JPH1059789A - 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 - Google Patents
炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法Info
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- JPH1059789A JPH1059789A JP8231315A JP23131596A JPH1059789A JP H1059789 A JPH1059789 A JP H1059789A JP 8231315 A JP8231315 A JP 8231315A JP 23131596 A JP23131596 A JP 23131596A JP H1059789 A JPH1059789 A JP H1059789A
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- C04B41/52—Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 低圧下における苛酷な高温酸化性雰囲気中で
優れた酸化抵抗性を示すC/C材の耐酸化処理法を提供
する。 【解決手段】 C/C基材の表面にSiOガスを接触さ
せてコンバージョンによりSiC被覆層を形成する第1
被覆工程、ハロゲン化有機珪素化合物と水素あるいはハ
ロゲン化珪素と炭化水素および水素との混合ガスを用い
てCVD法により1100〜1550℃の温度に加熱し
てSiCを析出被覆する第1段階操作と、不活性雰囲気
に保持された加熱炉内で1600〜1900℃の温度に
加熱処理する第2段階操作を順次に施して結晶面(11
1)のX線回折の半値幅が0.25〜0.17°、結晶
面(111)と(200)の回折ピーク強度比が2以上
のSiC被覆層を形成する第2被覆工程、次いでSi、
Al、B、Zrの少なくとも一種を含有する金属アルコ
キシドを加水分解して得られるガラス前駆体溶液を含浸
して乾燥したのち500〜1000℃の温度で加熱処理
してガラス質被膜を形成する第3被覆工程、とからなる
耐酸化処理法。
優れた酸化抵抗性を示すC/C材の耐酸化処理法を提供
する。 【解決手段】 C/C基材の表面にSiOガスを接触さ
せてコンバージョンによりSiC被覆層を形成する第1
被覆工程、ハロゲン化有機珪素化合物と水素あるいはハ
ロゲン化珪素と炭化水素および水素との混合ガスを用い
てCVD法により1100〜1550℃の温度に加熱し
てSiCを析出被覆する第1段階操作と、不活性雰囲気
に保持された加熱炉内で1600〜1900℃の温度に
加熱処理する第2段階操作を順次に施して結晶面(11
1)のX線回折の半値幅が0.25〜0.17°、結晶
面(111)と(200)の回折ピーク強度比が2以上
のSiC被覆層を形成する第2被覆工程、次いでSi、
Al、B、Zrの少なくとも一種を含有する金属アルコ
キシドを加水分解して得られるガラス前駆体溶液を含浸
して乾燥したのち500〜1000℃の温度で加熱処理
してガラス質被膜を形成する第3被覆工程、とからなる
耐酸化処理法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低圧下における苛
酷な高温酸化性雰囲気中で優れた酸化抵抗性を示す炭素
繊維強化炭素材(以下「C/C材」という。)の耐酸化
処理法に関する。
酷な高温酸化性雰囲気中で優れた酸化抵抗性を示す炭素
繊維強化炭素材(以下「C/C材」という。)の耐酸化
処理法に関する。
【0002】C/C材は、卓越した比強度、比弾性率を
有する上に優れた耐熱性および化学的安定性を備えてい
るため、航空宇宙用をはじめ多くの分野で構造材料とし
て有用されているが、易酸化性という炭素材固有の材質
的な欠点があり、これが汎用性を阻害する最大のネック
となっている。このため、C/C材の表面に耐酸化性の
被覆層を形成して耐酸化性を向上させる試みが従来から
種々検討されており、例えばZrO2 、Al2 O3 、S
iC、Si3 N4 等のセラミックス系物質を被覆処理す
る方法が提案されている。しかし、SiC被覆層を除い
ては使用時の熱サイクルで被覆界面に層間剥離や亀裂が
生じ、耐酸化性能を十分に付与することができない。
有する上に優れた耐熱性および化学的安定性を備えてい
るため、航空宇宙用をはじめ多くの分野で構造材料とし
て有用されているが、易酸化性という炭素材固有の材質
的な欠点があり、これが汎用性を阻害する最大のネック
となっている。このため、C/C材の表面に耐酸化性の
被覆層を形成して耐酸化性を向上させる試みが従来から
種々検討されており、例えばZrO2 、Al2 O3 、S
iC、Si3 N4 等のセラミックス系物質を被覆処理す
る方法が提案されている。しかし、SiC被覆層を除い
ては使用時の熱サイクルで被覆界面に層間剥離や亀裂が
生じ、耐酸化性能を十分に付与することができない。
【0003】C/C基材の表面にSiC被覆層を形成す
る方法としては、気相反応により生成するSiCを直接
沈着させるCVD法(化学的気相蒸着法)と、基材の炭
素を反応源に利用して珪素成分と反応させることにより
SiCに転化させるコンバージョン法が知られている。
このうち、CVD法により形成したSiC被覆層は基材
との界面が明確に分離している関係で、熱衝撃を与える
