JPH1059789A - 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 - Google Patents

炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法

Info

Publication number
JPH1059789A
JPH1059789A JP8231315A JP23131596A JPH1059789A JP H1059789 A JPH1059789 A JP H1059789A JP 8231315 A JP8231315 A JP 8231315A JP 23131596 A JP23131596 A JP 23131596A JP H1059789 A JPH1059789 A JP H1059789A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sic
coating
temperature
coating layer
heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8231315A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuji Ushijima
裕次 牛嶋
Toshiya Sedaka
俊哉 瀬高
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai Carbon Co Ltd
Original Assignee
Tokai Carbon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokai Carbon Co Ltd filed Critical Tokai Carbon Co Ltd
Priority to JP8231315A priority Critical patent/JPH1059789A/ja
Publication of JPH1059789A publication Critical patent/JPH1059789A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/52Multiple coating or impregnating multiple coating or impregnating with the same composition or with compositions only differing in the concentration of the constituents, is classified as single coating or impregnation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/00474Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00
    • C04B2111/00982Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00 as construction elements for space vehicles or aeroplanes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低圧下における苛酷な高温酸化性雰囲気中で
優れた酸化抵抗性を示すC/C材の耐酸化処理法を提供
する。 【解決手段】 C/C基材の表面にSiOガスを接触さ
せてコンバージョンによりSiC被覆層を形成する第1
被覆工程、ハロゲン化有機珪素化合物と水素あるいはハ
ロゲン化珪素と炭化水素および水素との混合ガスを用い
てCVD法により1100〜1550℃の温度に加熱し
てSiCを析出被覆する第1段階操作と、不活性雰囲気
に保持された加熱炉内で1600〜1900℃の温度に
加熱処理する第2段階操作を順次に施して結晶面(11
1)のX線回折の半値幅が0.25〜0.17°、結晶
面(111)と(200)の回折ピーク強度比が2以上
のSiC被覆層を形成する第2被覆工程、次いでSi、
Al、B、Zrの少なくとも一種を含有する金属アルコ
キシドを加水分解して得られるガラス前駆体溶液を含浸
して乾燥したのち500〜1000℃の温度で加熱処理
してガラス質被膜を形成する第3被覆工程、とからなる
耐酸化処理法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低圧下における苛
酷な高温酸化性雰囲気中で優れた酸化抵抗性を示す炭素
繊維強化炭素材(以下「C/C材」という。)の耐酸化
処理法に関する。
【0002】C/C材は、卓越した比強度、比弾性率を
有する上に優れた耐熱性および化学的安定性を備えてい
るため、航空宇宙用をはじめ多くの分野で構造材料とし
て有用されているが、易酸化性という炭素材固有の材質
的な欠点があり、これが汎用性を阻害する最大のネック
