JPH11106949A - 金属箔の接着性増強 - Google Patents

金属箔の接着性増強

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JPH11106949A
JPH11106949A JP10222164A JP22216498A JPH11106949A JP H11106949 A JPH11106949 A JP H11106949A JP 10222164 A JP10222164 A JP 10222164A JP 22216498 A JP22216498 A JP 22216498A JP H11106949 A JPH11106949 A JP H11106949A
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foil
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い剥離強度を示す金属箔を提供すること、
および積層体中に組み入れられた場合に跡写りがわずか
であるか、あるいは跡写りしない金属箔を提供するこ
と。 【解決手段】 金属箔の処理方法であって、該金属箔
を、金属箔酸化剤および約5g/l未満の水酸化物化合
物、または水および少なくとも約7ppmの溶存酸素のい
ずれかを含む第1の溶液に接触させる工程;該金属箔
を、クロム含有電解浴に接触させ、そして該電解浴を電
気分解する工程であって、ここで該浴が約0.1〜約5
g/lのクロム化合物を含む、工程;および該金属箔を約
0.1〜約10%(v/v)のシラン化合物を含む第2の溶
液に接触させる工程を順次包含し、ただし、該金属箔が
該第1の溶液との接触後、還元剤と接触しない、方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属箔のポリマー
基材に対する接着性を増大するための金属箔の処理方法
を関する。詳細には、本発明は、金属箔を金属箔酸化性
溶液と接触させ、これを、クロム化合物を含む浴中で電
気分解し、次いでこれをシラン溶液と接触させる工程を
含む金属箔の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属箔、たとえば銅箔はしばしば誘電体
基材に積層される。得られた積層体は数多くの加工技術
に供されると同時に、必然的に摩耗および引き裂き(tea
r)にさらされる。これに関して、高い剥離強度を有する
積層体を提供することが望ましい。高い剥離強度によ
り、積層体は加工(化学物質および種々のエッチング剤
(例えば塩酸)への暴露)の間、および通常の摩耗および
引き裂きの過程(熱分解、物理的振動など)にわたっ
て、その構造保全(structural integrity)を維持するこ
とが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金属箔は典型的には表
面粗さが増大するように処理され、その結果、得られる
積層体の剥離強度が増大する。しかし、増大した高レベ
ルな表面粗さを有する金属箔は「跡写り(treatment tra
nsfer)」する。跡写りは金属箔から誘電体基材への金属
物質の所望されない移動である。跡写りは剥離強度およ
び誘電体基材の絶縁特性を低下させる。跡写りはまた金
属箔をエッチングした後、見苦しい黄色の汚れをもたら
す。従って、積層体中に組み入れられた場合に高い剥離
強度を示すのみならず、誘電体基材の絶縁特性に影響を
与えない金属箔を提供することが望ましい。
【0004】金属箔が表面粗さを増大するように処理さ
れる場合、典型的には電気分解法が利用される。例え
ば、銅または亜鉛の結節状層または樹状層は、金属箔上
に電着され、表面粗さを増大する。この方法は、銅また
は亜鉛の結節状層の付与に莫大な電気が必要であるた
め、時間がかかるだけでなく、高価である。従って、金
属箔処理の効率および対費用効果の増大が望まれる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、金属箔
の処理方法であって、該金属箔を、金属箔酸化剤および
約5g/l未満の水酸化物化合物、または水および少なく
とも約7ppmの溶存酸素のいずれかを含む第1の溶液に
接触させる工程;該金属箔を、クロム含有電解浴に接触
させ、そして該電解浴を電気分解する工程であって、こ
こで該浴が約0.1〜約5g/lのクロム化合物を含む、
工程;および該金属箔を約0.1〜約10%(v/v)のシ
ラン化合物を含む第2の溶液に接触させる工程を順次包
含し、ただし、該金属箔が該第1の溶液との接触後、還
元剤と接触しない。
【0006】一つの実施態様において、前記金属箔酸化
剤は、亜塩素酸塩化合物、次亜塩素酸塩化合物、および
過硫酸塩化合物のうち少なくとも1つから選択される。
【0007】一つの実施態様において、前記水酸化物化
合物はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化
物、あるいは水酸化アンモニウムを含む。
【0008】一つの実施態様において、前記第1の溶液
は約3g/l未満の水酸化物化合物を含む。
【0009】一つの実施態様において、前記金属箔を酸
性溶液に接触させる工程および必要であれば前記第1の
溶液に接触させる前に該金属箔をリンスする工程をさら
に含む。
【0010】一つの実施態様において、前記酸性溶液
は、塩酸、硫酸、硝酸、およびリン酸のうち少なくとも
1種類を含む。
【0011】一つの実施態様において、前記クロム化合
物は酸化クロムである。
【0012】一つの実施態様において、前記金属箔酸化
剤のg/lと前記水酸化物化合物のg/lとの比は少なくとも
約20:1である。
【0013】一つの実施態様において、さらに前記金属
箔は亜鉛を含む金属層がないことによって特徴付けられ
る。
【0014】本発明の方法は、銅箔と誘電体基材との間
の接着を増強する方法であって、該銅箔を、20〜約1
80g/lのアルカリ金属亜塩素酸塩または次亜塩素酸塩
および約5g/l未満のアルカリ金属水酸化物を含む第1
の溶液に接触させる工程;該金属箔を、クロム含有電解
浴に接触させ、そして該電解浴を電気分解する工程であ
って、ここで該浴が約1〜約3g/lのクロム化合物を含
む、工程;および該銅箔を、約0.1〜約5%(v/v)の
シラン化合物を含む第2の溶液に接触させる工程を順次
包含し、ただし、該銅箔が該第1の溶液との接触後、還
元剤と接触しない。
【0015】一つの実施態様において、前記第1の溶液
は約50〜約160g/lの前記アルカリ金属亜塩素酸塩
または次亜塩素酸塩を含む。
【0016】一つの実施態様において、前記第1の溶液
は約3g/l未満の水酸化ナトリウムを含む。
【0017】一つの実施態様において、前記第1の溶液
は約3g/l未満のアルカリ金属水酸化物を含む。
【0018】一つの実施態様において、前記銅箔を酸性
溶液に接触させる工程および必要であれば前記第1の溶
液に接触させる前に該銅箔をリンスする工程をさらに含
む。
【0019】一つの実施態様において、前記銅箔を前記
第1の溶液に接触させた後、該銅箔をリンスする工程を
さらに含む。
【0020】一つの実施態様において、前記アルカリ金
属亜塩素酸塩または次亜塩素酸塩のg/lと前記アルカリ
金属水酸化物のg/lとの比は少なくとも約50:1であ
る。
【0021】一つの実施態様において、前記クロム化合
物は酸化クロムである。
【0022】本発明の方法は、銅箔と誘電体基材との間
の接着を増強する方法であって、該銅箔を、水および約
8ppm〜約20ppmの溶存酸素を含む金属箔酸化剤溶液に
接触させ、それにより該銅箔に酸化物層を形成する工
程;該金属箔を、クロム含有電解浴に接触させ、そして
該電解浴を電気分解し、それにより酸化物層上にクロム
含有層を形成する工程であって、ここで該浴が約1〜約
3g/lのクロム化合物を含む、工程;および該銅箔を、
約0.1〜約5%(v/v)のシラン化合物を含むシラン溶
液に接触させ、それによりクロム含有層上にシラン含有
層を形成する工程を順次包含する。
【0023】一つの実施態様において、前記酸化物層は
約1〜約25の厚みを有する。
【0024】一つの実施態様において、前記金属箔酸化
剤溶液は約15℃〜約30℃の温度であり、かつ前記金
属箔は約2〜約50秒間該金属箔酸化剤溶液に接触す
る。
【0025】一つの実施態様において、前記酸化物層は
約15未満の厚みを有する。
【0026】一つの実施態様において、前記クロム化合
物は酸化クロムである。
【0027】1つの実施態様において、本発明は金属箔
の処理方法に関し、この方法は金属箔を、金属箔酸化剤
および約5g/l未満の水酸化物化合物、または水および
少なくとも約7ppmの溶存酸素のいずれかを含む第1の
溶液に接触させる工程、金属箔をクロム含有電解浴に接
触させ、そしてこの電解浴を電気分解する工程(ここで
この浴が約0.1〜約5g/lのクロム化合物を含む)、お
よびこの金属箔を、約0.1〜約10%(v/v)のシラン
化合物を含む第2の溶液に接触させる工程を順次包含す
る。ただし、この金属箔は第1の溶液との接触後、還元
剤と接触しない。
【0028】1つの実施態様において、本発明は金属箔
の処理方法に関し、この方法は、金属箔を金属箔酸化剤
および約5g/l未満の水酸化物化合物、または水および
少なくとも約7ppmの溶存酸素のいずれかを含む第1の
溶液に接触させる工程;金属箔をクロム含有電解浴中と
接触させ、そしてこの電解浴を電気分解する工程であっ
て、ここでこの浴が約0.1〜約5g/lのクロム化合物
を含む、工程;およびこの金属箔を約0.1〜約10%
(v/v)のシラン化合物を含む第2の溶液に接触させる工
程を順次包含するが、ただし、この金属箔は第1の溶液
との接触後、還元剤と接触しない。
【0029】他の実施態様において、本発明は金属箔の
処理方法に関し、この方法は金属箔を金属箔酸化剤およ
び約5g/l未満の水酸化物化合物を含む第1の溶液に接
触させる工程;この金属箔を、クロム含有電解浴に接触
させ、そしてこの電解浴を電気分解する工程であって、
