JP2018090753A - 耐熱スチレン系樹脂組成物、押出シート、成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
したがって、耐熱性、機械的強度、外観、押出成形性、真空成形時の深絞り性、及びラミネートフィルムの接着性等の諸特性に優れた樹脂組成物、押出シート、成形品が求められている。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
スチレン−メタクリル酸共重合体である共重合樹脂(a)、ブタジエン単量体単位を含むゴム状粒子にメタクリル酸メチル単量体単位とスチレン単量体単位とを主成分とする共重合体がグラフトしてなるMBS樹脂(b)、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位との共重合体である、重量平均分子量が1,000,000以上の共重合樹脂(c)を含有する耐熱スチレン系樹脂組成物であり、
前記共重合樹脂(a)、前記MBS樹脂(b)、及び前記共重合樹脂(c)の合計質量100質量%に対して、前記共重合樹脂(a)の含有量が85〜99質量%であり、前記MBS樹脂(b)の含有量が0.9〜12質量%であり、前記共重合樹脂(c)の含有量が0.1〜3.0質量%であり、
前記共重合樹脂(a)は、スチレン単量体単位及びメタクリル酸単量体単位の合計を100質量%としたときに、スチレン単量体単位を84〜96質量%含有し、且つメタクリル酸単量体単位を4〜16質量%含有し、
ビカット軟化温度が106℃以上である
ことを特徴とする、耐熱スチレン系樹脂組成物。
[2]
前記耐熱スチレン系樹脂組成物に含まれるスチレン単量体単位の合計含有量が80質量%以上である、[1]に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[3]
前記耐熱スチレン系樹脂組成物の全質量100質量%に対して、スチレン二量体及びスチレン三量体の残存量の合計が0.6質量%以下であり、且つスチレン単量体の残存量が700質量ppm以下である、[1]又は[2]に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[4]
前記共重合樹脂(a)の重量平均分子量が100,000〜350,000である、[1]〜[3]のいずれかに記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[5]
前記MBS樹脂(b)中のブタジエン単量体単位含有量が50質量%以上であり、前記MBS樹脂(b)におけるメタクリル酸メチルとスチレンとの質量組成比が30/70〜70/30であり、且つ前記MBS樹脂(b)中のスチレン単量体単位含有量が3〜35質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[6]
ゴム変性スチレン系樹脂(d)を、前記耐熱スチレン系樹脂組成物の全質量100質量%に対して30質量%以下の量で更に含有し、前記ゴム変性スチレン系樹脂(d)がゴム粒子径0.5〜5.0μmを有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[7]
炭素数が14以上であり、且つ凝固点が−10℃以下である脂肪族第1級アルコールを、前記耐熱スチレン系樹脂組成物の全質量100質量部に対して0.02〜1.0質量部の量で更に含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成された押出シート。
[9]
[1]〜[7]のいずれかに記載の耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成された発泡押出シート。
[10]
[8]に記載の非発泡押出シート又は[9]に記載の発泡押出シートを用いて形成された成形品。
本実施形態の耐熱スチレン系樹脂組成物は、スチレン−メタクリル酸共重合体である共重合樹脂(a)、ブタジエン単量体単位を含むゴム状粒子にメタクリル酸メチル単量体単位とスチレン単量体単位とを主成分とする共重合体がグラフトしてなるMBS樹脂(b)、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位との共重合体である、重量平均分子量が1,000,000以上の共重合樹脂(c)を含有する耐熱スチレン系樹脂組成物であり、該共重合樹脂(a)、該MBS樹脂(b)、及び該共重合樹脂(c)の合計質量100質量%に対して、該共重合樹脂(a)の含有量が85〜99質量%であり、該MBS樹脂(b)の含有量が0.9〜12質量%であり、該共重合樹脂(c)の含有量が0.1〜3.0質量%であり、共重合樹脂(a)が、スチレン単量体単位及びメタクリル酸単量体単位の合計を100質量%としたときに、スチレン単量体単位を84〜96質量%含有し、且つメタクリル酸単量体単位を4〜16質量%含有し、ビカット軟化温度が106℃以上である、耐熱スチレン系樹脂組成物(以下、単に「本実施形態の樹脂組成物」ということもある)である。
本実施形態の樹脂組成物において、スチレン−メタクリル酸共重合体である共重合樹脂(a)の含有量は、共重合樹脂(a)、MBS樹脂(b)、及び共重合樹脂(c)の合計質量100質量%に対して、85〜99質量%であり、好ましくは87〜98質量%、より好ましくは89〜97質量%である。
