JPH1154697A - 混成集積回路用基板及びその製造方法 - Google Patents

混成集積回路用基板及びその製造方法

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JPH1154697A
JPH1154697A JP9224281A JP22428197A JPH1154697A JP H1154697 A JPH1154697 A JP H1154697A JP 9224281 A JP9224281 A JP 9224281A JP 22428197 A JP22428197 A JP 22428197A JP H1154697 A JPH1154697 A JP H1154697A
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長坂  崇
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全体の小面積化を図ると共に、焼成工程の実
行に伴い基板内に発生する残留応力に起因したクラック
発生を未然に防止して信頼性の向上を実現すること。 【解決手段】 厚膜多層配線基板10のベースとなる絶
縁基板11の上面には、抵抗体ペーストの印刷及び焼成
により厚膜抵抗素子12などが形成される。絶縁基板1
1上には、無機系材料より成る厚膜絶縁体層14が印刷
及び焼成工程を経ることにより積層される。その積層時
において、厚膜絶縁体層14には厚膜抵抗素子12の両
端部分まで延びるビアホール15が貫通状に形成され
る。厚膜絶縁体層14上には、導体ペーストの印刷・焼
成によって、厚膜抵抗素子12用の端子電極12aがビ
アホール15内に充填された状態で形成されると共に、
表層導体パターン17が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焼成工程を経て形
成される多層配線基板の内層に、抵抗素子やインダクタ
素子などの受動回路素子を厚膜ペースト材料により形成
する構成の混成集積回路用基板及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】混成集積回路に用いられる配線基板上に
厚膜抵抗素子を形成する場合、従来では、図12に示す
ように、無機系材料より成る絶縁基板1上に、対をなす
抵抗素子用端子電極2a、2aを含む複数の導体パター
ン2を導体ペーストの印刷・焼成により形成した後に、
上記端子電極2a、2a間に接続された状態の厚膜抵抗
素子3を、抵抗体ペーストの印刷・焼成により形成し、
さらに、この上に保護用のオーバーコートガラス(図示
せず)を形成することが行われている。
【0003】ところが、上記のような構成では、端子電
極2a及び厚膜抵抗素子3が二次元状配置となっている
関係上、図12中に斜線帯を施した領域が厚膜抵抗素子
3にとってデッドスペースになるものであり、このため
厚膜抵抗素子3の配置に必要な面積が大きくなって、基
板全体の大面積化を来たすという問題点があった。この
ような基板全体の大面積化という問題点に対処するため
に、近年では、配線基板を多層化する基板技術が採用さ
れている。このような基板技術の一例を説明するため
に、図14(a)〜(d)には、厚膜多層配線基板の内
層に厚膜抵抗素子を形成する場合の一般的な工程例が示
されている。
【0004】即ち、まず、図14(a)に示すように、
無機系材料より成る絶縁基板4上に、対をなす抵抗素子
用端子電極5a、5aを含む複数の導体パターン5を導
体ペーストの印刷・焼成により形成する。次いで、図1
4(b)に示すように、導体パターン5の端子電極5
a、5a間に接続された状態の厚膜抵抗素子6を、抵抗
体ペーストの印刷・焼成により形成する。
【0005】この後には、図14(c)に示すように、
絶縁基板4上に例えばガラス材料より成る絶縁層7を印
刷・焼成により形成するものであり、このときには、当
該絶縁層7に対し、前記端子電極5aに臨むビアホール
