JP3422515B2 - 炭素質基材の耐酸化性被膜形成法 - Google Patents

炭素質基材の耐酸化性被膜形成法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭素質基材、とくにC
/C複合材(炭素繊維強化炭素複合材)の表面に高温酸
化雰囲気下において高度の酸化抵抗性を示すSiC主体
の被覆層を形成するために有効な耐酸化性被膜形成法に
関する。
【0002】
【従来の技術】C/C複合材は、卓越した比強度、比弾
性率を有するうえに優れた耐熱性および化学的安定性を
備えているため、航空宇宙用をはじめ多くの分野で構造
材料として有用されているが、この材料には易酸化性と
いう炭素材固有の材質的な欠点があり、これが汎用性を
阻害する最大のネックとなっている。このため、C/C
複合材の表面に耐酸化性の被覆を施して改質化する試み
が盛んにおこなわれており、例えばZrO2 、Al2
3 、SiC、Si3 4 等のセラミックス系物質によっ
て被覆処理する方法が提案されている。
【0003】このうち、最も実用性の高い耐酸化層はS
iC被膜である。従来、C/C複合基材の表面にSiC
の被覆を施す方法として、気相反応により生成するSi
Cを直接沈着させるCVD法(化学的気相蒸着法)と、
基材の炭素を反応源に利用して珪素成分と反応させるこ
とによりSiCに転化させるコンバージョン法が知られ
ているが、それぞれに長短がある。すなわち、CVD法
を適用して形成したSiC被覆層は基材との界面が明確
に分離している関係で、熱衝撃を与えると相互の熱膨張
差によって層間剥離現象が起こり易く、高温域での十分
な耐酸化性は望めない。これに対し、コンバージョン法
による場合には基材の表層部が連続的に濃度変化するS
iC/C混在層の斜機能組織として形成されるため界面
剥離を生じることはないが、CVD法に比べて緻密性に
劣るうえ、反応時、被覆層に微小なクラックが発生する
難点がある。
【0004】このような問題点の解消を図る手段とし
て、C/C複合基材面にSiOガスの接触によるコンバ
ージョン法で第1のSiC被膜を形成し、さらにその表
面をアモルファスSiCが析出するような条件でCVD
法による第2のSiC被覆層を形成する耐酸化処理法
(特開平4−12078 号公報) 、更にこれを改良して第2
の被覆層を減圧加熱下でハロゲン化有機珪素化合物を基
材組織に間欠的に充填して還元熱分解させるパルスCV
I法を用いて形成する耐酸化処理法(特開平4−42878
号公報) 等が本出願人によって開発されている。
【0005】本発明者らは、これらの技術を一層発展さ
せた耐酸化性C/C材として、炭素繊維強化炭素材の基
材面に、傾斜機能を有する多結晶質のSiC被膜からな
る第1被覆層、アモルファス質または微細多結晶質のS
iC被膜からなる第2被覆層、およびB2 3 −SiO
2 ガラス被膜からなる第3被覆層を積層形成した多層被
膜構造(特開平4−243989号公報)を開発し、更にこの
多層被膜構造を有する耐酸化性C/C複合材の製造手段
として、C/C複合基材面に反応温度1800〜200
0℃でSiOガスを接触させてコンバージョン法により
傾斜機能組織のSiC被膜を形成する第1被覆工程、ハ
ロゲン化有機珪素化合物と水素との混合ガスを用いてパ
ルスCVI法により900〜1000℃の加熱温度でア
モルファス質のSiC被膜を形成する第1段階操作と1
200〜1400℃の加熱温度で微細多結晶質のSiC
被膜を形成する第2段階操作を順次に施す第2被覆工
程、ついでB(OC12273 およびSi(OC
2 5 4 をアルコキシド法により加水分解・重合させ
たガラス前駆体液を真空含浸してB2 3 −SiO2
ラス被膜からなる表面層を形成する第3被覆工程からな
る方法を特願平4−221976号として提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の先行技術は、い
