JPWO2004081054A1 - 光架橋多糖組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

多糖に光反応性基が結合してなる光反応性多糖と、該光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒と、水性溶媒混和性を有するアルコール、界面活性剤およびキレート剤からなる群から選択される何れか一つの物質とを少なくとも含む光反応性多糖含有溶液を凍結させ、得られた凍結物に光を照射することを特徴とする光架橋多糖組成物の製造方法、および該製造方法により得られる光架橋多糖組成物。

Description

本発明は光反応性基が結合した光反応性多糖を架橋させてなる光架橋多糖組成物およびその製造方法に関する。
多糖の架橋ゲルを得るための技術の一例としては、架橋剤としてジグリシジルエーテルを用いてコンドロイチン硫酸(以下、CSとも言う)を架橋させてゲル化させる例がEur J.Pharm Sci 2002 Mar;15(2):139−48に記載されている。しかし、このような架橋剤を使用すると、コンドロイチン硫酸と架橋剤の反応と同時に架橋反応が起こるため、未反応の架橋剤をゲルから除去するのが困難であるという問題点が存在した。
そこで、架橋剤の除去が容易である光反応性多糖を光架橋させる技術が開発されている。例えば光架橋基を予めグリコサミノグリカンに結合して、光反応性グリコサミノグリカンを得、これを精製することにより未反応の架橋剤を除去した後、光を照射して架橋グリコサミノグリカンを得る技術が知られている(特開平6−73102号)。この文献には、コンドロイチン硫酸に光架橋基を結合させて光反応性コンドロイチン硫酸を得、これをリン酸緩衝生理的食塩水に溶解した後、溶液状態で水銀ランプを用いて紫外線を照射してゲル化させる技術が記載されている。しかし、かかる方法によって架橋グリコサミノグリカンのゲルを得ようとしても、溶液状態での架橋反応では、架橋の効率が悪く、高い濃度(10%以上)の光反応性グリコサミノグリカンを含む水溶液を調製して光を照射しなければならず、必ずしも効率の良い方法とは言うことができなかった。
一方、光反応性多糖を効率よく架橋させる技術として、例えばグリコサミノグリカンに光架橋基を結合させた光反応性グリコサミノグリカンを水性溶媒に溶解した溶液を凍結させて、凍結状態を保ったまま光を照射して架橋させる技術が知られている(WO02/060971)。この方法では、極めて優れた給排水性を有するスポンジ(多孔質)性状を示す架橋グリコサミノグリカンが特異的に得られ、ゲル性状を示す架橋グリコサミノグリカンは得られなかった。
光反応性基が結合してなる光反応性多糖を効率よく容易に架橋させることが出来、ゲル性状を得ることが出来る光架橋多糖の製造方法が望まれていた。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、光反応性多糖と、水性溶媒混和性を有するアルコール、界面活性剤またはキレート剤の何れか一つの物質とを水性溶媒に溶解した溶液を凍結させ、得られた凍結物に光を照射した後、これを必要に応じて溶融させることにより、容易に、ゲル性状のものも得られ、また、当該方法により光反応性多糖が容易に且つ非常に効率良く架橋するという知見を得、この知見に基づき、本発明を完成した。
すなわち本発明は以下の(1)〜(18)に関する。
(1) 多糖に光反応性基が結合してなる光反応性多糖と、該光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒と、水性溶媒混和性を有するアルコール、界面活性剤およびキレート剤からなる群から選択される何れか一つの物質とを少なくとも含む光反応性多糖含有溶液を凍結させ、得られた凍結物に光を照射することを特徴とする光架橋多糖組成物の製造方法。
(2) アルコールが、前記光反応性多糖の水性溶媒溶液に該アルコールを添加して凍結させ、凍結体を得た後、温度を上昇させていった場合に、−7℃以下では凍結状態を保持している性質を有するアルコールである上記(1)記載の方法。
(3) アルコールが、下記式(I)で表される上記(1)又は(2)の何れか一項に記載の方法。
Figure 2004081054
ただし、上記式中、Rは、
炭素数1〜10の鎖状アルキル、
炭素数3〜10の分岐を有するアルキル、
Figure 2004081054
および
Figure 2004081054
からなる群から選択される。
(4) 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤又はアニオン界面活性剤である上記(1)記載の方法。
(5) 非イオン性界面活性剤がポリエチレングリコールであり、アニオン界面活性剤がアルキル硫酸塩である上記(4)記載の方法。
(6) キレート剤が、オキシカルボン酸類またはポリアミノカルボン酸類から選択される上記(1)記載の方法。
(7) オキシカルボン酸類がクエン酸であり、ポリアミノカルボン酸類がエチレンジアミン四酢酸である上記(6)記載の方法。
(8) 光反応性多糖を構成する多糖が、ヘテログリカン、ホモグリカン、またはそれらの誘導体である上記(1)〜(7)の何れか一項に記載の方法。
(9) ヘテログリカンが、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸およびケラタン硫酸からなる群から選択されるグリコサミノグリカンであり、ホモグリカンが、アルギン酸およびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される酸性ホモグリカンである上記(8)記載の方法。
(10) グリコサミノグリカン誘導体が、脱硫酸化および/または酸化還元誘導体である上記(8)記載の方法。
(11) 脱硫酸化誘導体が、ヘパリンのN−アセチルグコサミン残基の6位水酸基に結合した硫酸基を除去した6−O−脱硫酸化ヘパリンである上記(10)記載の方法。
(12) 多糖の重量平均分子量が1,500以上500,000以下であることを特徴とする上記(1)〜(11)の何れか一項記載の方法。
(13) 光反応性多糖における光反応性基が、多糖のカルボキシル基に結合してなることを特徴とする上記(1)〜(12)の何れか一項記載の方法。