ここでこの浴が約0.1〜約5g/lのクロム化合物を含
む、工程;およびこの金属箔を約0.1〜約10%(v/
v)のシラン化合物を含む第2の溶液に接触させる工程を
順次包含するが、ただし、この金属箔は第1の溶液との
接触後、還元剤と接触しない。
【0030】他の実施態様において、本発明は金属箔の
処理方法に関し、この方法は金属箔を、約20〜約18
0g/lのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の亜塩素
酸塩または次亜塩素酸塩および約3g/l未満のアルカリ
金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を含む第1の溶
液に浸漬させる工程、必要であれば、この金属箔をリン
スする工程、金属箔をクロム含有電解浴に接触させ、そ
して該電解浴を電気分解する工程(ここで浴は、約1〜
約3g/lのクロム化合物を含む)、およびこの金属箔を約
0.1〜約5%(v/v)のシラン化合物を含む第2の溶液
に接触させる工程を順次包含するが、ただし、金属箔は
第1の溶液と浸漬した後、還元剤と接触しない。
【0031】さらに他の実施態様において、本発明は銅
箔と誘電体基材との間の接着を増強する方法に関し、こ
の方法は、銅箔を20〜約180g/lのアルカリ金属亜
塩素酸塩または次亜塩素酸塩および5g/l未満のアルカ
リ金属水酸化物を含む第1の溶液に接触させる工程、こ
の金属箔を、クロム含有電解浴に接触させ、そしてこの
電解浴を電気分解する工程(ここで浴が約1〜約3g/lの
クロム化合物を含む)、およびこの銅箔を約0.1〜約
5%(v/v)のシラン化合物を含む第2の溶液に接触させ
る工程を順次包含するが、ただし、この銅箔は第1の溶
液との接触後、還元剤と接触しない。
【0032】他の実施態様において、本発明は金属箔を
処理する方法に関し、この方法は、金属箔を、水および
少なくとも約7ppmの溶存酸素を含む金属箔酸化剤溶液
に接触させる工程、金属箔をクロム含有電解浴に接触さ
せ、そしてこの電解浴を電気分解する工程(ここで浴は
約0.1〜約5g/lのクロム化合物を含む)、およびこの
金属箔を、約0.1〜約10%(v/v)のシラン化合物を
含むシラン溶液に接触させる工程を順次包含する。
【0033】他の実施態様において、本発明は金属箔を
処理する方法に関し、この方法は、金属箔を、脱イオン
水および約7.5ppmの溶存酸素を含む金属箔酸化剤溶
液に浸漬させる工程、必要であれば、この金属箔をリン
スする工程、金属箔をクロム含有電解浴に接触させる工
程、そしてこの電解浴を電気分解する工程(ここで浴
は、約1〜約3g/lのクロム化合物を含む)、およびこの
銅箔を、約0.1〜約5%(v/v)のシラン化合物を含む
シラン溶液に浸漬させる工程を順次包含する。
【0034】さらに他の実施態様において、本発明は銅
箔と誘電体基材との間の接着を増強する方法に関し、こ
の方法は、銅箔を、水および約8ppm〜約20ppmの溶存
酸素を含む金属箔酸化剤溶液に接触させ、それによりこ
の銅箔に酸化物層を形成する工程、この金属箔を、クロ
ム含有電解浴に接触させ、そして電解浴を電気分解し、
それにより酸化物層上にクロム含有層を形成する工程
(ここで該浴は約1〜約3g/lのクロム化合物を含む)、
およびこの銅箔を、約0.1〜約5%(v/v)のシラン化
合物を含むシラン溶液に接触させ、それによりクロム含
有層上にシラン含有層を形成する工程を順次包含する
が、ただし、この銅箔が第1の溶液との接触後、還元剤
と接触しない。
【0035】本発明によれば、部分的に、加工中に構造
保全を保持する能力のために、高い剥離強度を示す金属
箔を提供することが可能である。本発明はまた、積層体
中に組み入れられた場合に跡写りがわずかであるか、あ
るいは跡写りしない金属箔を提供する。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明で使用される金属箔は好ま
しくは電気伝導性であり、銅箔および銅をベースとした
合金が特に好ましい。他の例としては、アルミニウム、
ニッケル、錫、銀、金およびそれらの合金が挙げられ
る。金属箔は2つの技術のうちの1つを用いて作製され
る。鍛錬した(wrought)金属または圧延金属の箔は、銅
または銅合金のストリップまたはインゴットの厚みを、
圧延のようなプロセスによって機械的に薄くすることに
よって製造される。電着箔は、銅イオンのような金属イ
オンを、回転するカソードドラム上に電気的に析出さ
せ、そして次にその析出したストリップをカソードから
剥がすことによって製造される。電着銅箔が特に好まし
い。
【0037】金属箔は典型的には見かけの厚みが約0.
0002インチから約0.02インチの範囲である。金
属箔の厚みは時には重量で表され、そして典型的には本
発明の箔は約1/8〜約14oz/ft2の範囲の重量および
厚みを有する。特に有用な金属箔は1/2、1または2
oz/ft2の重量を有する金属箔であり、そして特に1/
2、1または2oz/ft2の重量を有する銅箔である。
【0038】電着金属箔は、滑らかな、あるいは光沢の
ある(ドラム)側面と、粗いまたはつや消しの(金属の
析出成長端)側面を有する。本発明に従って処理され得
る金属箔(電着または鍛錬)の片側または両側は、粗い
またはつや消しの側面、光沢側面、または両方の側面で
あり得る。これらの側面は、「標準プロフィール表
面」、「低プロフィール表面」または「極低プロフィー
ル表面」であり得る。特に好ましい実施態様は、つや消
しの面および標準プロフィール表面を有する箔の使用を
伴う。用語「標準プロフィール表面」は、本明細書にお
いて、約7ミクロンから約12ミクロンのRtmを有する
箔表面を意味する。用語「低プロフィール表面」は、約
7ミクロン以下のRtmを有する箔表面を意味する。用語
「極低プロフィール表面」は、約4ミクロン以下のRtm
を有する箔表面を意味する。Rtmは5つの連続的なサン
プリングの測定の各々からの極大ピーク−谷垂直測定(p
eak-to-valley vertical measurement)の平均であり、
そしてRank Taylor Hobson, Ltd., Leicester, England
から市販の、Surtronic 3プロフィールメータを用いて
測定され得る。
【0039】1つの実施態様において、本発明の金属箔
は、亜鉛を含む付加金属層が存在しないことで特徴づけ
られ得る。これは亜鉛を含む層および亜鉛を含む合金層
を包含する。いくつかの例において、亜鉛は金属箔酸化
剤に有害な影響を与え、劣った特性しか有さない処理金
属箔を生じる。
【0040】1つの実施態様において、本発明の金属箔
は、本発明の方法が実施される片側または両側のベース
表面上にいかなる付加粗面処理をも施さないことで特徴
づけられ得る。箔の側面の「ベース表面」との用語は、
以下で説明するタイプの箔特性の改良または増強、およ
び/または表面粗さの増大のための、引き続くいかなる
処理にも供されていない、未加工の箔表面を意味する。
用語「付加粗面処理(added surface roughening)」は、
箔の表面の粗さを増大させる目的で箔のベース表面上で
行われる、本発明の方法によらない任意の処理を意味す
る。1つの実施態様において、付加粗面処理はRtmを3
ミクロン以上増加させ、そして他の実施態様において、
付加粗面処理はRtmを10ミクロン以上増加させる。
【0041】1つの実施態様において、表面粗さを追加
する銅処理のような金属処理は本発明の方法から除外さ
れる。金属処理は、箔のベース表面上で、結節状(nodu
lar)または樹状形態で電気分解的に析出する銅または亜
鉛、および結節状または樹状形態で成長する酸化銅を含
む。そのベース表面のつや消し側上に天然の比較的粗い
層(鋸歯形状)を有する金属箔は、本発明の範囲から除
外されない。
【0042】1つの実施態様において、標準プロフィー
ル表面の粗さを越えて粗さを増大させる、圧延の間ある
いは引き続く研磨によって鍛錬金属箔に与えられる機械
的粗さは、付加粗面処理と見なされ、従ってこれは本発
明によれば除外される。1つの実施態様において、標準
プロフィール表面の粗さを越えて粗さを増大させる、電
着の間に電着金属箔に与えられる粗さは、付加粗面処理
と見なされる。1つの実施態様において、標準プロフィ
ール表面の粗さを越えてその箔の粗さを増大させる、金
属箔のベース表面に与えられる任意の粗さは、付加粗面
処理と見なされる。1つの実施態様において、低プロフ
ィール表面の粗さを越えてその箔の粗さを増大させる、
金属箔のベース表面に与えられる任意の粗さは、付加粗
面処理と見なされる。1つの実施態様において、極低プ
ロフィール表面の粗さを越えてその箔の粗さを増大させ
る、金属箔のベース表面に与えられる任意の粗さは、付
加粗面処理と見なされる。
【0043】1つの実施態様において、金属箔の片側ま
たは両側のベース表面は、本発明の方法に供される前に
は未処理である。用語「未処理」は、本明細書におい
て、箔特性の改良または増強、および/または表面粗さ
の増大を目的とする引き続く処理を受けていない、金属
箔のベース表面を意味する。1つの実施態様において、
未処理の箔は、そのベース表面に接着した天然の非樹状
または非結節状の酸化銅または他の金属あるいは合金の
層を有する。この天然の非樹状層は付加金属処理ではな
い。
【0044】1つの実施態様において、箔の片側または
両側のベース表面は、本発明の方法に供される前に、箔
特性の改良または増強を目的として(しかし表面粗さの
付加のためでなく)、1つまたはそれ以上の表面処理層
で処理される。本発明の方法に供されない箔のいずれの
側面も、任意に、その面に付加されたそのような1つま
たはそれ以上の処理層を有し得る。これらの表面処理は
当該分野で公知である。
【0045】たとえば、表面処理は、本発明の方法を実
施する前に、表面粗さを増大させない金属層を施工する
ことを包含し、ここでこの金属は、インジウム、錫、ニ
ッケル、コバルト、銅−錫合金、およびそれらの2つ以
上の混合物である。このタイプの金属層は時としてバリ
ア層と呼ばれる。これらの金属層は、好ましくは約0.
