JPH1160747A - 押出発泡用マスターバッチ及びその製造方法及びそれを用いた耐熱性スチレン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

押出発泡用マスターバッチ及びその製造方法及びそれを用いた耐熱性スチレン系樹脂発泡体の製造方法

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JPH1160747A
JPH1160747A JP9237888A JP23788897A JPH1160747A JP H1160747 A JPH1160747 A JP H1160747A JP 9237888 A JP9237888 A JP 9237888A JP 23788897 A JP23788897 A JP 23788897A JP H1160747 A JPH1160747 A JP H1160747A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 (A)ビニル芳香族化合物及びビニル芳
香族化合物と共重合可能なカルボン酸基及び/またはカ
ルボン酸無水物基を有するビニル化合物を必須成分とす
る耐熱性スチレン系共重合体40.0〜90.0重量
%、(B)ゴム状重合体5.0〜45.0重量%、
(C)重量平均分子量が少なくとも300、000以上
であり、ガラス転移点温度が100℃以下であるビニル
芳香族化合物及び/またはメタクリル酸エステルとアク
リル酸エステルの共重合体5.0〜15.0重量%を溶
融混練してなる耐熱性スチレン系発泡シ−ト製造用マス
タ−バッチ。 【効果】 マスタ−バッチを用いることにより、セル径
と加熱軟化伸びのバランスに優れる、言い換えれば、き
め細かい表面外観と深絞り性のバランスに優れ、且つ脆
性の改良されたスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合
体またはスチレン−無水マレイン酸系共重合体よりなる
発泡シ−トを製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】スチレン−(メタ)アクリル
酸共重合体及びスチレン−無水マレイン酸共重合体はポ
リスチレンに比べ耐熱変形性に優れており、その性質を
生かして発泡ポリスチレンシ−トより成形される食品容
器等の耐熱向上や発泡断熱材の耐熱性の向上を目的とし
て広く利用されている。本発明は、発泡セル径が細かく
ても深絞り性が良好であり、且つ、加工時の脆性が改良
された耐熱性スチレン系発泡シ−ト用マスタ−バッチバ
ッチ及びそのマスタ−バッチを用いた発泡シ−トの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品包装容器や弁当用容器向けに消費さ
れる熱可塑性樹脂の需要は年々増加の傾向をたどってい
るが、近年特に家庭への電子レンジの普及またはコンビ
ニエンスストアでの弁当の売上の増加にともない電子レ
ンジでの加熱に対応する耐熱性容器に対する需要が大幅
に増加している。一般的に、食品容器や弁当容器は樹脂
のシ−トまたは発泡シ−トの熱成形により生産されてい
る。透明性、加工性に優れ、安価に入手し得る発泡シ−
ト用の樹脂としてポリスチレンが知られており、発泡ポ
リスチレンシ−トを用いて成形された容器は保温性に優
れている特性を有している。しかし、ポリスチレンは耐
熱性に限界があり、電子レンジ等による加熱下では成形
品の変形が大きくなり、従って成形品の肉圧を厚くする
必要がある。このため、PP製の食品容器が用いられる
場合があるが、これらの容器は断熱性に乏しく電子レン
ジより取り出す時に、素手で取り扱うのが困難である。
【0003】一方で、ポリスチレンの特性を失わず、耐
熱性を改良したものとして、スチレン−(メタ)アクリ
ル酸共重合体またはスチレン−無水マレイン酸共重合体
がある。特にスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体は
(メタ)アクリル酸の含有量により任意に耐熱性を設定
できる為、極めて工業的に有効でありポリスチレン発泡
体の耐熱性を向上せしめる目的での発泡シ−ト用の原材
料として、また車両又は家屋の断熱材用途等の耐熱性の
要求される発泡ボ−ドの原料として利用されており、ス
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはスチレン−
無水マレイン酸共重合体を用いてなる発泡体(特開昭5
7−72830号公報)について、またスチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体より成形される食品容器(特開
昭62−94539号公報)について提案されている。