と相互の熱膨張差により層間剥離が起こり易く、高温雰
囲気下における十分な耐酸化性を発揮することができな
い。一方、コンバージョン法による場合には基材の表層
部が連続組織としてSiC層を形成する傾斜機能材質と
なるために界面剥離を生じることがないが、CVD法に
比較して組織の緻密性が劣る上、SiCに転化させる反
応時に被覆層に微少なクラックが発生する問題がある。
る方法としては、気相反応により生成するSiCを直接
沈着させるCVD法(化学的気相蒸着法)と、基材の炭
素を反応源に利用して珪素成分と反応させることにより
SiCに転化させるコンバージョン法が知られている。
このうち、CVD法により形成したSiC被覆層は基材
との界面が明確に分離している関係で、熱衝撃を与える
と相互の熱膨張差により層間剥離が起こり易く、高温雰
囲気下における十分な耐酸化性を発揮することができな
い。一方、コンバージョン法による場合には基材の表層
部が連続組織としてSiC層を形成する傾斜機能材質と
なるために界面剥離を生じることがないが、CVD法に
比較して組織の緻密性が劣る上、SiCに転化させる反
応時に被覆層に微少なクラックが発生する問題がある。
【0004】
【従来の技術】このような問題点の解消を図るために、
本出願人はC/C基材面にSiOガスを接触させてコン
バージョン法により第1のSiC被覆層を形成する第1
被覆工程と、次いでCVD法によりハロゲン化有機珪素
化合物を還元熱分解してアモルファス質のSiCを析出
沈着させる第2被覆工程とを順次に施す耐酸化処理法
(特開平4−12078 号公報)、更にこれを改良して第2
被覆工程をハロゲン化有機珪素化合物を基材組織に間欠
的に充填して還元熱分解させるパルスCVI法によって
SiCを析出沈着させる耐酸化処理法(特開平4−4287
8 号公報)を提案した。
本出願人はC/C基材面にSiOガスを接触させてコン
バージョン法により第1のSiC被覆層を形成する第1
被覆工程と、次いでCVD法によりハロゲン化有機珪素
化合物を還元熱分解してアモルファス質のSiCを析出
沈着させる第2被覆工程とを順次に施す耐酸化処理法
(特開平4−12078 号公報)、更にこれを改良して第2
被覆工程をハロゲン化有機珪素化合物を基材組織に間欠
的に充填して還元熱分解させるパルスCVI法によって
SiCを析出沈着させる耐酸化処理法(特開平4−4287
8 号公報)を提案した。
【0005】しかしながら、このような方法により形成
した第2被覆層のSiCにも微少な亀裂が発生してお
り、より高度の耐酸化性を付与するためにはこの亀裂を
目詰めする必要が認められた。そこで、本出願人はC/
C基材面に傾斜機能を有する多結晶質のSiC被膜から
なる第1被覆層、アモルファス質または微細多結晶質の
SiC被膜からなる第2被覆層、およびB2 O3 −Si
O2 ガラス被膜の第3被覆層が積層形成されてなる耐酸
化性炭素繊維強化炭素材を開発した(特開平4−243989
号公報)。
した第2被覆層のSiCにも微少な亀裂が発生してお
り、より高度の耐酸化性を付与するためにはこの亀裂を
目詰めする必要が認められた。そこで、本出願人はC/
C基材面に傾斜機能を有する多結晶質のSiC被膜から
なる第1被覆層、アモルファス質または微細多結晶質の
SiC被膜からなる第2被覆層、およびB2 O3 −Si
O2 ガラス被膜の第3被覆層が積層形成されてなる耐酸
化性炭素繊維強化炭素材を開発した(特開平4−243989
号公報)。
【0006】更に、本出願人は、前記の特開平4−24
3989号公報の発明を改良して、C/C基材面にコン
バージョン法によってSiC被膜を形成する第1被覆工
程、ハロゲン化有機珪素化合物と水素との混合ガスを用
いてパルスCVI法によりアモルファス質のSiC被膜
を形成する第1段階操作と1200〜1400℃の加熱
温度で微細多結晶質のSiC被膜を形成する第2段階操
作を順次に施す第2被覆工程、ついでB(OC12H27)
3 およびSi(OC2 H5 )4 をアルコキシド法により
加水分解・重合させたガラス前駆体液を真空含浸してB
2 O3 −SiO2 ガラス被膜からなる表面層を形成する
第3被覆工程からなる耐酸化性C/C複合材の製造方法
を開発した(特開平6−48872 号公報)。
3989号公報の発明を改良して、C/C基材面にコン
バージョン法によってSiC被膜を形成する第1被覆工
程、ハロゲン化有機珪素化合物と水素との混合ガスを用
いてパルスCVI法によりアモルファス質のSiC被膜
を形成する第1段階操作と1200〜1400℃の加熱
温度で微細多結晶質のSiC被膜を形成する第2段階操
作を順次に施す第2被覆工程、ついでB(OC12H27)
3 およびSi(OC2 H5 )4 をアルコキシド法により
加水分解・重合させたガラス前駆体液を真空含浸してB
2 O3 −SiO2 ガラス被膜からなる表面層を形成する
第3被覆工程からなる耐酸化性C/C複合材の製造方法
を開発した(特開平6−48872 号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記の特開平4−24
3989号公報および特開平6−48872号公報の発
明によれば、苛酷な高温酸化性の雰囲気においても十分
安定な耐酸化性能を発揮するが、その後の詳細な耐酸化
性のテスト結果によって、例えば宇宙往還機のノーズキ
ャップ等の裏面側を想定して実施される高温、低圧下に
おける耐酸化性テスト(低圧揮散試験)において耐エロ