01〜約1ミクロン、より好ましくは約0.05〜約
0.1ミクロンの範囲の厚みを有する。
【0046】表面処理はまた、本発明の方法を実施する
前に、表目粗さを増大させない金属層を施工することを
包含し、ここでこの金属は、錫、ニッケル、モリブデ
ン、アルミニウム、またはこれらの2つ以上の混合物で
ある。このタイプの金属層は時として、安定化層と呼ば
れる。これらの安定化層は、箔のベース表面に施工され
得、あるいはこれらはバリア層の施工の前に施工され得
る。これらの安定化層は、好ましくは約0.005〜約
0.05ミクロン、より好ましくは約0.01〜約0.
02ミクロンの範囲の厚みを有する。
【0047】1つの実施態様において、箔の片側または
両側が、まず少なくとも1つのバリア層で処理される。
他の実施態様において、箔の片側または両側が、まず少
なくとも1つの安定化層で処理される。さらに他の実施
態様において、本発明の方法の実施の前に、箔の片側ま
たは両側が、まず少なくとも1つのバリア層で処理さ
れ、次に処理された層のうち少なくとも1つが少なくと
も1つの安定化層で処理される。
【0048】本発明による金属箔は、単層の金属箔、た
とえば銅箔、アルミニウム箔またはニッケル箔、あるい
は合金の箔であり得る。本発明による金属箔は、金属ま
たは合金の複数の層を含む箔であり得、たとえば銅およ
び真鍮の層から構成される箔である。いずれの所与の金
属箔においても金属層の数に特に限定はない。
【0049】本発明の方法は少なくとも3つの工程を順
次行うことを伴う。第1に、金属箔を金属箔酸化剤溶液
に接触させる。この金属箔を次にクロム含有電解浴と接
触させ、そして電気分解する。その後、金属箔をシラン
溶液に接触させる。用語「順次」は3工程を列挙した順
番に行うことを意味する。すなわち、クロム含有電解浴
との接触は、金属箔を金属箔酸化剤溶液に接触させた後
であって、かつシラン溶液に接触させる前に行わなけれ
ばならない。しかし、この3工程は必ずしも互いの工程
の直後に行う必要はなく、追加の工程を行い得る。たと
えば、リンスする工程を、金属箔を金属箔酸化剤溶液に
接触させた後であるが、金属箔をクロム含有電解浴と接
触させる前に行い得る。従って、用語「順次」は本発明
の3つの必須の工程に関し、本発明の方法の種々の実施
態様における任意の追加工程には関しない。
【0050】1つの実施態様において、金属箔を酸性溶
液に接触させることを伴う。酸性溶液は、約5未満、そ
して好ましくは約3未満、そしてより好ましくは約2未
満のpHを有する。酸性溶液は、酸と、水、極性有機溶
媒(たとえばアルコールおよびグリコール)、およびそ
れらの混合物のような溶媒とを含む。
【0051】金属箔を酸性溶液と接触させることは、金
属箔から表面の酸化物を除去するか、他の方法で金属箔
の表面を清浄にする働きをする。従って、酸性溶液との
接触は後の処理工程を容易にする。
【0052】金属箔は、ディッピング(dipping)、噴
霧、ぬぐい操作(wipe)、浸漬(immerse)などを包含する
が、これらに限定されない任意の従来の手段によって、
酸性溶液と接触する。好ましい実施態様において、金属
箔は酸性溶液中に浸漬される。他の好ましい実施態様に
おいて、酸性溶液の温度は約20℃から約60℃、そし
てより好ましくは約30℃から約40℃である。
【0053】酸性溶液は酸と適切な溶媒とを含み、この
溶媒は、極性溶媒または水と極性溶媒との組み合わせも
使用され得るが、典型的には水である。無機酸または有
機酸のいずれもが使用され得るが、無機酸が好ましい。
酸性溶液において使用され得る無機酸の具体例として
は、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、およびヨウ化水
素酸のようなハロゲン酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、過塩素
酸、ホウ酸、ならびに亜リン酸およびリン酸のようなリ
ン含有酸、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
硝酸および硫酸が好ましい無機酸である。有機酸の例と
しては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ
酸などのようなカルボン酸およびポリカルボン酸;ジメ
チルリン酸およびジメチルホスフィン酸のような有機リ
ン酸;またはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-
ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸、1-ヘプタ
ンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン
酸などのようなスルホン酸、ならびにこれらの組み合わ
せが挙げられる。
【0054】好ましい実施態様において、金属箔を酸性
溶液と接触させた後、金属箔は任意に、中性の溶液、そ
してほとんどの場合水、そして好ましくは脱イオン水で
リンスされる。このリンス溶液は、好ましくは、(特
に、水および溶存酸素を含む酸化性溶液を使用する実施
態様において)上昇したレベルの溶存酸素を含まない。
この中和またはリンス溶液は、金属箔の表面を中和する
ことに加えて、過剰の酸を金属箔表面から除去する働き
をする。
【0055】金属箔は、金属箔酸化剤および水酸化物化
合物か、または金属箔の表面を酸化するのに十分な量
の、その中の溶存酸素を有する水のいずれかを含む金属
箔酸化剤溶液と接触する。金属箔は、ディッピング(dip
ping)、噴霧、ぬぐい操作(wipe)、浸漬(immerse)などを
含む任意の従来の手段によって、この溶液と接触する
が、金属箔をこの溶液に浸漬することが好ましい。電流
の印加は、必要ない。
【0056】ひとつの実施態様において、金属箔は、金
属箔酸化剤および水酸化物化合物を含む金属箔酸化剤溶
液と接触する。この実施態様において、溶液の温度は、
約10℃から約90℃、そしてより好ましくは約40℃
から約80℃である。ひとつの実施態様において、金属
箔は約2〜約20秒間、そしてより好ましくは、約5〜
約10秒間、金属箔酸化剤溶液中に置かれる。
【0057】金属箔酸化剤は、金属箔の表面を酸化し得
る化学的化合物である。金属箔酸化剤は、アンモニウ
ム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属酸化剤を含
む。本明細書中で用いる用語「アンモニウム」は、アン
モニウムイオン(NH4 +)と、有機アンモニウムイオン
(例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエ
チルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウムおよび
テトラブチルアンモニウムイオンなど)との両方を含
む。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、およびルビジウムを含む。ナトリウムおよびカリウ
ムが好ましい。アルカリ土類金属は、ベリリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウム
を含む。マグネシウムおよびカルシウムが好ましい。金
属箔酸化剤の例は、アンモニウム、アルカリ金属および
アルカリ土類金属、亜塩素酸塩、次亜塩素酸塩、硝酸
塩、亜硝酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩(perborate)、過
塩素酸塩、過ヨウ素酸塩、ならびに過硫酸塩が挙げられ
る。
【0058】具体的な例としては、硝酸アンモニウム、
過塩素酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、硝酸テト
ラメチルアンモニウム、硝酸テトラエチルアンモニウ
ム、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、硝酸
ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、
過炭酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナ
トリウム、過硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、亜硝酸カ
リウム、過ホウ酸カリウム、過塩素酸カリウム、過ヨウ
素酸カリウム、過硫酸カリウム、硝酸ルビジウム、過塩
素酸ルビジウム、硝酸マグネシウム、過塩素酸マグネシ
ウム、次亜塩素酸カルシウム、硝酸カルシウム、過塩素
酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、および過塩素酸ス
トロンチウムが挙げられる。好ましい金属箔酸化剤とし
ては、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、お
よび過硫酸ナトリウムが挙げられる。金属箔酸化剤は、
約20〜約180g/l、および好ましくは約30〜約1
70g/l、およびより好ましくは約50〜約160g/lの
範囲の量で溶液中に存在する。
【0059】水酸化物化合物は、水酸化物イオンを溶液
中に提供し得る任意の化合物である。水酸化物化合物の
例としては、アンモニウム、アルカリ金属およびアルカ
リ土類金属水酸化物が挙げられる。水酸化物化合物の具
体的な例としては、水酸化アンモニウム、水酸化テトラ
メチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネ
シウム、および水酸化カルシウムが挙げられる。水酸化
物化合物は、約5g/lを越えない量で、好ましくは約3g
/lを越えない量で、より好ましくは約2g/lを越えない
量で、そしてより好ましくは約1.5g/lを越えない量
で、溶液中に存在する。
【0060】この実施態様において、金属箔酸化剤溶液
は、適切な溶媒(例えば、水、極性有機溶媒(例えばア
ルコールおよびグリコール)および/またはそれらの混
