JPH1135549A - オキサミルのハプテン化合物、抗体及び測定方法 - Google Patents

オキサミルのハプテン化合物、抗体及び測定方法

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JPH1135549A
JPH1135549A JP9193718A JP19371897A JPH1135549A JP H1135549 A JPH1135549 A JP H1135549A JP 9193718 A JP9193718 A JP 9193718A JP 19371897 A JP19371897 A JP 19371897A JP H1135549 A JPH1135549 A JP H1135549A
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Kosuke Morimune
孝介 森宗
Shiyunichi Takewaki
俊一 竹脇
Shiro Miyake
司郎 三宅
Masaki Yamaguchi
優樹 山口
Yoshinori Beppu
佳紀 別府
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、オキサミルのハプテン化合物、抗
体及び測定方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明のハプテン化合物は、オキサミル
またはその部分にスペーサーアームおよび結合のための
官能基を共有結合させた構造を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、N,N−ジメチル
−2−メチルカルバモイルオキシイミノ−2−(メチル
チオ)アセトアミド(以下、本明細書中「オキサミル」
と言う)のハプテン化合物、抗原、抗体及びそのフラグ
メントに関する。
【0002】本発明は、さらに前記抗原、抗体及びその
フラグメントを用いた免疫学的測定方法に関する。
【0003】
【従来の技術】オキサミルは、以下の式(5):
【化6】 で表される構造を有する、カ−バメート系殺虫剤であ
る。カーバメート系殺虫剤は、化合物の構成元素として
ClやPを含まず、C、H、O、Nからなる、殺虫作用
を有する一群の化合物である。主なカ−バメート系殺虫
剤は、構造的に大きく三つに分類される。第一に、ナフ
チルまたは置換フェニル−N−メチル型、第二に複素環
N,N−二置換基型、そして第三にオキシム(−C=N
−O−)結合を分子内に持つオキシム型である。
【0004】オキサミルはこれらのうちオキシム型のカ
−バメート系殺虫剤であり、殺虫、殺線虫作用を有する
農薬として使用されている。水溶性が大きく作物の地上
部に施用された薬物が地下部に移行して、殺線虫力を発
揮するという特異な浸透殺虫作用を有する。オキサミル
は、接触及び通常の浸透殺虫力、地下部から吸収されて
地上部での殺虫力により、アザミウマ類(ミナミキイロ
アザミウマを含む)、アブラムシ類、線虫に対し効果を
示す(農薬ハンドブック 第62頁−第79頁)。
【0005】近年、土壌、水、大気等の環境中での残留
農薬や、最近特に増加してきた輸入農産物のポストハー
ベスト農薬等の残留に大きな社会的関心が寄せられてい
る。オキサミルについては、食品衛生法に基づき残留基
準値が、穀類(0.02ppm)、果実(0.5−5.
0ppm)、野菜(0.05−5ppm)、豆類および
いも類(0.1ppm)等、定められている(「最新農
薬の残留分析法」、前述)。環境や食品に関する安全確
保のためには、これらに含有される、オキサミルの量を
迅速、かつ正確に測定することが必要である。
【0006】従来、オキサミルは、果実、野菜等の試料
から抽出し、精製した後ガスクロマトグラフィー、高速
液体カラムクロマトグラフィー(HPLC)等により分
析されてきた。例えば、試料をアセトンで抽出して、フ
ロリジルカラムクロマトグラフィーで精製した後、ガス
クロマトグラフィーで分析する方法が採用されている。
これらの方法は、試料の調製が煩雑で多大の手間と時間
を必要とし、分析に熟練を有すること、並びに、測定装
置や設備等に高額の費用を必要とする等の問題点があ
る。オキサミルの測定は、特に輸入農産物等の残留農薬
の分析においては、短時間で膨大な数の試料の分析結果
を出す必要があり、精度面だけでなく、簡便性、迅速性
及び経済性をも具備した新規測定方法が要求されてきて
いる。
【0007】免疫学的測定方法は、抗体が抗原を特異的
に認識する、抗原抗体反応に基づいて抗原の検出を行う
方法であり、その優れた精度、簡便性、迅速性、経済性
から近年注目を集めてきている。免疫学的測定方法にお
いては検出方法として非常に多種の標識、例えば、酵
素、放射性トレーサー、化学発光あるいは蛍光物質、金
属原子、ゾル、ラテックス及びバクテリオファージが適
用されてきた。
【0008】免疫学的測定方法の中でも、酵素を使用す
る酵素免疫測定法(EIA)は特に優れたものとして広
く使用されるに至っている。酵素免疫測定法についての
優れた論評が、Tijssen P,“Practice and theory of e
nzyme immunoassays" in Laboratory techniques in bi
ochemistry and molecular biology, Elsevier Amsterd
am New York, Oxford ISBN 0-7204-4200-1 (1990) に記
載されている。
【0009】一般に、分子量が大きな分子については、
それ以上修飾することなく動物に接種することにより、
適当な免疫反応を惹起し、抗原を認識する抗体を産生さ
せることができる。しかし、オキサミルのような低分子
化合物は通常動物に接種したとき免疫応答を引き出すこ
とができない。これらの分子は免疫原性を有する高分子
化合物に結合させることによって初めて一団のエピトー
プとして行動し、T細胞受容体の存在下で免疫応答を起
こし、その結果、一群のBリンパ球により抗体が産生さ
れる。このように高分子化合物と結合させて初めて免疫
原性を生じる分子を総称して「ハプテン」という。
【0010】しかし、低分子化合物を高分子化合物と結
合させたものを抗原としても、得られた抗体は望む分子
を認識しないか、あるいはごく低い親和性しかもたない
場合がしばしばある。そのため、一般に低分子化合物そ
のものではなく、結合に利用できる官能基と共にスペー
サーアーム(結合手)を導入したものをハプテンとして
使用する必要がある。しかしその場合に、結合手/官能
基の配置、結合手の大きさ等の全ての問題を考慮して導
入が適切に行われたものを使用しないと、好ましい抗体
は得られない。適切な導入は個々の分子に応じて工夫し
なければならない。
【0011】特開平8−231591号公報は、カーバ
メート系化合物に対する抗体の一般的な製造方法を開示
している。しかしながら、オキサミルについては上記式
(1)においてna=3である化合物の合成を行ったに
止まっている(実施例4)。このように、その必要性が
非常に高かったにもかかわらず、オキサミルの抗体は本
発明前には得られていなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、オキサミル
に反応性を有する新規な抗体を作製するための抗原を構
成するハプテン化合物となる、当該化合物の誘導体を提
供することを目的とする。
【0013】本発明は、また、前記オキサミル誘導体と
高分子化合物又は標識物質との結合体を提供することを
目的とする。当該結合体はオキサミルに反応性を有する
抗体を作製するための抗原となる。
【0014】本発明は、さらに、オキサミルに強い親和
性を有する新規な抗体もしくはそのフラグメント、及び
その作製方法を提供することを目的とする。尚、本明細
書において抗体の「フラグメント」とは、抗原と結合可
能な抗体の一部分、例えばFab断片等を意味する。
【0015】本発明はその一態様において、オキサミル
に反応性を有するモノクローナル抗体を提供する。
【0016】本発明は、さらにまた、前記抗体またはそ
のフラグメントを産生するハイブリドーマを提供するこ
とを目的とする。
【0017】本発明は、さらに、前記抗体またはそのフ
ラグメントを使用することを含む、オキサミルの免疫学
的測定方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、オキサミルにスペーサーアーム及び高分
子との結合に利用できる官能基を導入した、オキサミル
の誘導体をハプテンとして使用することにより、前記化
合物に反応性を有する抗体を得ることに成功し、本発明
の完成に至った。
【0019】本発明の対象となるオキサミルは、以下の
式(5):
【化7】 で表される化合物である。
【0020】抗体作製のためのハプテンとして使用され
る誘導体は、以下の式(1)−(4):
【化8】 [式(1)−(4)中、R1は、所望により1個ないし
2個のハロゲン原子(本明細書中、ハロゲン原子はF、
Cl、BrもしくはIを意味する)または炭素数1−3
のアルキル基で置換されていてもよい以下の式(R1a
−(R1d):
【化9】 からなる群から選択される構造を有し;R2は、(C
2nc、CH2CONH(CH2nd、またはCO(C
2neであり、ここにおいて、ncは、1−3の整
数、ndは、1−5の整数、neは、1−5の整数であ
り;R3は、炭素数1−6、好ましくは1−3のアルキ
ル基でありnaは、5−15の整数であり;そしてnb
は、1−10の整数である]からなる群から選択される
構造を有する化合物である。
【0021】式(2)の化合物において、R1は6員環
について、1,2位置換、1,3位置換または1,4位置
換で隣接する炭素原子または窒素原子と共有結合してい
る。好ましくは、R1がシクロヘキサン環の場合は1,3
位置換もしくは1,4位置換であり、ベンゼン環の場合
には1,4位置換である。
【0022】式(3)の化合物において、ncは好まし
くは1である。
【0023】本発明のオキサミル(またはその部分)に
スペーサーアーム及び結合に利用できる官能基を結合さ
せた誘導体(1)−(4)をハプテンとして適当な高分
子化合物と結合させたものを抗原として用いることによ
って、オキサミルに反応性を有する抗体を得ることがで
きる。
【0024】本発明は、前記ハプテン化合物、ハプテン
化合物と高分子化合物との結合体、オキサミルに反応す
る抗体及びその作製方法、ならびに該ハプテン化合物又
は該抗体を用いるオキサミルの免疫学的測定方法に関す
る。
【0025】オキサミルの誘導体の作製 式(1)ないし(4)のいずれかで表されるオキサミル
誘導体は、公知の方法に従って作製することができる。
例えば、以下に記載するような方法がある。
【0026】式(1)ないし(4)のいずれかで表される
オキサミル誘導体は、各式の化合物のカルボキシル末端
にカルボキシル保護基が共有結合したエステル化合物か
ら、公知の方法によりカルボキシル保護基を除去するこ
とにより作製することができる。
【0027】カルボキシル保護基は公知のものでよく,
その具体例として,たとえばメチル基、エチル基、ベン
ジル基、4-メトキシベンジル基、3,4-ジメトキシベ
ンジル基、tert-ブチル基、フェニル基、tert-
ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニル
シリル基、トリイソプロピルシリル基、2-トリメチル
シリルエトキシ基等を挙げることができる。
【0028】カルボキシル基の保護基は酸あるいはアル
カリ存在下で脱保護することができる。メチル基、エチ
ル基等の低級アルキル基、及びベンジル基、フェニル基
などは水とメタノール、エタノール、THF等の有機溶
媒との混合溶液中で、水酸化リチウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ存在下、0℃から60
℃、好ましくは0℃から10℃、5分から20時間、好
ましくは5分から1時間撹拌することによって除去でき
る。メチル基、ベンジル基、4-メトキシベンジル基、
3,4-メトキシベンジル基、tert-ブチル基、te
rt-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェ
ニルシリル基、トリイソプロピルシリル基、2-トリメ
チルシリルエトキシ基などはジクロロメタン、1,2-
ジクロロエタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、ア
セトニトリル、THF、ジエチルエーテル等の適当な有
機溶媒中で、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸、あるいは酢
酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸
等の有機酸存在下、マイナス10℃から60℃、好まし
くは0℃から25℃、1時間から20時間、好ましくは
2時間から5時間撹拌することにより除去できる。また
ベンジル基、4-メトキシベンジル基、3,4-メトキシ
ベンジル基は加水素分解、tert-ブチルジメチルシ
リル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリイ
ソプロピルシリル基、2-トリメチルシリルエトキシ基
等のシリル基はフッ化ピリジニウム、テトラブチルアン
モニウムフルオリド(TBAF)等によって除去するこ
とができる。
【0029】I.式(1)、(2)又は(4)に記載さ
れた化合物の製造方法の例 式(1)、(2)又は(4)に記載された化合物は、例
えば、以下の式(6):
【化10】 [式(6)中、R4は、−SCH3または−CH2SR3
あり(ここにおいて、R3は式(4)で定義した通りで
ある);R5は、−CON(CH32または−C(C
33であり;R6は、(CH2na、R1または(C
2nbであり(ここにおいて、na、nbおよびR1
式(1)、(2)または(4)で定義した通りであ
る);そしてR7は、カルボキシル保護基である]で表
されるエステル化合物からR7で表されるカルボキシル
基の保護基を除去することにより製造できる。
【0030】一般式(6)で表わされるエステル化合物
を製造する方法としては、アミノ酸誘導体とオキシムの
混合物にカルボニル化剤を反応させる方法(A)、オキ
シムの炭酸エステル誘導体とアミノ酸エステルを反応さ
せる方法(B)、あるいはアミノ酸エステルのカルバマ
ート誘導体をオキシムと反応させる方法(C)等の公知
