JP3038493B2 - 耐酸化性c/c材の製造方法 - Google Patents
耐酸化性c/c材の製造方法Info
- Publication number
- JP3038493B2 JP3038493B2 JP2302876A JP30287690A JP3038493B2 JP 3038493 B2 JP3038493 B2 JP 3038493B2 JP 2302876 A JP2302876 A JP 2302876A JP 30287690 A JP30287690 A JP 30287690A JP 3038493 B2 JP3038493 B2 JP 3038493B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oxidation
- temperature
- resistant
- solution
- sic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Ceramic Products (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高温酸化雰囲気下において優れた酸化抵抗
性を示す耐酸化性C/C材(炭素繊維強化炭素複合材)の
製造方法に関する。
性を示す耐酸化性C/C材(炭素繊維強化炭素複合材)の
製造方法に関する。
C/C材は、1000℃を越える苛酷な高熱条件下において
も高い比強度、比弾性率を示し、かつ熱膨張率が小さい
等の特性を備えているため航空宇宙用をはじめ多分野の
構造材料として脚光を浴びている。
も高い比強度、比弾性率を示し、かつ熱膨張率が小さい
等の特性を備えているため航空宇宙用をはじめ多分野の
構造材料として脚光を浴びている。
通常、該C/C材は炭素繊維の織布、フエルト、トウな
どを強化材とし、これに炭化残留率の高いマトリックス
樹脂液を含浸または塗布して積層成形したのち、硬化お
よび焼成炭化処理することにより製造されるが、この材
料は大気高温雰囲気下で酸化され易い炭素材固有の材質
的な欠点をそのまま引き継いでおり、これが汎用性を阻
害する最大のネックになっている。
どを強化材とし、これに炭化残留率の高いマトリックス
樹脂液を含浸または塗布して積層成形したのち、硬化お
よび焼成炭化処理することにより製造されるが、この材
料は大気高温雰囲気下で酸化され易い炭素材固有の材質
的な欠点をそのまま引き継いでおり、これが汎用性を阻
害する最大のネックになっている。
このため、C/C材の表面に耐酸化性の被覆を施して改
質化する試みが従来からなされており、例えばZrO2、Al
2O3、SiCなどのセラミックス系物質により被覆処理する
方法が提案されている。しかし、SiC以外の被覆層では
使用時における熱サイクルで被覆界面に層間剥離や亀裂
を生じ、酸化の進行を充分に阻止する機能が発揮されな
い。
質化する試みが従来からなされており、例えばZrO2、Al
2O3、SiCなどのセラミックス系物質により被覆処理する
方法が提案されている。しかし、SiC以外の被覆層では
使用時における熱サイクルで被覆界面に層間剥離や亀裂
を生じ、酸化の進行を充分に阻止する機能が発揮されな
い。
SiCの被覆層においても、被覆形成の方法によって層
間剥離が多く発生する場合がある。すなわち、C/C基材
の表面にSiCの被覆を施す方法としては、基材の炭素を
反応源に利用してSiCに転化させるコンバージョン法
と、気相反応により析出したSiCを直接沈着させるCVD
(化学的気相蒸着)法とがある。このうち前者の方法は
器材面に例えばSiCl4のようなハロゲン化珪素化合物の
水素還元によりSi層を形成したり、基材にポリカルボシ
ランなどの有機珪素化合物を溶液状態で強制含浸した
り、もしくは基材面にSiO2とSi、C等を反応させて生成
したSiOガスを接触させ、これらの珪素成分と基材の炭
素組織と加熱反応させてSiCに転化させる機構によるも
ので、基材表面が連続組織としてSiC層を形成するため
被覆界面がなく、層間剥離が生じ難い被膜特性を示すも