この含有量が86質量%未満では、MBS樹脂(b)及び共重合樹脂(c)の使用量が増加し、発泡成形時のガス抜け等で発泡が難しくなり、得られる発泡体の物性が低下する傾向がある。また得られる成形品の剛性が低下する傾向、及びシート等の外観が低下する傾向がある。更に耐熱スチレン系樹脂組成物に含有されるスチレン単量体単位の含有量が低下することにより、得られる成形品のラミネートフィルムとの接着性が低下する傾向がある。一方、99質量%を超えると、MBS樹脂(b)の使用量が減少し、機械的強度の向上効果が十分得られず、共重合樹脂(c)の使用量が減少し、得られる押出シートの真空成形時の深絞り性の向上効果が十分得られない。
なお本開示で、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、標準ポリスチレン換算で得られる値である。
上記メルトマスフローレイトが0.3g/10分以上である場合、流動性の観点で好ましく、3.0g/10分以下である場合、樹脂の機械的強度の観点で好ましい。
なお本開示で、メルトマスフローレイトは、ISO 1133に準拠して、200℃、荷重49Nにて測定される値である。
以下、本発明に係る共重合樹脂(a)の重合方法について説明する。
用いられる重合溶媒としては、芳香族炭化水素類、例えば、エチルベンゼン、ジアルキルケトン類、例えば、メチルエチルケトン等が挙げられ、それぞれ、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合生成物の溶解性を低下させない範囲で、他の重合溶媒、例えば脂肪族炭化水素類等を、芳香族炭化水素類に更に混合することができる。
これらの重合溶媒は、全単量体100質量部に対して、25質量部を超えない範囲で使用するのが好ましい。全単量体100質量部に対して重合溶媒が25質量部を超えると、重合速度が著しく低下し、且つ得られる樹脂の機械的強度の低下が大きくなる傾向がある。重合前に、全単量体100質量部に対して5〜20質量部の割合で添加しておく方が、品質が均一化し易く、重合温度制御の点でも好ましい。
例えば、塊状重合による場合には、完全混合型反応器を1基、又は複数基連結した重合装置を用いることができる。また脱揮工程についても特に制限はなく、塊状重合で行う場合、最終的に未反応モノマーが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下になるまで重合を進め、かかる未反応モノマー等の揮発分を除去するために、既知の方法にて脱揮処理する。例えば、フラッシュドラム、二軸脱揮器、薄膜蒸発器、押出機等の通常の脱揮装置を用いることができるが、滞留部の少ない脱揮装置が好ましい。
なお、脱揮処理の温度は、通常、190〜280℃程度であり、190〜260℃がより好ましい。また脱揮処理の圧力は、通常0.13〜4.0kPa程度であり、好ましくは0.13〜3.0kPaであり、より好ましくは0.13〜2.0kPaである。脱揮方法としては、例えば加熱下で減圧して揮発分を除去する方法、及び揮発分除去の目的に設計された押出機等を通して除去する方法が望ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、ブタジエン単量体単位を含むゴム状粒子にメタクリル酸メチル単量体単位とスチレン単量体単位とを主成分とする共重合体がグラフトしてなるMBS樹脂(b)の含有量は、共重合樹脂(a)、MBS樹脂(b)、及び共重合樹脂(c)の合計質量100質量%に対して、0.9〜12質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜11質量%、更により好ましくは3〜10質量%である。
ここで、ブタジエン単量体単位を含むゴム状粒子にグラフトする共重合体がメタクリル酸メチル単量体単位とスチレン単量体単位とを主成分とするとは、グラフトする共重合体の全単量体単位に対するメタクリル酸メチル単量体単位とスチレン単量体単位との合計の割合が、92質量%以上であることを意味する。この割合は、好ましくは94質量%以上、より好ましくは96質量%以上である。メタクリル酸メチル単量体及びスチレン単量体以外の単量体単位を含む場合、かかる単量体単位としては、アクリル酸ブチル単量体等が挙げられる。アクリル酸ブチル単量体を含有する場合は、流動性を向上させ好ましいが、含有量が多すぎると耐熱性が低下する傾向が大きい。
MBS樹脂(b)を使用することで機械的強度の向上に優れる樹脂組成物が得られるが、使用量が1質量未満では、機械的強度の向上が低い傾向があり、一方、12質量%を超える場合は、樹脂組成物中のブタジエン単量体単位含有量が多くなり、発泡成形時のガス抜け等で発泡が難しくなり、得られる発泡体の物性が低下する傾向がある。また得られる成形品の剛性が低下する傾向、及びシート等の外観が低下する傾向がある。
本実施形態の樹脂組成物において、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位との共重合体である、重量平均分子量が1,000,000以上の共重合樹脂(c)の含有量は、共重合樹脂(a)、MBS樹脂(b)、及び共重合樹脂(c)の合計質量100質量%に対して、0.1〜3.0質量%であり、好ましくは0.3〜2.0質量%であり、より好ましくは0.3〜1.0質量%である。
共重合樹脂(c)を使用することで本実施形態の樹脂組成物の溶融張力が向上し、シートの押出成形時の成形安定性や押出シートの真空成形時の深絞り性が著しく向上する。この含有量が0.1質量%未満の場合では、溶融張力が向上しないために成形安定性や深絞り性向上の効果が得られず、3.0質量%を超える場合は、溶融張力が高すぎ、流動性が低下するため、押出成形が困難になる。
重量平均分子量が1,000,000未満の場合では、溶融張力が向上しないために成形安定性や深絞り性向上の効果が得られず、5,000,000を超える場合は、流動性が低下するため、押出成形が困難になる。
