JPH11292645A - 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法 - Google Patents
耐酸化性c/c複合材及びその製造方法Info
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- JPH11292645A JPH11292645A JP10105957A JP10595798A JPH11292645A JP H11292645 A JPH11292645 A JP H11292645A JP 10105957 A JP10105957 A JP 10105957A JP 10595798 A JP10595798 A JP 10595798A JP H11292645 A JPH11292645 A JP H11292645A
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Abstract
高温酸化性雰囲気において、優れた耐酸化性能を備えた
C/C 複合材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 C/C 基材面に傾斜機能組織のSiC 被膜か
らなる第1被覆層、微細多結晶質SiC 被膜あるいはこれ
を加熱処理して得られる高結晶質SiC 被膜からなる第2
被覆層、B2O3-SiO2 ガラス質被膜からなる第3被覆層及
び繊維状SiC と粉末SiC とZrO2-SiO2 ガラスとの複合被
膜からなる第4被覆層が積層形成された耐酸化性C/C 複
合材。製造方法は、C/C 基材面を研磨したのちコンバー
ジョン法により傾斜機能組織の多結晶質SiC 被膜を形成
する第1被覆工程、CVD 法により析出した微細多結晶質
SiC 被膜あるいはこれを熱処理した高結晶質SiC 被膜を
形成する第2被覆工程、B2O3-SiO2 ガラス前駆体溶液を
含浸熱処理してB2O3-SiO2 ガラス質被膜を形成する第3
被覆工程、繊維状SiC と粉末SiC とZrO2-SiO2 ガラス前
駆体溶液との混合スラリを塗布し熱処理して複合被膜を
形成する第4被覆工程とを順次に施す。
Description
下において高度の耐酸化性を有し、特に低圧下において
急速に高温加熱される苛酷な高温酸化性雰囲気中で、優
れた耐酸化性能を備えるC/C複合材(炭素繊維強化炭
素複合材)及びその製造方法に関する。
度、比弾性率を有するうえに優れた耐熱性および化学的
安定性を備えているため、航空宇宙用をはじめ多くの分
野で構造材料として有用されている。しかし、C/C複
合材を含め炭素材料は大気中において、500℃付近か
ら酸化を受けて損耗するために物理的、化学的性質が低
下する欠点があり、例えば高温大気中での使用は極短時
間の場合を除き不可能であった。このため、従来からC
/C複合材の表面に耐酸化性の被覆を施して改質化する
試みがなされており、例えばSiC、Si3 N4 、Zr
O2 、Al2 O3 等の耐熱セラミックス系物質によって
被覆処理する方法が開発されている。このうち、被覆層
の形成操作、性状特性など技術的、経済的の面からSi
Cの被膜形成が最も工業性に適合している。
形成する方法として、気相反応により生成するSiCを
直接沈着させるCVD法(化学的気相蒸着法)と、基材
の炭素を反応源に利用してSiOガスと反応させること
によりSiCに転化させるコンバージョン法が知られて
いる。このうち、前者のCVD法を適用して形成したS
iC被覆層は緻密なSiC被覆層を形成することができ
るが、基材との界面が明確に分離している関係で熱衝撃
を与えると相互の熱膨張係数の差によってSiC被覆層
が剥離したり、クラックが発生し易く、高温雰囲気下で
の充分な耐酸化性は望めない。これに対し、後者のコン