(14) 光反応性多糖含有溶液中に光反応性多糖が0.5〜10%含有する溶液である上記(1)〜(13)の何れか一項記載の方法。
(15) 光反応性多糖が、分子量1,500以上100,000以下のグリコサミノグリカンである上記(14)記載の方法。
(16) 光反応性基を結合してなる光反応性多糖と、該光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒と、水性溶媒混和性を有するアルコール、界面活性剤およびキレート剤からなる群から選択される何れか一つの物質とを少なくとも含む光反応性多糖含有溶液を凍結させ、得られた凍結物に光を照射した後、当該凍結物を溶融させて得られる光架橋多糖組成物。
(17) 回転粘度計による標準コーン(1度)、20℃の条件下で測定される粘度が、300〜30,000mPa・Sであり、且つ、ゲル状を示す上記(16)記載の光架橋多糖組成物。
(18) 上記(17)記載の光架橋多糖組成物が、該組成物を押し出し可能な注入具に充填された光架橋多糖組成物注入用キット。
第1図は、PEG400(2%)、PEG4000(2%)、クエン酸(2%)、クエン酸(4%)、SDS(4%)、EDTA(4%)及びd−ソルビトール(8%)を各々添加し得られた光架橋CS組成物と、対照の光架橋CSの性状を示す写真である。
第2図は、実施例6における、PEG400(2%)、PEG4000(2%)及びクエン酸を各々添加し得られた光架橋多糖組成物と、対照についてのオシレーションテストの結果である。図中、菱形は試料1mLの貯蔵弾性率(G’)、四角は試料1mLの損失弾性率(G”)、三角は損失正接(tanδ:(G”/G’))を示す。左側の縦軸の目盛は応力(Pa;パスカル)を、右側の縦軸の目盛は損失正接を示す。横軸の目盛は周波数(Hz;ヘルツ)を示す。
第3図は、PEG4000(2%)、SDS(4%)及びEDTA(4%)を各々添加し得られた光架橋CS組成物と、対照の光架橋CSの性状を示す写真である。
以下、本発明を発明の実施の形態により詳説する。
本発明は、多糖に光反応性基が結合してなる光反応性多糖と、該光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒と、水性溶媒混和性を有するアルコール、界面活性剤及びキレート剤からなる群から選択される何れか一つの物質とを少なくとも含む光反応性多糖含有溶液を凍結させ、得られた凍結物に光を照射することを特徴とする光架橋多糖組成物の製造方法に関する(以下、「本発明製造方法」とも言う)。
更に、本発明は、光反応性基を結合してなる光反応性多糖と、該光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒と、水性溶媒混和性を有するアルコール、界面活性剤及びキレート剤からなる群から選択される何れか一つの物質とを少なくとも含む光反応性多糖含有溶液を凍結させ、得られた凍結物に光を照射した後、当該凍結物を溶融させて得られる光架橋多糖組成物に関する(以下、「本発明組成物」とも言う)。
本発明製造方法において用いられる光反応性多糖を構成する多糖とは、ヘテログリカンもしくはホモグリカンまたはそれらの誘導体があげられる。なお、光反応性多糖を構成する多糖とは、本発明組成物における光架橋多糖を構成する多糖と同一である。
ヘテログリカンとは二種類以上の異なる単糖を構成糖とする多糖であり、本発明においては、特にグリコサミノグリカン又はその誘導体が好ましい。グリコサミノグリカン(以下、GAGとも言う。)とは、アミノ糖とウロン酸(又はガラクトース)を含む基本骨格からなる多糖である。例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸が挙げられ、好ましくは、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸及びヘパリンが挙げられ、更に好ましくはコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸及びヘパリンが挙げられる。
この様なグリコサミノグリカンの誘導体とは、GAGに硫酸基を結合させた硫酸化誘導体、GAGから硫酸基を部分的又は完全に除去した脱硫酸化誘導体、GAGを酸化還元反応に付した酸化還元誘導体、GAGを酸化還元反応および脱硫酸化反応に付した酸化還元−脱硫酸化誘導体などが挙げられる。硫酸化誘導体としては、硫酸化ヒアルロン酸やコンドロイチンポリ硫酸などが挙げられ、脱硫酸化誘導体としては、6位脱硫酸化ヘパリン(WO00/06608)、2位脱硫酸化ヘパリン(特開2003−113090)及び完全脱硫酸化ヘパリン等が挙げられ、酸化還元−脱硫酸化誘導体としては、過ヨウ素酸酸化還元−脱硫酸化ヘパリン(特開平11−310602)等が挙げられる。中でも脱硫酸化誘導体及び酸化還元−脱硫酸化誘導体が好ましく、特に脱硫酸化誘導体が好ましい。
一方、ホモグリカンとは一種類の単糖を構成糖とする多糖であり、本発明においては、グルカン(アミロース、セルロース等)、マンナン、グリクロナン(ペクチン酸、アルギン酸等)、ポリグリコサミン(キチン、コロミン酸等)、ポリガラクトサミン等が例示され、より好ましくはグルカン、アルギン酸が挙げられ、特に好ましくはセルロース及びアルギン酸が挙げられる。
この様なホモグリカンの誘導体とは、カルボキシメチルセルロース等の様なカルボキシメチル誘導体、ヒドロキシメチルセルロース等の様なヒドロキシメチル誘導体、キトサン等の様な脱アセチル化誘導体等が挙げられる。本発明においては、特に水溶性を呈する誘導体が好ましい為、カルボキシメチル誘導体及びヒドロキシメチル誘導体が好ましく、カルボキシメチル誘導体がより好ましく、中でもカルボキシメチルセルロース(以下、CMCとも言う。)が最も好ましい。
なお、アルギン酸およびCMCはいずれも酸性ホモグリカンである。
また、本発明においては、上記で例示した多糖を2種類以上混合して使用しても構わない。
本発明に用いる多糖の重量平均分子量は1,500以上500,000以下であることが好ましく、1,500以上250,000以下であることがより好ましく、1,500以上150,000以下であることが更に好ましく、1,500以上100,000以下であることが最も好ましい。
