JPH11512778A - 光架橋ヒアルロン酸ゲルおよびその製造法 - Google Patents

光架橋ヒアルロン酸ゲルおよびその製造法

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Abstract

(57)【要約】 周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜300Pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜0.8であり、ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させて得られるハイドロゲルである光架橋ヒアルロン酸ゲル、およびその製造方法と医用材料用途。

Description

【発明の詳細な説明】 光架橋ヒアルロン酸ゲルおよびその製造法 技術分野 本発明は、特定の物性のハイドロゲルである、生体適合性の、光架橋ヒアルロ ン酸ゲル、その製造法及びその医用材料としての用途に関するものである。 背景技術 ヒアルロン酸は動物組織中に存在し、生体適合性及び生体内分解性を有し、物 性的には、非常に吸水性に優れ、その水溶液の粘性も高い。 ヒアルロン酸を化学修飾し、何らかの方法で架橋させて網目構造を形成させ、 これに水等の水性媒体を含有させるとハイドロゲルになる。該ハイドロゲルは、 粘性の他に、粘弾性を帯びる。 この架橋されたヒアルロン酸は、結合様式にかかわらず見かけ上巨大分子を形 成し、これら架橋の度合いを調整することで該架橋ヒアルロン酸の生体内分解性 をコントロールできる。 架橋形式には種々のものがある。例えば、疎水結合やイオン結合を利用した架 橋形式として、ヒアルロン酸に求核試薬を導入することによる架橋(特表平3− 502704(USP4,937,270に対応))やヒアルロン酸のエステル 化による疎水結合での架橋(USP4,851,521)、あるいは多価イオン によるイオン結合での架橋(EP0507604A2)が知られている。これら は、共有結合に比べ弱い結合力で架橋しているため、pH、イオン強度、温度等 の外的変化の影響を受け易く、又、医用材料として使用する際の生体内での残留 性は短く、ヒアルロン酸の生体に対する生理学的効果を維持できる様に適度に残 留性をコントロールすることはむずかしい。 また、ヒアルロン酸分子間を共有結合で結ぶ架橋形式として、ジビニルスルホ ンによる架橋(特公平4−30961(USP4,582,865に対応))、 エポキシドによる架橋(特表昭61−502729(USP4,886,787 に対応)、特開平5−140201)などがあるが、これらの架橋に使われてい る架橋剤あるいは架橋化合物が有毒なだけでなく、ジビニルスルホン、エポキシ ド等がヒアルロン酸に導入されると同時に架橋して三次元網目構造が構成され、 生成した架橋ヒアルロン酸ゲルは水等の溶媒に対して不溶化するため、この網目 構造の中に取り込まれた未反応の低分子化合物の分離除去は困難であった。 一方、紫外線照射による光架橋反応でのヒアルロン酸の架橋(特開平6−73 102(USP5,462,976に対応)、ASAIO Journal,38,M154-M157(199 2))も知られている。この架橋形式によれば、光反応性架橋基を導入した光反応 性ヒアルロン酸誘導体は光架橋前には水に可溶性であり、この時点ではまだ三次 元網目構造は構成されていないので未反応低分子化合物の除去を容易に行なえる こと、光反応自体がクリーンな反応で未反応の低分子化合物が生じずに光架橋ヒ アルロン酸誘導体を得ることができること、形成された架橋構造は共有結合のた め、架橋度をコントロールすることにより光架橋ヒアルロン酸誘導体の残留性の 制御も容易であること、などの長所がある。 また、上記のような光架橋ヒアルロン酸誘導体を医用材料、例えば癒着防止材 として用いる際に、従来は膜状のものが検討されてきたが(ASAIO Journal,38,M 154-M157(1992))、これでは生体組織または臓器の細部の癒着を防止することは 困難であり、それら細部へ注入可能な光架橋ヒアルロン酸ゲルが望まれていた。 しかしながら、本発明で開示するような光架橋ヒアルロン酸のハイドロゲルお よびその製法は知られていなかった。 従来の方法で得られた架橋ヒアルロン酸のハイドロゲルは、未反応低分子化合 物等の不純物の除去が困難であり、またハイドロゲルの物性のコントロールも困 難であった。さらに望まれる物性のハイドロゲルを製造するための製造条件等の 設定も困難であった。 発明の開示 本発明の第1の目的は、光反応性架橋基を導入した光反応性ヒアルロン酸誘導 体の該光反応性架橋基同士が紫外線照射により二量体化してシクロブタン環を形 成して網目構造となることにより得られる、水性媒体を含む光架橋ヒアルロン酸 ゲル及び上記したゲルを容易に製造する方法を提供することである。 本発明の第2の目的は安全性、生体適合性に優れかつ生体内分解性を有する、 光架橋ヒアルロン酸ゲルからなる注入可能な医用材料を提供することである。 本発明者らは鋭意研究の結果、上記課題を以下の構成によって達成することに 成功した。 1)周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G’)が50〜 1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜300Pa、および損失正接(G” /G’)が0.1〜0.8であり、ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化 学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性架橋 基同士を架橋させて得られるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアル ロン酸ゲル、 2)架橋点が、ヒアルロン酸の構成2糖単位1モル当たり0.01〜0.5% であり、ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒ アルロン酸誘導体に紫外線を照射して得られるハイドロゲルであることを特徴と する光架橋ヒアルロン酸ゲル、 3)光反応性架橋基がスペーサーを含むケイ皮酸誘導体をヒアルロン酸の官能 基に化学的に結合して前記光反応性ヒアルロン酸誘導体とされており;該光反応 性ヒアルロン酸誘導体の該光反応性架橋基同士は紫外線照射により二量体化して シクロブタン環を形成して網目構造を形成しており;前記ゲルは、網目構造に水 性媒体を含むハイドロゲルであることを特徴とする上記1)または2)に記載の 光架橋ヒアルロン酸ゲル、 4)スペーサーが、アミノアルコール、アミノ酸またはペプチドに由来する基 である上記3)記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル 5)光反応性架橋基が、下記一般式(1)または(2)で表されることを特徴 とする上記3)または4)に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 −NH(CR12nOCOCH=CH−Ph (1) (式中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基、Phは フェニル基、nは2〜18の整数を表す。) −A−NH−Ph−CH=CHCOOR3 (2) (式中、R3は低級アルキル基またはアラルキル基、Aは−(NHCR45CO )m−または−NH(CR45hCO−を表し、該R4およびR5はそれぞれ独立 に水素原子または低級アルキル基を表す。−Ph−はパラフェニレン基、mは1 〜6の整数を、hは1〜18の整数を表す。) 6)光反応性架橋基がヒアルロン酸の構成2糖単位1モル当たり0.05〜1 0%導入されていることを特徴とする上記1)〜5)のいずれか1項に記載の光 架橋ヒアルロン酸ゲル、 7)周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G’)が50〜 1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜300Pa、および損失正接(G” /G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化 学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性架橋 基同士を架橋させ、該架橋生成物を加熱処理して得られるハイドロゲルであるこ とを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル、 8)周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G’)が50〜 1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜300Pa、および損失正接(G” /G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化 学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体を加熱処理した後に、該熱処理光反 応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させて 得られるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル、 9)周波数10Hzにおける貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失 弾性率(G”)が10〜300Pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜 0.8であり;ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反 応性ヒアルロン酸誘導体を加熱処理した後に、該熱処理光反応性ヒアルロン酸誘 導体に紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させ、さらに該架橋生成物 を再度加熱処理して得られるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアル ロン酸ゲル、 10)ゲルのエンドトキシン含量が0.25エンドトキシンユニット(EU)/g以 下である上記1)〜9)のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル、 11)ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒ アルロン酸誘導体を0.5〜10重量%含む水性媒体溶液に紫外線を照射して; 該光反応性架橋基同士の二量体化により分子間および/または分子内に架橋を形 成させて、網目構造とすることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方法 、 12)光反応性ヒアルロン酸誘導体の水性媒体溶液に紫外線を照射する前およ び/または後に加熱処理する上記11)記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方 法、 13)加熱処理が高圧蒸気により100〜125℃で5〜30分熱処理するこ とを特徴とする上記12)記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方法。 14)上記1)〜10)のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルから なる医用材料、 15)癒着防止効果を有することを特徴とする上記14)記載の医用材料、 16)架橋ヒアルロン酸ゲルと、該ゲルが取り出し可能な状態で入った容器よ り構成される医用材料キット、 17)該容器が該ゲルを注入のために押し出し注出可能な容器である上記16 )記載の医用材料キット、 18)上記1)〜10)のいずれか1項に記載の架橋ヒアルロン酸ゲルと、該 ゲルが取り出し可能な状態で入った容器より構成される医用材料キット、 19)該容器が該ゲルを注入のために押し出し注出可能な容器である上記18 )記載の医用材料キット。 