の方法を用いることができる。
【0031】(A)アミノ酸誘導体とオキシムの混合物
にカルボニル化剤を反応させる方法 この方法を用いて、式(6)のエステル化合物を製造す
る場合、以下の式(7):
【化11】 [式(7)中、R4およびR5は先に定義した通りであ
る]で表わされるオキサミルオキシム若しくはその類縁
体のオキシムに、式(8):
【化12】 [式(8)中、R6およびR7は先に定義した通りであ
る]で表わされる、保護基で保護されたカルボキシル基
を有するアミノ酸エステル誘導体をカルボニル基を介し
て結合させる。
【0032】反応は、式(7)のオキシムと式(8)の
アミノ酸エステル誘導体をジクロロメタン、1,2-ジ
クロロエタン、ベンゼン、トルエン、THF、ジエチル
エーテル、酢酸エチル、アセトニトリル等の適当な溶媒
中で、ホスゲン、トリクロロメチルクロロ蟻酸(TC
F)、トリホスゲン、N,N-カルボニルジイミダゾー
ル等のカルボニル化剤、並びにトリエチルアミン、ピリ
ジン等の塩基性触媒存在下、マイナス10℃から60
℃、好ましくはマイナス0℃から30℃、1時間から2
0時間、好ましくは2時間から5時間撹拌することによ
り行う。
【0033】式(8)で表されるアミノ酸エステルは、
例えば、以下の式(9):
【化13】 [式(9)中、R6は先に定義した通りである]で表さ
れる遊離アミノ酸のカルボキシル基に、保護基R7を導
入することにより得ることができ、その合成法としては
既知の方法が多く知られている。例えば、アミノ酸と対
応するアルコールの溶液あるいは懸濁液に塩化水素、p
-トルエンスルホン酸等の酸触媒を加え脱水縮合する方
法、アミノ酸と塩化チオニルあるいはオキサリルクロリ
ド等との反応により得られる酸クロリドを無溶媒あるい
はベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、1,2-ジク
ロロエタン等の適当な溶媒存在下で、アルコールと反応
させる方法(実験化学講座22、214頁−227頁、
日本化学会編、丸善株式会社)があげられる。また,ア
ミノ酸のアミノ基を適当な保護基で保護したのちジクロ
ロメタン、1,2-ジクロロエタン、テトラヒドロフラ
ン(THF)、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミド(DM
F)等の適当な溶媒存在下で、N,N-ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド(DCC)、N,N-ジイソプロピル
カルボジイミド(DIPC)、1-(3-ジメチルアミノ
プロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)等のカ
ルボジイミド系縮合剤、あるいはトリフェニルホスフィ
ンとアゾジカルボン酸ジエチル等のアゾジカルボン酸エ
ステルを用いアルコールと脱水縮合する方法、あるいは
トリフェニルホスフィンと2,2’−ジピリジルジスル
フィドを用い脱水縮合する方法、あるいはBOP試薬、
DPPA試薬等の他の縮合剤を用いてエステルを合成す
る方法等(実験化学講座22、43頁−51頁、日本化
学会編、丸善株式会社)により得られたアミノ酸誘導体
の保護基を除去することによりアミノ酸エステルを得る
方法もあげられる。あるいは、塩基存在下アルキルハラ
イドを反応させる方法等により得られたアミノ酸誘導体
の保護基を除去する方法もあげられる。アミノ酸のte
rt-ブチルエステルについてはジクロロメタン、1,
2-ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、THF等の
適当な溶媒中、リン酸、硫酸、三フッ化ホウ素ジエチル
エーテル錯体等の存在下、アミノ基を保護したアミノ酸
とイソブテンを撹拌して得られたアミノ酸誘導体の保護
基を除去することにより得る方法もあげられる。
【0034】アミノ基の保護基としては、例えば、ベン
ジルオキシカルボニル基(Z基)、tert-ブトキシ
カルボニル基(Boc基)、9-フルオレニルメトキシ
カルボニル基(Fmoc基)等があげられる。保護基を
除去する方法としては加水素分解による方法、塩酸、硫
酸等の鉱酸、あるいはトリフルオロ酢酸等の有機酸を用
いる方法、ピリジンやピペリジン等の塩基を用いる方法
等があげられる。
【0035】(B)オキシムの炭酸エステル誘導体とア
ミノ酸エステルを反応させる方法 この方法を用いて、式(6)のエステル化合物を製造す
る場合、以下の式(10):
【化14】 [式(10)中、Yは水素原子またはフェニル基の置換
基を示し、好ましくはニトロ基、メタンスルホニル基等
であり;そしてR4およびR5は先に定義した通りであ
る。]で表わされるオキシムの炭酸エステル誘導体を上
記式(8)のアミノ酸エステルとを反応させる。
【0036】反応は、ジクロロメタン、1,2-ジクロロ
エタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、アセトニト
リル、THF、ジエチルエーテル等の有機溶媒中でトリ
エチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジ
アザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DB
U)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン
(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタ
ン(DABCO)等の塩基存在下、マイナス10℃から
50℃、好ましくは0℃から25℃、1時間から20時
間、好ましくは2時間から5時間撹拌することにより行
う。
【0037】式(10)で表わされるオキシムの炭酸エ
ステル誘導体は、例えば、上記式(7)で表わされるオ
キシムと市販のクロロ炭酸フェニル類とを、ジクロロメ
タン、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル、ベンゼ
ン、トルエン、アセトニトリル、THF、ジエチルエー
テル等の適当な有機溶媒中でトリエチルアミン、ジイソ
プロピルエチルアミン等の塩基存在下、マイナス10℃
から50℃、好ましくは0℃から25℃、1時間から2
0時間、好ましくは1時間から5時間撹拌することによ
り得ることができる。
【0038】(C)アミノ酸エステルのカルバマート誘
導体をオキシムと反応させる方法 この方法を用いて、式(6)のエステル化合物を製造す
る場合、以下の式(11):
【化15】 [式(11)中、R6、R7およびYは先に定義した通り
である]で表わされるアミノ酸エステルのカルバマート
誘導体と上記式(7)で表わされるオキシムと反応させ
る。
【0039】反応は、ジクロロメタン、1,2-ジクロロ
エタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、アセトニト
リル、THF、ジエチルエーテル等の有機溶媒中で、ト
リエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-
ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン(DB
U)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン
(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタ
ン(DABCO)等の塩基存在下、マイナス10℃から
50℃、好ましくは0℃から25℃、1時間から20時
間、好ましくは2時間から5時間撹拌することにより行
う。
【0040】式(11)で表わされるアミノ酸エステル
のカルバマート誘導体は、例えば式(8)で表わされる
アミノ酸エステルと市販のクロロ炭酸フェニル類を、ジ
クロロメタン、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル、
ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、THF、ジエチ
ルエーテル等の適当な有機溶媒中でトリエチルアミン、
ジイソプロピルエチルアミン等の塩基存在下、マイナス
10℃から50℃、好ましくは0℃から15℃、1時間
から20時間、好ましくは1時間から3時間撹拌するこ
とにより得ることができる。
【0041】II.式(3)に記載された化合物の製造方
法の例 式(3)に記載された化合物は、例えば、以下の式(1
2):
【化16】 [式(12)中、R2およびR7は先に定義した通りであ
る]で表されるエステル化合物からR7で表されるカル
ボキシル基の保護基を除去することにより製造できる。
【0042】(A)R2=(CH2ncの場合 式(12)においてR2=(CH2ncである化合物は、
例えば、上記式(7)のオキサミルオキシムと、以下の
式(13):
【化17】 [式(13)中、Xはハロゲン原子であり;そしてnc
およびR7は先に定義した通りである]で表されるハロ
カルボン酸エステルとを反応させる方法等の公知の方法
により得られる。
【0043】反応は、例えば、ジクロロメタン、1,2
-ジクロロエタン、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、
アセトニトリル、THF、ジエチルエーテル等の有機溶
媒中で、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基、
あるいはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミ
ン等の有機塩基存在下、0から100℃、好ましくは5
0から80℃、1時間から20時間、好ましくは1時間
から3時間撹拌することによって行う。
【0044】(B)R2=CH2CONH(CH2nd
場合 式(12)においてR2=CH2CONH(CH2nd
ある化合物は、例えば、以下の式(14):
【化18】 で表したオキサミルオキシム酢酸誘導体と、以下の式
(15):
【化19】 [式(15)中、ndおよびR7は先に定義した通りで
ある]で表したアミノ酸エステルを脱水縮合させる方法
等の公知の方法で製造することができる。
【0045】脱水縮合反応を用いる場合,式(14)の
オキサミルオキシム酢酸誘導体および式(15)のアミ
ノ酸エステルは上述した方法に従って作製することがで
きる。脱水縮合は、オキサミルオキシム酢酸誘導体とア
ミノ酸エステルをジクロロメタン、1,2-ジクロロエ
タン、THF、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、DMF等の適当な溶媒存在下で、DC
C、DIPC、EDC等のカルボジイミド系縮合剤、あ
るいはトリフェニルホスフィンとアゾジカルボン酸ジエ
チル等のアゾジカルボン酸エステルを用いる方法、ある
いはトリフェニルホスフィンと2,2’−ジピリジルジ
スルフィドを用いる方法、あるいはBOP試薬、DPP
A試薬等の他の縮合剤を用いる方法(実験化学講座2
2、43頁−51頁、日本化学会編、丸善株式会社)等
により行うことができる。
【0046】(C)R2=CO(CH2neの場合 式(12)においてR2=CO(CH2neである化合物
は、例えば、オキサミルオキシムにジカルボン酸モノエ
ステルを脱水縮合させる方法,ジカルボン酸モノエステ
ルモノ酸ハライドを反応させる方法,ジカルボン酸ジハ
ライドを反応させた後アルコール類と反応させる方法等
の公知の方法で作製することができる。
【0047】ジカルボン酸ジハライドを反応させた後ア
ルコール類と反応させる方法を用いる場合は、反応は、
例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、酢
酸エチル、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、TH
F、ジエチルエーテル等の有機溶媒中で、炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム等の無機塩基、あるいはトリエチル
アミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基存在
下、マイナス10℃から100℃、好ましくは0から2
5℃で、オキサミルオキシムとカルボン酸クロリド、次
いでアルコール類を混合し1時間から30時間、好まし
くは1時間から5時間、撹拌することにより行う。
【0048】あるいは、ne=2、そしてR7=Hの化
合物は、例えばオキサミルオキシムとコハク酸無水物と
の反応によって得ることもできる。この場合,反応はジ
クロロメタン、1,2-ジクロロエタン、酢酸エチル、
ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、THF、ジエチ
ルエーテル等の有機溶媒中で、マイナス10℃から10
0℃、好ましくは0から25℃、1時間から40時間、
好ましくは5時間から10時間撹拌して行う。またこの
反応において、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の無機
塩基、あるいはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチ
ルアミン等の有機塩基を共存させてもよい。
【0049】以上の製造法によって得られた化合物を、
必要に応じシリカゲルクロマトグラフィーまたは再結晶
操作等を行うことにより、さらに高純度の精製品とする
ことができる。
【0050】以下、本発明の抗原、抗体の作製、及び免
疫学的測定方法について説明する。尚、これらの調製は
公知の方法、例えば続生化学実験講座、免疫生化学研究
法(日本生化学会編)等に記載の方法に従って行うこと
ができる。
【0051】オキサミル誘導体と高分子化合物との結合
体の作製 上述のように合成されたオキサミル誘導体を適当な高分
子化合物に結合させてから免疫用抗原として使用する。
【0052】好ましい高分子化合物の例としては、スカ
シガイヘモシアニン(以下、「KLH」と言う)、卵白
アルブミン(以下、「OVA]と言う)、ウシ血清アル
ブミン(以下、「BSA」と言う)、ウサギ血清アルブ
ミン(以下、「RSA」と言う)などがあるが、KLH
及びBSAが好ましい。
【0053】オキサミル誘導体と高分子化合物との結合
は、例えば、活性化エステル法(A.E. KARU et al.:J.
