JP2579563B2 - 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法 - Google Patents

炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温酸化雰囲気下にお
いて優れた酸化抵抗性を発揮する炭素繊維強化炭素複合
材(以下「C/C材」という。)の耐酸化処理法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】C/C材は、卓越した比強度、比弾性率
を有するうえに優れた耐熱性および化学的安定性を備え
ているため、航空宇宙用をはじめ多くの分野で構造材料
として有用されている。ところが、この材料には大気中
において 500℃付近から材質酸化を受けるという炭素材
固有の材質的な欠点があり、これが汎用性を阻害する最
大のネックとなっている。このため、C/C材の表面に
耐酸化性の被覆を施して改質化する試みが従来からなさ
れており、例えばSiC、Si3 4 ZrO2 、Al2
3 等のセラミックス系物質によって被覆処理する方法
が開発提案されている。しかし、SiC被覆層を除いて
は、使用時の熱サイクルで被覆界面に層間剥離や亀裂が
生じるため、酸化の進行を十分に阻止する機能が発揮さ
れない。
【0003】従来、C/C基材の表面に炭化珪素の被覆
を施す方法として、気相反応により生成するSiCを直
接沈着させるCVD法(化学的気相蒸着法)と、基材の
炭素を反応源に利用してSiOガスと反応させることに
よりSiCに転化させるコンバージョン法が知られてい
る。ところが、前者のCVD法を適用して形成した炭化
珪素被覆層は、基材との界面が明確に分離している関係
で、熱衝撃を与えると相互の熱膨張差によって層間剥離
現象が起こり易い。このため、高温域での十分な耐酸化
性は望めない。これに対し、後者のコンバージョン法に
よる場合には基材の表層部が連続組織として炭化珪素層
を形成する傾斜機能材質となるため界面剥離を生じるこ
とはないが、大型材となると被覆層の均一形成が困難と
なり、耐酸化性能の低下や反り等の材料変形が起こり易
くなる。
【0004】このほかに、C/C基材の原料フィラー中
に予め炭化珪素の微粉末を混入しておき熱処理時に耐酸
化膜を形成する方法(特開平2−271963号公報) 、C/
C基材を炭化珪素被覆用の材料中に埋没させて加熱する
ことにより耐酸化膜を形成する方法(特開平1−179714
号公報) 等が提案されている。しかし、このうちの前者
の方法では緻密性の高い耐酸化被膜を形成することは困
難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これに対し、後者(特
開平1−179714号公報) の方法を用いると比較的大型材
に対しても均一な炭化珪素の被覆層を形成することがで
きる有利面がある。ところが、この方法によるとC/C
基材と炭化珪素被覆用の材料が直接に接触する関係で、
C/C基材そのものが反応用炭材として機能する現象が
起こり、材質に喰われを生じて複合特性を減退させる問
題を招く。
【0006】本発明の目的は、C/C基材を炭化珪素被
覆用の材料中に埋没して加熱する方法に改良を加え、喰
われ、反り等の材質欠陥を伴わずに大型材に対しても容
易かつ均一に炭化珪素被覆層を形成することができるC
/C材の耐酸化処理法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるC/C材の耐酸化処理法は、炭素繊維
強化炭素複合材の基材面を多孔炭素質物で被包した状態
で珪素源と炭材からなる組成の被覆材料粉末中に埋没
し、非酸化性雰囲気下で1800〜2000℃に加熱処理して基
材面に炭化珪素の被覆層を形成することを構成上の特徴
としている。
【0008】C/C基材を構成する炭素繊維には、ポリ
アクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系など各種原
料から製造された平織、朱子織、綾織などの織布を一次
元または多次元方向に配向した繊維体、フェルト、トウ