のの、微小の空隙(ピンホール)が残留することがあ
る。一方、後者のCVD法はSiCl4などの珪素化合物と炭化
水素類(例えばC3H8)との加熱反応、あるいはトリクロ
ロメチルシラン(CH3SiCl3)のような炭化水素を含むハ
ロゲン化有機化合物の還元熱分解などにより気相析出し
たSiCを基材表面に析出沈着させるもので、この場合に
は被覆界面が明確に分れているため熱衝撃を与えると相
互の熱膨張差によって層間剥離現象が多発し易い。
間剥離が多く発生する場合がある。すなわち、C/C基材
の表面にSiCの被覆を施す方法としては、基材の炭素を
反応源に利用してSiCに転化させるコンバージョン法
と、気相反応により析出したSiCを直接沈着させるCVD
(化学的気相蒸着)法とがある。このうち前者の方法は
器材面に例えばSiCl4のようなハロゲン化珪素化合物の
水素還元によりSi層を形成したり、基材にポリカルボシ
ランなどの有機珪素化合物を溶液状態で強制含浸した
り、もしくは基材面にSiO2とSi、C等を反応させて生成
したSiOガスを接触させ、これらの珪素成分と基材の炭
素組織と加熱反応させてSiCに転化させる機構によるも
ので、基材表面が連続組織としてSiC層を形成するため
被覆界面がなく、層間剥離が生じ難い被膜特性を示すも
のの、微小の空隙(ピンホール)が残留することがあ
る。一方、後者のCVD法はSiCl4などの珪素化合物と炭化
水素類(例えばC3H8)との加熱反応、あるいはトリクロ
ロメチルシラン(CH3SiCl3)のような炭化水素を含むハ
ロゲン化有機化合物の還元熱分解などにより気相析出し
たSiCを基材表面に析出沈着させるもので、この場合に
は被覆界面が明確に分れているため熱衝撃を与えると相
互の熱膨張差によって層間剥離現象が多発し易い。
発明者らは、強化材炭素繊維の表面に予め耐酸化性被
膜を形成してC/C材を作製し、更に該C/C材の表面に耐酸
化性被覆を施す2段階の耐酸化処理プロセスを採る場合
には、SiCばかりでなくSi3N4、BN、SiO2等を被覆物質と
しても剥離、亀裂などの発生現象は軽減化され、また若
干の剥離や亀裂現象が生じても酸化の進行を効果的に阻
止することができる事実を確認した。
膜を形成してC/C材を作製し、更に該C/C材の表面に耐酸
化性被覆を施す2段階の耐酸化処理プロセスを採る場合
には、SiCばかりでなくSi3N4、BN、SiO2等を被覆物質と
しても剥離、亀裂などの発生現象は軽減化され、また若
干の剥離や亀裂現象が生じても酸化の進行を効果的に阻
止することができる事実を確認した。
本発明は、前記の知見に基づいて開発されたもので、
Si3N4、SiC、BNまたはSiO2からなるセラミックス系物質
を用いて優れた耐高温酸化性を付与することできるC/C
材製造技術の提供を目的とするものである。
Si3N4、SiC、BNまたはSiO2からなるセラミックス系物質
を用いて優れた耐高温酸化性を付与することできるC/C
材製造技術の提供を目的とするものである。
上記の目的を達成するための本発明による耐酸化性C/
C材の製造方法は、繊維表面にSi3N4、SiC、BNまたはSiO
2からなる耐高温酸化性物質の被覆層を形成した炭素繊
維をマトリックス樹脂とともに複合成形し、硬化および
焼成炭化処理して炭素繊維強化炭素体の基材を作製し、
ついで基材表面に前記耐高温酸化性物質の前駆体溶液を
塗布し、硬化もしくは所定雰囲気下で焼成処理すること
を構成上の特徴とする。
C材の製造方法は、繊維表面にSi3N4、SiC、BNまたはSiO
2からなる耐高温酸化性物質の被覆層を形成した炭素繊
維をマトリックス樹脂とともに複合成形し、硬化および
焼成炭化処理して炭素繊維強化炭素体の基材を作製し、
ついで基材表面に前記耐高温酸化性物質の前駆体溶液を
塗布し、硬化もしくは所定雰囲気下で焼成処理すること
を構成上の特徴とする。
本発明による製造工程の詳細は、以下のとおりであ
る。
る。
基材を構成する炭素繊維には、ポリアクリロニトリル
系、レーヨン系、ピッチ系など各種原料から製造された
平織、綾織などの織布、フエルトあるいはトウが使用さ