Agric. Food Chem. 42 301-309 (1994))、又は混合酸
無水物法(B.F.Erlanger et al.:J.Biol.Chem. 234 109
0-1094 (1954))等の公知の方法によって行うことがで
きる。
【0054】活性化エステル法は、一般に以下のように
行うことができる。まず、ハプテン化合物を有機溶媒に
溶解し、カップリング剤の存在下にてN−ヒドロキシこ
はく酸イミドと反応させ、N−ヒドロキシこはく酸イミ
ドエステルを生成させる。
【0055】カップリング剤としては、縮合反応に慣用
されている通常のカップリング剤を使用でき、例えば、
ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボニルジイミダ
ゾール、水溶性カルボジイミド等が含まれる。有機溶媒
としては、例えば、ジメチルスルホキシド(以下、「D
MSO」という)、N,N−ジメチルホルムアミド(D
MF)、ジオキサン等が使用できる。反応に使用するハ
プテン化合物とN−ヒドロキシこはく酸イミドのモル比
は好ましくは1:10−10:1、より好ましくは、
1:1−1:10、最も好ましくは1:1である。反応
温度は、0−100℃、好ましくは5−50℃、より好
ましくは22−27℃で、反応時間は5分−24時間、
好ましくは30分−6時間、より好ましくは1−2時間
である。反応温度は各々の融点以上沸点以下の温度で行
うことができる。
【0056】カップリング反応後反応液を遠心し、上清
液を高分子化合物を溶解した溶液に加え反応させると、
例えば高分子化合物が遊離のアミノ基を有する場合、当
該アミノ基とハプテン化合物のカルボキシル基の間に酸
アミド結合が生成される。反応温度は、0−60℃、好
ましくは5−40℃、より好ましくは22−27℃で、
反応時間は5分−24時間、好ましくは1−16時間、
より好ましくは1−2時間である。反応物を、透析、脱
塩カラム等によって精製して、オキサミル誘導体と高分
子化合物との結合体を得ることができる。
【0057】一方、混合酸無水物法において用いられる
混合酸無水物は、通常のショッテン−バウマン反応によ
り得られ、これを高分子化合物と反応させることにより
目的とするハプテン−高分子化合物結合体が製造され
る。ショッテン−バウマン反応は塩基性化合物の存在下
に行われる。塩基性化合物としてはショッテン−バウマ
ン反応において慣用されている化合物を使用することが
できる。例えば、トリブチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリメチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジ
ン、N,N−ジメチルアニリン、DBN、DBU、DA
BCO等の有機塩基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、
炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基等
が挙げられる。該反応は、通常マイナス20℃−100
℃、好ましくは0℃−50℃において行われ、反応時間
は5分−10時間、好ましくは5分−2時間である。得
られた混合酸無水物と高分子化合物との反応は、通常マ
イナス20℃−150℃、好ましくは0℃−100℃に
おいて行われ、反応時間は5分−10時間、好ましくは
5分−5時間である。混合酸無水物法は一般に溶媒中で
行われる。溶媒としては、混合酸無水物法に慣用されて
いるいずれの溶媒も使用可能であり、具体的にはジオキ
サン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメト
キシエタン等のエーテル類、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸
メチル、酢酸エチル等のエステル類、N,N−ジメチル
ホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリ
ン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられ
る。混合酸無水物法において使用されるハロ蟻酸エステ
ルとしては、例えばクロロ蟻酸イソブチル、クロロ蟻酸
メチル、ブロモ蟻酸メチル、クロロ蟻酸エチル、ブロモ
蟻酸エチル等が挙げられる。当該方法におけるハプテン
とハロ蟻酸エステルと高分子化合物の使用割合は、広い
範囲から適宜選択され得る。
【0058】また、上記と同様の方法により、酵素等の
標識物質をオキサミル誘導体に結合させたものを、免疫
学測定方法において使用することができる。標識物質と
しては、西洋わさびペルオキシダーゼ(以下、「HR
P」と言う)、アルカリフォスファターゼ等の酵素、フ
ルオレセインイソチオシアネート、ローダミン等の発色
物質、32P、125I等の放射性物質、化学発光物質など
がある。
【0059】ポリクローナル抗体の作製 オキサミル誘導体と高分子化合物との結合体を使用し
て、慣用化された方法により本発明のポリクローナル抗
体を作製することができる。例えば、オキサミル誘導体
−KLH結合体をリン酸緩衝液(以下、「PBS」と言
う)に溶解し、フロイント完全アジュバント又は不完全
アジュバント、あるいはミョウバン等の補助剤と混合し
たものを、免疫用抗原として動物に免疫することによっ
て行う。免疫される動物としては当該分野で常用される
ものをいずれも使用できるが、例えば、マウス、ラッ
ト、ウサギ、ヤギ、ウマ等を挙げることができる。
【0060】免疫の際の投与法は、皮下注射、腹腔内注
射、静脈内注射、皮下注射、筋肉内注射のいずれでもよ
いが、皮下注射又は腹腔内注射が好ましい。投与は1回
又は適当な間隔で、好ましくは1週間ないし5週間の間
隔で複数回行うことができる。
【0061】免疫した動物から血液を採取し、そこから
分離した血清を用い、オキサミルと反応するポリクロー
ナル抗体の存在を評価することができる。
【0062】モノクローナル抗体の作製 オキサミル誘導体と高分子化合物との結合体を使用し
て、公知の方法により本発明のモノクローナル抗体を作
製することができる。
【0063】モノクローナル抗体の作製にあたっては、
少なくとも下記のような作業工程が必要である。 (a)免疫用抗原として使用するオキサミル誘導体と高
分子化合物との結合体の作製 (b)動物への免疫 (c)血液の採取、アッセイ、及び抗体産生細胞の調製 (d)ミエローマ細胞の調製 (e)抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合とハ
イブリドーマの選択的培養 (f)目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスク
リーニングと細胞クローニング (g)ハイブリドーマの培養又は動物へのハイブリドー
マの移植によるモノクローナル抗体の調製 (h)調製されたモノクローナル抗体の反応性の測定等
【0064】モノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマを作製するための常法は、例えば、ハイブリドーマ
テクニックス(Hybridoma Techniques),コールド
スプリング ハーバーラボラトリー(Cold Spring Harb
or Laboratory),1980年版)、細胞組織化学(山
下修二ら、日本組織細胞化学会編;学際企画、1986
年)に記載されている。
【0065】以下、上述の本発明のオキサミルに対する
モノクローナル抗体の作製方法を説明するが、これに制
限されないことは当業者によって明らかであろう。
【0066】(a)−(b)の工程は、ポリクローナル
抗体に関して記述した方法とほぼ同様の方法によって行
うことができる。
【0067】(c)の工程における抗体産生細胞はリン
パ球であり、これは一般には脾臓、胸腺、リンパ節、末
梢血液又はこれらの組み合わせから得ることができるが
脾細胞が最も一般的に用いられる。従って、最終免疫
後、抗体産生が確認されたマウスより抗体産生細胞が存
在する部位、例えば脾臓を摘出し、脾細胞を調製する。
【0068】(d)の工程に用いることができるミエロ
ーマ細胞としては、例えば、Balb/cマウス由来骨
髄腫細胞株のP3/X63−Ag8(X63)(Natur
e,25 6, 495-497 (1975))、P3/X63−Ag8.U
1(P3U1)(Current Topics.in Microbiology and
Immunology, 81 1-7 (1987))、P3/NSI−1−A
g4−1(NS−1)(Eur.J.Immunol., 6, 511-519
(1976))、Sp2/0−Ag14(Sp2/0)(Natu
re 276, 269-270 (1978))、FO(J. Immuno.Meth., 3
5, 1-21 (1980))、MPC−11、X63.653、S
194等の骨髄腫株化細胞、あるいはラット由来の21
0.RCY3.Ag1.2.3.(Y3)(Nature 277, 1
31-133, (1979))等を使用できる。
【0069】上述した株化細胞をウシ胎児血清を含むダ
ルベッコ改変イーグル培地(DMEM)又はイスコフ改
変ダルベッコ培地(IMDM)で継代培養し、融合当日
に約3×103以上の細胞数を確保する。
【0070】(e)の工程の細胞融合は公知の方法、例
えばミルシュタイン(Milstein)らの方法(Methods in
Enzymology, 73, 3 (1981))等に準じて行うことがで
きる。現在最も一般的に行われているのはポリエチレン
グリコール(PEG)を用いる方法である。PEG法に
ついては、例えば、細胞組織化学、山下修二ら(上述)
に記載されている。別の融合方法としては、電気処理
(電気融合)による方法を採用することもできる(大河
内悦子ら、実験医学 5.1315−19、198
7)。その他の方法を適宜採用することもできる。ま
た、細胞の使用比率も公知の方法と同様でよく、例えば
ミエローマ細胞に対して脾細胞を3−10倍程度用いれ
ばよい。
【0071】脾細胞とミエローマ細胞とが融合し、抗体
産生能及び増殖能を獲得したハイブリドーマ群の選択
は、例えば、ミエローマ細胞株としてヒポキサンチング
アニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損株を使
用した場合、例えば上述のDMEMやIMDMにヒポキ
サンチン・アミノプテリン・チミジンを添加して調製し
たHAT培地の使用により行うことができる。
【0072】(f)の工程では、選択されたハイブリド
ーマ群を含む培養上清の一部をとり、例えば後述するE
LISA法により、オキサミルに対する抗体活性を測定
する。
【0073】さらに、測定によりオキサミルに反応する
抗体を産生することが判明したハイブリドーマの細胞ク
ローニングを行う。この細胞クローニング法としては、
限界希釈により1ウェルに1個のハイブリドーマが含ま
れるように希釈する方法「限界希釈法」;軟寒天培地上
に撒きコロニーをとる方法;マイクロマニピュレーター
によって1個の細胞を取り出す方法;セルソーターによ
って1個の細胞を分離する「ソータークローン法」等が
挙げられる。限界希釈法が簡単であり、よく用いられ
る。
【0074】抗体価の認められたウェルについて、例え
ば限界希釈法により細胞クローニングを1−4回繰り返
して安定して抗体価の得られたものを、抗オキサミルモ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株として選択す
る。ハイブリドーマを培養する培地としては、例えば、
10%ウシ胎児血清を含むDMEM又はIMDM等が用
いられる。ハイブリドーマの培養は、例えば二酸化炭素
濃度5−7%程度及び37℃(100%湿度中の恒温器
中)で培養するのが好ましい。
【0075】(g)の工程で抗体を調製するための大量
培養は、フォローファイバー型の培養装置等によって行
われる。又は、同系統のマウス(例えば、上述のBal
b/c)あるいはNu/Nuマウスの腹腔内でハイブリ
ドーマを増殖させ、腹水液より抗体を調製することも可
能である。
【0076】これらにより得られた培養上清液あるいは
腹水液を抗オキサミルモノクローナル抗体として使用す
ることができるが、さらに透析、硫酸アンモニウムによ
る塩析、ゲル濾過、凍結乾燥等を行い、抗体画分を集め
精製することにより抗オキサミルモノクローナル抗体を
得ることができる。さらに高度な精製が必要な場合に
は、イオン交換カラムクロマトグラフィー、アフィニテ
ィークロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)などの慣用されている方法を組合わせるこ
とにより実施できる。
【0077】以上のようにして得られた抗オキサミルモ
ノクローナル抗体は、例えば後述するELISA法など
の公知の方法を使用して、サブクラス、抗体価等を決定
することができる。
【0078】抗体によるオキサミルの測定 本発明で使用する抗体によるオキサミルの測定方法とし
ては、放射性同位元素免疫測定方法(RIA法)、EL
ISA法(Engvall,E., Methods in Enzymol., 70, 41
9-439 (1980))、蛍光抗体法、プラーク法、スポット
法、凝集法、オクタロニー(Ouchterlony)
法等の一般に抗原の検出に使用されている種々の方法
(「ハイブリドーマ法とモノクローナル抗体」、株式会
社R&Dプラニング発行、第30頁−第53頁、昭和5
7年3月5日)が挙げられる。感度、簡便性等の観点か
らELISA法が汎用されている。
【0079】オキサミルの測定は各種ELISA法のう
ち、例えば間接競合阻害ELISA法により、以下のよ
うな手順により行うことができる。(a)まず、抗原で
あるオキサミル誘導体と高分子化合物との結合体を担体
に固相化する。(b)抗原が吸着していない固相表面を
抗原と無関係な、例えばタンパク質によりブロッキング
する。(c)これに各種濃度のオキサミルを含む試料及
び抗体を加え、該抗体を前記固相化抗原及び遊離オキサ
ミルに競合的に反応させて、固相化抗原−抗体複合体及
び遊離オキサミル−抗体複合体を生成させる。(d)固
相化抗原−抗体複合体の量を測定することにより、予め
作成した検量線から試料中の遊離オキサミルの量を決定
することができる。
【0080】(a)工程において、抗原を固相化する担
体としては、特別な制限はなく、ELISA法において
常用されるものをいずれも使用することができる。例え
ば、ポリスチレン製の96ウェルのマイクロタイタープ
レートが挙げられる。
【0081】抗原を担体に固相化させるには、例えば、
抗原を含む緩衝液を担体上に載せ、インキュベーション
すればよい。緩衝液としては公知のものが使用でき、例
えば、ダルベッコのリン酸緩衝液を挙げることができ
る。緩衝液中の抗原の濃度は広い範囲から選択できる
が、通常0.01−100μg/ml程度、好ましくは
0.05−5μg/mlが適している。また、担体とし
て96ウェルのマイクロタイタープレートを使用する場
合には、300μl/ウェル以下で20−150μl/
ウェル程度が望ましい。更に、インキュベーションの条
件にも特に制限はないが、通常4℃程度で一晩インキュ
ベーションが適している。
【0082】なお、担体に固相化させる抗原としては、
抗体作製に使用したオキサミル誘導体と高分子化合物と
の結合体のみならず、式(1)ないし(4)のいずれか
で表される他の誘導体と高分子化合物との結合体を用い
ることもできる。例えば、式(1)の化合物と高分子化
合物との結合体を抗原として抗体を作製した場合、式
(1)以外の化合物を固相化抗原として用いることもで
きる。また、式(1)−(4)の化合物で、naないし
neの数が相違する抗原を各々抗体作製用と固相化用に
用いることもできる。さらに、式(1)−(4)に含ま
れない他のオキサミル類似化合物も、固相化抗原として
使用することも可能である。
【0083】(b)工程のブロッキングは、抗原(オキ
サミル誘導体と高分子化合物との結合体)を固相化した
担体において、オキサミル誘導体部分以外に後で添加す
る抗体が吸着され得る部分が存在する場合があり、もっ
ぱらそれを防ぐ目的で行われる。ブロッキング剤とし
て、例えば、BSAやスキムミルク溶液を使用できる。
あるいは、ブロックエース(「Block Ace」、
大日本製薬社製、コードNo.UK−25B)等のブロ
ッキング剤として市販されているものを使用することも
できる。具体的には、限定されるわけではないが、例え
ば抗原を固相化した部分に、ブロッキング剤を含む緩衝
液[例えば、1%BSAと60mM NaClを添加し
た85mM ホウ酸緩衝液(pH8.0)]を適量加
え、約4℃−室温で、1時間−5時間インキュベーショ
ンした後、緩衝液で洗浄することにより行われる。洗浄
液としては特に制限はないが、例えば、60mM Na
Clを添加したホウ酸緩衝液を用いることができる。
【0084】次いで(c)工程において、オキサミルを
含む試料と抗体を固相化抗原と接触させ、抗体を固相化
抗原及び遊離オキサミルと反応させることにより、固相
化抗原−抗体複合体及び遊離オキサミル−抗体複合体が
生成する。
【0085】この際、抗体としては、第一抗体として本
願発明のオキサミルに対する抗体を加え、更に第二抗体
として標識物質を結合した第一抗体に対する抗体を順次
加えて反応させる。
【0086】第一抗体は緩衝液に溶解して添加する。限
定されるわけではないが、反応は、37℃程度で約1時
間行えばよい。反応終了後、緩衝液で担体を洗浄し、未
反応の第一抗体を除去する。洗浄液としては、例えば、
60mM NaClを添加したホウ酸緩衝液を用いるこ
とができる。
【0087】次いで第二抗体を添加する。例えば第一抗
体としてマウスモノクローナル抗体を用いる場合、酵素
(例えば、ペルオキシダーゼ又はアルカリホスファター
ゼ等)を結合した抗マウス抗体−ヤギ抗体を用いるのが
適当である。担体に結合した第一抗体に約500−10
000倍、好ましくは最終吸光度が4以下、より好まし
くは0.5−3.0となるように希釈した第二抗体を反
応させるのが望ましい。希釈には緩衝液を用いる。限定
されるわけではないが、反応は室温で約1時間行い、反
応後、緩衝液で洗浄する。以上の反応により、第二抗体
が第一抗体に結合する。また、標識した第一抗体を用い
てもよく、その場合、第二抗体は不要である。
【0088】次いで(d)工程において担体に結合した
第二抗体の標識物質と反応する発色基質溶液を加え、吸
光度を測定することによって検量線からオキサミルの量
を算出することができる。
【0089】第二抗体に結合する酵素としてペルオキシ
ダーゼを使用する場合には、例えば基質として過酸化水
素、発色試薬として3,3',5,5'−テトラメチルベン
ジジンまたはo−フェニレンジアミン(以下、「OP
D」と言う)を使用する。限定されるわけではないが、
発色溶液を加え室温で約10分間反応させた後、1Nの
硫酸を加えることにより酵素反応を停止させる。3,
3',5,5'−テトラメチルベンジジンを使用する場合、
450nmの吸光度を測定する。OPDを使用する場
合、490nmの吸光度を測定する。一方、第二抗体に