となっている。このため、C/C材の表面に耐酸化性の
被覆層を形成して耐酸化性を向上させる試みが従来から
種々検討されており、例えばZrO2 、Al2 3 、S
iC、Si3 4 等のセラミックス系物質を被覆処理す
る方法が提案されている。しかし、SiC被覆層を除い
ては使用時の熱サイクルで被覆界面に層間剥離や亀裂が
生じ、耐酸化性能を十分に付与することができない。
【0003】C/C基材の表面にSiC被覆層を形成す
る方法としては、気相反応により生成するSiCを直接
沈着させるCVD法(化学的気相蒸着法)と、基材の炭
素を反応源に利用して珪素成分と反応させることにより
SiCに転化させるコンバージョン法が知られている。
このうち、CVD法により形成したSiC被覆層は基材
との界面が明確に分離している関係で、熱衝撃を与える
と相互の熱膨張差により層間剥離が起こり易く、高温雰
囲気下における十分な耐酸化性を発揮することができな
い。一方、コンバージョン法による場合には基材の表層
部が連続組織としてSiC層を形成する傾斜機能材質と
なるために界面剥離を生じることがないが、CVD法に
比較して組織の緻密性が劣る上、SiCに転化させる反
応時に被覆層に微少なクラックが発生する問題がある。
【0004】
【従来の技術】このような問題点の解消を図るために、
本出願人はC/C基材面にSiOガスを接触させてコン
バージョン法により第1のSiC被覆層を形成する第1
被覆工程と、次いでCVD法によりハロゲン化有機珪素
化合物を還元熱分解してアモルファス質のSiCを析出
沈着させる第2被覆工程とを順次に施す耐酸化処理法
(特開平4−12078 号公報)、更にこれを改良して第2
被覆工程をハロゲン化有機珪素化合物を基材組織に間欠
的に充填して還元熱分解させるパルスCVI法によって
SiCを析出沈着させる耐酸化処理法(特開平4−4287
8 号公報)を提案した。
【0005】しかしながら、このような方法により形成
した第2被覆層のSiCにも微少な亀裂が発生してお
り、より高度の耐酸化性を付与するためにはこの亀裂を
目詰めする必要が認められた。そこで、本出願人はC/
C基材面に傾斜機能を有する多結晶質のSiC被膜から
なる第1被覆層、アモルファス質または微細多結晶質の
SiC被膜からなる第2被覆層、およびB2 3 −Si
2 ガラス被膜の第3被覆層が積層形成されてなる耐酸
化性炭素繊維強化炭素材を開発した(特開平4−243989
号公報)。
【0006】更に、本出願人は、前記の特開平4−24
3989号公報の発明を改良して、C/C基材面にコン
バージョン法によってSiC被膜を形成する第1被覆工
程、ハロゲン化有機珪素化合物と水素との混合ガスを用
いてパルスCVI法によりアモルファス質のSiC被膜
を形成する第1段階操作と1200〜1400℃の加熱
温度で微細多結晶質のSiC被膜を形成する第2段階操
作を順次に施す第2被覆工程、ついでB(OC1227
3 およびSi(OC2 5 4 をアルコキシド法により
加水分解・重合させたガラス前駆体液を真空含浸してB
2 3 −SiO2 ガラス被膜からなる表面層を形成する
第3被覆工程からなる耐酸化性C/C複合材の製造方法
を開発した(特開平6−48872 号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記の特開平4−24
3989号公報および特開平6−48872号公報の発
明によれば、苛酷な高温酸化性の雰囲気においても十分
安定な耐酸化性能を発揮するが、その後の詳細な耐酸化
性のテスト結果によって、例えば宇宙往還機のノーズキ
ャップ等の裏面側を想定して実施される高温、低圧下に
おける耐酸化性テスト(低圧揮散試験)において耐エロ
ージョン性が十分でないことが判明した。とくに、第2
被覆層として形成するSiC被膜の結晶状態が耐エロー
ジョン性に大きな影響を与えることが判明した。
【0008】本発明は、この知見に基づいて開発された
ものであり、その目的は高温、低圧下において耐エロー
ジョン性に優れたC/C材の耐酸化処理法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
は、炭素繊維強化炭素材を基材とし、該基材の表面にS
iOガスを接触させてコンバージョン法によりSiC被
覆層を形成する第1被覆工程、ハロゲン化有機珪素化合
物と水素あるいはハロゲン化珪素と炭化水素および水素
との混合ガスを用いてCVD法により1100〜155
0℃の温度に加熱してSiCを析出被覆する第1段階操
作と、次いで不活性雰囲気に保持された加熱炉内で16
00〜1900℃の温度に加熱処理する第2段階操作と
を順次に施して結晶面(111)のX線回折の半値幅が
0.25〜0.17°、結晶面(111)と(200)
の回折ピーク強度比が2以上のSiC被覆層を形成する
第2被覆工程、Si、Al、B、Zrの少なくとも一種
を含有する金属アルコキシドを加水分解して得られるガ
ラス前駆体溶液を含浸して乾燥したのち500〜100
0℃の温度で加熱処理してガラス質被膜を形成する第3