等が使用され、マトリックス樹脂としてはフェノール
系、フラン系など高炭化性の液状熱硬化性樹脂、タール
ピッチのような熱可塑性物質が用いられる。炭素繊維
は、含浸、塗布などの手段によりマトリックス樹脂で十
分に濡らしたのち半硬化してプリプレグを形成し、つい
で積層加圧成形する。成形体は加熱して樹脂成分を完全
に硬化し、引き続き常法に従って焼成炭化または更に黒
鉛化してC/C基材を得る。また、用途によってはマト
リックス樹脂の含浸、硬化、炭化の処理を反復したり、
CVD法を用いてメタン、プロパン等を原料とする熱分
解炭素を沈着させて組織の緻密化を図ることもできる。
なお、前記焼成炭化時の温度は炭化珪素膜を形成する際
の処理温度よりも高く設定しておくことが望ましい。
【0009】C/C基材を被包するための多孔炭素質物
は、通常のポーラス炭素材であってもよいが、包み込み
操作に都合のよい柔軟な繊維状を呈していることが好適
である。したがって、炭素繊維で形成れたフェルト、織
布などのが好ましく使用されるが、とくに珪素源と反応
しにくい黒鉛繊維フェルトの適用が効果的である。ま
た、多孔炭素質物は、気孔率10〜90%、気孔径10μm 以
下、厚さ5mm以下の性状を備えることが望ましい。気孔
率が10%未満であるとSiC化の反応が円滑に進まず、
逆に気孔率が90%を越え、気孔径が10μm を上廻るよう
になると被覆材料が組織の空孔を介してC/C基材に接
触するため喰われ現象が発生する。厚さは、5mmを越え
るようになると断熱作用によって加熱時にC/C基材の
表面温度を低下させ、反応の円滑な進行を妨げる結果を
招く。
【0010】炭化珪素被膜を形成するための被覆材料に
は、珪素源と炭材からなる組成の混合粉末が用いられ
る。珪素源としては、石英、珪石、珪砂等のSiO2
有物質を粒径10〜150 μm に粉砕したものが、また炭材
としては、粒径10〜100 μm のコークス、ピッチ、黒
鉛、カーボンブラック等の炭素質物質が用いられる。珪
素源と炭材との配合組成は、各材料粉末の表面積を考慮
して決定されるが、一般的にはSiO2 :Cの重量比率
が1:1〜4:1の範囲になるように配合される。配合
物はV型ブレンダーなどの混合装置で十分に混合し、黒
鉛のような高耐熱性材料で構成された反応容器に入れ
る。
【0011】耐酸化処理は、C/C基材面を多孔炭素質
物で被包した状態で反応容器内の被覆材料粉末中に埋没
し、ついで加熱炉に移して非酸化性雰囲気下1800〜2000
℃の温度に加熱する工程でおこなわれる。この処理工程
により、C/C基材に喰われや反り等の材質欠陥を伴う
ことなしに均一で緻密組織の炭化珪素被覆層が形成され
る。
【0012】
【作用】本発明による炭化珪素被覆層の形成は実質的に
コンバージョン法によるものであるため、被覆材料粉末
から生成するSiOガスをC/C基材に接触させて徐々
にその表面を炭化珪素層に転化させる機構に基づいてい
る。この反応機構をC/C基材と被覆材料粉末が接触し
た状態でおこなうと、材料粉末や分散性の影響で珪素源
とC/C基材が直接に界面反応(固−固反応)を起こす
事態が生じ、その結果C/C基材に虫食い状の喰われ現
象が発生する。一方、C/C基材を被覆材料粉末と離れ
た位置にセットして反応をおこなうと均一にガスが流れ
ず、反応が偏ってC/C基材に反りが発生するうえ、S
iOガスの接触度合によってC/C基材の面に被覆厚さ
の変動が起きる。
【0013】本発明の耐酸化処理法に従えば、C/C基
材面を黒鉛繊維フェルトのような多孔炭素質物で被包し
た状態で被覆材料粉末中に埋没されるから、被覆材料が
C/C基材に直接に接触することがない。このため、加
熱時、被覆材料粉末から発生したSiOガスは多孔炭素
質物の気孔を介して全周から侵入し、一旦フェルト内部
に溜まったのち、C/C基材面と均一に接触して気−固
反応を進行させる。したがって、C/C基材の喰われ現
象を起こすことなく、全面に均一で緻密な炭化珪素被覆
層が形成される。また、繊維径が小さい炭素繊維フェル
トを使用するため気相反応時のような固定治具を必要と
