JPH0920571A - 炭素繊維強化炭素複合材の製造方法 - Google Patents
炭素繊維強化炭素複合材の製造方法Info
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Abstract
複合組織のSi含有ガラス状カーボン材をマトリックス
相とする耐酸化性に優れた炭素繊維強化炭素複合材の製
造方法を提供する。 【構成】 炭化性熱硬化性樹脂と好ましくは1分子中に
単一のSi原子を有するSiアルコキシド(テトラエト
キシシラン)または該Siアルコキシドの加水分解物を
エタノール中で撹拌混合し、この混合液を炭素繊維基材
に被着させて複合成形したのち、得られたプリプレグ成
形体を非酸化性雰囲気下で800℃以上の温度により焼
成炭化処理する。このプロセスにより、マトリックス部
分を原子レベルのSiが0.1〜15重量%の範囲でガ
ラス状カーボン組織中に均一な連続相として分布する組
織性状のSi含有ガラス状カーボン材に転化する。
Description
ベルの連続相として含有するSi含有ガラス状カーボン
材をマトリックス相とした耐酸化性に優れる炭素繊維強
化炭素材(以下「C/C材」という)の製造方法に関す
る。
越した比強度、比弾性率を有するうえに炭素材特有の軽
量性と優れた耐熱性および化学的安定性を備えているた
め、航空・宇宙機用の構造材料をはじめホットプレス用
ダイス、高温炉用部材など高温苛酷な条件下で安定な使
用が要求される用途分野で有用されている。
技術としては、 (1)炭化性樹脂液からなるマトリックス
結合材を含浸等の手段で被着した炭素繊維の織布を積層
し、プレス等で所定形状に圧縮成形したのち、プリプレ
グ成形体を非酸化性雰囲気下で焼成炭化処理する方法、
(2)マトリックス結合材の樹脂液に漬した炭素繊維のト
ウをフィラメントワインディング法で所定形状に成形
し、このプリプレグ成形体を同様に焼成炭化処理する方
法、 (3)炭素繊維のプリフォーム組織中にCVD(化学
的気相蒸着法)を用いて炭素を沈着させる方法等が知ら
れているが、大型のC/C材を工業的に製造するために
は(1) の方法が最も実用性に優れている。
素材固有の材質的な欠点があり、大気中では500℃付
近から酸化されて材質特性が急激に減退するため、高温
大気中においては極く短時間内で使用される用途を除い
ては実用に供することが不可能である。このため、C/
C材の表面に例えばZrO2 、Al2 O3 、SiC、T
iC、B4 C、WC、TaC、Al3 C4 、Si
3 N4 、BNのような耐熱耐蝕性を有する各種のセラミ
ック系物質で被覆処理して耐酸化性を向上させる試みが
盛んに行われている。しかしながら、これら二次的に形
成される耐酸化性被膜層はC/C基材との材質が異なる
関係で、苛酷な熱履歴を伴う使用条件では往々にして材
質間の熱膨張差に基づく層間剥離現象が発生し、高温域
での十分な耐酸化性が損なわれる難点がある。このた
め、被覆条件を厳密に制御したり、SiO2 −B2 O3
のようなガラス質を含む複層被膜として形成する等の手
段が講じられている。
覆を形成する方法と共に、マトリックス中に耐酸化性の
充填材を分散させることにより酸化抵抗性を向上させる
方法も開発されている。例えば特公平6−47513号
公報には、炭素ファイバー基質が多くともマトリックス
の20重量%の無定形炭化ケイ素でドープしてある炭素
マトリックス中に埋め込まれ、その表面にホウ珪酸ガラ
スが充填された炭化ケイ素被覆が施されたC/C材が提
案されている。該複合組織はC/C材のマトリックス部
分がC/SiCで構成されており、この形成には例えば
テトラシランやクロロシラン等のSi−O結合をもつシ
ラン官能基をグラフトしたフェノール樹脂をマトリック
ス結合材として使用し、熱分解によりSiCが分散した
