JPH0826859A - 耐酸化性c/c複合材とその製造法 - Google Patents
耐酸化性c/c複合材とその製造法Info
- Publication number
- JPH0826859A JPH0826859A JP18524594A JP18524594A JPH0826859A JP H0826859 A JPH0826859 A JP H0826859A JP 18524594 A JP18524594 A JP 18524594A JP 18524594 A JP18524594 A JP 18524594A JP H0826859 A JPH0826859 A JP H0826859A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- coating
- coating layer
- composite material
- layer
- sio
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B41/00—After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
- C04B41/009—After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B41/00—After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
- C04B41/45—Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
- C04B41/52—Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C04—CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
- C04B—LIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
- C04B2111/00—Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
- C04B2111/00241—Physical properties of the materials not provided for elsewhere in C04B2111/00
- C04B2111/00405—Materials with a gradually increasing or decreasing concentration of ingredients or property from one layer to another
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Ceramic Engineering (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Structural Engineering (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Ceramic Products (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 1000℃以下の低温から1500℃以上の
高温の広い酸化雰囲気において、安定かつ十分な酸化抵
抗を示す耐酸化性C/C複合材(炭素繊維強化炭素複合
材)とその製造方法を提供する。 【構成】 C/C複合材表面に、傾斜機能組織を有する
SiC被膜層(第1被覆層)、B2 O3 ガラス被膜層
(第2被覆層)、ZrO2 微粒子層(第3被覆層)およ
びAl2 O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜層(第4
被覆層)が順次に被覆積層された構造。第1被覆層はコ
ンバージョン法で、第2被覆層はB(OC4H9)3 溶液
を含浸したのち加熱処理する方法で、第3被覆層はZr
O2 微粒子サスペンジョンを含浸、乾燥する方法で被覆
される。また、第4被覆層はAlを含むSi(OC2 H
5)4 からアルコキシド法で得られる溶液を含浸したのち
B(OC4 H9)3 を含浸し加熱処理する方法により形成
される。
高温の広い酸化雰囲気において、安定かつ十分な酸化抵
抗を示す耐酸化性C/C複合材(炭素繊維強化炭素複合
材)とその製造方法を提供する。 【構成】 C/C複合材表面に、傾斜機能組織を有する
SiC被膜層(第1被覆層)、B2 O3 ガラス被膜層
(第2被覆層)、ZrO2 微粒子層(第3被覆層)およ
びAl2 O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜層(第4
被覆層)が順次に被覆積層された構造。第1被覆層はコ
ンバージョン法で、第2被覆層はB(OC4H9)3 溶液
を含浸したのち加熱処理する方法で、第3被覆層はZr
O2 微粒子サスペンジョンを含浸、乾燥する方法で被覆
される。また、第4被覆層はAlを含むSi(OC2 H
5)4 からアルコキシド法で得られる溶液を含浸したのち
B(OC4 H9)3 を含浸し加熱処理する方法により形成
される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温酸化性雰囲気下に
おいて優れた酸化抵抗性を示す耐酸化性C/C複合材
(「炭素繊維強化炭素複合材」、以下同じ)とその製造
法に関する。
おいて優れた酸化抵抗性を示す耐酸化性C/C複合材
(「炭素繊維強化炭素複合材」、以下同じ)とその製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】C/C複合材は、1000℃以上の高温
においても高度の比強度、比弾性率を維持し、かつ低い
熱膨張率を示す等の特異な性質を有する材料であり、航
空宇宙用の部材として注目されている。しかし、C/C
複合材を含め炭素材料は一般に500℃以上の大気雰囲
