に必要なゼラチンの量が少なすぎて、カプセルに成形できないことが判明した。
【0032】
【実験3】
<α,α−トレハロースとショ糖含量の検討>
α,α−トレハロース(登録商標『トレハ』、株式会社林原商事販売)とショ糖混合物を、無水物換算でα,α−トレハロースの比率で0乃至100質量%として、これをゼラチンに対し無水物換算質量で2倍量を含有させたシームレスカプセルを製造した。カプセルの製造方法は実験1の方法にしたがっておこない、評価方法については、製造後1ヶ月間を乾燥剤としてシリカゲルとともに密封保存したカプセルについて、実験1と同様の評価方法により、各試料を評価した。結果を表3に示す(評点については表1と同じ)。
【0033】
【表3】
【0034】
表3に示すように、製造1ヶ月後のシームレスカプセルは、α,α−トレハロース及びショ糖の合計量に対するα,α−トレハロースの含有量が30質量%以上であると、食感及び崩壊性の評点は2以上であり、優れた食感及び崩壊性を維持することが判明した。
【0035】
【実験4】
<最大皮膜厚の検討>
ゼラチン1質量部に対し、無水物換算でα,α−トレハロース2質量部の比率で含有させたもの30質量部を水70質量部に溶解し、膨潤させた後、約85℃に加熱し完全に溶解させた。これをアスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、シームレスカプセルの充填封入物は、レモングラス油を用い、常法にしたがって、シームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)によりシームレスカプセルを作製した。カプセルを水分含量9質量%まで乾燥し、結果的に、直径8mm、皮膜率15乃至30質量%のカプセルを得た。これらを、実験1と同様の評価方法により、各試料を評価した。結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
表4に示すとおり、直径8mmのシームレスカプセルにおいて、皮膜率25質量%、すなわち、皮膜厚が0.37mm以下において、食感及び崩壊性に優れたシームレスカプセルを製造することができた。この結果を勘案すると、現状の技術では直径10mmを越えるシームレスカプセルの製造は困難ではあるが、もし製造可能となれば、例えば、現状の技術で皮膜率の最小限界とされる約8質量%においては直径約27mm以下、皮膜率約10質量%においては直径約21mm以下、皮膜率約14質量%においては直径約15mm以下のシームレスカプセルは、皮膜厚が0.37以下となるので、食感及び崩壊性に優れたシームレスカプセル皮膜となることが予想される。
【0038】
以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
【0039】
【実施例1】
<シームレスカプセル>
15質量部のゼラチン(商品名『アルカリ処理牛骨ゼラチン300ブルーム』、新田ゼラチン株式会社販売)、15質量部のα,α−トレハロース(登録商標『トレハ』、株式会社林原商事販売)を70質量部の水に加熱し完全に溶解させた。これをアスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、充填封入物としては、ハッカ油を用い、シームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)により、常法にしたがい、直径7mm、皮膜率10質量%のシームレスカプセルを作製した。作製したシームレスカプセルは乾燥器により、皮膜の水分含量が約8質量%になるまで乾燥し、ハッカ油が充填封入されたシームレスカプセルを得た。
【0040】
本品は、カリカリとした食感を有しており、口中においてカプセルの残骸がすみやかに崩壊し、ハッカ油を放出するので、口中に清涼感を付与することができる新しい食感の口中使用物として使用できる。また、本品を、飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などに含有させれば、それらの香味付けなどに用いることができる。
【0041】
【実施例2】
<シームレスカプセル>