ガラス状炭素に転化させる方法が採られている。
SiCの複合組成とした上記のC/C材は、C成分単独
のマトリックス相に比べて明らかに酸化抵抗性が改善さ
れるから、得られたC/C材の表面に更にセラミックス
やガラス質の被覆層を形成することにより高度の耐酸化
性を付与することが可能になる。しかしながら、マトリ
ックス相の耐酸化性は充填する材料の分散度合に大きく
左右され、充填材料の分散が不連続になるような組織で
は優れた耐酸化性を期待することができなくなる。例え
ば複数のシラン結合を有するポリカルボシランやポリシ
ラン等のポリマーを熱硬化性樹脂と混合してマトリック
ス結合材とすると、セラミックス源が分子として分散す
る状態となるため焼成炭化後に微細な金属炭化物粒子と
なって粒界が生成することが避けられず、セラミックス
と炭素が均質な連続相を呈するガラス状カーボン組織の
マトリックス相を得ることができなくなる。
に耐酸化性を付与するための充填材および組織形成につ
いて鋭意研究を進めた結果、熱硬化性樹脂と1分子中に
Si単原子を含むSiアルコキシドを特定条件で混合し
て架橋反応させ、−O−Si−O−で架橋された熱硬化
性樹脂をマトリックス結合材とすると、焼成炭化後にS
iが原子レベルでガラス状カーボン組織中に均一な連続
相として分布する性状のSi含有ガラス状カーンボンに
転化することを見い出し、とくにSi含有量が0.1〜
15重量%の範囲にある場合に優れた組織性状とともに
改善された耐酸化性を示すことを確認して、本発明を完
成するに至った。
連続相として分布する均一緻密な複合組織のSi含有ガ
ラス状カーボン材をマトリックス相とする耐酸化性に優
れたC/C材の製造方法を提供することにある。
めの本発明によるC/C材の製造方法は、炭化性熱硬化
性樹脂とSiアルコキシドまたはSiアルコキシドの加
水分解物を有機溶媒中で撹拌混合し、該混合液を炭素繊
維基材に被着させて複合成形したのち、得られたプリプ
レグ成形体を非酸化性雰囲気下で800℃以上の温度域
で焼成炭化処理することによりマトリックス部分を原子
レベルのSiが0.1〜15重量%の範囲でガラス状カ
ーボン組織中に均一な連続相として分布する組織性状の
Si含有ガラス状カーボン材に転化させることを構成上
の特徴とする。
は、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系等
の各種原料から製造された平織、朱子織、綾織などの織
布、これを一次元または多次元方向に配向した繊維成形
体、フエルトまたはトウが挙げられ、必要に応じて濡れ
性を改善するための表面処理を施して使用に供される。
性熱硬化性樹脂は、焼成炭化処理によりガラス状カーボ
ンに転化する炭素源となるもので、樹脂の種類としては
例えばフェノール系樹脂、フラン系樹脂、ポリイミド系
樹脂、ポリカルボジイミド系樹脂、ポリアクリロニトリ
ル系樹脂、ピレン−フェナントレン系樹脂、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂、エポキシ系樹脂あるいはこれらの混合樹脂
等が挙げられる。特に樹脂を非酸化性雰囲気下で800
℃の温度により焼成したときに残留する残炭率が45重
量%以上のフェノール系樹脂、フラン系樹脂もしくはこ
れらの混合樹脂が好ましく使用される。
コキシドまたはSiアルコキシドの加水分解物を有機溶
媒中で撹拌混合してマトリックス結合材とする。Siア
ルコキシドとしては、1分子中に単一のSi原子を有す
る化合物が好ましく使用される。すなわち、一般式Si
(OR)n またはRn Si(OR)n (但し、Rはアル
キル基またはアリール基、nは1以上の整数を表す)で
示される1個のSi原子が加水分解性のアルコキシド基
に結合した化学組成であることが好適であり、2個以上