本実施形態におけるゴム変性スチレン系樹脂(d)は、スチレン系樹脂のマトリックス中にゴム状重合体の粒子が分散されたものであり、ゴム状重合体の存在下でスチレン系単量体を重合させることにより製造することができる。
本実施形態の樹脂組成物において、ゴム変性スチレン系樹脂(d)は、共重合樹脂(a)とブレンドして用いることができる。
樹脂組成物がゴム変性スチレン系樹脂(d)を含有することで樹脂組成物の機械的強度を向上させることができるが、含有量が30質量%以下である場合、樹脂組成物のブタジエン単量体単位含有量が多くなり過ぎず、発泡成形時のガス抜け等で発泡が難しくなることを防止でき、ブタジエン含有に起因する剛性低下が抑制され、得られる発泡体の物性の低下を防止できる。
一方、ゴム変性スチレン系樹脂(d)の含有量は、機械的強度向上の効果を良好に得る観点から、樹脂組成物の全質量100質量%に対して3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上である。
なお本開示で、ゴム含有量は、実施例の項に記載する手順又はこれと同等であることが当業者に理解される方法で測定される。
ゴム粒子径が0.5μm以上である場合、樹脂組成物の機械的強度が良好である。また、ゴム粒子径が5.0μm以下である場合、樹脂組成物の外観が良好である。ゴム変性スチレン系樹脂(d)は、ゴム状重合体の存在下で撹拌機付きの反応器内でスチレン系単量体を重合させて得られるが、ゴム粒子径は、撹拌機の回転数、用いるゴム状重合体の分子量等で調整することができる。
なお本開示で、ゴム粒子径は、透過型電子顕微鏡による断面観察画像から計測される値である。
上記メルトマスフローレイトが0.5〜18.0g/10分の範囲であれば、共重合樹脂(a)及びMBS(b)との混合性が良く、また機械的強度も良好である。
なお本開示で、メルトマスフローレイトは、ISO 1133に準拠して、温度200℃、荷重49Nにて測定される値である。
ゴム変性スチレン系樹脂(d)のトルエン不溶分の膨潤指数が8.0〜14.0である場合、機械的強度に優れる樹脂が得られる。
なお本開示で、トルエン不溶分の膨潤指数は、それぞれ実施例の項で説明する手順又はこれと同等であることが当業者に理解されるような手順で測定される値である。
スチレン単量体単位の含有量は80質量%以上であれば、シートや容器とラミネートフィルムの接着性が良好であり、シートや容器の使用時にラミネートフィルムの剥離を防止できる。スチレン単量体単位の含有量は、用いる共重合樹脂(a)、MBS樹脂(b)、共重合樹脂(c)、ゴム変性スチレン樹脂(d)のスチレン単量体単位の含有量、並びにこれら樹脂の混合比を調整することにより達成できる。
ビカット軟化温度が106℃以上であれば、沸騰水での浸漬や電子レンジの加熱でもシートや容器等の変形が小さく、良好である。一方、ビカット軟化温度が130℃を超えると押出成形時や真空成形時の成形性が低下する傾向にある。106℃以上のビカット軟化温度は、用いる共重合樹脂(a)、MBS樹脂(b)、共重合樹脂(c)、ゴム変性スチレン樹脂(d)のビカット軟化温度、並びにこれらの樹脂の混合比を調整することにより達成できる。
なお本開示で、ビカット軟化温度は、ISO 306に準拠して、荷重49Nで測定される値である。
メルトマスフローレイトが0.6g/10min以上であれば、押出成形時や真空成形時の成形性が良好である。一方、メルトマスフローレイトが3.0g/10minを超えると真空成形時の深絞り性や成形品の機械的強度が低下する傾向にある。0.6g/10minのメルトマスフローレイトは、用いる共重合樹脂(a)、MBS樹脂(b)、共重合樹脂(c)、ゴム変性スチレン樹脂(d)のメルトマスフローレイト、並びにこれらの樹脂の混合比を調整することにより達成できる。
なお本開示で、メルトマスフローレイトは、ISO 1133に準拠して、温度200℃、荷重49Nにて測定される値である。
スチレン二量体及びスチレン三量体の残存量の合計が0.6質量%以下であれば、例えば、射出成形においては、金型へのスチレンの二量体及びスチレン三量体の付着が大幅に低減され、これらスチレン二量体及びスチレン三量体の成形品への転写が大幅に低減され、外観不良が大幅に改善され、また、シート等の押出成形においては、ダイスに析出するスチレン二量体及びスチレン三量体の量が大幅に低減され、シートへの転写が大幅に低減され、外観不良が大幅に改善され、さらに金型及びダイス出口の清掃の必要性を低減できるため生産性も向上する。
なお本開示で、スチレン二量体及びスチレン三量体の残存量は、ガスクロマトグラフィーにより測定できる。
なお本開示で、スチレン単量体の残存量はガスクロマトグラフィーにより測定できる。
本実施形態の樹脂組成物は、脂肪族第1級アルコールを含んでいてもよく、炭素数が14以上であるものが好ましく、中でも、凝固点が−10℃以下であるものが好ましい。
脂肪族第1級アルコールの配合は、前述の特許文献1又は2に記載されるようにメタクリル酸の脱水反応によるゲル化反応を抑制するために有効であり、特に共重合樹脂(a)製造時に脂肪族第1級アルコールを系中に添加することが望ましい。
炭素数が14以上であり、且つ凝固点が−10℃以下である脂肪族第1級アルコールとしては、炭素数が14以上であるイソ型の脂肪族第1級アルコールが挙げられる(後述)。
炭素数14以上の脂肪族第1級アルコールとしては、炭素数14のn−ミリスチン酸アルコール、炭素数16のn−パルミチン酸アルコール、炭素数18のn−ステアリルアルコール等が挙げられる。