気下で酸化が進行して、物理的、化学的性質が損なわれ
るために高温大気中での使用は極く短時間に限られる材
質上の欠点がある。このため、C/C複合材の表面に耐
酸化性の被覆を施して改質化する試みが従来から盛んに
おこなわれている。
においても高度の比強度、比弾性率を維持し、かつ低い
熱膨張率を示す等の特異な性質を有する材料であり、航
空宇宙用の部材として注目されている。しかし、C/C
複合材を含め炭素材料は一般に500℃以上の大気雰囲
気下で酸化が進行して、物理的、化学的性質が損なわれ
るために高温大気中での使用は極く短時間に限られる材
質上の欠点がある。このため、C/C複合材の表面に耐
酸化性の被覆を施して改質化する試みが従来から盛んに
おこなわれている。
【0003】このうち、最も一般的な耐酸化処理とされ
ているのはCVD(化学的気相蒸着)によりセラミック
ス被膜層を形成する方法で、SiCを被覆化する処理が
代表的な技術として知られている。CVD法によればC
/C複合基材面に緻密なSiC被膜を形成することがで
きるが、僅かな熱負荷でSiC被膜が層間剥離したり、
層界面にクラックが発生する等の現象が多発し易い。こ
の現象は、主にC/C複合基材とSiC被膜層との熱膨
張差が大きいため最大歪みが追随できないことに起因し
ており、C/C複合基材面をSiCの熱膨張率に近似さ
せるように改質すれば軽減化させることができる。した
がって、C/C複合基材面に気相熱分解法により熱分解
炭素層を形成し、ついでCVDまたはCVI法でSiC
を被覆する方法(特開平2−111681号公報) が提案され
ているが、十分な効果は期待できない。
ているのはCVD(化学的気相蒸着)によりセラミック
ス被膜層を形成する方法で、SiCを被覆化する処理が
代表的な技術として知られている。CVD法によればC
/C複合基材面に緻密なSiC被膜を形成することがで
きるが、僅かな熱負荷でSiC被膜が層間剥離したり、
層界面にクラックが発生する等の現象が多発し易い。こ
の現象は、主にC/C複合基材とSiC被膜層との熱膨
張差が大きいため最大歪みが追随できないことに起因し
ており、C/C複合基材面をSiCの熱膨張率に近似さ
せるように改質すれば軽減化させることができる。した
がって、C/C複合基材面に気相熱分解法により熱分解
炭素層を形成し、ついでCVDまたはCVI法でSiC
を被覆する方法(特開平2−111681号公報) が提案され
ているが、十分な効果は期待できない。
【0004】これに対し、C/C複合基材の炭素を反応
源に利用してSi成分と反応させることによりSiCに
転化させるコンバージョン法は、基材の表層部が連続組
織としてSiC層を形成する傾斜機能組織となるため界
面剥離を生じることはない。しかし、CVD法に比べて
緻密性に劣るうえ、反応時、被覆層に微小なクラックが
発生する問題がある。
源に利用してSi成分と反応させることによりSiCに
転化させるコンバージョン法は、基材の表層部が連続組
織としてSiC層を形成する傾斜機能組織となるため界
面剥離を生じることはない。しかし、CVD法に比べて
緻密性に劣るうえ、反応時、被覆層に微小なクラックが
発生する問題がある。
【0005】このような問題の解消を図るため、本発明
者はC/C複合基材の表面にコンバージョン法で形成し
たSiC被覆層に、SiO2 の微粒被覆層を介してSi
O2またはB2 O3 あるいはB2 O3 −SiO2 ガラス
被覆層を3層状に積層被覆した耐酸化性C/C複合材を
開発した(特開平4−42883 号公報)。更に、これを改
良して、SiO2 の微粒被覆層とガラス被覆層の間にB
2 O3 ガラスの被膜層を介在させたC/C複合材の耐酸
化被覆層を開発、提案している(特願平5−166094
号)。
者はC/C複合基材の表面にコンバージョン法で形成し
たSiC被覆層に、SiO2 の微粒被覆層を介してSi
O2またはB2 O3 あるいはB2 O3 −SiO2 ガラス
被覆層を3層状に積層被覆した耐酸化性C/C複合材を
開発した(特開平4−42883 号公報)。更に、これを改
良して、SiO2 の微粒被覆層とガラス被覆層の間にB
2 O3 ガラスの被膜層を介在させたC/C複合材の耐酸
化被覆層を開発、提案している(特願平5−166094
号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の先行技術のう
ち、特開平4−42883 号公報によれば、表面層として形
成したガラス質被膜が高温雰囲気に曝されて軟化し、溶
融状態で内層のSiC被覆層および微粒子状SiO2 中
間被覆層に生じた微細なポアやクラックを完全にシール
して基材のC/C複合材を酸化雰囲気から保護するた
め、1200℃を越える苛酷な高温酸化雰囲気において
優れた耐酸化性を発揮する。しかしながら、1000℃
以下の比較的低温域においてはガラス質のベースである
SiO2 が軟化せず、結果的にシール効果が発揮されな
いために耐酸化性が低下する欠点があった。
ち、特開平4−42883 号公報によれば、表面層として形
成したガラス質被膜が高温雰囲気に曝されて軟化し、溶
融状態で内層のSiC被覆層および微粒子状SiO2 中
間被覆層に生じた微細なポアやクラックを完全にシール
して基材のC/C複合材を酸化雰囲気から保護するた
め、1200℃を越える苛酷な高温酸化雰囲気において
優れた耐酸化性を発揮する。しかしながら、1000℃
以下の比較的低温域においてはガラス質のベースである
SiO2 が軟化せず、結果的にシール効果が発揮されな
いために耐酸化性が低下する欠点があった。
【0007】一方、特願平5−166094号の技術によれ
ば、中間層とガラス質被覆層との間に比較的低融点のB
2 O3 単独のガラス被膜を介在させることにより、低温
域でB2 O3 が軟化するため1000℃以下の低温度域
から1200℃の高温度域に至る範囲で実用性のある耐
酸化性を示す。しかしながら、1500℃以上の高温域
ではB2 O3 の蒸気圧が高くなり、ガラス質の揮散によ
り耐酸化性が低下する問題点があった。
ば、中間層とガラス質被覆層との間に比較的低融点のB