7aを同時に形成する。そして、図14(d)に示すよ
うに、絶縁層7上に、ビアホール7a内に充填された状
態の端子電極8及びこれに接続された状態の導体パター
ン9を導体ペーストの印刷・焼成により形成し、以て厚
膜多層配線基板より成る混成集積回路用基板を完成させ
る。
【0006】尚、図14の例は2層構造のものを製造す
る場合を示したが、3層以上の厚膜多層配線基板を製造
する場合には、端子電極8及び導体パターン9を形成す
るための印刷・焼成工程の実行後に、同図14(b)〜
(d)の各工程を反復して行うことになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように厚膜多層
配線基板を構成する場合、絶縁層7のための焼成工程に
おいて全体が850〜900℃程度まで加熱されるのに
対して、厚膜多層配線基板の常用温度域は比較的低い
(例えば−40〜150℃)ため、厚膜抵抗素子6と絶
縁層7との間には、それらの熱膨張係数の相違に起因し
た残留応力が発生することになる。
【0008】この場合、従来構成では、要部のみを拡大
して示した図13のように、厚膜抵抗素子6が、導体パ
ターン5の端子電極5aとのオーバーラップ部分で大き
く盛り上がった形状になる関係上、その盛り上がり部分
Aに比較的大きな残留応力が集中することになり、これ
により厚膜抵抗素子6に上記盛り上がり部分Aでクラッ
クが発生する場合がある。また、絶縁層7における上記
盛り上がり部分Aと対応した部分Bにも応力が集中し、
しかも盛り上がり部分Aが比較的大きくなる関係上、上
記応力集中部分Bにおいて絶縁層7の膜厚が薄くなり、
しかも低抗体の盛り上がり形状に沿った形状となるた
め、この部位でクラックが発生することがあり、このク
ラックが厚膜抵抗素子6まで成長する場合がある。
【0009】このため、従来構成の厚膜多層配線基板で
は、上記のように厚膜抵抗素子6にクラックが発生した
場合には、その抵抗値が目標値から変動するなどして信
頼性の低下を招くという新たな問題点が出てくる。ま
た、このような問題点は、所謂グリーンシート積層法に
より多層配線基板を製造する場合においても同様に発生
するという事情がある。また、絶縁基板4上での厚膜抵
抗素子と端子電極とによる占有スペース自体は、図12
に示した構成のものと実質的に変わらないという事情も
ある。
【0010】本発明は上記のような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、全体の小面積化を図り得る
と共に、焼成工程の実行に伴い基板内に発生する残留応
力に起因したクラック発生を未然に防止して信頼性の向
上を実現できるようにした混成集積回路用基板及びその
製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載した混成集積回路用基板のように、
厚膜ペースト材料より成る受動回路素子用の端子電極
を、多層配線基板に形成したビアホールを利用して設け
る手段を採用することができる。この手段によれば、受
動回路素子とその端子電極とが三次元状に配置されるこ
とになって、端子電極を受動回路素子上からはみ出さな
い形態で形成することが可能になるから、基板全体の小
面積化を促進できるようになる。
【0012】また、受動回路素子は、多層配線基板の内
層に厚膜ペースト材料を直接的に印刷することにより形
成されるものであるから、端子電極とのオーバーラップ
に起因して大きく盛り上がった形状を呈する虞がなくな
る。このため、多層配線基板を形成するための焼成工程
が行われた後において、その多層配線基板と受動回路素
子との熱膨張係数の相違に起因した残留応力が発生する
場合でも、従来構成のように残留応力が局部に集中しに
くくなり、その残留応力に起因して受動回路素子にクラ
ックが発生する事態を未然に防止できるようになる。
【0013】上記のような効果を奏する混成集積回路用
基板を製造するに当たっては、請求項4に記載したよう
な方法を採用することができる。この製造方法によれ