バージョン法による場合にはC/C複合基材の炭素とS
iOガスとが、2C+SiO→SiC+COの反応によ
りSiC1分子当たり1分子のCOが排出されるので容
積変化が抑制され、C/C複合材に内部応力を発生する
ことなく、C/C複合材の表層部が連続組織としてSi
C被覆層を形成する傾斜機能組織となるため界面剥離を
生じることがない。しかしながらCVD法に比較して組
織の緻密性が劣る上、SiCに転化する反応時に被覆層
に微小なクラックが発生する欠点がある。
基材面にSiOガスを接触させてコンバージョン法によ
りSiC被覆層を形成する第1被覆工程と、次いでCV
D法によりハロゲン化有機珪素化合物を還元熱分解して
アモルファス質のSiCを析出沈着させる第2被覆工程
とを順次に施す耐酸化処理法(特開平4−12078 号公
報)、更にこれを改良して第2被覆工程でハロゲン化有
機珪素化合物を基材組織に間欠的に充填して還元熱分解
させるパルスCVI法によってSiCを析出沈着させる
耐酸化処理法(特開平4−42878 号公報)等が提案され
ている。
した第2被覆層のSiCにも微小な亀裂が発生してお
り、より高度の耐酸化性能を付与するためにはこの亀裂
を充填封止して、目詰めする必要が認められた。そこ
で、C/C基材面に傾斜機能を有する多結晶質のSiC
被膜からなる第1被覆層、アモルファス質または微細多
結晶質のSiC被膜からなる第2被覆層、およびB2 O
3 −SiO2 ガラス被膜の第3被覆層が積層形成されて
なる耐酸化性C/C複合材(特開平4−243989号公報)
等が開発されている。
を改良して、第2被覆層を、ハロゲン化有機珪素化合物
と水素あるいはハロゲン化珪素と炭化水素および水素と
の混合ガスを用いてCVD法により1400〜1500
℃の温度に加熱してSiCを析出被覆する第1段階操作
と、不活性雰囲気に保持された加熱炉内で1600〜1
900℃の温度に加熱処理する第2段階操作とを順次に
施して被覆形成する耐酸化処理法が本出願人の1人から
提案(特願平8−20438 号)されている。
囲気においても優れた耐酸化性能を発揮するが、更に詳
細な耐酸化性のテストの結果、例えば宇宙往還機のノー
ズキャップ等の裏面側を想定して実施される高温、低圧
下における耐酸化試験(低圧揮散試験)により検討した
結果、緊急大気圏突入を想定した酸化条件下では1回の
テストにより、特に第2被覆層の酸化消耗が大きく、耐
酸化性能が充分でないことが判明した。
はSiC被覆層上にガラス質としてNa2 SiO3 、無
機フィラーとしてSiC粉末と繊維状SiC物質との混
合物を使用し、これを混合してスラリ状にしたものを塗
布して保護膜を形成する耐酸化処理法が開示されてい
る。しかしながら、バインダーとして用いるNa2 Si
O3 は蒸気圧が高いので、1000℃を越える高温、低
圧下ではNa2 SiO3ガラスが揮散してコーティング
膜が剥離し、SiC被覆層の保護膜として機能しなくな
る難点がある。
点を解消し、約1600℃までの高温、低圧下において
優れた耐酸化性能を備え、また熱サイクルが加わっても
安定した被覆層を維持し得る耐酸化性C/C複合材と、
その製造方法を提供することを目的として開発されたも
のである。
めの本発明による耐酸化性C/C複合材は、表面研磨処
理されたC/C複合基材面に、傾斜機能組織の多結晶質
SiC被膜からなる第1被覆層、微細多結晶質SiC被
膜あるいはこれを加熱処理して得られる高結晶質SiC
被膜からなる第2被覆層、B2 O3 −SiO2 ガラス質
被膜からなる第3被覆層、及び繊維状SiCと粉末Si
CとZrO2 −SiO2 ガラスとの複合被膜からなる第
4被覆層、が積層形成されてなることを構成上の特徴と
する。
製造方法は、炭素繊維をマトリックス樹脂と共に複合成