ージョン性が十分でないことが判明した。とくに、第2
被覆層として形成するSiC被膜の結晶状態が耐エロー
ジョン性に大きな影響を与えることが判明した。
3989号公報および特開平6−48872号公報の発
明によれば、苛酷な高温酸化性の雰囲気においても十分
安定な耐酸化性能を発揮するが、その後の詳細な耐酸化
性のテスト結果によって、例えば宇宙往還機のノーズキ
ャップ等の裏面側を想定して実施される高温、低圧下に
おける耐酸化性テスト(低圧揮散試験)において耐エロ
ージョン性が十分でないことが判明した。とくに、第2
被覆層として形成するSiC被膜の結晶状態が耐エロー
ジョン性に大きな影響を与えることが判明した。
【0008】本発明は、この知見に基づいて開発された
ものであり、その目的は高温、低圧下において耐エロー
ジョン性に優れたC/C材の耐酸化処理法を提供するこ
とにある。
ものであり、その目的は高温、低圧下において耐エロー
ジョン性に優れたC/C材の耐酸化処理法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
は、炭素繊維強化炭素材を基材とし、該基材の表面にS
iOガスを接触させてコンバージョン法によりSiC被
覆層を形成する第1被覆工程、ハロゲン化有機珪素化合
物と水素あるいはハロゲン化珪素と炭化水素および水素
との混合ガスを用いてCVD法により1100〜155
0℃の温度に加熱してSiCを析出被覆する第1段階操
作と、次いで不活性雰囲気に保持された加熱炉内で16
00〜1900℃の温度に加熱処理する第2段階操作と
を順次に施して結晶面(111)のX線回折の半値幅が
0.25〜0.17°、結晶面(111)と(200)
の回折ピーク強度比が2以上のSiC被覆層を形成する
第2被覆工程、Si、Al、B、Zrの少なくとも一種
を含有する金属アルコキシドを加水分解して得られるガ
ラス前駆体溶液を含浸して乾燥したのち500〜100
0℃の温度で加熱処理してガラス質被膜を形成する第3
被覆工程、とからなることを構成上の特徴とする。
めの本発明による炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
は、炭素繊維強化炭素材を基材とし、該基材の表面にS
iOガスを接触させてコンバージョン法によりSiC被
覆層を形成する第1被覆工程、ハロゲン化有機珪素化合
物と水素あるいはハロゲン化珪素と炭化水素および水素
との混合ガスを用いてCVD法により1100〜155
0℃の温度に加熱してSiCを析出被覆する第1段階操
作と、次いで不活性雰囲気に保持された加熱炉内で16
00〜1900℃の温度に加熱処理する第2段階操作と
を順次に施して結晶面(111)のX線回折の半値幅が
0.25〜0.17°、結晶面(111)と(200)
の回折ピーク強度比が2以上のSiC被覆層を形成する
第2被覆工程、Si、Al、B、Zrの少なくとも一種
を含有する金属アルコキシドを加水分解して得られるガ
ラス前駆体溶液を含浸して乾燥したのち500〜100
0℃の温度で加熱処理してガラス質被膜を形成する第3
被覆工程、とからなることを構成上の特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の基材となるC/C材は、
炭素繊維の織布、フェルト、トウなどの強化繊維に炭化
残留率の高いマトリックス樹脂液を含浸または塗布して
プリプレグを形成し、これを積層成形したのち硬化およ
び焼成炭化処理する常用の方法により製造される。強化
材となる炭素繊維にはポリアクリロニトリル系、レーヨ
ン系、ピッチ系など各種のものが用いられ、またマトリ
ックス樹脂としてはフェノール系、フラン系その他炭化
性の良好な液状熱硬化性樹脂類が使用される。製造され
たC/C材には、必要に応じてマトリックス樹脂液を含
浸、硬化、炭化する処理を反復して組織の緻密化を図る
こともできる。
炭素繊維の織布、フェルト、トウなどの強化繊維に炭化
残留率の高いマトリックス樹脂液を含浸または塗布して
プリプレグを形成し、これを積層成形したのち硬化およ
び焼成炭化処理する常用の方法により製造される。強化
材となる炭素繊維にはポリアクリロニトリル系、レーヨ
ン系、ピッチ系など各種のものが用いられ、またマトリ
ックス樹脂としてはフェノール系、フラン系その他炭化
性の良好な液状熱硬化性樹脂類が使用される。製造され
たC/C材には、必要に応じてマトリックス樹脂液を含
浸、硬化、炭化する処理を反復して組織の緻密化を図る
こともできる。
【0011】コンバージョン法によりSiC被覆層を形
成する第1被覆工程は、SiO2 粉末をSiまたはC粉
末と混合して密閉加熱系に収納し、系内にC/C材をセ
ットもしくは埋没して加熱反応させる方法により行われ
る。この条件としては、SiO2 に対するSiまたはC
の配合量を重量比で2:1、加熱温度を1800〜20
00℃に設定し、系内を還元または中性雰囲気に保持す
ることが好ましい。加熱時、SiO2 はSiまたはC成
分により加熱還元されてSiOガスを生成し、このSi
OガスがC/C材の炭素組織と反応して表層部をSiC
が界面で連続的に濃度変化する傾斜機能組織の被覆層に
転化させる。この第1被覆工程で形成されるSiC被覆
層は、第2被覆工程で形成するCVD法によるSiC被
覆層とC/C基材との熱応力緩和層として機能し、また
拡散層であるのでC/C基材の強度低下を極力避けるた
めに、SiC被覆層の膜厚は50〜100μm の範囲に