更に、凝固点10℃以下となり得る炭素数が14以上であるイソ型の脂肪族第1級アルコールとしては、炭素数14のイソテトラデカノール、炭素数16のイソヘキサデカノール、炭素数18のイソオクタデカノール、炭素数20のイソエイコサノールが挙げられ、例えば、具体的には、7−メチル−2−(3−メチルブチル)−1−オクタノール、5−メチル−2−(1−メチルブチル)−1−オクタノール、5−メチル−2−(3−メチルブチル)−1−オクタノール、2−ヘキシル−1−デカノール、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−1−オクタノール、8−メチル−2−(4−メチルヘキシル)−1−デカノール、2−ヘプチル1−ウンデカノール、2−ヘプチル−4−メチル−1−デカノール、2−(1,5−ジメチルヘキシル)−(5,9−ジメチル)−1−デカノール等が挙げられ、この中でも、工業的観点から、特に炭素数18のイソオクタデカノールが好ましい。
上記添加量が0.02質量部以上となるようなアルコール添加条件では、共重合樹脂(a)製造時の脱揮工程又はシートの押出時に、ゲル化反応の抑制効果が良好である。一方、上記添加量が1.0質量部以下となるような添加条件では、ゲル化反応の抑制効果を良好に得る一方で、樹脂組成物中の脂肪族第1級アルコールの残存量が多くなりすぎず、樹脂の耐熱性の大きな低下が少なく、また、成形時にモールドデポジットが発生しにくいため好ましい。
一般的な安定剤としては、例えば、オクタデシル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール等のヒンダートフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系加工熱安定剤等を挙げることができる。これらの安定剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて適宜用いることができる。
添加時期については、特に制限はなく、例えば、樹脂の重合工程又は脱揮工程で添加したり、またシート押出機又は発泡押出機で樹脂の押出し時に添加したりすることができる。
追加の樹脂としては、例えば、一般のポリスチレン、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合樹脂、スチレン−ブタジエンのランダム共重合エラストマー、ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。
上記添加剤は、共重合樹脂(a)、MBS樹脂(b)、共重合樹脂(c)の製造時に予め添加されていてもよい。
本実施形態の押出シートは、上述した本実施形態の樹脂組成物を含むものであり、上述した本実施形態の樹脂組成物を用いて形成された押出シートであり、非発泡押出シート、発泡押出シートのいずれでもよい。
押出シートの製造方法としては、通常知られている方法を用いることができる。
また、発泡押出シートは、更に該スチレン系樹脂以外の樹脂と多層化して用いてもよい。スチレン系樹脂以外の樹脂としては、ポリプロピレン(PP)樹脂、PP/ポリスチレン(PS)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。
また、非発泡押出シートは、通常の低倍率のロール延伸のみで形成したシートとしてもよいが、特に、ロールで1.3倍〜7倍程度延伸した後、テンターで1.3〜7倍程度延伸したシートが、強度の観点から、好ましい。
非発泡押出シートは、更に該スチレン系樹脂以外の樹脂と多層化して用いてもよい。スチレン系樹脂以外の樹脂としては、PP樹脂、PP/PS系樹脂、PET樹脂、ナイロン樹脂等が挙げられる。
本実施形態の成形品は、上述した本実施形態の非発泡押出シート又は発泡押出シートを含むものであり、上述した本実施形態の非発泡押出シート又は発泡押出シートを用いて形成された成形品である。
本実施形態では、発泡押出シート又はこれを含む多層体を、例えば、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、マッチモールド成形等により成形して、トレー等の容器を作製することができる。また、本実施形態では、非発泡押出シート又はこれを含む多層体を、例えば、真空成形により成形して、弁当の蓋材又は惣菜等を入れる容器を作製することができる。
共重合樹脂(a)の樹脂組成を、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)測定機で測定したスペクトルの積分比に基づいて、定量した。また、樹脂組成物におけるスチレン単量体単位の含有量(質量%)を、かかる定量の結果から算出した。詳細な条件や手順は下記のとおりとした。
・試料調製:樹脂ペレット30mgをd6−DMSO 0.75mLに60℃で4〜6時間加熱溶解した。
・測定機器:日本電子(株)製 JNM ECA−500
・測定条件:測定温度 25℃、観測核 1H、積算回数 64回、繰り返し時間 11秒。
・スペクトルの帰属
ジメチルスルホキシド重溶媒中で測定されたスペクトルの帰属について、0.5〜1.5ppmのピークは、メタクリル酸、及び六員環酸無水物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークは、ポリマー主鎖のメチレン基の水素、12.4ppmのピークは、メタクリル酸のカルボン酸の水素である。また、6.5〜7.5ppmのピークは、スチレンの芳香族環の水素である。なお、本実施例及び比較例の樹脂では六員環酸無水物の含有量が少ないため、本測定方法では通常定量化は難しい。
樹脂及び樹脂組成物のビカット軟化温度(℃)を、ISO 306に準拠して、荷重49Nで測定した。
樹脂及び樹脂組成物の重量平均分子量を、下記の条件や手順で、測定した。