形し硬化及び焼成炭化して得られるC/C複合基材の表
面を研磨処理した後、SiOガスと非酸化性雰囲気中1
600〜2000℃の温度で接触させてコンバージョン
法により傾斜機能組織の多結晶質SiC被膜を形成する
第1被覆工程、CVD法により析出させた微細多結晶質
SiC被膜あるいはこれを非酸化性雰囲気中で加熱処理
して高結晶質SiC被膜を形成する第2被覆工程、B及
びSiを含有する金属アルコキシドを加水分解して得ら
れるB2 O3 −SiO2 ガラス前駆体溶液を含浸して乾
燥したのち500〜1000℃の温度で熱処理してB2
O3 −SiO2 ガラス質被膜を形成する第3被覆工程、
次いで繊維状SiCと粉末SiCとZrO2 −SiO2
ガラス前駆体溶液との混合スラリを塗布したのち熱処理
して繊維状SiCと粉末SiCとZrO2 −SiO2 ガ
ラスとの複合被膜を形成する第4被覆工程、とを順次に
施すことを構成上の特徴とする。
維には、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ
系など各種原料から製造された平織、朱子織、綾織など
の織布を一次元または多次元方向に配向した繊維体、フ
ェルト、トウ等が使用され、マトリックス樹脂としては
フェノール系、フラン系など高炭化性の液状熱硬化性樹
脂が用いられる。炭素繊維は、浸漬、塗布などの手段に
よりマトリックス樹脂で十分に濡らしたのち半硬化して
プリプレグを形成し、ついで積層加圧成形する。成形体
は加熱して樹脂成分を完全に硬化し、引き続き常法に従
って焼成炭化または更に黒鉛化してC/C複合基材が作
製される。また、必要によってはマトリックス樹脂の含
浸、硬化、炭化の処理を反復して組織の緻密化を図るこ
ともできる。
表面層には緻密で濡れ性の低い炭素質の薄層が存在する
ので、第2被覆層であるSiC被膜との密着性が低下す
る。そのため、C/C複合基材を研磨処理して表面層に
存在する薄層を予め除去しておく。研磨処理は、例えば
研磨紙やショットブラスト等により基材に損傷を与えな
いようにしながら表面層の一部を研磨して炭素質薄層を
除去するもので、通常表面層を10〜100μm 程度研
磨すればよい。
iC被膜に転化させる第1被覆層は、基材表層部の組織
が内部から外面に向かうに従って次第にSiC化が進み
SiC濃度が徐々に増える傾斜機能組織の多結晶質Si
C被膜層からなり、C/C複合基材の表層部に一体的に
強固に形成されている。第1被覆層の厚さは50〜10
0μm に設定することが好ましい。膜厚をこの範囲に設
定することにより良好な傾斜機能組織を形成するととも
に基材の強度低下を抑制することができ、熱サイクルや
熱衝撃が加わってもC/C複合基材と第1被覆層との剥
離やクラックの発生を効果的に防止することができる。
るいはこれを加熱処理して得られる緻密でガス不透過性
の高結晶質SiC被膜からなるもので、第1被覆層にお
けるSiC組織の微細なクラックや空隙を充填封止する
とともに第1被覆層を保護するために機能する。また第
2被覆層は、その上に積層形成する第3被覆層との接着
性を強固にするために表面濡れ性が大きいこと、例えば
接触角が35度以下であることが望ましい。なお接触角
は液滴法により測定される。また、第2被覆層の膜厚は
50〜200μm が好ましく、50μm を下回ると充填
封止効果や保護効果が小さく、200μm を越えると熱
膨張差に起因する熱応力が増大して加熱/冷却過程で被
覆層の剥離が生じるためである。
るガラス質被膜により構成され、第2被覆層に生じる微
細クラックを充填、目詰めする。B2 O3 −SiO2 ガ
ラス質被膜はガス遮断効果が大きく、第3被覆層により
第2被覆層の全面がシールされて、高温酸化性雰囲気下
において外気を遮断し、拡散侵入する酸素のバリアとし
て機能する。第3被覆層の好適な被覆量は0.5〜2.