なお、従来、比較的低分子量のGAGに光反応性基を結合してなる光反応性GAGを溶解した溶液に、光照射し、架橋させ、ゲル状の光架橋GAGを得る技術は、条件設定等が困難であり難しかった。しかし、本発明製造方法を用いると、比較的低分子量の多糖からなる光反応性多糖を用いても、極めて容易にゲル性状の光架橋多糖組成物を得ることが出来る。
本発明に用いる多糖は、天然物由来でも、化学的に合成したり、遺伝子工学的手法により酵母等の微生物に生産させたものであっても良い。GAGに関しては、一般的には生物材料(鶏冠、臍帯、軟骨、皮膚、小腸、血管など)から抽出することで調製することが可能であり、好ましい。
本発明における光架橋多糖を構成する光反応性基(光架橋基)とは、光反応性多糖を構成する光反応性残基からなる架橋基である。光反応性残基としては、紫外線照射によって光二量化反応又は光重合化反応を生じる化合物の残基であれば良く、具体例としては、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸、クマリン、チミン等が挙げられる。なお、置換ケイ皮酸としては、例えばベンゼン環の何れかの水素がアミノ基に置換したケイ皮酸であるアミノケイ皮酸(好ましくはp−アミノケイ皮酸)が挙げられ、アクリル酸誘導体としては、例えばチオフェンアクリル酸、フリルアクリル酸等が挙げられる。
これら光反応性残基の中でも、光反応によりシクロブタン環を形成可能なビニレン基を有したものであることが好ましく、光反応性及び安全性の面から、ケイ皮酸または置換ケイ皮酸が特に好ましく、置換ケイ皮酸としては中でもアミノケイ皮酸が好ましい。
また、本発明においては、光反応性多糖を形成した時に、光反応性残基と多糖の両方に結合して一定の距離を保つためのスペーサーを含んでいても構わない。本発明において使用される光反応性基(光架橋基)は光反応性残基とスペーサーが結合していても良く、スペーサーを介して多糖に結合していることが好ましい。従って、ケイ皮酸又は置換ケイ皮酸にスペーサーが結合した誘導体が、光反応性基としては最も好ましく、光架橋基としても最も好ましい。
本発明においては、ケイ皮酸、置換ケイ皮酸、チミン等の光反応によって光二量化反応又は光重合化反応を惹起する官能基を「光反応性残基」とし、光反応性残基のみと、光反応性残基にスペーサーが結合した置換基の両方を「光反応性基」又は「光架橋基」と定義する。
上述の様に最も好ましい光架橋基の具体例としては、ケイ皮酸のカルボキシル基に、アミノアルコール(HN−(CH−OH:n=1〜18、又はHN−(CH−O)−CH−OH:m=1〜9)がエステル結合したケイ皮酸アミノアルキルエステル誘導体、ジアミン(HN−(CH−NH:l=1〜10)やジオール(HO−(CH−OH:k=1〜10)がケイ皮酸又は置換ケイ皮酸に導入された誘導体、アミノ酸(HOOC−(CHR)−NH:j=1〜10)やペプチドなどを置換ケイ皮酸(アミノケイ皮酸)に導入した誘導体などが挙げられる。中でも、ケイ皮酸のカルボキシル基にアミノアルコールが導入された誘導体(ケイ皮酸アミノアルキルエステル)が好ましく、アミノアルコールは上記一般式においてnが1〜18が好ましく、特に3〜6が好ましく、3〜4が極めて好ましい。
本発明製造方法において用いられる光反応性多糖の多糖と光反応性基が結合している部位、つまり、本発明組成物における光架橋多糖の多糖と光架橋基の結合している部位は、用いる多糖と用いる光反応性基(光架橋基)各々が有する官能基により選択可能であり、特に限定されない。例えば、多糖としてヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸及びその誘導体等のGAGを用いる場合には、当該結合部位としてはアミノ基(アセチルアミノ基又はスルファミノ基として存在する)、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられるが、特にカルボキシル基が好ましい。一例として、ケイ皮酸アミノアルキルエステルを光反応性基(光架橋基)として使用し、多糖としてGAG又はその誘導体を使用する場合には、アミノアルキルのアミノ基とGAG又はその誘導体のカルボキシル基とがアミド結合することによって光反応性基(光架橋基)がGAGに結合される。
本発明製造方法において用いられる光反応性多糖の光反応性基の導入率は、0.1〜75%、好ましくは0.3〜70%であり、上述の様に、本発明組成物における光架橋多糖の光架橋基の導入率も、0.1〜75%、好ましくは0.3〜70%である。光反応性基(光架橋基)の多糖への導入反応は、例えば特開平6−073102号等に記載の方法に従い行うことが可能であり、また、この導入率の値は、反応させる多糖のモル数と光反応性基(光架橋基)のモル数とを調節することにより、適宜変更や調節することが可能である。なお、導入率は、後述の測定例1記載の方法により測定することが出来る。
本発明におけるアルコール、界面活性剤及びキレート剤からなる群から選択される何れか一つの物質(以下、本発明添加物質とも言う)とは、水性溶媒混和性を有する限りにおいて特に限定はされない。
アルコールとしては、下記式(I)で示されるアルコールが挙げられる。
Figure 2004081054
ただし、上記式中、Rは、
炭素数1〜10の鎖状アルキル、
炭素数3〜10の分岐を有するアルキル、
Figure 2004081054
および
Figure 2004081054
からなる群から選択される。
炭素数1〜10の鎖状アルキルとしてはメチル、エチル等が、炭素数3〜10の分岐を有するアルキルとしてはイソプロピル、t−ブチル等が挙げられる。
上記の様なアルコールとしては、低級アルコール、多価アルコールまたは糖アルコールが挙げられる。