れる。
系、レーヨン系、ピッチ系など各種原料から製造された
平織、綾織などの織布、フエルトあるいはトウが使用さ
れる。
これら炭素繊維の表面には、Si3N4、SiC、BNまたはSi
O2の被覆層が予め形成されるが、被覆形成の方法は特に
限定されない。例えば、SiC被覆層を形成する場合には
前述したコンバージョン法もしくはCVD法を適用するこ
とができる。しかし、好ましい態様は、後工程のC/C材
被覆処理と同一の前駆体溶液を利用して形成することで
ある。すなわち、Si3N4またはSiCの被覆層を形成する場
合には、有機珪素化合物を有機溶媒に溶解した溶液に炭
素繊維を塗布または浸漬したのち、濾過、乾燥し、つい
で窒素ガス雰囲気中で1200〜1600℃の温度に焼成処理す
るとSi3N4被覆層が形成され、また雰囲気系をアルゴン
等の不活性ガス雰囲気に変えて同一温度で焼成処理する
とSiC被覆層が形成される。BN被覆層の形成は、ほう酸
水溶液に炭素繊維を浸漬し、濾過、乾燥したのち窒素ガ
ス雰囲気下で1200〜1600℃の温度で焼成する方法、ある
いはボラジンを有機溶媒に溶かした溶液に炭素繊維を浸
漬し、濾過、乾燥、自己縮合させたのち窒素ガスまたは
アルゴンガス雰囲気下で1000〜1800℃の温度で焼成する
方法を採ることができる。また、SiO2の被覆層は、シラ
ンカップリング剤を有機溶媒に溶解した溶液に炭素繊維
を浸漬し、濾過、乾燥したのち500℃程度の温度で硬化
処理することによって形成することができる。
O2の被覆層が予め形成されるが、被覆形成の方法は特に
限定されない。例えば、SiC被覆層を形成する場合には
前述したコンバージョン法もしくはCVD法を適用するこ
とができる。しかし、好ましい態様は、後工程のC/C材
被覆処理と同一の前駆体溶液を利用して形成することで
ある。すなわち、Si3N4またはSiCの被覆層を形成する場
合には、有機珪素化合物を有機溶媒に溶解した溶液に炭
素繊維を塗布または浸漬したのち、濾過、乾燥し、つい
で窒素ガス雰囲気中で1200〜1600℃の温度に焼成処理す
るとSi3N4被覆層が形成され、また雰囲気系をアルゴン
等の不活性ガス雰囲気に変えて同一温度で焼成処理する
とSiC被覆層が形成される。BN被覆層の形成は、ほう酸
水溶液に炭素繊維を浸漬し、濾過、乾燥したのち窒素ガ
ス雰囲気下で1200〜1600℃の温度で焼成する方法、ある
いはボラジンを有機溶媒に溶かした溶液に炭素繊維を浸
漬し、濾過、乾燥、自己縮合させたのち窒素ガスまたは
アルゴンガス雰囲気下で1000〜1800℃の温度で焼成する
方法を採ることができる。また、SiO2の被覆層は、シラ
ンカップリング剤を有機溶媒に溶解した溶液に炭素繊維
を浸漬し、濾過、乾燥したのち500℃程度の温度で硬化
処理することによって形成することができる。
Si3N4、SiC、BNまたはSiO2の表面被覆層を形成した炭
素繊維は、浸漬、含浸、塗布などの手段によりマトリッ
クス樹脂で十分に濡らしたのち半硬化してプリプレグを
形成し、ついで積層加圧成形する。成形体は加熱して樹
脂成分を完全に硬化し、引き続き常法に従って焼成炭化
処理または更に黒鉛化して炭素繊維強化炭素体の基材を
得る。複合系のマトリックス樹脂としてはフェノール系
樹脂、フラン系樹脂、エポキシ系樹脂その他炭化性の良
好な液状熱硬化性樹脂が用いられる。また、基材組織の
緻密化を図るため、必要に応じ作製した基材に前記マト
リックス樹脂もしくはタールピッチを含浸して炭化処理
する方法を反復する。
素繊維は、浸漬、含浸、塗布などの手段によりマトリッ
クス樹脂で十分に濡らしたのち半硬化してプリプレグを
形成し、ついで積層加圧成形する。成形体は加熱して樹
脂成分を完全に硬化し、引き続き常法に従って焼成炭化
処理または更に黒鉛化して炭素繊維強化炭素体の基材を
得る。複合系のマトリックス樹脂としてはフェノール系
樹脂、フラン系樹脂、エポキシ系樹脂その他炭化性の良
好な液状熱硬化性樹脂が用いられる。また、基材組織の
緻密化を図るため、必要に応じ作製した基材に前記マト
リックス樹脂もしくはタールピッチを含浸して炭化処理