0mg/cm2で、被覆量が0.5mg/cm2未満では第2被覆層
の微細クラックを充填、目詰めする効果が不足し、一方
2.0mg/cm2を越えるとB2 O3 −SiO2 ガラスの一
部がC/C複合基材内部に浸透して加熱時に残留揮発分
の揮散に伴い基材内部において剥離が起こるためであ
る。
層は、繊維状SiCと粉末SiCとZrO2 −SiO2
ガラスとの複合被膜から構成される。繊維状SiCとし
ては強度特性の高い、短繊維状のものが好ましく、例え
ばSiCウイスカーが好適に用いられる。バインダ−と
なるZrO2 −SiO2 ガラスは、耐熱性が高いことに
加えて、加熱/冷却過程においてもガラス質の結晶化が
生じ難いので、結晶化に伴う体積変化に起因する応力に
より生じる被覆層の剥離現象の発生を効果的に抑止する
ことができる。このような複合被膜から構成される第4
被覆層は各成分の複合効果により強度特性にも優れ、高
温プラズマガス流に対しても保護膜として充分に機能す
る。なお、複合被膜中の繊維状SiCの割合は10〜3
0重量%であることが好ましく、その膜厚は10〜10
0μm が好適である。10μm を下回る膜厚では保護効
果が少ないうえに最外層として耐酸化性能を発揮する寿
命が短く、実用上望ましくない。また100μm を越え
る膜厚では剥離や脱落が生じ易くなるためである。この
第4被覆層は劣化した場合、修復施工が可能であるの
で、例えば宇宙往還機のノーズキャップとして1回の大
気圏突入時に劣化しても第4被覆層を修復することによ
り、繰り返しの使用が可能となる。
に積層形成した耐酸化性C/C複合材は、次の第1被覆
工程から第4被覆工程を順次に施すことにより製造され
る。まず、常法により製造されたC/C複合基材の表層
面に存在する炭素質薄層を除去するために研磨紙やショ
ットブラスト等により研磨処理する。研磨処理は通常表
層面を10〜100μm 程度除去することにより行われ
る。
は炭素粉末の混合物を密閉加熱系に収納した系内に、C
/C複合基材をセットして、加熱処理するコンバージョ
ン法により行われる。加熱処理時にSiO2 はSiまた
は炭素により還元されてSiOガスを発生し、発生した
SiOガスはC/C複合基材の表層部から内部に浸透拡
散しながら基材を構成する炭素と反応して、基材表層部
を傾斜機能組織の多結晶質SiCに転化する。第1被覆
工程の条件としては、SiO2 に対するSiまたは炭素
の配合量を重量比で2:1に、加熱温度を1600から
2000℃に、加熱系内を還元または中性の非酸化性雰
囲気に保持した状態で行われる。なお、C/C複合基材
の内部組織がSiC化されることによる強度低下を防止
するために、第1被覆工程で形成するSiC被膜の膜厚
は50〜100μm の範囲に設定することが望ましい。
C被膜を形成したC/C複合基材にCVD法により微細
多結晶質のSiC被膜を析出させ、あるいはこのSiC
被膜を更に非酸化性雰囲気中で加熱処理して高結晶質S
iC被膜を形成する工程である。CVD法による微細多
結晶質SiC被膜は、ハロゲン化有機珪素化合物と水素
との混合ガス、あるいはハロゲン化珪素と炭化水素及び
水素との混合ガスを、CVD反応装置内で加熱されてい
るC/C複合基材とガス状態で接触させることにより析
出する。ハロゲン化有機珪素化合物としてはトリクロロ
メチルシラン(CH3SiCl3)が好適に用いられ、モル濃度は
5〜10%に設定される。またハロゲン化珪素にはテト
ラクロルシラン、トリクロールメチルシラン等が、炭化
水素にはメタン、エタン等が使用される。なお、CVD
反応は常圧下に1400〜1500℃の温度範囲で行う
ことが好適で、この反応条件を設定制御することにより
原子比が1:1の微細多結晶質SiCを析出させること
ができる。
晶質SiC被膜は、アルゴンガスや窒素ガス等の非酸化
性雰囲気中で加熱処理することによりSiCの結晶化を
促進して、高結晶質のSiC被膜に転化させることもで