また、耐熱性スチレン系共重合体の発泡シ−トの脆性を
改良する方法としてスチレン−(メタ)アクリル酸系樹
脂組成物にゴム補強ポリスチレン樹脂組成物を添加する
方法(特開昭63−264335号公報)、MBS樹
脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン
−ブタジエンランダム共重合体等のゴム成分含有スチレ
ン系樹脂を添加する方法(特開平2−58548号公
報)やブタジエン比率が50重量%以上のスチレン−ブ
タジエン共重合体を添加する方法(特開平8−4123
3号公報)が提案されている。
【0004】また、スチレン−(メタ)アクリル酸系樹
脂組成物に芳香族ビニルモノマ−とジエン系モノマ−よ
りなる共重合体に両者と相溶する樹脂を添加してなる2
次加工性の優れた発泡体(特開平3−109441号公
報)について提案されている。ところで、発泡シ−トの
外観を綺麗にすることは発泡容器の見栄えを良くし、意
匠性を挙げる為に必要且つ重要な要求事項の一つであ
る。発泡シ−トの綺麗な外観、言い換えればきめ細かい
表面外観を得る為にはまず発泡シ−トのセル径を小さく
することが必要となる。
【0005】ところが、一般に発泡シ−トの2次成形
は、オ−ブン等の加熱手段により発泡シ−トを加熱・軟
化させ、その直後に金型で挟みつけるマッチモ−ルド成
形により容器形状に成形されるが、一般的にスチレン系
樹脂の発泡シ−トはセル径を小さくすると発泡シ−トの
加熱軟化伸びが低下するため、深絞り成形ならずとも、
一般の2次成形でさえ容器側面が破断する場合がある。
特に、深絞り成形を行う場合は、容器側面部の発泡シ−
トの変形量が大きくなる為、その部分の発泡シ−トが破
断してしまう場合がある。そこで、深絞り成形をする時
には発泡シ−トの大変形を可能とする為に、従来の知見
では、発泡シ−トのセル径を大きくしたり、加熱時間を
長くしたり、加熱温度を高くしたりする技術が用いられ
てきた。
【0006】しかし、発泡セル径を大きくすると前述の
通り発泡シ−トの表面外観が粗くなってしまう場合があ
る。つまり、従来の方法では発泡シ−トのセル径を小さ
くすると発泡シ−トの加熱軟化伸びが小さくなってしま
う為、深絞り成形を行うと深絞り容器の側面部が成形時
に破断するといった現象が起きる場合がある。また、加
熱時間を長くすることや加熱温度を高くした場合には、
発泡シ−ト表面のセルの破泡や樹脂劣化の為表面がケロ
イド状になってしまう場合がある。
【0007】また、先行技術として知られている特開平
8−41233号公報や特開平3−109441号公報
等の技術を用いても、きめ細かい発泡シ−トでは深絞り
成形性が不十分である。そこで、従来より耐熱性スチレ
ン系共重合体の発泡シ−トの深絞り性ときめ細かい表面
外観のバランスを向上させる技術が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る課題に対して、セル径の大きさ即ち発泡シ−トの外観
と深絞り性即ち加熱軟化伸びのバランスに優れ、且つ脆
性の改良された耐熱性スチレン系共重合体発泡シ−トを
簡単に製造できるマスタ−バッチ及びマスターバッチの
製造方法及びマスタ−バッチを用いた発泡シ−トの製造
方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる現状
に鑑み、セル径が小さくても加熱軟化伸びが大きい、つ
まり、表面外観が極めて綺麗で深絞り成形性に優れ、且
つ、脆性の改良された耐熱性スチレン系共重合体の発泡
シ−トを製造するためのマスタ−バッチには、特定のゴ
ム状重合体と特定の重量平均分子量以上で、且つ特定の
ガラス転移点温度以下のスチレン及び/又はメタアクリ
ル酸メチルと(メタ)アクリル酸アルキルの共重合体を
特定量併用して添加したものが有効であることを見出し
た。又、そのマスターバッチを押出機で溶融混練して製
造する際、特定の形状のゴム状重合体と特定の形状のス
チレン及び/又はメタアクリル酸メチルと(メタ)アク
リル酸アルキルの共重合体を使用することが有効である
ことを見出し、且つ、そのマスタ−バッチを用いて発泡
シ−トを製造すると深絞り性能に優れ、且つ脆性の改良
された耐熱性スチレン系樹脂発泡シートの製造が簡単に
できることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0010】即ち、本発明は、(A)ビニル芳香族化合
物及びビニル芳香族化合物と共重合可能なカルボン酸基
及び/又はカルボン酸無水物基を有するビニル化合物を
必須成分とする耐熱性スチレン系共重合体40.0〜9
0.0重量%、(B)ビニル芳香族化合物及び/又は
(メタ)アクリル酸アルキルと共役ジエン化合物よりな
るゴム状重合体5.0〜45.0重量%、(C)重量平