ずれもコンバージョン法による傾斜機能組織のSiC被
膜と、その上面に熱分解法によるSiC被膜を析出する
ことにより密着性と緻密性を併せもつSiC被覆層の形
成を前提として改良が重ねられたものである。しかしな
がら、これら技術にはSiC被覆層の形成を反応操作が
全く異なる2段階の工程でおこなわねばならないという
プロセス面での共通の難点があり、これが製造工程を煩
雑にしたり処理時間を長引かせる等の要因となってい
る。
【0007】本発明者は、傾斜機能組織のSiC被覆層
をハロゲン化有機珪素化合物の還元熱分解法を用いて形
成することができれば同一反応系において密着緻密質の
SiC被膜が連続工程として得られることに着目し、鋭
意研究を重ねた結果、還元熱分解に1000℃以下の反
応温度を適用して一旦析出したSiC被膜をSi融点以
上の温度に昇温して熱処理すると炭素質基材の表面層部
分にSiCの傾斜機能組織が形成されることを確認し
た。
【0008】本発明は前記の知見に基づいて開発された
もので、その目的は、簡素化された工程と短縮された処
理時間により密着緻密質の安定なSiC被覆層と、該S
iC被覆層面にB2 3 −SiO2 組成のガラス被覆層
を形成することができる炭素質基材の耐酸化性被膜形成
法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明による炭素質基材の耐酸化性被膜形成法は、炭
素質基材の表面にハロゲン化有機珪素化合物を1000
℃以下の温度域で還元熱分解してCVD法によりSiC
被膜を形成したのち、アルゴンまたは水素ガス雰囲気下
で1350℃以上に昇温して傾斜機能組織のSiC被覆
層に転化させる第1被覆工程と、引き続き同一反応系内
でハロゲン化有機珪素化合物を1100℃以上の温度域
で還元熱分解してCVD法によりSiC被膜を形成する
第2被覆工程とを順次に施すことを構成上の特徴とす
る。
【0010】また、本発明による別の耐酸化性被膜形成
法は、上記の第2被覆工程後に、B(OC12273
よびSi(OC2 5 4 をアルコキシド法により加水
分解・重合させたガラス前駆体液を真空含浸してB2
3 −SiO2 ガラス被膜からなる表面層を形成する第3
被覆工程を施すことを構成的特徴とする。
【0011】本発明の対象となる炭素質基材には限定は
なく、高温酸化性雰囲気で使用される各種の炭素または
黒鉛材料が処理基材となるが、特に苛酷な酸化条件下で
使用されるC/C複合材を対象とした場合に優れた効果
を付与することができる。C/C複合材を基材とする場
合には、炭素繊維の織布、フエルト、トウなどの強化繊
維に炭化残留率の高いマトリックス樹脂液を含浸または
塗布してプリプレグを形成し、これを積層成形したのち
硬化および焼成炭化処理する常用の方法で製造されたも
のを対象とする。この際の使用材料としては、通常、強
化材の炭素繊維にはポリアクリロニトリル系、レーヨン
系、ピッチ系など各種のものが、またマトリックス樹脂
としてはフェノール系、フラン系その他炭化性の良好な
液状熱硬化性樹脂類を用いることができる。製造された
C/C複合基材には、必要に応じてマトリックス樹脂を
含浸、硬化、炭化する処理を反復して組織の緻密化が図
ってから処理基材とする。
【0012】炭素質基材面に傾斜機能組織のSiC被膜
を形成する第1被覆工程は、対象とする炭素質基材を反
応チャンバーにセットして加熱し、反応系内にハロゲン
化有機珪素化合物と水素との混合ガスを導入してハロゲ
ン化有機化合物の還元熱分解を介してSiCを炭素質基
材面に気相析出させるCVD法でおこなわれる。珪素源
原料となるハロゲン化有機珪素化合物としては、トリク
ロロメチルシラン(CH3SiCl3)が好適に用いられ、水素ガ
スとのモル比(CH3SiCl3/H2) が0.01〜0.05にな
るように混合して反応系内に導入される。また、形成す
るSiC被膜の緻密性を増すために、上記のCVD法に