2 O3 単独のガラス被膜を介在させることにより、低温
域でB2 O3 が軟化するため1000℃以下の低温度域
から1200℃の高温度域に至る範囲で実用性のある耐
酸化性を示す。しかしながら、1500℃以上の高温域
ではB2 O3 の蒸気圧が高くなり、ガラス質の揮散によ
り耐酸化性が低下する問題点があった。
【0008】本発明者は、引き続き研究を重ねた結果、
最内層にB2 O3 ガラス被膜を形成して比較的低温度で
C/C複合材内部にB2 O3 を含浸させることにより低
温度域における耐酸化性を向上させるとともに、その上
層にZrO2 微粒子層を設けることにより高温における
耐酸化性の向上を図ることができることを見出した。
最内層にB2 O3 ガラス被膜を形成して比較的低温度で
C/C複合材内部にB2 O3 を含浸させることにより低
温度域における耐酸化性を向上させるとともに、その上
層にZrO2 微粒子層を設けることにより高温における
耐酸化性の向上を図ることができることを見出した。
【0009】本発明は前記の知見に基づいて開発された
もので、その目的は、1000℃以下の低温度域から1
500℃以上の高温度域において、安定して十分な酸化
抵抗性を示す耐酸化性C/C複合材とその製造法を提供
することにある。
もので、その目的は、1000℃以下の低温度域から1
500℃以上の高温度域において、安定して十分な酸化
抵抗性を示す耐酸化性C/C複合材とその製造法を提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による耐酸化性C/C複合材は、炭素繊維強
化炭素複合基材の表面に、傾斜機能組織を有するSiC
被膜の第1被覆層、B2 O3 ガラス被膜の第2被覆層、
ZrO2 微粒子層の第3被覆層、およびAl2O3 −B
2 O3 −SiO2 ガラス被膜の第4被覆層が順次に被覆
積層され、一体に層形成されてなることを構成上の特徴
とする。
めの本発明による耐酸化性C/C複合材は、炭素繊維強
化炭素複合基材の表面に、傾斜機能組織を有するSiC
被膜の第1被覆層、B2 O3 ガラス被膜の第2被覆層、
ZrO2 微粒子層の第3被覆層、およびAl2O3 −B
2 O3 −SiO2 ガラス被膜の第4被覆層が順次に被覆
積層され、一体に層形成されてなることを構成上の特徴
とする。
【0011】本発明において、基材となるC/C複合材
は、炭素繊維の織布、フエルト、トウなどにマトリック
ス樹脂液を含浸または塗布して積層成形したのち焼成炭
化処理を施す常用の方法で製造されたものが使用され、
材料の製造履歴や材質組織等には限定はない。
は、炭素繊維の織布、フエルト、トウなどにマトリック
ス樹脂液を含浸または塗布して積層成形したのち焼成炭
化処理を施す常用の方法で製造されたものが使用され、
材料の製造履歴や材質組織等には限定はない。
【0012】C/C複合基材の表面に直接被覆されるS
iC被膜の第1被覆層は、基材表層部が外面に向かうに
従って次第にSiC化が進む傾斜機能組織の多結晶質S
iC被膜層であり、C/C複合基材と強固に結合してい
る。第2被覆層となるB2 O3 ガラス被膜は、1000
℃以下の低温度域で溶融軟化してSiC被膜のクラック
やC/C複合基材内部に含浸し、シール剤として酸素の
拡散侵入を防止する。この上に第3被覆層として形成さ
れるZrO2 微粒子層は高温における耐酸化性の向上に
機能し、また、表面層のAl2 O3 −B2 O3 −SiO
2 ガラス被膜の第4被覆層は高温において溶融軟化して
全表面を均一にシールし、酸化性雰囲気における外気の
侵入を遮断するバリアとして機能する。
iC被膜の第1被覆層は、基材表層部が外面に向かうに
従って次第にSiC化が進む傾斜機能組織の多結晶質S
iC被膜層であり、C/C複合基材と強固に結合してい
る。第2被覆層となるB2 O3 ガラス被膜は、1000
℃以下の低温度域で溶融軟化してSiC被膜のクラック
やC/C複合基材内部に含浸し、シール剤として酸素の
拡散侵入を防止する。この上に第3被覆層として形成さ
れるZrO2 微粒子層は高温における耐酸化性の向上に
機能し、また、表面層のAl2 O3 −B2 O3 −SiO
2 ガラス被膜の第4被覆層は高温において溶融軟化して
全表面を均一にシールし、酸化性雰囲気における外気の
侵入を遮断するバリアとして機能する。
【0013】上記にように複層被膜が一体層形成された
耐酸化性C/C複合材を得るための本発明による製造法
は、炭素繊維をマトリックス樹脂とともに複合成形し硬
化および焼成炭化処理して得られる炭素繊維強化炭素複
合材を基材とし、該基材の表面にSiOガスを接触させ
てコンバージョン法によりSiC被膜を形成する第1被
覆工程、B(OC4 H9 )3 溶液を減圧含浸したのち加
熱処理してB2 O3 ガラス被膜を形成する第2被覆工
程、アルコキシド法によりZr(OC4 H9 )4を加水
分解して得られるZrO2 の微粒子サスペンジョンを減
圧含浸したのち乾燥してZrO2 微粒子層を形成する第
3被覆工程、およびアルコキシド法によりSi(OC2
H5 )4 をAlを含む酸性水溶液中で加水分解して得ら
れるAl2O3 −SiO2 ガラス前駆体溶液を減圧含浸
して乾燥し、次いでB(OC4 H9)3 を減圧含浸して
加水分解したのち1000℃以上の温度に加熱処理し
て、Al2 O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜を形成
する第4被覆工程を順次施すことを特徴とする。
耐酸化性C/C複合材を得るための本発明による製造法
は、炭素繊維をマトリックス樹脂とともに複合成形し硬
化および焼成炭化処理して得られる炭素繊維強化炭素複
合材を基材とし、該基材の表面にSiOガスを接触させ
てコンバージョン法によりSiC被膜を形成する第1被
覆工程、B(OC4 H9 )3 溶液を減圧含浸したのち加
熱処理してB2 O3 ガラス被膜を形成する第2被覆工
程、アルコキシド法によりZr(OC4 H9 )4を加水
分解して得られるZrO2 の微粒子サスペンジョンを減
圧含浸したのち乾燥してZrO2 微粒子層を形成する第