図面の簡単な説明 図1は光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液における光架橋の概念図を示す。 図2は光架橋ヒアルロン酸ゲルのDS(Degree of Substitution)と吸水率と の関係を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において使われる用語「光架橋ヒアルロン酸誘導体」とは、光反応性架 橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反 応性架橋基同士を二量体化し、該ヒアルロン酸誘導体を架橋させて得られ、網目 構造となった誘導体、を含む概念である。また、本発明において使われる用語「 光架橋ヒアルロン酸ゲル」は、光架橋ヒアルロン酸の網目構造(三次元網目構造 )に、水、緩衝液、生理的食塩水、緩衝化生理的食塩水、水溶性有機溶媒を含む 水溶液等の水性媒体を分散媒として含むハイドロゲルを包含する概念である(以 下、単に「本発明のゲル」ともいう)。本発明において使われる用語「ヒアルロ ン酸の官能基」とは、光反応性架橋基を化学的に結合可能な、ヒアルロン酸に存 在する官能基を含むものである。該官能基の代表例は、カルボキシル基と水酸基 である。本発明において使われる用語「低級アルキル」または「低級アルコキシ ル」とは、1〜8の炭素原子、より好ましくは1〜4の炭素原子を持つアルキル 基またはアルコキシル基を含むものである。 本発明のゲルは、第一にその物性を粘弾性の観点から特定したものであり、第 二にさらに架橋構造を架橋点という観点から特定したものである。 本発明における光反応性ヒアルロン酸誘導体の光反応性架橋基としては、ケイ 皮酸又はその置換体(例、ケイ皮酸のベンゼン環の任意の位置の1または2個の 水素が低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル 、t-ブチル等)、低級アルコキシル基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、 イソプロポキシ、ブトキシ等)、アミノ基、水酸基等で置換されたケイ皮酸誘導 体等)、カルボキシ−低級アルキルチミン(例、1−(2−カルボキシエチル) チミン等)、カルボキシ−低級アルキル基置換クマリン(例、7−クマリロキシ 酢酸等)等から誘導される基であって、紫外線照射により二量化し、シクロブタ ン環を形成できるビニレン基を有したものであれば制限はなく、中でも特にケイ 皮酸又はその誘導体から誘導される基が導入されている光反応性架橋基が好まし い。又、光反応性架橋基としては、ケイ皮酸等の光反応性化合物にスペーサーが 結合した化合物由来の基を用いることも好ましい。スペーサーとしてはケイ皮酸 等の光反応性化合物の官能基とヒアルロン酸の官能基の両方と結合できる二つ以 上の官能基を有するものが好ましい。具体的には、アミノ酸又はその誘導体、ペ プチド、アミノアルコール等が好ましく、中でもアミノアルコールが最も望まし い。光反応性架橋基がヒアルロン酸の構成糖であるN−アセチル−D−グルコサ ミンおよびD−グルクロン酸の、どの官能基に導入されていてもよいが、特にD −グルクロン酸のカルボキシル基に該光反応性架橋基が導入されていることが好 ましい。 例えば、光反応性架橋基としてケイ皮酸を、スペーサーとしてアミノアルコー ルを用いた場合、ケイ皮酸のカルボキシル基がアミノアルコールの水酸基にエス テル結合で化学的に結ばれており、該アミノアルコールのアミノ基がヒアルロン 酸のカルボキシル基にアミド結合で化学的に結ばれている様な構造の光反応性ヒ アルロン酸誘導体が好ましく、また、光反応性架橋基としてアミノケイ皮酸を、 スペーサーとしてアミノ酸もしくはペプチドを用いた場合、該スペーサーのカル ボキシル基がアミノケイ皮酸のアミノ基にアミド結合で化学的に結ばれており、 該アミノ酸もしくはペプチドのアミノ基がヒアルロン酸のカルボキシル基にアミ ド結合で化学的に結ばれている様な構造の光反応性ヒアルロン酸が好ましい。 スペーサーが結合されている光反応性架橋基の最も好ましい態様としては、具 体的には下記一般式(1)または(2)で表される光反応性架橋基等が挙げられ る。 −NH(CR12nOCOCH=CH−Ph (1) 式(1)中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基( 好ましくは、1〜4炭素原子)を表す。Phはフェニル基を示す。ここで、フェ ニル基とはC65−で表される基だけでなく、ベンゼン環の任意の1または2個 の水素原子が、1〜4炭素原子の低級アルキル基もしくはアルコキシル基、アミ ノ基または水酸基等の置換基で置換されたものも包含する。nは2〜18、好ま しくは、2〜12の整数を表す。 式(1)の該光反応性架橋基は、例えばヒアルロン酸のカルボキシル基とアミ ド結合で化学的に結合して光反応性ヒアルロン酸誘導体を形成する。 −A−NH−Ph−CH=CHCOOR3 (2) 式(2)中、R3は低級アルキル基、好ましくは、1〜4炭素原子のアルキル 基(例えば、メチル、エチル等)、または7〜20炭素原子のアラルキル基、好 ましくはベンジルまたはフェネチルを表す。Aは−(NHCR45CO)m−ま たは−NH(CR45hCO−を表す。該R4およびR5はそれぞれ独立に水素 原子または低級アルキル基(好ましくは、1〜4炭素原子)を表す。−Ph−は パラフェニレン基を示す。ここでパラフェニレン基とは、−C64−で表される 基だけでなく、ベンゼン環のオルト位あるいはメタ位の水素原子が、1〜4炭素 原子の低級アルキル基もしくはアルコキシル基、アミノ基または水酸基等の置換 基で置換されたものも包含する。mは1〜6、好ましくは、1〜3の整数を、h は1〜18、好ましくは1〜12の整数を表す。 本発明に使用されるヒアルロン酸としては、特に制限はないが通常、重量平均 分子量1〜500万のものが出発物質として使用され、使用目的に応じて種々の 分子量のものが選定されるが、好ましくは50〜300万、さらに好ましくは8 0〜250万の分子量のものが挙げられる。以下の合成法においては、アルカリ 金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)およびアルカリ土類金属塩(カルシウム 塩等)等の水溶性ヒアルロン酸塩が好適に使用されるが、用いる反応溶媒に溶解 し、反応を阻害しない限り、他の塩であっても遊離酸型であってもよい。以下の 説明において、「ヒアルロン酸」とは、その塩を意味する場合もある。 本発明で使用する光反応性ヒアルロン酸誘導体は、ヒアルロン酸を例えば水単 独または水混和性有機溶媒(例えば、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N− メチルピロリドン、アセトアミド、アルコール(メタノール、エタノール等)ま たはピリジン等)を含んだ水溶液等に溶解し、例えばカルボジイミド法によって 、水溶性カルボジイミド(例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ ピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、1−エチル−3−(3−ジ メチルアミノプロピル)カルボジイミドメチオジド、1−シクロヘキシル−3− (2−モルフォリノエチル)カルボジイミド塩酸塩等)と縮合補助剤(例えば、 N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール等)の存在 下、光反応性架橋基を導入することにより製造できる。 反応後の精製は例えばエタノール沈澱法、透析といった常法によって行うこと ができる。精製後、乾燥し吸光光度計で波長269nm付近における吸光度を測 定する事により、得られた光反応性ヒアルロン酸誘導体の置換度(Degree of S ubstitution)、(以下DSと略記し、ヒアルロン酸の構成2糖単位当たりの光 反応性架橋基導入率を示す)を求めることができる。 無菌または実質的エンドトキシンフリーの試薬、水、容器等を使用し、製造環 境の無菌化に注意を払うことで無菌でしかも実質的にエンドトキシンフリー(例 えば、エンドトキシン含量0.25EU/g以下)の光反応性ヒアルロン酸誘導体およ び光架橋ヒアルロン酸ゲルを得ることができる。 該光反応性架橋基のヒアルロン酸への具体的導入に使用される化合物としては 、例えば次式(1−1)または(2−1)で示されるものが挙げられる。 H2N(CR12nOCOCH=CH−Ph (1−1) 式中、R1、R2、Ph、nは前記と同義である。 H−A−NH−Ph−CH=CHCOOR3 (2−1) 式中、A、−Ph−、R3は前記と同義である。 また、化合物(1−1)および(2−1)は塩の形態、例えば、塩酸塩、臭化 水素塩またはフッ化水素塩等の酸付加塩であることが好ましく、特に塩酸塩が好 ましい。 化合物(1−1)の塩酸塩(1−2)は、具体的には以下の反応スキームによ り合成することができる。 (第1反応) R6HN(CR12nOH (3) + XCOCH=CH−Ph (4) →R6HN(CR12nOCOCH=CH−Ph (5) (第2反応) (5)+HCl→HCl・H2N(CR12nOCOCH=CH−Ph (1−2) ここで、R6は酸で切断可能なアミノ保護基、例えば、t−ブトキシカルボニ ル基等、Xは塩素原子等のハロゲン原子である。 ここで、化合物(1−2)は、具体的には以下のように合成される。 化合物(3)に有機溶媒(例えば、クロロホルム等)を加え、氷冷下、有機塩 基(例えば、トリエチルアミン等)を加え、化合物(4)と塩基性触媒(例えば 、4−ジメチルアミノピリジン等)を順次加える。混合物を室温で撹拌した後、 この反応混合物に有機溶媒(例えば、酢酸エチル等)を加え、その混合物を弱酸 性水溶液で数回、水、弱アルカリ性水溶液で数回、水、飽和食塩水等で分液洗浄 した後、分離した有機溶媒層を無水硫酸ナトリウム等で乾燥する。この乾燥剤を 濾取し、濾液を減圧乾燥して化合物(5)を得る。 化合物(5)に1〜5M塩化水素/有機溶媒(例えば、ジオキサン等)溶液等 を氷冷下加え撹拌する。有機溶媒(例えば、ジエチルエーテル等)を加え、析出 した結晶を濾取し、さらに有機溶媒で洗浄し、減圧乾燥し、化合物(1−2)を 得る。 又、化合物(2−1)の塩酸塩(2−2)は、具体的には、以下の反応スキー ムにより合成することができる。 (第1反応) R6−A−OH (6) + H2N−Ph−CH=CHCOOR3 (7) → R6−A−HN−Ph−CH=CHCOOR3 (8) (第2反応) (8) + HCl → HCl・H−A−HN−Ph−CH=CHCOOR3 (2−2) ここで、R3、R6は上述と同義である。 化合物(2−2)は、更に具体的には、例えば以下のように合成される。 化合物(6)に有機溶媒(例えば、クロロホルム等)を加え、氷冷下、有機塩 基(例えば、トリエチルアミン等)の存在下、活性化剤(例えば、塩化ジメチル ホスフィノチオイル等)を加え、化合物(6)のカルボキシル基を活性化させる 。化合物(6)を活性化させた後、有機塩基(例えば、トリエチルアミン等)の 存在下、氷冷下で化合物(7)を加え、室温にて撹拌する。この反応混合物に有 機溶媒(例えば、酢酸エチル等)を加え、その混合物を弱酸性水溶液で数回、水 、弱アルカリ性水溶液で数回、水、飽和食塩水等で分液洗浄した後、分離した有 機溶媒層を無水硫酸ナトリウム等で乾燥する。この乾燥剤を濾取し、濾液を減圧 乾燥して化合物(8)を得る。 化合物(8)に1〜5M塩化水素/有機溶媒(例えば、ジオキサン等)溶液等 を氷冷下加え撹拌する。有機溶媒(例えば、ジエチルエーテル等)を加え、析出 した結晶を濾取し、さらに有機溶媒で洗浄し、減圧乾燥し、化合物(2−2)を 得る。 スペーサーを光反応性架橋基中に組み入れることにより、これら光反応性ヒア ルロン酸誘導体の光反応性は大きく向上する。光反応性の向上はスペーサーの持 つ自由度、疎水結合性に依存するが、このようなスペーサーによりもたらされる 光反応の感度向上により従来同様条件下では困難であった光反応性架橋基のより 低い導入率での光架橋が可能である。 上記のような光反応性ヒアルロン酸誘導体を光照射により架橋する場合、従来 はまず光反応性ヒアルロン酸誘導体水溶液を容器上等で乾燥させてフィルム等の 乾燥物とし、それに紫外線を照射する事により光架橋ヒアルロン酸フィルムとし ていた。