均分子量が少なくとも300、000以上であり、ガラ
ス転移点温度が100℃以下であるビニル芳香族化合物
及び/又はメタクリル酸エステルとアクリル酸エステル
の共重合体5.0〜15.0重量%を溶融混練してなる
耐熱性スチレン系発泡シ−ト製造用マスタ−バッチ及び
当該マスタ−バッチの製造方法及び当該マスタ−バッチ
を用いた発泡体の製造方法を提供するものである。
【0011】以下本発明について詳しく説明する。ま
ず、本発明におけるビニル芳香族化合物及びビニル芳香
族化合物と共重合可能なカルボン酸基及び/又はカルボ
ン酸無水物基を有するビニル化合物を必須成分とする耐
熱性スチレン系共重合体とは、ビニル芳香族よりなる樹
脂の耐熱性向上の為にカルボン酸基またはカルボン酸無
水物基を有するビニル化合物を共重合せしめた共重合体
のことを言い、特に工業的な見地からビニル芳香族化合
物としてスチレン、カルボン酸基またはカルボン酸無水
物基を有するビニル化合物として(メタ)アクリル酸及
び無水マレイン酸が好ましい。スチレンと(メタ)アク
リル酸を共重合せしめた樹脂をスチレン−(メタ)アク
リル酸共重合体、スチレンと無水マレイン酸を共重合せ
しめた樹脂をスチレン−無水マレイン酸共重合体と言
う。
【0012】また、当該共重合体にスチレンに共重合可
能なビニルモノマ−を本発明の目的を損なわない範囲で
共重合させてもかまわない。スチレンに共重合可能なビ
ニルモノマ−としては、例えば、(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
ブチル等のアクリル酸エステル類、α−メチルスチレ
ン、o−、m−、p−メチルスチレン、ブロモスチレ
ン、ジブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチ
レン等のスチレン以外の芳香族ビニル類、マレイン酸、
フマル酸等の不飽和脂肪酸類、無水マレイン酸、無水イ
タコン酸等の不飽和脂肪酸無水物類等が挙げられる。
【0013】特にスチレン−(メタ)アクリル酸共重合
体は(メタ)アクリル酸単位の含有量により任意の耐熱
に制御可能であり、本発明においてはその組成に関して
特に制限されるものでは無いが、耐熱向上効果と加工性
のバランスから共重合体中のスチレンと(メタ)アクリ
ル酸単位の含有重量比はスチレン単位/(メタ)アクリ
ル酸単位=85〜97/3〜15の範囲が好ましい。
【0014】また、スチレン−(メタ)アクリル酸共重
合体及びスチレン−無水マレイン酸共重合体の分子量は
特に制限されないが、強度と加工性のバランスから示差
屈折計より求められる線状ポリスチレン換算重量平均分
子量は15万〜35万の範囲が好ましく、特に17万〜
27万の範囲が好ましく、19万〜24万の範囲が更に
好ましい。また、分子量分布に関しても特に制限される
ものでは無いが、Mz/Mwが1.8以上であることが
好ましく、2.2以上であることがより好ましい。
【0015】スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体
及びスチレン−無水マレイン酸系共重合体の重合方法は
特に制限されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸
濁重合、乳化重合等が挙げられるが、組成の均一性の確
保から完全混合型重合反応器にて重合を行うのが好まし
い。また、スチレン系樹脂に慣用されている添加剤、例
えば酸化防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤等を本発明の目
的を損なわない範囲で添加してもかまわない。次に本発
明におけるビニル芳香族化合物及び/又はメタクリル酸
エステルとアクリル酸エステルの共重合体は示差屈折計
で求めた線状ポリスチレン換算重量平均分子量が少なく
とも300、000以上のものである必要があり、好ま
しくは1、300、000以上、更に好ましくは3、0
00、000以上である。
【0016】重量平均分子量が300、000未満のも
のでは、当該マスタ−バッチを用いて発泡シ−トを製造
した際に発泡シ−トの深絞り性の改良効果が不十分な場
合がある。また、ビニル芳香族化合物及び/又はメタク
リル酸エステルとアクリル酸エステルの共重合体のガラ
ス転移点温度は100℃以下の必要があり、好ましくは
90℃以下である。100℃を越えるものは、単軸押出
機もしくは2軸押出機でスチレン−(メタ)アクリル酸
系共重合体及びスチレン−無水マレイン酸系共重合体と
溶融混練する際に十分に溶融混練しないとうまく溶融せ
ずにゲル状の未分散体となる場合があり、その様なマス
タ−バッチを用いて発泡シ−トを製造すると結果として
発泡シ−トの表面外観を損ねたり、あるいは深絞り性の