のSi原子が結合するポリシラン、ポリシロキサンある
いはポリシラザン等の化合物では原子レベルでSiが分
散する連続組織を得ることができない。
としては、例えばメトキシシラン、エトキシシラン、ブ
トキシシラン、プロポキシシラン、イソプロポキシシラ
ン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジブトキシ
シラン、ジプロポキシシラン、トリメトキシシラン、ト
リエトキシシラン、トリブトキシシラン、トリプロポキ
シシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、テトラブトキシシラン、テトラプロポキシシラン、
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラ
ン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−n−プ
ロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラ
ン、トリ−iso−ブチルメトキシシラン、トリシクロ
ヘキシルメトキシシラン、トリシクロヘキシルエトキシ
シラン、ビス(2−エチルヘキシル)ジメトキシシラ
ン、ビス(2−エチルヘキシル)ジエトキシシラン等を
挙げることができる。しかし、本発明の目的には反応性
の良好な低分子量のテトラメトキシシラン〔Si(OC
H3)4 〕やテトラエトシキシラン〔Si(OC2H5)4〕が好ま
しく、特に後者のテトラエトキシシランが好適に使用さ
れる。
化性樹脂とSiアルコキシドまたはSiアルコキシドの
加水分解物を有機溶媒中で撹拌混合し、架橋反応させて
調製される。炭化性熱硬化性樹脂およびSiアルコキシ
ドは、それぞれ混合前にアルコール系の有機溶媒に添加
し十分に撹拌したのち、さらに超音波分散処理を施して
から混合することが好ましく、この撹拌混合と超音波分
散処理を順次に施すことにより凝集している構成分子を
効果的に解体することができる。このため、その後の操
作段階におけるSiアルコキシド相互の反応および凝集
化が抑制され、安定した単分子の分散状態を保持するこ
とができる。
し50容量%以下の濃度になるように添加し、熱硬化性
樹脂液が無水系の場合には混合前に予めSiアルコキシ
ドに対して1〜2モルの範囲の水を加えて加水分解す
る。有機溶媒に対するSiアルコキシド濃度が50容量
%を越えると、局部的に偏った加水分解および脱水縮合
反応が起こり、炭化性熱硬化性樹脂を混合した際に部分
的な架橋反応を生じてSiO2 ゲルが偏在し、均一な分
散状態が得られ難くなる。また水の添加量が2モルを上
回ると、SiアルコキシドがSiO2 ゾルを形成し、最
終的にSi成分が微粒子となって分散するようになって
連続相を形成することができなくなる。
キシド溶液を撹拌しながら、炭化性熱硬化性樹脂液を徐
々に添加し、均一に混合する。炭化性熱硬化性樹脂が水
を含有する場合には混合時に加水分解する。炭化性熱硬
化性樹脂液の添加量は、最終的にガラス状カーボン組織
に占めるSiの含有量が0.1〜15重量%、好ましく
は5〜15重量%になる量比に調整する。この段階で
は、混合する溶液がアルカリ性であると急激に重縮合が
進行して球状ポリマーを形成するため、酸性域に保持す
る必要がある。このため、例えば蟻酸、酢酸、蓚酸、乳
酸、琥珀酸、マレイン酸、酒石酸などのようなアルコー
ルに可溶なカルボン酸類を水分除去した弱酸性で不純物
成分が残留しない有機酸性液を用い、溶液のpHを酸性
域になるように調整する。このpH調整はSiアルコキ
シド溶液、熱硬化性樹脂液あるいはこの両液について行
うことができる。
脂液を混合すると、熱硬化性樹脂中のC−OH基と加水
分解されたSiアルコキシドのシラノール基(Si-OH) 間