する方法を反復する。
このようにして得られたC/C基材には、表面にSi3N4、
SiC、BNまたはSiO2からなる耐高温酸化性物質の前駆体
溶液を塗布し、硬化もしくは所定雰囲気下で焼成処理し
て表面被覆層を形成する。
SiC、BNまたはSiO2からなる耐高温酸化性物質の前駆体
溶液を塗布し、硬化もしくは所定雰囲気下で焼成処理し
て表面被覆層を形成する。
Si3N4の表面被覆層は、有機珪素化合物とくに好まし
くはポリシラザンをトルエン、ベンゼン、エタノール等
の有機溶媒に溶解した溶液を前駆体溶液とし、これを基
材表面に十分に塗布したのち真空乾燥を施し、ついで窒
素ガス雰囲気下、1200〜1600℃の温度で焼成処理する方
法により形成される。この場合の適正なポリシラザンの
溶液濃度は、0.1〜2%の範囲にある。
くはポリシラザンをトルエン、ベンゼン、エタノール等
の有機溶媒に溶解した溶液を前駆体溶液とし、これを基
材表面に十分に塗布したのち真空乾燥を施し、ついで窒
素ガス雰囲気下、1200〜1600℃の温度で焼成処理する方
法により形成される。この場合の適正なポリシラザンの
溶液濃度は、0.1〜2%の範囲にある。
SiCの表面被覆層は、前記Si3N4の形成工程のうち焼成
処理の雰囲気をアルゴンなどの不活性ガスに変えること
によって形成することができる。
処理の雰囲気をアルゴンなどの不活性ガスに変えること
によって形成することができる。
BNの表面被覆層の形成には、前駆体溶液として好まし
くは濃度0.1〜2%のほう酸水溶液またはボラジンの有
機溶媒溶液を用い、該溶液を基材表面に塗布したのち10
0〜130℃の温度で乾燥し、ついで窒素ガス雰囲気下で12
00〜1600℃の温度で窒化焼成するプロセス、あるいは濃
度0.3〜3%のボラジン/有機溶媒溶液を用い、該溶液
を基材全面に塗布したのち120〜180℃の温度で乾燥して
ボラジンを自己縮合させ、ついで窒素またはアルゴンガ
ス雰囲気下で1000〜1800℃で焼成するプロセスが採られ
る。
くは濃度0.1〜2%のほう酸水溶液またはボラジンの有
機溶媒溶液を用い、該溶液を基材表面に塗布したのち10
0〜130℃の温度で乾燥し、ついで窒素ガス雰囲気下で12
00〜1600℃の温度で窒化焼成するプロセス、あるいは濃
度0.3〜3%のボラジン/有機溶媒溶液を用い、該溶液
を基材全面に塗布したのち120〜180℃の温度で乾燥して
ボラジンを自己縮合させ、ついで窒素またはアルゴンガ
ス雰囲気下で1000〜1800℃で焼成するプロセスが採られ
る。
SiO2による表面被覆層は、アミノシランを0.1〜2%
範囲の濃度でエタノール、トルエン、ベンゼン、キシレ
ン等の有機溶媒に溶解して前駆体溶液を作製し、この溶
液を基材表面に塗布したのち110℃近辺の温度で乾燥
し、ついで500℃の温度で硬化処理を施す方法によって
形成される。
範囲の濃度でエタノール、トルエン、ベンゼン、キシレ
ン等の有機溶媒に溶解して前駆体溶液を作製し、この溶
液を基材表面に塗布したのち110℃近辺の温度で乾燥
し、ついで500℃の温度で硬化処理を施す方法によって
形成される。
上記の工程において、各前駆体溶液は溶解後、1週間
程度静置して完全溶液化したものを用いることが重要で
ある。また、炭素繊維表面を被覆する耐高温酸化性物質
と炭素繊維強化炭素体の基材表面を被覆する耐高温酸化
性物質は同一であっても別物質であってもよいが、同一
物質で構成する場合に好結果が得られる。
程度静置して完全溶液化したものを用いることが重要で
ある。また、炭素繊維表面を被覆する耐高温酸化性物質
と炭素繊維強化炭素体の基材表面を被覆する耐高温酸化
性物質は同一であっても別物質であってもよいが、同一
物質で構成する場合に好結果が得られる。
本発明に係る耐酸化性C/C材の製造方法によれば、表
面を耐高温酸化性物質で被覆された炭素繊維強化材を用
いてC/C基材を作製し、更に基材の表面を耐高温酸化性
物質で被覆した組織構造として得ることができる。した
がって、C/C材の外層ばかりでなく、内部組織にも耐高
温酸化性物質が介在するから、全体組織としての耐酸化