12質量部のゼラチン(商品名『アルカリ処理牛骨ゼラチン300ブルーム』、新田ゼラチン株式会社販売)、12質量部のα,α−トレハロース(登録商標『トレハ』、株式会社林原商事販売)、8質量部のショ糖(商品名『グラニュ糖』、新三井製糖株式会社販売)を70質量部の水に加熱し完全に溶解させた。これをアスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、充填封入物としては、ペパーミント油を用い、保護層に硬化油を用いて、3重ノズル滴下方式のシームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)により、常法にしたがい、直径7mm、皮膜率10質量%のシームレスカプセルを作製した。
【0042】
本品は、カリカリとした食感を有しており、口中においてカプセルの残骸がすみやかに崩壊し、ペパーミント油を放出するので、口中に清涼感をh付与することができる新しい食感の口中使用物として使用できる。また、本品を、飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などに含有させれば、それらの香味付けなどに用いることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のシームレスカプセルにはなかった、カリカリとした新しい食感を有し、また、カプセルの残骸が口中において速やかに崩壊するシームレスカプセル皮膜を提供することができる。特に、α,α−トレハロースを含有させることで、シームレスカプセルの保存性を向上させることができる。したがって、本発明のシームレスカプセルを利用した新しい食感の飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などの口中使用物において、摂取又は服用に有利である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新しい食感を有するシームレスカプセル、及び、これに充填封入された新しい食感の飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などの口中使用物に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平5−31352号公報
【特許文献2】特開2001―161306号公報
【非特許文献1】春原著、「食品加工技術」、第15巻、第1号、第29乃至33頁(1995)
【非特許文献2】荒井ら著、「食品工業」、3月30日号、第53乃至58頁(1996)
【0003】
従来、医薬品等を充填封入する際にカプセルが使用されているが、近年、新たに、シームレスカプセルと呼ばれるものが開発された。このシームレスカプセルは、非特許文献1に開示されるように、2重ノズルの内側に充填溶液、外側に皮膜溶液を連続的に冷却溶媒中に流出滴下させることで作製され、従来のカプセルとは異なり、つなぎ目がないことから、「シームレスカプセル」と呼ばれるものである。このシームレスカプセルを用いると、従来カプセル化が難しかった液体を充填封入することが可能であり、また、極めて小型のカプセルを大量にかつ安価に作製することができるという利点を備えている。さらに、特許文献1には、3重ノズル滴下方式の製造装置を使用することにより、シームレスカプセルの皮膜部分と充填封入物との間に保護層を設ける技術が開示されており、この保護層を設けたシームレスカプセルによれば、充填封入される液体が親油性のものに限られていた従来のシームレスカプセルとは異なり、親水性の液体も充填封入することができるようになった。これにより、シームレスカプセルの利用分野は、医薬品のみならず、飲食物や化粧品分野などにも拡大された。
【0004】
また、従来、カプセル剤は、医薬品などの味や風味が好ましくない物質を封入充填し、服用しやすくするために用いられてきた。シームレスカプセルにおいても、同様の用途で用いられており、非特許文献2に開示されるように、胃酸に弱いビフィズス菌をシームレスカプセルに充填封入し、それをヨーグルトなどの食品に添加することが開示されている。このような使用方法では、シームレスカプセルは咀嚼されずに嚥下されるので、皮膜部分の嗜好性は問題とされることはなかった。
【0005】