結合する酵素としてアルカリホスファターゼを使用する
場合には、例えばp−ニトロフェニルリン酸を基質とし
て発色させ、2NのNaOHを加えて酵素反応を止め、
415nmでの吸光度を測定する方法が適している。
【0090】遊離のオキサミルを添加しない反応溶液の
吸光度に対して、オキサミルを添加して抗体と反応させ
た溶液の吸光度の減少率を阻害率として計算する。既知
の濃度のオキサミルを添加した反応液の阻害率により予
め作成しておいた検量線を用いて、試料中のオキサミル
の濃度を算出できる。
【0091】上述した間接競合阻害ELISA法によれ
ば、本発明のモノクローナル抗体OXM H3、OXM
2−3、OXM3−2およびOXM6−8は、間接競合
阻害ELISA法によってオキサミルを各々約1,00
0−10,000ng/ml、約100−1,000ng
/ml、約100−1,000ng/mlおよび約10
−100ng/mlの範囲で測定するすることができる
(実施例18)。
【0092】あるいは、オキサミルの測定は、例えば以
下に述べるような本発明のモノクローナル抗体を用いた
直接競合阻害ELISA法によって行うこともできる。 (a)まず、本発明のモノクローナル抗体を担体に固相
化する。 (b)抗体が固相化されていない担体表面を抗原と無関
係な、例えばタンパク質によりブロッキングする。 (c)上記工程とは別に、各種濃度のオキサミルを含む
試料に、オキサミル誘導体と酵素を結合させた酵素結合
ハプテンを加えた混合物を調製する。 (d)上記混合物を上記抗体固相化担体と反応させる。 (e)固相化抗体−酵素結合ハプテン複合体の量を測定
することにより、あらかじめ作成した検量線から試料中
のオキサミルの量を決定する。
【0093】(a)工程においてモノクローナル抗体を
固相化する担体としては、特別な制限はなくELISA
法において常用されるものを用いることができ、例えば
96ウェルのマイクロタイタープレートが挙げられる。
モノクローナル抗体の固相化は、例えばモノクローナル
抗体を含む緩衝液を担体上にのせ、インキュベートする
ことによって行える。緩衝液の組成・濃度は前述の間接
競合阻害ELISA法と同様のものを採用できる。ある
いは、アミノ基結合型のマイクロタイタープレートに化
学結合法を用いて抗体を結合させたものを使用すること
もできる。
【0094】(b)工程のブロッキングは、抗体を固相
化した担体において、後に添加する試料中のオキサミル
及び酵素結合ハプテンが抗原抗体反応とは無関係に吸着
される部分が存在する場合があるので、それを防ぐ目的
で行う。ブロッキング剤及びその方法は、前述の間接競
合阻害ELISA法と同様のものを使用できる。
【0095】(c)工程において用いる酵素結合ハプテ
ンの調製は、オキサミル誘導体を酵素に結合する方法で
あれば、特に制限なくいかなる方法で行ってもよい。例
えば、前述した活性化エステル法を採用することができ
る。調製した酵素結合ハプテンは、オキサミルを含む試
料と混合する。
【0096】なお、酵素等の標識物質に結合させるハプ
テンとしては、間接競合阻害ELISA法における固相
化抗原の場合と同様に、抗体作製に使用したオキサミル
誘導体自体のみならず、式(1)ないし(4)で表され
る他の誘導体、さらに、式(1)ないし(4)に含まれ
ない他のオキサミル類似化合物も使用可能である。
【0097】(d)工程において当該混合物を抗体固相
化担体に接触させ、混合物中のオキサミルと酵素結合ハ
プテンとの競合阻害反応により、これらと固相化抗体と
の複合体が生成する。オキサミルを含む試料は適当な緩
衝液で希釈して使用する。限定されるわけではないが、
反応は例えば室温でおよそ1時間行う。反応終了後、緩
衝液で担体を洗浄し、未反応の酵素結合ハプテンを除去
する。洗浄液は、例えば60mM NaClを添加した
ホウ酸緩衝液を使用することができる。
【0098】さらに、(e)工程において酵素結合ハプ
テンの酵素に反応する発色基質溶液を前述の間接競合阻
害ELISA法と同様に加え、吸光度を測定することに
より検量線からオキサミルの量を算出することができ
る。
【0099】本発明のモノクローナル抗体OXM6−8
は、直接競合阻害ELISA法によってオキサミルを約
0.5−500ng/ml、好ましくは8−250ng
/mlの範囲で測定することができる(実施例23およ
び24、図2および3)。
【0100】本発明の抗体のメタノール耐性 本発明の一態様であるモノクローナル抗体OXM6−8
はさらに、上述した直接競合阻害ELISA法によれば
約0−20%の濃度のメタノール存在下においてオキサ
ミルを濃度依存的に認識できる(実施例25)。オキサ
ミルは有機溶媒に易溶性であり、一般に分析はメタノー
ル等の有機溶媒中で行われることを考慮すると、本発明
のモノクローナル抗体のこのような特性は非常に有効で
ある。
【0101】本発明の抗体の交差反応性 上述した直接競合阻害ELISA法または間接競合阻害
法により、本発明のモノクローナル抗体の交差反応性を
調べることができる。OXM6−8は、例えば直接競合
阻害ELISA法において類縁化合物であるメソミル、
ブトカルボキシム、アラニカルブ等とは0.3%以下し
か交差反応しない。(実施例26、表1)。
【0102】以下、実施例によって本発明を具体的に説
明するが、これらは本発明の技術的範囲を限定するため
のものではない。当業者は本明細書の記載に基づいて容
易に本発明に修飾、変更を加えることができ、それらは
本発明の技術的範囲に含まれる。
【0103】
【実施例】製造例 オキサミル誘導体−Cの合成
【化20】
【0104】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
酪酸(2)の合成 28g(270mmol)の4−アミノ酪酸(1)を2
規定の水酸化ナトリウム水溶液140mlに溶解して氷
冷した。この溶液を激しく撹拌しながらクロロ蟻酸ベン
ジル(70g,410mmol)と2規定の水酸化ナト
リウム水溶液200mlをそれぞれ3回に分けて交互に
滴下した。滴下終了後30分間氷冷温度で撹拌し、更に
室温で一晩撹拌し続けた。氷冷したジエチルエーテル
(150ml×3回)で未反応のクロロ蟻酸ベンジルを
抽出した後、氷冷下で濃塩酸を添加してpHを約2に調
整した。ジクロロメタン(150ml×4回)で抽出
し、集めたジクロロメタン抽出物を無水硫酸ナトリウム
で脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウムを除いた後に減
圧濃縮した。その濃縮物を少量の酢酸エチルに溶解し、
この中にn−ヘキサンを加えて析出した白色結晶を吸引
濾過により集めて目的物(2)を得た(収量60g,収
率93%)。
【0105】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
酪酸tert−ブチル(3)の合成 28g(118mmol)の4−(ベンジルオキシカル
ボニルアミノ)酪酸(2)のジクロロメタン溶液(30
0ml)を食塩−氷でマイナス16℃に冷却して、その
溶液中にイソブテンの気流を5分間ゆっくりと流し込ん
だ。次にリン酸(0.92g,9.4mmol)と三フ
ッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(2.5g,17.7
mmol)をシリンジでゆっくりと滴下して、再びイソ
ブテンを5分間ゆっくりと流し込んだ。この溶液をその
まま室温になるまで撹拌して、更に一晩撹拌し続けた。
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて30分間撹拌し
た後、ジクロロメタン(150ml×4回)で抽出し
た。集めたジクロロメタン抽出物を無水硫酸ナトリウム
で脱水し、吸引濾過で硫酸ナトリウムを除いた後で減圧
濃縮した。この濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(n−ヘキサン−酢酸エチル=4:1)で精製し
て無色透明な液体として目的物(3)を得た(収量31
g,収率90%)。
【0106】4−アミノ酪酸tert−ブチル(4)の
合成 11.7g(40mmol)の4−(ベンジルオキシカ
ルボニルアミノ酪酸)tert−ブチル(3)のメタノ
ール溶液(300ml)に1.0gのパラジウムカーボ
ンを加えて水素存在下で水素の吸収が終了するまで撹拌
した。次に反応溶液を濾過後に減圧濃縮して、真空ポン
プで完全に溶媒を除くと黄色液体として目的物(4)を
得た(収量6.1g,収率100%)。
【0107】4−(フェノキシカルボニルアミノ)酪酸
tert−ブチル(5)の合成 クロロ炭酸フェニル(8.0g,5mmol)のジクロ
ロメタン溶液(50ml)に氷冷温度で6.0g(3.
8mmol)の4−アミノ酪酸tert−ブチル(4)
のジクロロメタン溶液(50ml)を滴下して、次にト
リエチルアミン(5.0g,5mmol)のジクロロメ
タン溶液(50ml)を滴下した。滴下終了後、この溶
液をそのまま室温になるまで撹拌して、更に一晩撹拌し
続けた。反応溶液を飽和食塩水で洗浄後に無水硫酸ナト
リウムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウムを除いた
後に減圧濃縮した。その濃縮物を少量の酢酸エチルで溶
解して、この中にn−ヘキサンを加えて析出する白色結
晶を吸引濾過により集めて目的物(5)を得た(収量
7.4g,収率70%)。
【0108】(6)の合成 3.2g(20mmol)のオキサミルオキシムと4−
(ベンジルオキシカルボニルアミノ)酪酸tert−ブ
チル(5)5.6g(20mmol)をジクロロメタン
50mlに溶解し、氷冷下で3.0g(20mmol)
の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7
−エン(DBU)のジクロロメタン溶液20mlを滴下
した。氷冷下で1時間撹拌後、更に室温で1時間撹拌し
た。反応液を減圧濃縮してシリカゲルクロマトグラフィ
ー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製する
と、無色透明液体として3.6g(収率52%)の
(6)を得た。
【0109】(7)の合成 5.6g(16mmol)のエステル化合物(6)を1
00mlのベンゼンに溶解し、トリフルオロ酢酸10m
lを添加後室温で1日撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し
て、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精
製すると、無色透明液体として3.9g(収率84%)
のオキサミル誘導体−C(7)を得た。この液体はマイ
ナス20℃の冷凍庫に長時間放置しておくと白色結晶に
なった。1 H−NMR(CDCl3) 1.86〜2.02(m,2H),2.33(s,3H), 2.24〜2.58(t,2H),3.10(s,3H), 3.12(s,3H), 3.18〜3.49(m,2H), 6.04〜6.32(t,1H),7.35〜7.72(br,1H)
【0110】実施例1 オキサミル誘導体−1の合成
【化21】
【0111】6−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
カプロン酸(2)の合成 13.1g(100mmol)の6−アミノカプロン酸
(1)を2規定の水酸化ナトリウム水溶液50mlに溶
解して氷冷した。この溶液を激しく撹拌しながらクロロ
蟻酸ベンジル(20.5g,120mmol)と2規定
の水酸化ナトリウム水溶液60mlをそれぞれ2回に分
けて交互に滴下した。滴下終了後30分間氷冷温度で撹
拌し、更に室温で一晩撹拌し続けた。氷冷したジエチル
エーテル(150ml×3回)で未反応のクロロ蟻酸ベ
ンジルを抽出した後、氷冷温度で濃塩酸を滴下してpH
を約2に調整した。ジクロロメタン(150ml×4
回)で抽出して、集めたジクロロメタン抽出物を無水硫
酸ナトリウムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウムを
除いた後、減圧濃縮した。その濃縮物を少量の酢酸エチ
ルに溶解させ、この中にn−ヘキサンを加えた。析出し
た白色結晶を吸引濾過により単離し目的物(2)を得た
(収量22g,収率83%)。
【0112】6−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
カプロン酸tert−ブチル(3)の合成 5.3g(20mmol)の6−(ベンジルオキシカル
ボニルアミノ)カプロン酸(2)のジクロロメタン溶液
(100ml)を食塩−氷でマイナス16℃に冷却し
て、その溶液中にイソブテンの気流を5分間ゆっくりと
流し込んだ。次にリン酸(0.1g,1.8mmol)
と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.37m
l,3mmol)をシリンジでゆっくりと滴下して、再
びイソブテンを5分間ゆっくりと流し込んだ。この溶液
をそのまま室温になるまで撹拌して、更に一晩撹拌し続
けた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて30分間
撹拌した後、ジクロロメタン(150ml×4回)で抽
出した。集めたジクロロメタン抽出物を無水硫酸ナトリ
ウムで脱水し、吸引濾過で硫酸ナトリウムを除いた後、
減圧濃縮した。この濃縮物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精
製して無色透明な液体として目的物(3)を得た(収量
4.0g,収率63%)。
【0113】6−アミノカプロン酸tert−ブチル
(4)の合成 4.0g(12.5mmol)の6−(ベンジルオキシ
カルボニルアミノカプロン酸)tert−ブチル(3)
のメタノール溶液(100ml)に0.3gのパラジウ
ムカーボンを加えて水素存在下で水素の吸収が終了する
まで撹拌した。次に反応溶液を濾過後減圧濃縮して、真
空ポンプで完全に溶媒を除くと黄色の液体として目的物
(4)を得た(収量2.3g,収率100%)。
【0114】(5)の合成 1.4g(7.5mmol)の6−アミノカプロン酸t
ert−ブチル(4)と2.0(7.1mmol)のオ
キサミルオキシムのフェニルカルボナート誘導体のアセ
トニトリル溶液50mlに、氷冷下で1.1g(7.2
mmol)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデク−7−エン(DBU)のアセトニトリル溶液10
mlを滴下した。氷冷下で1時間撹拌後、更に室温で1
時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して、シリカゲルク
ロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:
1)で精製すると、透明液体として2.0g(収率76
%)の(5)を得た。
【0115】(6)の合成 2.0g(5.3mmol)のエステル化合物(5)を
100mlのジクロロメタンに溶解して、トリフルオロ
酢酸10mlを加えて室温で2時間撹拌した。反応溶液
を減圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸
エチル)で精製すると、透明液体として1.2g(収率
71%)のオキサミル誘導体−1(6)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 1.18〜1.82(m,6H),2.20〜2.49
(overlap,5H),2.98〜3.40(overlap,8
H),5.89〜6.21(t,1H),7.50〜
7.92(br,1H)
【0116】実施例2 オキサミル誘導体−2の合成
【化22】
【0117】7−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
ヘプタン酸(2)の合成 2.2g(15.2mmol)の7−アミノヘプタン酸
(1)を2規定の水酸化ナトリウム水溶液7.6mlに
溶解して氷冷した。この溶液を激しく撹拌しながらクロ
ロ蟻酸ベンジル(3.1g,18.2mmol)と2規
定の水酸化ナトリウム水溶液9.1mlを滴下した。滴
下終了後30分間氷冷温度で撹拌後、更に室温で5時間
撹拌し続けた。氷冷したジエチルエーテル(50ml×
3回)で未反応のクロロ蟻酸ベンジルを抽出した後、氷
冷下で濃塩酸を添加してpHを約2に調整した。ジクロ
ロメタン(50ml×4回)で抽出し、集めたジクロロ
メタン抽出物を無水硫酸ナトリウムで脱水して、吸引濾
過で硫酸ナトリウムを除いた後に減圧濃縮した。その濃
縮物を少量の酢酸エチルに溶解し、この中にn−ヘキサ
ンを加えて析出した白色結晶を吸引濾過により集めて目
的物(2)を得た(収量3.0g,収率71%)。
【0118】7−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
ヘプタン酸tert−ブチル(3)の合成 3.0g(10.8mmol)の7−(ベンジルオキシ
カルボニルアミノ)ヘプタン酸(2)のジクロロメタン
溶液(150ml)を食塩−氷でマイナス16℃に冷却
して、その溶液中にイソブテンの気流を5分間ゆっくり
と流し込んだ。次に、濃硫酸0.1mlをシリンジでゆ
っくりと滴下して、再びイソブテンを5分間ゆっくりと
流し込んだ。この溶液をそのまま氷冷下で3時間、更に
室温で一晩撹拌し続けた。反応液をそのまま減圧濃縮し
てシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン
−酢酸エチル=4:1)で精製して無色透明な液体とし
て目的物(3)を得た(収量2.2g,収率61%)。
【0119】7−アミノヘプタン酸tert−ブチル
(4)の合成 2.2g(6.6mmol)の7−(ベンジルオキシカ
ルボニルアミノ)ヘプタン酸tert−ブチル(3)の
メタノール溶液(200ml)に1.0gのパラジウム
カーボンを加えて水素存在下で水素の吸収が終了するま
で撹拌した。次に反応溶液を濾過後に減圧濃縮して、真
空ポンプで完全に溶媒を除くと黄色液体として目的物
(4)を得た(収量1.25g,収率95%)。
【0120】7−(フェノキシカルボニルアミノ)ヘプ
タン酸tert−ブチル(5)の合成 クロロ炭酸フェニル(1.6g,10mmol)のジク
ロロメタン溶液(50ml)に氷冷温度で1.25g
(6.2mmol)の7−アミノヘプタン酸tert−
ブチル(4)のジクロロメタン溶液(50ml)を滴下
して、次にトリエチルアミン(1.0g,10mmo
l)のジクロロメタン溶液(50ml)を滴下した。滴
下終了後、この溶液を氷冷下で1時間、更に室温で一晩
撹拌し続けた。反応溶液を飽和食塩水で洗浄後に無水硫
酸ナトリウムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウムを
除いた後に減圧濃縮した。この濃縮物をシリカゲルクロ
マトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=19:1
→9:1→4:1)で精製すると、透明液体として1.