合物)を含む。水溶液が好ましい。様々な添加剤が、金
属箔酸化剤溶液に含まれ得る。
【0061】1つの実施態様において、金属箔酸化剤の
水酸化物化合物に対するg/lの比は、少なくとも約2
0:1である。別の実施態様において、金属箔酸化剤の
水酸化物化合物に対する比は、少なくとも約30:1で
ある。好ましい実施態様において、金属箔酸化剤の水酸
化物化合物に対する比は、少なくとも約50:1であ
る。最も好ましい実施態様において、金属箔酸化剤の水
酸化物化合物に対する比は、少なくとも約60:1であ
る。この比は、酸化性溶液と金属箔との間の適切な相互
作用のために必要である。
【0062】この実施態様において、酸化物層は、約5
0から約250Åの厚さを有するが、約250Å未満で
ある。別の実施態様において、金属箔の上に得られる酸
化物層の厚さは、約75から約200Åであるが、約2
00Å未満である。別の実施態様において、金属箔の上
に得られる酸化物層の厚さは、約100から約175Å
であるが、約175Å未満である。
【0063】金属箔酸化剤を含む溶液は、酸化物層の金
属箔上の形成をもたらす。比較的少ない量の水酸化物化
合物が溶液中に存在する結果として、酸化物層の質は向
上する。このことは、部分的には、針状黒色酸化物層の
形成の防止による。結果として、本発明に従って処理さ
れた金属箔を含む積層体において、向上した剥離強度
が、電気分解的に金属箔を処理することなく、得られ得
る。
【0064】別の実施態様において、金属箔酸化剤溶液
は、金属箔の表面を酸化するのに十分な量の溶存酸素を
その中に含有する水を含む。この実施態様において、金
属箔酸化剤溶液の温度は、約2℃から約50℃である。
他の実施態様において、金属箔酸化剤溶液の温度は約1
0℃から約40℃である。さらに別の実施態様におい
て、金属箔酸化剤溶液の温度は約15℃から約30℃で
ある。ひとつの実施態様において、金属箔は、約1〜約
100秒間、金属箔酸化溶液に接触する。別の実施態様
において、金属箔は、約2〜約50秒間、金属箔酸化剤
溶液に接触する。さらに別の実施態様において、金属箔
は、約5〜約25秒間、金属箔酸化剤溶液に接触する。
【0065】好ましい実施態様において、水は脱イオン
水であるが、水道水もまた使用され得る。金属箔酸化剤
溶液の水は、少なくとも約7ppmの溶存酸素を含む。好
ましい実施態様において、金属箔酸化剤溶液の水は、少
なくとも約7.5ppmの溶存酸素を含む。ひとつの実施
態様において、水は、約8ppmから約20ppmの溶存酸素
を含む。別の実施態様において、水は、約9ppmから約
15ppmの溶存酸素を含む。比較的高いレベルの溶存酸
素を有する水を取得することによるか、または水に純粋
な酸素ガスもしくは酸素含有ガスを、所望の溶存酸素レ
ベルに到達するまで通気することにより、特定のレベル
の溶存酸素の水が、得られ得る。酸素含有ガスの例に
は、空気、ならびに酸素と、不活性かつ非反応性のガス
(例えば、水素、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、
クリプトン、およびキセノン)の1つ以上との混合物が
挙げられる。本発明のプロセスの間、金属箔酸化剤溶液
は、周期的にもしくは連続的に通気されて、溶存酸素の
所望の最低レベルもしくは範囲を維持する。
【0066】金属箔酸化剤溶液の酸素レベルは、周期的
にまたは連続的に、溶存酸素量を測定する任意の公知の
手段を用いて測定され得る。例えば、ひとつの装置は、
Yellow Springs Instrument Companyの、商品名YSI
Model 57 Series DissolvedOxygen Meter である。Wink
ler法に基づく、試薬法もまた使用され得る。ビュレッ
ト滴定法、デジタル滴定機法、または液滴計測滴定法を
用いる溶存酸素試薬セット、溶存酸素試薬AccuVacアン
プル、および溶存酸素用のPocket ColorimeterT Mは、Ha
ch Companyから市販されている。
【0067】この実施態様において、金属箔酸化剤溶液
は、必要に応じて、金属を含まない溶液(すなわち、金
属箔酸化剤溶液は、添加金属または金属化合物の非存在
により特徴付けられる)である。水道水および脱イオン
水中の微量の金属または金属化合物は、耐用され得る。
別の実施態様において、金属箔酸化剤溶液は、有機溶媒
を含まない(すなわち、金属箔酸化剤溶液は、添加有機
溶媒の非存在により特徴付けられる)。さらに別の実施
態様において、少量(約2重量%未満もしくは約1重量
%未満)の有機溶媒が、水道水または脱イオン水に存在
し得る。
【0068】金属箔と金属箔酸化剤溶液との接触により
形成された酸化物層は、非常に薄い。別の実施態様にお
いて、酸化物層は、約1から約25Åの厚さを有する
が、約25Å未満である。別の実施態様において、金属
箔の上に得られる酸化物層の厚さは、約2から約20Å
であるが、約20Å未満である。別の実施態様におい
て、金属箔の上に得られる酸化物層の厚さは、約3から
約15Åであるが、約15Å未満である。
【0069】水および少なくとも7ppmの溶存酸素を含
む金属箔酸化剤溶液は、比較的薄い酸化剤層の金属箔上
の形成をもたらす。特定の量の溶存酸素が溶液中に存在
する結果として、酸化物層の質は向上する。このこと
は、部分的には、金属箔酸化剤溶液が強力(aggressiv
e)な酸化剤ではないために針状黒色酸化物層の形成が
防止されることによる。結果として、本発明に従って処
理された金属箔を含む積層体において、向上した剥離強
度が、電気分解的に金属箔を処理することなく、得られ
得る。
【0070】ほとんどの実施態様において、特に、金属
箔酸化剤および水酸化物化合物を含む酸化性溶液が用い
られる場合、金属箔が酸化性溶液に接触した後、金属箔
は、還元剤と接触しない。還元剤は、酸化性溶液、特に
金属箔酸化剤と接触している金属箔の表面に悪影響を与
える。還元剤との接触が存在しないことの結果として、
向上した剥離強度が、本発明に従って処理された金属箔
を含む積層体において得られ得る。還元剤としては、ホ
ルムアルデヒド、次亜リン酸塩、ヒドラジン、およびア
ミンボラン(amine boranes)が挙げられる。還元剤と
してはまた、低級アルコール、アルデヒド、低級カルボ
ン酸、およびそれらのエステル、アンモニア、ヒドロジ
ン、窒素含有低級アミン、金属水素化物およびホウ素化
合物の触媒的熱分解(catalytic pyrolysis)から誘導
されるものなどのような還元性ガスも挙げられる。触媒
的熱分解は、水素または一酸化炭素ガスの生成を含む。
【0071】好ましい実施態様において、金属箔が金属
箔酸化性溶液に接触した後、金属箔は、必要に応じて、
中性溶液でリンスされ、そしてほとんどの例において、
水およびとりわけ脱イオン水でリンスされる。中性化溶
液(neutralizing solution)またはリンス溶液は、過
剰の酸化剤および/または水酸化物イオンを金属箔の表
面から除去する機能を果たす。
【0072】金属箔が金属箔酸化性溶液に接触し、そし
て必要に応じてリンスされた後、金属箔は、クロム含有
電解浴中に置かれる。クロム含有電解浴は、クロム化合
物および必要に応じて性能増強添加剤を含む水溶液であ
る。カソードクロム(cathodic chrome)層が電気分解
的に金属箔の上に堆積するように、電流が浴に印加され
る。クロム化合物は、カソードクロムまたはクロムの薄
層を堆積し得る任意の化合物である。クロム化合物の例
としては、酸化クロム(例えば、三酸化クロム)、クロ
ム酸無水物(chromium anhydride)、クロム酸、六価ク
ロム化合物、ニクロム酸塩(例えば、ニクロム酸カリウ
ムおよびニクロム酸ナトリウム)、およびクロム酸塩
(例えば、クロム酸カリウム、クロム酸ナトリウムおよ
びクロム酸マグネシウム)。クロム化合物は、クロム含
有電解浴中に、約0.1から約5g/l、そして好ましく
は約1から約3g/lの量で存在する。
【0073】必要に応じて使用される性能増強添加剤に
は、亜鉛塩(例えば、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、シアン化亜
鉛、硝酸亜鉛、および硫酸亜塩)のような亜鉛化合物、
およびリン化合物(例えば、リン酸、亜リン酸、ポリリ
ン酸、ピロリン酸、リン酸塩、ピロリン酸塩およびポリ
リン酸塩)が挙げられる。
【0074】ひとつの実施態様において、電着工程の間
のクロム含有電解浴の温度は、約15℃から約30℃、
そして好ましくは約20℃から約25℃である。クロム
含有電解浴のpHは、特定の実施態様の特定のクロム化合
物の性質(identity)に依存し、従って臨界的(critica
l)ではない。ひとつの実施態様において、クロム含有
電解浴に印加される電流密度は、約10〜約40ASF
である。他の実施態様において、電流密度は約15〜約
35ASFであり、そしてより好ましくは約20〜約3
0ASFである。比較的に薄いがしかし均一なカソード
クロム層を金属箔酸化剤処理された金属箔表面に形成す
ることを可能にするのに十分な時間の間、金属箔は、ク
ロム含有電解浴中に置かれる。1つの実施態様におい
て、金属箔は約2〜約20秒間、そしてより好ましく
は、約5〜約10秒間、クロム含有電解浴中に置かれ
る。
【0075】ひとつの実施態様において、得られるカソ
ードクロム層の厚さは、約25から約125Åである。
好ましい実施態様において、得られるカソードクロム層
の厚さは、約50から約100Åである。カソードクロ
ム層の厚さは、金属箔の表面全体にわたって、実質的に
均一であり、金属箔の表面の任意の輪郭に従う。
【0076】好ましい実施態様において、金属箔がクロ
ム含有電解浴に接触した後、金属箔は、必要に応じて中
性溶液、そしてほとんどの例において水およびとりわけ
脱イオン水でリンスされる。中性化またはリンス溶液
は、金属箔の表面から過剰な浴の溶液を除去する機能を
果たす。
【0077】金属箔が金属箔酸化性溶液およびクロム含
有電解浴に接触した後、金属箔は、適切な溶媒中のシラ
ン化合物含有溶液に接触する。シラン化合物は、溶液中
に、約0.1〜約10% v/v、そして好ましくは約0.