ば、例えば絶縁基板上に厚膜絶縁体層を1層だけ形成し
た2層構造の混成集積回路用基板を製造する際には、絶
縁基板上にペースト状の受動回路素子材料の印刷及び焼
成により受動回路素子を形成する素子形成工程を行った
後に、ペースト状の絶縁体層材料の印刷及び焼成により
上記受動回路素子の端子相当部に臨むビアホールを備え
た形態の厚膜絶縁体層を形成する絶縁層形成工程、ビア
ホール内にペースト状の導電体材料を充填した後に焼成
することにより前記受動回路素子用の端子電極を形成す
る電極形成工程を順次行う。
【0014】また、当該製造方法において、絶縁基板上
に厚膜絶縁体層を複数層形成した3層構造以上の混成集
積回路用基板を製造する際には、絶縁基板上或いは絶縁
体層上にペースト状の受動回路素子材料の印刷及び焼成
により受動回路素子を形成する素子形成工程、ペースト
状の絶縁体層材料の印刷及び焼成により上記受動回路素
子の端子相当部に臨むビアホールを備えた形態の厚膜絶
縁体層を形成する絶縁層形成工程、ビアホール内にペー
スト状の導電体材料を充填した後に焼成することにより
前記受動回路素子用の端子電極を形成する電極形成工程
を、必要とする層数に応じた回数だけ交互に行うことに
なる。
【0015】前述したような効果を奏する混成集積回路
用基板を製造するに当たっては、請求項8に記載した方
法のように、複数枚のグリーンシートとペースト状の受
動回路素子材料及び端子電極材料とを利用することもで
きる。
【0016】また、請求項9或いは10に記載の構成に
より、図10及び図11に示される混成集積回路用基板
を得ることができる。尚、請求項1に記載の受動回路素
子の端子相当部まで延びるように形成されたビアホー
ル、及び請求項4、8に記載の受動回路素子の端子相当
部に臨むビアホールとは、例えば図1、図2、図3
(a)、図4〜図7、図9、図11に示されるビアホー
ルに相当する。即ち、これらのビアホールは、何れも多
層配送基板の内層に形成された受動回路素子上に開口し
て形成されたものを示す。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)図1ないし図3には本発明の第1実
施例が示されており、以下これについて説明する。図1
及び図2には、完成状態の混成集積回路用基板の部分縦
断面図及び部分平面図がそれぞれ示されている。これら
図1及び図2において、厚膜多層配線基板10のベース
となる絶縁基板11は、例えばアルミナ、AlN、Si
Cのような無機系の基板材料より成るもので、その上面
には、抵抗体ペースト(本発明でいう厚膜ペースト材料
に相当)の印刷及び焼成により形成された厚膜抵抗素子
12(本発明でいう受動回路素子に相当)と、導体ペー
ストの印刷及び焼成により形成された複数の内層導体パ
ターン13とが設けられている。
【0018】絶縁基板11上には、無機系材料(ガラス
系、セラミック系、或いはガラスセラミック系の材料な
ど)より成る厚膜絶縁体層14が印刷及び焼成工程を経
ることにより積層されており、これにより、前記厚膜抵
抗素子12は、厚膜多層配線基板10の内層に配置され
た状態となる。この場合、上記厚膜絶縁体層14には、
前記厚膜抵抗素子12の両端部分(端子相当部)及び前
記内層導体パターン13まで延びる複数のビアホール1
5が貫通状に形成されている。
【0019】また、厚膜絶縁体層14上には、導体ペー
ストの印刷・焼成によって、厚膜抵抗素子12用の端子
電極12a及び内層導体パターン13用の端子電極13
aがビアホール15内に充填された状態で形成されると
共に、表層導体パターン17が形成されている。この表
層導体パターン17には、必要に応じて銅、ニッケル、
金メッキなどが施される。
【0020】尚、図示しないが、上記のような構成とさ
れた厚膜多層配線基板10上には、ICチップやチップ
部品が実装されるものであり、必要に応じて保護用のオ
ーバーコートガラスが施される。
【0021】図3(a)〜(f)には、上記厚膜多層配