7g(収率85%)の(5)を得た。
【0121】(6)の合成 0.9g(20mmol)のオキサミルオキシムと7−
(フェニルオキシカルボニルアミノ)ヘプタン酸ter
t−ブチル1.7g(20mmol)をアセトニトリル
50mlに溶解し、氷冷下で0.9g(5.9mmo
l)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク
−7−エン(DBU)のアセトニトリル溶液10mlを
滴下した。氷冷下で3時間撹拌後、反応液をそのまま減
圧濃縮してシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で精製すると、
透明液体として1.7g(収率83%)の(6)を得
た。
【0122】(7)の合成 1.7g(4.4mmol)のエステル化合物(6)を
100mlのジクロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢
酸10mlを添加後室温で3時間撹拌した。反応溶液を
減圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘ
キサン:酢酸エチル=2:1→酢酸エチル)で精製する
と、白色結晶として1.2g(収率82%)のオキサミ
ル誘導体−2(7)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 1.21〜1.43(m,4H), 1.43〜1.71(m,4H), 2.21〜2.40(overlap,5H),3.06(s,3H), 3.10(s,3H), 3.17〜3.31(m,2H), 6.10〜6.26(t,1H), 10.30〜10.55(br,1H)
【0123】実施例3 オキサミル誘導体−3の合成
【化23】
【0124】8−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
オクタン酸(2)の合成 5.0g(31.4mmol)の8−アミノオクタン酸
(1)を2規定の水酸化ナトリウム水溶液16mlに溶
解して氷冷した。この溶液を激しく撹拌しながらクロロ
蟻酸ベンジル(7.0g,41mmol)と2規定の水
酸化ナトリウム水溶液20mlをそれぞれ2回に分けて
交互に滴下した。滴下終了後にTHFを100ml加え
て、室温で7時間撹拌し続けた。氷冷したジエチルエー
テル(50ml×3回)で未反応のクロロ蟻酸ベンジル
を抽出した後、氷冷下で濃塩酸を添加してpHを約2に
調整した。ジクロロメタン(50ml×4回)で抽出
し、集めたジクロロメタン抽出物を無水硫酸ナトリウム
で脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウムを除いた後に減
圧濃縮した。その濃縮物を少量の酢酸エチルに溶解し、
この中にn−ヘキサンを加えて析出した白色結晶を吸引
濾過により集めて目的物(2)を得た。(収量7.6
g,収率83%)。
【0125】8−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
オクタン酸tert−ブチル(3)の合成 7.6g(26mmol)の8−(ベンジルオキシカル
ボニルアミノ)オクタン酸(2)のジクロロメタン溶液
(250ml)食塩−氷でマイナス16℃に冷却して、
その溶液中にイソブテンの気流を5分間ゆっくりと流し
込んだ。次に濃硫酸0.3mlをシリンジでゆっくりと
滴下して、再びイソブテンを5分間ゆっくりと流し込ん
だ。この溶液をそのまま1時間、更に一晩撹拌し続け
た。反応液をそのまま減圧濃縮してシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル=4:
1)で精製して無色透明な液体として目的物(3)を得
た(収量5.4g,収率60%)。
【0126】8−アミノオクタン酸tert−ブチル
(4)の合成 5.4g(15.5mmol)の8−(ベンジルオキシ
カルボニルアミノ)オクタン酸tert−ブチル(3)
のメタノール溶液(100ml)に0.5gのパラジウ
ムカーボンを加えて水素存在下で水素の吸収が終了する
まで撹拌した。次に反応溶液を濾過後に減圧濃縮して、
真空ポンプで完全に溶媒を除くと黄色液体として目的物
(4)を得た。(収量3.5g,収率106%)。
【0127】8−(フェノキシカルボニルアミノ)オク
タン酸tert−ブチル(5)の合成 クロロ炭酸フェニル(3.8g,24mmol)のジク
ロロメタン溶液(100ml)に氷冷温度で3.5g
(16mmol)の8−アミノオクタン酸tert−ブ
チル(4)のジクロロメタン溶液(10ml)を滴下し
て、次にトリエチルアミン(2.4g,24mmol)
のジクロロメタン溶液(10ml)を滴下した。滴下終
了後、この溶液をそのまま室温になるまで撹拌し、更に
一晩撹拌し続けた。反応溶液を飽和食塩水で洗浄後に無
水硫酸ナトリウムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウ
ムを除いた後に減圧濃縮した。その濃縮物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル
=19:1→9:1→4:1)で精製して無色透明な液
体として目的物(5)を得た(収量4.9g,収率90
%)。
【0128】(6)の合成 1.8g(11mmol)のオキサミルオキシムと3.
1g(9.2mmol)の8−(フェノキシカルボニル
アミノ)オクタン酸tert−ブチル(5)をアセトニ
トリル150mlに溶解し、氷冷下で1.7g(11m
mol)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウン
デク−7−エン(DBU)のアセトニトリル溶液20m
lを滴下した。氷冷下で3時間撹拌後、反応液をそのま
ま減圧濃縮してシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘ
キサン:酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で精製する
と、無色透明液体として3.2g(収率86%)の
(6)を得た。
【0129】(7)の合成 3.2g(7.9mmol)のエステル化合物(6)を
100mlのジクロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢
酸10mlを添加後室温で2.5時間撹拌した。反応溶
液を減圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(n
−ヘキサン:酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で精製
すると、透明液体として3.9g(収率84%)のオキ
サミル誘導体−3(7)を得た。この溶液はマイナス2
0℃の冷凍庫に長時間放置しておくと白色結晶になっ
た。1 H−NMR(CDCl3) 1.20〜1.44(s,6H), 1.45〜1.71(m,4H), 2.25〜2.42(overlap,5H),3.08(s,3H), 3.10(s,3H), 3.15〜3.32(m,2H), 5.87〜6.02(br,1H)
【0130】実施例4 オキサミル誘導体−4の合成
【化24】
【0131】11−ブロモウンデカン酸tert−ブチ
ル(2)の合成 13.3g(50mmol)の11−ブロモウンデカン
酸(1)のジクロロメタン溶液(200ml)を食塩−
氷でマイナス16℃に冷却して、その溶液中にイソブテ
ンの気流を5分間ゆっくりと流し込んだ。次に濃硫酸
0.5mlをシリンジでゆっくりと滴下して、再びイソ
ブテンを5分間ゆっくりと流し込んだ。この溶液をその
まま氷冷下で2時間、更に室温で3時間撹拌し続けた。
反応液をそのまま減圧濃縮してシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル=19:1)
で精製して無色透明な液体として目的物(2)を得た
(収量10.8g,収率67%)。
【0132】11−(フタルイミジル)ウンデカン酸t
ert−ブチル(3)の合成 25.5g(79mmol)の11−ブロモウンデカン
酸tert−ブチル(2)をDMF(500ml)に溶
解して、15g(81mmol)のフタルイミドカリウ
ムを室温で加えた。この溶液を室温で2晩撹拌し続け
た。反応液をエーテル−水で分配し(150ml×4
回)、集めたエーテル層を無水硫酸マグネシウムで脱水
し、濾過後に減圧濃縮してシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル=9:1)で精製
し、液体として目的物(3)を得た(収量19g,収率
62%)。
【0133】11−アミノウンデカン酸tert−ブチ
ル(4)の合成 10g(26mmol)の11−(フタルイミジル)ウ
ンデカン酸tert−ブチル(3)のエタノール溶液
(150ml)に、1.0g(31mmol)の無水ヒ
ドラジンのエタノール溶液50mlを氷冷下で滴下し
た。氷冷下で2時間、室温で3時間、更に50℃で30
分間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して、酢酸エチルで
溶解後ヘキサンを加えて沈殿物を濾過で除いた。濾液を
濃縮して、その濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー
(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1→クロロホルム:
メタノール=9:1)で精製すると、黄色液体として
2.0g(収率30%)の(5)を得た。
【0134】11−(フェノキシカルボニルアミノ)ウ
ンデカン酸tert−ブチル(5)の合成 クロロ蟻酸フェニル(3.5g,22.3mmol)の
ジクロロメタン溶液(50ml)に氷冷温度で4.0g
(15.6mmol)の11−アミノウンデカン酸te
rt−ブチル(4)のジクロロメタン溶液(50ml)
を滴下して、次にトリエチルアミン(2.2g,22m
mol)のジクロロメタン溶液(50ml)を滴下し
た。滴下終了後、この溶液を氷冷下で1時間、更に室温
で3時間撹拌し続けた。反応溶液を飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸ナトリウムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナ
トリウムを除いた後に減圧濃縮した。この濃縮物をシリ
カゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル
=9:1)で精製すると、透明液体として4.5g(収
率77%)の(5)を得た。
【0135】(6)の合成 3.0g(18.5mmol)のオキサミルオキシムと
11−(フェニルオキシカルボニルアミノ)ウンデカン
酸tert−ブチル4.5g(12mmol)のアセト
ニトリル100mlに溶解し、氷冷下で2.0g(13
mmol)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウ
ンデク−7−エン(DBU)のアセトニトリル溶液20
mlを滴下した。氷冷下で3時間撹拌後、反応液をその
まま減圧濃縮してシリカゲルクロマトグラフィー(n−
ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製すると、透明液
体として3.8g(収率72%)の(6)を得た。
【0136】(7)の合成 3.8g(8.5mmol)のエステル化合物(2)を
80mlのジクロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢酸
10mlを添加後室温で1時間撹拌した。反応溶液を減
圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキ
サン:酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で精製する
と、白色結晶として2.5g(収率76%)のオキサミ
ル誘導体−4(7)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 1.12〜1.40(s,12H), 1.40〜1.71(m,4H), 2.20〜2.39(overlap,5H),3.07(s,3H), 3.09(s,3H), 3.16〜3.32(m,2H), 5.93〜6.08(t,1H), 10.02〜10.73(br,1H)
【0137】実施例5 オキサミル誘導体−5の合成
【化25】
【0138】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
シクロヘキサンカルボン酸(2)の合成 5.0g(35mmol)の4−アミノシクロヘキサン
カルボン酸(1)を2規定の水酸化ナトリウム水溶液1
7.5mlに溶解して氷冷した。この溶液を激しく撹拌
しながらクロロ蟻酸ベンジル(7.8g,46mmo
l)と2規定の水酸化ナトリウム水溶液23mlを滴下
した。滴下終了後、室温に戻して一晩撹拌した。氷冷し
たジエチルエーテル(50ml×3回)で未反応のクロ
ロ蟻酸ベンジルを抽出した後、氷冷下で濃塩酸を添加し
てpHを約2に調整した。ジエチルエーテル(50ml
×4回)で抽出し、集めたジエチルエーテル抽出物を無
水硫酸ナトリウムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウ
ムを除いた後に減圧濃縮した。その濃縮物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル
=1:1)で精製して目的物(2)を白色結晶として得
た(収量7.2g,収率91%)。
【0139】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)
シクロヘキサンカルボン酸tert−ブチル(3)の合
7.2g(26mmol)の4−(ベンジルオキシカル
ボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸(2)のジク
ロロメタン溶液(150ml)を食塩−氷でマイナス1
6℃に冷却して、その溶液中にイソブテンの気流を5分
間ゆっくりと流し込んだ。次に濃硫酸0.25mlをシ
リンジでゆっくりと滴下して、再びイソブテンを10分
間ゆっくりと流し込んだ。この溶液をそのまま一晩撹拌
し続けて室温まで戻した。反応液をそのまま減圧濃縮し
てシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン
−酢酸エチル=4:1)で精製して白色結晶として目的
物(3)を得た(収量5.2g,収率66%)。
【0140】4−アミノシクロヘキサンカルボン酸te
rt−ブチル(4)の合成 5.0g(15mmol)の4−(ベンジルオキシカル
ボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸tert−ブ
チル(3)のメタノール溶液(150ml)に0.5g
のパラジウムカーボンを加えて水素存在下で水素の吸収
が終了するまで撹拌した。次に反応溶液を濾過後に減圧
濃縮して、真空ポンプで完全に溶媒を除くと黄色液体と
して目的物(4)を得た(収量3.0g,収率100
%)。
【0141】4−(フェノキシカルボニルアミノ)シク
ロヘキサンカルボン酸tert−ブチル(5)の合成 4−アミノシクロヘキサンカルボン酸tert−ブチル
3.0g(15mmol)(4)のジクロロメタン溶液
(100ml)に、氷冷温度でクロロ炭酸フェニル
(2.8g,18mmol)のジクロロメタン溶液(1
0ml)を滴下して、次にトリエチルアミン(1.5
g,15mmol)のジクロロメタン溶液(10ml)
を滴下した。滴下終了後、この溶液を氷冷下で3時間、
更に室温で1時間撹拌し続けた。反応溶液を飽和食塩水
で洗浄後に無水硫酸ナトリウムで脱水して、吸引濾過で
硫酸ナトリウムを除いた後に減圧濃縮した。この濃縮物
をシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸
エチル=4:1)で精製すると、2.9g(収率60
%)の(5)を得た。
【0142】(6)の合成 1.4g(8.6mmol)のオキサミルオキシムと4
−(フェニルオキシカルボニルアミノ)シクロヘキサン
カルボン酸tert−ブチル2.7g(8.5mmo
l)をアセトニトリル100mlに溶解し、氷冷下で
1.3g(8.6mmol)の1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)のアセト
ニトリル溶液15mlを滴下した。氷冷下で5時間撹拌
後、反応液をそのまま減圧濃縮してシリカゲルクロマト
グラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精
製すると、2.8g(収率85%)の(6)を得た。
【0143】(7)の合成 2.8g(7.2mmol)のハプテンのエステル
(6)を100mlのジクロロメタンに溶解し、トリフ
ルオロ酢酸10mlを添加後室温で2.5時間撹拌し
た。反応溶液を減圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラ
フィー(酢酸エチル)で精製すると、白色結晶として
1.9g(収率79%)のオキサミル誘導体−5(7)
を得た。1 H−NMR(CDCl3) 1.50〜2.04(overlap,8H),2.31(s,3H), 2.48〜2.62(m,1H), 3.06(s,3H), 3.09(s,3H), 3.63〜3.81(m,1H), 5.92〜6.09(d,1H).