2〜約5% v/v、そしてより好ましくは約0.3〜約3
% v/vの量で存在する。好ましいシラン化合物は、シラ
ンカップリング剤である。好ましいシランカップリング
剤は、アミノシラン化合物、エポキシシラン化合物、お
よびアルコキシシラン化合物である。
【0078】1つの実施態様において、シラン化合物は
【0079】
【化1】 で表され得る。ここでG1,G2、G3、G4、G5および
6は独立して、ハロゲン、ヒドロカルビルオキシ、ま
たはヒドロキシ基であり;R1は炭化水素基または窒素
含有炭化水素基であり;そしてnは0または1である。
1つの実施態様において、G1,G2、G3、G4、G5
よびG6の各々は独立して、クロロ、アルコキシ、アル
コキシアルコキシまたはアルコキシアルコキシアルコキ
シであり、そしてR1は炭素原子約10個までのアルキ
レンまたはアレーン基、あるいはモノアミノ−またはポ
リアミノ−置換の炭素原子約10個までのアルキレンま
たはアレーン基である。1つの実施態様において、
1,G2、G3およびG6の各々は、炭素原子約10個ま
でのアルコキシ、アルキルアルコキシ、アルコキシアル
コキシ、またはアルコキシアルコキシアルコキシ基であ
り、そしてnは0である。
【0080】これらのシラン化合物の例としては、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロ
ポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラキス
(2-エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2-エチルブ
トキシ)シラン、テトラキス(2-エチルヘキソキシ)シラ
ン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、テ
トラキス(2-メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(1-
メトキシ-2-プロポキシ)シラン、ビス[3-(トリエトキシ
シリル)プロピル] アミン、ビス[3-(トリメトキシシリ
ル)プロピル]エチレンジアミン、1,2-ビス(トリメトキ
シシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリルエチル)ベ
ンゼン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,2-
ビス(トリクロロシリル)エタン、1,6-ビス(トリクロロ
シリル)ヘキサン、および 1,8-ビス(トリクロロシリル)
オクタンが挙げられる。
【0081】他の実施態様において、シラン化合物は式
【0082】
【化2】 で表される化合物であり得る。ここでR2、R3、R4
よびR5は、独立して水素、ハロゲン基、ヒドロカルビ
ルオキシ基、ヒドロキシ基、有機官能性基であり、この
有機官能基は、他の基材(たとえばプリプレグ)と反応
性であるか、あるいは親和性を有する。有機官能基の例
としては、アミノ含有、ヒドロキシ含有、アルコキシ含
有の炭化水素、アルケン含有炭化水素、芳香族、複素
環、およびエポキシ含有基が挙げられる。1つの実施態
様において、R3、R4およびR5の各々は、クロロ、メ
トキシまたはエトキシであり、そしてR2は有機官能性
基である。1つの実施態様において、R4およびR5の各
々は、クロロ、メトキシまたはエトキシであり、そして
2およびR3は有機官能性基である。
【0083】これらのシラン化合物の例としては、テト
ラメトキシシラン; テトラエトキシシラン; ジアミノシ
ラン; N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメト
キシシラン; 3-(N-スチリルメチル-2-アミノエチルアミ
ノ)プロピルトリメトキシシラン; 3-アミノプロピルト
リエトキシシラン; ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミ
ノプロピルトリエトキシシラン; β-(3,4-エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン; 3-グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン; 3-メタクリルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン; 3-クロロプロピルトリメト
キシシラン; ビニルトリクロロシラン; ビニルトリエト
キシシラン; ビニル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラ
ン; アミノプロピルトリメトキシシラン; N-メチルアミ
ノプロピルトリメトキシシラン; N-フェニルアミノプロ
ピルトリメトキシシラン; 3-アセトキシプロピルトリメ
トキシシラン; N-(3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロ
ピル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン ; 3-アク
リルオキシプロピルトリメトキシシラン; アリルトリエ
トキシシラン; アリルトリメトキシシラン; 4-アミノブ
チルトリエトキシシラン; (アミノエチルアミノメチル)
フェネチルトリメトキシシラン; N-(2-アミノエチル-3
-アミノプロピル)トリメトキシシラン; N-(2-アミノエ
チル-3-アミノプロピル)トリス (2-エチルヘキソキシ)
シラン; 6-(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキ
シシラン; アミノ-フェニルトリメトキシシラン; 3-(1-
アミノプロポキシ)-3、3-ジメチル-1-プロペニルトリメ
トキシシラン; 3-アミノプロピルトリス(メトキシエト
キシエトキシ)シラン; 3-アミノプロピルトリエトキシ
シラン; 3-アミノプロピルトリメトキシシラン; ω-ア
ミノウンデシルトリメトキシシラン; 3-[2-N-ベンジル
アミノエチルアミノプロピル]トリメトキシシラン; ビ
ス (2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキ
シシラン; 8-ブロモオクチルトリメトキシシラン; ブロ
モフェニルトリメトキシシラン; 3-ブロモプロピルトリ
メトキシシラン; 2-クロロエチルトリエトキシシラン;
p-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン; クロロ
メチルトリエトキシシラン; クロロフェニルトリエトキ
シシラン; 3-クロロプロピルトリエトキシシラン; 3-ク
ロロプロピルトリメトキシシラン; 2-(4-クロロスルホ
ニルフェニル)エチルトリメトキシシラン; 3-(シアノエ
トキシ)-3, 3-ジメチル-1-プロペニルトリメトキシシラ
ン; 2-シアノエチルトリエトキシシラン; 2-シアノエチ
ルトリメトキシシラン; (シアノメチルフェネチル)トリ
メトキシシラン; 3-シアノプロピルトリエトキシシラ
ン; 3-シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラ
ン; (N,N-ジエチル-3-アミノプロピル)トリメトキシシ
ラン; ジエチルホスフェートエチルトリエトキシシラ
ン; (N, N-ジメチル-3-アミノプロピル)トリメトキシシ
ラン; 2-(ジフェニルホスフィノ)エチルトリエトキシシ
ラン; 2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメト
キシシラン; 3-ヨードプロピルトリメトキシシラン; 3-
イソシアネートプロピルトリエトキシシラン; 3-メルカ
プトプロピルトリエトキシシラン; 3-メルカプトプロピ
ルトリメトキシシラン; メタクリルオキシプロペニルト
リメトキシシラン; 3-メタクリルオキシプロピルトリメ
トキシシラン; 3-メタクリルオキシプロピルトリス(メ
トキシエトキシ)シラン;3-メトキシプロピルトリメトキ
シシラン; N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラ
ン; 0-4-メチルクマリニル-N-[3-(トリエトキシシリル)
プロピル]カルバメート; 7-オクト-1-エニルトリメトキ
シシラン; N-フェネチル-N'-トリエトキシシリルプロピ
ルウレア(N-phenethl-N'-triethoxysilyl propyloure
a); N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン; 3-
(N-スチリルメチル-2-アミノエチルアミノ)プロピルト
リメトキシシラン; 3-チオシアネートプロピルトトリエ
トキシシラン; N-(3-トリエトキシシリルプロピル)アセ
チルグリシンアミド; N-(トリエトキシシリルプロピル)
ダンシイルアミド; N-[3-(トリエトキシシリル)プロピ
ル]-2,4-ジニトロフェニルアミン; トリエトキシシリル
プロピルエチルカルバメート; N-[3-(トリエトキシシリ
ル)プロピル]-4,5-ジヒドロイミダソール; N-トリエト
キシシリルプロピル-o-メントカルバメート; 3-(トリエ
トキシシリルプロピル)-p-ニトロベンズアミド; N-[3-