3被覆工程、およびアルコキシド法によりSi(OC2
H5 )4 をAlを含む酸性水溶液中で加水分解して得ら
れるAl2O3 −SiO2 ガラス前駆体溶液を減圧含浸
して乾燥し、次いでB(OC4 H9)3 を減圧含浸して
加水分解したのち1000℃以上の温度に加熱処理し
て、Al2 O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜を形成
する第4被覆工程を順次施すことを特徴とする。
【0014】C/C複合材を構成する炭素繊維には、ポ
リアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系など各種
原料から製造された平織、綾織などの織布、フェルトあ
るいはトウが使用され、マトリックス樹脂としてはフェ
ノール系、フラン系その他炭化性の良好な液状熱硬化性
樹脂が用いられる。炭素繊維は、浸漬、含浸、塗布など
の手段を用いマトリックス樹脂液で十分に濡らしたのち
半硬化してプリプレグを形成し、ついで積層加圧成形す
る。成形体は加熱して樹脂成分を完全に硬化し、引き続
き焼成炭化処理または更に黒鉛化してC/C複合基材を
得る。このC/C複合基材には、必要に応じてマトリッ
クス樹脂を含浸、硬化、炭化する処理を反復して組織の
緻密化が図られる。
リアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系など各種
原料から製造された平織、綾織などの織布、フェルトあ
るいはトウが使用され、マトリックス樹脂としてはフェ
ノール系、フラン系その他炭化性の良好な液状熱硬化性
樹脂が用いられる。炭素繊維は、浸漬、含浸、塗布など
の手段を用いマトリックス樹脂液で十分に濡らしたのち
半硬化してプリプレグを形成し、ついで積層加圧成形す
る。成形体は加熱して樹脂成分を完全に硬化し、引き続
き焼成炭化処理または更に黒鉛化してC/C複合基材を
得る。このC/C複合基材には、必要に応じてマトリッ
クス樹脂を含浸、硬化、炭化する処理を反復して組織の
緻密化が図られる。
【0015】第1被覆工程は、SiO2 粉末をSiまた
はC粉末と混合して密閉加熱系に収納し、系内にC/C
複合材をセットもしくは埋設して加熱反応させる方法で
おこなわれる。この際の条件は、SiO2 :Siまたは
Cのモル比を2:1とし、加熱温度を1850〜200
0℃の範囲に設定し、系内を還元または中性雰囲気とす
ることが好ましい。加熱時、SiO2 はSiまたはC成
分により加熱還元されてSiOガスを生成し、このSi
OガスがC/C複合材の炭素組織と反応して表層部を傾
斜機能組織のSiC被膜層に転化させる。SiC被膜層
はC/C複合基材と強固に結合しており、適切な膜厚は
100〜300μm である。膜厚が100μm 未満では
良好な傾斜機能組織が形成されず、また300μm を越
える厚い膜厚は不要である。
はC粉末と混合して密閉加熱系に収納し、系内にC/C
複合材をセットもしくは埋設して加熱反応させる方法で
おこなわれる。この際の条件は、SiO2 :Siまたは
Cのモル比を2:1とし、加熱温度を1850〜200
0℃の範囲に設定し、系内を還元または中性雰囲気とす
ることが好ましい。加熱時、SiO2 はSiまたはC成
分により加熱還元されてSiOガスを生成し、このSi
OガスがC/C複合材の炭素組織と反応して表層部を傾
斜機能組織のSiC被膜層に転化させる。SiC被膜層
はC/C複合基材と強固に結合しており、適切な膜厚は
100〜300μm である。膜厚が100μm 未満では
良好な傾斜機能組織が形成されず、また300μm を越
える厚い膜厚は不要である。
【0016】第2被覆工程は、B(OC4 H9 )3 溶液
中にSiC被膜を形成したC/C複合材を浸漬して、減
圧下に含浸させたのち、一昼夜風乾して空気中の水分に
より加水分解し、乾燥後、500℃以上の温度で加熱処
理することによりB2 O3 ガラス被膜を形成する。加熱
温度が500℃未満であると安定してB2 O3 ガラス被
膜を形成することが困難である。
中にSiC被膜を形成したC/C複合材を浸漬して、減
圧下に含浸させたのち、一昼夜風乾して空気中の水分に
より加水分解し、乾燥後、500℃以上の温度で加熱処
理することによりB2 O3 ガラス被膜を形成する。加熱
温度が500℃未満であると安定してB2 O3 ガラス被
膜を形成することが困難である。
【0017】第3被覆工程で用いるZrO2 の微粒子サ
スペンジョンは、Zr(OC4 H9)4 にアルコールを
加えて撹拌混合した溶液中に水を滴下して加水分解する
ことにより、ZrO2 の微粒子を生成させるアルコキシ
ド法により調製される。このサスペンジョン中に、前記
第2被覆工程の処理を施したC/C複合材を浸漬し、減
圧含浸したのち風乾し、次いで100℃の温度で乾燥す
ることにより、ZrO2 微粒子層が形成される。好まし
い粒径範囲は、0.5〜1.0μm である。
スペンジョンは、Zr(OC4 H9)4 にアルコールを
加えて撹拌混合した溶液中に水を滴下して加水分解する
ことにより、ZrO2 の微粒子を生成させるアルコキシ
ド法により調製される。このサスペンジョン中に、前記
第2被覆工程の処理を施したC/C複合材を浸漬し、減
圧含浸したのち風乾し、次いで100℃の温度で乾燥す
ることにより、ZrO2 微粒子層が形成される。好まし
い粒径範囲は、0.5〜1.0μm である。
【0018】第4被覆工程は、Si(OC2 H5 )4 に
アルコールを加えて撹拌混合した溶液中に、Al(NO
3 )3 やAlCl3 などのAl塩の水溶液にHClを加
えて酸性水溶液とした混合溶液を滴下して加水分解する
アルコキシド法によりAl2O3 −SiO2 ガラス前駆
体溶液を調製し、この溶液中に前記第3被覆工程を施し
たC/C複合材を浸漬し、減圧含浸したのち100℃の
温度で乾燥することによりAl2 O3 −SiO2 を形成
する。次いで、B(OC4 H9 )3 溶液中に浸漬して減
圧下に含浸させ、風乾して加水分解を行った後乾燥し、
更に不活性雰囲気中1000℃以上の温度で加熱処理す