線基板10の製造工程例が摸式的に示されており、以下
これについて説明する。即ち、まず、図3(a)に示す
ように、前記絶縁基板11上に、前記厚膜抵抗素子12
のための抵抗体ペースト並びに前記内層導体パターン1
3のための導体ペーストを順次印刷した後に焼成すると
いう素子形成工程を行うことにより、厚膜抵抗素子12
及び内層導体パターン13を形成する。尚、この例で
は、上記抵抗体ペースト及び導体ペーストの焼成を同時
に行うことによって工程の簡素化を図るようにしたが、
それらの焼成工程を別途に行う構成としても良い。
【0022】次いで、図3(b)に示すように、ペース
ト状の絶縁体層材料(例えばガラス材料)を、絶縁基板
11上に、前記厚膜抵抗素子12の両端部分(端子相当
部)及び前記内層導体パターン13に臨む複数のビアホ
ール15aを貫通状に備えた形態で印刷した後に焼成す
るという第1の絶縁層形成工程を行うことにより、前記
厚膜絶縁体層14の下層部分14′を形成する。
【0023】この後には、図3(c)に示すように、導
電ペーストをビアホール15a内に充填するための印刷
処理を行った後に焼成するという第1の電極形成工程を
行うことにより、前記端子電極12a、13aの下層部
分12a′、13a′を形成する。
【0024】ここで、上記第1の絶縁層形成工程の実行
後、或いは上記第1の電極形成工程の実行後には、厚膜
抵抗素子12の抵抗値を調整するためのトリミング工程
を行うものであり、図3(d)には、第1の電極形成工
程の実行後に行うトリミング工程の例が示されている。
このトリミング工程では、厚膜抵抗素子12の抵抗値
を、対をなす端子電極12aの下層部分12a′に触針
させた一対のプローブ16により測定しながら、当該厚
膜抵抗素子12を例えばレーザトリミングするものであ
る。尚、このトリミング工程では、厚膜絶縁体層14の
下層部分14′も一部切除されることになる。また、厚
膜抵抗素子12のトリミング方法としては、レーザトリ
ミングに限らず、サンドブラストトリミングやパルスト
リミングを採用しても良く、特にパルストリミングを採
用した場合には、厚膜抵抗素子12上に絶縁層を1層以
上形成した状態でもトリミング可能になる利点がある。
【0025】上記トリミング工程が終了した後には、図
3(e)に示すように、厚膜絶縁体層14の下層部分1
4′上に、ペースト状の絶縁体層材料を、前記ビアホー
ル15aに臨む複数のビアホール15bを貫通状に備え
た形態で印刷した後に焼成するという第2の絶縁層形成
工程を行うことにより、厚膜絶縁体層14の上層部分1
4″を形成する。
【0026】尚、上述のように厚膜絶縁体層14の形成
工程を2回(第1及び第2の絶縁層形成工程)に分けて
行うのは、ペースト状の絶縁体層材料の印刷時に気泡な
どの欠陥が発生して絶縁信頼性が低下する事態に対処す
るためであり、従って、厚膜絶縁体層14の絶縁信頼性
を高めるために、その形成工程をさらに多数回に分けて
行う構成とすることもできる。
【0027】この後には、図3(f)に示すように、前
記表層導体パターン17のための導体ペーストを印刷す
ると同時に導電ペーストをビアホール15b内に充填す
る印刷処理を行った後に焼成するという第2の電極形成
工程を行うことにより、前記端子電極12a、13aの
上層層部分12a″、13a″を形成し、以て図1に示
すような厚膜多層配線基板10を完成させる。
【0028】尚、本実施例では、上記した各工程での焼
成動作を所謂エア焼成により行うようにしており、これ
に伴い導電体ペーストとして貴金属系(Ag、Ag/P
d系など)の材料を使用すると共に、低抗体ペーストと
してルテニウム系の材料を使用する構成としている。
【0029】上記した本実施例によれば、抵抗体ペース
トを印刷及び焼成して形成される厚膜抵抗素子12用の
端子電極12aを、厚膜多層配線基板10に形成したビ
アホール15に導体ペーストを充填した状態で印刷・焼
成することにより形成する構成としている。この結果、
厚膜抵抗素子12とその端子電極12aとが三次元状に