・試料調製:テトラヒドロフランに樹脂を約0.05質量%で溶解させた。
・測定条件
機器:TOSOH HLC−8220GPC(ゲルパーミエイション・クロマトグラフィー)
カラム:super HZM−H
温度:40℃
キャリア:THF 0.35mL/min
検出器:RI、UV:254nm
検量線:TOSOH製の標準PSを使用して作成。
ゴム変性スチレン系樹脂(d)のゴム粒子径(μm)の測定は、超薄切片法により透過型電子顕微鏡で写真を撮影し、写真中の粒子1000個の粒子径を測定し、次の式から求めた。
ゴム粒子径=Σni×Di4/Σni×Di3
(式中、niは、粒子径Diを有するゴム粒子の個数であり、ここで、Diは、粒子の長径と短径との平均値である。)
沈殿管にゴム変性スチレン系樹脂(d)1gを精秤し(この質量をW1とする)、トルエン20mLを加え23℃で2時間振とう後、遠心分離機((株)日立製作所製himac、CR−20(ローター:R20A2))にて、10℃以下、45100G(20000rpm)で、60分間遠心分離した。沈殿管を約45度にゆっくり傾け、上澄み液をデカンテーションして取り除いた。不溶分(これはトルエンを伴った状態である)を、相対湿度20〜60%のシリカゲルを封入したデシケータ内で5分間状態調整をした後の質量を精秤し(この質量をW2とする)、引き続き、160℃、3kPa以下の条件で1時間真空乾燥し、デシケータ内で室温まで冷却後、トルエン不溶分の質量を精秤した(この質量をW3とする)。そして、下記式により、トルエン不溶分の膨潤指数を求めた。
トルエン不溶分の膨潤指数=(W2/W3)
ゴム変性スチレン系樹脂(d)0.25gをクロロホルム50mLに溶解し、一塩化ヨウ素を加えてゴム成分中の二重結合を反応させた後、ヨウ化カリウムを加え、残存する一塩化ヨウ素をヨウ素に変え、チオ硫酸ナトリウムで逆滴定した(一塩化ヨウ素法)。この方法により、ゴム変性スチレン系樹脂(d)中に含まれるゴムの質量(この質量をW4とする)を測定し、この値とゴム変性スチレン系樹脂(d)の質量(この質量をW1とする)とから、ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム含有量(質量%)を、次式により求めた。
ゴム変性スチレン系樹脂中のゴム含有量=W1×W4/100
樹脂組成物(100質量%)中におけるスチレン二量体及びスチレン三量体の残存量(質量%)を、下記の条件や手順で、測定した。
・試料調製:樹脂組成物2.0gをメチルエチルケトン20mLに溶解後、更に標準物質(トリフェニルメタン)入りのメタノール5mLを加え溶解した。
・測定条件
機器:島津製製作所製 ガスクロマトグラフィー GC−17Apf
カラム:DB−1(100%ジメチルポリシロキサン)30m、膜厚0.1μm、0.25mmφ
カラム温度:100℃で2分保持→5℃/分で260℃まで昇温→260℃で5分保持
注入口温度:200℃
検出器温度:200℃
キャリアガス:窒素
樹脂組成物(100質量%)中におけるスチレン単量体の含有量(質量ppm)を、下記の条件や手順で、測定した。
・試料調製:樹脂組成物1.0gを標準物質(シクロペンタノール)入りジメチルホルアミド25mLに溶解させた。
・測定条件
機器:島津製製作所製ガスクロマトグラフィー GC−14Bpf
カラム:SUS 3mmφ×3m(パックドカラム)
充填剤:液相→PEG−20M 25%、担体→Chromosorb W(AW) 60〜80メッシュ
カラム温度:110℃
注入口温度:220℃
検出器温度:220℃
キャリアガス:窒素
樹脂組成物に含まれる脂肪族第1級アルコール含有量(質量部)を、下記の条件や手順で、測定した。
・試料調製:樹脂組成物0.5gをメチルエチルケトン20mLに溶解させた。
・測定条件
機器:島津製作所製ガスクロマトグラフィー GC2010
カラム:DB−WAX 30m、0.25mmφ、df=0.5μm
温度:100℃→5℃/分で130℃まで昇温→10℃/分で180℃まで昇温→180℃で12分保持→20℃/分で220℃まで昇温→220℃で20分保持
樹脂及び樹脂組成物を、射出成形機(EC60N、東芝機械(株)社製)により、シリンダー温度230℃、金型温度45℃、射出圧力80MPa、射出速度26mm/sで成形して、ISO金型タイプAの試験片を得た。
得られた試験片のランナー部を切断したものについて、メルトマスフローレイト(g/10分)を、ISO 1133に準拠して、200℃、荷重49Nにて測定した。
上記(10)において得られた試験片について、シャルピー衝撃強さ(kJ/m2)を、ISO179に準拠して、ノッチ無しで測定した。
上記(10)において得られた試験片について、曲げ強さ(MPa)を、ISO 178に準拠して、測定した。
上記(10)において得られた試験片について、曲げたわみ(mm)を、上記(12)の曲げ強さの測定時の最大のたわみ量を測定することによって、測定した。
樹脂組成物を、150×150×2.5mmの短冊型の金型を使用して、充填5.0秒で、射出成形のショートショットを行った。70ショット終了後、15分間射出成形を停止し、金型を冷却した。冷却後の金型の成形体先端部に相当する金型面を目視で観察し、金型の汚れの程度を確認した。そして、上記のとおり金型の汚れの程度を確認しながら、700ショットまで射出成形を繰り返した。成形は、金型温度20℃、樹脂温度260℃で行った。そして、以下の評価基準で金型汚れを判定した。
◎:700ショットで金型汚れなし。
○:420〜630ショットで金型汚れ発生。
なお、金型汚れの付着物の成分を前述の手順にてガスクロマトグラフィーで測定したところ、スチレン二量体及びスチレン三量体が大部分であり、樹脂に練り込んだアルコールは僅かであった。