近年、シームレスカプセルを食品分野などに適用するにあたり、味や風味に優れる物質をシームレスカプセルに充填封入し、口中で咀嚼して、充填封入物を口中に流出せしめてその味や風味を楽しむ目的である嗜好性を有する飲食物が開発されつつある。しかしながら、シームレスカプセルの皮膜の主成分であるゼラチンは、水分を多く含む際には、ゲル状となり、大変好ましい食感を有しているものの、これを乾燥して皮膜化した場合、噛み心地などの食感が悪く、皮膜の残骸が溶け残ったり、ゼラチン独特の風味が不快であることなど、その食感はあまり好ましくない。これを回避するために、皮膜の厚みを薄くし、使用するゼラチンの量を減らす試みや、例えば、特許文献2などには、ゼラチンを主体とする皮膜に香料を添加し嗜好性を付与する試みが開示されている。これらの方法は、カプセルを摂取する際のゼラチンを主体とする皮膜に起因する不快感を解消することには効果的ではあるものの、ゼラチンを主体とする皮膜自体の食感などの物性を根本的に改良するものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、口中にて咀嚼される、つまり、口中使用物にシームレスカプセルを適用するために、上記のような従来のシームレスカプセルが有する欠点を解消するために為されたもので、シームレスカプセルにおける皮膜部分の食感を改善し、嗜好性の良いシームレスカプセル並びに、このシームレスカプセルに充填封入された口中使用物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明者等は、シームレスカプセルの皮膜部分の食感、口中での皮膜残骸の崩壊性に着目し、これらを改善することが可能な物質を検索したところ、α,α−トレハロース及び/又はショ糖は、ゼラチンとともに混合し皮膜化することで、シームレスカプセルの皮膜部分をガラス状に変化させ、それにより、従来のゼラチンを主体とする皮膜にはなかったカリカリとした食感を付与することを見出した。また、同時に、皮膜の崩壊性が良好になるとともに、ゼラチンの不快な風味を低減することを見い出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、皮膜部分において、ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖を含有するシームレスカプセルを提供することにより、前記課題を解決するものである。
【0009】
さらに、本発明は、シームレスカプセルに充填された新しい食感の飲食物、医薬品、化粧品又は医薬部外品などの口中使用物を提供することにより、前記課題を解決するものである。
【0010】
さらに、本発明は、ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖とを含有する水溶液を皮膜状に成形し、乾燥する工程を有するシームレスカプセルの製造方法を提供することにより、前記課題を解決するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明におけるシームレスカプセルは、ゼラチンと、トレハロース及び/又はショ糖を、適度な濃度、通常は、1乃至50w/v%の範囲で水性媒体に溶解し、さらに脱気し、約50℃以上に加温した後、適宜の方法で、充填封入物とともにシームレスカプセルに成形した後、カプセル皮膜の水分含量を2乃至30質量%、好ましくは5乃至15質量%、さらに好ましくは8乃至10質量%の範囲にまで乾燥して作製される。
【0012】
シームレスカプセルの皮膜部分の主成分であるゼラチンは、牛骨、牛皮、豚皮、魚、鶏などを原料として得られたコラーゲンを、酸・アルカリで処理した後、加熱するなどして得られる可溶性蛋白質である。本発明で用いられるゼラチンとしては、カプセル皮膜用のゼラチンを市販品から適宜選択すればよく、通常、その品質としては、日本工業規格JISK6503に定められたブルーム法により測定されるゼラチンのゲル強度が50乃至350ブルームの範囲内であるものが好ましい。また、本発明の目的が達成される範囲内で製法に由来する物質が混在していてもよい。
【0013】
本発明で用いるα,α−トレハロースは、2分子のα−D−グルコースが1,1結合した形の非還元性二糖類の一種であり、水に可溶な安定物質である。本発明におけるα,α−トレハロースの製法は問わず、本発明の目的を損ねない範囲内で、α,α−トレハロースの製法に起因する副産物が混入していてもよい。市販のα,α−トレハロースとしては、澱粉から酵素糖化方法により生産されたα,α−トレハロース(株式会社林原商事販売の登録商標『トレハ』)があり、本発明に有利に用いることができる。また、本発明で用いるショ糖は、安価な市販品が多数あり、それらから適宜選択可能である。
【0014】