(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸; N-(ト
リエトキシシリルプロピル)ウレア; 1-トリメトキシシ
リル-2-(p,m-クロロメチル)フェニルエタン; 2-(トリメ
トキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド; β-ト
リメトキシシリルエチル-2-ピリジン; トリメトキシシ
リルオクチルトリメチルアンモニウムブロミド; トリメ
トキシシリルプロピルシナメート; N-(3-トリメトキシ
シリルプロピル)-N-メチル-N,N-ジアリルアンモニウム
クロリド; トリメトキシシリルプロピルジエチレントリ
アミン; N-[(3-トリメトキシシリル)プロピル]エチレン
ジアミントリ酢酸三ナトリウム塩; トリメトキシシリル
プロピルイソチオウロニウムクロリド; N-(3-トリメト
キシシリルプロピル)ピロール; N-トリメトキシシリル
プロピルトリ-N-ブチルアンモニウムブロミド;N-トリメ
トキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウム
クロリド; ビニルトリエトキシシラン; ビニルトリイソ
プロポキシシラン; ビニルトリメトキシシラン; ビニル
トリス-t-ブトキシシラン; ビニルトリス(2-メトキシエ
トキシ)シラン; ビニルトリイソプロペンオキシシラン;
ビニルトリス(t-ブチルペルオキシ)シラン; 2-アセト
キシエチルトリクロロシラン; 3-アクリルオキシプロピ
ルトリクロロシラン; アリルトリクロロシラン; 8-ブロ
モオクチルトリクロロシラン; ブロモフェニルトリクロ
ロシラン; 3-ブロモプロピルトリクロロシラン;2-(カル
ボメトキシ)エチルトリクロロシラン; 1-クロロエチル
トリクロロシラン; 2-クロロエチルトリクロロシラン;
p-(クロロメチル)フェニルトリクロロシラン; クロロメ
チルトリクロロシラン; クロロフェニルトリクロロシラ
ン; 3-クロロプロピルトリクロロシラン; 2-(4-クロロ
スルホニルフェニル)エチルトリクロロシラン; (3-シア
ノブチル)トリクロロシラン; 2-シアノエチルトリクロ
ロシラン; 3-シアノプロピルトリクロロシラン; (ジク
ロロメチル)トリクロロシラン;(ジクロロフェニル)トリ
クロロシラン; 6-ヘキソ-1-エニルトリクロロシラン; 3
-メタクリルオキシプロピルトリクロロシラン; 3-(4-メ
トキシフェニル)プロピルトリクロロシラン; 7-オクト-
1-エニルトリクロロシラン; 3-(N-フタルイミド)プロピ
ルトリクロロシラン; 1-トリクロロシリル-2-(p,m-クロ
ロメチルフェニル)エタン; 4-[2(トリクロロシリル)エ
チル]シクロヘキセン; 2-[2-(トリクロロシリル)エチ
ル]ピリジン; 4-[2(トリクロロシリル)エチル]ピリジ
ン; 3-(トリクロロシリル)プロピルクロロホルメート;
およびビニルトリクロロシランが含まれる。
【0084】上記のシラン化合物の2つ以上の混合物も
また使用され得る。たとえば、1つの実施態様におい
て、シラン化合物はN-(2-アミノエチル-3-アミノプロピ
ル)トリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキ
シシラン、または3-グリシドキシプロピルトリメトキシ
シランをテトラエトキシシランまたはテトラメトキシシ
ランと組み合わせたものである。
【0085】シラン溶液は水、水とアルコールとの混合
物、または適切な有機溶媒中の分散体または溶液の形態
であり得、あるいはシラン混合物の水性乳濁液、または
適切な有機溶媒中のシラン化合物の溶液の水性乳濁液で
あり得る。従来の有機溶媒が使用され得る。これらは、
アルコール、エーテル、ケトン、およびそれらと脂肪族
または芳香族の炭化水素との混合物、あるいはN,N-ジメ
チルホルムアミドのようなアミドとの混合物を包含す
る。有用な溶媒は、良好な湿潤特性および乾燥特性を有
する溶媒であり、そしてたとえば、水、エタノール、イ
ソプロパノール、およびメチルエチルケトンが挙げられ
る。シラン化合物の水性懸濁液は、従来の分散剤および
界面活性剤(非イオン性界面活性剤を包含する)を使用
して従来の方法で形成され得る。金属箔をシラン溶液に
接触する工程は、所望であれば数回繰り返され得る。し
かし、通常1回の工程で有用な結果が得られ、それゆえ
1回の工程が通常は好ましい。接触は、逆ローラーコー
ティング、ドクターブレードコーティング、ディッピン
グ、浸漬、ペイント塗および噴霧を包含する公知の施工
方法によって達成される。
【0086】シラン溶液は典型的には好ましくは約15
℃から約45℃、より好ましくは約20℃から約30℃
の温度である。処理金属箔をシラン溶液と接触させた
後、金属箔は、表面の乾燥を促進するため、好ましくは
約60℃から約170℃、より好ましくは約90℃から
約150℃の温度まで、好ましくは約0.03〜約5分
間、より好ましくは約0.2〜約2分間加熱され得る。
金属箔上のシラン化合物の乾燥膜厚は、好ましくは約
0.002〜約0.1ミクロン、より好ましくは約0.
005〜約0.02ミクロンである。
【0087】1つの実施態様において、金属箔が本発明
によって処理された後、電気分解工程は全く実施されな
い。別の実施態様において、クロム含有電解浴を含む電
気分解工程以外は、電気分解工程は全く実施されない。
さらなる電気分解工程を省略することにより、金属箔の
作成法を簡略化し、そしてプリントされた回路基板のた
めの積層体の製造を簡略化する。
【0088】本発明によって処理された金属箔は誘電体
基材は結合されて、寸法安定性および構造安定性を与え
得る。本発明の処理金属箔は、処理金属箔と誘電体基材
との間の結合強度および剥離強度を増強する。この処理
金属箔の利点は、この箔が付加銅粗面処理を回避しなが
らなお、誘電体基材との有効な結合強度または剥離強度
を示すことである。他の利点は、処理金属箔の金属粒子
が、次いで積層する誘電体基材に移動または拡散しない
ことである。これらの箔は標準プロフィール表面、低プ
ロフィール表面、および極低プロフィール表面さえを有
し得、そしてなお所望の剥離強度を提供する。本発明の
箔を用いれば、つや消し側または光沢側のいずれもが、
処理後、誘電体基材に有効に結合し得る。
【0089】有用な誘電体基材は、部分的に硬化した樹
脂(通常、エポキシ樹脂(たとえば、二官能性、4官能
性、および多官能性のエポキシド))で含浸されたガラ
ス織布強化材料であり得る。他の有用な樹脂は、ホルム
アルデヒドと尿素、またはホルムアルデヒドとメラミン
との反応から製造されるアミノタイプ樹脂、ポリエステ
ル、フェノール樹脂、シリコーン、ポリアミド、ポリイ
ミド、ジアリルフタレート、フェニルシラン、ポリベン
ズイミダゾール、ジフェニルオキシド、ポリテトラフル
オロエチレン、シアネートエステルなどを包含する。こ
れらの誘電体基材は時として、プリプレグと呼ばれる。
【0090】積層体の調製においては、プリプレグ材料
および金属箔の両方について、ロールに巻き上げられた
材料の長いウェブ(web)の形態で提供されることが有
用である。ひとつの実施態様においてこれらの金属箔お
よびプリプレグの長いウェブは、連続プロセスを用いて
積層される。このプロセスにおいて、処理された金属箔
(この金属箔に接着した接着促進層を有する)の連続ウ
ェブは、積層構造を形成するための積層条件下で、運ば
れてプリプレグ材料の連続ウェブに接触する。次いで、
この積層構造は、長方形のシートにカットされ、次いで
長方形のシートは、積み上げられるか、または集積(as
semble)されて集合物(assemblage)の積み重ね(stac
k)とされる。
【0091】ひとつの実施態様において、処理された金
属箔およびプリプレグ材料の長いウェブは、最初に、長
方形のシートにカットされ、次いで、積層に供される。
このプロセスにおいて、処理された金属箔の長方形のシ
ートおよびプリプレグ材料の長方形のシートは、次い
で、積み上げられるか、または集積(assemble)されて
集合物の積み重ねとされる。
【0092】各集合物は、そのいずれかの側面を処理さ
れた金属箔のシートを有するプリプレグシートを含み
得、そしていずれの例においても、処理された金属箔の
側面(または側面のうちの1つの面)は、プリプレグに
隣接するように配置される。集合物は、通常の積層温度
および積層プレスのプレート間圧力に供され得、処理さ
れた金属箔の間のプリプレグのシートのサンドイッチを
含む積層体を調製し得る。
【0093】プリプレグは、部分的に硬化した2段階樹
脂(two-stage resin)を含浸したガラス強化繊維織布か
ら構成され得る。熱および圧力をかけることで、銅箔
は、プリプレグに強固に押しつけられ、そしてこの集合
物(assemblage)が供される温度は、樹脂の活性化に供さ
れて硬化(すなわち樹脂の架橋)が起こり、そしてその
ことにより箔がプリプレグ誘電体基材に強固に結合す
る。一般的に言って、積層操作は、約250から約75
0psiの範囲の圧力、約175℃から235℃の範囲の
温度、および約40分から約2時間の積層サイクルを含
む。完成した積層体は、次いで、プリント基板(printe
d circuit boards、PCB)に使用され得る。
【0094】1つの実施態様において、積層体は、複層
回路基板を作製するプロセスの部分として、サブトラク
ティブ(subtractive)な銅エッチングプロセスに供さ