配置されることになって、図2に示すように端子電極1
2aを厚膜抵抗素子12上からはみ出さない形態で形成
できるようになるから、図12に示した従来構成に比べ
て基板全体の小面積化を促進できるようになる。
【0030】また、厚膜抵抗素子12は、多層配線基板
10の内層である絶縁基板11の上面に抵抗体ペースト
を直接的に印刷することにより形成されるものであるか
ら、図13に示した従来構成のように、当該厚膜抵抗素
子12が端子電極12aとのオーバーラップに起因して
大きく盛り上がった形状を呈する虞がなくなる。
【0031】このため、多層配線基板10を形成するた
めの焼成工程、特には厚膜絶縁層14のための第1及び
第2の絶縁層形成工程における焼成工程が行われた後に
おいて、その厚膜絶縁層14と厚膜抵抗素子12との熱
膨張係数の相違に起因した残留応力が発生する場合で
も、従来構成のように残留応力が集中しにくくなり、そ
の残留応力に起因して厚膜抵抗素子12にクラックが発
生する事態を未然に防止できるようになる。
【0032】さらに、上記実施例では、第1の絶縁層形
成工程(図3(b)参照)において厚膜絶縁体層14の
下層部分14′を形成し、且つ第1の電極形成工程(図
3(c)参照)において端子電極12aの下層部分12
a′を形成した段階、つまり厚膜絶縁体層14の厚さ寸
法が比較的小さい段階で、厚膜抵抗素子12のトリミン
グ工程(図3(d)参照)を行うようにしている関係
上、そのトリミング工程を容易に行うことができる利点
がある。
【0033】尚、厚膜絶縁体層14の下層部分14′を
形成した後に厚膜抵抗素子12のトリミング工程を行う
のは、厚膜絶縁体層14を焼成により形成する際に、そ
の絶縁体層材料の成分が厚膜抵抗素子12中に侵入、或
いは相互反応して抵抗値を増大させるという現象に対処
するためである。
【0034】つまり、一般的に、厚膜抵抗体上に厚膜絶
縁体層を複数回に渡って形成する場合における抵抗値変
動は、その厚膜抵抗体と直接的に接する第1層目の絶縁
体層の形成時に大きくなるが、第2層目の絶縁層の形成
以降は極めて小さくなるという事情がある。従って、上
記のように、厚膜絶縁体層14の下層部分14′を形成
した後に厚膜抵抗素子12のトリミング工程を行う構成
であれば、当該厚膜抵抗素子12の抵抗値が初期設定値
から大きく変動する事態を確実に防止できるようにな
り、しかも、このように、厚膜絶縁体層14が比較的薄
い段階でトリミングを行うことは、その容易性を考慮し
た場合に非常に望ましいものとなる。
【0035】また、第1の絶縁層形成工程(図3(b)
参照)において厚膜絶縁体層14の下層部分14′を形
成した段階で上記トリミング工程を行う構成としても良
く、この場合には、抵抗値測定用の一対のプローブ16
を厚膜抵抗素子12の両端部分(端子相当部)に直接的
に触針させることになる。
【0036】(第2の実施の形態)図4及び図5には本
発明の第2実施例が示されており、以下これについて前
記第1実施例と異なる部分のみ説明する。即ち、この実
施例では、絶縁基板11上に、スパイラル形状の厚膜抵
抗素子18を抵抗体ペーストの印刷及び焼成により形成
した点に特徴を有する。この場合、厚膜絶縁体層14に
は、厚膜抵抗素子18の両端部分(端子相当部)まで延
びる一対のビアホール19が貫通状に形成される。ま
た、厚膜絶縁体層14上には、導体ペーストの印刷・焼
成によって、厚膜抵抗素子18用の端子電極18aがビ
アホール19内に充填された状態で形成されると共に、
表層導体パターン20が形成されている。
【0037】このような構成の本実施例によれば、厚膜
抵抗素子18の耐サージ性の向上を実現できることにな
る。つまり、一般的に抵抗体に印加される電界強度E
は、その抵抗体長をl、印加電圧をVとした場合、E=
V/lで得られるものであり、従って、本実施例のよう
に厚膜抵抗素子18の抵抗体長を大きくすれば耐サージ
性が向上するようになる。また、大きな抵抗値を必要と
する場合にも比較的小さい占有面積で済むようになる。