本発明のシームレスカプセルの皮膜部分にゼラチンとともに、α,α−トレハロース及び/又はショ糖を含有させる利点として、α,α−トレハロースやショ糖はゼラチンと共存する状態で乾燥処理を行うと、ガラス状の皮膜を形成し、従来のゼラチンによる皮膜になかったカリカリとした食感を皮膜に付与すること、また、噛み砕いた際に、皮膜の残骸がバラバラになりやすく、さらにその残骸の崩壊性も優れていることが挙げられる。α,α−トレハロース及び/又はショ糖の含量としては、α,α−トレハロース及びショ糖の合計量でゼラチン1質量部に対して、0.5乃至2質量部である。
【0015】
また、α,α−トレハロースは、ショ糖に比べて、市販品が高価であるものの、甘味度が低く、う蝕性がなく、ゼラチンの不快な風味を抑制し、皮膜部分の良好な食感や崩壊性を長期間良好な状態に保持し、メイラード反応による皮膜の褐変、変質を防ぐ効果などに優れている。このような特性を鑑みて、α,α−トレハロースとショ糖を使い分けたり、混合したりすることができる。両者を混合して使用する場合、その混合比率は、皮膜部分に付与したい食感や崩壊性、シームレスカプセルの保存期間や保存条件などに応じて適宜決定すればよい。α,α−トレハロースが有する前記特性を発揮させるためには、α,α−トレハロースの含有量を、α,α−トレハロースとショ糖の合計量に対して30質量%以上とすることが好ましい。
【0016】
本発明のシームレスカプセルの皮膜部分には、本発明の目的を逸脱しない範囲内で、他の成分を含有してもよい。例えば、寒天、ペクチン、澱粉、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガム、タマリンド、ファーセレラン、マルメロ抽出物、カードラン、プルラン、エルシナンなどの水溶性多糖類、グリセリン、糖アルコール、蛋白質などの可塑剤、スクラロース、アスパルテームなどの高甘味度甘味料、さらには、抗酸化剤、防腐剤、光線防護剤、着色剤、着香剤、調味料、香辛料、酸味料、苦味料、塩分、アミノ酸などを含有させることができる。これらの成分は、それぞれの成分の特性を勘案して適宜含有させればよく、多すぎると本発明の効果が発揮されないおそれがあるので、通常は、皮膜部分の乾燥固形物中で25質量%未満、好ましく5質量%未満である。
【0017】
本発明でいう口中使用物とは、主に、口腔内において使用されるものを意味しており、原則的には、カプセルを咀嚼によって破壊し、充填封入物を口中内に流出させて使用されることを目的とするものである。したがって、咀嚼せずに嚥下されるタイプのものは本発明のシームレスカプセルの有する優れた口中における特徴が発揮されない可能性があるので、本発明の用途から原則的には排除される。しかしながら、本発明は、本発明のシームレスカプセルを咀嚼せずに嚥下する用途に用いることを妨げるものではない。
【0018】
本発明のシームレスカプセルにおける充填封入物としては、液体、ゲル、ゾル、エマルジョン、マスキットなどの親油性又は親水性のものが挙げられ、例えば、アニス油、アジョワン油、アミリス油、アーモンド油、アンゲリカルート油、アンブレット油、エストラゴン油、オリガナム油、オリス根油、オリバナム油、オレンジ油、カシア油、カスカリア油、カナンガ油、カプシカム油、カモミール油、からし油、カラムス油、ガーリック油、カルダモン油、キャラウエー油、キャロット種子油、キュベブ油、クミン油、グレープフルーツ油、クローブ油、桂皮油、こしょう油、コニャック油、コパイバヤ油、コリアンダー油、シソ油、麝香、ジュニパーベリー油、ジンジャー油、スターアニス油、スペアミント油、セイジ油、セボリー油、ゼラニウム油、セロリー種子油、タイム油、たまねぎ油、タンゼリン油、ディル油、とうか油、トルーバルサム油、ナツメグ油、バジル油、パセリ種子油、バーチ油、パチュリ油、はっか油、バニラ豆抽出物、パルマローザ油、ピメント油、フェンネル油、プチグレイン油、ベイ葉油、ペニロイヤル油、ペパーミント油、ベルガモット油、ペルーバルサム油、ベンゾイン樹脂、ボアドローズ油、ホップ油、マージョラン油、マンダリン油、ミルトル油、ユーカリ油、ライム油、ラベンジン油、ラベンダー油、ルー油、レモン油、レモングラス油、ローズ油、ローズマリー油、ロベージ油、ローレルリーフ油、ワームウッド油などの香料、オレンジ果汁、リンゴ果汁、イチゴ果汁、ブドウ果汁、ナシ果汁、グレープフルーツ果汁などの果汁類、炭酸飲料、コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、ウーロン茶、花茶などの清涼飲料水、牛乳、練乳、チーズ、バター、マーガリン、ヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品、プリン、ババロア、ゼリー、ジャム、マーマレードなどのゲル状食品、水飴、シロップなどの甘味料類、チョコレート、マヨネーズなどの油脂類、カルシウム塩などのミネラル類、食酢、みりん、ケチャプ、ソース、醤油、味噌、カレールウ、ドレッシングなどの調味料類、唐辛子、胡椒、わさび、しょうが、からしなどのスパイス類、ハーブ類、アルコール類、ビタミン類などの飲食物が挙げられる。