設定することが好ましい。
成する第1被覆工程は、SiO2 粉末をSiまたはC粉
末と混合して密閉加熱系に収納し、系内にC/C材をセ
ットもしくは埋没して加熱反応させる方法により行われ
る。この条件としては、SiO2 に対するSiまたはC
の配合量を重量比で2:1、加熱温度を1800〜20
00℃に設定し、系内を還元または中性雰囲気に保持す
ることが好ましい。加熱時、SiO2 はSiまたはC成
分により加熱還元されてSiOガスを生成し、このSi
OガスがC/C材の炭素組織と反応して表層部をSiC
が界面で連続的に濃度変化する傾斜機能組織の被覆層に
転化させる。この第1被覆工程で形成されるSiC被覆
層は、第2被覆工程で形成するCVD法によるSiC被
覆層とC/C基材との熱応力緩和層として機能し、また
拡散層であるのでC/C基材の強度低下を極力避けるた
めに、SiC被覆層の膜厚は50〜100μm の範囲に
設定することが好ましい。
【0012】第2被覆工程は本発明の主要な構成要件と
なるものであり、ハロゲン化有機珪素化合物と水素ある
いはハロゲン化珪素と炭化水素および水素との混合ガス
を石英反応室内で温度1100〜1550℃に加熱され
ているC/C材にガス状態で連続的に接触させるCVD
法によりSiCを析出被覆する第1段階操作と、不活性
雰囲気に保持された加熱炉内で1600〜1900℃の
温度範囲で加熱処理する第2段階操作を順次に施す方法
によって行われる。
なるものであり、ハロゲン化有機珪素化合物と水素ある
いはハロゲン化珪素と炭化水素および水素との混合ガス
を石英反応室内で温度1100〜1550℃に加熱され
ているC/C材にガス状態で連続的に接触させるCVD
法によりSiCを析出被覆する第1段階操作と、不活性
雰囲気に保持された加熱炉内で1600〜1900℃の
温度範囲で加熱処理する第2段階操作を順次に施す方法
によって行われる。
【0013】第1段階操作のCVD反応の原料となるハ
ロゲン化有機珪素化合物としてはトリクロロメチルシラ
ン(CH3SiCl3)が好適に用いられ、またハロゲン化珪素と
してはテトラクロルシラン、トリクロールメチルシラン
などが、炭化水素にはメタン、エタンなどが用いられ
る。これらの原料は適宜な割合で混合し、混合ガスをC
/C材が加熱されている反応室に供給してCVD反応に
よりSiCを析出、被覆する。この第1段階操作により
析出被覆するSiCの原子組成比はSi:C=1:1で
あることが好ましく、また、その(111)結晶面が発
達し、揃っていることが望ましい。特に、結晶面(11
1)のX線回折の半値幅が0.35〜0.17°、結晶
面(111)と(200)の回折ピーク強度比が2以上
であることが好ましく、そのためにCVD反応は常圧下
に1100〜1550℃の温度範囲に設定制御される。
このようにして、第1被覆工程のコンバージョン法によ
り形成したSiC被覆層表面に緻密でガス不透過性の被
覆層が形成される。
ロゲン化有機珪素化合物としてはトリクロロメチルシラ
ン(CH3SiCl3)が好適に用いられ、またハロゲン化珪素と
してはテトラクロルシラン、トリクロールメチルシラン
などが、炭化水素にはメタン、エタンなどが用いられ
る。これらの原料は適宜な割合で混合し、混合ガスをC
/C材が加熱されている反応室に供給してCVD反応に
よりSiCを析出、被覆する。この第1段階操作により
析出被覆するSiCの原子組成比はSi:C=1:1で
あることが好ましく、また、その(111)結晶面が発
達し、揃っていることが望ましい。特に、結晶面(11
1)のX線回折の半値幅が0.35〜0.17°、結晶
面(111)と(200)の回折ピーク強度比が2以上
であることが好ましく、そのためにCVD反応は常圧下
に1100〜1550℃の温度範囲に設定制御される。
このようにして、第1被覆工程のコンバージョン法によ
り形成したSiC被覆層表面に緻密でガス不透過性の被
覆層が形成される。
【0014】第2段階操作は、第1段階操作によりSi
Cを析出被覆したC/C材をアルゴン、窒素などの不活
性雰囲気に保持された加熱炉内に移し、1600〜19
00℃の温度範囲で加熱処理する操作である。この加熱
処理により第1段階操作によって析出被覆したSiCの
結晶化が促進されて、SiCの結晶内に存在する結晶欠
陥や結晶不整が是正されてSiCの高結晶化を図ること
ができ、結晶面(111)のX線回折の半値幅が0.2
5〜0.17°、結晶面(111)と(200)の回折
ピーク強度比が2以上のSiC被覆層を形成することが
可能となる。更に、この処理により残留応力の緩和やC
/C基材中へのSiの拡散が促進されてC/C基材とS
iC被覆層との密着性の向上が図られる。
Cを析出被覆したC/C材をアルゴン、窒素などの不活
性雰囲気に保持された加熱炉内に移し、1600〜19
00℃の温度範囲で加熱処理する操作である。この加熱
処理により第1段階操作によって析出被覆したSiCの
結晶化が促進されて、SiCの結晶内に存在する結晶欠
陥や結晶不整が是正されてSiCの高結晶化を図ること
ができ、結晶面(111)のX線回折の半値幅が0.2
5〜0.17°、結晶面(111)と(200)の回折
ピーク強度比が2以上のSiC被覆層を形成することが
可能となる。更に、この処理により残留応力の緩和やC
/C基材中へのSiの拡散が促進されてC/C基材とS
iC被覆層との密着性の向上が図られる。
【0015】SiC被覆処理を施したC/C材について
低圧揮散試験を行うと、SiC被覆層は高温、低圧下の