被覆工程、とからなることを構成上の特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の基材となるC/C材は、
炭素繊維の織布、フェルト、トウなどの強化繊維に炭化
残留率の高いマトリックス樹脂液を含浸または塗布して
プリプレグを形成し、これを積層成形したのち硬化およ
び焼成炭化処理する常用の方法により製造される。強化
材となる炭素繊維にはポリアクリロニトリル系、レーヨ
ン系、ピッチ系など各種のものが用いられ、またマトリ
ックス樹脂としてはフェノール系、フラン系その他炭化
性の良好な液状熱硬化性樹脂類が使用される。製造され
たC/C材には、必要に応じてマトリックス樹脂液を含
浸、硬化、炭化する処理を反復して組織の緻密化を図る
こともできる。
【0011】コンバージョン法によりSiC被覆層を形
成する第1被覆工程は、SiO2 粉末をSiまたはC粉
末と混合して密閉加熱系に収納し、系内にC/C材をセ
ットもしくは埋没して加熱反応させる方法により行われ
る。この条件としては、SiO2 に対するSiまたはC
の配合量を重量比で2:1、加熱温度を1800〜20
00℃に設定し、系内を還元または中性雰囲気に保持す
ることが好ましい。加熱時、SiO2 はSiまたはC成
分により加熱還元されてSiOガスを生成し、このSi
OガスがC/C材の炭素組織と反応して表層部をSiC
が界面で連続的に濃度変化する傾斜機能組織の被覆層に
転化させる。この第1被覆工程で形成されるSiC被覆
層は、第2被覆工程で形成するCVD法によるSiC被
覆層とC/C基材との熱応力緩和層として機能し、また
拡散層であるのでC/C基材の強度低下を極力避けるた
めに、SiC被覆層の膜厚は50〜100μm の範囲に
設定することが好ましい。
【0012】第2被覆工程は本発明の主要な構成要件と
なるものであり、ハロゲン化有機珪素化合物と水素ある
いはハロゲン化珪素と炭化水素および水素との混合ガス
を石英反応室内で温度1100〜1550℃に加熱され
ているC/C材にガス状態で連続的に接触させるCVD
法によりSiCを析出被覆する第1段階操作と、不活性
雰囲気に保持された加熱炉内で1600〜1900℃の
温度範囲で加熱処理する第2段階操作を順次に施す方法
によって行われる。
【0013】第1段階操作のCVD反応の原料となるハ
ロゲン化有機珪素化合物としてはトリクロロメチルシラ
ン(CH3SiCl3)が好適に用いられ、またハロゲン化珪素と
してはテトラクロルシラン、トリクロールメチルシラン
などが、炭化水素にはメタン、エタンなどが用いられ
る。これらの原料は適宜な割合で混合し、混合ガスをC
/C材が加熱されている反応室に供給してCVD反応に
よりSiCを析出、被覆する。この第1段階操作により
析出被覆するSiCの原子組成比はSi:C=1:1で
あることが好ましく、また、その(111)結晶面が発
達し、揃っていることが望ましい。特に、結晶面(11
1)のX線回折の半値幅が0.35〜0.17°、結晶
面(111)と(200)の回折ピーク強度比が2以上
であることが好ましく、そのためにCVD反応は常圧下
に1100〜1550℃の温度範囲に設定制御される。
このようにして、第1被覆工程のコンバージョン法によ
り形成したSiC被覆層表面に緻密でガス不透過性の被
覆層が形成される。
【0014】第2段階操作は、第1段階操作によりSi
Cを析出被覆したC/C材をアルゴン、窒素などの不活
性雰囲気に保持された加熱炉内に移し、1600〜19
00℃の温度範囲で加熱処理する操作である。この加熱
処理により第1段階操作によって析出被覆したSiCの
結晶化が促進されて、SiCの結晶内に存在する結晶欠
陥や結晶不整が是正されてSiCの高結晶化を図ること
ができ、結晶面(111)のX線回折の半値幅が0.2
5〜0.17°、結晶面(111)と(200)の回折
ピーク強度比が2以上のSiC被覆層を形成することが
可能となる。更に、この処理により残留応力の緩和やC
/C基材中へのSiの拡散が促進されてC/C基材とS
iC被覆層との密着性の向上が図られる。
【0015】SiC被覆処理を施したC/C材について
低圧揮散試験を行うと、SiC被覆層は高温、低圧下の
アクティブ領域で大きなエロージョンを受け、とくに表
面よりもクラック部やSiCの粒界部の侵食が大きいこ
とが認められた。また、X線回折の結果からSiC被膜
層の表面は(111)結晶面で構成されており、(11
1)面は耐エロージョン性が高いことを確認した。結晶
面(111)はX線回折の半値幅が狭いほど結晶面が揃
っており、また(200)面に対する回折ピークの強度
比が大きいほど(111)面が発達していることとな
る。
【0016】したがって、耐エロージョン性の優れたS
iC被覆層を形成するためには、結晶面(111)の強
度が高く、半値幅が狭いことが必要である。本発明は第
2段階操作の加熱処理温度を1600〜1900℃の範
囲に設定制御することにより、結晶面(111)のX線
回折の半値幅が0.25〜0.17°、結晶面(11
1)と(200)の回折強度比が2以上のSiC被覆層
に転化するものである。SiC被覆層の結晶構造が、こ