きる。加熱処理は1600〜1900℃の温度範囲で行
うことが好適であり、この熱処理によりSiC被膜に存
在するSiC結晶の結晶欠陥や結晶不整が是正されて、
緻密でガス不透過性の高結晶質SiC被膜を形成するこ
とができる。
2被覆層は、その上に積層形成する第3被覆層との接着
性を強固にするために表面濡れ性が大きく、例えば接触
角が35度以下であることが好ましい。そのため、CV
D反応によって析出したSiC被膜上に存在する撥水性
の薄膜を研磨して除去したり、酸化性雰囲気中で500
〜600℃の温度に加熱して表面を親水性の基に変換す
ることもできる。
したC/C複合基材の第2被覆層の上に、B及びSiを
含有する金属アルコキシドを加水分解して得られるB2
O3−SiO2 ガラス前駆体溶液を含浸して乾燥したの
ち500〜1000℃の温度で熱処理してB2 O3 −S
iO2 ガラス質被膜を形成する工程である。第3被覆工
程で形成したB2 O3 −SiO2 ガラス質被膜は、C/
C複合基材の第2被覆層に発生した微細なクラックを充
填封止するとともに表面を被覆して高温酸化性雰囲気下
において外気を遮断し、酸化性雰囲気中において拡散侵
入する酸素のバリアとして機能するので、耐酸化性の向
上を図ることが可能となる。
Si(OC2 H5)4 等の金属アルコキシドにアルコール
を加えて攪拌混合した溶液中に水を滴下して加水分解す
るアルコキシド法により調製され、このガラス前駆体溶
液を第2被覆層に塗布あるいは浸漬するなどの方法で含
浸する。なお、含浸量は0.8〜2.3mg/cm2の範囲に
設定することが好適である。含浸量が0.8mg/cm2未満
では第2被覆層の微細クラックを充填、目詰めする効果
が不足し、一方、2.3mg/cm2を越えるとB2O3 −S
iO2 ガラスの一部がC/C複合基材内部に浸透して加
熱時に残留揮発分の揮散に伴い基材内部において剥離が
生じ易くなるためである。
したC/C複合基材に繊維状SiCと粉末SiCとZr
O2 −SiO2 ガラス前駆体溶液との混合スラリを含浸
し、乾燥したのち熱処理して、繊維状SiCと粉末Si
CとZrO2 −SiO2 ガラスとの複合被膜を形成する
工程である。繊維状SiCは短繊維状のものが好まし
く、特に比強度が高く複合効果の大きいSiCウイスカ
ーが好適で、直径0.3〜1.5μm 、長さ5〜40μ
m 程度のものが、また併用する粉末SiCは直径0.5
μm 程度のものが用いられる。ZrO2 −SiO2 ガラ
ス前駆体溶液としてはZr及びSiの金属アルコキシド
を加水分解して調製した溶液や市販のゾルを用いること
もできる。
高い複合被膜を形成するために、好ましくは、繊維状S
iC10〜30重量%、粉末SiC10〜30重量%、
ZrO2 −SiO2 ガラス前駆体溶液40〜80重量%
の割合に設定する。これらの成分は混合スラリ中で均一
に安定分散させるために、例えば繊維状SiCや粉末S
iCを予めシランカップリング剤で表面処理すると複合
効果を高める上で効果的である。
でC/C複合基材に含浸して、乾燥したのち、200〜
600℃の温度で熱処理することにより繊維状SiCと
粉末SiCとZrO2 −SiO2 ガラスとからなる複合
被膜が第3被覆層の上に形成される。このようにして形
成された第4被覆層は、強度特性の優れた複合被膜から
なり、高耐久性の保護被膜として機能する。
明する。
繊維布に、フェノール樹脂初期縮合物をマトリックス樹
脂として充分に塗布し、48時間風乾してプリプレグシ
ートを得た。このプリプレグシート16枚を積層してモ
ールドに入れ、温度100℃、圧力20Kg/cm2の条件で
熱圧成形した。この成形体を170℃の温度に加熱して
マトリックス樹脂を硬化した後、窒素雰囲気に保持され
た焼成炉内に移し5℃/hr の昇温速度で2000℃まで
加熱し、5時間保持して焼成炭化した。このようにし
て、炭素繊維の体積含有率(Vf)が65%、嵩密度が1.