フィルムは紫外線を透過しやすいばかりでなく、フィルム形成中に脱水 あるいは水を蒸発させる際に光反応性架橋基自身の持つ疎水性のため光反応性架 橋基同士が互いに近づき合う配向をとり、この様に形成された場が光反応に有利 に働くと考えられていた。例えば、光反応性架橋基がケイ皮酸残基の場合、ケイ 皮酸残基同士が4オングストローム(Å)の距離にある時に特定波長の紫外線を 照射されると二量化、すなわち架橋するが、それ以外の分子間距離では二量化し ないとされているため、光反応性架橋基同士が近接する配向のとれるフィルム形 成は光反応には重要な工程と考えられていた。又、トランス−ケイ皮酸は、上記 条件下で紫外線が照射されると二量化するが、幾何異性体(例えば、シス−ケイ 皮酸)は二量化に対し不活性と言われている。従来、光反応性ヒアルロン酸誘導 体の水溶液に紫外線を照射すると、水分子の阻害により光反応性架橋基同士の適 切な接近が出来ず、二量化よりトランスからシスへの異性化の方が優先して進行 し、架橋は困難と考えられていた。 本発明者らは、光反応性架橋基同士の接近頻度を高めるため高濃度の光反応性 ヒアルロン酸誘導体水溶液を調製し、その溶液層を紫外線の透過し易い形状にし 、それに紫外線照射することにより光架橋ヒアルロン酸ゲルが生成することを見 い出した。 本発明において光反応性ヒアルロン酸に紫外線を照射するに際し、光反応溶液 濃度、紫外線照射時間等の光反応条件あるいはDSを適切に選定することにより 希望する粘弾性等の物性を持つ光架橋ヒアルロン酸ゲルが調製できる。 光照射時の水性媒体中における光反応性ヒアルロン酸誘導体の溶液濃度(以下 、「光反応濃度」という)は0.5重量%〜10重量%程度が好ましく、分子量 100万程度の光反応性ヒアルロン酸誘導体を使用する場合、更に好ましくは1 重量%〜4重量%が良く、これ以上薄いと後述のように異性化が優先し、逆に濃 すぎると均一なゲルを調製することが困難になる。 すなわち、該規定の濃度よりさらに希薄な水溶液を紫外線照射すると、上記の ように異性化体が優先して生成し、更に、紫外線を照射し続けるとその紫外線の 影響のためヒアルロン酸の糖鎖自体が切断され、低分子化してしまう。この様な 事からもヒアルロン酸の糖鎖に悪影響を与えず、効率的な光架橋反応が進行する 反応場を与える事は重要であり、それ故に上記規定濃度に水溶液を調製すること が必須である。図1は水性媒体中における光架橋の概念図を示したもので、(a )は希薄溶液中の光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射した際の変化を示 し、光反応性架橋基同士が水分子の阻害により架橋できる分子配置をとれずその 結果異性化が優先する。(b)は該規定濃度溶液中の光反応性ヒアルロン酸誘導 体に紫外線を照射した際の変化を示し、光反応性架橋基が水分子の阻害を希薄溶 液中ほど受けないため、疎水性の光反応性架橋基が互いに疎水結合力で引き合い 架橋に必要な分子配置をとり、それ故に光反応性架橋基は照射により水性媒体を 抱き込んだまま二量化、架橋するものと考えられる。これらの規定濃度溶液の架 橋には、特に先に記述したスペーサーを持ち、フレキシビリティーを高めた光反 応性架橋基を導入した光反応性ヒアルロン酸誘導体を用いることが、光反応性が 向上するので好ましい。 上記光反応濃度は、ヒアルロン酸に導入される光反応性架橋基の置換度(DS 、Degree of Substitution)に依存する。DSは、ヒアルロン酸の構成2糖単位 当たりの光反応性架橋基導入率(%)で算出され、例えば、構成2糖単位当たり 1個の該架橋基が導入されている光反応性ヒアルロン酸誘導体のDSは100% 、あるいは構成200糖単位当たり1個導入されていればDSI%となる。DS が低いほど同じ光照射条件下では架橋の割合は低い。 本発明において上記規定光反応濃度で架橋反応させるには、原料のヒアルロン 酸の分子量にもよるが、例えば分子量が50万以上のヒアルロン酸の場合、光反 応性ヒアルロン酸誘導体のDSを0.05〜10%程度とすればよく、更に0. 3〜5%程度が好ましく、特に0.5〜3%であることがより望ましい。 光照射時の光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液の溶媒である水性媒体としては、 水、緩衝液、生理的食塩水、緩衝化生理的食塩水等が挙げられるが、医用材料に 用いる場合は特に緩衝液、生理的食塩水、緩衝化生理的食塩水(例えば、リン酸 緩衝化生理食塩水(PBS)等)が好ましい。水性媒体が水以外の場合の媒体及 び各溶質濃度は、本発明のゲルの物性の微妙な制御に使用され得ると共に使用目 的に応じて適宜選定され得る。 該光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液は、通常、その合成反応系から分離、精製 された光反応性ヒアルロン酸誘導体を水性媒体に溶解して調製されるが、場合に より、該光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液は、光反応性ヒアルロン酸誘導体の合 成反応系をそのままあるいは濃縮して使用することも可能である。 上記の範囲で光反応濃度を変化させると同じDSの光反応性ヒアルロン酸誘導 体でもシクロブタン環を形成する割合すなわち架橋率は変化し、生成するゲルの 物性にも変化をきたす。光反応濃度が高いほど架橋率は増加すると考えられ、光 架橋ヒアルロン酸ゲルの粘弾性を測定すると該ゲルの弾性体としての性質が増加 し、架橋率の増加と共に網目構造が密になってくる。また光架橋ヒアルロン酸ゲ ルのシクロブタン環の存在割合は、DSと架橋率との積である架橋点として定義 され、ヒアルロン酸の構成2糖単位当たりの二量化体のモル比(%)として表現 できる。好ましい架橋点としては、ヒアルロン酸の構成2糖単位当たり0.01 〜0.5%の範囲が挙げられる。 又、光架橋ヒアルロン酸ゲルを乾燥したもの(以下、乾燥ゲルということがあ る)の吸水率も架橋の程度により影響され架橋程度の目安となる。吸水率は下記 の式で表される。 吸水率(%)=吸収した水分重量/乾燥ゲル重量×100 架橋の程度すなわち架橋率が増加すると網目構造は密になり、水の取り込みは少 なくなり、乾燥ゲルの吸水率は低下する。本発明の乾燥ゲルの吸水率は、水性媒 体として生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)を用い、24時間の浸潤 後、測定した時、通常20(×100%)〜150(×100%)程度の値を示 し、好ましくは30(×100%)〜120(×100%)、さらに好ましくは 40(×100%)〜100(×100%)である。 また、本発明のゲルとしては、光架橋ヒアルロン酸誘導体をヒアルロン酸含量 として0.5〜10重量%含むゲルが挙げられる。特に重量平均分子量100万 程度の光反応性ヒアルロン酸誘導体を使用した光架橋ヒアルロン酸ゲルの場合、 ゲル中のヒアルロン酸含量は1〜4重量%であることが好ましい。 また、ゲルの物性を粘弾性で示すのに、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G ”)および損失正接(tanδ;(G”/G’))等の動的粘弾性の値が用いら れる。すなわち貯蔵弾性率が高く、損失弾性率が低いとき弾性が強く、硬いゲル になる。逆に損失弾性率が高く、貯蔵弾性率が低いときは粘性の強いゲルになる 。 本発明のゲルは、周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G ’)が50〜1500Pa、好ましくは100〜500Pa、損失弾性率(G” )が10〜300Pa、好ましくは50〜150Paおよび損失正接(tanδ ;(G”/G’))が0.1〜0.8、好ましくは0.2〜0.5の範囲の物性 を示す。 光、すなわち紫外線の照射においては、紫外線の種類は特に制限されないが、 通常、光あるいは紫外線照射は、光反応に必要な波長である、200〜600n m、好ましくは200〜450nmを含む光源(例えば、高圧水銀灯またはメタ ルハライドランプ等)を使用し、紫外線カットフィルター等(例えばパイレック スガラス(商品名)等)により二量化反応に好ましくない短波長をカットしたも のを用いて数秒間から数分間の照射で行うことができる。照射方法は特に限定さ れないが、目的に応じて種々の方法が採用される。例えば、後述するように本発 明のゲルの最終商品製品として供給される容器に充填した後、照射する方法、紫 外線が透過する材質のシートでできた一対のベルトコンベイヤーで該溶液を挟ん で移動させながら、照射する方法、紫外線が透過する材質の管中に光反応性ヒア ルロン酸溶液を送液しながら紫外線を照射する方法などである。 又、本発明のゲルの製造工程において、紫外線照射前および/または後に高圧 蒸気法で100〜125℃、5〜30分の熱処理(オートクレービング)を施し ても上記の粘弾性の要求を満足するゲルが製造出来る。加えて、これらの熱処理 は、医療用具、医薬品としての滅菌工程に対応させることが可能である。 紫外線照射時の光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液の状態、およびそれを収容す る光反応を行うための容器あるいは紫外線受容部の素材、形状は、紫外線を透過 するものであれば特に制限はなく、例えば、層状、チューブ状、シリンジ状、バ イアル状等の形状が挙げられる。架橋反応の均一性を考えると紫外線を均一に十 分に透過する形状が良く、特に薄層状にした溶液層への紫外線照射によれば均一 な架橋ゲルが得られる。光反応容器は光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液、ひいて は生成される本発明のゲルを光反応系内に保持可能な形状であればよく、必ずし も密閉された容器であることを要せず、例えば、容器は単なる板状のものでも構 わない。 又、本発明のゲルの保存容器としては、本発明のゲルを癒着防止材のような医 用材料として使用する場合には、好ましくは、本発明のゲルの使用まで無菌的に 保管でき、使用時に適宜取り出せる形状が挙げられる。又、これら保存容器が光 反応の容器を兼ねても構わない。このように使用時まで無菌的に保管でき、使用 に際して投与対象物または部位(例えば癒着防止剤として使用される場合は、そ の対象物または部位は癒着を防止しようとする患部)に容易に適用できる容器と してはシリンジ(注射器)やチューブ等の容器が例示され、あるいはゲルを容易 に取り出し塗布できる容器としてはバイアル等の容器が例示される。 また、前述のように光反応性ヒアルロン酸誘導体を容器に充填し、該光反応性 ヒアルロン酸誘導体充填容器に紫外線を照射し、光反応を生起させる場合は、該 容器の材質として紫外線を透過するとともに、紫外線によって劣化しないものを 選択すべきであることはいうまでもない。さらに、本発明のゲルが医用材料とし て人体に適用されるものであるときは、光反応後の該ゲルは、例えば高圧蒸気下 で滅菌する(オートクレービング)ことが好ましいが、光架橋ゲルを容器に充填 された状態で高圧蒸気滅菌を行う場合には、容器の材質としてある程度耐熱性の あるガラス、プラスチック等が好ましい。又、該容器への本発明のゲルの充填量 は特に限定されないが、操作性、経済性等を考慮すると、例えば0.5〜500 mL程度である。 本発明のゲルは、上記の方法により光照射によって得られたハイドロゲルを、 例えば乾燥等の方法で脱水後、所望量の水性媒体を加え再膨潤させ、本発明の上 記物性を持ったゲルとすることも可能である。この場合、乾燥はヒアルロン酸糖 鎖および架橋構造に悪影響を及ぼさない方法によることが好ましい。 また、光架橋ヒアルロン酸ゲルを上記のように乾燥した固体のゲルの形態で保 管または運送させ、使用直前に適宜な水性媒体で再膨潤させて使用することもで きる。 本発明のゲルを医用材料に用いることは、非常に有用である。ヒアルロン酸の 持つ固有の高い生体適合性と架橋によって新たに加わった特性である生体内での 残留時間の延長(残留性の改善)、医用材料としての使用に適した粘弾性等の物 理化学的性質の改善は本発明のゲルを医療領域での用途に非常に適したものにし ている。 