の範囲を外れる場合には低圧揮散試験において充分な耐
酸化機能を発揮することができない。
【0017】このようにして、SiC結晶内に存在する
結晶欠陥、結晶不整を是正するとともに高結晶化を図
り、その結果(111)の結晶面を発達させることがで
きる。したがって、高温、低圧下における低圧揮散試験
でも高度の耐エロージョン性を備える耐酸化処理を施す
ことが可能となる。この場合、加熱処理温度が1600
℃未満では結晶欠陥や結晶不整の是正が不十分であり高
結晶化を図ることができず、一方1900℃を越えると
SiCの材質劣化が生じるので熱処理温度は1600〜
1900℃の温度範囲に設定する必要がある。
【0018】この第2被覆工程により、応力緩和のアニ
ール効果ならびにC/C基材へのSiの拡散が進み、S
iC被覆層とC/C基材との密着性が向上して低圧揮散
試験における急速昇温時にも剥離の発生が抑制され、高
温、低圧下の雰囲気中での耐エロージョン性に優れた耐
酸化性能を付与することが可能となる。
【0019】第3被覆工程は、このようにして第2被覆
工程の処理を施したC/C基材表面のSiC被覆層の上
にガラス質被膜を形成被覆する工程である。ガラス質被
膜の組成はSiO2 、Al2 3 、B2 3 、ZrO2
などの単体または複合体が好ましく、Si、Al、B、
Zrの少なくとも一種を含有する金属アルコキシドを加
水分解してガラス前駆体溶液を作製し、この液にC/C
基材を浸漬あるいは塗布などの方法により含浸し、乾燥
したのち500〜1000℃の温度で熱処理する方法に
よりガラス質被膜が形成される。ガラス前駆体溶液は、
Si(OC2 5)4 、B(OC4 9)3 、Zr(OC4
9)4 などの金属アルコキシドにアルコールを加えて撹
拌混合した溶液中に水を滴下して加水分解するアルコキ
シド法により調製される。このようにして形成されたガ
ラス質被膜は、第2被覆工程で形成したSiC被覆層に
発生した微細なクラックを充填、目詰めして全面をシー
ルし、酸化性雰囲気下において外気を遮断し、拡散侵入
する酸素のバリアとして機能する。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0021】実施例1 (1) C/C基材の作製 ポリアクリルニトリル系高強度高弾性タイプの平織炭素
繊維織布にフェノール樹脂初期縮合物〔大日本インキ化
学工業(株)製〕をマトリックス樹脂として充分に塗布
し、48時間風乾してプリプレグシートを作成した。こ
のプリプレグシートを14枚積層してモールドに入れ加
熱温度110℃、圧力20kg/cm2の条件で複合成形し
た。次いで、成形体を250℃の温度に加熱してマトリ
ックス樹脂を完全に硬化したのち、窒素ガス雰囲気に保
持された焼成炉内に移し5℃/hr の昇温速度で2000
℃まで昇温し、その温度に5時間保持して焼成炭化し
た。このようにして、炭素繊維の体積含有率(Vf)65
%、見掛比重1.65g/ccのC/C基材を作製した。
【0022】(2) 第1被覆工程 SiO2 粉末とSi粉末を2:1(重量比)の配合比率
になるように混合し、混合粉末を黒鉛坩堝に入れて上部
にC/C材(縦横50mm、厚さ5mm)をセットした。こ
の黒鉛坩堝を電気炉内に移し、内部をアルゴンガスで十
分に置換したのち、50℃/hr の速度で1850℃まで
昇温させ、1時間保持してC/C基材の表層部に傾斜機
能を有する多結晶質SiC被覆層を形成した。形成され
たSiC被覆層の厚さは約50μm であったが、この表
面には巾数μm 程度の微細な亀裂が発生しているのが認
められた。
【0023】(3) 第2被覆工程 第1段階操作:第1被覆工程の処理によりSiC被覆
層を形成したC/C材をCVD装置の反応管内にセット
し、管内をアルゴンガスで十分に置換したのち高周波誘
導加熱によりC/C材の温度を1300℃に昇温した。
次いで、トリクロロメチルシラン(CH3SiCl3)とH2 の混
合ガス(モル比 CH3SiCl3 /H2=1:20)を導入し、4時
間保持してCVD反応により、第1被覆工程で形成した
SiC被覆層の上に多結晶質のSiCを析出被覆した。
この多結晶質SiC被覆層の厚さは200μm であり、
表面には未だ巾数μm の微細な亀裂が認められたが、亀
裂の幅、数とも減少していた。
【0024】第2段階操作:次いで、上記の第1段階
操作を施したC/C材をアルゴンガス雰囲気に保持され
た電気炉に移し、1800℃の温度で1時間加熱処理し
て、SiC被覆層の結晶面(111)の結晶化を促し
て、(111)面のピーク強度の増大および半値幅の縮
小化を図った。
【0025】このようにして形成したSiC被覆層の結
晶構造をX線回折により評価した。X線回折は、電圧3
0KV、電流20 mAの条件でNiフィルターを使用
し、回折スリット条件1°−1°−0.15mmで行い、
結晶面(111)のピークの半値幅および結晶面(11
1)と(200)のピーク強度の比を求めた。
【0026】(4) 第3被覆工程 Si(OC2 5)4 とエタノールをモル比2:1になる
量比で配合し、70℃の温度で還流撹拌を行った混合溶