ることによりAl2 O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被
膜を形成する。この加熱処理によりガラス被膜層が溶融
軟化して全面をシールし、外気を遮断するバリアとして
機能する。しかし、加熱温度が1500℃を越えるとガ
ラス質の揮散が生じ、また冷却時には結晶化が始まるた
めに好ましくない。
アルコールを加えて撹拌混合した溶液中に、Al(NO
3 )3 やAlCl3 などのAl塩の水溶液にHClを加
えて酸性水溶液とした混合溶液を滴下して加水分解する
アルコキシド法によりAl2O3 −SiO2 ガラス前駆
体溶液を調製し、この溶液中に前記第3被覆工程を施し
たC/C複合材を浸漬し、減圧含浸したのち100℃の
温度で乾燥することによりAl2 O3 −SiO2 を形成
する。次いで、B(OC4 H9 )3 溶液中に浸漬して減
圧下に含浸させ、風乾して加水分解を行った後乾燥し、
更に不活性雰囲気中1000℃以上の温度で加熱処理す
ることによりAl2 O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被
膜を形成する。この加熱処理によりガラス被膜層が溶融
軟化して全面をシールし、外気を遮断するバリアとして
機能する。しかし、加熱温度が1500℃を越えるとガ
ラス質の揮散が生じ、また冷却時には結晶化が始まるた
めに好ましくない。
【0019】
【作用】本発明において、傾斜機能組織からなるSiC
被膜の第1被覆層はC/C複合基材表面に緻密で密着性
の高い被膜として形成される。第2被覆層として形成す
るB2 O3 ガラス被膜は1000℃以下の低温域で軟化
溶融してSiC被膜のクラックやピンホールを充填する
とともにC/C複合基材表層部に含浸して外気との接触
を遮断し、酸素拡散のバリアとして機能する。更に、第
3被覆層として形成したZrO2 微粒子層は高温におけ
る耐熱性、耐酸化性の向上に機能し、最外層に形成され
るAl2 O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜の第4被
覆層は高温域において溶融軟化しZrO2 微粒子層に浸
透して無孔化するとともに平滑な表面層を形成し、外気
を確実に遮断するのに機能する。
被膜の第1被覆層はC/C複合基材表面に緻密で密着性
の高い被膜として形成される。第2被覆層として形成す
るB2 O3 ガラス被膜は1000℃以下の低温域で軟化
溶融してSiC被膜のクラックやピンホールを充填する
とともにC/C複合基材表層部に含浸して外気との接触
を遮断し、酸素拡散のバリアとして機能する。更に、第
3被覆層として形成したZrO2 微粒子層は高温におけ
る耐熱性、耐酸化性の向上に機能し、最外層に形成され
るAl2 O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜の第4被
覆層は高温域において溶融軟化しZrO2 微粒子層に浸
透して無孔化するとともに平滑な表面層を形成し、外気
を確実に遮断するのに機能する。
【0020】また、本発明の製造方法によれば、B2 O
3 ガラス被膜層、ZrO2 微粒子層およびAl2 O3 −
B2 O3 −SiO2 ガラス被膜層はガラス前駆体溶液あ
るいは微粒子サスペンジョンを減圧含浸して形成してい
るから、緻密で密着性のよいガス不透過性の被膜層が形
成される。
3 ガラス被膜層、ZrO2 微粒子層およびAl2 O3 −
B2 O3 −SiO2 ガラス被膜層はガラス前駆体溶液あ
るいは微粒子サスペンジョンを減圧含浸して形成してい
るから、緻密で密着性のよいガス不透過性の被膜層が形
成される。
【0021】これらの機能が総合的に作用して、100
0℃以下の低温度から1500℃以上の高温度の広い温
度領域において、優れた耐酸化性能が付与される。
0℃以下の低温度から1500℃以上の高温度の広い温
度領域において、優れた耐酸化性能が付与される。
【0022】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。
明する。
【0023】実施例1 (1) C/C複合基材の作製 ポリアクリロニトリル系高弾性タイプの平織炭素繊維布
にフェノール樹脂初期縮合物〔大日本インキ工業(株)
製〕をマトリックス樹脂として十分に塗布し、48時間
風乾してプレプレグシートを作製した。このプリプレグ
シートを積層してモールドに入れ、加熱温度110℃、
適用圧力20kg/cm2の条件で複合成形した。ついで、成
形体を250℃の温度に加熱して完全に硬化したのち、
N2 雰囲気に保持された焼成炉に移し、5℃/hr の昇温
速度で2000℃まで上昇し5時間保持して焼成炭化し
た。このようにして、炭素繊維の体積含有率(Vf)65
%、見掛比重1.65g/ccのC/C複合材を作製した。
にフェノール樹脂初期縮合物〔大日本インキ工業(株)
製〕をマトリックス樹脂として十分に塗布し、48時間
風乾してプレプレグシートを作製した。このプリプレグ
シートを積層してモールドに入れ、加熱温度110℃、
適用圧力20kg/cm2の条件で複合成形した。ついで、成
形体を250℃の温度に加熱して完全に硬化したのち、
N2 雰囲気に保持された焼成炉に移し、5℃/hr の昇温
速度で2000℃まで上昇し5時間保持して焼成炭化し
た。このようにして、炭素繊維の体積含有率(Vf)65
%、見掛比重1.65g/ccのC/C複合材を作製した。
【0024】(2) 第1被覆工程 SiO2 粉末とSi粉末をモル比2:1の配合比率にな
るように混合し、混合粉末を黒鉛ルツボに入れ上部にC
/C複合材をセットして黒鉛蓋を被せた。この黒鉛ルツ
ボを電気炉に移し、内外をArガス雰囲気に保持しなが
ら50℃/hrの速度で1900℃まで昇温し、2時間保
持してC/C複合材の表層部に傾斜機能組織を備える多
結晶質のSiC被膜を形成した。形成されたSiC被膜
の厚さは約200μm であったが、その表面には幅10
μm 程度の微細なクラックが所々に発生していた。
るように混合し、混合粉末を黒鉛ルツボに入れ上部にC
/C複合材をセットして黒鉛蓋を被せた。この黒鉛ルツ