低級アルコールとしては、炭素数が1〜10、より好ましくは1〜8のアルコールが挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール等が例示される。多価アルコールとは、すなわち、分子内に存在するヒドロキシル基が2個以上であるアルコールであり、より好ましくは3個以上のヒドロキシル基を有するアルコールが挙げられる。例えば、エチレングリコール、グリセリンが挙げられ、エチレングリコール(PEG)が好ましい。また、糖アルコールとしては、鎖状の糖アルコールであっても、環式糖アルコールであっても使用することは可能であるが、鎖状の糖アルコールが好ましい。糖アルコールとしては、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトールなどが好ましく挙げられるが、マンニトール、キシリトール、ソルビトールがより好ましく、マンニトール又はソルビトールが更に好ましく挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤又はアニオン界面活性剤が好ましく挙げられ、中でも、非イオン界面活性剤としてはポリエチレングリコールが、アニオン界面活性剤としてはアルキル硫酸塩が挙げられ、特にドデシル硫酸ナトリウムが好ましく挙げられる。
キレート剤としては、クエン酸の様なオキシカルボン酸類やエチレンジアミン四酢酸の様なポリアミノカルボン酸類が挙げられる。
更に、本発明添加物質、特に上記アルコールは、光反応性多糖の水性溶媒溶液に本発明添加物質を添加し凍結させ、凍結体を得た後、温度を上昇させていった場合に、−7℃以下では当該凍結体が凍結状態を保持している性質を有していると好ましい。ここで凍結状態とは完全に凝固している状態をいう。また、ゲル性状を有する本発明組成物を製造するには、本発明製造方法に従い光照射をした際に生成する架橋体が不溶性固形物にならない性能を有している本発明添加物質が好ましく用いられる。
なお、後述の通り、本発明組成物は医療または医薬用途に用いることが可能であり、その様な用途に用いる際は、本発明添加物質として少なくとも水性溶媒混和性と高い生体適合性を有する物質を選択する必要がある。
本発明製造方法における光反応性多糖含有溶液の溶媒は、光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒であり、水を含んでいる限りにおいて特に限定はされないが、溶液には塩が含まれていても構わない。すなわち、水または水を含む溶液を水性溶媒として、光反応性多糖と本発明添加物質とを溶解しうる溶媒を用いることが出来る。水性溶媒としては、例えば、水、注射用水、生理食塩水、またはTris−HCl緩衝液やリン酸緩衝生理的食塩水等の緩衝液等を用いることが出来る。
本発明製造方法における光反応性多糖含有溶液中での光反応性多糖の濃度は、0.5〜10%(w/w)、好ましくは0.8〜8%(w/w)、最も好ましくは1〜6%(w/w)が例示される。また、光反応性多糖含有溶液中での本発明添加物質の濃度は0.5〜10%(w/w)、より好ましくは0.8〜9%(w/w)、最も好ましくは1〜8%(w/w)が例示される。
なお、本発明製造方法の好ましい態様として、光反応性多糖を構成する多糖の分子量と溶液中での光反応性多糖の濃度との関係からみると、分子量1,500〜100,000であり、且つ、濃度0.5〜10%が好ましく、分子量1,500〜100,000であり、且つ、濃度0.8〜8%が更に好ましく、分子量1,500〜100,000であり、且つ、濃度1〜6%が最も好ましい。上記の様な条件では、従来の光架橋方法でゲル状の光架橋多糖を得ることが難しかったが、本発明製造方法により容易にゲル状組成物を得ることができる。
光反応性多糖含有溶液の凍結を行なう温度条件は、該溶液が凍結する条件下であれば特に限定はされない。凍結は溶液が完全に凝固する必要はなく、溶液が部分的に凝固している固液混相のいわゆる「シャーベット状」を呈する程度の温度条件であってもよい。従って、本発明製造方法における「凍結」は、かかる固液混相の状態も包含する概念である。しかし、最も好ましい「凍結を行なう温度条件」は、溶液が完全に凝固して固化する温度条件であり、例えば0℃以下、好ましくは−5℃以下、より好ましくは−7℃以下、さらに好ましくは−15℃以下、最も好ましくは−20℃以下が挙げられる。
光の照射は、光反応性残基が光二量化反応又は光重合化反応を効率的に起こす程度の条件でなされることが好ましい。照射する光線の種類としては、紫外線が好ましく挙げられ、紫外線としては、多糖のグリコシド結合を切断せず且つ光反応性残基に光架橋反応を生じさせる波長(例えば200〜600nm)の紫外線が選択される。紫外線ランプとしては、高圧水銀ランプ又はメタルハライドランプが好ましい。更に、それらランプにより発生した紫外線の不要波長光を、例えばカットフィルター等で除去することが好ましい。カットフィルターとしては、専用の加工フィルターが好ましいが、不要波長光をカット出来るのであれば市販の硬質ガラスでも十分に対応させることができる。
照射光量は、光反応性多糖が十分に光架橋反応を起こすことができる光量である必要があり、具体的には例えば280nmの紫外線で500mJ/cm以上、好ましくは2500mJ/cm以上、最も好ましくは4000mJ/cm以上である。なお、光量計に1/10減光フィルターを取り付けて使用した際、光量計上の数値は、実際の照射光量の1/10の値が表示されるが、上記範囲は実際の照射光量である。
本発明組成物は、本発明製造方法により得られる光架橋多糖組成物であり、上述の様に、光反応性基を結合してなる光反応性多糖と、該光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒と、水性溶媒混和性を有する本発明添加物質とを少なくとも含む溶液を凍結させ、得られた凍結物に光を照射した後、当該凍結物を溶融させて得られうる。
つまり、本発明組成物は、光架橋多糖と、光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒と、水性溶媒混和性を有する本発明添加物質とを少なくとも含む光架橋多糖組成物であり、本発明組成物は、水性溶媒を含む溶液を凍結し、光架橋反応を行った後、溶融させており、水を含む。
本発明組成物は、光反応性多糖含有溶液と比べて高い粘弾性を有しており、水分を豊富に含むヒドロゲルであるゲル性状又は水分の吸排水性に優れたスポンジの性状を示すが、特にゲル性状を示すものが好ましい。一般にゲル状やスポンジ状など粘弾性を有する物質の性状を数値を用いて明確に区分することは難しいが、ゲルの物性を粘弾性で示すのに、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)及び損失正接(tanδ:G”/G’)等の動的弾性率や粘度を用いることができる。