改良効果が不十分な場合がある。
【0017】また、ビニル芳香族化合物及び/又はメタ
クリル酸エステルとアクリル酸エステルの共重合体の添
加量は5.0〜15.0重量%の範囲である。5.0重
量%未満のマスタ−バッチでは、加熱軟化伸びを向上さ
せる為に基材樹脂に対するマスタ−バッチの添加量が多
くなる場合があり、発泡押し出し機の樹脂供給設備の能
力によっては加熱軟化伸びを向上させる為に十分な量の
マスタ−バッチを供給できないことがあり、セル径と深
絞り性のバランス向上効果が不十分となる場合がある。
15.0重量%を越える場合はマスタ−バッチの分散性
が不十分となり、発泡押し出し機によっては、結果とし
て加熱軟化伸びが不十分となる場合がある。 特に工業
的な見地からビニル芳香族化合物としてスチレン、メタ
クリル酸エステルとしてメタクリル酸メチル、アクリル
酸エステルとしてアクリル酸ブチルが好ましい。
【0018】また、当該共重合体にスチレンまたはメタ
クリル酸メチルに共重合可能なビニルモノマ−を本発明
の目的を損なわない範囲で共重合させてもかまわない。
スチレンに共重合可能なビニルモノマ−としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステ
ル類、α−メチルスチレン、o−、m−、p−メチルス
チレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、クロロス
チレン、ジクロロスチレン等のスチレン以外の芳香族ビ
ニル類、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸類、無
水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和脂肪酸無水物
類等が挙げられ、以上のビニルモノマ−を2種以上併用
させても良い。
【0019】また、当該共重合体の重合方法は特に制限
されるものではなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、
乳化重合等が挙げられるが、工業生産性の観点から乳化
重合による生産が好ましい。次に本発明で言うゴム状重
合体とは、常温でゴム弾性を示す重合体であり、例えば
ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエ
ン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロ
ニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−αオレフィ
ン共重合体、エチレン−αオレフィン−ポリエン共重合
体、アクリルゴム、ブタジエン−メタクリル酸エステル
共重合体、水素化スチレン−ブタジエン共重合体、水素
化ブタジエン系重合体等が挙げられる。特に、ビニル芳
香族ブロックと共役ジエンブロックより構成されるブロ
ック熱可塑性エラストマ−もしくはビニル芳香族化合物
と共約ジエン化合物よりなるランダム熱可塑性エラスト
マ−もしくは共役ジエン重合体にビニル芳香族化合物及
び/又は(メタ)アクリル酸アルキルよりなる重合体が
グラフトしたゴム状重合体が好ましく、工業的な見地か
らビニル芳香族化合物としてスチレン、共役ジエン化合
物としてブタジエンよりなるブロックスチレン系熱可塑
性エラストマ−またはランダムスチレン系熱可塑性エラ
ストマ−、(メタ)アクリル酸アルキルとしてメタクリ
ル酸メチルよりなるMBS樹脂が好ましい。
【0020】本発明で言うゴム状重合体の配合量は5〜
45重量%の範囲である。5重量%未満では発泡シ−ト
の脆性改良を行う為に基材樹脂に対するマスタ−バッチ
の添加量が多くなる場合があり、発泡押し出し機の樹脂
供給設備の能力によっては脆性改良効果を向上させる為
に十分な量のマスタ−バッチを供給できない場合ある。
45重量%以上ではマスタ−バッチの分散性が不十分と
なり、結果として発泡体の脆性改良効果が現れない場合
がある。以上に示されるゴム状重合体の種類には特に制
限されるものではないが、ブロックスチレン系熱可塑性
エラストマ−が特に好ましい。
【0021】ブロックスチレン系熱可塑性エラストマ−
の示差屈折検出器を用いたゲルパ−ミエ−ションクロマ
トグラムを標準線状ポリスチレンのクロマトグラムで比
較して得られる線状標準ポリスチレン換算の数平均分子
量は特に制限されるものではないが、25万以上のもの
が特に好ましい。また、スチレンとブタジエンの組成比
は特に制限されるものではないが、耐熱性保持の観点か
ら50/50〜20/80のものが好ましい。
【0022】また、当該ブロック共重合体熱可塑性エラ
ストマ−の分子形状は特に規定されるものでは無く、例
えば、直鎖状のもの、3分岐状のもの、4分岐状のもの