性が向上し、多少の剥離、亀裂などが生じても酸化の進
行は効果的に阻止される。このため、従来技術で酸化防
止機能が期待できなかったBN、SiO2などの被覆層によっ
ても効果的な耐酸化性を付与することが可能となる。
面を耐高温酸化性物質で被覆された炭素繊維強化材を用
いてC/C基材を作製し、更に基材の表面を耐高温酸化性
物質で被覆した組織構造として得ることができる。した
がって、C/C材の外層ばかりでなく、内部組織にも耐高
温酸化性物質が介在するから、全体組織としての耐酸化
性が向上し、多少の剥離、亀裂などが生じても酸化の進
行は効果的に阻止される。このため、従来技術で酸化防
止機能が期待できなかったBN、SiO2などの被覆層によっ
ても効果的な耐酸化性を付与することが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1 (1)炭素繊維面へのSi3N4被覆 トルエンにポリシラザン〔チッソ(株)製、NCP−20
0〕を1%濃度になるように溶解し、1週間静置して前
駆体溶液を作製した。この溶液を低湿度系内でポリアク
リロニトリル系高弾性タイプで編組した平織炭素繊維布
の全面に塗布し、真空中で乾燥した。ついで、窒素ガス
雰囲気に保持された電気炉に移し、1400℃の温度で焼成
処理して被着したポリシラザン成分をSi3N4に転化して
被覆層を形成した。
0〕を1%濃度になるように溶解し、1週間静置して前
駆体溶液を作製した。この溶液を低湿度系内でポリアク
リロニトリル系高弾性タイプで編組した平織炭素繊維布
の全面に塗布し、真空中で乾燥した。ついで、窒素ガス
雰囲気に保持された電気炉に移し、1400℃の温度で焼成
処理して被着したポリシラザン成分をSi3N4に転化して
被覆層を形成した。
(2)C/C基材の作製 Si3N4被覆層を形成した炭素繊維布をフェノール樹脂
初期縮合物からなるマトリックス樹脂液に浸漬して含浸
処理した。これを14枚積層してモールドに入れ、加熱温
度110℃、適用圧力20kg/cm2の条件で複合成形した。
初期縮合物からなるマトリックス樹脂液に浸漬して含浸
処理した。これを14枚積層してモールドに入れ、加熱温
度110℃、適用圧力20kg/cm2の条件で複合成形した。
成形物を250℃の温度に加熱して完全に硬化したの
ち、窒素雰囲気に保持された焼成炉に移し、5℃/hrの
昇温速度で1000℃まで上昇し5時間保持して焼成炭化し
た。
ち、窒素雰囲気に保持された焼成炉に移し、5℃/hrの
昇温速度で1000℃まで上昇し5時間保持して焼成炭化し
た。
得られたC/C材にフェノール樹脂液を真空加圧下に含
浸し、上記と同様に1000℃に焼成する処理を3回反復し
て緻密組織のC/C基材を作製した。
浸し、上記と同様に1000℃に焼成する処理を3回反復し
て緻密組織のC/C基材を作製した。
(3)C/C基材面へのSi3N4被覆 C/C基材の表面に前記(1)と同一組成のポリシラザ
ンによる前駆体溶液を低湿度系内で塗布したのち真空乾
燥し、(1)と同一条件で窒素ガス雰囲気下に焼成処理
をおこなって表面にSi3N4の被覆層を形成した。
ンによる前駆体溶液を低湿度系内で塗布したのち真空乾
燥し、(1)と同一条件で窒素ガス雰囲気下に焼成処理
をおこなって表面にSi3N4の被覆層を形成した。
実施例2 (1)炭素繊維面へのSiC被覆 実施例1と同一条件により炭素繊維布の表面にポリシ
ラザン成分を被着し、真空乾燥したのちアルゴンガス雰
囲気に保持された電気炉中で1400℃の温度で焼成処理し
てSiC被覆層を形成した。
ラザン成分を被着し、真空乾燥したのちアルゴンガス雰
囲気に保持された電気炉中で1400℃の温度で焼成処理し
てSiC被覆層を形成した。
(2)C/C基材の作製 SiC被覆層を形成した炭素繊維布を用い、実施例1と
同一条件により積層型のC/C基材を作製した。
同一条件により積層型のC/C基材を作製した。
(3)C/C基材面へのSiC被覆 C/C基材の表面に前記(1)と同様にしてポリシラザ
ン前駆体溶液を塗布し、真空乾燥したのちアルゴンガス
雰囲気下、1400℃の温度で焼成処理してSiC被覆層を形