代えて反応チャンバーを減圧に保持しながら還元熱分解
反応を進行させる減圧CVD法、もしくは炭素質基材に
原料ガスを接触させる操作を短周期で間欠的に反復する
パルスCVI法を適用することもできる。
【0013】第1被覆工程を実施する際に重要となる第
1の要件は、上記の還元熱分解反応を1000℃以下の
温度域、好ましくは800〜1000℃の範囲に設定す
ることである。この温度設定は、生成するSiC被膜の
組成をSi含有率の高い非晶質性状に保持するための条
件となるもので、反応温度が1000℃を越えると前記
性状のSiC被膜を形成することができなくなる。第2
の要件は、SiC被膜を形成した炭素質基材をアルゴン
または水素ガス雰囲気下で1350℃以上の温度に昇温
することである。この加熱段階は、SiC被膜に含有さ
れるSi成分を融解して炭素質基材の表層組織内部に浸
透させ、そこで基材の炭素成分と反応させてSiCに転
化させるもので、かかる操作過程を介して基材表層部に
SiCが内部から表面に向かって連続的に濃度増大する
傾斜機能組織の多結晶SiC被覆層が形成される。該第
1被覆工程で形成される好適なSiC被覆層の膜厚は、
30〜150μm である。
【0014】第2被覆工程は、反応温度を1100℃以
上、好ましくは1200〜1400℃に保持しながら第
1被覆工程と同一の反応系内に引き続きハロゲン化有機
珪素化合物と水素との混合ガスを導入し、第1被覆工程
と同様にCVD法、減圧CVD法もしくはパルスCVI
法を適用した操作によりハロゲン化有機珪素化合物を還
元熱分解させてSiCを気相析出する。この段階で形成
されるSiC被膜はSi成分を含まない微細多結晶の緻
密層である。第2被覆工程で形成する好適なSiC被膜
の厚さは、50〜150μm である。
【0015】上記の工程により炭素質基材面に優れた密
着性と緻密性を備えるSiC被覆層が形成されるが、更
に被覆層を無孔構造化して一層安定な耐酸化性を付与す
るためには第2被覆工程後のSiC被膜面にB2 3
SiO2 組成のガラス被膜からなる表面層を付加する第
3被覆工程を施す。この第3被覆工程は、B(OC12
27)3およびSi(OC25)4 をアルコキシド法によっ
て加水分解・重合させてガラス前駆体液を作製し、この
液を第2被覆工程を施した炭素質基材に真空含浸したの
ち500℃以上の温度で加熱処理する方法でおこなわれ
る。この際、B2 3 ガラスはB(OC1227)3を直接
に真空含浸することにより形成することができるが、S
iO2 ガラスはSi(OC2 5)4 を予めpH1〜2に
調整して加水分解重合してから真空含浸することが好ま
しい。また、被覆順序として最初にSiO2 ガラスを被
覆してからB2 3 ガラスを被覆することが好結果を与
える。
【0016】
【作用】本発明による炭素質基材の耐酸化性被膜形成法
によれば、第1被覆工程においてハロゲン化有機珪素化
合物の還元熱分解反応を1000℃以下の温度域で進行
させることにより一旦Si成分を多く含む非晶質のSi
C被膜を形成し、次いで1350℃以上に昇温して前記
Si成分を炭素質基材組織に浸透させ、基材炭素成分と
の界面反応を営ませる。この操作段階を経て非晶質のS
iC被膜は傾斜機能組織を備える密着性の高い多結晶質
のSiC被膜に転化する。第2被覆工程は反応温度を1
100℃以上に保持するほかは、第1被覆工程と同一原
料系の還元熱分解反応により微細な多結晶質のSiC被
膜として形成される。
【0017】このように第1被覆工程と第2被覆工程と
は同一の原料系ならびに反応系内で連続して順次に施す
ことができるから、傾斜機能組織のSiC被膜を形成す
るためにコンバージョン法を適用する従来技術に比べて
操作形態は極めて簡素化されるとともに、処理時間が大
幅に短縮される。
【0018】また、第3被覆工程を適用して形成される
2 3 −SiO2 ガラス被膜は、前記の第2被覆工程
でSiC層に発生した微細なクラックを目詰めして被覆