で架橋反応が起こり、次第にゲル化する。この架橋反応
は、シラノール間の脱水縮合反応に比べて極めて速いた
め、炭化性熱硬化性樹脂を−O−Si−O−で架橋した
状態の混合液が得られる。該炭化性熱硬化性樹脂液とS
iアルコキシドの混合液は容易にゲル化するため、ゲル
化が進行する前の溶液状態で炭素繊維基材に被着して複
合成形する。
溶液との混合液を炭素繊維基材に被着する方法として
は、含浸あるいは塗布など常用の手段で行うことができ
る。このようにしてマトリックス結合材を被着した炭素
繊維基材は半硬化してプリプレグを形成し、ついで積層
加圧成形して複合成形体を作製する。この複合成形段階
においては、炭素繊維量が一次焼成体とした場合の繊維
体積含有率(Vf)として50〜65%になるように予め設
定することが強度確保の面から望ましい。
雰囲気に保持された炭化炉中で焼成炭化処理される。炭
化炉としては、コークス粉のような炭素質パッキング材
で被包しながら焼成炭化する形式のリードハンマー炉、
系内を窒素、アルゴン等の不活性ガスで保持された電気
炉等が用いられる。炭化処理温度は、800℃以上に設
定する必要があり、800℃未満であるとマトリックス
結合材の炭化が不完全となる。
応じて炭素繊維基材に対するマトリックス結合材の被着
操作および焼成炭化処理を複数回反復して、マトリック
ス部分を原子レベルのSiが0.1〜15重量%の範囲
でガラス状カーボン組織中に均一な連続相として分布す
る組織性状のSi含有ガラス状カーボン材に転化させ
る。マトリックス相を構成するガラス状カーボン組織中
のSi含有率が0.1重量%未満では耐酸化性が効果的
に向上せず、15重量%を越えると組織中のSiが粒状
化して粒界が生じるようになり、原子レベルの連続相が
崩れて微細粒子の脱離や機械的強度等の低下を招くよう
になる。より好ましいSi含有量は5〜15重量%であ
り、この範囲で機械的強度など他の特性を損ねずに耐酸
化性を効果的に向上させることが可能となる。
れ自体が優れた耐酸化性を保有するが、更に表面にSi
C被覆層または/およびB2 O3 −SiO2 被覆層を形
成して一層の耐酸化性を付与することができる。この場
合のSiC被覆層の形成は、例えばC/C複合基材の表
層部に傾斜機能組織を呈して形成されるコンバージョン
法、あるいはトリクロロメチルシランと水素ガスを混合
した原料系を加熱されたC/C材にCVD法やパルスC
VI法を用いて反復的に接触させる方法で行うことがで
き、また、B2 O3 −SiO2 被覆層の形成はSiアル
コキシドの加水分解物を被着したのち、Bアルキシド溶
液で含浸処理し加水分解してから加熱処理する方法を採
ることができる。
結合材として炭化性熱硬化性樹脂と好ましくは1分子中
に単一のSi原子を有するSiアルコキシドを架橋反応
させた混合液を選択使用し、焼成炭化後に原子レベルの
Siがガラス状カーボン組織中に0.1〜15重量%の
特定範囲で均一な連続相として分布するマトリックス相
を形成するところに主要な特徴がある。原子レベルのS
iがガラス状カーボン組織中に均一な連続相として分布
してなる組織性状とは、実質的にSiとCとの粒界が存
在せず、透過型電子顕微鏡(TEM) の観察によってSi成
分が識別できない連続相として均質に分布している組織
状態を意味する。
i−O−が炭化性熱硬化性樹脂のメチロール基に結合し
て架橋生成する凝集粒子を全く含まない極めて均質な混
合液をマトリックス結合材とすることにより得ることが
でき、SiやSiC成分が微粒子状態で分散する組織と
は異なるアロイ状の連続固溶相を呈している。すなわ
ち、巨視的にはガラス状カーボン単独の組織構造と実質
的に相違が認められず、微視的にはガラス状カーボン組
織の一部のCがSiで置換された特有の複合形態となっ
ており、この特有の組織性状により、Si含有量が0.