れて、電気伝導性の線または電気伝導性パターンを形成
する。次いで、第2の処理が、上記で議論された技術を
用いて、エッチングされたパターン上で行われ、次い
で、第2のプリプレグがエッチングされたパターンに接
着される;第2の処理された金属箔表面は、エッチング
されたパターンと第2のプリプレグの間に位置し、そし
てエッチングされたパターンと第2のプリプレグの両方
に接着する。複層回路基板を作製する技術は、当該分野
で周知である。同様に、サブトラクティブなエッチング
プロセスは周知であり、その例は、米国特許第5,017,27
1号に開示され、これは本明細書中に参考として援用さ
れる。
【0095】多くの製造方法が、積層体からPCBを調
製するために利用することができる。さらに、PCBに
ついての無数の可能な最終用途があり、ラジオ、テレ
ビ、コンピューターなどが挙げられる。
【0096】本発明により得られる1つの利点は、本発
明によって得られ得る、処理された金属箔が、積層体に
導入された場合に、優れた剥離強度を示すことである。
なぜなら、本発明は、処理された金属箔が、処理された
金属箔の加工(processing)の間、構造保全(structua
l integrity)を維持することを、可能にするからであ
る。別の利点は、処理された金属箔が、積層体に導入さ
れた際に、跡写り(treatment transfer)をほとんど示
さないかまたは示さないことである。さらに別の利点
は、処理された金属箔が、例えば、処理された金属箔に
接触し得る塩酸に対する向上した耐性を有することであ
る。
【0097】限定を意図しないが、以下の実施例は、本
発明の種々の新規な局面を例示する。別段の指示のない
限り、以下の実施例ならびに明細書および特許請求の範
囲全体にわたって、すべての部および百分率は重量によ
り、すべての温度は摂氏であり、そしてすべての圧力は
大気圧である。
【0098】
【実施例】
実施例1 銅箔を、150g/l亜塩素酸ナトリウム、2g/l水酸化ナ
トリウムを含む溶液に、約80℃で、15秒間浸漬す
る。銅箔を脱イオン水でリンスする。2g/lの三酸化ク
ロムを含む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、
そして25ASFの電流密度を15秒間印加する。銅箔
を再び脱イオン水中でリンスする。次いで、銅箔を、1
% v/vジアミノシランおよび0.5% v/vエポキシシラ
ンを含む水溶液中に浸漬し、そして乾燥する。 実施例2 銅箔を、140g/l亜塩素酸ナトリウム、3g/l水酸化ナ
トリウムを含む溶液に、約70℃で、5秒間浸漬する。
銅箔を脱イオン水でリンスする。1g/lの三酸化クロム
を含む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、そし
て20ASFの電流密度を18秒間印加する。銅箔を再
び脱イオン水中でリンスする。次いで、銅箔を、1% v
/vジアミノシランを含む水溶液中に浸漬し、そして乾燥
する。 実施例3 銅箔を、120g/l亜塩素酸カリウム、1.5g/l水酸化カ
リウムを含む溶液に、約60℃で、8秒間浸漬する。銅
箔を脱イオン水でリンスする。3g/lの三酸化クロムを
含む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、そして
15ASFの電流密度を20秒間印加する。銅箔を再び
脱イオン水中でリンスする。次いで、銅箔を、0.5%
v/vエポキシシランを含む水溶液中に浸漬し、そして乾
燥する。 実施例4 銅箔を、100g/l亜塩素酸ナトリウム、1g/l水酸化ナ
トリウムを含む溶液に、約50℃で、10秒間浸漬す
る。銅箔を脱イオン水でリンスする。4g/lの三酸化ク
ロムを含む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、
そして15ASFの電流密度を20秒間印加する。銅箔
を再び脱イオン水中でリンスする。次いで、銅箔を、3
% v/vジアミノシランを含む水溶液中に浸漬し、そして
乾燥する。 実施例5 しんちゅう安定化層を有する銅箔を、140g/l亜塩素
酸ナトリウム、2g/l水酸化ナトリウムを含む溶液に、
約70℃で、15秒間浸漬する。複層金属箔を脱イオン
水でリンスする。0.5g/lの三酸化クロムを含む水性
電解浴を調製する。複層金属箔を浴中に置き、そして3
5ASFの電流密度を20秒間印加する。複層金属箔を
再び脱イオン水中でリンスする。次いで、複層金属箔
を、2% 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
を含む水溶液中に浸漬し、そして乾燥する。 実施例6 ニッケル箔を、150g/l亜塩素酸ナトリウム、2g/l水
酸化ナトリウムを含む溶液に、約80℃で、15秒間浸
漬する。ニッケル箔を脱イオン水でリンスする。3g/l
の三酸化クロムを含む水性電解浴を調製する。ニッケル
箔を浴中に置き、そして25ASFの電流密度を15秒
間印加する。ニッケル箔を再び脱イオン水中でリンスす
る。次いで、ニッケル箔を、1% v/v N-[3-(トリエト
キシシリル)プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾールおよ
び1% v/vテトラエトキシシラン、を含む水溶液中に浸
漬し、そして乾燥する。 実施例7 銅箔を、8.8ppmの溶存酸素を含有する酸素通気され
た脱イオン水を含む溶液中に、約20℃で5秒間浸漬す
る。銅箔を脱イオン水でリンスする。約11Åの厚さの
酸化物層を箔上に検出する。2g/lの三酸化クロムを含
む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、そして1
5ASFの電流密度を5秒間印加する。銅箔を再び脱イ
オン水中でリンスする。次いで、銅箔を、1% v/vジア
ミノシランおよび0.5% v/vエポキシシランを含む水
溶液中に浸漬し、そして乾燥する。 実施例8 銅箔を、8.8ppmの溶存酸素を含有する含有酸素通気
された脱イオン水を含む溶液中に、約20℃で10秒間
浸漬する。銅箔を脱イオン水でリンスする。約9Åの厚
さの酸化物層を箔上に検出する。1g/lの三酸化クロム
を含む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、そし
て20ASFの電流密度を18秒間印加する。銅箔を再
び脱イオン水中でリンスする。次いで、銅箔を、1% v
/vジアミノシランを含む水溶液中に浸漬し、そして乾燥
する。 実施例9 銅箔を、7.4ppmの溶存酸素を含有する含有酸素通気
された脱イオン水を含む溶液中に、約25℃で5秒間浸
漬する。銅箔を脱イオン水でリンスする。約16Åの厚
さの酸化物層を箔上に検出する。3g/lの三酸化クロム
を含む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、そし
て15ASFの電流密度を10秒間印加する。銅箔を再
び脱イオン水中でリンスする。次いで、銅箔を、0.5
% v/vエポキシシランを含む水溶液中に浸漬し、そして
乾燥する。 実施例10 銅箔を、7.4ppmの溶存酸素を含有する含有酸素通気
された脱イオン水を含む溶液中に、約15℃で10秒間
浸漬する。銅箔を脱イオン水でリンスする。約5Åの厚
さの酸化物層を箔上に検出する。3g/lの三酸化クロム
を含む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、そし
て15ASFの電流密度を10秒間印加する。銅箔を再
び脱イオン水中でリンスする。次いで、銅箔を、0.5
% v/vエポキシシランを含む水溶液中に浸漬し、そして
乾燥する。 実施例11 銅箔を、7.4ppmの溶存酸素を含有する含有酸素通気
された脱イオン水を含む溶液中に、約15℃で15秒間
浸漬する。銅箔を脱イオン水でリンスする。約8Åの厚
さの酸化物層を箔上に検出する。3g/lの三酸化クロム
を含む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、そし
て15ASFの電流密度を10秒間印加する。銅箔を再
び脱イオン水中でリンスする。次いで、銅箔を、0.5
% v/vエポキシシランを含む水溶液中に浸漬し、そして
乾燥する。 実施例12 銅箔を、10ppmの溶存酸素を含有する含有酸素通気さ
れた脱イオン水を含む溶液中に、約18℃で5秒間浸漬
する。銅箔を脱イオン水でリンスする。約9Åの厚さの
酸化物層を箔上に検出する。4g/lの三酸化クロムを含
む水性電解浴を調製する。銅箔を浴中に置き、そして1
5ASFの電流密度を5秒間印加する。銅箔を再び脱イ
オン水中でリンスする。次いで、銅箔を、3% v/vジア
ミノシランを含む水溶液中に浸漬し、そして乾燥する。 実施例13 しんちゅう安定化層を有する銅箔を、10ppmの溶存酸
素を含有する含有酸素通気された脱イオン水を含む溶液
中に、約18℃で10秒間浸漬する。複層金属箔を脱イ
オン水でリンスする。約6Åの厚さの酸化物層を箔上に
検出する。0.5g/lの三酸化クロムを含む水性電解浴
を調製する。複層金属箔を浴中に置き、そして25AS
Fの電流密度を3秒間印加する。複層金属箔を再び脱イ
オン水中でリンスする。次いで、複層金属箔を、2% 3
-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む水溶
液中に浸漬し、そして乾燥する。 実施例14 ニッケル箔を、10ppmの溶存酸素を含有する含有酸素