せずに全面被覆層の形成が可能となる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例 ポリアクリロニトリル系高強度高弾性タイプの平織炭素
繊維布〔東邦レーヨン(株)製、W6101 〕にフェノール
樹脂初期縮合物〔住友デュレズ(株)製、PRP40 〕をマ
トリックスとして体積含有率が60%になるように塗布
し、48時間風乾してプリプレグシートを作成した。この
プリプレグシートを20枚積層してモールドに入れ、20kg
/cm2の圧力を適用して加熱温度130 ℃で10時間、加熱温
度250 ℃で3時間の条件により加圧成形して複合化し
た。ついで、複合体を窒素ガス雰囲気に保持された焼成
炉に移し、20℃/hr の昇温速度で1000℃まで上昇して炭
化処理をおこなった。この材料にフルフリルアルコール
初期縮合物を真空・加圧含浸し、再び焼成炉に移して50
℃/hr の昇温速度で2000℃まで加熱して厚さ6mmの板状
C/C基材を作製した。
【0015】このC/C基材を、気孔率90%、気孔径10
μm 、厚さ5mmの黒鉛繊維フェルトで被包し、この状態
で珪砂粉末 (粒径40〜100 μm)と 200メッシュ篩目を通
過した炭材コークス粉末 (粒径74μm)を2:1の重量比
率で混合充填した黒鉛容器の被覆材料粉末中に埋没する
ように入れた。黒鉛容器を窒素ガス雰囲気に保持された
加熱炉に移し、1850℃に2時間加熱してC/C基材の表
面に炭化珪素被覆層を形成した。
【0016】処理後のC/C材について組織および外観
検査をおこなったところ、全表面に膜厚約 150μm の均
一な緻密な炭化珪素の被覆層が形成されており、C/C
材に材質の喰われや反り等の欠陥現象は全く確認されな
かった。また、被覆処理を施したC/C材を空気雰囲気
に保持された電気炉に入れ、1600℃に30分間保持して重
量変化を測定したところ、酸化による重量減少は認めら
れなかった。
【0017】比較例1 実施例で作製したC/C基材を黒鉛フェルトで被包せ
ず、直接に同一の被覆材料粉末中に埋没した。その他は
実施例と同一の条件でC/C基材面に炭化珪素被覆層を
形成した。形成された炭化珪素被覆層の膜厚は約 180μ
m であったが、表面に若干虫食い状の凹凸があり、反応
段階で喰われ現象が生じていることが認められた。
【0018】比較例2 実施例で作製したC/C基材を、被覆材料粉末の入った
黒鉛容器中に炭化珪素治具を用いて材料粉末から100mm
上面の位置にセットした。その他は実施例と同一の条件
でC/C基材面に炭化珪素被覆層を形成した。形成され
た炭化珪素被覆層の膜厚は、材料粉末に対面する下面が
約 150μm 、上面が30〜80μであり、C/C材の外面に
おわん状の反り変形がみられた。
【0019】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によればC/C基
材の寸法、形状に影響されずに、材質の喰われや反り等
の欠陥がなく、均一で緻密な炭化珪素被覆層を形成する
ことができるから、C/C材に対して良好な耐酸化性を
付与することが可能となる。したがって、高温酸化雰囲
気の過酷な条件に晒される構造部材用途に適用して安定
性能の確保、耐久寿命の延長化などの効果が発揮され
る。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維強化炭素複合材の基材面を多孔
    炭素質物で被包した状態で珪素源と炭材とからなる組成
    の被覆材料粉末中に埋没し、非酸化性雰囲気下で1800〜
    2000℃に加熱処理して基材面に炭化珪素の被覆層を形成
    することを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化
    処理法。
  2. 【請求項2】 多孔炭素質物として、気孔率10〜90%、
    気孔径10μm 以下、厚さ5mm以下の黒鉛繊維フェルトを
    用いる請求項1記載の炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化
    処理法。
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