液中に、前記Si(OC2 5)4 1モルに対し25モル
量の水と0.2モル量のNH4 OHの混合水溶液を滴加
し(pH:12.0) 、撹拌して約0.2μm の球状SiO2
粒子が均一に分散するサスペンジョンを調製した。この
サスペンジョンに第2被覆工程の処理を施したC/C材
を浸漬して15分間減圧含浸を行った。次いで、風乾
後、前記サスペンジョンを塗布、風乾する操作を3回繰
り返したのち、100℃の温度で乾燥してSiO2 微粒
子からなる中間層を形成した。このC/C材をB(OC
4 9)3 溶液中に投入し15分間減圧含浸を行ったの
ち、一昼夜風乾して空気中の水分で加水分解し、100
℃の温度で乾燥後、更に500℃の温度で15分間加熱
処理を行いB2 3 ガラス質の被膜を形成した。
【0027】次いで、Si(OC2 5)4 とエタノール
をモル比1:4.5になる量比で配合し、室温で還流撹
拌を行った混合溶液中に前記Si(OC2 5)4 1モル
に対し2.5モル量の水と0.03モル量のHClの混
合水溶液を滴加しながら撹拌して(pH:3.0)、SiO2
ラス前駆体溶液を調製した。このガラス前駆体溶液中に
2 3 ガラス質の被膜を形成したC/C材を投入して
15分間減圧含浸を行ったのち100℃で乾燥した。こ
のC/C材を再度B(OC4 9)3 溶液中に投入して1
5分間減圧含浸を行い、一昼夜風乾して空気中の水分で
加水分解した。次いで、100℃の温度で乾燥し、更に
アルゴンガス雰囲気で800℃の温度で60分間熱処理
してB2 3 −SiO2 ガラス質被膜を形成した。
【0028】(5) 耐エロージョン試験 上記の耐酸化処理を施したC/C材について低圧揮散試
験装置により耐エロージョン試験を実施した。試験条件
は装置内を1000パスカル(Pa)に減圧し、クセノンラ
ンプを発光させた光を集光してC/C材表面に照射して
1700℃の温度に昇温させ、その状態で1100秒間
照射したのち、C/C材の重量減少量および耐酸化被覆
層の膜厚減少量を測定した。これらの結果をまとめて表
1、表2に示した。
【0029】実施例2〜8、比較例1〜5 第1段階操作のCVD反応温度および第2段階操作の加
熱処理温度を変えて第2被覆工程の被覆処理を行ったほ
かは、実施例1と同一の方法、条件で第1被覆工程なら
びに第3被覆工程の処理を行った。これらのC/C材に
ついて実施例1と同一の方法で耐エロージョン性の評価
を行い、その結果を表1、表2に併載した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】 (注) *1 剥離のため測定できず。
【0032】表1および表2の結果から、CVD法によ
り形成したSiC被覆を不活性雰囲気中で加熱処理し
て、結晶面(111)のX線回折の半値幅が0.25〜
0.17°、結晶面(111)と(200)の回折ピー
クの強度比が2以上のSiC被覆層を形成した実施例の
C/C材は、比較例のC/C材に比べて高温、低圧の酸
化性雰囲気下における酸化損耗による重量減少量、膜厚
減少量とも少なく、耐酸化性能が優れていることが判
る。
【0033】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の耐酸化処理法に
よればC/C材の表層部に形成した傾斜機能組織のSi
C被覆層の上に、CVD法によりSiCを析出被覆する
際の反応温度および不活性雰囲気中における加熱処理温
度を設定制御して、形成するSiC被覆層の結晶欠陥、
結晶不整を是正して高結晶化を図り、特に(111)結
晶面の発達を促進することにより、高温、低圧下のアク
ティブ領域において優れた耐エロージョン性を示す耐酸
化処理を施すことが可能である。したがって、宇宙空間
において高温、低圧という過酷な条件に曝される構造部
材の耐酸化処理法として極めて有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維強化炭素材を基材とし、該基材
    の表面にSiOガスを接触させてコンバージョン法によ
    りSiC被覆層を形成する第1被覆工程、ハロゲン化有
    機珪素化合物と水素あるいはハロゲン化珪素と炭化水素
    および水素との混合ガスを用いてCVD法により110
    0〜1550℃の温度に加熱してSiCを析出被覆する
    第1段階操作と、次いで不活性雰囲気に保持された加熱
    炉内で1600〜1900℃の温度に加熱処理する第2
    段階操作とを順次に施して結晶面(111)のX線回折
    の半値幅が0.25〜0.17°、結晶面(111)と
    (200)の回折ピーク強度比が2以上のSiC被覆層
    を形成する第2被覆工程、Si、Al、B、Zrの少な
    くとも一種を含有する金属アルコキシドを加水分解して
    得られるガラス前駆体溶液を含浸して乾燥したのち50
    0〜1000℃の温度で加熱処理してガラス質被膜を形
    成する第3被覆工程、とからなることを特徴とする炭素
    繊維強化炭素材の耐酸化処理法。