【0038】(第3の実施の形態)図6には本発明の第
3実施例が示されており、以下これについて前記第1実
施例と異なる部分のみ説明する。即ち、この第3実施例
は、絶縁基板11上に2層の厚膜絶縁体層21及び22
を積層した構造の厚膜多層配線基板10′を用いたこと
に特徴を有する。具体的には、図6の例では、絶縁基板
11の上面に、導体ペーストの印刷及び焼成により形成
された複数の内層導体パターン23を設けており(厚膜
抵抗素子を形成することも可能)、この絶縁基板11上
には、無機系材料より成る厚膜絶縁体層21が印刷及び
焼成工程を経ることにより積層されている。
【0039】上記厚膜絶縁体層21には、前記内層導体
パターン23まで延びる複数のビアホール24が貫通状
に形成されており、この厚膜絶縁体層21上には、抵抗
体ペーストの印刷・焼成によって厚膜抵抗素子12が形
成される。さらに、厚膜絶縁体層22には、導体ペース
トの印刷・焼成によって、内層導体パターン23用の端
子電極23aがビアホール24内に充填された状態で形
成されると共に、内層導体パターン25が形成されてい
る。
【0040】上記厚膜絶縁層21上には、これと同じ無
機系材料より成る厚膜絶縁体層22が印刷及び焼成工程
を経ることにより積層されており、これにより、前記厚
膜抵抗素子12は、厚膜多層配線基板10′の内層に配
置された状態となる。この場合、上記厚膜絶縁体層22
には、前記厚膜抵抗素子12の両端部分(端子相当部)
まで延びる複数のビアホール26が貫通状に形成されて
いる。
【0041】また、厚膜絶縁体層22上には、導体ペー
ストの印刷・焼成によって、厚膜抵抗素子12用の端子
電極12aがビアホール26内に充填された状態で形成
されると共に、表層導体パターン27が形成されてい
る。
【0042】尚、厚膜絶縁体層21及び22の各形成工
程は、前記第1実施例と同様に2回以上に分けて行うこ
とが望ましい。
【0043】(第4の実施の形態)図7には本発明の第
4実施例が示されており、以下これについて前記第1実
施例と異なる部分のみ説明する。この第4実施例では、
周知のグリーンシートを利用して多層配線基板を形成し
た点に特徴を有するもので、図7には摸式的な断面構造
が示されている。具体的には、多層配線基板28は、例
えば3層の絶縁体層29a〜29cを積層した構成とな
っており、最下層の絶縁体層29aの上面には、厚膜抵
抗素子30(受動回路素子に相当)及び内層導体パター
ン31が設けられる。
【0044】中間層の絶縁体層29bには、前記厚膜抵
抗素子30の両端部分(端子相当部)及び前記内層導体
パターン31まで延びる複数のビアホール32が貫通状
に形成されていると共に、このビアホール32を埋める
ようにして厚膜抵抗素子30用の端子電極30a及び内
層導体パターン31用の端子電極31aが形成されてい
る。また、当該絶縁体層29bの上面には、上記端子電
極30a及び31aに接続されたものを含む内層導体パ
ターン33が形成されている。
【0045】最上層の絶縁体層29cには、前記内層導
体パターン33まで延びる複数のビアホール34が貫通
状に形成されていると共に、このビアホール34を埋め
るようにして導体フィル34aが形成されている。ま
た、当該絶縁体層29cの上面には、上記導体フィル3
4aに接続されたものを含む表層導体パターン35が形
成されている。
【0046】上記のような多層配線基板28は、以下に
述べるような各工程を経ることにより製造できる。即
ち、絶縁体層29aの材料となるグリーンシートに対し
て、厚膜抵抗素子30の材料となる抵抗体ペースト、内
層導体パターン31の材料となる導体ペーストを印刷す
る印刷工程を行う。また、絶縁体層29b及び29cの
材料となる各グリーンシートに対して、ビアホール32
及び34を形成する穿孔工程と、端子電極31a、導体
フィル34a、内層導体パターン33及び表層導体パタ
ーン34の材料となる導体ペーストを印刷する印刷工程
を行う。この後には、上記3枚のグリーンシートを積層