また、医薬品、化粧品又は医薬部外品では、虫歯、口内炎などの治療剤、消毒剤、抗菌剤、抗炎症剤、歯垢検査薬、口中清涼剤、口中洗浄剤、口臭予防剤、アミラーゼ、デキストラナーゼなどの澱粉消化酵素、歯磨きなどが挙げられる。また、空気、窒素ガス、炭酸ガス、酸素ガスなどの気体や、それらを発生する発泡性物質などを封入充填することもできる。
【0019】
カプセルの内外が親水性液体の場合、シームレスカプセルの皮膜部分は軟化し、溶解する恐れがある。この場合には、親水性液体に接触する面を、既知の方法で防水加工することで対処できる。防水加工の方法としては、3重ノズル滴下方式のシームレスカプセル製造装置を使用するなどして、例えば、糖脂肪酸エステルなどの油性物質、硬化油脂、乳化剤などの水に溶解しにくい物質を用いて保護層を形成させればよい。
【0020】
本発明のシームレスカプセルの製造方法は、2重以上のノズルによって主に、充填封入物と皮膜溶液を連続的に冷却溶媒中に流出滴下する方法であるならば、製造に用いる装置には特に制限はなく、例えば、市販されている専用の装置を使用することができる。たとえば、シームレスカプセル製造機としては、フロイント産業株式会社販売の商品名『スフェレックスSPX−LABO』などが挙げられる。
【0021】
本発明のシームレスカプセルにより充填封入された本発明の口中使用物は、それ単独で口中使用物とすることも、さらには、それを何らかの他の飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などの口中で使用する物に含有させて用いることができる。例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、まんじゅう、ういろう、餡、ようかん、水ようかん、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディー、ウイスキーボンボンなどの洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷菓、果実のシロップ漬、氷蜜などのシロップ類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、スプレッドなどのペースト類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖果などの果実、野菜の加工食品、福神漬、たくあん漬、白菜漬、キムチなどの漬物類やそれらの素、ハム、ソーセージなどの畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、天ぷらなどの魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢昆布、さきするめ、ふぐみりん干しなどの各種珍味類、のり、山菜、するめ、小魚、貝などで製造される佃煮類、煮豆、ポテトサラダ、昆布巻きなどの惣菜食品、チーズ、ヨーグルト、バター、マーガリンなどの乳製品、缶詰類、合成酒、洋酒などの酒類、紅茶、緑茶、ウーロン茶、花茶、コーヒー、ココア、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミックス、ホットケーキミックス、即席しるこ、即席スープなどの即席食品、さらには、ビタミン剤、ミネラル剤、生理活性物質などの健康食品、治療食、ドリンク剤、ペプチド食品、冷凍食品、乾燥食品などの各種飲食物、虫歯、口内炎などの治療剤、消毒剤、抗菌剤、抗炎症剤などの医薬品、口中清涼剤、口中洗浄剤、口臭予防剤、歯磨きなどの化粧品や医薬部外品などに含有させれば、これらの物品の食感、味覚又は風味を改善したり、変化を与えたりすることができる。
【0022】