成した。
ン前駆体溶液を塗布し、真空乾燥したのちアルゴンガス
雰囲気下、1400℃の温度で焼成処理してSiC被覆層を形
成した。
実施例3 (1)炭素繊維面へのBN被覆 ほう酸を0.8%濃度になるように水に溶解し、1週間
静置して前駆体溶液を作製した。この溶液に、実施例1
と同一の平織炭素繊維布を浸漬したのち、110℃の温度
で乾燥した。乾燥後の炭素繊維布を窒素ガス雰囲気に保
持された電気炉中で1400℃の温度で焼成処理して被着し
たほう酸成分をBNに転化させた。
静置して前駆体溶液を作製した。この溶液に、実施例1
と同一の平織炭素繊維布を浸漬したのち、110℃の温度
で乾燥した。乾燥後の炭素繊維布を窒素ガス雰囲気に保
持された電気炉中で1400℃の温度で焼成処理して被着し
たほう酸成分をBNに転化させた。
(2)C/C基材の作製 表面にBN被覆層を形成した炭素繊維布を用い、実施例
1と同一条件により積層型のC/C基材を作製した。
1と同一条件により積層型のC/C基材を作製した。
(3)C/C基材へのBN被覆 C/C基材の表面に前記(1)と同様にしてほう酸の前
駆体溶液を塗布し、乾燥後、窒素ガス雰囲気中で1400℃
の温度で焼成処理してBN被覆層を形成した。
駆体溶液を塗布し、乾燥後、窒素ガス雰囲気中で1400℃
の温度で焼成処理してBN被覆層を形成した。
実施例4 (1)炭素繊維面へのBN被覆 トリクロロボラジンを1%濃度になるようにヘキサン
に溶解し、1週間静置して前駆体溶液を作製した。この
溶液に、実施例1と同一の平織炭素繊維布を浸漬したの
ち、150℃の温度で乾燥し自己縮合させた。乾燥後の炭
素繊維布を窒素ガス雰囲気に保持された電気炉中で1400
℃の温度で焼成処理して被着したボラジン成分をBNに転
化させた。
に溶解し、1週間静置して前駆体溶液を作製した。この
溶液に、実施例1と同一の平織炭素繊維布を浸漬したの
ち、150℃の温度で乾燥し自己縮合させた。乾燥後の炭
素繊維布を窒素ガス雰囲気に保持された電気炉中で1400
℃の温度で焼成処理して被着したボラジン成分をBNに転
化させた。
(2)C/C基材の作製 表面にBN被覆層を形成した炭素繊維布を用い、実施例
1と同一条件により積層型のC/C基材を作製した。
1と同一条件により積層型のC/C基材を作製した。
(3)C/C基材へのBN被覆 C/C基材の表面に前記(1)と同様にしてトリクロロ
ボラジンの前駆体溶液を塗布し、乾燥後、窒素ガス雰囲
気中で1400℃の温度で焼成処理してBN被覆層を形成し
た。
ボラジンの前駆体溶液を塗布し、乾燥後、窒素ガス雰囲
気中で1400℃の温度で焼成処理してBN被覆層を形成し
た。
実施例5 (1)炭素繊維面へのSiO2被覆 アミノシランを1%濃度になるようにトルエンに溶解
し、1週間静置して前駆体溶液を作製した。
し、1週間静置して前駆体溶液を作製した。
この溶液に、実施例1と同一の炭素繊維布を浸漬した
のち、110℃の温度で乾燥し、引き続き500℃の温度で硬
化処理を施し表面にSiO2被覆層を形成した。
のち、110℃の温度で乾燥し、引き続き500℃の温度で硬
化処理を施し表面にSiO2被覆層を形成した。
(2)C/C基材の作製 SiO2被覆層を形成した炭素繊維布を用い、実施例1と
同一条件により積層型のC/C基材を作製した。
同一条件により積層型のC/C基材を作製した。
(3)C/C基材へのSiO2被覆 C/C基材の表面に前記(1)と同様にしてアミノシラ
ンからなる前駆体溶液を塗布し、乾燥後、500℃の温度
で硬化処理をおこなってSiO2被覆層を形成した。
ンからなる前駆体溶液を塗布し、乾燥後、500℃の温度
で硬化処理をおこなってSiO2被覆層を形成した。
〈耐熱耐酸化試験〉 上記の実施例1〜5で製造した各C/C材につき、空気
を300ml/分の流量で送入している電気炉に入れ、800℃
および1200℃の温度に各30分間保持する条件で酸化度合
を測定し、処理後の重量減少率として表1に示した。
を300ml/分の流量で送入している電気炉に入れ、800℃
および1200℃の温度に各30分間保持する条件で酸化度合