してホットプレスし、この状態から多層配線基板28に
対応した形状に切断した後に焼成する工程を行うことに
より、当該多層配線基板28を完成させる。尚、表層導
体パターン35には必要に応じて銅、ニッケル、金メッ
キなどを施す。
【0047】(その他の実施の形態)例えば第1実施例
の構成において、図8のような抵抗R1及びR2を直列
に接続した抵抗パターンを形成する場合には、図9に示
すように、抵抗R1及びR2のための厚膜抵抗素子36
(受動回路素子)の両端に端子電極36a、36aを設
けると共に、当該厚膜抵抗素子36を抵抗R1及びR2
の抵抗値で案分する位置に端子電極36bを設ける構成
とすれば良い。
【0048】また、例えば第1実施例の構成において、
図10のような抵抗R3、R4、R5をスター接続した
抵抗パターンを形成する場合には、図11に示すよう
に、抵抗R3及びR4のための厚膜抵抗素子37(受動
回路素子)の両端に端子電極37a、37aを設ける一
方で、当該厚膜抵抗素子37を抵抗R3及びR4の抵抗
値で案分する位置にビアホールを形成し、このビアホー
ル内に抵抗R5のための抵抗体37bを埋め込みむ構成
とすれば良い。
【0049】この場合、端子電極36bの材料や抵抗体
37bの材料はペースト状態のもので、ビアホール内に
印刷して充填された後に焼成して形成されることにな
る。また、図9に示される端子電極36bを設ける構成
や図11に示される抵抗体37bを設ける構成は、例え
ば第4実施例に示されるグリーンシート積層基板にも適
用可能である。この場合には、端子電極36bの材料や
抵抗体37bの材料はペースト状態のもので、ビアホー
ル内に印刷して充填された後に全てのグリーンシートが
積層されてから一括焼成されることになる。
【0050】また、上記各実施例では、多層配線基板の
内層に配置する受動回路素子として厚膜抵抗素子を例に
挙げたが、これに限らず、厚膜ペースト材料より成るイ
ンダクタ素子やコンデンサ素子を対象とすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す部分縦断面図
【図2】部分平面図
【図3】製造工程を摸式的に示す縦断面図
【図4】本発明の第2実施例を示す要部の縦断面図
【図5】同要部の平面図
【図6】本発明の第3実施例を示す部分縦断面図
【図7】本発明の第4実施例を示す部分縦断面図
【図8】第1実施例の変形例を示す回路構成図
【図9】同変形例の回路構成を実現するための構造を示
す部分断面図
【図10】第1実施例の他の変形例を示す回路構成図
【図11】同変形例の回路構成を実現するための構造を
示す部分断面図
【図12】従来例を説明するための要部の平面図
【図13】同縦断面図
【図14】従来の製造工程を摸式的に示す断面図
【符号の説明】
10、10′は厚膜多層配線基板、11は絶縁基板、1
2は厚膜抵抗素子(受動回路素子)、12aは端子電
極、14は厚膜絶縁体層、15、15a、15bはビア
ホール、16はプローブ、18は厚膜抵抗素子、18a
は端子電極、19はビアホール、21、22は厚膜絶縁
体層、24、26はビアホール、28は多層配線基板、
29a〜29cは絶縁体層、30は厚膜抵抗素子(受動
回路素子)、30aは端子電極、32、34はビアホー
ル、36は厚膜抵抗素子(受動回路素子)、36a、3
6bは端子電極、37は厚膜抵抗素子(受動回路素
子)、37aは端子電極、37bは抵抗体を示す。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼成工程を経て形成される多層配線基板
    の内層に厚膜ペースト材料より成る受動回路素子を配置
    する構成の混成集積回路用基板において、 前記多層配線基板に前記受動回路素子の端子相当部まで
    延びるように形成されたビアホールと、 このビアホール内に導電体を充填することにより形成さ
    れた受動回路素子用の端子電極とを備えたことを特徴と
    する混成集積回路用基板。
  2. 【請求項2】 前記多層配線基板は、絶縁基板上に厚膜