本発明のゲルは、その大部分を無害、無毒な水性媒体で構成しているために生 体に対する毒性は認めらず、生体に対する安全性が高い。 より具体的には、ラットに対し本発明のゲル100ml/kg(ヒアルロン酸 2000mg/kgに相当)を腹腔内に単回投与したところ、本発明のゲルに起 因すると思われる死亡、重篤な毒性は全く認められなかった。 また、抗原性試験として、モルモットに対し本発明のゲルを感作(20mgお よび2mg;腹腔内投与)、惹起し(40mg;腹腔内投与)、能動的アナフラ キシーについて検討した結果、アナフラキシー反応は誘発されなかった。 本発明のゲルを医用材料、たとえば癒着防止材として使用する場合、ゲルの弾 性の増加は組織間のバリアー効果、生体内残留性を向上させ、粘性の増加は組織 付着性、患部への注入のしやすさを向上させると考えられるので、その様な使用 のためには弾性と粘性の両者のバランスに優れるゲルが好ましい。G′が150 0を越えるか、あるいは損失正接が0.1に満たないと、弾性が高いゲルとなり 、いわゆる硬く、脆いゲルになり、そのゲルは患部への注入が困難になる。一方 、G′が50に満たないかあるいは損失正接が0.8を越えると、ゲルは溶液状 の粘性の高いゲルとなり、好ましい硬さが得られず、癒着防止効果に必要なバリ ア効果が消失してしまう。すなわち、本発明のゲルは癒着防止材として最適の物 理化学的性質を有するものといえる。 例えば手術後にしばしば起こる臓器癒着は、臨床的にみても好ましくなく、こ のような観点からも有用な癒着防止材の開発が望まれているのである。癒着防止 材として望まれる特性に1)癒着しやすい臓器間をバリヤーする効果があること 、2)創傷部を被覆できる性質を持つこと、3)創傷治癒を遅延させないこと、 4)創傷部の治癒する期間生体内に残留でき、好ましくは治癒後に生体内で分解 、吸収されること、5)無害、無毒であり生体適合性があること等が挙げられる 。 光架橋によって得られ、生体適合性および安全性に優れた本発明の光架橋ヒア ルロン酸ゲルは、上記のすべてのこれらの要求を満たし、特に重要なバリヤー効 果は架橋ゲルの物理化学的性質により、又、生体内での残留性は、光架橋による 網目構造の形成により得られる。 本発明のゲルの持つ不定形性により、本ゲルは例えば、注出ノズルまたは注出 針からの注出を行うことができ、すなわちシリンジへの充填を可能にし、細部の 患部(例えば創傷部等)にも注入できる。本発明のゲルは、ヒアルロン酸溶液よ りは、はるかに高い弾性を持つが、その硬さは、シリンジの注出針を通過できる 程度の柔軟性を示すこともその特徴に挙げられる。又、本ゲルは直径の小さなチ ューブ(注出ノズル)を通しての患部への注入も可能であり、腹腔鏡を用いたマ イクロサージェリー等への応用も期待できる。 以上に記載した本発明のゲルの癒着防止材としての特徴を要約すると以下の通 りである。 (1)優れた癒着防止効果を有する。 (2)患部へ注入可能な物性を有するハイドロゲルである。 (3)高い組織付着性、特に、注入、塗布後の組織付着性に優れ、癒着防止に必 要な期間、対象部位に留まる。 (4)抜去不要であり、腹腔内等投与対象部位から吸収され、代謝、排泄される 。 (5)安全である。単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、抗原性試験のいずれ の動物試験においても安全性に問題がなかった。 本発明のゲルを癒着防止材として使用する場合の適用分野を例示すると以下の 通り。 (1)産婦人科領域 不妊症治療時の骨盤内手術、子宮手術(Uterus operation)、卵管手術(Tubal o peration)、卵巣手術(Ovarian operation)、子宮内膜症治療手術(Endometiosis treatment operation)、帝王切開術(Cesarean section)、骨盤内癒着剥離術等に 伴う癒着の防止。 (2)消化器手術領域 腹部手術後の腸管癒着等に伴う癒着の防止。 (3)整形外科領域 アキレス腱手術、屈筋腱手術、関節形成術、椎弓切除術等に伴う癒着の防止。 本発明のゲルの上記癒着防止材以外の医療分野への適用例を以下に例示する。 (1)眼科手術補助剤(例えば、ゲルを眼内レンズ挿入術、全層角膜移植術等の 手術の際に前房内に注入、あるいはゲルを網膜剥離等の際の眼圧保持、硝子体補 充に使用する。) (2)関節機能改善剤(例えば、ゲルを変形性膝関節炎、肩関節周囲炎等の関節 炎に対し、疼痛の寛解、関節可動域の改善、病的関節液の正常化等を目的として 関節腔内に投与する。) (4)形成外科領域における欠損部補填剤 (5)褥瘡、火傷のドレッシング剤 (6)薬剤徐放材または薬剤徐放剤 本発明のゲルを癒着防止材として患部に適用する際の適用量は、適用部位の種 類(臓器等の種類)、大きさ、状態、使用の目的等により異なり、一概には特定 できないが、通常0.5〜500mL/部位程度、好ましくは1〜100mL/ 部位程度、より好ましくは2〜50mL/部位程度である。 本発明の光架橋ヒアルロン酸ゲルは3次元網目構造を持ち、その網目内に薬剤 を含有させれば有用な薬剤徐放剤となり得る。ゲル中に薬剤を含有させる方法と しては、乾燥ゲルを薬剤の含まれる溶液中に浸漬させる方法、又、光架橋ゲルは 架橋後には精製が不要であることから、光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液に薬剤 を加えた後、光架橋させる方法があり、どちらを用いても良い。 さらに、光反応性ヒアルロン酸誘導体に薬剤を化学的に結合(共有結合、イオ ン結合等)させたものを光反応に付して架橋してもよい。例えば、共有結合によ って薬剤を導入するには、薬剤と光反応性ヒアルロン酸誘導体のカルボキシル基 、あるいは水酸基をアミド結合やエステル結合によって結合させて導入した後、 紫外線を照射する方法がある。又、イオン結合によって薬剤を導入するには、ヒ アルロン酸のカルボキシル基とイオン結合できるようなカチオン性の薬剤を光反 応性ヒアルロン酸に混合させた後、紫外線照射する方法がある。あるいは光反応 性架橋基に薬剤を結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体を光反応に付して架橋し てもよい。 実施例 以下、本発明の具体的実施例を製造例、実施例、試験例でより詳細に説明する が、本発明は、これに限定されるものではない。 製造例1 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS0.53%)の製造 ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、重量平均分子量(Mw)95 万)10g(25mmol 2糖単位)を水1.5Lに溶解させた後、1,4− ジオキサンを750mL加えた。氷冷下、N−ヒドロキシスクシンイミド288 mg(2.5mmol )/ジオキサン溶液50mL、EDC・HCl240m g(1.25mmol)/水溶液50mL、HCl・H2N(CH2)6OCOCH=CHPh355m g(1.25mmol)/水溶液50mLを5分毎に順次加えた。室温で8時間 撹拌した後、塩化ナトリウム10g水溶液を加え、1時間撹拌した後、溶液をエ タノール5Lに注いだ。生成した目的の沈澱物を遠心分離(4000rpm×15min)で 集め、80%エタノールで3回、エタノールで1回洗浄した後、乾燥し9.73 gの光反応性ヒアルロン酸誘導体の白色固体を得た(DS0.53%、エンドト キシン0.8pg/mg)。 なお、本製造例および以下の製造例および実施例においてエンドトキシンはト キシカラーシステムLS−20セット、DIAセットおよびEt−1セット(す べて商品名、生化学工業(株)製)を用いて定量した。 光架橋ヒアルロン酸ゲルのエンドトキシン含量は、実施例で記述の光架橋ヒア ルロン酸ゲルを酵素(例えば、コンドロイチナーゼABC(生化学工業(株)製 )等)消化により可溶化した後、上述の方法により決定した。 エンドトキシン含量において、1エンドトキシンユニット(EU)は345p gのエンドトキシンに相当する。 製造例2 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS0.75%)の製造 製造例1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、Mw95万 )10g(25mmol 2糖単位),0.05MN−ヒドロキシスクシンイミド/ ジオキサン溶液 65mL(3.25mmol)、0.025MEDC・HCl水溶 液65mL(1.625mmol)、0.025MHCl・H2N(CH2)6OCOCH=CHPh水溶液 65mL(1.625mmol)を用い、9.74gの光反応性ヒアルロン酸誘 導体の白色固体を得た(DS0.75%、エンドトキシン2.5pg/mg)。 製造例3 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS0.90%)の製造 製造例1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、Mw95万 )2.0g(5.0mmol 2糖単位)、N−ヒドロキシスクシンイミド69 mg(0.6mmol)/水溶液3mL、EDC・HCl 58mg(0.3m mol)/水溶液3mL、HCl・H2N(CH2)6OCOCH=CHPh85mg(0.3mmol )/水溶液3mLを用い、2.1gの光反応性ヒアルロン酸誘導体の白色固体を 得た(DS0.90%、エンドトキシン2.4pg/mg)。 製造例4 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS1.06%)の製造 製造例1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、Mw95万 )10g(25mmol 2糖単位)、0.05M N−ヒドロキシスクシンイ ミド/ジオキサン溶液 100mL(5.0mmol)、0.025MEDC・ HCl水溶液100mL(2.5mmol)、0.025MHCl・H2N(CH2)6OCOC H=CHPh水溶液100mL(2.5mmol)を用い、9.64gの光反応性ヒア ルロン酸誘導体の白色固体を得た(DS1.06%、エンドトキシン3.2pg /mg)。 製造例5 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS1.26%)の製造 製造例1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、Mw95万 )5g(12.5mmol 2糖単位)、N−ヒドロキシスクシンイミド288 mg(2.5mmol)/ジオキサン溶液50mL、EDC・HCl240mg (1.25mmol)/水溶液50mL、HCl・H2N(CH2)6OCOCH=CHPh355mg (1.25mmol)/水溶液50mLを用い、4.9g光反応性ヒアルロン酸 誘導体の白色固体を得た(DS1.26%、エンドトキシン1.0pg/mg) 。 製造例6 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS1.29%)の製造 製造例1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、Mw95万 )10g(25mmol 2糖単位)、0.1M N−ヒドロキシスクシンイミ ド/ジオキサン溶液50mL(5.0mmol)、0.05MEDC・HCl水 溶液50mL(2.5mmol)、0.05MHCl・H2N(CH2)6OCOCH=CHPh水溶液 50mL(2.5mmol)を用い、10.0gの光反応性ヒアルロン酸誘導体 の白色固体を得た(DS1.29%、エンドトキシン2.5pg/mg)。 製造例7 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS1.55%)の製造 製造例1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、Mw95万 )10g(25mmol 2糖単位)、0.05M N−ヒドロキシスクシンイ ミド/ジオキサン溶液 150mL(7.5mmol)、0.025MEDC・ HCl水溶液150mL(3.75mmol)、0.025MHCl・H2N(CH2)6OC OCH=CHPh水溶液150mL(3.75mmol)を用い、9.92gの光反応性 ヒアルロン酸誘導体の白色固体を得た(DS1.55%、エンドトキシン1.2 pg/mg)。 