【0144】実施例6 オキサミル誘導体−6の合成
【化26】
【0145】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノメ
チル)シクロヘキサンカルボン酸(2)の合成 25g(160mmol)の4−(アミノメチル)シク
ロヘキサンカルボン酸(1)を2規定の水酸化ナトリウ
ム水溶液80mlに溶解して氷冷した。この溶液を激し
く撹拌しながらクロロ蟻酸ベンジル(36g,210m
mol)と2規定の水酸化ナトリウム水溶液104ml
をそれぞれ2回に分けて交互に滴下した。滴下終了後、
室温に戻して一晩撹拌した。氷冷したジエチルエーテル
(50ml×3回)で未反応のクロロ蟻酸ベンジルを抽
出除去した後、氷冷下で濃塩酸を添加してpHを約2に
調整した。ジエチルエーテル(50ml×4回)で抽出
し、集めたジエチルエーテル抽出物を無水硫酸ナトリウ
ムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウムを除いた後に
減圧濃縮した。その濃縮物を酢酸エチルに溶解し、ヘキ
サンを加えると白色結晶として(2)を得た(収量3
0.6g,収率66%)。
【0146】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノメ
チル)シクロヘキサンカルボン酸tert−ブチル
(3)の合成 10.6g(36mmol)の4−(ベンジルオキシカ
ルボニルアミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸
(2)のジクロロメタン溶液(150ml)を食塩−氷
でマイナス16℃に冷却して、その溶液にイソブテンの
気流を5分間ゆっくりと流し込んだ。次に濃塩酸0.4
mlをシリンジでゆっくりと滴下して、再びイソブテン
を10分間ゆっくりと流し込んだ。この溶液をそのまま
1日撹拌し続けた。反応液をそのまま減圧濃縮してシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸
エチル=4:1)で精製して白色結晶として目的物
(3)を得た(収量7.5g,収率59%)。
【0147】4−(アミノメチル)シクロヘキサンカル
ボン酸tert−ブチル(4)の合成 7.2g(20.1mmol)の4−(ベンジルオキシ
カルボニルアミノ)ヘプタン酸tert−ブチル(3)
のメタノール溶液(200ml)に1.0gのパラジウ
ムカーボンを加えて水素存在下で水素の吸収が終了する
まで撹拌した。次に反応溶液を濾過後に減圧濃縮して、
真空ポンプで完全に溶媒を除くと白色固体として目的物
(4)を得た(収量4.4g,収率100%)。
【0148】4−(フェノキシカルボニルアミノメチ
ル)シクロヘキサンカルボン酸tert−ブチル(5)
の合成 4.4g(21mmol)の4−(アミノメチル)シク
ロヘキサンカルボン酸tert−ブチル(4)のジクロ
ロメタン溶液(100ml)に、氷冷温度でクロロ炭酸
フェニル(4.2g,26.8mmol)のジクロロメ
タン溶液(20ml)を滴下して、次にトリエチルアミ
ン(2.5g,25mmol)のジクロロメタン溶液
(10ml)を滴下した。滴下終了後、この溶液をその
まま一晩撹拌した。反応溶液を飽和食塩水で洗浄後に無
水硫酸ナトリウムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウ
ムを除いた後に減圧濃縮した。この濃縮物をシリカゲル
クロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:
1)で精製すると、透明液体として4.8g(収率69
%)の(5)を得た。
【0149】(6)の合成 1.67g(10mmol)のオキサミルオキシムと4
−(フェニルオキシカルボニルアミノメチル)ヘキサン
カルボン酸tert−ブチル3.33g(10mmo
l)をアセトニトリル150mlに溶解し、氷冷下で
1.52g(10mmol)の1,8−アザビシクロ
[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)のアセト
ニトリル溶液15mlを滴下した。氷冷下で3時間撹拌
後、反応液をそのまま減圧濃縮してシリカゲルクロマト
グラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2→酢酸
エチル)で精製して3.3g(収率82%)の(6)を
得た。
【0150】(7)の合成 3.3g(8.2mmol)のエステル化合物(6)を
50mlのジクロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢酸
10mlを添加後室温で2時間撹拌した。反応溶液を減
圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチ
ル→クロロホルム:メタノール=4:1)で精製する
と、白色結晶として2.2g(収率100%)のオキサ
ミル誘導体−6(7)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 0.88〜1.08(t,2H), 1.31〜1.6
2(overlap,3H),1.73〜1.90(m,2
H), 1.93〜2.08(m,2H),2.14〜
2.32(overlap,4H),2.94〜3.20(over
lap,8H),5.89〜6.07(t,1H)
【0151】実施例7 オキサミル誘導体−7の合成
【化27】
【0152】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノメ
チル)安息香酸(2)の合成 4.5g(30mmol)の4−アミノメチル安息香酸
(1)を2規定の水酸化ナトリウム水溶液15mlに溶
解して氷冷した。この溶液を激しく撹拌しながらクロロ
蟻酸ベンジル(6.6g,39mmol)と2規定の水
酸化ナトリウム水溶液20mlを滴下した。滴下終了
後、室温に戻して一晩撹拌した。氷冷したジエチルエー
テル(50ml×3回)で未反応のクロロ蟻酸ベンジル
を抽出除去した後、氷冷下で濃塩酸を添加してpHを約
2に調整した。ジエチルエーテル(50ml×4回)で
抽出し、集めたジエチルエーテル抽出物を無水硫酸ナト
リウムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウムを除いた
後に減圧濃縮した。その濃縮物を酢酸エチルに溶解し、
ヘキサンを加えると白色結晶として(2)を得た(収量
6.0g,収率71%)。
【0153】4−(ベンジルオキシカルボニルアミノメ
チル)安息香酸tert−ブチル(3)の合成 5.8g(20mmol)の4−(ベンジルオキシカル
ボニルアミノメチル)安息香酸(2)をジクロロメタン
(250ml)に懸濁して、食塩−氷でマイナス16℃
に冷却し、その懸濁液中にイソブテンの気流を5分間ゆ
っくりと流し込んだ。次に濃塩酸0.7mlをシリンジ
でゆっくりと滴下して、再びイソブテンを20分間ゆっ
くりと流し込んだ。この溶液をそのまま2日撹拌し続け
た。反応液をそのまま減圧濃縮してシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(n−ヘキサン−酢酸エチル=4:
1)で精製して目的物(3)を得た(収量3.78g,
収率54%)。
【0154】4−(アミノメチル)安息香酸tert−
ブチル(4)の合成 3.78g(11mmol)の4−(ベンジルオキシカ
ルボニルアミノメチル)安息香酸tert−ブチル
(3)のメタノール溶液(200ml)に0.5gのパ
ラジウムカーボンを加えて水素存在下で水素の吸収が終
了するまで撹拌した。次に反応溶液を濾過後に減圧濃縮
して、真空ポンプで完全に溶媒を除いて目的物(4)を
得た(収量2.2g,収率96%)。
【0155】4−(フェノキシカルボニルアミノメチ
ル)安息香酸tert−ブチル(5)の合成 2.2g(10.6mmol)の4−(アミノメチル)
安息香酸tert−ブチル(4)のジクロロメタン溶液
(100ml)に、氷冷温度でクロロ炭酸フェニル
(2.1g,13.4mmol)のジクロロメタン溶液
(10ml)を滴下して、次にトリエチルアミン(1.
1g,11mmol)のジクロロメタン溶液(10m
l)を滴下した。氷冷下で2時間、更に室温で3時間撹
拌後、反応溶液を飽和食塩水で洗浄後に無水硫酸ナトリ
ウムで脱水して、吸引濾過で硫酸ナトリウムを除いた後
に減圧濃縮した。この濃縮物をシリカゲルクロマトグラ
フィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製す
ると、白色結晶として1.93g(収率55%)の
(5)を得た。
【0156】(6)の合成 0.96g(5.9mmol)のオキサミルオキシムと
4−(フェニルオキシカルボニルアミノメチル)安息香
酸tert−ブチル1.9g(5.8mmol)をアセ
トニトリル100mlに溶解し、氷冷下で0.88g
(5.8mmol)の1,8−ジアザビシクロ[5.
4.0]ウンデク−7−エン(DBU)のアセトニトリ
ル溶液15mlを滴下した。氷冷下で4.5時間撹拌
後、反応液をそのまま減圧濃縮してシリカゲルクロマト
グラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2→酢酸
エチル)で精製して1.53g(収率67%)の(6)
を得た。
【0157】(7)の合成 1.5g(3.8mmol)のエステル化合物(6)を
100mlのジクロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢
酸10mlを添加後室温で3時間撹拌した。反応溶液を
減圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサ
ン:酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で精製すると、
白色結晶として0.8g(収率62%)のオキサミル誘
導体−7(7)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 2.33(s,3H), 3.07(s,3H), 3.09(s,3H), 4.45〜4.61(d,2H), 6.29〜6.35(br,1H),7.38〜7.48(d,2H), 7.99〜8.12(d,2H).
【0158】実施例8 オキサミル誘導体−8および9
の合成
【化28】
【0159】(2)の合成 4.0g(25mmol)のオキサミルオキシム(1)
とブロモ酢酸tert−ブチル5.0g(25mmo
l)、それに炭酸カリウム12g(87mmol)を1
00mlのアセトニトリルに加えて、80℃で還流させ
ながら3時間撹拌した。反応液をセライトで濾過して濾
液を濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン
−酢酸エチル=1:1)で精製すると、白色結晶として
6.0g(収率87%)の(2)を得た。
【0160】(3)の合成 5.8g(21mmol)の(2)をジクロロメタン1
00mlに溶解して、トリフルオロ酢酸10mlを加え
た後、室温で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、
シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル
=1:1)で精製すると、白色結晶として3.9g(収
率84%)のオキサミル誘導体−8(3)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 2.25(s,3H),3.03(s,3H),3.0
6(s,3H),4.76(s,2H),8.10
(s,1H).