ボを電気炉に移し、内外をArガス雰囲気に保持しなが
ら50℃/hrの速度で1900℃まで昇温し、2時間保
持してC/C複合材の表層部に傾斜機能組織を備える多
結晶質のSiC被膜を形成した。形成されたSiC被膜
の厚さは約200μm であったが、その表面には幅10
μm 程度の微細なクラックが所々に発生していた。
【0025】(3) 第2被覆工程 第1被覆工程でSiC被膜を形成したC/C複合材をB
(OC4 H9 )3 溶液中に浸漬し15分間減圧しながら
含浸処理を行った。含浸後、一昼夜風乾して空気中の水
分で加水分解したのち100℃の温度で乾燥し、更に加
熱炉中で500℃の温度で15分間熱処理してB2 O3
ガラス被膜を形成した。この被膜層の厚さは2μm であ
った。
(OC4 H9 )3 溶液中に浸漬し15分間減圧しながら
含浸処理を行った。含浸後、一昼夜風乾して空気中の水
分で加水分解したのち100℃の温度で乾燥し、更に加
熱炉中で500℃の温度で15分間熱処理してB2 O3
ガラス被膜を形成した。この被膜層の厚さは2μm であ
った。
【0026】(4) 第3被覆工程 Zr(OC4 H9 )4 とエタノールをモル比1:25の
量比で配合し、室温で撹拌した混合溶液中に、撹拌しな
がら前記Zr(OC4 H9 )4 1モルに対し6モルの割
合で水を滴下して、粒径0.7μm の球状ZrO2 微粒
子が均一に分散するサスペンジョンを合成した。このサ
スペンジョンに、第1、第2被覆工程の被覆処理を施し
たC/C複合材を浸漬し、減圧下に15分間含浸したの
ち風乾した。更に、サスペンジョンを塗布し、風乾する
操作を3回繰り返した後、100℃の温度で乾燥しZr
O2 微粒子層からなる第3被覆層を形成した。
量比で配合し、室温で撹拌した混合溶液中に、撹拌しな
がら前記Zr(OC4 H9 )4 1モルに対し6モルの割
合で水を滴下して、粒径0.7μm の球状ZrO2 微粒
子が均一に分散するサスペンジョンを合成した。このサ
スペンジョンに、第1、第2被覆工程の被覆処理を施し
たC/C複合材を浸漬し、減圧下に15分間含浸したの
ち風乾した。更に、サスペンジョンを塗布し、風乾する
操作を3回繰り返した後、100℃の温度で乾燥しZr
O2 微粒子層からなる第3被覆層を形成した。
【0027】(5) 第4被覆工程 Si(OC2 H5)4 とエタノールをモル比1:4.5に
なる量比で配合し、室温で還流撹拌をおこなった溶液
に、前記Si(OC2 H5)4 1モルに対し2.5モル量
の水と0.03モル量のHClおよび1.0モル量のA
l(NO3 )3 の混合水溶液を滴下した。滴下後の溶液
のpHは3.0であった。引き続き1時間撹拌を継続し
てAl2 O3 −SiO2 ガラス前駆体溶液を調製し、こ
の溶液中に前記第3工程の処理を施したC/C複合材を
浸漬し、15分間減圧含浸したのち風乾し、更に100
℃の温度で乾燥した。次いで、B(OC4 H9 )3 溶液
中に浸漬して15分間減圧下に含浸処理したのち、一昼
夜風乾して空気中の水分により加水分解を行い、100
℃の温度で乾燥した。乾燥処理後のC/C複合材を電気
炉に入れ、アルゴン雰囲気中で1000℃の温度で60
分間加熱処理して、表面にAl2 O3 −B2 O3 −Si
O2 ガラス被膜層を形成した。被膜層の厚さは3μm で
あった。
なる量比で配合し、室温で還流撹拌をおこなった溶液
に、前記Si(OC2 H5)4 1モルに対し2.5モル量
の水と0.03モル量のHClおよび1.0モル量のA
l(NO3 )3 の混合水溶液を滴下した。滴下後の溶液
のpHは3.0であった。引き続き1時間撹拌を継続し
てAl2 O3 −SiO2 ガラス前駆体溶液を調製し、こ
の溶液中に前記第3工程の処理を施したC/C複合材を
浸漬し、15分間減圧含浸したのち風乾し、更に100
℃の温度で乾燥した。次いで、B(OC4 H9 )3 溶液
中に浸漬して15分間減圧下に含浸処理したのち、一昼
夜風乾して空気中の水分により加水分解を行い、100
℃の温度で乾燥した。乾燥処理後のC/C複合材を電気
炉に入れ、アルゴン雰囲気中で1000℃の温度で60
分間加熱処理して、表面にAl2 O3 −B2 O3 −Si
O2 ガラス被膜層を形成した。被膜層の厚さは3μm で
あった。
【0028】(6) 耐酸化性の評価 上記の工程により4層の被覆層を形成したC/C複合材
を、大気雰囲気に保持された電気炉に入れ、1650℃
の温度で30分間保持したのち、電気炉から取り出して
常温まで自然冷却した。この操作を10回繰り返し、C
/C複合材の酸化による重量減少率を測定し、その結果
を表1に示した。また、熱処理条件として1000℃の
温度に30分間保持したのち、常温まで自然冷却する操
作を10回繰り返した場合のC/C複合材の重量減少率
を測定して、その結果を表2に示した。
を、大気雰囲気に保持された電気炉に入れ、1650℃
の温度で30分間保持したのち、電気炉から取り出して
常温まで自然冷却した。この操作を10回繰り返し、C
/C複合材の酸化による重量減少率を測定し、その結果
を表1に示した。また、熱処理条件として1000℃の
温度に30分間保持したのち、常温まで自然冷却する操
作を10回繰り返した場合のC/C複合材の重量減少率
を測定して、その結果を表2に示した。
【0029】比較例1 実施例1と同一の条件で傾斜機能組織を有するSiC被
膜の第1被覆層のみを形成したC/C複合材につき、実
施例1と同一の条件で耐酸化性試験を行い、その結果を
表1および表2に併載した。
膜の第1被覆層のみを形成したC/C複合材につき、実
施例1と同一の条件で耐酸化性試験を行い、その結果を
表1および表2に併載した。
【0030】比較例2 実施例1と同一の条件で傾斜機能組織を有するSiC被
膜の第1被覆層のみを形成したC/C複合材に、下記の
被覆処理を施した。Si(OC2 H5)4 とエタノールを
モル比1:12になる量比で配合し、70℃の温度で還
流撹拌を行った混合溶液に、前記Si(OC2 H5)4 1
モルに対し25モル量の水と0.2モル量のNH4 OH
の混合水溶液を滴下した。滴下後の溶液のpHは12.