製造例8 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS1.93%)の製造 ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、Mw95万)4.0g(10 .0mmol 2糖単位)を水600mLに溶解させた後、1,4−ジオキサン を300mL加えた。氷冷下、N−ヒドロキシスクシンイミド230mg(2. 0mmol)/水溶液10mL、EDC・HCl 192mg(1.0mmol )/水溶液10mL、HCl・H2N(CH2)6OCOCH=CHPh284mg(1.0mmol) /水溶液10mLを5分毎に順次加えた。室温で24時間撹拌した後、塩化ナト リウム2.0g水溶液を加え、撹拌した後、溶液をエタノール3.0Lに注いだ 。生成した目的の沈澱物を遠心分離(4000rpm×15min)で集め、80%エタノー ルで3回、エタノールで1回洗浄した後、乾燥し4.1gの光反応性ヒアルロン 酸誘導体の白色固体を得た(DS1.93%、エンドトキシン2.1pg/mg )。 製造例9 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS2.87%)の製造 製造例1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、Mw95万 )10g(25mmol 2糖単位)、N−ヒドロキシスクシンイミド864m g(7.5mmol)/ジオキサン溶液50mL、EDC・HCl 718mg (3.75mmol)/水溶液50mL、HCl・H2N(CH2)6OCOCH=CHPh 1.06 g(3.75mmol)/水溶液50mLを用い、10gの光反応性ヒアルロン 酸誘導体の白色固体を得た(DS2.87%、エンドトキシン2.8pg/mg )。 製造例10 光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS2.28%)の製造 製造例1に準じ、ヒアルロン酸ナトリウム(生化学工業(株)製、Mw95万 )50g(125mmol 2糖単位)、N−ヒドロキシスクシンイミド3.4 5g(30mmol)/水溶液250mL、EDC・HCl 2.88g(15 mmol)/水溶液250mL、HCl・H2N(CH2)6OCOCH=CHPh(15mmol)/ 水溶液250mLを用い、49gの光反応性ヒアルロン酸誘導体の白色固体を得 た(DS2.28%、エンドトキシン3.2pg/mg)。 実施例1 本実施例は、製造例6で得られた光反応性ヒアルロン酸誘導体を水溶液で光架 橋し、更に1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水(pH7.4)で置換した光架橋ヒアルロン 酸ゲルに関する。 製造例6で得られた光反応性ヒアルロン酸誘導体(DS1.29%)の1.4 重量%水溶液を溶液層の厚さが1.0mmを保つように2枚の厚さ2.5mmの パイレックスガラス板に挟み、紫外線(3KWメタルハライドランプ)を片面4 分づつ合計8分間照射した後、45℃で乾燥した。得られた乾燥ゲルに濃度が2 重量%になるように1.5mM リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を加え、該ゲルを1 日膨潤させ、光架橋ヒアルロン酸ゲル(エンドトキシン0.11EU/g)とし た。 実施例2 本実施例は、製造例1、4、7で得られた光反応性ヒアルロン酸誘導体を1. 4重量%の1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水溶液(pH7.4)中で架橋した光架橋ヒア ルロン酸ゲルに関する。 製造例1、4、7で得られたDS0.53、1.06、1.55%のそれぞれ の光反応性ヒアルロン酸誘導体の1.4重量%の1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水 溶液(pH7.4)を溶液層の厚さが1.0mmを保つように2枚の厚さ2.5mm のパイレックスガラス板に挟み、紫外線(3KWメタルハライドランプ)を片面 4分づつ合計8分間照射し、光架橋ヒアルロン酸ゲルとした。 ゲルのエンドトキシン含量は、それぞれDS0.53%、1.06%、1.5 5%のゲルに対して0.03、0.12、0.05EU/gであった。 実施例3 本実施例は、製造例1〜9で得られた光反応性ヒアルロン酸誘導体を2.0重 量%の1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水溶液(pH7.4)中で光架橋した光架橋ヒアル ロン酸ゲルに関する。 製造例1〜9で得られたDS0.53、0.75、0.90、1.06、1. 26、1.29、1.55、1.93、2.87%のそれぞれの光反応性ヒアル ロン酸誘導体の2.0重量%の1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水溶液(pH7.4)を溶 液層の厚さが1.0mmを保つように2枚の厚さ2.5mmのパイレックスガラ ス板に挟み、紫外線(3KWメタルハライドランプ)を片面4分づつ合計8分間 照射し、光架橋ヒアルロン酸ゲルとした。 実施例4 本実施例は、製造例1、4、7で得られた光反応性ヒアルロン酸誘導体を3. 2重量%の1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水溶液(pH7.4)中で光架橋した光架橋ヒ アルロン酸ゲルに関する。 製造例1、4、7で得られたDS0.53、1.06、1.55%のそれぞれ の光反応性ヒアルロン酸誘導体の3.2重量%の1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水 溶液(pH7.4)を溶液層の厚さが1.0mmを保つように2枚の厚さ2.5mm のパイレックスガラス板に挟み、紫外線(3KWメタルハライドランプ)を片面 4分づつ合計8分間照射し、光架橋ヒアルロン酸ゲルとした。 実施例5 本実施例は、実施例3で得られた光架橋ヒアルロン酸ゲルの内、DS1.55 、2.87%を熱処理して得られた光架橋ヒアルロン酸ゲルに関する。 実施例3で得られたDS1.55、2.87%のそれぞれの光架橋ヒアルロン 酸ゲルを10mLのアンプルに充填し、121℃、8分間、高圧蒸気法により加 熱処理を行った。 (物性測定) 製造例1、4、5および7で製造した光反応性ヒアルロン酸誘導体の調製濃度 (溶液濃度;ヒアルロン酸濃度として)が1.4、2.0、および3.2重量% のもの、実施例2〜4で製造した調製濃度が1.4、2.0、および3.2重量 %の光架橋ヒアルロン酸ゲルならびに実施例5で製造した熱処理後の光架橋ヒア ルロン酸ゲルについて動的粘弾性(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”、損失正接 (tanδ(G”/G’)))、動的粘度(η)および吸水率を測定した。また、 調製濃度が上記光架橋ヒアルロン酸ゲルと同一になるように調製したヒアルロン 酸溶液についても上記のようにその物性を測定した。動的粘弾性及び動的粘度は 、Carri-Med社製レオメーターCSL-50型を用いて以下の条件で測定した。 測定法:オッシレーションテスト法、ストレスコントロール 測定温度:37℃ 測定ジェオメトリー:4cm ギャップ:800μm 周波数:10Hz 吸水率については、ヨーロッパ特許条約出願公開,EP0205674A1記載のBlue D extran(以下B.D.)を用いた紫外線吸光度法により算出し、水性媒体として生理 食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)を用いた。 B.D. 溶液の中に乾燥したゲルを入れると分子量の大きなB.D.は、ゲル中に進 入出来ず水のみがゲル中に吸収される。このため吸収されていないB.D.溶液の濃 度は、吸水された分、初期濃度より濃くなり、この濃度差を吸光度(610nm )より算出する事により吸水率が次式より求められる: 吸水率(×100%)=(1−y1/y2)/A×1000 ここにおいてy1は、0.1重量%のB.D.溶液1g当たりAmgの乾燥ゲルの 初期濃度における吸光度であり、y2は、ゲルを24時間膨潤させた後のB.D.溶 液の吸光度である。 なお、吸水率を求めた検体としては、実施例3においてDSが0.53、0. 75、0.90、1.26、1.55及び1.93%の光反応性ヒアルロン酸誘 導体より得られた光架橋ヒアルロン酸ゲルを乾燥したものを使用した。 動的粘弾性等の測定結果を表1に、DSと吸水率の関係を図2に示す。なお、 表1の分析検体の実測濃度はカルバゾール−硫酸反応法でゲルのヒアルロン酸成 分含量を測定して求めた。 実施例6 本実施例は、製造例10で得られた光反応性ヒアルロン酸誘導体を2.0重量 %の1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水溶液(pH7.4)に調製し、異なる条 件で紫外線照射及び熱処理した光架橋ヒアルロン酸ゲルに関する。 製造例10で得られたDS2.28%の光反応性ヒアルロン酸誘導体を2.0 重量%溶液となるように1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水溶液に溶解し、その 溶液に以下の3通りの方法で紫外線を照射した。紫外線照射前あるいは後、ある いは前後双方で、その溶液(あるいはゲル)を以下の条件下で熱処理した。得ら れたゲルの架橋率、架橋点、及び粘弾性を測定した。 紫外線照射(UV照射)条件: (1)実施例2〜4と同じ方法。紫外線ランプに3kWメタルハライドラン プを用い、光反応性ヒアルロン酸水溶液の層厚を1.0mmに保つように2枚の 厚さ2.5mmのパイレックスガラス板に挟み、紫外線を片面4分づつ合計8分 間照射。 (2)400Wの高圧水銀ランプを用い、該溶液を2枚のポリエチレンフィ ルムに挟み片面より3秒間紫外線を照射。 (3)400Wの高圧水銀ランプを用い、直径5mmの石英管の中を送液し ながら照射。 熱処理条件(オートクレービング法): A:UV照射後;121℃、8分間 B:UV照射前;121℃、8分間 C:UV照射前;121℃、8分間 次いでUV照射後;100℃、10分間 D:UV照射後;121℃、15分間 測定の結果を下の表2に示す。 尚、表2中の架橋率は下記式によって計算される。 架橋率(%)=ケイ皮酸二量化体モル数×2/導入ケイ皮酸モル数 ×100 架橋率の算出の具体的方法として、光架橋ヒアルロン酸ゲルからケイ皮酸ある いはその二量化体を化学的に切断、抽出し、得られた抽出物をゲル浸透クロマト グラフィー(GPC)に付し、その分子量の差からケイ皮酸とその二量化体を分 離、定量し、それぞれのモル数を求めることにより上記式から架橋率を算出した 。 又、架橋点は以下の式として表すことが出来る。 架橋点(%)=DS×架橋率/100 架橋率は上記式より導入ケイ皮酸に対する値であるが、該架橋率とDSの積で ある架橋点は、ヒアルロン酸の構成2糖単位当たりの二量化体のモル比(%)と して表現できる。 試験例1 ラット子宮角癒着モデルにおける癒着防止効果 本試験例は実施例1、3、5及び6で得られたゲルならびに比較例として実施 例1と実施例3において紫外線照射前の光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液(以下 、未架橋ヒアルロン酸ゲルと表現)、市販品の癒着防止材であるTC7(インタ ーシード(商品名、ジョンソンアンド ジョンソン社製))及び3.2%ヒアル ロン酸/1.5mMリン酸緩衝生理的食塩水溶液によるラット子宮角癒着モデル を用いた癒着防止効果を示すものである。 1.試験動物 Crj:SD系(SPF.)雌性ラットを7週齢で購入し、試験前1週間の予 備飼育を行った後、本試験に使用した。各群5ラットで構成。 2.試験方法 2−1.ラット子宮角癒着モデルの作成 ネンブタール麻酔下でラット腹部を毛刈した後、約4cm正中切開した。 (a)ラットの右腹壁を眼科用トレパンで筋層まで切り抜き、筋層をピンセッ トで剥離した。 (b)子宮角を露出させた後、卵巣から子宮頚部に向かって約1cmのところ から2〜3mm間隔で4箇所に横切開を加え、傷口は電気メスで随時止血した。 (c)子宮角横切開部端より約3〜4mmの場所と、腹壁欠損部端より同じく 3〜4mmの場所を8/0の糸でひと針縫合し、(a)と(b)で作成した各切 創部を近づけた。 2−2.投与方法 試験群: 腹壁欠損部と子宮角切創部の間に上記の光架橋ヒアルロン酸ゲル、未架橋ヒア ルロン酸ゲルおよびヒアルロン酸溶液の各1mL並びに市販品であるTC7を1. 5×1.5cm2を注入あるいは挟み込み試験群とした。上記ゲルの具体的投与方法 としては正確に秤量した上記ゲル1mLを1mLシリンジ(テルモシリンジ(商 品名)ツベルクリン用、γ線滅菌済み、シリンジ内径約4mm、シリンジ先端内 径約1mm)に採り、シリンジ先より腹壁欠損部と子宮角切創部間に注入する方 法を用いた。 対照群: 又、試験群に用いたと同じ動物の左側腹壁と子宮角を同様の手術を行い、こち らには何も挟み込まず対照群とした。 3.評価方法 埋め込み7日後にラットをエーテル麻酔下で頚動脈より放血屠殺後解剖し、癒 着発生部位を癒着の程度により以下に示す各スコアーシステムで評価した。 0:癒着無し。 1:軽度の癒着。容易に剥離可能。 2:中度の癒着。剥離可能。 3:重度の癒着。剥離不可能。 4.結果 試験の結果を下の表3に示す。表3において、紫外線照射条件と熱処理条件は 実施例6に記述の条件と同じである。 表3の結果よりわかるように本癒着モデルにおいては市販品の癒着防止膜TC 7は全く効果を示さなかったが、本発明の光架橋ヒアルロン酸ゲルは本モデルに おいて十分に癒着防止に有用な効果を示すことが示された。 又、光架橋ゲルのそれと同様の粘弾性および粘性を有する、未架橋ヒアルロン 酸ゲルと3.2%ヒアルロン酸溶液については効果がみられなかったことから、 本発明の光架橋ヒアルロン酸ゲルは光架橋することで癒着防止効果を示すものと 考えられる。 試験例2 本試験例は、試験例1と同様のラット子宮角癒着モデルにおいて腹腔欠損部と 子宮角切創部の止血を行わないで、本発明のゲルの癒着防止効果を検討したもの である。 本発明のゲルの癒着防止効果を試験例1と同様に試験し、評価した。但し腹壁 と子宮角の切傷への止血は行わず、濃度2%、DS2.5%、紫外線照射前に1 05℃、10分間および紫外線照射後121℃、8分間の熱処理した光架橋ヒア ルロン酸ゲルの0.5mLを用いた(n=10)。対照として、試験群に用いた と同じ動物を何も挟み込まずに試験例1と同様にして試験した。 得られた結果を表4に示す。 止血しない該モデルに対し、0.5mL投与の光架橋ヒアルロン酸ゲルはかな りに有意な癒着防止効果を示した。換言すると、表4の結果は、市販されている TC7が止血しなければ患部への適用ができないことに比べ優れていることを示 している。 試験例3 ラット腸管癒着モデルにおける光架橋ヒアルロン酸ゲルの癒着防止効 果 1.被験物質: 濃度2%、DS2.5%、紫外線照射前に105℃、10分間および紫外線照 射後121℃、8分間の熱処理を行った光架橋ヒアルロン酸ゲル 2.試験動物: SD系雌性ラット 購入時7週齢、試験前1週間の予備飼育。 3.癒着モデルの作成: 回腸から結腸部の漿膜を長さ20cm、幅3〜4mmで直線上に剥離した。止 血はせず。 4.投与方法と群区分: 1mLのシリンジから一定量(0.5mL、1.0mLまたは2.0mL)の ゲルを押し出し剥離部位に塗布した。塗布後、腸管をそのまま腹腔内に戻し、腹 部を縫合した。ゲルを投与しない癒着モデルを対照群とし、0.5mLのゲルを 投与したものを0.5mL群、1.0mL投与を1.0mL群、2.0mL投与 を2.0mL群とした。各群は10ラットで構成。 5.評価と結果: 埋め込み後7日にエーテル麻酔下のラットを頚動脈から放血させ、屠殺した。 その後、開腹し、癒着程度を試験例1と同じスコアーシステムで評価した。得ら れた結果を下の表5に示す。 対照群に比べ、試験群は3群全てにかなりに有意な癒着防止効果がみられた。 腸は、ぜん動の激しいところであり、表5の結果は、本発明のゲルが有効な癒着 防止効果のみならず組織付着性、組織適合性に優れたものであることも示してい る。 なお、上記試験例1および2の動物試験での7日後解剖時において、投与した 光架橋ヒアルロン酸ゲルの大部分のものは肉眼的にみて消失し、本発明のゲルの 生体内分解性を示した。 以上説明、実証したように、光反応性ヒアルロン酸誘導体の高濃度水溶液に紫 外線を照射することにより、光架橋ヒアルロン酸ゲルを容易に製造することがで きる。また本発明の光架橋ヒアルロン酸ゲルは、ヒアルロン酸本来の無毒性、非 抗原性、生体適合性、生体内分解性といった優れた性質を保持しつつ、適度な粘 弾性、組織親和性、生体内分解性等の物性を有しているので、安全性の高い医用 材料、たとえば、癒着防止材、薬剤の徐放性担体等として種々の分野の適用が期 待できる。さらに該ゲルはシリンジやチューブ等によって身体の細部の患部への 注入が可能でありマイクロサージェリー等への適用が期待される。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】1997年8月12日 【補正内容】 本発明の第2の目的は安全性、生体適合性に優れかつ生体内分解性を有する、 光架橋ヒアルロン酸ゲルからなる注入可能な医用材料を提供することである。 本発明者らは鋭意研究の結果、上記課題を以下の構成によって達成することに 成功した。 1)下記測定条件においてレオメーターにより測定される動的粘弾性におい て貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜30 0Pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜0.8であり、ヒアルロン酸 の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫 外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させて得られるハイドロゲルである ことを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル、 測定法:オッシレーションテスト法、ストレスコントロール 測定温度:37℃ 測定ジェオメトリー:4cm ギャップ:800μm 周波数:10Hz 2)架橋点が、ヒアルロン酸の構成2糖単位1モル当たり0.01〜0.5 %であり、ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性 ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させて得ら れるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル、 3)下記式で定義される吸水率が2000〜15000%であり、ヒアルロ ン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体 に紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させて得られるハイドロゲルで あることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル、 吸水率(%)=吸収した水分重量/乾燥ゲル重量×100 4)光反応性架橋基がスペーサーを含むケイ皮酸誘導体をヒアルロン酸の官 能基に化学的に結合して前記光反応性ヒアルロン酸誘導体とされており;該光反 応性ヒアルロン酸誘導体の該光反応性架橋基同士は紫外線照射により二量体化し てシクロブタン環を形成して網目構造を形成しており;前記ゲルは、網目構造に 水性媒体を含むハイドロゲルであることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか 1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 5)スペーサーが、アミノアルコール、アミノ酸またはペプチドに由来する 基である上記4)記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 6)光反応性架橋基が、下記一般式(1)または(2)で表されることを特 徴とする上記4)または5)に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 −NH(CR12nOCOCH=CH−Ph (1) (式中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜8のアル キル基、Phはフェニル基、nは2〜18の整数を表す。) −A−NH−Ph−CH=CHCOOR3 (2) (式中、R3は炭素原子数1〜8のアルキル基またはアラルキル基、Aは−(N HCR45CO)m −または−NH(CR45hCO−を表し、該R4およびR5はそれぞれ独立に 水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。−Ph−はパラフェニレ ン基、mは1〜6の整数を、hは1〜18の整数を表す。) 7)光反応性架橋基がヒアルロン酸の構成2糖単位1モル当たり0.05〜 10%導入されていることを特徴とする上記1)〜6)のいずれか1項に記載の 光架橋ヒアルロン酸ゲル。 8)下記測定条件においてレオメーターにより測定される動的粘弾性におい て貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜30 0Pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン酸 の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫 外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させ、該架橋生成物を加熱処理して 得られるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 測定法:オッシレーションテスト法、ストレスコントロール 測定温度:37℃ 測定ジェオメトリー:4cm ギャップ:800μm 周波数:10Hz 9)下記測定条件においてレオメーターにより測定される動的粘弾性におい て貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜30 0Pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン酸 の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体を加 熱処理した後に、該熱処理光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光 反応性架橋基同士を架橋させて得られるハイドロゲルであることを特徴とする光 架橋ヒアルロン酸ゲル。 測定法:オッシレーションテスト法、ストレスコントロール 測定温度:37℃ 測定ジェオメトリー:4cm ギャップ:800μm 周波数:10Hz 10)下記測定条件においてレオメーターにより測定される動的粘弾性におい て貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜30 0Pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン酸 の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体を加 熱処理した後に、該熱処理光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光 反応性架橋基同士を架橋させ、さらに該架橋生成物を再度加熱処理して得られる ハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 測定法:オッシレーションテスト法、ストレスコントロール 測定温度:37℃ 測定ジェオメトリー:4cm ギャップ:800μm 周波数:10Hz 11)ゲルのエンドトキシン含量が0.25エンドトキシンユニット(EU)/g以 下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 12)ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒ アルロン酸誘導体を0.5〜10重量%含む水性媒体溶液に紫外線を照射して; 該光反応性架橋基同士の二量体化により分子間および/または分子内に架橋を形 成させて、網目構造とすることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方法 、 13)光反応性ヒアルロン酸誘導体の水性媒体溶液に紫外線を照射する前およ び/または後に加熱処理する請求項12記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方 法、 14)加熱処理が高圧蒸気により100〜125℃で5〜30分熱処理するこ とを特徴とする上記13に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方法。 