アクティブ領域で大きなエロージョンを受け、とくに表
面よりもクラック部やSiCの粒界部の侵食が大きいこ
とが認められた。また、X線回折の結果からSiC被膜
層の表面は(111)結晶面で構成されており、(11
1)面は耐エロージョン性が高いことを確認した。結晶
面(111)はX線回折の半値幅が狭いほど結晶面が揃
っており、また(200)面に対する回折ピークの強度
比が大きいほど(111)面が発達していることとな
る。
低圧揮散試験を行うと、SiC被覆層は高温、低圧下の
アクティブ領域で大きなエロージョンを受け、とくに表
面よりもクラック部やSiCの粒界部の侵食が大きいこ
とが認められた。また、X線回折の結果からSiC被膜
層の表面は(111)結晶面で構成されており、(11
1)面は耐エロージョン性が高いことを確認した。結晶
面(111)はX線回折の半値幅が狭いほど結晶面が揃
っており、また(200)面に対する回折ピークの強度
比が大きいほど(111)面が発達していることとな
る。
【0016】したがって、耐エロージョン性の優れたS
iC被覆層を形成するためには、結晶面(111)の強
度が高く、半値幅が狭いことが必要である。本発明は第
2段階操作の加熱処理温度を1600〜1900℃の範
囲に設定制御することにより、結晶面(111)のX線
回折の半値幅が0.25〜0.17°、結晶面(11
1)と(200)の回折強度比が2以上のSiC被覆層
に転化するものである。SiC被覆層の結晶構造が、こ
の範囲を外れる場合には低圧揮散試験において充分な耐
酸化機能を発揮することができない。
iC被覆層を形成するためには、結晶面(111)の強
度が高く、半値幅が狭いことが必要である。本発明は第
2段階操作の加熱処理温度を1600〜1900℃の範
囲に設定制御することにより、結晶面(111)のX線
回折の半値幅が0.25〜0.17°、結晶面(11
1)と(200)の回折強度比が2以上のSiC被覆層
に転化するものである。SiC被覆層の結晶構造が、こ
の範囲を外れる場合には低圧揮散試験において充分な耐
酸化機能を発揮することができない。
【0017】このようにして、SiC結晶内に存在する
結晶欠陥、結晶不整を是正するとともに高結晶化を図
り、その結果(111)の結晶面を発達させることがで
きる。したがって、高温、低圧下における低圧揮散試験
でも高度の耐エロージョン性を備える耐酸化処理を施す
ことが可能となる。この場合、加熱処理温度が1600
℃未満では結晶欠陥や結晶不整の是正が不十分であり高
結晶化を図ることができず、一方1900℃を越えると
SiCの材質劣化が生じるので熱処理温度は1600〜
1900℃の温度範囲に設定する必要がある。
結晶欠陥、結晶不整を是正するとともに高結晶化を図
り、その結果(111)の結晶面を発達させることがで
きる。したがって、高温、低圧下における低圧揮散試験
でも高度の耐エロージョン性を備える耐酸化処理を施す
ことが可能となる。この場合、加熱処理温度が1600
℃未満では結晶欠陥や結晶不整の是正が不十分であり高
結晶化を図ることができず、一方1900℃を越えると
SiCの材質劣化が生じるので熱処理温度は1600〜
1900℃の温度範囲に設定する必要がある。
【0018】この第2被覆工程により、応力緩和のアニ
ール効果ならびにC/C基材へのSiの拡散が進み、S
iC被覆層とC/C基材との密着性が向上して低圧揮散
試験における急速昇温時にも剥離の発生が抑制され、高
温、低圧下の雰囲気中での耐エロージョン性に優れた耐
酸化性能を付与することが可能となる。
ール効果ならびにC/C基材へのSiの拡散が進み、S
iC被覆層とC/C基材との密着性が向上して低圧揮散
試験における急速昇温時にも剥離の発生が抑制され、高
温、低圧下の雰囲気中での耐エロージョン性に優れた耐
酸化性能を付与することが可能となる。
【0019】第3被覆工程は、このようにして第2被覆
工程の処理を施したC/C基材表面のSiC被覆層の上
にガラス質被膜を形成被覆する工程である。ガラス質被
膜の組成はSiO2 、Al2 O3 、B2 O3 、ZrO2
などの単体または複合体が好ましく、Si、Al、B、
Zrの少なくとも一種を含有する金属アルコキシドを加
水分解してガラス前駆体溶液を作製し、この液にC/C
基材を浸漬あるいは塗布などの方法により含浸し、乾燥
したのち500〜1000℃の温度で熱処理する方法に
よりガラス質被膜が形成される。ガラス前駆体溶液は、
Si(OC2 H5)4 、B(OC4 H9)3 、Zr(OC4
H9)4 などの金属アルコキシドにアルコールを加えて撹
拌混合した溶液中に水を滴下して加水分解するアルコキ
シド法により調製される。このようにして形成されたガ
ラス質被膜は、第2被覆工程で形成したSiC被覆層に
発生した微細なクラックを充填、目詰めして全面をシー
ルし、酸化性雰囲気下において外気を遮断し、拡散侵入
する酸素のバリアとして機能する。
工程の処理を施したC/C基材表面のSiC被覆層の上
にガラス質被膜を形成被覆する工程である。ガラス質被
膜の組成はSiO2 、Al2 O3 、B2 O3 、ZrO2
などの単体または複合体が好ましく、Si、Al、B、
Zrの少なくとも一種を含有する金属アルコキシドを加
水分解してガラス前駆体溶液を作製し、この液にC/C
基材を浸漬あるいは塗布などの方法により含浸し、乾燥
したのち500〜1000℃の温度で熱処理する方法に
よりガラス質被膜が形成される。ガラス前駆体溶液は、