等が挙げられる。またビニル芳香族ブロック(S)と共
役ジエンブロック(B)の結合形態も特に規定されるも
のでは無く、例えば、SB型、SBS型、SBSB型等
が挙げられる。また、以上のゴム状重合体を2種以上併
用しても差し支えない。
【0023】次に本発明におけるマスタ−バッチの製造
方法は溶融混練してペレタイズする方法である。溶融混
練に用いる押出機は特に限定されるものではないが、2
軸押出機を使用することが好ましい。また、使用するゴ
ム状重合体の形状は特に限定されるものではないが、顆
粒状又はクラム状のゴム状重合体を使用することが好ま
しい。当該マスタ−バッチの必須成分であるビニル芳香
族化合物及び/又はメタクリル酸エステルとアクリル酸
エステルの共重合体は、その高い分子量からペレタイズ
することが困難であり、通常の場合、粉状の形状をと
る。その為、押出機を用いた溶融混練で通常使用される
ペレット状のゴム状重合体を用いると、ビニル芳香族化
合物及び/又はメタクリル酸エステルとアクリル酸エス
テルの共重合体の添加割合が多い場合、溶融混練前に十
分にブレンドを行っても、ビニル芳香族化合物及び/又
はメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの共重合
体が押出機のホッパ−にて分級を起こし、安定的な押出
し製造が困難となる場合がある。
【0024】ここで言う粉状とは、28メッシュの金網
を有した篩を通過する大きさの粒子が全体の50重量%
以上となる粒子群の形態のことを言う。また、顆粒状と
は28メッシュの金網を有した篩を通過せず、且つ6メ
ッシュの金網を有した篩を通過する大きさの粒子が全体
の50重量%以上となる粒子群の形態のことを言い、ク
ラム状とは顆粒状粒子が凝集してできた粒子塊群の形態
ことを言う。また、2種以上の異形状のゴム状重合体を
併用しても差し支えなく、本発明の目的を損なわない範
囲で、ペレット形状のゴム状重合体を当該形状のゴム状
重合体と併用しても差し支えない。
【0025】次に本発明では、発泡シ−トを押し出し発
泡にて製造するにあたり、耐熱性スチレン系共重合体ペ
レットと当該マスタ−バッチをペレットブレンドした
後、押出し発泡を行い発泡体を製造する。ペレットブレ
ンドはタンブラ−を用いる方法、定量フィ−ダ−で押出
機のホッパ−に供給する方法などが利用される。マスタ
−バッチと耐熱性スチレン系共重合体ペレットとのブレ
ンド比率は特に規定されるものではないが、マスタ−バ
ッチ混合割合は50%以下であることが工業的に好まし
い。
【0026】また、マスタ−バッチとブレンドする耐熱
性スチレン系共重合体には本発明の効果を損なわない範
囲で、ゴム状重合体が予め添加されたものを用いても差
し支えない。尚、当該マスタ−バッチにはスチレン系樹
脂に慣用されている添加剤、例えば、酸化防止剤、滑
剤、可塑剤、着色剤、熱安定剤等を本発明の目的を損な
わない範囲で添加してもかまわない。
【0027】また、発泡シ−トの生産に用いる発泡剤及
び発泡核剤としては通常のポリスチレン発泡シ−トの生
産に使用されるものを使用すればよい。そのような発泡
剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等の揮発性発
泡剤及びこれらの混合物、アゾジカルボンアミド、ジニ
トロソペンタメチレン等の有機系発泡剤、重炭酸ナトリ
ウム等の無機系発泡剤などがあり、場合によっては炭酸
ガス、窒素、水等も適用できる。発泡核剤としては、タ
ルク、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭
酸カルシウム等が挙げられる。次に、実施例および比較
例によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0028】
【実施例】実施例に記載のスチレン系熱可塑性エラスト
マ−B−1、B−2は次の参考例に示す方法で製造した
ものを用いた。 [参考例1−高分子量スチレン系熱可塑性エラストマ−
(B−1)の製造]オ−トクレ−ブを窒素ガスで内部置
換した後、精製乾燥させたシクロヘキサン20リットル
を仕込み、その後70℃に攪拌、昇温した。次に触媒と
してn−ブチルリチウムを0.40g、精製、乾燥させ
たスチレン1200gを添加し、3時間重合した。次い
で、精製・乾燥させたブタジエン2800gをプランジ
ャ−ポンプにて添加して3時間重合させた。所定の重合
ステップが終了した後四塩化珪素を加えて重合を停止さ
せ、顆粒状の分岐型ブロック共重合体B−1を得た。得
られた重合体のゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ
−にて測定したポリスチレン換算数平均分子量は30.