65g/cm3のC/C複合基材(試料サイズ縦横30mm、
厚さ4mm)を作製した。次いで#500のエメリ−紙を
用いて、このC/C複合基材の表面を研磨して表層面の
炭素質薄層を約100μm 除去した。
合し、混合粉末を黒鉛坩堝に入れて上部にC/C複合基
材をセットした。この黒鉛坩堝を電気炉内に移し、内部
をアルゴンガスで充分に置換した後、50℃/hr の速度
で1850℃まで昇温させ、1時間保持してC/C複合
基材の表層部に傾斜機能組織を有する多結晶質SiC被
膜(第1被覆層)を形成した。形成されたSiC被膜の
厚さは約50μm で、その表面には幅数μm の微細なク
ラックが発生しているのが認められた。
置の反応管内にセットし、管内をアルゴンガスで充分に
置換したのち高周波誘導加熱によりC/C複合基材の温
度を1500℃に昇温した。次いで、トリクロロメチル
シラン(CH3SiCl3 )と水素ガスを混合し、トリ
クロロメチルシランのモル濃度を7.5%に制御してC
VD装置に導入し、10時間保持して微細多結晶質のS
iC被膜を析出沈着させた。析出したSiC被膜の厚さ
は100μm であり、第1被覆層と比較するとクラック
の幅、数とも減少していた。次いで、アルゴンガス雰囲
気に保持された電気炉に移して1800℃の温度に加熱
処理した。この処理により微細多結晶質SiC被膜は高
結晶質のSiC被膜に転化して、SiC被膜に存在する
SiC結晶の結晶欠陥や結晶不整が是正され、緻密でガ
ス不透過性の高結晶質SiC被膜(第2被覆層)を形成
した。
割合で配合し、70℃の温度で還流攪拌を行った混合溶
液中に、前記Si(OC2 H5)4 1モルに対し25モル
量の水と0.2モル量のNH4 OHの混合水溶液を滴下
し(pH;12.0) 、攪拌して約0.2μm の球状SiO2 微
粒子が均一に分散するサスペンジョンを調製した。この
サスペンジョンに前記の第2被覆工程の処理を施したC
/C複合基材を浸漬し、15分間減圧含浸を行った。次
いで、風乾後、前記サスペンジョンを塗布、風乾する操
作を3回繰り返したのち、100℃の温度で乾燥してS
iO2 微粒子からなる中間層を形成した。このC/C複
合基材をB(OC2 H5)4溶液中に投入して減圧含浸し
たのち一昼夜風乾して空気中の水分で加水分解し、10
0℃で乾燥後、更に500℃の温度で15分間熱処理し
てB2 O3 ガラス質の被膜を形成した。
モル比1:4.5になる量比で配合し、室温で還流攪拌
を行った混合溶液中に、前記Si(OC2 H5)4 1モル
に対し2.5モルの水と0.03モルのHClの混合水
溶液を滴下しながら攪拌混合して(pH;3.0)、SiO2 ガ
ラス前駆体溶液を調製した。このガラス前駆体溶液を前
記のSiO2 微粒子/B2 O3 ガラス質被膜を形成した
C/C複合基材に塗布して減圧処理したのち、風乾し、
100℃で乾燥した。更にB(OC2 H5 )4溶液を塗
布して減圧処理し、一昼夜風乾して空気中の水分で加水
分解した。次いで、100℃で乾燥後アルゴンガス雰囲
気中800℃の温度で60分間熱処理してB2 O3 −S
iO2 ガラス質被膜(第3被覆層)を形成した。なお、
ガラス前駆体溶液の含浸量は、1.1mg/cm2、第3被覆
層の被覆量は0.98mg/cm2であった。
ウイスカーと平均直径0.4μm のSiC粉末を1:1
の重量比で混合した。この混合粉末とZrO2−SiO
2 混合ゾルとを重量比1:1の割合で配合し、充分に混
合してSiCウイスカー、SiC粉末およびZrO2 −
SiO2 ガラス前駆体溶液が1:1:2の重量比で配合
された混合スラリを調製した。この混合スラリを、前記
第3被覆工程までの処理を施したC/C複合基材面に塗
布し、300℃の温度で熱処理した。このようにして、
SiCウイスカーと粉末SiCとZrO2 −SiO2 と
の複合物からなる複合被膜(第4被覆層)を形成した。
なお、膜厚は30μm であった。
えて、長さ0.1〜0.7mmの炭化珪素短繊維を用い、
第4被覆層の膜厚を50μm とした他は全て実施例1と
同一の方法、条件により耐酸化性C/C複合材を製造し
た。
O2 −SiO2 混合ゾルの代わりにSiO2 ゾルを用い
た他は全て実施例1と同一の方法、条件により耐酸化性
C/C複合材を製造した。
覆層を形成しなかった他は全て実施例1と同一の方法、
条件により第1被覆工程から第3被覆工程までの被膜形