を測定し、処理後の重量減少率として表1に示した。
なお、比較のために、被覆処置を施さない同一炭素繊
維布により作製したC/C材の表面にCVD法によりSiC被覆
層(100μ)を形成した耐酸化製C/C材につき同様に酸化
試験をおこない、その結果を比較例として表1に併載し
た。
維布により作製したC/C材の表面にCVD法によりSiC被覆
層(100μ)を形成した耐酸化製C/C材につき同様に酸化
試験をおこない、その結果を比較例として表1に併載し
た。
表1の結果から、実施例1〜5のC/C材は、いずれも
高度の耐熱耐酸化性能を示した。
高度の耐熱耐酸化性能を示した。
〔発明の効果〕 以上のとおり、本発明の耐酸化性C/C材の製造方法に
よればSi3N4、SiC、BNまたはSiO2などのセラミックス系
耐高温酸化性物質を組織骨格となる炭素繊維面とC/C基
材の表面に同時に被覆層として形成することができるか
ら、組織の内外面に優れた耐酸化性能を付与することが
可能となる。
よればSi3N4、SiC、BNまたはSiO2などのセラミックス系
耐高温酸化性物質を組織骨格となる炭素繊維面とC/C基
材の表面に同時に被覆層として形成することができるか
ら、組織の内外面に優れた耐酸化性能を付与することが
可能となる。
したがって、高温酸化雰囲気下の苛酷な条件に晒され
る構造部材用途に適用して安定性能の確保、耐用寿命の
延長化などの効果が期待される。
る構造部材用途に適用して安定性能の確保、耐用寿命の
延長化などの効果が期待される。
Claims (4)
- 【請求項1】繊維表面にSi3N4、SiC、BNまたはSiO2から
なる耐高温酸化性物質の被覆層を形成した炭素繊維をマ
トリックス樹脂とともに複合成形し、硬化および焼成炭
化処理して炭素繊維強化炭素体の基材を作製し、ついで
基材表面に前記耐高温酸化性物質の前駆体溶液を塗布
し、硬化もしくは所定雰囲気下で焼成処理することを特
徴とする耐酸化性C/C材の製造方法。 - 【請求項2】耐高温酸化性物質をSi3N4またはSiCとする
場合の前駆体溶液として、ポリシラザンを有機溶媒に溶
解した溶液を用いる請求項1記載の耐酸化性C/C材の製
造方法。 - 【請求項3】耐高温酸化性物質をBNとする場合の前駆体
溶液として、ほう酸水溶液またはボラジンを有機溶媒に
溶解した溶液を用いる請求項1記載の耐酸化性C/C材の
製造方法。 - 【請求項4】耐高温酸化性物質をSiO2とする場合の前駆
体溶液として、アミノシランを有機溶媒に溶解した溶液
を用いる請求項1記載の耐酸化性C/C材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2302876A JP3038493B2 (ja) | 1990-11-08 | 1990-11-08 | 耐酸化性c/c材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2302876A JP3038493B2 (ja) | 1990-11-08 | 1990-11-08 | 耐酸化性c/c材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04175284A JPH04175284A (ja) | 1992-06-23 |
JP3038493B2 true JP3038493B2 (ja) | 2000-05-08 |
Family
ID=17914166
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2302876A Expired - Lifetime JP3038493B2 (ja) | 1990-11-08 | 1990-11-08 | 耐酸化性c/c材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3038493B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113185856B (zh) * | 2021-04-25 | 2024-04-09 | 仲恺农业工程学院 | 一种油泥裂解处理用涂层材料的制备方法及其应用 |