本発明のシームレスカプセルにおいて、その皮膜厚は、シームレスカプセルの強度に影響し、カプセルの直径が大きくなるほど、皮膜厚を厚くする必要がある。また、皮膜厚は、シームレスカプセルの皮膜部分の崩壊性に大きく影響を与える。すなわち、本発明で開示する、ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖の好適な比率によっても、皮膜厚が厚すぎると崩壊性が低下し、必ずしも好ましい食感を与えない場合がある。したがって、本発明のシームレスカプセルの皮膜厚は、用途、保存方法、包装方法、輸送方法などの諸条件に応じて、できる限り薄い皮膜とすべきところではあるが、通常、水分含量が約9%のシームレスカプセルの場合には、0.03乃至0.37mm、好ましくは0.03mm乃至0.21mmの範囲内に設定される。皮膜厚が0.37mmを越えると、上記のような本発明の効果が発揮されない恐れがあり、皮膜厚が0.03mmに満たないものは、直径約3mm未満の小型のカプセルしか製造できず、比較的大型のカプセルの製造は技術的に困難である。皮膜厚の算出は、皮膜率=(皮膜の占める質量)/(全体の質量)×100%及びカプセルの直径から算出することもできる(数式1)。また、適宜の厚みを測定する装置を用いて測定してもよい。
【0023】
【式1】
皮膜厚(mm)=カプセルの直径(mm)×[1−{1−(皮膜率(%)/100)}1/3]/2
【0024】
本発明におけるシームレスカプセルの直径及び皮膜率は、それらによって皮膜厚が決定されるので、本発明を実施するうえで重要である。カプセルの直径及び皮膜率については、使用目的、必要な強度などを勘案して適宜決定すればよく、通常、直径は、27mm以下、好ましくは3乃至20mm、さらに好ましくは5乃至10mmの範囲内から、また、皮膜率は、30質量%以下、好ましくは8乃至20質量%、さらに好ましくは9乃至15質量%の範囲内から選択すれば、製造されるシームレスカプセルは、本発明を実施する上で望ましい皮膜厚を有することになる。なお、直径の測定方法としては、どのような方法を用いても構わないが、例えば、ノギスなどの計測装置を用いて計測する方法が挙げられる。また、皮膜率の測定方法としては、作製した内容物を含むカプセルの全体質量から内容物を除去した後の皮膜部分のみの質量を計測して、内容物と皮膜の比重の差を補正して算出する方法が挙げられる。
【0025】
以下、実験で本発明の詳細を示す。
【0026】
【実験1】
<各種糖質を含有させたシームレスカプセル皮膜の作製と比較>
無水物換算で12質量部の糖質、即ち、ソルビトール(商品名『P−60W』、ロケット社販売)、エリスリトール(商品名『エリスリトール微粉』、日研化学株式会社販売)、キシリトール(商品名『キシリデックス』、セレスター社販売)、還元パラチノース(商品名『還元パラチノースPN』、新三井製糖株式会社販売)、マルチトール(商品名『レシス』、東和化成株式会社販売)、ショ糖(商品名『グラニュ糖』、新三井製糖株式会社販売)、α,α−トレハロース(登録商標『トレハ』、株式会社林原商事販売)または果糖(和光純薬株式会社販売)をそれぞれ70質量部の水に溶解した後、18質量部のゼラチン(アルカリ処理牛骨ゼラチン300ブルーム、商品名『CLV』、新田ゼラチン株式会社販売)を添加し、膨潤させた後、約85℃に加熱し完全に溶解させ、アスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、シームレスカプセルの充填封入物は、レモングラス油を用い、常法にしたがい、シームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)により、シームレスカプセルを作製した。作製したシームレスカプセルは乾燥器により、ゼラチン皮膜の水分含量が約9質量%になるまで乾燥し、結果的に、直径7mm、皮膜率10質量%(皮膜厚約0.12mm)のシームレスカプセルを得た。製造直後のもの又は製造後1ヶ月間を乾燥剤としてシリカゲルとともに密封保存したカプセルを20名のパネラーに食してもらい、食感(カリカリとした食感)及び崩壊性(皮膜の残骸の溶解しやすさ)を、糖質を含有しないシームレスカプセルと比較して、それよりも「やや劣る」を0点、「同等」を1点、「やや優れる」を2点、「優れる」を3点として評価してもらい、その平均点を算出し、平均点2点以上で効果ありと判断した。結果を表1に示す。なお、表1において、「カプセル形成」の項は、カプセルが製造できれば「○」、できなければ「×」、製造できるものの強度が不足している場合を「△」で示した。
【0027】
【表1】
【0028】