JP8231315A 1996-08-13 1996-08-13 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法 Pending JPH1059789A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8231315A JPH1059789A (ja) 1996-08-13 1996-08-13 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8231315A JPH1059789A (ja) 1996-08-13 1996-08-13 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1059789A true JPH1059789A (ja) 1998-03-03

Family

ID=16921714

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8231315A Pending JPH1059789A (ja) 1996-08-13 1996-08-13 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1059789A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105541412A (zh) * 2016-01-27 2016-05-04 南京工程学院 一种C/C复合材料表面SiC纳米线增韧SiC陶瓷涂层的制备方法
CN112853250A (zh) * 2020-12-28 2021-05-28 哈尔滨工业大学 一种组合燃气舵构件的制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105541412A (zh) * 2016-01-27 2016-05-04 南京工程学院 一种C/C复合材料表面SiC纳米线增韧SiC陶瓷涂层的制备方法
CN112853250A (zh) * 2020-12-28 2021-05-28 哈尔滨工业大学 一种组合燃气舵构件的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4539014B2 (ja) 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法
JP3218092B2 (ja) 耐酸化性c/c複合材の製造方法
JPH1059789A (ja) 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
JP3844273B2 (ja) 耐酸化性c/c複合材及びその製造方法
JP3461415B2 (ja) 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
JPH06345572A (ja) C/c複合材の耐酸化被覆層
JP3422515B2 (ja) 炭素質基材の耐酸化性被膜形成法
JP3548605B2 (ja) 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法
JPH10209061A (ja) 半導体拡散炉用の構成部材
JP3193762B2 (ja) 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
JPH10167861A (ja) 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理方法
JP2579560B2 (ja) 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
JP3818606B2 (ja) 炭素繊維強化炭素複合材
JP3431958B2 (ja) 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
JP4218853B2 (ja) 単結晶引き上げ用炭素質ルツボとその製造方法
JPH09255443A (ja) 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法
JPH06345571A (ja) 高温耐酸化性c/c複合材の製造方法
JPH04187583A (ja) 耐酸化性炭素繊維強化炭素複合材とその製造方法
JP3038493B2 (ja) 耐酸化性c/c材の製造方法
JPH05148018A (ja) 耐酸化性炭素繊維強化炭素材の製造方法
JPH0826859A (ja) 耐酸化性c/c複合材とその製造法
JPH0794353B2 (ja) 炭素繊維強化炭素材の耐酸化処理法
JPH07126089A (ja) 耐酸化性c/c複合材の製造方法
JPH0794354B2 (ja) 耐酸化性c/c材とその製造方法
JP2000219584A (ja) 炭化ケイ素被覆した炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法