【0161】(4)の合成 2.2g(10mmol)の(3)、1.6g(10m
mol)の4−アミノ酪酸tert−ブチル、及びN−
ヒドロキシコハク酸イミド(HONSu)1.5g(1
3mmol)のTHF溶液30mlを氷冷して、ジシク
ロヘキシルカルボジイミド(DCC)2.5g(12m
mol)のTHF溶液50mlを滴下した。滴下終了
後、室温で一晩撹拌した。析出してきたジシクロヘキシ
ル尿素を濾過で除いた後、濾液を濃縮してシリカゲルク
ロマトグラフィー(ヘキサン−酢酸エチル=1:1)で
精製すると、白色結晶として2.4g(収率66%)の
エステル化合物(4)を得た。
【0162】(5)の合成 2.3g(6.4mmol)のエステル化合物(4)を
100mlのジクロロメタンに溶解させ、トリフルオロ
酢酸10mlを加えて室温で2時間撹拌した。反応溶液
を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチ
ル)で精製すると、白色結晶として1.3g(収率67
%)のオキサミル誘導体−9(5)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 1.78〜2.18(m,2H), 2.09〜2.50(overlap,5H), 3.04(s,3H), 3.06(s,3H), 3.41(q,2H), 4.62(s,2H), 6.48〜6.85(br,1H),7.80〜8.50(br,1H)
【0163】実施例9 オキサミル誘導体−10の合成
【化29】
【0164】(2)の合成 0.8g(5mmol)のオキサミルオキシム(1)と
0.7g(7mmol)のコハク酸無水物を30mlの
ジクロロメタンに溶解して室温で一晩撹拌した。反応溶
液を減圧濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘ
キサン:酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で精製する
と、白色結晶として1.0g(収率78%)の(2)を
得た。1 H−NMR(CDCl3) 2.33(s,3H), 2.68〜2.88(m,4H), 3.06(s,3H), 3.11(s,3H), 9.10〜9.50(br,1H)
【0165】実施例10 オキサミル誘導体−11の合
【化30】
【0166】(2)の合成 1.9g(10.4mmol)のアジピン酸クロリドを
ジクロロメタン100mlに溶解して、氷冷後1.7g
(10.5mmol)のオキサミルオキシムのジクロロ
メタン溶液10ml、0.8g(10mmol)のピリ
ジンのジクロロメタン溶液10mlを滴下して1時間氷
冷下で撹拌した。2.0g(12mmol)のベラトリ
ルアルコールのジクロロメタン溶液10ml、0.8g
(10mmol)のピリジンのジクロロメタン溶液10
mlを滴下して氷冷下で30分、更に室温で1.5時間
撹拌した。反応溶液を水洗、無水硫酸マグネシウムで脱
水、濾過、濃縮してシリカゲルクロマトグラフィー(n
−ヘキサン:酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で粗精
製した。この粗精製物を次の反応にそのまま供した。
【0167】(3)の合成 (2)を含む2.0gの粗精製物を100mlのジクロ
ロメタンに溶解し、トリフルオロ酢酸10mlを添加後
室温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して、シリ
カゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=
1:1)で精製すると、1.3g((1)からの通算収
率43%)の(3)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 1.64〜1.83(m,4H),2.33(s,3H), 2.36〜2.45(t,2H),2.45〜2.56(t,2H), 3.05(s,3H), 3.11(s,3H)
【0168】実施例11 オキサミル誘導体−12の合
【化31】
【0169】(2)の合成 3.5g(50mmol)のナトリウムチオメトキシド
をエタノール150mlに溶解して、氷冷下で9.0g
(50mmol)の1−ブロモ−3,3−ジメチル−2
−ブタノン(1)のエタノール溶液20mlを滴下し
た。室温で2.5時間撹拌し、反応液を濾過後、濃縮し
た。この濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(n−
ヘキサン:酢酸エチル=1:9→酢酸エチル)で精製す
ると、透明液体として4.4g(収率60%)の(2)
を得た。
【0170】(3)の合成 4.4g(30mmol)の(2)をエタノール200
mlに溶解して、2.5g(36mmol)のヒドロキ
ルアミン塩酸塩と3.5g(36mmol)の酢酸カリ
ウムを加えて110℃で5時間加熱還流した。反応溶液
を濾過して、濾液を濃縮後にシリカゲルクロマトグラフ
ィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1→4:1)で
精製すると、透明液体として4.0g(収率82%)の
(3)を得た。
【0171】(4)の合成 2.6g(8.4mmol)の6−(フェニルオキシカ
ルボニルアミノ)ヘキサン酸tert−ブチルをアセト
ニトリル200mlに溶解して、氷冷下で1.5g
(9.3mmol)の3,3−ジメチル−1−(メチル
チオ)−2−ブタノンオキシム(チオファノックスオキ
シム)(3)のアセトニトリル溶液20ml、次いで
1.3g(8.5mmol)の1,8−ジアザビシクロ
[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)のアセト
ニトリル溶液20mlを滴下した。そのまま氷冷下で5
時間撹拌後、反応溶液をそのまま濃縮して、シリカゲル
クロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:
1→1:1)で精製すると、透明液体として,2.3g
(収率73%)の(4)を得た。
【0172】(5)の合成 2.3g(6.1mmol)の(4)を200mlのジ
クロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢酸10mlを添
加後室温で3時間撹拌した。反応溶液をそのまま減圧濃
縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢
酸エチル=4:1→2:1→1:1)で精製すると、透
明液体として1.35g(収率69%)の(5)を得
た。1 H−NMR(CDCl3) 1.24(s,9H), 1.31〜1.48(m,2H), 1.54〜1.78(m,4H),2.25(s,3H), 2.32〜2.43(t,2H),3.23〜3.36(m,2H), 3.44(s,2H), 6.24〜6.38(br,1H)
【0173】実施例12 オキサミル誘導体−13の合
【化32】
【0174】(2)の合成 2.3g(57.5mmol)の水酸化ナトリウムをエ
タノール50mlに溶解して、氷冷下で4.5g(7
2.6mmol)エチルメルカプタンのエタノール溶液
10mlを滴下した。10g(55.9mmol)の1
−ブロモ−3,3−ジメチル−2−ブタノン(1)のエ
タノール溶液20mlを滴下して一晩撹拌した。反応液
を濾過後、濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー
(n−ヘキサン:酢酸エチル=49:1→9:1)で精
製すると、透明液体として7.4g(収率83%)の
(2)を得た。
【0175】(3)の合成 7.4g(46.3mmol)の(2)をエタノール2
00mlに溶解して、3.86g(55.5mmol)
のヒドロキルアミン塩酸塩と5.44g(55.5mm
ol)の酢酸カリウムを加えて110℃で5時間加熱還
流した。反応溶液を濾過して、濾液を濃縮後にシリカゲ
ルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=
9:1)で精製すると、透明液体として7.12g(収
率88%)の(3)を得た。
【0176】(4)の合成 1.75g(10mmol)のオキシム(3)をアセト
ニトリル100mlに溶解し、3.07g(10mmo
l)の6−(フェニルオキシカルボニルアミノ)ヘキサ
ン酸tert−ブチルのアセトニトリル溶液20mlを
氷冷下で一気に加えた。次いで1.52g(10mmo
l)の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク
−7−エン(DBU)のアセトニトリル溶液20mlを
氷冷下で滴下し、そのまま3時間撹拌した。反応溶液を
濃縮して、シリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=9:1→1:1)で精製すると、透明
液体として2.86g(収率74%)の(4)を得た。
【0177】(5)の合成 2.8g(7.2mmol)の(4)を100mlのジ
クロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢酸10mlを添
加後室温で2.5時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し
て、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エ
チル=4:1→1:1→酢酸エチル)で精製すると、白
色結晶として1.67g(収率70%)の(5)を得
た。1 H−NMR(CDCl3) 1.17〜1.32(overlap,12H),1.32〜1.50(m,2H), 1.51〜1.76(m,4H), 2.30〜2.41(m,2H), 2.65〜2.76(q,2H), 3.21〜3.32(m,2H), 3.44(s,2H), 6.22〜6.38(br,1H)
【0178】実施例13 オキサミル誘導体−14の合
【化33】
【0179】(2)の合成 1.12g(28mmol)の水酸化ナトリウムをエタ
ノール50mlに溶解して、室温で2.5g(33mm
ol)のイソプロピルメルカプタンのエタノール溶液1
5mlを滴下した。5.0g(28mmol)の1−ブ
ロモ−3,3−ジメチル−2−ブタノン(1)のエタノ
ール溶液15mlを室温で滴下して2日間撹拌した。反
応液を炭酸カリウム水溶液−ジクロロメタンで分配し
て、ジクロロメタン層を無水硫酸マグネシウムで脱水、
濾過、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘ
キサン:酢酸エチル=49:1)で精製すると、透明液
体として4.3g(収率88%)の(2)を得た。
【0180】(3)の合成 4.3g(24mmol)の(2)、2.0g(28.
8mmol)のヒドロキルアミン塩酸塩と2.8g(2
8.6mmol)の酢酸カリウムをエタノール200m
lに加えて110℃で5時間加熱還流した。反応溶液を
濾過して、濾液を濃縮後にシリカゲルクロマトグラフィ
ー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製する
と、白色結晶として4.49g(収率96%)の(3)
を得た。
【0181】(4)の合成 1.9g(10mmol)のオキシム(3)をアセトニ
トリル50mlに溶解し、3.07g(10mmol)
の6−(フェニルオキシカルボニルアミノ)ヘキサン酸
tert−ブチルのアセトニトリル溶液10mlを室温
で加えた。次いで1.52g(10mmol)の1,8
−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン
(DBU)のアセトニトリル溶液10mlを氷冷下で滴
下し、そのまま氷冷下で2時間、更に室温で2時間撹拌
した。反応溶液を濃縮して、シリカゲルクロマトグラフ
ィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1→4:1→
1:1)で精製すると、透明液体として3.23g(収
率80%)の(4)を得た。
【0182】(5)の合成 3.2g(8.0mmol)の(4)を150mlのジ
クロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢酸10mlを添
加後室温で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して、
シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル
=4:1→1:1)で精製すると、1.51g(収率5
5%)の(5)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 1.23(s,9H), 1.24〜1.31(d,6H), 1.32〜1.48(m,2H),1.51〜1.76(m,4H), 2.29〜2.41(m,2H),3.04〜3.19(m,1H), 3.21〜3.35(m,2H), 3.42(s,2H), 6.22〜6.38(br,1H)
【0183】実施例14 オキサミル誘導体−15の合
【化34】
【0184】(2)の合成 1.12g(28mmol)の水酸化ナトリウムをエタ
ノール50mlに溶解して、室温で2.5g(33mm
ol)のn−プロピルメルカプタンのエタノール15m
lを滴下した。5.0g(28mmol)の1−ブロモ
−3,3−ジメチル−2−ブタノン(1)のエタノール
溶液15mlを室温で滴下して2日間撹拌した。反応液
を炭酸カリウム水溶液−ジクロロメタンで分配して、ジ
クロロメタン層を無水硫酸マグネシウムで脱水、濾過、
濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=49:1)で精製すると、透明液体と
して4.28g(収率88%)の(2)を得た。
【0185】(3)の合成 6.16g(35.4mmol)の(2)、3.0g
(42.5mmol)のヒドロキルアミン塩酸塩と4.
16g(42.5mmol)の酢酸カリウムをエタノー
ル200mlに加えて80℃で一晩加熱還流した。反応
溶液を濾過して、濾液を濃縮後にシリカゲルクロマトグ
ラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製
すると、透明液体として6.25g(収率93%)の
(3)を得た。
【0186】(4)の合成 2.0g(16mmol)のオキシム(3)と3.1g
(10mmol)の6−(フェニルオキシカルボニルア
ミノ)ヘキサン酸tert−ブチルをアセトニトリル5
0mlに溶解した。次に1.52g(10mmol)の
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−
エン(DBU)のアセトニトリル溶液20mlを氷冷下
で滴下し、そのまま氷冷下で2時間、更に室温で2時間
撹拌した。反応溶液を濃縮して、シリカゲルクロマトグ
ラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1→4:
1)で精製すると、透明液体として2.83g(収率7
0%)の(4)を得た。
【0187】(5)の合成 2.8g(7.0mmol)の(4)を100mlのジ
クロロメタンに溶解し、トリフルオロ酢酸10mlを添
加後室温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して、
シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン→ヘキサン:
酢酸エチル=9:1→4:1)で精製すると、1.2g
(収率50%)の(5)を得た。1 H−NMR(CDCl3) 0.91〜1.03(t,3H),1.23(s,9
H),1.32〜1.48(m,2H),1.53〜
1.77(m,6H),2.31〜2.41(t,2
H),2.61〜2.70(t,2H),3.23〜
3.34(q,2H),3.42(s,2H),6.2
3〜6.38(br,1H).