表1の結果に示すように、α,α−トレハロースは、製造直後及び製造後1ヶ月後において、シームレスカプセルの皮膜部分における食感及び崩壊性を改善する効果が認められた。また、ショ糖は、製造直後においては、α,α−トレハロースよりはやや劣るものの、食感及び崩壊性の改善効果が認められたが、製造後1ヶ月後においては、食感及び崩壊性の劣化が起こっていた。なお、他の糖類では、食感及び崩壊性改善の効果は認められなかった。
【0029】
【実験2】
<α,α−トレハロース又はショ糖の含有量の検討>
ゼラチン1質量部に対し、無水物換算で、α,α−トレハロース又はショ糖を、0.2、0.3、0.5、0.67、1、1.5、2、3.3、又は5質量部の比率で含有させたもの30質量部を水70質量部に溶解し、膨潤させた後、約85℃に加熱し完全に溶解させた。これをアスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、シームレスカプセルの充填封入物は、レモングラス油を用い、常法にしたがい、シームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)によりシームレスカプセルを作製した。カプセルを水分含量9質量%まで乾燥し、結果的に、直径7mm、皮膜率10質量%(皮膜厚0.12mm)のカプセルを得た。これを実験1と同様の方法により、各試料を評価した。結果を表2に示す(評点については表1と同じ)。
【0030】
【表2】
【0031】
表2に示すように、ゼラチン1質量部に対してα,α−トレハロース又はショ糖の比率が0.5質量部以上のとき、評価点が2点以上となり、食感及び崩壊性に優れたシームレスカプセルを作製することができることが判明した。一方、α,α−トレハロース又はショ糖の比率がゼラチン1質量部に対し2質量部を越えると、脆く、実用的な強度を有さず、5質量部を越えると、カプセル化に必要なゼラチンの量が少なすぎて、カプセルに成形できないことが判明した。
【0032】
【実験3】
<α,α−トレハロースとショ糖含量の検討>
α,α−トレハロース(登録商標『トレハ』、株式会社林原商事販売)とショ糖混合物を、無水物換算でα,α−トレハロースの比率で0乃至100質量%として、これをゼラチンに対し無水物換算質量で2倍量を含有させたシームレスカプセルを製造した。カプセルの製造方法は実験1の方法にしたがっておこない、評価方法については、製造後1ヶ月間を乾燥剤としてシリカゲルとともに密封保存したカプセルについて、実験1と同様の評価方法により、各試料を評価した。結果を表3に示す(評点については表1と同じ)。
【0033】
【表3】
【0034】
表3に示すように、製造1ヶ月後のシームレスカプセルは、α,α−トレハロース及びショ糖の合計量に対するα,α−トレハロースの含有量が30質量%以上であると、食感及び崩壊性の評点は2以上であり、優れた食感及び崩壊性を維持することが判明した。
【0035】
【実験4】
<最大皮膜厚の検討>
ゼラチン1質量部に対し、無水物換算でα,α−トレハロース2質量部の比率で含有させたもの30質量部を水70質量部に溶解し、膨潤させた後、約85℃に加熱し完全に溶解させた。これをアスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、シームレスカプセルの充填封入物は、レモングラス油を用い、常法にしたがって、シームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)によりシームレスカプセルを作製した。カプセルを水分含量9質量%まで乾燥し、結果的に、直径8mm、皮膜率15乃至30質量%のカプセルを得た。これらを、実験1と同様の評価方法により、各試料を評価した。結果を表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
表4に示すとおり、直径8mmのシームレスカプセルにおいて、皮膜率25質量%、すなわち、皮膜厚が0.37mm以下において、食感及び崩壊性に優れたシームレスカプセルを製造することができた。この結果を勘案すると、現状の技術では直径10mmを越えるシームレスカプセルの製造は困難ではあるが、もし製造可能となれば、例えば、現状の技術で皮膜率の最小限界とされる約8質量%においては直径約27mm以下、皮膜率約10質量%においては直径約21mm以下、皮膜率約14質量%においては直径約15mm以下のシームレスカプセルは、皮膜厚が0.37以下となるので、食感及び崩壊性に優れたシームレスカプセル皮膜となることが予想される。