例えば、後述の様に本発明組成物を注射用シリンジ等の注入具に充填して用いる場合は、ゲル性状を有する本発明組成物が好適であり、その中でも下記の様な弾性率又は粘度を有するものが好ましい。コントロールストレス制御式レオメーター(英Carri−Med社製)により測定される弾性率を指標とした場合には、37℃条件下で0.01〜10Hzまで連続的に変化させて測定したときに、貯蔵弾性率(G’)として、好ましくは0.1〜800Pa、損失弾性率(G’’)として、好ましくは1〜180Paを示し、損失正接(G”/G’)は、好ましくは0.1〜0.8を示す。尚、貯蔵弾性率が高く、損失弾性率が低い場合は、弾性が強く、固いゲルとなり、逆の場合は、粘性の強いゲルであることが知られている。また、回転粘度計により標準コーン(1度)、20℃の条件下で測定される本発明組成物1mLの粘度を指標とした場合には、300〜30,000mPa・Sが好ましく、300〜20,000mPa・Sがより好ましい。
本発明組成物における光架橋多糖は、架橋率0.5〜80%、より好ましくは1.5〜75%、最も好ましくは5〜70%を示す。なお、架橋率は、多糖に導入された光架橋基のモル数に対する二量体のモル数の2倍のモル数の比(百分率)として表される。例えば光反応性残基としてケイ皮酸又は置換ケイ皮酸を用い、多糖としてGAGを用いた場合には、測定例2に記載した方法で架橋率を算出することができる。
本発明組成物における光架橋多糖の濃度は、上記光反応性多糖含有溶液中での光反応性多糖の濃度と同じであり、0.5〜10%(w/w)、好ましくは0.8〜8%(w/w)、最も好ましくは1〜6%(w/w)が例示される。また、本発明組成物における本発明添加物質の濃度は、光反応性多糖含有溶液中での本発明添加物質の濃度とほぼ同じであり、0.5〜10%(w/w)、より好ましくは0.8〜9%(w/w)、最も好ましくは1〜8%(w/w)が例示される。
本発明組成物は、例えば創傷部の保護のための医用材料(創傷被覆材)、生体内の空間を保持するための医用材料(空隙保持材)、骨等の結合組織の空洞を充填するための医用材料(骨充填材)、人工体液(人工関節液、人工涙液、眼科用手術補助材等)、生体表面等の保湿のための材(保湿材)、医薬などの剤型を保持するために添加する添加剤(賦形剤)、細胞培養における細胞の足がかりとするための基材(細胞培養用基材)等に使用することが可能である。特に、ゲル性状を有する本発明組成物は、粘性が高い流動体という特徴的な性状により、上記用途に使用することがより好適であり、また、本発明組成物を押出可能な注入具に充填した形態で上記医療用途に使用される注入用キットとして用いることも可能である。
なお、押出可能な注入具とは、薬剤押出用プランジャー等を具備し、充填されている薬剤を押出可能な注入具であり、通常用いられているものを用いることが可能である。
以下、本発明をより具体的に説明する。
測定例1
光架橋基の導入率の測定方法
多糖における光反応性基(光架橋基)の導入率は、多糖の繰り返し二糖単位あたりに導入された光反応性基の数を百分率で表した値を意味する。導入率の算出に必要な多糖の量は、検量線を利用したカルバゾール測定法により測定し、光反応性残基としてケイ皮酸又はアミノケイ皮酸を使用した場合の光反応性残基の量は、検量線を利用した吸光度測定法(測定波長269nm)により測定した。ただし、カルバゾール測定法が利用できない場合は、検量線を利用した乾燥減量法により測定した。
測定例2
架橋率の測定方法
架橋率は1mol/lの水酸化ナトリウム1mLで被検物質1gを1時間鹸化した後、得られた溶液を酸性にして酢酸エチルで光反応性基由来物(光反応性残基の単量体及び二量体)を抽出し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって解析し、検量線を利用して二量体の量を測定した。そして多糖に導入された光反応性基に対する二量体となった光反応性基のモル数を百分率(%)により算出した。
以下の実施例において、特に断らない場合は%は重量%を示す。
コンドロイチン硫酸を用いた本発明組成物
(1)サメ軟骨由来のコンドロイチン硫酸(本明細書において、CSとも言う。商品名:コンドロイチン硫酸C、生化学工業株式会社製、重量平均分子量:45,000)1gを蒸留水100mLに溶解させ、1,4−ジオキサン50mLを加えた。次いで、N−ヒドロキシスクシンイミド(以下、HOSuとも言う。)182mg、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(以下、EDCI・HClとも言う。)152mg、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩(HCl・HN(CHOCOCH=CH−Ph:Phはフェニル基を示す。)192mgを順次添加し、室温で2時間反応させ、塩化ナトリウム(以下、NaClとも言う)1g添加後にエタノールに注ぎ込んで沈殿を析出させた。沈殿を洗浄回収後、40℃で減圧乾燥を行ってHN−(CH)OCOCH=CH−PHがCSのカルボキシル基に結合した光反応性CS1gを得た。測定例1に従い測定した光反応性CSへの光反応性基の導入率は、5.3%であった。
(2)上記(1)で得られた光反応性CSを、重量濃度が3%となるように5mmol/Lリン酸緩衝液に溶解させた後、d−ソルビトールを重量濃度が6%となるように溶解させ、反応溶液とした。反応溶液を0.22μmのメンブレンフィルター(日本ミリポア株式会社製)でろ過した後、間隙が1mmとなるよう調節したガラス板に流し込み、−20℃雰囲気下で反応溶液を凍結させた。凍結状態を維持したまま800W高圧水銀ランプ(オーク製作所製)を用いて照射光量が5000mJ/cmとなるよう紫外線照射を行った。照射後、室温に戻して融解させるとゲル状の光架橋CS組成物が得られた。測定例2に従って架橋率を測定したところ33%であった。
コントロールストレス制御式レオメーター(英Carri−Med社製:アクリルパラレルプレート 直径4cm、0°)を用いて、37℃で0.01〜10Hzまで連続的に変化させて測定を行なったところ、試料1mLの貯蔵弾性率(G’)は8.1〜70.5Pa、損失弾性率(G’’)は5.6〜29.7Paであった。