【0188】実施例15 免疫原およびスクリーニング
用抗原の作製 上記実施例1−14および製造例において製造したオキ
サミル誘導体−1ないし−15、およびオキサミル誘導
体−Cに活性化エステル法により担体蛋白質を結合さ
せ、免疫原およびスクリーニング用抗原を作製した。ま
ず、オキサミル誘導体をハプテンとして、各々3.5μ
molをDMSO50μlに溶解した。次にこれらの溶
液にN−ヒドロキシこはく酸イミド(5μmol)をD
MSO10μlに溶解し添加後、さらに1−エチル−3
−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(4
μmol)をDMSO20μlに溶解し添加した。室温
にて1.5時間反応させた後、この反応溶液に85mM
ホウ酸緩衝液(pH8.0)500μlに溶解したBS
AあるいはKLH各々10mgを、さらに添加し、再び
室温にて1.5時間反応させた。反応終了後ダルベコの
リン酸緩衝液(以下、「PBS(−)」という)に対し
て透析し、オキサミル誘導体−KLH結合体、オキサミ
ル誘導体−BSA結合体を各々調製した。
【0189】実施例16 免疫感作 実施例15で調製したオキサミル誘導体とKLHの結合
体100μgをPBS(−)50μlに溶解し、等量の
フロイント完全アジュバントと乳化混合した後、Bal
b/cマウスの腹腔内に接種した。その後1カ月後にそ
れぞれの初回免疫量の1/4量を追加免疫し、さらに1
4日後に追加免疫と同量を最終免疫した。
【0190】実施例17 抗血清の採取及び抗体活性の
測定 追加免疫後のマウス尾静脈から血液を採取し、抗血清を
調製した。得られた抗血清の活性を実施例15で調製し
たオキサミル誘導体とBSAとの結合体を用いたELI
SA法にて測定した。
【0191】各免疫原に対応するBSAとの結合体(4
μg/ml)をPBS(−)に溶解し、96ウェルのマ
イクロタイタープレートに100μl/ウェルで添加
し、4℃で一晩静置することにより、固相化した。次に
300μl/ウェルでブロッキング緩衝液{1%BSA
と60mM NaClを添加した85mM ホウ酸緩衝
液(pH8.0)}に置き換え、室温で1時間ブロッキ
ングした。このウェルを洗浄液(60mM NaClを
添加したホウ酸緩衝液)で洗浄した後、抗血清を100
μl/ウェルで加え、室温で1時間反応した。洗浄液で
3回洗浄した後、第二抗体希釈液{0.3%BSAと6
0mM NaClを添加した85mMホウ酸緩衝液(p
H8.0)}で1000倍希釈したペルオキシダーゼ結
合抗マウスIgG抗体(カペル社製)を100μl/ウ
ェルで添加し、室温で1時間反応した。洗浄液で3回洗
浄した後、ペルオキシダーゼの基質溶液{3,3',5,
5'−テトラメチルベンジジン(100μg/ml)、
0.006%過酸化水素を添加した0.1M酢酸ナトリ
ウム緩衝液(pH5.5)}で10分間発色し、1N硫
酸で反応停止後450nmの吸光度を測定した。
【0192】実施例18 間接競合阻害ELISA法に
よる抗血清のオキサミルとの反応性 実施例3で活性の確認できた抗血清について、オキサミ
ルに対する反応性を間接競合阻害ELISA法により評
価した。
【0193】まず、実施例17と同様に固相化し、ブロ
ッキングしたマイクロタイタープレートへ、希釈液{1
50mM NaClを添加した85mMホウ酸緩衝液
(pH8.0)}で適当な濃度に希釈したオキサミル溶
液を50μl/ウェルで加え、その後、直ちに同じ希釈
液で適当な濃度に希釈した抗血清溶液を50μl/ウェ
ルで加えて混合し、室温で1時間反応した。3回洗浄し
た後、実施例17に示したELISA法と同様の方法で
第二抗体と反応させ、発色後、450nmの吸光度を測
定した。
【0194】結果は図1に示すようにオキサミル誘導体
−1から作製した抗血清がオキサミルとの反応性が最も
高かった。
【0195】実施例19 モノクローナル抗体の作製 細胞融合は、実施例16の最終免疫後3日目のマウスに
脾臓細胞を用いて行った。ステンレスメッシュで大きな
固形物を除去しながら、ダルベコ培地中に取り出した脾
臓細胞をダルベコ培地にて3回洗浄した後、マウスのミ
エローマ細胞P3−X63−Ag8.653と細胞数の
比で5:1(脾臓細胞:ミエローマ細胞)になるように
混合し、遠心(1,200rpm、5分間)して細胞沈
渣を集めた。この細胞沈渣に予め37℃に加温しておい
た50%ポリエチレングリコール(分子量1,500)
1mlを加え、細胞を融合した。細胞融合は、ダルベコ
培地10mlを徐々に添加し、牛胎児血清(以下「FB
S」という)1mlを更に添加することにより、停止し
た。融合した細胞は、10%FBSを添加したダルベコ
培地(以下「ダルベコ/10%FBS培地」という)に
ヒポキサンチン(100μM)、アミノプテリン(0.
4μM)、およびチミジン(16μM)を添加したHA
T培地に懸濁後、96ウェルのポリスチレンプレートに
2×105細胞/ウェルで分注し、37℃、5%二酸化
炭素存在下で10日間−14日間培養した。培養後、ウ
ェル中の抗体活性の有無をそれぞれスクリーニングし
た。
【0196】抗体の反応性は、実施例15で調製したオ
キサミル誘導体−BSA結合体を用いて実施例17と同
様の方法で測定した。
【0197】誘導体とBSAの結合体に反応性を示した
ウェル中のハイブリドーマは、限界希釈法によって細胞
クローニングし、モノクローナル抗体産生細胞とした。
これらのうちオキサミル誘導体1−BSA結合体を抗原
として得られたOXM6−8を平成9年7月3日に、寄
託番号FERM P−16301で工業技術院生命工学
工業研究所(〒305 茨城県つくば市東1丁目1番3
号)に寄託した。
【0198】実施例20 間接競合阻害ELISA法に
よるモノクローナル抗体のオキサミルとの反応性 実施例19で得られたハイブリドーマのうち4株のハイ
ブリドーマ(OXMH3、OXM2−3、OXM3−
2、OXM6−8)が産生するモノクローナル抗体(以
後モノクローナル抗体は、これらを産生するハイブリド
ーマと同一名称を用いる)の、オキサミルとの反応性を
実施例18と同様の間接競合阻害ELISA法によって
検討した。
【0199】各モノクローナル抗体について得られた各
濃度における吸光度から以下の式:
【化35】 を用いて阻害率を計算した。その結果、OXM H3が
約1,000〜10,000ng/ml、OXM2−3と
OXM3−2が約100〜10,000ng/ml、O
XM6−8が約10〜100ng/mlの範囲でオキサ
ミルを測定することができた。従って、実施例1で合成
したオキサミル誘導体1を用いて作製した抗体OXM6
−8が、オキサミルと最も高い反応性を示すことが明ら
かとなった。
【0200】実施例21 モノクローナル抗体の精製 まず、ハイブリドーマをダルベコ/10%FBS培地を
用いて培養した。その培養上清に50%飽和となるよう
に硫安を加え、4℃て一晩撹拌した。生じた沈殿物に蒸
留水を加えて可溶化した後、PBS(−)で透析し、A
vid ALゲル(バイオプローブ インターナショナ
ル社製)カラムクロマトグラフィーによって精製した。
【0201】実施例22 オキサミル誘導体とHRPと
の結合体の作製 表1に示した各オキサミル誘導体1.25μmolをD
MSO 50μlに溶解した。この溶液へDMSOに溶
解したN−ヒドロキシこはく酸イミド(5.5μmo
l)3μl、および塩酸1−エチル−3−(3−ジメチ
ルアミノプロピル)カルボジイミド(3.5μmol)
7μlを加え、室温にて1時間反応させた。この反応液
に1M炭酸水素ナトリウム40μlを加え、更にHRP
溶液(20mg/ml)250μlを加えて混合し、室
温にて3時間反応した。得られた反応液から、ゲル濾過
カラム(G−25)で低分子化合物を除去し、オキサミ
ル誘導体−HRP結合体を得た。
【0202】実施例23 直接競合阻害ELISA法で
のモノクローナル抗体OXM6−8とオキサミルとの反
応性 実施例21で精製したモノクローナル抗体OXM6−8
と実施例22で調製したオキサミル誘導体−HRP結合
体を用いて、オキサミルとの反応性を直接競合阻害EL
ISA法で比較した。直接競合阻害ELISA法は、以
下の手順で実施した。
【0203】まず、実施例21で精製したOXM6−8
を2μg/mlの濃度で50mM炭酸ナトリウム緩衝液
(pH8.3)に溶解し、96ウェルのマイクロタイタ
ープレートに100μl/ウェルで加えた後、4℃で一
晩静置することにより固相化した。つぎに300μl/
ウェルでプロッキング緩衝液に置き換え、室温で1時間
ブロッキングした。また、このプレートとは別にオキサ
ミル溶液とオキサミル誘導体−HRP結合体を最終濃度
が0.15%BSA、60mM NaClとなるように
これらを添加した85mMホウ酸緩衝液(pH8.0)
中で混合し、ブロッキングしたプレートに100μl/
ウェルで加えた後、室温にて1時間反応した。洗浄液で
5回洗浄した後、ペルオキシダーゼの基質溶液で発色さ
せ、450nmの吸光度を測定した。
【0204】図2に示したように、OXM6−8は、直
接競合阻害ELISA法によって約4〜500ng/m
lの測定範囲でオキサミルを測定することが可能であっ
た。
【0205】実施例24 直接競合阻害ELISA法に
おける異種のオキサミル誘導体の効果 抗体の作製に使用したものとは構造の異なるオキサミル
誘導体とHRPとの結合体を、標識競合化合物として用
いて、実施例23と同様に直接競合阻害ELISA法を
行った。
【0206】その結果、図3に示すように、オキサミル
誘導体−1を免疫原として作製されたモノクローナル抗
体OXM6−8に対し、リンカーにシクロヘキサン環を
導入したオキサミル誘導体−5(実施例5)、あるいは
リンカー付近のアミノ基を除去したオキサミル誘導体−
10(実施例9)もしくは−11(実施例10)を競合
物質として使用した場合の方が、オキサミル誘導体−1
自身を使用した場合よりも高感度にオキサミルを測定で
きることが明らかとなった。すなわち、例えば、オキサ
ミル誘導体−11を使用した場合、約0.5−20ng
/mlの範囲でオキサミルの測定が可能となった。
【0207】実施例25 直接競合阻害ELISA法に
おけるOXM6−8のメタノール耐性 実施例23に示した直接競合阻害ELISA法におい
て、オキサミル誘導体−4を標識競合化合物として、測
定系に与えるメタノールの影響を調べた。その結果、2
0%程度までのメタノール濃度であれば、ほぼ同じ阻害
率でオキサミルと反応した。
【0208】実施例26 OXM6−8のオキシム類縁
化合物との交差反応性 OXM6−8のオキサミル類縁化合物との交差反応性
を、標識競合化合物としてオキサミル誘導体−4を用い
た直接競合阻害ELISA法によって調べた。結果は、
これらの化合物未添加時の吸光度を50%阻害する濃度
を各々IC50値として、表1に示した。
【0209】
【表1】 OXM6−8は表1に示す類縁化合物とほとんど交差反
応しないことがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のオキサミル誘導体を用いて得
られた抗血清の間接競合阻害ELISA法によるオキサ
ミルとの反応性を示す。
【図2】図2は、本発明のモノクローナル抗体OXM6
−8の直接競合阻害ELISA法によるオキサミルとの
反応性を示す。
【図3】図3は、本発明のモノクローナル抗体OXM6
−8の直接競合阻害ELISA法において、標識競合化
合物を変えた場合のオキサミルとの反応性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/53 G01N 33/531 A 33/531 33/577 B 33/577 C12N 5/00 B (72)発明者 三宅 司郎 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 山口 優樹 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内 (72)発明者 別府 佳紀 東京都港区浜松町1丁目27番14号 株式会 社環境免疫技術研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の式(1)−(4): 【化1】 [式(1)−(4)中、 R1は、所望により1個ないし2個のハロゲン原子、ま
    たは炭素数1−3のアルキル基で置換されていてもよい
    以下の式(R1a)−(R1d): 【化2】 からなる群から選択される構造を有し;R2は、(C
    2nc、CH2CONH(CH2nd、またはCO(C
    2neであり、ここにおいて、ncは、1−3の整数
    であり、ndは、1−5の整数であり、neは、1−5
    の整数である;R3は、炭素数1−6のアルキル基であ
    り;naは、6−15の整数であり;そしてnbは、1
    −10の整数である]からなる群から選択される構造を
    有する化合物。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の化合物と高分子化合物又
    は標識物質との結合体。
  3. 【請求項3】以下の式(1)−(4): 【化3】 [式(1)−(4)中、 R1は、所望により1個ないし2個のハロゲン原子、ま
    たは炭素数1−3のアルキル基で置換されていてもよい
    以下の式(R1a)−(R1d): 【化4】 からなる群から選択される構造を有し;R2は、(C
    2nc、CH2CONH(CH2nd、またはCO(C
    2neであり、ここにおいて、ncは、1−3の整数
    であり、ndは、1−5の整数であり、neは、1−5
    の整数である;R3は、炭素数1−6のアルキル基であ
    り;naは、5−15の整数であり;そしてnbは、1
    −10の整数である]のいずれかで表される構造を有す
    る化合物と高分子化合物を結合させることにより抗原を
    作製し、当該抗原を用いることにより、以下の式
    (5): 【化5】 で表される構造を有する化合物に反応性を示す抗体を製
    造することを特徴とする、式(5)の化合物に反応性を
    示す抗体又はそのフラグメントの製造方法。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の方法により製造された、
    式(5)の化合物と反応性を示す抗体又はそのフラグメ
    ント。
  5. 【請求項5】式(1)においてna=5である化合物を
    用いて製造された、請求項4に記載の式(5)の化合物
    と反応性を示す抗体又はそのフラグメント。
  6. 【請求項6】モノクローナル抗体である、請求項4又は
    5に記載の抗体又はそのフラグメント。
  7. 【請求項7】OXM6−8である、請求項4ないし6の
    いずれか1項に記載の抗体又はそのフラグメント。
  8. 【請求項8】請求項4ないし7のいずれか1項に記載の
    抗体又はそのフラグメントを産生するハイブリドーマ。
  9. 【請求項9】寄託番号FERM P−16301で寄託
    されている、請求項8に記載のハイブリドーマ。
  10. 【請求項10】請求項4ないし7のいずれか1項に記載
    の抗体又はそのフラグメントを用いることを特徴とす
    る、式(5)で表される化合物の免疫学的測定方法。
  11. 【請求項11】さらに、式(1)−(4)のいずれかで
    表される化合物と高分子化合物または標識化合物との結
    合体を使用することを含む、請求項10に記載の免疫学
    的測定方法。
  12. 【請求項12】式(1)−(4)のいずれかで表される
    化合物が、請求項4ないし7のいずれか1項に記載の抗
    体又はそのフラグメントを作製するための用いた化合物
    とは異なるものである、請求項11に記載の免疫学的測
    定方法。
JP19371897A 1997-07-18 1997-07-18 オキサミルのハプテン化合物、抗体及び測定方法 Expired - Fee Related JP3388141B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001275682A (ja) * 2000-03-31 2001-10-09 Kankyo Meneki Gijutsu Kenkyusho:Kk 抗マラチオンモノクローナル抗体をコードする遺伝子
CN115073337A (zh) * 2022-05-16 2022-09-20 江南大学 一种灭多威半抗原、完全抗原、单克隆抗体及其制备方法和应用

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CN115073337A (zh) * 2022-05-16 2022-09-20 江南大学 一种灭多威半抗原、完全抗原、单克隆抗体及其制备方法和应用

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