Si(OC2 H5)4 、B(OC4 H9)3 、Zr(OC4
H9)4 などの金属アルコキシドにアルコールを加えて撹
拌混合した溶液中に水を滴下して加水分解するアルコキ
シド法により調製される。このようにして形成されたガ
ラス質被膜は、第2被覆工程で形成したSiC被覆層に
発生した微細なクラックを充填、目詰めして全面をシー
ルし、酸化性雰囲気下において外気を遮断し、拡散侵入
する酸素のバリアとして機能する。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
体的に説明する。
【0021】実施例1 (1) C/C基材の作製 ポリアクリルニトリル系高強度高弾性タイプの平織炭素
繊維織布にフェノール樹脂初期縮合物〔大日本インキ化
学工業(株)製〕をマトリックス樹脂として充分に塗布
し、48時間風乾してプリプレグシートを作成した。こ
のプリプレグシートを14枚積層してモールドに入れ加
熱温度110℃、圧力20kg/cm2の条件で複合成形し
た。次いで、成形体を250℃の温度に加熱してマトリ
ックス樹脂を完全に硬化したのち、窒素ガス雰囲気に保
持された焼成炉内に移し5℃/hr の昇温速度で2000
℃まで昇温し、その温度に5時間保持して焼成炭化し
た。このようにして、炭素繊維の体積含有率(Vf)65
%、見掛比重1.65g/ccのC/C基材を作製した。
繊維織布にフェノール樹脂初期縮合物〔大日本インキ化
学工業(株)製〕をマトリックス樹脂として充分に塗布
し、48時間風乾してプリプレグシートを作成した。こ
のプリプレグシートを14枚積層してモールドに入れ加
熱温度110℃、圧力20kg/cm2の条件で複合成形し
た。次いで、成形体を250℃の温度に加熱してマトリ
ックス樹脂を完全に硬化したのち、窒素ガス雰囲気に保
持された焼成炉内に移し5℃/hr の昇温速度で2000
℃まで昇温し、その温度に5時間保持して焼成炭化し
た。このようにして、炭素繊維の体積含有率(Vf)65
%、見掛比重1.65g/ccのC/C基材を作製した。
【0022】(2) 第1被覆工程 SiO2 粉末とSi粉末を2:1(重量比)の配合比率
になるように混合し、混合粉末を黒鉛坩堝に入れて上部
にC/C材(縦横50mm、厚さ5mm)をセットした。こ
の黒鉛坩堝を電気炉内に移し、内部をアルゴンガスで十
分に置換したのち、50℃/hr の速度で1850℃まで
昇温させ、1時間保持してC/C基材の表層部に傾斜機
能を有する多結晶質SiC被覆層を形成した。形成され
たSiC被覆層の厚さは約50μm であったが、この表
面には巾数μm 程度の微細な亀裂が発生しているのが認
められた。
になるように混合し、混合粉末を黒鉛坩堝に入れて上部
にC/C材(縦横50mm、厚さ5mm)をセットした。こ
の黒鉛坩堝を電気炉内に移し、内部をアルゴンガスで十
分に置換したのち、50℃/hr の速度で1850℃まで
昇温させ、1時間保持してC/C基材の表層部に傾斜機
能を有する多結晶質SiC被覆層を形成した。形成され
たSiC被覆層の厚さは約50μm であったが、この表
面には巾数μm 程度の微細な亀裂が発生しているのが認
められた。
【0023】(3) 第2被覆工程 第1段階操作:第1被覆工程の処理によりSiC被覆
層を形成したC/C材をCVD装置の反応管内にセット
し、管内をアルゴンガスで十分に置換したのち高周波誘
導加熱によりC/C材の温度を1300℃に昇温した。
次いで、トリクロロメチルシラン(CH3SiCl3)とH2 の混
合ガス(モル比 CH3SiCl3 /H2=1:20)を導入し、4時
間保持してCVD反応により、第1被覆工程で形成した
SiC被覆層の上に多結晶質のSiCを析出被覆した。
この多結晶質SiC被覆層の厚さは200μm であり、
表面には未だ巾数μm の微細な亀裂が認められたが、亀
裂の幅、数とも減少していた。
層を形成したC/C材をCVD装置の反応管内にセット
し、管内をアルゴンガスで十分に置換したのち高周波誘
導加熱によりC/C材の温度を1300℃に昇温した。
次いで、トリクロロメチルシラン(CH3SiCl3)とH2 の混
合ガス(モル比 CH3SiCl3 /H2=1:20)を導入し、4時
間保持してCVD反応により、第1被覆工程で形成した
SiC被覆層の上に多結晶質のSiCを析出被覆した。
この多結晶質SiC被覆層の厚さは200μm であり、
表面には未だ巾数μm の微細な亀裂が認められたが、亀
裂の幅、数とも減少していた。
【0024】第2段階操作:次いで、上記の第1段階
操作を施したC/C材をアルゴンガス雰囲気に保持され
た電気炉に移し、1800℃の温度で1時間加熱処理し
て、SiC被覆層の結晶面(111)の結晶化を促し
て、(111)面のピーク強度の増大および半値幅の縮
小化を図った。
操作を施したC/C材をアルゴンガス雰囲気に保持され
た電気炉に移し、1800℃の温度で1時間加熱処理し
て、SiC被覆層の結晶面(111)の結晶化を促し
て、(111)面のピーク強度の増大および半値幅の縮
小化を図った。
【0025】このようにして形成したSiC被覆層の結
晶構造をX線回折により評価した。X線回折は、電圧3
0KV、電流20 mAの条件でNiフィルターを使用
し、回折スリット条件1°−1°−0.15mmで行い、
結晶面(111)のピークの半値幅および結晶面(11
1)と(200)のピーク強度の比を求めた。
晶構造をX線回折により評価した。X線回折は、電圧3