5万であり、スチレン/ブタジエン重量比率は3/7で
あった。
【0029】[参考例2−スチレン系熱可塑性エラスト
マ−(B−2)の製造]オ−トクレ−ブを窒素ガスで内
部置換した後、精製乾燥させたシクロヘキサン20リッ
トルを仕込み、その後70℃に攪拌、昇温した。次に触
媒としてn−ブチルリチウムを0.40g、精製、乾燥
させたスチレン1200gを添加し、3時間重合した。
次いで、精製・乾燥させたブタジエン2800gをプラ
ンジャ−ポンプにて添加して3時間重合させた。所定の
重合ステップが終了した後、メタノールを加えて重合を
停止させ、顆粒状のブロック共重合体B−2を得た。得
られた重合体のゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ
−にて測定したポリスチレン換算数平均分子量は13.
2万であり、スチレン/ブタジエン重量比率は3/7で
あった。
【0030】次に実施例に記載のスチレン−アクリル酸
ブチル共重合体T−2、T−4は次の参考例に示す方法
で製造したものを用いた。 [参考例3−高分子量スチレン−アクリル酸ブチル共重
合体(T−2)の製造]攪拌機、環流冷却機、窒素導入
口を備えた5リットルのガラスビ−カ−に脱イオン水5
00g、氷酢酸0.15g、塩化ナトリウム0.8gを
投入し、窒素で30分パ−ジした。160gのスチレ
ン、40gのアクリル酸ブチル、4gのドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウムを投入し、窒素雰囲気下、10
分間ホモジナイザ−で混合し、乳化液を得た。その後2
50rpmで攪拌しながら60℃に加熱し、次いでソデ
ィウムホルムアルデヒドスルホキシレ−ト1%溶液を2
0g加え、t−ブチルハイドロキシパ−オキサイド0.
03gを加えた。重合発熱のピ−クで更にソディウムホ
ルムアルデヒドスルホキシレ−ト1%溶液を20gを加
えた。6時間後、室温に冷却し、乳化液を冷凍乾燥し、
共重合体を回収した。得られた重合体のゲルパ−ミエ−
ションクロマトグラフィ−にて測定したポリスチレン換
算重量平均分子量は145万であった。
【0031】[参考例4−高分子量ポリスチレン(T−
4)の製造]攪拌機、環流冷却機、窒素導入口を備えた
5リットルのガラスビ−カ−に脱イオン水500g、氷
酢酸0.15g、塩化ナトリウム0.8gを投入し、窒
素で30分パ−ジした。200gのスチレン、4gのド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを投入し、窒素雰
囲気下、10分間ホモジナイザ−で混合し、乳化液を得
た。その後250rpmで攪拌しながら60℃に加熱
し、次いでソディウムホルムアルデヒドスルホキシレ−
ト1%溶液を20g加え、t−ブチルハイドロキシパ−
オキサイド0.03gを加えた。重合発熱のピ−クで更
にソディウムホルムアルデヒドスルホキシレ−ト1%溶
液を20gを加えた。6時間後、室温に冷却し、乳化液
を冷凍乾燥し、共重合体を回収した。得られた重合体の
ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−にて測定した
ポリスチレン換算重量平均分子量は195万であった。
【0032】表中及び参考例・実施例中に示す重量平均
分子量Mw、数平均分子量Mnは示差屈折検出器を用い
たゲルパ−ミネ−ションクロマトグラムを標準線上ポリ
スチレンのクロマトグラムで比較して得られるポリスチ
レン換算分子量である。測定条件を下記に示す。 測定溶媒 :テトラハイドロフラン 試料濃度 :試料20mgを20mlの該溶媒に溶解。 分別カラム:東ソ−社製 TSK−gel−GMH−X
L2本 測定機本体:東ソ−社製 HCL8020 測定温度 :38℃ 流速 :1ml/min 液体クロマトグラフ用サンプル前処理フィルタ−:GL
サイエンス社製 非水性 未滅菌 13N 0.45μ
【0033】表中に示すガラス転移点温度は、当該共重
合体等を200℃に加熱した圧縮成型機にてフィルム状
に成形した後、次に示す示差走査熱量測定(DSC)に