0であった。引き続き1時間撹拌を継続して、粒径0.
2μm のSiO2 微粒子が均一に分散するサスペンジョ
ンを調製した。このサスペンジョンにC/C複合材を浸
漬し、15分間減圧含浸したのち風乾し、更にサスペン
ジョンを塗布、風乾する処理を3回繰り返したのち、1
00℃の温度で乾燥してSiO2 微粒子からなる被覆層
を形成した。次いで、Si(OC2 H5)4 とエタノール
をモル比1:4.5になる量比で配合し、室温で還流撹
拌を行った混合溶液に、前記Si(OC2 H5)4 1モル
に対し2.5モル量の水と0.03モル量のHClの混
合水溶液を滴下した。滴下後の溶液のpHは3.0であ
った。引き続き1時間撹拌を継続してSiO2 ガラス前
駆体溶液を調製し、この溶液中に前記SiO2 微粒子の
被覆層を形成したC/C複合材を浸漬し、15分間減圧
含浸したのち風乾し、100℃の温度で乾燥した後、電
気炉に入れ500℃の温度で10分間加熱した。次に、
B(OC4 H9 )3 溶液中に浸漬して15分間減圧下に
含浸処理を施し、一昼夜風乾して空気中の水分により加
水分解を行ったのち100℃の温度で乾燥し、更に電気
炉中で500℃の温度で15分間加熱処理して、表面に
B2 O3 −SiO2 ガラス被膜層を形成した。このC/
C複合材につき、実施例1と同一の条件で耐酸化性試験
を行い、その結果を表1および表2に併載した。
膜の第1被覆層のみを形成したC/C複合材に、下記の
被覆処理を施した。Si(OC2 H5)4 とエタノールを
モル比1:12になる量比で配合し、70℃の温度で還
流撹拌を行った混合溶液に、前記Si(OC2 H5)4 1
モルに対し25モル量の水と0.2モル量のNH4 OH
の混合水溶液を滴下した。滴下後の溶液のpHは12.
0であった。引き続き1時間撹拌を継続して、粒径0.
2μm のSiO2 微粒子が均一に分散するサスペンジョ
ンを調製した。このサスペンジョンにC/C複合材を浸
漬し、15分間減圧含浸したのち風乾し、更にサスペン
ジョンを塗布、風乾する処理を3回繰り返したのち、1
00℃の温度で乾燥してSiO2 微粒子からなる被覆層
を形成した。次いで、Si(OC2 H5)4 とエタノール
をモル比1:4.5になる量比で配合し、室温で還流撹
拌を行った混合溶液に、前記Si(OC2 H5)4 1モル
に対し2.5モル量の水と0.03モル量のHClの混
合水溶液を滴下した。滴下後の溶液のpHは3.0であ
った。引き続き1時間撹拌を継続してSiO2 ガラス前
駆体溶液を調製し、この溶液中に前記SiO2 微粒子の
被覆層を形成したC/C複合材を浸漬し、15分間減圧
含浸したのち風乾し、100℃の温度で乾燥した後、電
気炉に入れ500℃の温度で10分間加熱した。次に、
B(OC4 H9 )3 溶液中に浸漬して15分間減圧下に
含浸処理を施し、一昼夜風乾して空気中の水分により加
水分解を行ったのち100℃の温度で乾燥し、更に電気
炉中で500℃の温度で15分間加熱処理して、表面に
B2 O3 −SiO2 ガラス被膜層を形成した。このC/
C複合材につき、実施例1と同一の条件で耐酸化性試験
を行い、その結果を表1および表2に併載した。
【0031】比較例3 比較例2と同一の条件でSiC被膜およびSiO2 微粒
子層を形成したC/C複合材に、下記の被覆処理を施し
た。B(OC4 H9 )3 溶液中に浸漬し15分間減圧含
浸したのち、一昼夜風乾することにより空気中の水分で
加水分解した。その後、100℃の温度で乾燥し、更に
500℃の温度で15分間加熱して、B2 O3 ガラス被
膜層を形成した。次に、比較例2と同一の方法によりB
2 O3 −SiO2 ガラス被膜層を形成し、このC/C複
合材について実施例1と同一の条件で耐酸化性試験を行
って、その結果を表1および表2に併載した。
子層を形成したC/C複合材に、下記の被覆処理を施し
た。B(OC4 H9 )3 溶液中に浸漬し15分間減圧含
浸したのち、一昼夜風乾することにより空気中の水分で
加水分解した。その後、100℃の温度で乾燥し、更に
500℃の温度で15分間加熱して、B2 O3 ガラス被
膜層を形成した。次に、比較例2と同一の方法によりB
2 O3 −SiO2 ガラス被膜層を形成し、このC/C複
合材について実施例1と同一の条件で耐酸化性試験を行
って、その結果を表1および表2に併載した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】表1、表2の結果から実施例のC/C複合
材は、1000℃の低温から1500℃を越える高温の
広い温度領域において優れた耐酸化性能を示し、安定し
て使用できることが認められた。これに対し、比較例の
ものはいずれも高温における酸化損耗が大きく、耐酸化
性能が減退していることが判る。
材は、1000℃の低温から1500℃を越える高温の
広い温度領域において優れた耐酸化性能を示し、安定し
て使用できることが認められた。これに対し、比較例の
ものはいずれも高温における酸化損耗が大きく、耐酸化
性能が減退していることが判る。
【0035】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によればC/C複
合基材の表面に傾斜機能組織を有するSiC被膜層、B
2 O3 ガラス被膜層、ZrO2 微粒子層、およびAl2
O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜層を順次に被覆積
層して一体に構成された高度の耐酸化性を備えるC/C
複合材を提供することが可能となる。したがって、低温
から高温の広い温度範囲の酸化性雰囲気に晒される構造
部材として、安定性の確保、耐久寿命の延長化などの効
果がもたらされる。
合基材の表面に傾斜機能組織を有するSiC被膜層、B
2 O3 ガラス被膜層、ZrO2 微粒子層、およびAl2
O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜層を順次に被覆積
層して一体に構成された高度の耐酸化性を備えるC/C
複合材を提供することが可能となる。したがって、低温
から高温の広い温度範囲の酸化性雰囲気に晒される構造
部材として、安定性の確保、耐久寿命の延長化などの効
果がもたらされる。
Claims (2)
- 【請求項1】 炭素繊維強化炭素複合基材の表面に、傾
斜機能組織を有するSiC被膜の第1被覆層、B2 O3
ガラス被膜の第2被覆層、ZrO2 微粒子層の第3被覆
層、およびAl2 O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜
の第4被覆層が順次に被覆積層され、一体に層形成され
てなることを特徴とする耐酸化性C/C複合材。 - 【請求項2】 炭素繊維をマトリックス樹脂とともに複
合成形し硬化および焼成炭化処理して得られる炭素繊維
強化炭素複合材を基材とし、該基材の表面にSiOガス
を接触させてコンバージョン法によりSiC被膜を形成
する第1被覆工程、B(OC4 H9 )3 溶液を減圧含浸
したのち加熱処理してB2 O3 ガラス被膜を形成する第
2被覆工程、アルコキシド法によりZr(OC4 H9 )
4 を加水分解して得られるZrO2 の微粒子サスペンジ
ョンを減圧含浸したのち乾燥してZrO2 微粒子層を形
成する第3被覆工程、およびアルコキシド法によりSi
(OC2 H5 )4 をAlを含む酸性水溶液中で加水分解
して得られるAl2 O3−SiO2 ガラス前駆体溶液を
減圧含浸して乾燥し、次いでB(OC4 H9 )3を減圧
含浸して加水分解したのち1000℃以上の温度に加熱
処理して、Al2O3 −B2 O3 −SiO2 ガラス被膜
を形成する第4被覆工程を順次施すことを特徴とする耐