    絶縁体層を焼成工程により積層して構成され、前記ビア
    ホールは前記厚膜絶縁体層を貫通した状態で形成された
    ものであることを特徴とする請求項1記載の混成集積回
    路用基板。
  3. 【請求項3】 前記多層配線基板は、複数枚のグリーン
    シートを積層した状態で焼成することにより構成され、
    前記ビアホールは、前記グリーンシートに当該グリーン
    シートを貫通した状態で予め形成されたものであること
    を特徴とする請求項1記載の混成集積回路用基板。
  4. 【請求項4】 絶縁基板上に厚膜絶縁体層を焼成工程に
    より積層して成る多層配線基板より構成される混成集積
    回路用基板の製造方法において、 前記絶縁基板上または厚膜絶縁体層上にペースト状の受
    動回路素子材料を印刷した後に焼成することにより受動
    回路素子を形成する素子形成工程と、 ペースト状の絶縁体層材料を前記受動回路素子の端子相
    当部に臨むビアホールを備えた形態で印刷した後に焼成
    することにより前記厚膜絶縁体層を形成する絶縁層形成
    工程と、 前記ビアホール内にペースト状の導電体材料を充填した
    後に焼成することにより前記受動回路素子用の端子電極
    を形成する電極形成工程とを含んで成る混成集積回路用
    基板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記受動回路素子が抵抗素子である場合
    には、前記絶縁層形成工程により上記抵抗素子を覆う厚
    膜絶縁体層を形成した後に、その抵抗素子の抵抗値をプ
    ローブにより測定しながら当該抵抗素子をトリミングす
    るトリミング工程を行うことを特徴とする請求項4記載
    の混成集積回路用基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記絶縁層形成工程では、ペースト状の
    絶縁体層材料の印刷及び焼成を2回以上行うことにより
    1層分の厚膜絶縁体層を形成するように構成され、 前記トリミング工程を1回目の絶縁体層材料の印刷及び
    焼成が終了した時点で行うことを特徴とする請求項5記
    載の混成集積回路用基板の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記受動回路素子が抵抗素子である場合
    には、前記電極形成工程の実行後に、前記抵抗素子の両
    端抵抗を前記端子電極を通じて測定しながら当該抵抗素
    子をトリミングするトリミング工程を行うことを特徴と
    する請求項4記載の混成集積回路用基板の製造方法。
  8. 【請求項8】 複数の絶縁体層を焼成工程により形成し
    て成る多層配線基板より構成される混成集積回路用基板
    の製造方法において、 前記絶縁体層の材料となるグリーンシートにペースト状
    の受動回路素子材料を印刷する印刷工程と、 前記グリーンシートに前記受動回路素子の端子相当部位
    に臨むビアホールを形成する穿孔工程と、 前記ビアホール内にペースト状の端子電極材料を充填す
    る充填工程と、 複数枚のグリーンシートを積層した状態で焼成する焼成
    工程とを行うことを特徴とする混成集積回路用基板の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 前記ビアホール内に適宜抵抗体を設けた
    ことを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の混
    成集積回路用基板。
  10. 【請求項10】 前記ビアホール内にペースト上の抵抗
    体材料を充填する充填工程を含むことを特徴とする請求
    項4ないし8の何れかに記載の混成集積回路用基板の製
    造方法。
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