1〜15重量%範囲の比較的少ない量比(C/Si原子
比=約13〜2333)でありながら、強度特性を損ね
ずに耐酸化性を効果的に向上させることが可能となる。
マトリックス相で複合化されたC/C材が製造される
が、更にその表面にSiCやガラス質の被覆層を形成す
ることにより一層耐酸化性を向上させることができる。
対比しながら詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら
実施例に限定されるものではない。
〔Si(OC2H5)4〕を濃度が50容量%になるように無水の
エタノールに溶解し、スターラーで30分間撹拌したの
ち超音波振動装置により2時間分散処理を施した。この
溶液にテトラエトキシシランに対して0.03モル相当
量の無水化した酢酸と1モル相当量の水を滴下し、スタ
ーラーで1時間撹拌混合してテトラエトキシシランを加
水分解させた。ついで、加水分解後のテトラエトキシシ
ランを撹拌しながら、予め無水のエタノールに溶解しス
ターラーで30分間撹拌したのち超音波振動装置により
2時間分散処理を施したフェノール樹脂液を徐々に添加
し、引き続きスターラーで1時間撹拌して均一になるま
で混合してSi含有量の異なるマトリックス結合材を調
製した。
ル系高強度高弾性率タイプの平織炭素繊維布の表面に、
上記のマトリックス結合材を均一に塗布して十分に含浸
させ、48時間風乾してプリプレグシートを形成した。
このプリプレグシートを16枚積層してモールドに入
れ、温度110℃、加圧力20kg/cm2の条件により複合
成形した。該複合成形体を250℃の温度に加熱して完
全に硬化したのち、窒素雰囲気に保持された電気炉に移
し、5℃/hr の昇温速度で1000℃に加熱し、この温
度に5時間保持して焼成炭化処理を施した。引き続き、
同様のマトリックス結合材の塗布含浸および焼成炭化の
操作を3回反復し、最終的に2000℃の温度で焼成炭
化した。
を大気に保持された電気炉中に入れ、750℃および9
50℃の温度に40分間処理したのち自然冷却した。こ
の処理前後の重量減少率を酸化消耗として耐酸化性を評
価し、同時に処理後のC/C材の組織状態を観察した。
その結果をマトリックス相を構成するガラス状カーボン
組織中のSi含有量と対比させて表1に示した。
有量0.1〜15重量%、特に5〜15重量%範囲のS
i含有ガラス状カーボンで構成されている場合に耐酸化
性が効果的に向上していることが確認された。しかし、
Si含有量が17重量%の比較例3では耐酸化性は良好
なものの、材質強度が低下して微小亀裂の発生が認めら
れた。なお、実施例で得られたC/C材のマトリックス
相をTEMで観察したところ、いずれも均一緻密な連続
相を呈しており、SiやSiCの粒状物は確認されなか
った。
りSiCの第1被覆層およびB2 O3 −SiO2 からな
るガラス質の第2被覆層を形成した。
i粉末をモル比2:1の配合比率になるように混合し、
該混合粉末を黒鉛ルツボに入れ、その上部に実施例1で
製造したC/C材をセットして黒鉛蓋を被せた。この黒
鉛ルツボを電気炉に移し、内部をアルゴンガス雰囲気に
保持しながら50℃/hr の昇温速度で1900℃まで上
昇し、2時間保持してコンバージョン法によりC/C材
の表面部に傾斜機能組織を備える多結晶質のSiC被膜
を形成した。形成されたSiC被膜の厚さは約150μ
m であったが、その表面には幅10μm 程度の微小なク
ラックが所々に発生していることが認められた。
ラン〔Si(OC2H5)4〕とエタノールをモル比2:1となる
量比で配合し、70℃の温度で還流撹拌を行った混合溶
液に、前記テトラエトキシシラン1モルに対し25モル
量の水と0.2モル量のNH4 OHの混合水溶液を滴下
し、pHを12に調整した。引き続き、撹拌を継続して
約0.2μm の球状SiO2 微粒子が均一に分散するサ
スペンジョンを得た。該サスペンジョンに第1被覆層を
形成したC/C材を浸漬し、15分間減圧含浸を行っ
た。ついで、風乾後、前記サスペンジョンを塗布・風乾
する操作を3回反復し、100℃の温度で乾燥してSi
O2 からなる被覆層を形成した。次に、このC/C材を
B(OC4H9)3 溶液中に投入して15分間減圧含浸を
施し、一昼夜風乾して空気中の水分により加水分解した
のち100℃で乾燥し、更に500℃の温度で15分間
加熱処理を行ってB2 O3 ガラス層に転化した。
タノールをモル比1:4.5になる量比で配合し、室温
で還流撹拌を行った混合溶液に、前記テトラエトキシシ
ラン1モルに対し2.5モル量の水と0.03モル量の
HClの混合水溶液を滴下してpHを3に調整したSi
O2 前駆体溶液に、上記のC/C材を投入し1時間減圧
含浸を行い乾燥した。処理後のC/C材を再度B(OC
4 H9)3 溶液中に投入して15分間減圧含浸を施し、一
昼夜風乾して空気中の水分により加水分解したのち10
0℃で乾燥し、最終的にアルゴン雰囲気下に800℃の
温度で60分間加熱処理してB2 O3 −SiO2 からな
るガラス質の第2被覆層を形成した。