一方、対照として、光反応性CSを重量濃度が3%となるように5mmol/Lリン酸緩衝液に溶解させた溶液を、上記と同様に光架橋反応に付した後、室温に戻して融解させて光架橋CSを得た。当該光架橋CSはスポンジ化しており、ゲル状の光架橋CSは得られなかった。
デルマタン硫酸を用いた本発明組成物
(1)鶏冠由来のデルマタン硫酸(生化学工業株式会社製、重量平均分子:30,000、以下、DSとも言う。)1gを蒸留水100mLに溶解させ、1,4−ジオキサン50mLを加えた後、HOSu 46mg、EDCI・HCl 38mg、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩48mgを順次添加し、室温で2時間反応させ、NaCl 1g添加後にエタノールに注ぎ込んで沈殿を析出させた。沈殿を洗浄回収後、40℃で減圧乾燥を行い、HN−(CH)OCOCH=CH−PHがカルボキシル基に結合した光反応性DS1gを得た。光反応性DSへの光反応性基の導入率を測定例1に従って測定したところ5.8%であった。
(2)上記(1)で得られた光反応性DSを、重量濃度が3%となるように5mmol/Lリン酸緩衝液に溶解させた後、d−ソルビトールを重量濃度が1.5%となるように溶解させ反応溶液とした。実施例1と同様の手順にて、照射光量が7000mJ/cm2となる様に当該反応溶液を光架橋反応させ、照射後、室温に戻して融解させてゲル状の光架橋DS組成物を得た。測定例2に従って架橋率を測定したところ36%であった。
一方、対照として光反応性DSを、重量濃度が3%となるように5mMリン酸緩衝液に溶解させた溶液を、上記と同様に光架橋反応後、融解させて得られた光架橋DSはスポンジ化しており、ゲル状の光架橋DSは得られなかった。
ヘパリン誘導体を用いた本発明組成物
(1)ブタ小腸由来ヘパリンの誘導体である6−O−脱硫酸化ヘパリン(WO00/06608に記載された方法に従って調製したヘパリンの誘導体、重量平均分子量:約9,000。以下、6−O−脱硫酸化Hepとも言う。)3gを蒸留水100mLに溶解させ、1,4−ジオキサン50mLを加えた後、HOSu615.8mg、EDCI・HCl 513.4mg、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩648.1mgを順次添加し、室温で2時間反応させ、NaCl3g添加後にエタノールを注ぎ込んで沈殿を析出させた。沈殿を洗浄回収後、40℃で減圧乾燥を行い、光反応性6−O−脱硫酸化Hep2.7gを得た。測定例1に従い測定した光反応性基の導入率は、65.5%であった。
(2)上記(1)で得られた光反応性6−O−脱硫酸化Hepを重量濃度が4%となる様に注射用水に溶解させた後、d−ソルビトールを重量濃度が7%となるように溶解させ、反応溶液とした。反応溶液を0.22μmのマイクロフィルター(ミリポア社製)でろ過した後、間隙が1mmとなるよう調節したパイレックス板に流し込み、−20℃雰囲気下で凍結させた。凍結状態を維持したまま800W高圧水銀ランプを用いて照射光量が5000mJ/cmとなるよう紫外線照射を行った。光照射後、室温に戻して融解させると、ゲル状の光架橋6−O−脱硫酸化Hep組成物が得られた。測定例2に従い架橋率を測定したところ、67.6%であった。また、回転粘度計(TOKIMEC社製)を用いて、標準コーン(1度)、20℃条件下にて粘度を測定したところ、光架橋6−O−脱硫酸化Hep組成物1mLの粘度は9840mPa・sであった。
一方、対照として、光反応性6−O−脱硫酸化Hepを重量濃度3%となる様に注射用水に溶解させた溶液を、上記と同様に光架橋反応させ、光照射後、融解させて得られた光架橋6−O−脱硫酸化Hepはスポンジ化しており、ゲル状の光架橋6−O−脱硫酸化Hepは得られなかった。
(1)6−O−脱硫酸化Hep 3gを蒸留水100mLに溶解させ、1,4−ジオキサン50mLを加えた後に、HOSu205.8mg、EDCI・HCl 171.4mgケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩216.1mgを順次添加し、室温で2時間反応させ、NaCl3g添加後にエタノールに注ぎ込んで沈殿を析出させた。沈殿を洗浄回収後、40℃で減圧乾燥を行って、光反応性6−O−脱硫酸化Hep2.7gを得た。測定例1に従い測定した光反応性基の導入率は、16.0%であった。
(2)上記(1)で得られた光反応性6−O−脱硫酸化Hepを重量濃度が4%となるように注射用水に溶解させた後、d−ソルビトールを重量濃度が7%となる様に、ポリエチレングリコール400(以下、PEG400とも言う。)を重量濃度が4%となる様に各々溶解させ、反応溶液とした。実施例3(2)と同様の手順にて、各反応溶液を光架橋反応させた後、室温に戻して融解させ光架橋6−O−脱硫酸化Hep組成物を得た。両反応溶液とも、ゲル状の光架橋6−O−脱硫酸化Hep組成物であった。更に、得られた光架橋6−O−脱硫酸化Hep組成物について、測定例2に従い架橋率を測定し、回転粘度計を用いて、標準コーン(1度)、20℃条件下での粘度を測定した。尚、明らかに液状の検体にはRE−80L、ゲル状の検体にはRE−80Uを使用した。結果は、表1に示す。一方、d−ソルビトールが添加された反応溶液については、未照射の反応溶液についても粘度を測定した。
Figure 2004081054
一方、対照として光反応性6−O−脱硫酸化Hepを、重量濃度が3%となるように注射用水に溶解させ、上記と同様に光架橋反応に付した。得られた光架橋6−O−脱硫酸化Hepはスポンジ化しており、ゲル状の架橋6−O−脱硫酸化Hepは得られなかった。
(1)6−O−脱硫酸化Hep 1gを蒸留水100mLに溶解させ、1,4−ジオキサン50mLを加えた後に、HOSu 1371mg、EDCI・HCl 1142mg、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩1440mgを順次添加し、室温で3時間反応させ、NaCl 1g添加後にエタノールに注ぎ込んで沈殿を析出させた。沈殿を洗浄回収後、40℃で減圧乾燥を行い、光反応性6−O−脱硫酸化Hep1.1gを得た。測定法1に従い測定した導入率は、16.5%であった。