0KV、電流20 mAの条件でNiフィルターを使用
し、回折スリット条件1°−1°−0.15mmで行い、
結晶面(111)のピークの半値幅および結晶面(11
1)と(200)のピーク強度の比を求めた。
【0026】(4) 第3被覆工程 Si(OC2 H5)4 とエタノールをモル比2:1になる
量比で配合し、70℃の温度で還流撹拌を行った混合溶
液中に、前記Si(OC2 H5)4 1モルに対し25モル
量の水と0.2モル量のNH4 OHの混合水溶液を滴加
し(pH:12.0) 、撹拌して約0.2μm の球状SiO2 微
粒子が均一に分散するサスペンジョンを調製した。この
サスペンジョンに第2被覆工程の処理を施したC/C材
を浸漬して15分間減圧含浸を行った。次いで、風乾
後、前記サスペンジョンを塗布、風乾する操作を3回繰
り返したのち、100℃の温度で乾燥してSiO2 微粒
子からなる中間層を形成した。このC/C材をB(OC
4 H9)3 溶液中に投入し15分間減圧含浸を行ったの
ち、一昼夜風乾して空気中の水分で加水分解し、100
℃の温度で乾燥後、更に500℃の温度で15分間加熱
処理を行いB2 O3 ガラス質の被膜を形成した。
量比で配合し、70℃の温度で還流撹拌を行った混合溶
液中に、前記Si(OC2 H5)4 1モルに対し25モル
量の水と0.2モル量のNH4 OHの混合水溶液を滴加
し(pH:12.0) 、撹拌して約0.2μm の球状SiO2 微
粒子が均一に分散するサスペンジョンを調製した。この
サスペンジョンに第2被覆工程の処理を施したC/C材
を浸漬して15分間減圧含浸を行った。次いで、風乾
後、前記サスペンジョンを塗布、風乾する操作を3回繰
り返したのち、100℃の温度で乾燥してSiO2 微粒
子からなる中間層を形成した。このC/C材をB(OC
4 H9)3 溶液中に投入し15分間減圧含浸を行ったの
ち、一昼夜風乾して空気中の水分で加水分解し、100
℃の温度で乾燥後、更に500℃の温度で15分間加熱
処理を行いB2 O3 ガラス質の被膜を形成した。
【0027】次いで、Si(OC2 H5)4 とエタノール
をモル比1:4.5になる量比で配合し、室温で還流撹
拌を行った混合溶液中に前記Si(OC2 H5)4 1モル
に対し2.5モル量の水と0.03モル量のHClの混
合水溶液を滴加しながら撹拌して(pH:3.0)、SiO2 ガ
ラス前駆体溶液を調製した。このガラス前駆体溶液中に
B2 O3 ガラス質の被膜を形成したC/C材を投入して
15分間減圧含浸を行ったのち100℃で乾燥した。こ
のC/C材を再度B(OC4 H9)3 溶液中に投入して1
5分間減圧含浸を行い、一昼夜風乾して空気中の水分で
加水分解した。次いで、100℃の温度で乾燥し、更に
アルゴンガス雰囲気で800℃の温度で60分間熱処理
してB2 O3 −SiO2 ガラス質被膜を形成した。
をモル比1:4.5になる量比で配合し、室温で還流撹
拌を行った混合溶液中に前記Si(OC2 H5)4 1モル
に対し2.5モル量の水と0.03モル量のHClの混
合水溶液を滴加しながら撹拌して(pH:3.0)、SiO2 ガ
ラス前駆体溶液を調製した。このガラス前駆体溶液中に
B2 O3 ガラス質の被膜を形成したC/C材を投入して
15分間減圧含浸を行ったのち100℃で乾燥した。こ
のC/C材を再度B(OC4 H9)3 溶液中に投入して1
5分間減圧含浸を行い、一昼夜風乾して空気中の水分で
加水分解した。次いで、100℃の温度で乾燥し、更に
アルゴンガス雰囲気で800℃の温度で60分間熱処理
してB2 O3 −SiO2 ガラス質被膜を形成した。
【0028】(5) 耐エロージョン試験 上記の耐酸化処理を施したC/C材について低圧揮散試
験装置により耐エロージョン試験を実施した。試験条件
は装置内を1000パスカル(Pa)に減圧し、クセノンラ
ンプを発光させた光を集光してC/C材表面に照射して
1700℃の温度に昇温させ、その状態で1100秒間
照射したのち、C/C材の重量減少量および耐酸化被覆
層の膜厚減少量を測定した。これらの結果をまとめて表
1、表2に示した。
験装置により耐エロージョン試験を実施した。試験条件
は装置内を1000パスカル(Pa)に減圧し、クセノンラ
ンプを発光させた光を集光してC/C材表面に照射して
1700℃の温度に昇温させ、その状態で1100秒間
照射したのち、C/C材の重量減少量および耐酸化被覆
層の膜厚減少量を測定した。これらの結果をまとめて表
1、表2に示した。
【0029】実施例2〜8、比較例1〜5 第1段階操作のCVD反応温度および第2段階操作の加
熱処理温度を変えて第2被覆工程の被覆処理を行ったほ
かは、実施例1と同一の方法、条件で第1被覆工程なら
びに第3被覆工程の処理を行った。これらのC/C材に
ついて実施例1と同一の方法で耐エロージョン性の評価
を行い、その結果を表1、表2に併載した。
熱処理温度を変えて第2被覆工程の被覆処理を行ったほ
かは、実施例1と同一の方法、条件で第1被覆工程なら
びに第3被覆工程の処理を行った。これらのC/C材に
ついて実施例1と同一の方法で耐エロージョン性の評価
を行い、その結果を表1、表2に併載した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】 (注) *1 剥離のため測定できず。
【0032】表1および表2の結果から、CVD法によ
り形成したSiC被覆を不活性雰囲気中で加熱処理し
て、結晶面(111)のX線回折の半値幅が0.25〜