成を行って、耐酸化性C/C複合材を製造した。
第4被覆工程とした他は全て実施例1と同一の方法、条
件により第1被覆工程、第2被覆工程および第4被覆工
程による3層の被膜形成を行って、耐酸化性C/C複合
材を製造した。
/C複合材について、低圧揮散試験を行って耐エロージ
ョン性を評価した。試験条件は低圧揮散試験装置内を1
または1000パスカル(Pa)に減圧し、キセノンランプ
の光を集光してC/C複合材表面に照射して1450ま
たは1550℃の温度に加熱し、その状態で1100秒
間照射を続けた。この操作を3回繰り返して行い、被覆
層の膜厚減少量(μm)及びC/C複合材の重量減少量(m
g)を測定した。また、試験後の外観及び切断した内部組
織を観察して評価した。得られた結果についてC/C複
合基材面に積層形成した被覆層を表1に、測定、評価結
果を表2に示した。
から第4被覆層を積層形成した実施例1及び2の耐酸化
性C/C複合材は、1Pa−1450℃あるいは1000
Pa−1550℃という低圧、高温下において熱サイクル
が加わっても、被覆層の損傷が少なく安定に維持され、
優れた耐酸化性能を保持していることが判る。これに対
して、比較例では被覆層の劣化や剥離などによりC/C
複合材の損傷が進み、耐酸化性能が充分でないことが認
められる。
複合材によれば、傾斜機能組織の多結晶質SiC被膜か
らなる第1被覆層、高結晶質SiC被膜からなる第2被
覆層、B2 O3 −SiO2 ガラス質被膜からなる第3被
覆層、繊維状SiCと粉末SiCとZrO2 −SiO2
ガラスとの複合被膜からなる第4被覆層、とが積層形成
された高度の耐酸化性能を備えたC/C複合材を提供す
ることが可能となる。特に、高温、低圧下において優れ
た耐エロージョン性を示し、高度の耐久性を有するの
で、苛酷な高温酸化性雰囲気に曝される宇宙往還機等の
構造部材をはじめとして各種工業分野における構造部材
として極めて有用である。また、その製造方法によれ
ば、本発明の耐酸化性C/C複合材を容易かつ能率的に
製造することが可能である。
Claims (2)
- 【請求項1】 表面研磨処理されたC/C複合基材面
に、傾斜機能組織の多結晶質SiC被膜からなる第1被
覆層、微細多結晶質SiC被膜あるいはこれを加熱処理
して得られる高結晶質SiC被膜からなる第2被覆層、
B2 O3 −SiO2 ガラス質被膜からなる第3被覆層、
及び繊維状SiCと粉末SiCとZrO 2 −SiO2 ガ
ラスとの複合被膜からなる第4被覆層、が積層形成され
てなることを特徴とする耐酸化性C/C複合材。 - 【請求項2】 炭素繊維をマトリックス樹脂と共に複合
成形し、硬化及び焼成炭化して得られるC/C複合基材
の表面を研磨処理した後、SiOガスと非酸化性雰囲気
中1600〜2000℃の温度で接触させてコンバージ
ョン法により傾斜機能組織の多結晶質SiC被膜を形成
する第1被覆工程、CVD法により析出させた微細多結
晶質SiC被膜あるいはこれを非酸化性雰囲気中で加熱
処理して高結晶質SiC被膜を形成する第2被覆工程、
B及びSiを含有する金属アルコキシドを加水分解して
得られるB2 O3 −SiO2 ガラス前駆体溶液を含浸し
て乾燥したのち500〜1000℃の温度で熱処理して
B2 O3 −SiO2 ガラス質被膜を形成する第3被覆工
程、次いで繊維状SiCと粉末SiCとZrO2−Si
O2 ガラス前駆体溶液との混合スラリを塗布して乾燥し
たのち熱処理して繊維状SiCと粉末SiCとZrO2
−SiO2 ガラスとの複合被膜を形成する第4被覆工
程、とを順次に施すことを特徴とする耐酸化性C/C複
合材の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114455968A (zh) * | 2022-02-10 | 2022-05-10 | 航天材料及工艺研究所 | 一种C/SiC-SiO2复合材料及其制备方法 |
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-
1998
- 1998-04-16 JP JP10595798A patent/JP3844273B2/ja not_active Expired - Lifetime
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