(2)上記(1)で得られた光反応性6−O−脱硫酸化Hepを重量濃度が4%となるように注射用水に溶解させた溶液に、PEG400を重量濃度4%、PEG4000を重量濃度2%、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を重量濃度4%、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)を重量濃度4%、クエン酸を重量濃度4%及び2%になる様に各々添加して溶解し、反応溶液とした。6種の反応溶液について、上記実施例3(2)と同様に光架橋反応を行い、光架橋6−O−脱硫酸化Hep組成物を得た。更に、得られた光架橋6−O−脱硫酸化Hep組成物について、回転粘度計を用いて、標準コーン(1度)、20℃条件下での粘度を測定した。結果は表2に示す。
尚、上記で得られた光反応性CSを重量濃度が4%となる様に注射用水に溶解させた溶液についても、上記と同様に粘度を測定したところ、76.8mPa・sであった。
Figure 2004081054
(1)サメ軟骨由来CS(ロット番号:N−251、生化学工業株式会社製、重量平均分子量:約30,000)5gを蒸留水150mLに溶解させ、1,4−ジオキサン75mLを加えた後に、HOSu13.7g、EDCI・HCl 11.4g、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩14.4gを順次添加し、室温で3時間反応させ、NaCl4g添加後にエタノールを注ぎ込んで沈殿を析出させた。沈殿を洗浄回収後、40℃で減圧乾燥を行って、光反応性CS4gを得た。測定例1に従い測定した光反応性基の導入率は、32.4%であった。
(2)上記(1)で得られた光反応性CSを重量濃度が4%となる様に注射用水に溶解させた後、PEG400、PEG4000及びクエン酸を重量濃度が2%又は4%となる様に各々添加し、SDS及びEDTAを重量濃度が4%となる様に各々添加し、d−ソルビトールを重量濃度が8%となる様に添加し、溶解させ反応溶液とした。これら9種の反応溶液について実施例3(2)と同様に光架橋反応を行い、光架橋CS組成物を得た。更に、測定例2に従い架橋率を測定し、回転粘度計を用いてコーン(1度)、20℃条件下での粘度を測定した。また、光架橋反応前の反応溶液についても同様に粘度を測定した。結果は表3に示す。
一方、対照として光反応性CSを、重量濃度が4%となるように注射用水に溶解させ、上記と同様に光架橋反応に付した。得られた光架橋CSはスポンジ化しており、ゲル状の架橋CSは得られなかった。
Figure 2004081054
PEG400(2%)、PEG4000(2%)、クエン酸(2%)、クエン酸(4%)、SDS(4%)、EDTA(4%)及びd−ソルビトール(8%)を各々添加し得られた光架橋CS組成物と、対照の光架橋CSの外観については、第1図(写真)の通りである。
更に、PEG400(2%)、PEG4000(2%)及びクエン酸(4%)を添加して得られた光架橋多糖組成物と、対照について、オシレーションテストを行った。つまり、コントロールストレス制御式レオメーター(TA Instrument製RA 2000)を用いて、37℃で、10Hzより開始し、0.01Hzまで連続的に変化させて測定を行ない、試料1mLの貯蔵弾性率(G’)と損失弾性率(G’’)を測定し、更に、粘弾性の指標として通常用いられるtanδ(G”/G’)を算出した(第2図)。
オシレーションテストの結果は、何れも貯蔵弾性率(G’)の方が損失弾性率(G”)より大きく(G’>G”)、つまり、本実施例で得られた物質は、弾性(G’)が高く、粘性(G”)が低い物質であることを示している。
(1)ブタ小腸由来ヘパリン(米SPF社製、重量平均分子量:約9,000、以下Hepとも言う。)5gを蒸留水150mLに溶解させ、1,4−ジオキサン75mLを加えた後に、HOSu615.8mg、EDCI・HCl 513.4mg、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩648.1mgを順次添加し、室温で2時間反応させ、NaCl3g添加後にエタノールを注ぎ込んで沈殿を析出させた。沈殿を洗浄回収後、40℃で減圧乾燥を行って、光反応性Hep4gを得た。測定例1に従い測定した光反応性基の導入率は、47.4%であった。
(2)上記(1)で得られた光反応性Hepを重量濃度4%となる様に注射用水に溶解させた後、PEG400、PEG4000、クエン酸、SDS、EDTAおよびd−ソルビトールを表4記載の濃度の通りに各々添加し、溶解させ反応溶液とした。これら8種の反応溶液について実施例6と同様に光架橋反応を行い、光架橋Hep組成物を得、架橋率及び粘度を測定した。また、光架橋反応前の未照射の反応溶液にっても同様に粘度を測定した。結果は表4に示す。
一方、対照として光反応性Hepを、重量濃度が4%となるように注射用水に溶解させ、上記と同様に光架橋反応に付した。得られた光架橋Hepはスポンジ化しており、ゲル状の架橋Hepは得られなかった。
Figure 2004081054
PEG4000(2%)、SDS(4%)及びEDTA(4%)を各々添加し得られた光架橋CS組成物と、対照の光架橋CSの外観については、第3図(写真)の通りである。
(1)カルボキシメチルセルロース(ナカライテスク製、以下CMCとも言う)1gを蒸留水150mLに溶解させ、1,4−ジオキサン75mLを加えた後に、HOSu324mg、EDCI−HCl285mg、ケイ皮酸アミノプロピル塩酸塩350mgを順次添加し、室温で3時間反応させ、NaCl1g添加後にエタノール600mLに注ぎ込んで沈殿を析出させた。沈殿を洗浄回収後、40℃で減圧乾燥を行って光反応性CMC1gを得た。光反応性基の導入率は、19.5%であった。
(2)上記(1)で得られた光反応性CMCを重量濃度が4%となるように注射用水に溶解させた後、PEG400を重量濃度が4%、d−ソルビトールを重量濃度が8%となるように各々溶解させ反応溶液とした。反応溶液を実施例3(2)と同様に光架橋反応を行ったところ、両方共に、ゲル状の光架橋CMC組成物を得た。
一方、対照として光反応性CMCを、重量濃度が4%となるように注射用水に溶解させ、上記と同様に光架橋反応に付したところ、スポンジ性状の光架橋CMCが得られた。