15)上記1)〜11)のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルから なる医用材料、 16)癒着防止効果を有することを特徴とする上記15)記載の医用材料。 17)架橋ヒアルロン酸ゲルと、該ゲルが取り出し可能な状態で入った容器よ り構成される医用材料キット、 18)該容器が該ゲルを注入のために押し出し注出可能な容器である上記17 )記載の医用材料キット、 19)上記1)〜11)のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルと、 該ゲルが取り出し可能な状態で入った容器より構成される医用材料キット、 20)該容器が該ゲルを注入のために押し出し注出可能な容器である上記19 )記載の医用材料キット。 図面の簡単な説明 図1は光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液における光架橋の概念図を示す。 図2は光架橋ヒアルロン酸ゲルのDS(Degree of Substitution)と吸水率と の関係を示すグラフである。 発明を実施するための最良の形態 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において使われる用語「光架橋ヒアルロン酸誘導体」とは、光反応性架 橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反 応性架橋基同士を二量体化し、該ヒアルロン酸誘導体を架橋させて得られ、網目 構造となった誘導体、を含む概念である。また、本発明において使われる用語「 光架橋ヒアルロン酸ゲル」は、光架橋ヒアルロン酸の網目構造(三次元網目構造 )に、水、緩衝液、生理的食塩水、緩衝化生理的食塩水、水溶性有機溶媒を含む 水溶液等の水性媒体を分散媒として含むハイドロゲルを意味する概念である(以 下、単に「本発明のゲル」ともいう)。本発明において使われる用語「ヒアルロ ン酸の官能基」とは、光反応性架橋基を化学的に結合可能な、ヒアルロン酸に存 在する官能基を含むものである。該官能基の代表例は、カルボキシル基と水酸基 である。本発明において使われる用語「低級アルキル」または「低級アルコキシ ル」とは、1〜8の炭素原子、より好ましくは1〜4の炭素原子を持つアルキル 基またはアルコキシル基を含むものである。 本発明のゲルは、第一にその物性を粘弾性の観点から特定したものであり、第 二にさらに架橋構造を架橋点という観点から特定したものである。 本発明における光反応性ヒアルロン酸誘導体の光反応性架橋基としては、ケイ 皮酸又はその置換体(例、ケイ皮酸のベンゼン環の任意の位置の1または2個の 水素が低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル 、t-ブチル等)、低級アルコキシル基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、 イソプロポキシ、ブトキシ等)、アミノ基、水酸基等で置換されたケイ皮酸誘導 体等)、カルボキシ−低級アルキルチミン(例、1−(2−カルボキシエチル) チミン等)、カルボキシ−低級アルキル基置換クマリン(例、7−クマリロキシ 酢酸等)等から誘導される基であって、紫外線照射により二量化し、シクロブタ ン環を形成できるビニレン基を有したものであれば制限はなく、中でも特にケイ 皮酸又はその誘導体から誘導される基が導入されている光反応性架橋基が好まし い。又、光反応性架橋基としては、ケイ皮酸等の光反応性化合物にスペーサーが 結合した化合物由来の基を用いることも好ましい。スペーサーとしてはケイ皮酸 等の光反応性化合物の官能基とヒアルロン酸の官能基の両方と結合できる二つ以 上の官能基を有するものが好ましい。具体的には、アミノ酸又はその誘導体、ペ プチド、アミノアルコール等が好ましく、中でもアミノアルコールが最も望まし い。光反応性架橋基がヒアルロン酸の構成糖であるN−アセチル−D−グルコサ ミンおよびD−グルクロン酸の、どの官能基に導入されていてもよいが、特にD また、本発明のゲルとしては、光架橋ヒアルロン酸誘導体をヒアルロン酸含量 として0.5〜10重量%含むゲルが挙げられる。特に重量平均分子量100万 程度の光反応性ヒアルロン酸誘導体を使用した光架橋ヒアルロン酸ゲルの場合、 ゲル中のヒアルロン酸含量は1〜4重量%であることが好ましい。 また、ゲルの物性を粘弾性で示すのに、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G ”)および損失正接(tanδ;(G”/G’))等の動的粘弾性の値が用いら れる。すなわち貯蔵弾性率が高く、損失弾性率が低いとき弾性が強く、硬いゲル になる。逆に損失弾性率が高く、貯蔵弾性率が低いときは粘性の強いゲルになる 。 本発明のゲルは、周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G ’)が50〜1500Pa、好ましくは100〜500Pa、損失弾性率(G” )が10〜300Pa、好ましくは50〜150Paおよび損失正接(tanδ ;(G”/G’))が0.1〜0.8、好ましくは0.2〜0.5の範囲の物性 を示す。 光、すなわち紫外線の照射においては、紫外線の種類は特に制限されないが、 通常、光あるいは紫外線照射は、光反応に必要な波長である、200〜450n mを含む光源(例えば、高圧水銀灯またはメタルハライドランプ等)を使用し、 紫外線カットフィルター等(例えばパイレックスガラス(商品名)等)により二 量化反応に好ましくない短波長をカットしたものを用いて数秒間から数分間の照 射で行うことができる。照射方法は特に限定されないが、目的に応じて種々の方 法が採用される。例えば、後述するように本発明のゲルの最終商品製品として供 給される容器に充填した後、照射する方法、紫外線が透過する材質のシートでで きた一対のベルトコンベイヤーで該溶液を挟んで移動させながら、照射する方法 、紫外線が透過する材質の管中に光反応性ヒアルロン酸溶液を送液しながら紫外 線を照射する方法などである。 又、本発明のゲルの製造工程において、紫外線照射前および/または後に高圧 蒸気法で100〜125℃、5〜30分の熱処理(オートクレービング)を施し ても上記の粘弾性の要求を満足するゲルが製造出来る。加えて、これらの熱処理 は、医療用具、医薬品としての滅菌工程に対応させることが可能である。 紫外線照射時の光反応性ヒアルロン酸誘導体溶液の状態、およびそれを収容す 請求の範囲 1. 下記測定条件においてレオメーターにより測定される動的粘弾性にお いて貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜3 00pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜0.8であり、ヒアルロン 酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に 紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させて得られるハイドロゲルであ ることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 測定法:オッシレーションテスト法、ストレスコントロール 測定温度:37℃ 測定ジェオメトリー:4cm ギャップ:800μm 周波数:10Hz 2. 架橋点が、ヒアルロン酸の構成2糖単位1モル当たり0.01〜0. 5%であり、ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応 性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させて得 られるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 3. 下記式で定義される吸水率が2000〜15000%であり、ヒアル ロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導 体に紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させて得られるハイドロゲル であることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 吸水率(%)=吸収した水分重量/乾燥ゲル重量×100 4.光反応性架橋基がスペーサーを含むケイ皮酸誘導体をヒアルロン酸の官 能基に化学的に結合して前記光反応性ヒアルロン酸誘導体とされており;該光反 応性ヒアルロン酸誘導体の該光反応性架橋基同士は紫外線照射により二量体化し てシクロブタン環を形成して網目構造を形成しており;前記ゲルは、網目構造に 水性媒体を含むハイドロゲルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1 項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 5. スペーサーが、アミノアルコール、アミノ酸またはペプチドに由来す る基である請求項4記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 6. 光反応性架橋基が、下記一般式(1)または(2)で表されることを 特徴とする請求項4または5に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 −NH(CR12nOCOCH=CH−Ph (1) (式中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜8のアル キル基、Phはフェニル基、nは2〜18の整数を表す。) −A−NH−Ph−CH=CHCOOR3 (2) (式中、R3は炭素原子数1〜8のアルキル基またはアラルキル基、Aは−(N HCR45CO)m−または−NH(CR45hCO−を表し、該R4およびR5 はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基を表す。−Ph −はパラフェニレン基、mは1〜6の整数を、hは1〜18の整数を表す。) 7. 光反応性架橋基がヒアルロン酸の構成2糖単位1モル当たり0.05 〜10%導入されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の 光架橋ヒアルロン酸ゲル。 8. 下記測定条件においてレオメーターにより測定される動的粘弾性にお いて貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜3 00Pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン 酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に 紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋させ、該架橋生成物を加熱処理し て得られるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 測定法:オッシレーションテスト法、ストレスコントロール 測定温度:37℃ 測定ジェオメトリー:4cm ギャップ:800μm 周波数:10Hz 9. 