CN117730070A (zh) * | 2021-07-20 | 2024-03-19 | 京瓷株式会社 | 陶瓷构件 |
-
1990
- 1990-11-08 JP JP2302876A patent/JP3038493B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04175284A (ja) | 1992-06-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5067999A (en) | Method for providing a silicon carbide matrix in carbon-fiber reinforced composites | |
JP3038493B2 (ja) | 耐酸化性c/c材の製造方法 | |
JP3218092B2 (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JPH0585513B2 (ja) | ||
JP3422515B2 (ja) | 炭素質基材の耐酸化性被膜形成法 | |
JP3844273B2 (ja) | 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法 | |
JP2607409B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法 | |
JP3548605B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法 | |
JPH0524921A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JPH04187583A (ja) | 耐酸化性炭素繊維強化炭素複合材とその製造方法 | |
JP2579560B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 | |
JP3033042B2 (ja) | 耐酸化性c/c複合材とその製造方法 | |
JP2579563B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法 | |
JPS6126563A (ja) | 耐酸化性炭素繊維強化炭素材の製造法 | |
JP3548597B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理方法 | |
JPH0570228A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JPH0794354B2 (ja) | 耐酸化性c/c材とその製造方法 | |
JPH0826859A (ja) | 耐酸化性c/c複合材とその製造法 | |
JPH06247782A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JP3818606B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材 | |
JPH06345570A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JPH05148018A (ja) | 耐酸化性炭素繊維強化炭素材の製造方法 | |
JPH0442878A (ja) | 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 | |
JPH0412078A (ja) | 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 | |
JPH07126089A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 |