樹脂組成物を用いて以下のように所定厚の非発泡の延伸シートを調製した。創研社製の30mmφ単軸シート押出機を用い、押出機の樹脂溶融ゾーンの設定温度:220〜230℃、Tダイ温度設定:240℃、吐出量:7kg/時にて、樹脂組成物の押出しを行い、厚み0.5mm、0.7mmのシートを作製した。更に、0.7mm厚のシートについては、東洋精機社製の二軸延伸装置 EX6−S1を用い、150℃で10分間加熱した後、シートの押出方向に5倍、シートの押出方向に直交する方向に1.5倍延伸して、約0.1mmのシートを作製した。
上記のとおり作製した0.1mm厚の非発泡の延伸シートにつき、東洋精機社製のフィルムインパクトテスター A121807502で、インパクト強度(kgf・cm)を測定した。
上記(15)に記載の方法で得られた0.1mm厚の非発泡の延伸シートを、105℃のシリコーン油のバスに30分間浸漬させたときのシート押出方向の5倍延伸の収縮率(%)を測定し、収縮率を以下の評価基準で判定した。収縮率が大きくなると、成形品の変形が大きくなるため、収縮率3%未満が実用上好ましい。
◎:収縮率3%未満
○:収縮率3%以上6%未満
×:収縮率6%以上
上記(15)に記載の方法で得られた0.1mm厚の非発泡の延伸シートから、8cm×20cmの大きさのシートを3枚切り出した。そして、シート3枚の表面において、[長径+短径]/2で表される平均径が1mm以上の異物であるゲル物の個数を数え、外観を以下の評価基準で判定した。
◎:ゲル物の個数が2個以下
○:ゲル物の個数が3〜5個
×:ゲル物の個数が6個以上
上記(15)に記載の方法で得られた0.5mm厚の非発泡の延伸シートから、5cm×10cmの大きさのシートを切り出した。そして、そのシートの上に、5cm×13cmの大きさに切り出した、厚さ40μmの延伸ポリスチレンフィルム(旭化成株式会社製、OPS(登録商標))を配置し、金型を130℃に加熱した圧縮成形機で5秒間加圧した後、40℃に温調した金型で15秒冷却し、ラミネートフィルム試験片を得た。得られたラミネートフィルム試験片に、延伸ポリスチレンフィルムを引き剥がせるだけの荷重を加えた際の破壊の様子を観察し、ラミネートフィルムでの接着性を以下の評価基準で判定した。
◎:OPSが強固に接着し、OPSが破断
○:OPSの破断が支配的だが、一部押出シートからOPSが剥離
×:OPSは破断せず、押出シートから完全に剥離
開口部の直径8cm、底面部の直径4cm、深さ10cmのコップ形状の金型を用い、上記(15)に記載の方法で得られた0.5mm厚の非発泡の延伸シートを、加熱ゾーンのヒーター温度250℃、加熱時間27秒で予熱した後に、真空成形を行い、深絞り性を以下の評価基準で判定した。
◎:金型の形状通りに成形可能
○:金型の形状通りに成形可能だが、一部白化した
×:金型形状を再現しなかった、又は真空成形時に破れた
上記(15)に記載の方法で所定厚の非発泡の延伸シートを押し出しした際に、ダイス出口の臭気を確認し、ダイス出口の臭気を以下の評価基準で判定した。なお、臭気が大きいと、食品包装容器としての使用が忌避される恐れが示唆される。
◎:臭いを殆ど感じない
○:臭いをわずかに感じた
樹脂組成物を用いて以下のように所定厚の非発泡の延伸シートを調製した。創研社製の圧縮成形機を用い、厚み0.18mmのシートを作製した。シートにオートクレーブ中で液化炭酸ガスを10mPaで30分間含浸させ、その後、117℃で適宜調整した時間加熱を行って、約10倍の発泡押出シートを作製した。
上記のとおり作製した厚さ0.4mmの発泡押出シートにつき、東洋精機社製のフィルムインパクトテスター A121807502で、インパクト強度(kgf・cm)を測定した。
[樹脂D]
スチレン71.0質量部、メタクリル酸7.5質量部、メタクリル酸メチル6.5質量部、エチルベンゼン15.0質量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.025質量部からなる重合原料組成液を、1.1リットル/時の速度で、容量が4リットルの完全混合型反応器に、次いで、2リットルの層流型反応器からなる重合装置に、次いで、未反応モノマー、重合溶媒等の揮発分を除去する単軸押出機を連結した脱揮装置に、連続的に順次供給し、樹脂を調製した。
重合工程における重合反応条件は、完全混合反応器は重合温度125℃、層流型反応器は重合温度120〜142℃とした。脱揮された未反応ガスは、−5℃の冷媒を通した凝縮器で凝縮し、未反応液として回収した。
最終重合液中のポリマー分は、重合液を215℃、2.5kPaの減圧下で30分間乾燥後、式[(乾燥後の試料質量/乾燥前の試料質量)×100%]により測定したところ、65.3質量%であった。重量平均分子量は、210,000(21.0万)であった。
得られた樹脂の組成比、特性等を表1に示す。
表1に示す樹脂の性状になるように、組成や重合温度条件等を調整し、樹脂Dと同様の方法で共重合樹脂(a)を得た。
得られた樹脂の組成比、特性等を表1に示す。
ブタジエン単量体単位からなるゴム状粒子にメタクリル酸メチル単量体単位とスチレン単量体単位と少量のアクリル酸ブチルの共重合体とがグラフトしてなるMBS樹脂(b)として、三菱レイヨン社製のメタブレンC−223A(ブタジエン単量体単位含有量:70質量%、メタクリル酸メチル単量体単位とスチレン単量体単位の合計含有量:29質量%、メタクリル酸メチル単量体/スチレン単量体の組成比=1/1、アクリル酸ブチル単量体単位:1%)を用いた。
メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位との共重合体である共重合樹脂(e)として、三菱レイヨン社製のメタブレンP−501A(重量平均分子量:700,000)、P−551A(重量平均分子量:1,500,000)、P−531A(重量平均分子量:4,500,000)を用いた。
[樹脂E]
攪拌機を備えた層流型反応器3基(1.5リットル)を直列に連結し、その後に二段ベント付き押出機を配置した重合装置を用いて、ゴム変性スチレン系樹脂を製造した。撹拌機付き原料タンクにスチレン82質量部、エチルベンゼン12質量部、ゴム成分として旭化成株式会社製ジエン(登録商標)55を6.7質量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.02質量部を投入し、撹拌機でゴム成分を溶解させた。その後、この原料溶液を反応器に0.75リットル/hrの容量で供給し、第1段の反応機の温度を110〜120℃、第2段の反応機の温度を120〜130℃、第3段の反応機の温度140〜150℃で、重合を行った。また、押出機温度は210〜240℃、真空度は3kPa、最終反応器から出た重合液中の全固形分は77.9質量%であった。ゴム粒子径は、第1段層流型反応機の撹拌機の回転数を115rpmに調整することで制御した。
得られた樹脂の組成、特性を表3に示す。
表2に示す樹脂の性状になるように、諸条件を調整し、樹脂Eと同様の方法でゴム変性スチレン系樹脂(d)を得た。
なお、表2に示すゴム粒子径を得るために、樹脂F及び樹脂Gでは第1段層流型反応機の撹拌機の回転数をそれぞれ200rpm及び250rpmに調整した。
イソ脂肪族第1級アルコールであるファインオキソコール180(凝固点:−30℃以下)(日産化学社製)を用いた。
以下の表3に示すように、共重合樹脂(a)として樹脂Aの96.5質量%に対し、MBS(b)を3質量%、共重合樹脂(c)としてメタブレンP−531A(三菱レイヨン社製)を0.5質量%の割合で混ぜ、更に、イソ脂肪族第1級アルコールとしてファインオキソコール180を、前記共重合樹脂(a)、前記MBS樹脂(b)、及び前記共重合樹脂(c)の合計質量100質量部に対して2質量部だけ添加した後、二軸押出機で押出して樹脂ペレットを作製した。
なお、以下の表3に示す樹脂組成物中のアルコール含有量(質量%)は、押出後の樹脂組成物について、ガスクロマトグラフィーで定量した値である。
以下の表3に示す組成比とした点以外は実施例1と同様に、共重合樹脂(a)、MBS(b)、共重合樹脂(c)、必要に応じてゴム変性スチレン系樹脂(d)を混ぜ、更に、イソ脂肪族第1級アルコールを添加した後、二軸押出機で押出して樹脂ペレットを作製した。評価結果を以下の表3に示す。
なお、シートの延伸温度、及び液化炭酸ガス含有シートの発泡温度は、実施例1とのビカット軟化温度の差の分だけ、増減した。
共重合樹脂(a)としての樹脂A:99.5質量%と、MBS樹脂(b):0質量%(無添加とした)と、共重合樹脂(c)としてメタブレンP−531A(三菱レイヨン社製):0.5質量%とを混ぜ、更にイソ脂肪族第1級アルコールを、前記共重合樹脂(a)、及び前記共重合樹脂(c)の合計質量100質量部に対して2質量部だけ添加した後、二軸押出機で押出して樹脂ペレットを作製した以外は実施例1と同様にし、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下の表3に示す。
比較例1では、MBS樹脂(b)を無添加としたことにより、実施例1に比較して、非発泡シートおよび発泡シートのインパクト強度が大きく低下する結果となった。
共重合樹脂(a)としての樹脂D:83質量%と、MBS(b):5質量%と、共重合樹脂(c)としてメタブレンP−531A(三菱レイヨン社製):2質量%と、ゴム変性スチレン系樹脂(d)としての樹脂Fと10質量%とを混ぜ、更に、イソ脂肪族第1級アルコールを、前記共重合樹脂(a)、前記MBS樹脂(b)、前記共重合樹脂(c)、及び前記ゴム変性スチレン系樹脂(d)の合計質量100質量部に対して2質量部だけ添加した後、二軸押出機で押出して樹脂ペレットを作製した以外は実施例1と同様にし、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下の表3に示す。
比較例2では、共重合樹脂(a)中のスチレン単量体単位の含有量を84質量%未満にしたことで、実施例1〜6に比較して、ラミネートフィルムの接着性が劣るものとなった。
共重合樹脂(a)としての樹脂C:90質量%と、MBS樹脂(b):5質量%と、共重合樹脂(c)としてメタブレンP−531A:5質量%とを混ぜ、更に、イソ脂肪族第1級アルコールとしてファインオキソコール180(凝固点:−30℃以下)(日産化学社製)を、共重合樹脂(a)、前記MBS樹脂(b)、及び前記共重合樹脂(c)の合計質量100質量部に対して2質量部だけ添加したこと以外は実施例1と同様にし、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下の表3に示す。
比較例3では、共重合樹脂(c)を5質量%用いたことにより、溶融張力が高すぎる結果となり、非発泡押出シートの成形時に厚さが均一な押出シートを安定して成形することができなかった。
共重合樹脂(a)としての樹脂C:49質量%と、MBS樹脂(b):9質量%と、共重合樹脂(c)としてメタブレンP−551A:2質量%と、ゴム変性スチレン系樹脂(d)として樹脂G:40質量%とを混ぜ、更に、イソ脂肪族第1級アルコールとしてファインオキソコール180(凝固点:−30℃以下)(日産化学社製)を、共重合樹脂(a)、前記MBS樹脂(b)、前記共重合樹脂(c)、及び前記ゴム変性スチレン系樹脂(d)の合計質量100質量部に対して2質量部だけ添加したこと以外は実施例1と同様にし、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下の表3に示す。