て測定した。
【0034】表中に示すスチレン系熱可塑性エラストマ
−のスチレン/ブタジエン比率は、四酸化オスミウムを
触媒としてジタ−シャリ−ブチルハイドロパ−オキサイ
ドにより酸化分解した後、分解物にメタノ−ルを添加し
て析出させた成分をポリスチレン成分として重量を測定
することで算出した。表中に示すMBS樹脂の粒径は2
軸押出機でMBS樹脂とスチレン−(メタ)アクリル酸
共重合体を220℃で溶融混練した後、造粒したペレッ
トを四酸化オスミウムで染色した後、日立社製透過型電
子顕微鏡で25000倍に拡大した写真を撮影し、旭化
成社製画像解析処理装置で面積を計測し、面積から算出
される円相当直径の平均値である。
【0035】表中に示すMB生産性は次の様に評価し
た。 ○:マスターバッチの押出し製造時に、ストランドが安
定的に押し出された。 ×:マスターバッチの製造時に、ストランド切れが多発
し、安定的に製造が困難であった。 ××:マスターバッチ製造時に、ホッパーで分級が生
じ、ストランドの太さがハンチングして安定しなかっ
た。 表中に示す発泡体の表面外観は次の様に評価した。 ○:表面が平滑で凸凹が小さく綺麗な発泡体である。 ×:表面に未発泡ぶつが生じ、外観が劣る。
【0036】表中に示す発泡シ−トの平均セル径は、発
泡シ−トの巻き取り方向と平行な方向の断面を走査型電
子顕微鏡により35倍の拡大写真を撮影し、画像解析装
置により200〜300個のセルの面積を計測し、面積
から算出される円相当直径の平均値である。走査型電子
顕微鏡は日本電子社製JSM−T200を、画像解析処
理装置は旭化成社製画像解析処理装置を使用した。表中
に示す発泡シ−トの破断伸びは、発泡シ−トを14日間
23℃50%RHの恒温室にて状態調節した後、発泡シ
−トを40mm×300mmの帯状に切り出し引張り試
験機に両端50mmをチャックで固定した後、5mm/
secで引張り、破断するまでの伸び量をチャック間距
離200mmで除した値を示す。
【0037】表中に示す発泡シ−トの加熱軟化伸びは、
発泡シ−トを14日間23℃50%RHの恒温室にて状
態調節した後、発泡シ−トを40mm×150mmの帯
状に切り出し加熱炉の付いた引張り試験機に両端20m
mをチャックで固定した。加熱炉中で110℃、1分間
加熱した後、5mm/secで引張り、表面に亀裂が生
じる伸び量を目視判断し、その値をチャック間距離11
0mmで除した値を示す。表中に示す発泡体の発泡倍率
は、発泡体を約5g切り出して500mlのメスシリン
ダ−に200ml程水を張り、切り出した発泡体を沈め
て体積の増分を読み、水の比重を1g/cm3 と仮定し
て重量比から発泡倍率を次の様に計算した値である。増
加した水の体積/切り出した発泡体の重量=発泡体の発
泡倍率
【0038】(実施例1〜13、比較例1〜11)スチ
レン−メタアクリル酸共重合体(S−1)またはスチレ
ン−無水マレイン酸共重合体(S−2)、表1に記載の
メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体(T−
1)、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体(T−
2)、メタクリル酸メチル系樹脂(T−3)、高分子量
ポリスチレン(T−4)、表2に記載のスチレン−ブタ
ジエンブロック共重合体(B−1、B−2、B−4)、
MBS樹脂(B−3)を表3〜4に記載の割合で混合し
た後、60mm径の温度180〜220℃、回転数60
rpmに調整した2軸押出機により押し出してペレタイ
ズしてマスタ−バッチを得た。
【0039】得られたマスタ−バッチを表5〜6に記載
の割合でタンブラ−を用いてペレットブレンドした後、
直径150mmのサ−キュラ−ダイを備えた押出発泡機
を用いて、発泡シ−トを製造した。押出発泡機の樹脂溶
融ゾ−ンの温度は200〜230℃、ロ−タリ−ク−ラ
−の温度は130〜170℃、Tダイの温度は160℃
に調整した。発泡核剤として、ミストロンペ−パ−(日
本ミストロン社製)を樹脂に対して0.1重量部、0.