層の無孔構造化を確実なものとする。したがって、第1
被覆工程および第2被覆工程による密着緻密性のSiC
被覆層と複合して高温酸化雰囲気においても極めて高度
かつ安定した耐酸化性能が付与されるから、とくに苛酷
な酸化性環境で使用されるC/C複合材の耐酸化処理と
して優れた効果が認められる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。
【0020】実施例1 ポリアクリロニトリル系高弾性タイプの平織炭素繊維布
をフェノール樹脂初期縮合物からなるマトリックス樹脂
液に浸漬して含浸処理したのち、14枚積層してモール
ドに入れ、加熱温度110℃、適用圧力20kg/cm2の条
件で複合成形した。成形体を250℃の温度に加熱して
完全に硬化したのち、窒素雰囲気に保持された焼成炉に
移し、5℃/hr の昇温速度で1000℃まで上昇し5時
間保持して焼成炭化した。ついで、得られたC/C材に
フェノール樹脂液を真空加圧下に含浸し、前記と同様の
1000℃焼成処理を2回反復したのち、5℃/minの昇
温速度で2000℃まで上昇し5時間保持して二次元配
向型のC/C複合材(幅30mm、長さ50mm、厚さ5mm) を
作製した。
【0021】上記のC/C複合材を炭素質基材としてC
VD装置の反応チャンバーに設置し、950℃に加熱し
た。この反応系内にトリクロロメチルシラン(CH3SiCl3)
と水素の混合ガス(CH3SiCl3/H2モル比0.05) を1l/min
の流量で導入し、5時間反応を継続した。この第1被覆
工程で膜厚焼く50μm の非晶質SiC被膜が形成され
た。反応終結後、反応系内をアルゴンガスで置換し、基
材温度を1400℃に昇温して2時間保持した。この工
程を介して第1被覆層中のSi成分が基材のCと反応し
てSiCの傾斜機能組織が形成される。
【0022】引き続き、基材温度を1400℃に保持し
ながら反応チャンバーに第1被覆工程と同組成の反応ガ
スを導入し、5時間反応を継続して第2被覆工程を施し
た。
【0023】形成されたSiC被覆層の断面組織を電子
顕微鏡で観察したところ、SiC被膜の厚さは全体で約
140μm であり、C/C複合材の表層部には約100
μmに亘ってSiCとCによる連続した傾斜機能組織層
の形成が認められた。ついでSiC被覆層を形成したC
/C複合材を大気雰囲気に保持された電気炉に入れ、1
500℃の温度に90分間保持したのち炉出して常温ま
で自然冷却した。この工程を10回繰り返し、処理後の
C/C複合材につき重量減少率の測定と組織観察おこな
って耐酸化性を評価した。その結果、重量減少率は2%
であり、被覆層に剥離その他の欠陥現象は全く認められ
なかった。
【0024】比較例1 第1被覆工程の反応温度を1300℃に設定したほかは
全て実施例1の第1被覆工程および第2被覆工程と同様
に操作して、C/C複合材にSiC被覆層を形成した。
形成されたSiC被覆層の断面組織を電子顕微鏡で観察
したところ、膜厚は約150μm であったが、C/C複
合材の表層部には傾斜機能組織層の形成は確認されなか
った。また、耐酸化性を評価した結果、重量減少率は1
7%で、SiC被覆層の1部に剥離現象が認められた。
【0025】実施例2 実施例1でSiC被覆層を形成したC/C複合材を真空
デシケータに入れ、真空ポンプで1Torr以下に減圧した
のち、Si(OC2 5)4 1モルに対し7モル量のエタ
ノールを加え、11モルの水と0.03モルのHClを
混合してpH1.5で加水分解・重合させたガラス前駆
体液を2Torrの減圧下に流入し、C/C複合材が完全に
浸漬するまで液を満たして1時間保持した。ついで、C
/C複合基材をデシケータから取り出し、大気雰囲気の
電気炉に移して10℃/min. の昇温速度で500℃まで
加熱し、この温度に30分間保持してSiO2 ガラスの
被膜を形成した。
【0026】SiO2 ガラス被覆を形成したC/C複合