通気された脱イオン水を含む溶液中に、約18℃で15
秒間浸漬する。ニッケル箔を脱イオン水でリンスする。
約7Åの厚さの酸化物層を箔上に検出する。3g/lの三
酸化クロムを含む水性電解浴を調製する。ニッケル箔を
浴中に置き、そして15ASFの電流密度を10秒間印
加する。ニッケル箔を再び脱イオン水中でリンスする。
次いで、ニッケル箔を、1% v/v N-[3-(トリエトキシ
シリル)プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾールおよび1
% v/vテトラエトキシシランを含む水溶液中に浸漬し、
そして乾燥する。
【0099】本発明をその好ましい実施態様に関連して
説明してきたが、本明細書を読むことにより、当業者に
は、それらの様々な方法が明らかになることが理解され
るべきである。従って、本明細書中に開示された発明
が、添付された請求の範囲の範囲に入る、そのような改
変をカバーすることを意図することが理解されるべきで
ある。
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、高い剥離強度を有する
積層体が提供される。本発明によれば、高い剥離強度に
より、積層体は加工(化学物質および種々のエッチング
剤(例えば塩酸)への暴露)の間、および通常の摩耗およ
び引き裂きの過程(熱分解、物理的振動など)にわたっ
て、その構造保全(structural integrity)を維持するこ
とが可能となる。
【0101】本発明によれば、金属箔は典型的には表面
粗さが増大するように処理され、その結果、得られる積
層体の剥離強度が増大する。本発明によれば、積層体中
に組み入れられた場合に高い剥離強度を示すのみなら
ず、誘電体基材の絶縁特性に影響を与えない金属箔が提
供される。
【0102】本発明によれば、金属箔処理の効率および
対費用効果の増大が得られる。
【0103】本発明によれば、部分的に、加工中に構造
保全を保持する能力のために、高い剥離強度を示す金属
箔を提供することが可能である。本発明はまた、積層体
中に組み入れられた場合に跡写りがわずかであるか、あ
るいは跡写りしない金属箔を提供する。
【0104】本発明によれば、本発明によって得られ得
る、処理された金属箔が、積層体に導入された場合に、
優れた剥離強度を示す。なぜなら、本発明は、処理され
た金属箔が、処理された金属箔の加工(processing)の
間、構造保全(structual integrity)を維持すること
を、可能にするからである。本発明によればまた、処理
された金属箔が、積層体に導入された際に、跡写り(tr
eatment transfer)をほとんど示さないかまたは示さな
い。さらに本発明によれば、処理された金属箔が、例え
ば、処理された金属箔に接触し得る塩酸に対する向上し
た耐性を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 594064150 35129 Curtis Boulevar d,Eastlake,Ohio 44095, United States of Am erica (72)発明者 ステイシイ エイ. リレイ アメリカ合衆国 オハイオ 44129, パ ルマ, ディアフィールド ドライブ 8307

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属箔の処理方法であって、 該金属箔を、金属箔酸化剤および約5g/l未満の水酸化
    物化合物、または水および少なくとも約7ppmの溶存酸
    素のいずれかを含む第1の溶液に接触させる工程;該金
    属箔を、クロム含有電解浴に接触させ、そして該電解浴
    を電気分解する工程であって、ここで該浴が約0.1〜
    約5g/lのクロム化合物を含む、工程;および該金属箔
    を約0.1〜約10%(v/v)のシラン化合物を含む第2
    の溶液に接触させる工程を順次包含し、 ただし、該金属箔が該第1の溶液との接触後、還元剤と
    接触しない、方法。
  2. 【請求項2】 前記金属箔酸化剤が亜塩素酸塩化合物、
    次亜塩素酸塩化合物、および過硫酸塩化合物のうち少な
    くとも1つから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記水酸化物化合物がアルカリ金属また
    はアルカリ土類金属の水酸化物、あるいは水酸化アンモ
    ニウムを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記第1の溶液が約3g/l未満の水酸化
    物化合物を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記金属箔を酸性溶液に接触させる工程
    および必要であれば前記第1の溶液に接触させる前に該
    金属箔をリンスする工程をさらに含む、請求項1に記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 前記酸性溶液が、塩酸、硫酸、硝酸、お
    よびリン酸のうち少なくとも1種類を含む、請求項5に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記クロム化合物が酸化クロムである、
    請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記金属箔酸化剤のg/lと前記水酸化物
    化合物のg/lとの比が少なくとも約20:1である、請
    求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 さらに前記金属箔が亜鉛を含む金属層が
    ないことによって特徴付けられる、請求項1に記載の方
    法。
  10. 【請求項10】 銅箔と誘電体基材との間の接着を増強
    する方法であって、 該銅箔を、20〜約180g/lのアルカリ金属亜塩素酸
    塩または次亜塩素酸塩および約5g/l未満のアルカリ金
    属水酸化物を含む第1の溶液に接触させる工程;該金属
    箔を、クロム含有電解浴に接触させ、そして該電解浴を
    電気分解する工程であって、ここで該浴が約1〜約3g/
    lのクロム化合物を含む、工程;および該銅箔を、約
    0.1〜約5%(v/v)のシラン化合物を含む第2の溶液
    に接触させる工程を順次包含し、 ただし、該銅箔が該第1の溶液との接触後、還元剤と接
    触しない、方法。
  11. 【請求項11】 前記第1の溶液が約50〜約160g/
    lの前記アルカリ金属亜塩素酸塩または次亜塩素酸塩を
    含む、請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記第1の溶液が約3g/l未満の水酸
    化ナトリウムを含む、請求項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記第1の溶液が約3g/l未満のアル
    カリ金属水酸化物を含む、請求項10に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記銅箔を酸性溶液に接触させる工程
    および必要であれば前記第1の溶液に接触させる前に該
    銅箔をリンスする工程をさらに含む、請求項10に記載
    の方法。
  15. 【請求項15】 前記銅箔を前記第1の溶液に接触させ
    た後、該銅箔をリンスする工程をさらに含む、請求項1
    0に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記アルカリ金属亜塩素酸塩または次
    亜塩素酸塩のg/lと前記アルカリ金属水酸化物のg/lとの
    比が少なくとも約50:1である、請求項10に記載の
    方法。
  17. 【請求項17】 前記クロム化合物が酸化クロムであ
    る、請求項10に記載の方法。
  18. 【請求項18】 銅箔と誘電体基材との間の接着を増強
    する方法であって、 該銅箔を、水および約8ppm〜約20ppmの溶存酸素を含
    む金属箔酸化剤溶液に接触させ、それにより該銅箔に酸
    化物層を形成する工程;該金属箔を、クロム含有電解浴
    に接触させ、そして該電解浴を電気分解し、それにより
    酸化物層上にクロム含有層を形成する工程であって、こ
    こで該浴が約1〜約3g/lのクロム化合物を含む、工
    程;および該銅箔を、約0.1〜約5%(v/v)のシラン
    化合物を含むシラン溶液に接触させ、それによりクロム
    含有層上にシラン含有層を形成する工程を順次包含す
    る、方法。
  19. 【請求項19】 前記酸化物層が約1〜約25の厚みを
    有する、請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記金属箔酸化剤溶液が約15℃〜約
    30℃の温度であり、かつ前記金属箔が約2〜約50秒
    間該金属箔酸化剤溶液に接触する、請求項18に記載の
    方法。
  21. 【請求項21】 前記酸化物層が約15未満の厚みを有
    する、請求項18に記載の方法。
  22. 【請求項22】 前記クロム化合物が酸化クロムであ
    る、請求項18に記載の方法。
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