酸化性C/C複合材の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18524594A JPH0826859A (ja) | 1994-07-14 | 1994-07-14 | 耐酸化性c/c複合材とその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18524594A JPH0826859A (ja) | 1994-07-14 | 1994-07-14 | 耐酸化性c/c複合材とその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0826859A true JPH0826859A (ja) | 1996-01-30 |
Family
ID=16167434
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18524594A Pending JPH0826859A (ja) | 1994-07-14 | 1994-07-14 | 耐酸化性c/c複合材とその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0826859A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2891272A1 (fr) * | 2005-09-28 | 2007-03-30 | Snecma Sa | Procede de protection contre l'usure d'une piece thermostructurale en materiau composite a matrice ceramique, revetement et piece obtenus par ce procede. |
CN112457056A (zh) * | 2020-11-30 | 2021-03-09 | 中南大学 | 一种成分梯度可控多元超高温陶瓷改性c/c复合材料的制备方法 |
CN114644531A (zh) * | 2022-03-30 | 2022-06-21 | 陕西科技大学 | 一种在C/C复合材料表面制备B2O3@SiO2核壳-SiC涂层的方法及复合涂层 |
-
1994
- 1994-07-14 JP JP18524594A patent/JPH0826859A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2891272A1 (fr) * | 2005-09-28 | 2007-03-30 | Snecma Sa | Procede de protection contre l'usure d'une piece thermostructurale en materiau composite a matrice ceramique, revetement et piece obtenus par ce procede. |
EP1770078A2 (fr) | 2005-09-28 | 2007-04-04 | Snecma | Procédé de protection contre l'usure d'une pièce thermostructurale en matériau composite à matrice céramique, revêtement et pièce obtenus par ce procédé |
EP1770078A3 (fr) * | 2005-09-28 | 2011-03-09 | Snecma | Procédé de protection contre l'usure d'une pièce thermostructurale en matériau composite à matrice céramique, revêtement et pièce obtenus par ce procédé |
CN112457056A (zh) * | 2020-11-30 | 2021-03-09 | 中南大学 | 一种成分梯度可控多元超高温陶瓷改性c/c复合材料的制备方法 |
CN114644531A (zh) * | 2022-03-30 | 2022-06-21 | 陕西科技大学 | 一种在C/C复合材料表面制备B2O3@SiO2核壳-SiC涂层的方法及复合涂层 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3749268B2 (ja) | C/c複合材の耐酸化被覆層 | |
JP4539014B2 (ja) | 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法 | |
JPH0648872A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JP3844273B2 (ja) | 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法 | |
JPH0826859A (ja) | 耐酸化性c/c複合材とその製造法 | |
JPH04187583A (ja) | 耐酸化性炭素繊維強化炭素複合材とその製造方法 | |
JP3853035B2 (ja) | 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法 | |
JP3422515B2 (ja) | 炭素質基材の耐酸化性被膜形成法 | |
JP3193762B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 | |
JP3431958B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 | |
JP3033042B2 (ja) | 耐酸化性c/c複合材とその製造方法 | |
JP3548605B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法 | |
JP3198157B2 (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JPH0570228A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JP2579563B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法 | |
JPH0794354B2 (ja) | 耐酸化性c/c材とその製造方法 | |
JP3461424B2 (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JPH0952777A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JPH08169786A (ja) | 耐酸化性炭素繊維強化炭素複合材の製造法 | |
JPH06144967A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JP3461415B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 | |
JPH06144968A (ja) | 耐酸化性c/c複合材の製造方法 | |
JP3818606B2 (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材 | |
JPH05148018A (ja) | 耐酸化性炭素繊維強化炭素材の製造方法 | |
JPH0920571A (ja) | 炭素繊維強化炭素複合材の製造方法 |