材につき、大気雰囲気の電気炉中で1700℃の温度に
30分間保持したのち自然冷却する熱冷サイクルを10
回反復し、処理後の重量減少率を測定して耐酸化性を評
価した結果を表2に示した。
300μm と2倍の厚さに形成し、その他は実施例6と
同一条件により複層被膜を形成した。このC/C材につ
き、実施例6と同様の耐酸化性試験を行った結果を表2
に併載した。
被覆層(膜厚150 μm)を形成したC/C材に、次の条件
により第2被覆層としてパルスCVI法によるSiC被
膜を形成した。第1被覆層を形成したC/C材をパルス
CVI装置の反応管内に設置し、管内をアルゴンガスで
十分置換したのち、高周波誘導加熱によりC/C材の温
度を1100℃に上昇した。ついで、真空ポンプで反応
管内を2秒で2Torr以下に減圧し、直ちにトリクロロシ
ラン(CH3SiCl3)と水素の混合ガス(モル比1:20) を1
秒間で720Torrになるように導入し1秒間保持した。
この管内減圧、反応ガス導入および保持操作を1000
パルス繰り返し、C/C材の表面に微細多結晶質のSi
C被膜(膜厚150 μm)を形成した。ついで、実施例6の
第2被覆層の形成と同一条件によりB2 O3 −SiO2
からなるガラス質の最外層を形成した。
によるマトリックス結合材を用いてC/C材を製造し、
ついでこのC/C材の表面に実施例6と同一条件で複層
被膜を形成した。このC/C材につき、実施例6と同様
の耐酸化性試験を行った結果を表2に併載した。
300μm に形成し、その他は実施例6と同一条件によ
り複層被膜を形成した。このC/C材につき、実施例6
と同様の耐酸化性試験を行った結果を表2に併載した。
によるマトリックス結合材を用いてC/C材を製造し、
ついでこのC/C材の表面に実施例6と同一条件で複層
被膜を形成した。このC/C材につき、実施例6と同様
の耐酸化性試験を行った結果を表2に併載した。
材の表面にSiCやガラス質の被覆層を形成することに
より一層耐酸化性が向上することが認められる。
を連続相として含有する均質緻密なSi含有ガラス状カ
ーボン組織からなるマトリックス相が形成されるから、
材質特性を高水準に保持しながら耐酸化性に優れるC/
C材を製造することが可能となる。また、得られたC/
C材の表面にSiCまたは/およびB2 O3 −SiO2
などの被覆層を形成することにより一層耐酸化性の向上
を図ることができる。したがって、高温酸化雰囲気に曝
される苛酷な条件で用いられる用途に対しても十分に安
定使用することができるC/C材を工業生産するための
製造技術として極めて有用である。
Claims (3)
- 【請求項1】 炭化性熱硬化性樹脂とSiアルコキシド
またはSiアルコキシドの加水分解物を有機溶媒中で撹
拌混合し、該混合液を炭素繊維基材に被着させて複合成
形したのち、得られたプリプレグ成形体を非酸化性雰囲
気下で800℃以上の温度域で焼成炭化処理することに
よりマトリックス部分を原子レベルのSiが0.1〜1
5重量%の範囲でガラス状カーボン組織中に均一な連続
相として分布する組織性状のSi含有ガラス状カーボン
材に転化させることを特徴とする炭素繊維強化炭素複合
材の製造方法。 - 【請求項2】 Siアルコキシドが、1分子中に単一の
Si原子を有する化合物であり、特にテトラエトキシシ
ラン〔Si(OC2H5)4〕である請求項1記載の炭素繊維強化
炭素材の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1で得られた炭素繊維強化炭素複
合材の表面に、SiC被覆層または/およびB2 O3 −
SiO2 被覆層を形成する炭素繊維強化炭素複合材の製
造方法。
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---|---|---|---|
JP19414895A JP3682094B2 (ja) | 1995-07-06 | 1995-07-06 | 炭素繊維強化炭素複合材の製造方法 |
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JP19414895A JP3682094B2 (ja) | 1995-07-06 | 1995-07-06 | 炭素繊維強化炭素複合材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0920571A true JPH0920571A (ja) | 1997-01-21 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113044378A (zh) * | 2021-03-17 | 2021-06-29 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 熔盐储存容器的制备方法及熔盐储存容器 |
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