5重量部、1.0重量部のいずれかの添加量で添加し、
発泡剤として、液化ブタンを樹脂に対して4重量部添加
した。押出発泡された発泡シ−トは冷却マンドリルで冷
却し、円周上の2点でカッタ−により切断後、幅300
mm、厚み1.8mmの発泡シ−トを得た。結果を表5
〜6に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【発明の効果】本発明のマスタ−バッチを用いることに
より、セル径と加熱軟化伸びのバランスに優れる、言い
換えれば、きめ細かい表面外観と深絞り性のバランスに
優れ、且つ脆性の改良されたスチレン−(メタ)アクリ
ル酸系共重合体またはスチレン−無水マレイン酸系共重
合体よりなる発泡シ−トを製造することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ビニル芳香族化合物及びビニル芳
    香族化合物と共重合可能なカルボン酸基及び/又はカル
    ボン酸無水物基を有するビニル化合物を必須成分とする
    耐熱性スチレン系共重合体40.0〜90.0重量%、
    (B)ゴム状重合体5.0〜45.0重量%、(C)重
    量平均分子量が少なくとも300、000以上であり、
    ガラス転移点温度が100℃以下であるビニル芳香族化
    合物及び/又はメタクリル酸エステルとアクリル酸エス
    テルの共重合体5.0〜15.0重量%を溶融混練して
    なる耐熱性スチレン系発泡シ−ト製造用マスタ−バッ
    チ。
  2. 【請求項2】(A)成分がスチレン−(メタ)アクリル
    酸共重合体であり、共重合体のスチレン/(メタ)アク
    リル酸の重量構成比が97/3〜85/15であり、ポ
    リスチレン換算重量平均分子量が15〜35万であり、
    (B)成分がスチレン系熱可塑性エラストマ−またはM
    BS樹脂であり、C成分がスチレン及び/又はメタクリ
    ル酸メチルとアクリル酸ブチルとの共重合体である請求
    項1に記載の耐熱性スチレン系発泡シ−ト製造用マスタ
    −バッチ。
  3. 【請求項3】 (C)成分の重量平均分子量が少なくと
    も1、300、000以上であり、ガラス転移点温度が
    90℃以下である請求項2に記載の耐熱性スチレン系発
    泡シ−ト製造用マスタ−バッチ。
  4. 【請求項4】 (B)成分がスチレン系ブロック熱可塑
    性エラストマ−であり、ビニル芳香族化合物と共役ジエ
    ン化合物の重量組成比が50/50〜20/80であ
    り、(B)成分の数平均分子量が25万以上である請求
    項3に記載の耐熱性スチレン系発泡シ−ト製造用マスタ
    −バッチ。
  5. 【請求項5】 (B)成分/(C)成分の重量比が1/
    1〜10/1である請求項1〜4に記載の耐熱性スチレ
    ン系発泡シ−ト製造用マスタ−バッチ。
  6. 【請求項6】 粉状の(C)成分と顆粒状又はクラム状
    の(B)成分を使用して、単軸又は2軸の押出機で溶融
    混練してペレタイズすることを特徴とする請求項1〜5
    に記載の耐熱性スチレン系発泡シ−ト製造用マスタ−バ
    ッチの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5に記載の耐熱性スチレン系
    発泡シ−ト製造用マスタ−バッチを用いることを特徴と
    し、マスタ−バッチと基材樹脂をペレットブレンドした
    後、押し出し発泡する発泡シートの製造方法。
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