下記測定条件においてレオメーターにより測定される動的粘弾性にお いて貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜3 00Pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン 酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体を 加熱処理した後に、該熱処理光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該 光反応性架橋基同士を架橋させて得られるハイドロゲルであることを特徴とする 光架橋ヒアルロン酸ゲル。 測定法:オッシレーションテスト法、ストレスコントロール 測定温度:37℃ 測定ジェオメトリー:4cm ギャップ:800μm 周波数:10Hz 10. 下記測定条件においてレオメーターにより測定される動的粘弾性に おいて貯蔵弾性率(G’)が50〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜 300Pa、および損失正接(G”/G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロ ン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体 を加熱処理した後に、該熱処理光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して 該光反応性架橋基同士を架橋させ、さらに該架橋生成物を再度加熱処理して得ら れるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 測定法:オッシレーションテスト法、ストレスコントロール 測定温度:37℃ 測定ジェオメトリー:4cm ギャップ:800μm 周波数:10Hz 11. ゲルのエンドトキシン含量が0.25エンドトキシンユニット(EU)/ g以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 12. ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応 性ヒアルロン酸誘導体を0.5〜10重量%含む水性媒体溶液に紫外線を照射し て;該光反応性架橋基同士の二量体化により分子間および/または分子内に架橋 を形成させて、網目構造とすることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造 方法。 13. 光反応性ヒアルロン酸誘導体の水性媒体溶液に紫外線を照射する前 および/または後に加熱処理する請求項12記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルの製 造方法。 14. 加熱処理が高圧蒸気により100〜125℃で5〜30分熱処理す ることを特徴とする請求項13に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方法。 15. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルか らなる医用材料。 16. 癒着防止効果を有することを特徴とする請求項15記載の医用材料 。 17. 架橋ヒアルロン酸ゲルと、該ゲルが取り出し可能な状態で入った容 器より構成される医用材料キット。 18. 該容器が該ゲルを注入のために押し出し注出可能な容器である請求 項17記載の医用材料キット。 19. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルと 、該ゲルが取り出し可能な状態で入った容器より構成される医用材料キット。 20. 該容器が該ゲルを注入のために押し出し注出可能な容器である請求 項19記載の医用材料キット。 【手続補正書】 【提出日】1999年1月6日 【補正内容】 明細書の発明の詳細な説明を以下の通り補正する。 1)明細書第3/1頁1行目、3行目及び5行目の「。」を「、」と補正する。 2)同書第4頁3行目の「表す。)」を「表す。)、」と補正する。 3)同書第4頁6行目、12行目及び24行目の「。」を「、」と補正する。 4)同書第4/1頁7行目及び14行目の「。」を「、」と補正する。 5)同書第4/1頁14行目の「請求項1〜10」を「上記1)〜10)」と補 正する。 6)同書第5頁4行目の「請求項12」を「上記12)」と補正する。 7)同書第5頁7行目の「上記13」を「上記13)」と補正する。 8)同書第5頁7行目及び10行目の「。」を「、」と補正する。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G’)が5 0〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜300Pa、および損失正接( G”/G’)が0.1〜0.8であり、ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基 を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性 架橋基同士を架橋させて得られるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒ アルロン酸ゲル。 2. 架橋点が、ヒアルロン酸の構成2糖単位1モル当たり0.01〜0. 5%であり、ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応 性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して得られるハイドロゲルであることを特 徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 3.光反応性架橋基がスペーサーを含むケイ皮酸誘導体をヒアルロン酸の官 能基に化学的に結合して前記光反応性ヒアルロン酸誘導体とされており;該光反 応性ヒアルロン酸誘導体の該光反応性架橋基同士は紫外線照射により二量体化し てシクロブタン環を形成して網目構造を形成しており;前記ゲルは、網目構造に 水性媒体を含むハイドロゲルであることを特徴とする請求項1または2に記載の 光架橋ヒアルロン酸ゲル。 4. スペーサーが、アミノアルコール、アミノ酸またはペプチドに由来す る基である請求項3記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 5. 光反応性架橋基が、下記一般式(1)または(2)で表されることを 特徴とする請求項3または4に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 −NH(CR12nOCOCH=CH−Ph (1) (式中、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基、Phは フェニル基、nは2〜18の整数を表す。) −A−NH−Ph−CH=CHCOOR3 (2) (式中、R3は低級アルキル基またはアラルキル基、Aはー(NHCR45CO )m−または−NH(CR45hCO−を表し、該R4およびR5はそれぞれ独立 に水素原子または低級アルキル基を表す。−Ph−はパラフェニレン基、mは1 〜6の整数を、hは1〜18の整数を表す。) 6. 光反応性架橋基がヒアルロン酸の構成2糖単位1モル当たり0.05 〜10%導入されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の 光架橋ヒアルロン酸ゲル。 7. 周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G’)が5 0〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜300Pa、および損失正接( G”/G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基 を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性 架橋基同士を架橋させ、該架橋生成物を加熱処理して得られるハイドロゲルであ ることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 8. 周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G’)が5 0〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜300Pa、および損失正接( G”/G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基 を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体を加熱処理した後に、該熱処理 光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋さ せて得られるハイドロゲルであることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 9. 周波数10Hzにおける動的粘弾性において貯蔵弾性率(G’)が5 0〜1500Pa、損失弾性率(G”)が10〜300Pa、および損失正接( G”/G’)が0.1〜0.8であり;ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基 を化学的に結合した光反応性ヒアルロン酸誘導体を加熱処理した後に、該熱処理 光反応性ヒアルロン酸誘導体に紫外線を照射して該光反応性架橋基同士を架橋さ せ、さらに該架橋生成物を再度加熱処理して得られるハイドロゲルであることを 特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲル。 10. ゲルのエンドトキシン含量が0.25エンドトキシンユニット(EU)/ g以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲル。 11. ヒアルロン酸の官能基に光反応性架橋基を化学的に結合した光反応 性ヒアルロン酸誘導体を0.5〜10重量%含む水性媒体溶液に紫外線を照射し て;該光反応性架橋基同士の二量体化により分子間および/または分子内に架橋 を形成させて、網目構造とすることを特徴とする光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造 方法。 12. 光反応性ヒアルロン酸誘導体の水性媒体溶液に紫外線を照射する前 および/または後に加熱処理する請求項11記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルの製 造方法。 13. 加熱処理が高圧蒸気により100〜125℃で5〜30分熱処理す ることを特徴とする請求項12に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルの製造方法。 14. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルか らなる医用材料。 15. 癒着防止効果を有することを特徴とする請求項14記載の医用材料 。 16. 架橋ヒアルロン酸ゲルと、該ゲルが取り出し可能な状態で入った容 器より構成される医用材料キット。 17. 該容器が該ゲルを注入のために押し出し注出可能な容器である請求 項16記載の医用材料キット。 18. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光架橋ヒアルロン酸ゲルと 、該ゲルが取り出し可能な状態で入った容器より構成される医用材料キット。 19. 該容器が該ゲルを注入のために押し出し注出可能な容器である請求 項18記載の医用材料キット。
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