比較例4では、(a)成分〜(c)成分の含有量が好適範囲を外れており、また、ゴム変性スチレン系樹脂(d)として樹脂Gを40質量%を混ぜたことで、実施例1に比較して、樹脂組成物のビカット軟化温度が低下し、更には非発泡シートの耐熱性評価において収縮率が6%以上となる結果となった。
共重合樹脂(a)として樹脂B:83質量%と、MBS樹脂(b):5質量%と、共重合樹脂(c)としてメタブレンP−501A:2質量%と、ゴム変性スチレン系樹脂(d)として樹脂F:10質量%とを混ぜ、更に、イソ脂肪族第1級アルコールとしてファインオキソコール180(凝固点:−30℃以下)(日産化学社製)を、共重合樹脂(a)、前記MBS樹脂(b)、前記共重合樹脂(c)、及び前記ゴム変性スチレン系樹脂(d)の合計質量100質量部に対して2質量部だけ添加したこと以外は実施例1と同様にし、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下の表3に示す。
比較例5では共重合樹脂(c)に重量平均分子量が1,000,000未満のメタブレンP−501Aを使用した。実施例1に比較して、非発泡シートの真空成形時にシートが裂け、真空成形品が得られない結果となった。
共重合樹脂(a)としての樹脂C:85質量%と、MBS樹脂(b):5質量%と、共重合樹脂(c):0質量%(無添加とした)と、ゴム変性スチレン系樹脂(d)として樹脂Fを10質量%とを混ぜ、更に、イソ脂肪族第1級アルコールとしてファインオキソコール180(凝固点:−30℃以下)(日産化学社製)を、共重合樹脂(a)、前記MBS樹脂(b)、及び前記ゴム変性スチレン系樹脂(d)の合計質量100質量部に対して2質量部だけ添加したこと以外は実施例1と同様にし、非発泡押出物及び発泡押出物を調製した。得られたものの性状及び物性の評価結果を以下の表3に示す。
比較例6では、共重合樹脂(c)を無添加としたことにより、実施例1に比較して、非発泡シートの真空成形時にシートが裂け、真空成形品が得られない結果となった。
Claims (10)
- スチレン−メタクリル酸共重合体である共重合樹脂(a)、ブタジエン単量体単位を含むゴム状粒子にメタクリル酸メチル単量体単位とスチレン単量体単位とを主成分とする共重合体がグラフトしてなるMBS樹脂(b)、メタクリル酸メチル単量体単位とアクリル酸ブチル単量体単位との共重合体である、重量平均分子量が1,000,000以上の共重合樹脂(c)を含有する耐熱スチレン系樹脂組成物であり、
前記共重合樹脂(a)、前記MBS樹脂(b)、及び前記共重合樹脂(c)の合計質量100質量%に対して、前記共重合樹脂(a)の含有量が85〜99質量%であり、前記MBS樹脂(b)の含有量が0.9〜12質量%であり、前記共重合樹脂(c)の含有量が0.1〜3.0質量%であり、
前記共重合樹脂(a)は、スチレン単量体単位及びメタクリル酸単量体単位の合計を100質量%としたときに、スチレン単量体単位を84〜96質量%含有し、且つメタクリル酸単量体単位を4〜16質量%含有し、
ビカット軟化温度が106℃以上である
ことを特徴とする、耐熱スチレン系樹脂組成物。 - 前記耐熱スチレン系樹脂組成物に含まれるスチレン単量体単位の合計含有量が80質量%以上である、請求項1に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
- 前記耐熱スチレン系樹脂組成物の全質量100質量%に対して、スチレン二量体及びスチレン三量体の残存量の合計が0.6質量%以下であり、且つスチレン単量体の残存量が700質量ppm以下である、請求項1又は2に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
- 前記共重合樹脂(a)の重量平均分子量が100,000〜350,000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
- 前記MBS樹脂(b)中のブタジエン単量体単位含有量が50質量%以上であり、前記MBS樹脂(b)におけるメタクリル酸メチルとスチレンとの質量組成比が30/70〜70/30であり、且つ前記MBS樹脂(b)中のスチレン単量体単位含有量が3〜35質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
- ゴム変性スチレン系樹脂(d)を、前記耐熱スチレン系樹脂組成物の全質量100質量%に対して30質量%以下の量で更に含有し、前記ゴム変性スチレン系樹脂(d)がゴム粒子径0.5〜5.0μmを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
- 炭素数が14以上であり、且つ凝固点が−10℃以下である脂肪族第1級アルコールを、前記耐熱スチレン系樹脂組成物の全質量100質量部に対して0.02〜1.0質量部の量で更に含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成された押出シート。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の耐熱スチレン系樹脂組成物を用いて形成された発泡押出シート。
- 請求項8に記載の非発泡押出シート又は請求項9に記載の発泡押出シートを用いて形成された成形品。
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