実施例8で得られたゲル状の光架橋CMC組成物2種とスポンジ状の光架橋CMCを、1mLシリンジに各々約0.3mL(約30mm)充填し、これを被検物質とした。各被検物質に、上からブルーデキストラン溶液0.2mLを静かに添加した後、4000rpm x 3分間遠心分離した。尚、1mLシリンジは、1mLを1cmに換算でき、一目盛りが1mmである。、浸透割合はブルーデキストラン溶液との接触表面からの目盛り幅で表す。その結果、スポンジ性状の光架橋CMCにおいては、ブルーデキストランは25mmまで浸透していたが、ゲル状の光架橋CMC組成物においては、ブルーデキストランの浸透が抑制されており、PEG400(4%)を添加して得られた光架橋CMC組成物が15mm、d−ソルビトール(8%)を添加して得られた光架橋CMC組成物が4mmであった。
更に、実施例6において、d−ソルビトール(8%)、PEG4000(2%)を各々添加して得られたゲル状の光架橋CS組成物と対照としたスポンジ状の光架橋CSを、1mLシリンジに約0.4mL充填した。これを被検物質として、上記と同様にブルーデキストラン溶液の浸透割合をみた。結果、d−ソルビトール(8%)を添加して得られた光架橋CS組成物においては、ブルーデキストラン溶液との接触表面から5mm、PEG4000(2%)を添加した得られた光架橋CS組成物においては4mmであり、何れもブルーデキストランの浸透が抑制されていた。しかし、スポンジ状の光架橋CSは17mmであり、ブルーデキストランの浸透性が高かった。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱すること無く様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2003年3月11日出願の日本特許出願(特願2003−065704)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
本発明により、新規な光架橋多糖組成物及びその製造方法を提供する。当該製造方法により光反応性多糖は、効率的に光架橋することが可能になる。更に、当該製造方法によると、注入具により注入可能なゲル性状の光架橋多糖組成物も容易に得ることが出来る為、当該ゲルの特異的な性状を利用した医療用途等に用いることが出来、有用である。

Claims (18)

  1. 多糖に光反応性基が結合してなる光反応性多糖と、該光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒と、水性溶媒混和性を有するアルコール、界面活性剤およびキレート剤からなる群から選択される何れか一つの物質とを少なくとも含む光反応性多糖含有溶液を凍結させ、得られた凍結物に光を照射することを特徴とする光架橋多糖組成物の製造方法。
  2. アルコールが、前記光反応性多糖の水性溶媒溶液に該アルコールを添加して凍結させ、凍結体を得た後、温度を上昇させていった場合に、−7℃以下では凍結状態を保持している性質を有するアルコールである請求の範囲1記載の方法。
  3. アルコールが、下記式(I)で表される請求の範囲1又は2の何れか一項に記載の方法。
    Figure 2004081054
    ただし、上記式中、Rは、
    炭素数1〜10の鎖状アルキル、
    炭素数3〜10の分岐を有するアルキル、
    Figure 2004081054
    および
    Figure 2004081054
    からなる群から選択される。
  4. 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤又はアニオン界面活性剤である請求の範囲1記載の方法。
  5. 非イオン性界面活性剤がポリエチレングリコールであり、アニオン界面活性剤がアルキル硫酸塩である請求の範囲4記載の方法。
  6. キレート剤が、オキシカルボン酸類またはポリアミノカルボン酸類から選択される請求の範囲1記載の方法。
  7. オキシカルボン酸類がクエン酸であり、ポリアミノカルボン酸類がエチレンジアミン四酢酸である請求の範囲6記載の方法。
  8. 光反応性多糖を構成する多糖が、ヘテログリカン、ホモグリカン、またはそれらの誘導体である請求の範囲1〜7の何れか一項に記載の方法。
  9. ヘテログリカンが、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸およびケラタン硫酸からなる群から選択されるグリコサミノグリカンであり、ホモグリカンが、アルギン酸およびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される酸性ホモグリカンである請求の範囲8記載の方法。
  10. グリコサミノグリカン誘導体が、脱硫酸化および/または酸化還元誘導体である請求の範囲8記載の方法。
  11. 脱硫酸化誘導体が、ヘパリンのN−アセチルグコサミン残基の6位水酸基に結合した硫酸基を除去した6−O−脱硫酸化ヘパリンである請求の範囲10記載の方法。
  12. 多糖の重量平均分子量が1,500以上500,000以下であることを特徴とする請求の範囲1〜11の何れか一項記載の方法。
  13. 光反応性多糖における光反応性基が、多糖のカルボキシル基に結合してなることを特徴とする請求の範囲1〜12の何れか一項記載の方法。
  14. 光反応性多糖含有溶液中に光反応性多糖が0.5〜10%含有する溶液である請求の範囲1〜13の何れか一項記載の方法。
  15. 光反応性多糖が、分子量1,500以上100,000以下のグリコサミノグリカンである請求の範囲14記載の方法。
  16. 光反応性基を結合してなる光反応性多糖と、該光反応性多糖を溶解しうる水性溶媒と、水性溶媒混和性を有するアルコール、界面活性剤およびキレート剤からなる群から選択される何れか一つの物質とを少なくとも含む光反応性多糖含有溶液を凍結させ、得られた凍結物に光を照射した後、当該凍結物を溶融させて得られる光架橋多糖組成物。
  17. 回転粘度計による標準コーン(1度)、20℃の条件下で測定される粘度が、300〜30,000mPa・Sであり、且つ、ゲル状を示す請求の範囲16記載の光架橋多糖組成物。
  18. 請求の範囲17記載の光架橋多糖組成物が、該組成物を押し出し可能な注入具に充填された光架橋多糖組成物注入用キット。
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