基材を真空デシケータに入れ、1Torr以下に減圧したの
ち、B(OC1227)3を2Torr以下の減圧下に注入しC
/C複合基材が浸漬した状態で1時間保持した。処理後
のC/C複合材をデシケータから取り出し、室温空気中
で2時間風乾したのち、大気雰囲気に保持された電気炉
に移し500℃で30分間加熱してB2 3 ガラスの被
膜を形成した。その結果、全面にB2 3 −SiO2
ラスの被膜が形成された。
【0027】このようにして表面にSiC被覆層とB2
3 −SiO2 ガラス被覆層を複合的に積層形成したC
/C複合材につき、耐酸化性の評価をおこなった結果、
重量減少率は0.9%と優れた耐酸化性能を示した。ま
た、全工程に要した処理時間は約30時間であった。
【0028】比較例2 実施例2において、第1被覆工程のSiC被膜形成を次
のようにしてコンバージョン法でおこなった。SiO2
粉末とSi粉末を2:1(重量比)の配合比率になるよ
うに混合し、混合粉末を黒鉛ルツボに入れ上部にC/C
複合材をセットした。この黒鉛ルツボを電気炉に移し、
内部をArガスで十分に置換したのち50℃/hr の速度
で1850℃まで昇温させ、2時間保持してC/C複合
基材の表層部に傾斜機能組織を有するSiC被覆層を形
成した。
【0029】ついで、実施例2と同一の条件で第2被覆
工程および第3被覆工程を施してC/C複合材の表面に
SiC被覆層とB2 3 −SiO2 ガラス被覆層を複合
的に積層形成した。このC/C複合材について耐酸化性
の評価をおこなった結果、重量減少率は1.0%と良好
な耐酸化性能を示したが、全工程の処理時間は約70時
間であった。
【0030】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば炭素質基
材の表面に同一の原料系ならびに反応系を用いる簡略化
された工程と短縮された処理時間で常に優れた密着性と
緻密性を備えるSiC被覆層を形成することができる。
また、更にB2 3 −SiO2ガラス被膜からなる表面
層を積層形成することにより高度の耐酸化性と安定した
耐久性を備える複合被膜を形成することが可能となる。
したがって、特に高温酸化雰囲気の過酷な条件に晒され
る構造部材用C/C複合材の耐酸化性処理技術として有
用性が期待される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 41/80 - 41/91

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質基材の表面にハロゲン化有機珪素
    化合物を1000℃以下の温度域で還元熱分解してCV
    D法によりSiC被膜を形成したのち、アルゴンガスま
    たは水素ガス雰囲気下で1350℃以上に昇温して傾斜
    機能組織のSiC被覆層に転化させる第1被覆工程と、
    引き続き同一反応系内でハロゲン化有機珪素化合物を1
    100℃以上の温度域で還元熱分解してCVD法により
    SiC被膜を形成する第2被覆工程とを順次に施すこと
    を特徴とする炭素質基材の耐酸化性被膜形成法。
  2. 【請求項2】 第1被覆工程および第2被覆工程を、常
    圧CVD法、減圧CVD法もしくはパルスCVI法でお
    こなう請求項1記載の炭素質基材の耐酸化性被膜形成
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1の第2被覆工程後に、B(OC
    12273 およびSi(OC2 5 4 をアルコキシド
    法により加水分解・重合させたガラス前駆体液を真空含
    浸してB2 3 −SiO2 ガラス被膜からなる表面層を
    形成する第3被覆工程を施すことを特徴とする炭素質基
    材の耐酸化性被膜形成法。
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