【0038】
以下、実施例で本発明を詳細に説明する。
【0039】
【実施例1】
<シームレスカプセル>
15質量部のゼラチン(商品名『アルカリ処理牛骨ゼラチン300ブルーム』、新田ゼラチン株式会社販売)、15質量部のα,α−トレハロース(登録商標『トレハ』、株式会社林原商事販売)を70質量部の水に加熱し完全に溶解させた。これをアスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、充填封入物としては、ハッカ油を用い、シームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)により、常法にしたがい、直径7mm、皮膜率10質量%のシームレスカプセルを作製した。作製したシームレスカプセルは乾燥器により、皮膜の水分含量が約8質量%になるまで乾燥し、ハッカ油が充填封入されたシームレスカプセルを得た。
【0040】
本品は、カリカリとした食感を有しており、口中においてカプセルの残骸がすみやかに崩壊し、ハッカ油を放出するので、口中に清涼感を付与することができる新しい食感の口中使用物として使用できる。また、本品を、飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などに含有させれば、それらの香味付けなどに用いることができる。
【0041】
【実施例2】
<シームレスカプセル>
12質量部のゼラチン(商品名『アルカリ処理牛骨ゼラチン300ブルーム』、新田ゼラチン株式会社販売)、12質量部のα,α−トレハロース(登録商標『トレハ』、株式会社林原商事販売)、8質量部のショ糖(商品名『グラニュ糖』、新三井製糖株式会社販売)を70質量部の水に加熱し完全に溶解させた。これをアスピレーターで減圧脱気し、約75℃に保温した。また、充填封入物としては、ペパーミント油を用い、保護層に硬化油を用いて、3重ノズル滴下方式のシームレスカプセル製造機(商品名『スフェレックスSPX−LABO』、フロイント産業株式会社販売)により、常法にしたがい、直径7mm、皮膜率10質量%のシームレスカプセルを作製した。
【0042】
本品は、カリカリとした食感を有しており、口中においてカプセルの残骸がすみやかに崩壊し、ペパーミント油を放出するので、口中に清涼感をh付与することができる新しい食感の口中使用物として使用できる。また、本品を、飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などに含有させれば、それらの香味付けなどに用いることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のシームレスカプセルにはなかった、カリカリとした新しい食感を有し、また、カプセルの残骸が口中において速やかに崩壊するシームレスカプセル皮膜を提供することができる。特に、α,α−トレハロースを含有させることで、シームレスカプセルの保存性を向上させることができる。したがって、本発明のシームレスカプセルを利用した新しい食感の飲食物、医薬品、化粧品、医薬部外品などの口中使用物において、摂取又は服用に有利である。
Claims (6)
- 皮膜部分において、ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖を含有するシームレスカプセル。
- α,α−トレハロース及び/又はショ糖を、α,α−トレハロース及びショ糖の合計量でゼラチン1質量部に対して0.5乃至2質量部の範囲内で含有させることを特徴とする請求項1記載のシームレスカプセル。
- α,α−トレハロース及びショ糖の合計量に対するα,α−トレハロースの含有比率が30質量%以上である請求項1又は2に記載のシームレスカプセル。
- 皮膜厚が0.03乃至0.37mmの範囲内である請求項1乃至3のいずれかに記載のシームレスカプセル。
- 飲食物、医薬品、化粧品又は医薬部外品等の嚥下又は口中使用される物を請求項1乃至4のいずれかに記載のシームレスカプセルに充填封入してなる口中使用物。
- ゼラチンと、α,α−トレハロース及び/又はショ糖とを含有する水溶液を皮膜状に成形し、乾燥する工程を有する、請求項1乃至5のいずれかに記載のシームレスカプセル又は口中使用物の製造方法。
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