0.17°、結晶面(111)と(200)の回折ピー
クの強度比が2以上のSiC被覆層を形成した実施例の
C/C材は、比較例のC/C材に比べて高温、低圧の酸
化性雰囲気下における酸化損耗による重量減少量、膜厚
減少量とも少なく、耐酸化性能が優れていることが判
る。
り形成したSiC被覆を不活性雰囲気中で加熱処理し
て、結晶面(111)のX線回折の半値幅が0.25〜
0.17°、結晶面(111)と(200)の回折ピー
クの強度比が2以上のSiC被覆層を形成した実施例の
C/C材は、比較例のC/C材に比べて高温、低圧の酸
化性雰囲気下における酸化損耗による重量減少量、膜厚
減少量とも少なく、耐酸化性能が優れていることが判
る。
【0033】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の耐酸化処理法に
よればC/C材の表層部に形成した傾斜機能組織のSi
C被覆層の上に、CVD法によりSiCを析出被覆する
際の反応温度および不活性雰囲気中における加熱処理温
度を設定制御して、形成するSiC被覆層の結晶欠陥、
結晶不整を是正して高結晶化を図り、特に(111)結
晶面の発達を促進することにより、高温、低圧下のアク
ティブ領域において優れた耐エロージョン性を示す耐酸
化処理を施すことが可能である。したがって、宇宙空間
において高温、低圧という過酷な条件に曝される構造部
材の耐酸化処理法として極めて有用である。
よればC/C材の表層部に形成した傾斜機能組織のSi
C被覆層の上に、CVD法によりSiCを析出被覆する
際の反応温度および不活性雰囲気中における加熱処理温
度を設定制御して、形成するSiC被覆層の結晶欠陥、
結晶不整を是正して高結晶化を図り、特に(111)結
晶面の発達を促進することにより、高温、低圧下のアク
ティブ領域において優れた耐エロージョン性を示す耐酸
化処理を施すことが可能である。したがって、宇宙空間
において高温、低圧という過酷な条件に曝される構造部
材の耐酸化処理法として極めて有用である。
Claims (1)
- 【請求項1】 炭素繊維強化炭素材を基材とし、該基材
の表面にSiOガスを接触させてコンバージョン法によ
りSiC被覆層を形成する第1被覆工程、ハロゲン化有
機珪素化合物と水素あるいはハロゲン化珪素と炭化水素
および水素との混合ガスを用いてCVD法により110
0〜1550℃の温度に加熱してSiCを析出被覆する
第1段階操作と、次いで不活性雰囲気に保持された加熱
炉内で1600〜1900℃の温度に加熱処理する第2
段階操作とを順次に施して結晶面(111)のX線回折
の半値幅が0.25〜0.17°、結晶面(111)と
(200)の回折ピーク強度比が2以上のSiC被覆層
を形成する第2被覆工程、Si、Al、B、Zrの少な
くとも一種を含有する金属アルコキシドを加水分解して
得られるガラス前駆体溶液を含浸して乾燥したのち50
0〜1000℃の温度で加熱処理してガラス質被膜を形
成する第3被覆工程、とからなることを特徴とする炭素
繊維強化炭素材の耐酸化処理法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8231315A JPH1059789A (ja) | 1996-08-13 | 1996-08-13 | 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8231315A JPH1059789A (ja) | 1996-08-13 | 1996-08-13 | 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1059789A true JPH1059789A (ja) | 1998-03-03 |
Family
ID=16921714
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8231315A Pending JPH1059789A (ja) | 1996-08-13 | 1996-08-13 | 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1059789A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105541412A (zh) * | 2016-01-27 | 2016-05-04 | 南京工程学院 | 一种C/C复合材料表面SiC纳米线增韧SiC陶瓷涂层的制备方法 |
CN112853250A (zh) * | 2020-12-28 | 2021-05-28 | 哈尔滨工业大学 | 一种组合燃气舵构件的制备方法 |
-
1996
- 1996-08-13 JP JP8231315A patent/JPH1059789A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105541412A (zh) * | 2016-01-27 | 2016-05-04 | 南京工程学院 | 一种C/C复合材料表面SiC纳米线增韧SiC陶瓷涂层的制备方法 |
CN112853250A (zh) * | 2020-12-28 | 2021-05-28 | 哈尔滨工业大学 | 一种组合燃气舵构件的制备方法 |
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